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螺旋忍軍のゲートが破壊されてから久しい。
現在、螺旋忍軍が竜十字島で何やら捜索している状況が続いているが、その活動はあまり表面化していない感もある。
しかしながら、今なお全国には螺旋忍軍に支配されたままの地域が残されていることを忘れてはならない。
「先月もボクが螺旋忍軍のミッション破壊作戦の案内をしたのだけれどね。今月もよければどうかな?」
ヘリポートへと足を運んだケルベロス達へと、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が参加を募る。
先日、ドラゴン勢力のゲートを一気に破壊はしたが、その後はミッション破壊作戦は比較的落ち着いており、少しずつても数を増やしておきたい状況だ。
「どうか、奮って作戦に参加してほしい」
参加を決めたケルベロスへとリーゼリットが渡したのは、長さ70cmほどの小剣グラディウスだ。
作戦常連の者なら説明不要だろうが、このグラディウスは通常兵器としては使用できないものの、『強襲型魔空回廊』を破壊する力がある。
「現状、ケルベロスにとって、デウスエクスの地上侵攻に楔を打ち込む有用な武器だね」
ただ、一度の攻撃でグラビティ・チェインを使い果たし、再利用可能になるまで一定期間必要となってしまう。
この為、向かうべきミッションは現状を踏まえて、ケルベロスの判断に任せている。
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破壊すべき強襲型魔空回廊はミッション地域の中央にあるが、周囲には強力な護衛戦力が配備されていて、陸路海路など通常の移動方法で辿りつくのは難しい。
「この作戦に関しては通常、ヘリオンを使って、高空からの降下作戦を行っているよ」
さすがのデウスエクスも、高高度からの攻撃には対処ができないらしい。
強襲型魔空回廊の周囲は、半径30mくらいのドーム型のバリアで囲われている。
このバリアはグラディウスを触れさせれば無効化できるので、高空からの降下であっても十分攻撃は可能だ。
「8人のケルベロスが極限までグラビティを高めてからグラディウスを使って、強襲型魔空回廊に攻撃を集中してほしい」
運が良ければ、一撃で破壊することすらできる。
今回の降下作戦で破壊できなくても魔空回廊へのダメージは蓄積しており、最大10回ほどの作戦で確実に強襲型魔空回廊を破壊できると見られる。
「あと……グラディウスは攻撃時に、雷光と爆炎を発生させるんだ」
これらはグラディウスを所持している者以外に無差別に襲いかかる。グラディウスは攻撃直後までしっかり持っておきたい。
強襲型魔空回廊の防衛を担う精鋭部隊であっても、雷光、爆炎を防ぐ手段はない。
「降下後は発生するスモークを利用して、すぐ撤退に動いてほしい」
貴重なグラディウスを持ち帰る事も、今作戦の重要な目的なのだ。
魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の影響である程度無効化できるが、完全には無効化できない為、強敵との戦いは避けられない。
ただ、混乱する敵は連携を取ることはできないようなので、強敵だけを撃破してその場から撤退したい。
「戦いに時間を掛け過ぎると、態勢を整えた敵に攻め込まれる危険が出てしまうよ」
場合によっては、降伏するか誰かが暴走して撤退するしか手が無くなるかもしれない。
その為、作戦は撤退まで速やかに行いたい。
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デウスエクスの侵略は今なお続いている。
できるならば、一つでも強襲型魔空回廊を破壊し、デウスエクスの侵攻の手を止めておきたい。
ミッション破壊作戦はとっつきにくさを感じる者もいるようだが、低難易度の場所で幾度も回数を要することもあれば、高難易度ミッションをあっさり破壊することもある。
