ぴっちりボディスーツこそ至高である！

■リプレイ

●都内某所
「ビルシャナって大概いつも変だけど、今回はとびっきりの変態だな……。正直、関わりたくないけど、これ以上迷惑かける前に始末しとこう」
　セルリアン・エクレール（スターリヴォア・e01686）は、仲間達と共にビルシャナが拠点にしている廃墟と化したビルに立っていた。
　ビルシャナは、ぴっちりスーツこそ至高であると訴え、廃墟と化したビルに潜み、獲物が来るのを待ち構えているようだ。
　そのせいか、ビルからは異様な気配が漂っており、ネットリとした空気が体に纏わりついてきた。
「まだまだ暑さを感じる時期だというのに、ボディスーツを着るのは流石に不味いのでは……」
　シフカ・ヴェルランド（血濡れの白鳥・e11532）が全裸姿でポーズを決め、自分なりの考えを述べた。
　その間、シフカは通行人達の視線をシャワーの如く浴びていたものの、本人はまったく気にしていない様子であった。
「……とは言え、ぴっちりスーツとやらは暖かそうだな。最近、急に冷えてきて、どうにも寒い」
　それとは対照的に、嵯峨野・槐（目隠し鬼・e84290）が、寒さで身体を強張らせた。
「それ以前に、そんな服着て歩くなんて変態だよ！　身体のラインが出た服を、好きな人以外の前で着るだなんて！」
　そんな中、チェリー・ブロッサム（桜花爛漫・e17323）が、激しく動揺した様子で目をパチクリさせた。
　想像するだけでも、恥ずかしい。
　思わず顔が真っ赤になってしまい、頭の中がその事一色になった。
「いや、そこまで問題視する事でもないだろ。装備がゴテゴテ付いているとはいえ、私もボディスーツを着ているしな」
　黒江・神流（独立傭兵・e32569）が、チェリーの考えに異を唱えた。
　残念ながら、それほどボディラインが出ないため、ビルシャナ達が求めているようなモノではないような気もするが、信仰の対象である事は間違いない。
「ふわりも、女の子の身体の感じが分かっちゃうから、そういう服が好きだけどー……ビルシャナさんは、いつもみたいに本当の気持ちを隠してる気がするの！」
　そう言って盟神探湯・ふわり（悪夢に彷徨う愛色の・e19466）が何やら察した様子で、廃墟と化したビルに足を踏み入れた。

●廃墟と化したビル
「隙ありィ！」
　次の瞬間、物陰から現れたのは、ぴっちりボディスーツ姿の信者達であった。
　だが、残念ボディのせいで、見た目はほとんど戦闘員ッ！
　バリバリに殺気を放出していたせいで、攻撃を避けるのは息をするほど容易であった。
（「思った以上に、みんな無防備のようだね」）
　それを迎え撃つようにして、セルリアンがシャドウエルフの本気を見せ、まるで息をするかのように自然な動きで、信者達のぴっちりボディスーツを切り裂いた。
「んな！？」
　それは信者達にとって、予想外の出来事。
　他の信者達もセルリアンの体に触れる事さえ出来ず、虚しく空を掴むと、返り討ちに遭って床に突っ伏した。
「私達に、何か着せようとしていたようだが、それでは無理だ」
　槐も襲い掛かってきた信者の腕を掴んで組み伏せ、逆にぴっちりボディスーツを剥ぎ取った。
「ぎゃああああああああああああ！」
　その途端、スキンヘッドの男性信者が悲鳴を上げ、ブクブクと泡を吐いて気絶した。
　それだけ、ぴっちりボディスーツを奪われた事がショックだったのだろう。
　口からはひょろりと魂が抜け、しばらく立ち直れない様子であった。
「何故だ！　何故、逆らう！　俺は、ただお前達のためを思って、ぴっちりボディスーツを着せようと思っているだけなのに……！」
　そんな中、ビルシャナがケルベロス達の前に現れ、信じられない様子で叫び声を響かせた。