どうしても時の運が絡む部分はあるが、最大限やるべきことをやっておけば、破壊できた時の喜びもひとしおとなるし、破壊できなかった時の悔しさもより強く実感できるはずだ。
では、何をすべきか。最後にリーゼリットはこう告げる。
「皆の想いを魔空回廊にぶつけてきてほしい」
いかにして、その地域を救うか。
強い想いが強襲型魔空回廊へと大きなダメージを与えるはずだ。
参加者 | |
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シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612) |
皇・絶華(影月・e04491) |
ゼー・フラクトゥール(篝火・e32448) |
田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514) |
副島・二郎(不屈の破片・e56537) |
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空を飛来するヘリオン。
その内部に、ミッション破壊作戦に臨むケルベロス達は搭乗している。
作戦に挑むのは、地球人とドラゴニアンのみという編成のチームだ。
「今回もボクのロックを轟かすデス!」
現地到着までの間、ギターボーカル志望の金髪ポニーテールの人はドラゴニアン、シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)は楽しげに弾き語りをして過ごす。
黒で統一された衣装を纏う地球人の青年、皇・絶華(影月・e04491)が過去のミッションでの戦闘記録や見取り図を確認していく。
また、彼はその時に利用された脱出経路と、それ以外にも使えそうな経路についてもチェックしていく。
「ドーナツを武器になんて、罰当たりかつワケわからん発想、どないしたら出てくるんですかね……」
青い角と翼を生やす青いウェーブヘアの田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514)も、脱出経路を確認しつつ本音を語る。
「しかし、その発想で地区一つを拠点にしとるのも事実。驚異は早く取り除きたいもんですね」
千葉県柏の街を支配しているのは、店員に扮した螺旋忍軍『ドーナツ党』。
彼女達の陰謀を止め、早く街を解放したいところだ。
今回、この地の破壊作戦に挑むのは2回目だが、人数にも不安はある。単純にそれだけ攻撃回数が減ってしまうからだ。
「…………」
胸部に腹部、四肢の一部と広い範囲をワイルド化させた地球人の元警官、副島・二郎(不屈の破片・e56537)はヘリポートでの説明時に受け取った小剣、グラディウスを見つめる。
ミッション破壊作戦自体が初めての彼は、ケルベロスになる際に感情を捨ててしまったと考えている。
(「俺にグラディウスをうまく扱えるのか……?」)
一抹の不安を抱きながらも、彼は到着した現場上空から仲間と共にヘリオンから降下していくのである。
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高空で停止したヘリオン。
そこから飛び降りていくケルベロス達は皆、光る小剣を手にしていた。
最初に真下にある強襲型魔空回廊へと仕掛けることとなるのは、捻くれ太く老獪な「ムフロン」の角。やや乾燥気味な薄墨色の鱗を持つドラゴニアンだ。
「二度もともなれば、雪辱戦かのぅ」
老獪な古き良き武将といった風情を漂わすゼー・フラクトゥール(篝火・e32448)は唯一、連続しての作戦参加者だ。
老いてなお、武闘派ドラゴニアンとしての威風を保つゼーは、強い思いを込めてグラディウスを輝かせ、邪魔なバリアを切り払う。
「この地の者達の安寧のためにも、疾く去るが良い!」
ゼーのグラディウスが魔空回廊へと突き刺さると、広範囲へと雷光が駆け巡る。
「「「きゃあああああっっす!!」」」
この場の螺旋忍軍達の叫び声が響き渡る。突然の雷光によって目を灼かれてしまったのだろう。
だが、後続のケルベロス達はなおも攻撃を続けて。
「貴様らは間違っている!! ドーナツは手裏剣ではない! 食べ物だ!」
ドーナツを兵器として転用しようとする螺旋忍軍達へ、絶華が叫びかける。
当たり前のことではあるのだが、間違った方向に向かう少女達にその認識すらないのだろう。
「そして貴様らのドーナツのチョコには、パワーが足りない!」
自らのオリジナルグラビティにチョコを使うほど、並々ならぬ執着を持つ絶華はその思いを強く込め、グラディウスを眩く煌めかせて。
「圧倒的なパワーが足りないのだ!」
彼の刃が魔空回廊深くまで食い込むとさらなる閃光が巻き起こり、辺りに爆炎が巻き起こる。
「熱い、熱いっす!」
夏場もあるが、この爆炎に身を焦がされてドーナツ党が悶える。
そんな彼女達に、今度はマリアが言い放つ。
「ドーナツは人々の団欒や、ほっと一息つく為の甘く優しいお供なんです」
普段、ぼんやりした態度のマリアだが、この場は確固たる信念を持ってこの地の螺旋忍軍どもへと叫びかける。
「それを武器に転用するやなんて、ドーナツの存在意義ぶち壊しな上に、食べ物粗末にする罰当たりと発想が下の下なんですよ!」
到底、見過ごすことはできないと、マリアの手のグラディウスが輝き始める。
「ドーナツのあるべき姿を取り戻すためにも壊れてまえ、魔空回廊!」
強襲型魔空回廊へと突き刺さる3本目のグラディウス。
さらなる爆炎がこの場のドーナツ党達の体を焼き払わんとしていく。
撃破対象には亀裂が走っているが、今のところ大きな変化はない。
「確かにドーナツは美味しいデス! デス!! デスが!!!」
そこへ、シィカが騒がしくもハイテンションに飛び降りてくる。
「ドーナツに占領させてしまうのはよくないデス、ノーロック!!」
彼女の主張によれば、美味しいドーナツの為だけならばともかく、何やら怪しい陰謀の為というのが見過ごせないとのこと。
「ドーナツが手裏剣とかそれもまたロック……なわけないのデス!!」
シィカにかかれば、すごいものは全てロックという認識。
つまり、螺旋忍軍の考えは彼女にとってイケてないわけだ。
「ボクのロックなソウルで、そんなもの吹き飛ばしてやるのデース!」
輝く強い光。直視できるほどの光がシィカの手の小剣の刀身より放たれる。
「レッツ、ロック! ボクの歌を聞けぇぇぇぇデェェェェス!!」
彼女が切り払った一撃は、強襲型魔空回廊へと大きく深い傷痕を刻み込む。
濃いスモークが周囲へと噴き出していく。
魔空回廊の周囲へと走る亀裂がより大きくなるが、崩壊までは至らない。
あと一押し。
この局面、ラストを託されるのは、二郎だ。
(「やれるのか……?」)
二郎は降下してなお、自問自答してはいたが、引っ込みがつかぬ状況に意を決して。
「……菓子を『人を傷つけるもの』にしてはいかんだろう。食物を弄ぶな、という奴だ」
本音を交え、二郎は魂の叫びを力へと変えていく。
「見た目や戦い方がふざけていようが、敵は敵だ。人の生活を、平穏を、脅かすものを、俺は許さん」
握るグラディウスに力が籠る。
人や街を守りたいという彼の意思に応えてくれたのか、仲間達と同様にその刃が光り輝いて。
「俺は、貴様らを破壊する力だ……!」
勢いのままに、二郎は光るグラディウスを強襲型魔空回廊の奥深くまで埋め込むように突き入れていった。
それぞれ、一撃を加えて地面へと着地したメンバー達。
彼らが攻撃した魔空回廊を見上げると、亀裂が徐々に大きくなっていく。
もはや、形を維持することができなくなり、激しい音を立てて瓦解を始める。
轟音を立て、崩壊する強襲型魔空回廊。
その音が完全に止むと、そこには何もない空間が広がっていたのだった。
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長く、柏の地にあった螺旋忍軍の強襲型魔空回廊が破壊された。
ケルベロス達にとって、喜ばしいことではあるが、さすがにこの地に残されたドーナツ党全てが襲ってくれば厳しい。
この為、メンバー達は手早く撤収、柏からの離脱へと転じることになる。