　ケルベロス達に対して、わざわざ奇襲を仕掛けた時点で、悪意しかないのだが、それでもビルシャナは自分達の偏った善意を押し付ける気満々であった。
「だったら、ちょっと冷静になってみよう。君達みたいにあんまりスタイルが良くない人たちが着てても醜いだけなのよ。鏡でぴっちりスーツの自分を見て興奮できるかい？　正直ちょっと……って感じだろう？」
　そんな空気を察したセルリアンが、ビルシャナ達に鏡を見せた。
「確かに……。いや、そんなことはないぞ！　むしろ興奮するッ！」
　ビルシャナが本心をゴクンと飲み込み、しれっと大ウソをついた。
　まわりにいた信者達も何やら察した様子で、力強く何度もコクコクと頷いた。
「ボディスーツの着心地の良さは私も認めます。……ですが同時に、こう思うのです。何故、肌を隠してしまうのか、と。肌を隠す面積が広くなれば、それだけ体温の逃げる場所が減り、汗をかきやすくなってしまいます。そうなればスーツの中は汗まみれ……着心地は悪くなってしまいます。……ですが、全裸ならどうでしょう。肌を隠す面積は皆無。その為体温は上がりづらく汗をかきにくくなります。服の着心地を気にする必要もありません。なにせ、そもそも着ていないのですから。そして何より、服を脱ぎ捨て全身で風を感じる時のあの開放感ときたら……最高ですよ？」
　シフカが全裸のままビルシャナ達の前に陣取り、自分なりの考えを述べた。
　その間、ビルシャナ達は、シフカの体をガン見。
　信者達に至っては揃いも揃って、前屈み。
　みんな心の中でシフカに感謝をしているものの、それを口に出す事が出来ない状況のようであった。
「いいや、駄目だ！　全裸はモロ過ぎるッ！　そんな事では、胸を張って歩くことが出来ないだろうが！」
　そんな気持ちを振り払う勢いで、ビルシャナが催眠光線をケルベロス達に放ってきた。
「こんな攻撃を喰らったくらいで、ぴっちりボディスーツを着たいって思う訳……あるね。ありだよ、これ！　こんなえっちな服を着ないなんてありえないでしょ！　このフィット感……ボクのダイナミックボディにぴったりじゃない？　ほら、もっと見て、ボクのぴっちりスーツ姿！」
　その光線を浴びたチェリーが躊躇う事なく、ぴっちりボディスーツを身に着けた。
　それはビルシャナ達にとって、感動の一瞬。
　途端に信者達の歓声が上げ、割れんばかりの拍手が、チェリーの体を包み込んだ。
「ふわりもボディスーツ着てみたの♪　でもでもー、これちょっとサイズが小さくて、ふわりキツいの……」
　ふわりも、ぴっちりピンクのボディスーツ姿で、ぴょこっとビルシャナ達の前に立った。
　そのせいで、ビルシャナ達は余計に前屈み。
　ボディスーツであっても、いや……ボディスーツであるが故に、破壊力も抜群と言わんばかりにサムズアップ。
　しかも、ふわりが胸や尻を強調するようにして、ビルシャナ達に突き出してきたため、余計に腰が引き気味になった。
「サイズってこんな感じで良いか、見て欲しいの！」
　そこに追い打ちをかけるようにして、ふわりが胸元のチャックを開けて谷間を見せてきた。
「もう我慢できねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！」
　それと同時に、信者達の中で何かが弾け、半ば暴走した様子で、ケルベロス達に飛び掛かっていった。
「いきなり、何を……！」
　その巻き添えを喰らった神流が、派手に尻餅をついた。
「胸は隠れちまってるが、引き締まった腹筋や尻のラインがたまらないぜ！！」
　すぐさま、真っ黒なボディスーツを纏った信者が神流に跨り、乱暴に胸を鷲掴み。