「グラディウスは皆、持っておるかのぅ」
ゼーの呼びかけに、マリアや絶華が懐にしまったことを示し、二郎はベルトで体に固定したことを告げる。
シィカがどうしたのかが不明だが、彼女は大丈夫デスとあまり気にかけていない様子。
ともあれ、退路を確認したケルベロス一行。
絶華が地図や見取り図と実際の地形の差異を確認しつつも、メンバー達はスモークが晴れぬうちにこの場を離れようとするのだが……。
「逃がさないっすよ」
行く手を遮るのは、ドーナツ型の髪留めで髪を縛り、逆側に螺旋の仮面をつけた女子高生らしき姿。
彼女こそがドーナツ党の長ということだろうか。
「まだ、究極のドーナツが完成していないというのに、よくもやってくれたっすね」
そう告げる螺旋忍軍は手にぶら下げていた箱からドーナツを取り出す。
もちろん、彼女達がそれを食べるはずもなく、武器として使うべくグラビティを流し込んでいく。
「ドーナツか。……確かに貴様らは良い選択をしている」
揚げ物であり、砂糖をふんだんに使ったドーナツはカロリーも高く、疲れにはよいだろうと絶華は話すが、直後に声色を変えて。
「だが……、貴様らには足りない物がある。分かるか?」
「さあ、知らねっす」
本当に知らないのだろうが、敵も挑発するような物言いで言葉を返すと、絶華は一つ鼻を鳴らして。
「判らないか……、いいだろう。今から教えてやる!」
すると、シィカがギターをぎゅいんぎゅいんとかき鳴らして。
「レッツ、ロックンロール! ケルベロスライブ、スタートデース!! イェーイ!!」
ギター音が響く中、ケルベロスと螺旋忍軍『ドーナツ党』の長との戦いが始まる。
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すでに螺旋忍軍はゲートを失っているが、それでもなんとか戦力を補えていたのは 強襲型魔空回廊があったからこそ。
それを失った『ドーナツ党』が壊滅するのは間違いない。
「なら、これまでの研究成果を出し尽くすのみっす!」
悲壮さなどは全く感じさせないが、敵も全力を尽くすのは間違いない。
大型化させて飛ばしてくるドーナツ。
高速回転してくるそれは、盾役となるシィカとゼーの箱竜リィーンリィーンの体を打ち付けてくる。
彼女達がドーナツを引き付けるうちに、メンバー達は攻撃を繰り出していく。
「……っ、本物のロックを見せてあげるデス!」
手にしていた竜鎚を砲撃形態とし、シィカは砲弾を飛ばしてドーナツ党へと命中させる。
「まずは手堅く」
さらに、マリアが流星の蹴りを浴びせかけたのに続き、絶華もまた隠し刃を仕込んだ手製の靴『斬狼』を食らわせていく。
続けて、ゼーもまた竜鎚を構えて竜砲弾を撃ち込む。その間に、箱竜リィーンリィーンが二郎に対して自らの属性を注入してくれる。
その二郎はというと、シィカ、絶華、マリアとリィーンリィーンの為に周囲へとカラフルな爆発を巻き起こす。
「本当、手堅いっすね……でも」
連続してドーナツ手裏剣を投げ飛ばすドーナツ党。こちらはシィカが受け止めて仲間のカバーへと当たる。
ただ、メンバー達が連続して轟竜砲やスターゲイザーを叩き込んだ影響か、敵の足取りがやや鈍い。
そこで、ケルベロス達も一気に攻撃を仕掛けていく。
殺神ウィルスを投げつけたシィカが相手の回復を牽制し、絶華が燃え盛る一蹴を叩き込んでドーナツ党の体を引火させる。
「一刻も早く終わらせますよ」
逆に、マリアはパイルに氷を纏わせ、ドーナツ党の体に突き入れる。
身軽さを生かした立ち位置の敵だが、完全にケルベロス達に対策されており、満足に動くことができずに攻撃を甘んじて受け続けてしまう。
さらに、ゼーが他の仲間とタイミングをずらして、重力を宿す蹴りを食らわせてドーナツ党を牽制する。
ゼーの箱竜リィーンリィーンもブレスを吐きかけ、敵の足止めの効力を強めてくれていた。
そして、次なる敵の攻撃の為に、二郎がガネーシャパズルを手にし、光の蝶を発して先ほど攻撃を受けたシィカの傷を癒す。
「これはまずいっすかね……」
まだ体力はあるドーナツ党だったが、ケルベロス達の攻撃で満足に踏ん張りが利かなくなってきていたようだった。
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ドーナツ党の持ち味であるフットワークを封じながらも、ケルベロス達は攻撃を繰り返し、その体力を削る。
敵はドーナツの盾を展開して回復と防御に当たろうとしていたが、すぐさまシィカが竜と化した腕を薙ぎ払う。
「イェーイ、ロックンロール!」
戦いの合間にも、彼女はギターをかき鳴らしてテンションを高める。
とりわけ、飛んでくるドーナツ手裏剣で前衛メンバーが深く傷つけば、彼女は全身全霊で歌って。
「今日のステージは、今日をもって解放される柏の人達の為に届けるデス!!」
シィカの渾身の一曲は近場の仲間達を癒す為に響くものだが、きっとこの声は、歌はこの地の人々にも届いているはずだ。
二郎もまた、絶対に仲間達を倒れさせぬと回復グラビティを使い続ける。
仲間が深く傷つけば、二郎はオーラに混沌を纏わせた拳で仲間達を癒していく。
仲間が倒れぬことは手数の維持にも繋がる。長い目で見れば、ドーナツ党を倒すことができはずだ。
とはいえ、ドーナツ党も背水の陣とあってしぶとい。
「もう、負けることは許されないっす!」
それだけに飛んでくるドーナツは苛烈なる一撃となり、ケルベロス達の体力を大きく削ってくる。
「その勢い、止めます」
相手の猛攻を止める為、マリアは光の麻酔弾を発射し、ドーナツ党へと撃ち込んでいく。
「痛いっす……!」
マリアの一撃を受け、敵は腕の感覚が鈍り出し、ドーナツを持つ手に力が入らなくなってきたようだ。
「リィーンリィーン、合わせるのじゃ」
さらに、ゼーがバスターライフルからエネルギー弾を撃ち放ち、主の命に従った箱竜リィーンリィーンが封印箱に入って突撃を繰り出す。
「貴様らはドーナツを手裏剣にしているから、そうなるんだ」
大きく煽られたドーナツ党へ、絶華が告げる。
「そう! 貴様らにはパワーが足りない!」
今から、圧倒的なパワーを与えてやろうと彼は言い放つ。
「な、何を言って……!!??」
彼の背後に現れたのは、巨大なチョコレート。
本人曰く、心が込められたバレンタインチョコ……らしいのだが、それにはなぜかブクブクと膨れ上がり、あちらこちらから触手が蠢く。
いくつもある単眼があちらこちらをぎょろぎょろ見回していたが、やがてそれらの視線は一点に集中する。
それらに見られているだけで、SAN値が駄々下がりしそうだ。
「ひ、ひいぃぃぃ……っす!」
不気味なチョコの視線を集める敵は必死に逃げようとするが、すごい勢いでその口へとチョコレートがねじ込まれて。
「あばばばばばば……」
本人がいくら拒絶しようとも、まるで意志を持っているかのようにチョコレートはこれでもかとドーナツ党の口の中へと入り込もうとしていく。
「さぁ! 歓喜せよ! 体から溢れる圧倒的なパワーに……あれ?」
絶華が気付けば、目の前には泡を吹いて倒れるドーナツ党の姿。
これが最後とは思えぬ哀れな幕切れで、この地のミッション破壊作戦での戦いを終えたのである。
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「態勢を、整え直すっす……」
「状況確認、急ぐっす!」
とはいえ、スモークの中、残る党員がすでに動き出している。
「グラディウスは大丈夫なのじゃな?」
サイドのゼーの確認に応じたメンバー達はすぐさま、この地の離脱に当たる。
すでに、脱出経路は把握している一行は煙の中を駆け抜けていく。
強襲型魔空回廊の破壊。
その一報を手土産に、メンバー達はこの地のミッションに挑む別働のケルベロス達との合流を図るのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年8月10日
難度:普通
参加:5人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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