　他の信者達も神流に覆い被さり、何かに取り憑かれた様子で、ネットリと舌を這わせた。
「……あれ？　なんでボク……ぴっちりスーツを着ているの！？　ひょっとして、これって……ううっ！」
　そんな中、チェリーがハッと我に返って、顔を真っ赤にしながら身体を震わせた。

●怒りの鉄拳
「よ、よくもこんな恥ずかしい格好を……！　このビルシャナ、絶対に許さないよ！　ぼっこぼこに、ぶん殴ってやるんだから！」
　次の瞬間、チェリーの怒りが爆発し、覆い被さっていた信者達を容赦なく弾き飛ばした。
「こんなにいっぱい出しちゃったのー♪　溜まってたのー？」
　その間に、ふわりが信者達のモノを胸で挟み、搾り取るようにして、大量のミルクを放出させた。
　ふわりの胸元に溜まったミルクはネットリと粘着き、卑猥な糸を引きながら、谷間を伝って床に広がり、むせ返るほど濃厚なオスのニオイを漂わせた。
　だが、ふわりの追撃は止まらず、信者達が間の抜けた声を上げ、噴水の如く大量のミルクを撒き散らし、グッタリとして動かなくなった。
「毎度のことだが、連中の業の深さも底が知れないな……。趣味が広いにもほどがあるだろう……。まあいい……。ここまでの事をしたのだから……覚悟はできているな……？」
　それを目の当たりにした神流がビルシャナに冷たい視線を送り、グラビティ制限機構を全て解放し、限定的な暴走状態を引き起こすと、死を具現化したかのような苛烈な攻撃を仕掛けた。
「ぬわあああああああ！　ちょっと待て！　俺は、まだ何も……！」
　これにはビルシャナも驚き、ぴっちりボディスーツを半分脱いだまま、脱兎の如く逃げ出した。
　本音を言えば、ドサクサに紛れて、欲望をぶち撒けたかったところのようだが、教義に反する訳にも行かなかったため、ぴっちりボティスーツを半脱ぎしたまま、躊躇ってしまったようである。
「戦闘準備完了……では行きましょうか」
　その間にシフカが鎖を両腕に巻き、ビルシャナ達の行く手を阻んだ。
　そのため、ビルシャナは絶体絶命。
　完全に退路を断たれ、滝の如く脂汗をダラダラと流した。
「いまさら命乞いをしても無駄だぞ」
　すぐさま、槐が間合いを詰め、容赦なく戦術超鋼拳を叩き込んだ。
　それと同時に、ぴっちりボディスーツが布切れと化し、ビルシャナの表情がみるみるうちに青くなった。
「よくも俺のボディスーツを！」
　ビルシャナにとって、それは屈辱的な出来事。
　信者であれば、即座に失神してしまうほどの出来事であったが、ビルシャナはブチ切れ。
　半ばヤケになりながら、ケルベロスに攻撃を仕掛けてきた。
「遅いよ、それじゃ……！」
　それに気づいたセルリアンが緩やかな弧を描き、ビルシャナの攻撃を避けると、そのまま的確に急所を斬り裂いた。
「なん……だと！？」
　ビルシャナは一瞬何が起こったのか、理解する事が出来なかった。
　だが、自分の体から大量に流れ落ちた臓物と血溜まりを見て、両目をギョッとさせながら崩れ落ちるようにして息絶えた。
「うわっ！　なんだ、こりゃ！」
　その途端、信者達が我に返って、恥ずかしそうに悲鳴を上げた。
　それも、そのはず。
　みんな、全裸。
　欲望の赴くまま、ふわりと絡み合っていたため、ぴっちりボティスーツも、傍にない。
「さすがに裸で帰らせるのは可愛そうだからね。これを着て帰りなよ」
　そう言ってセルリアンが何やら察した様子で、信者達に衣服を手渡すのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2019年9月23日 難度：普通 参加：6人 結果：成功！
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