ケルベロス大運動会~ダンス・ライブ・eスポーツ等!

作者:白鳥美鳥

●ケルベロス運動会~ワールドチャンピオンと戦おう!
「みんな、いつも色んな事件の解決やヒール活動、本当にありがとう!」
 デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、皆に笑顔で話しかける。
「『全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)』が何度も発動されたよね。その度に、みんなに解決して貰って感謝してるんだけど、世界経済の方は大きく疲弊しちゃったんだ。で、この経済状況を打破しよう! って事で、おもしろイベントで収益をあげようって話になったんだ。で、そのイベントがケルベロス大運動会なんだ!」
 そして、デュアルは今年の会場について説明する。
「第4回ケルベロス大運動会の今年の舞台は『アメリカ合衆国』! ドラゴン決戦の勝利とか、近年のケルベロスのみんなの活躍を後押ししてくれている最大の支援国がアメリカ合衆国なんだ。それで、今年はアメリカ合衆国で開催って事になったんだよ。世界の中心、アメリカ合衆国を舞台に、色んな種目……ダンスとかライブとかeスポーツとか、文化芸術関係でワールドチャンピオンと対戦しよう!」
「エキシビジョンとして、ワールドチャンピオンとケルベロスの対決をする事になったんだよ。題して『アメリカンドリームマッチ!』! 様々な分野……俺が案内するのはダンスやライブ、eスポーツとかそういう文化芸術系になるんだけど、そのワールドチャンピオンと対決する事になるよ。例えばeスポーツだったらそのゲームでの対戦だし、ダンスだったらダンス同士の対決、ライブだったらライブでの対決、その他、芸術分野であればどんなものでも対戦出来るよ! 舞台はマジソンスクエアガーデン。みんなの力を分かり易く示す事が出来るし、全米の視聴者が注目しているから高視聴率の可能性が高い。勿論、実際に見て、応援してくれるし対戦の勝敗を握ってくれてる! みんなの対決やパフォーマンスで、沢山の人達に楽しい時間を楽しんで貰おう! みんなの活躍、期待してるよ!」


■リプレイ

●ケルベロス大運動会~ダンス・ライブ・eスポーツ等!
 アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン……ここにはマディソン・スクエア・ガーデンというスポーツアリーナおよびエンターテインメント会場がある。
 今回、ここで開催されるのは世界チャンピオンVSケルベロスによるアメリカン・ドリームマッチだ!

●アメリカン・ドリームマッチ~eスポーツ
 エレクトロニック・スポーツ……eスポーツと称されるこの競技は、コンピュータゲームをスポーツ・競技として捉えたものである。アマチュア・プロが存在する世界だ。
 そのeスポーツの世界で、世界チャンピオンとケルベロスが対戦する。
 最初に戦うゲームジャンルはオンラインカードゲーム。
 挑戦者は片霧・真白(陽だまりの護り人・e26905)。彼女の応援をしに来たのが、恋人である深海・小熊(旅館の看板娘・e24239)だ。元々のきっかけは、真白がゲーム好きという事を知っていた小熊が参加を勧めたのだ。
 真白の相手となる世界チャンピオン、白人のシャーロッテ。
 真白のデッキはデジタイズという種族で固デジタイズハイランダーデッキ。ハイランダーとは、デッキの全てが1枚制限のカードで構築されたデッキであり、構築が難しいが、相手に動きが読まれにくいという性質を持っている。デジタイズはカード間のシナジー……相乗効果が強い。それを利用した構成なのだ。
 一方、シャーロッテのデッキは、ドラゴンをメインとしたパワータイプだ。
 真白はデッキを回しながら連続でユニットを召喚し、ドラゴンを使うシャーロッテを圧倒しながら短期決戦で畳み掛ける。
「勝者、片霧真白ー!」
 そのアナウンスに会場が沸く。勝負が終わった後、真白とシャーロッテは、互いの健闘を讃えて握手を交わした。
「おめでとう! それから、お疲れ様! チャンピオンさん相手に全く引けを取らない戦いで凄かったよ!」
 戻ってきた真白に、小熊は拍手で迎える。それに、真白は照れ笑いをする。
「小熊ちゃんが勧めてくれたから、ここに来て、勝てたんだよ?」
「本当に? それだったら、凄く嬉しいな」
 小熊も同じく照れて微笑んだ。
「ね、今度わたしにも教えてよ。見てたらちょっとやってみたくなっちゃったんだ♪」
「うん、勿論」
 勝利を味わいつつ、二人は微笑みあったのだった。

 続いての勝負はFPS、ファーストパーソン・シューター。本人視線のシューティングゲームだ。
 挑戦するのは、セット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)。対する相手は世界チャンピオンのローゼンだ。
 対戦が始まる。ゲームの中とはいえ、射撃戦には自信があるからだ。勿論、鎧装騎兵だからといって、予測プログラム等は使わない。正々堂々、自分の頭脳で趨勢を見極める。
 セットとローゼンの戦いは熾烈を極める。互いに狙いを定めつつ、移動やジャンプをして足場を変えつつ相手に照準を定め、相手を狙って銃撃戦が交わされる。ロケーションを活かし、攻撃を回避したり、反撃をかけたり、隙を狙ったり……そんな攻防の末、遂にセットが相手を倒した。
「勝者、セット・サンダークラップ!」
 観客たちが歓声と拍手を送る。
 その言葉に勝利と安堵をしつつ、セットはローゼンと握手を交わす。
「世界チャンプは強いっす。デウスエクスと戦う時に火器管制してもらってもいいくらいっすー」
 セットの言葉に、それとこれとは別だよ、とローゼンは微笑み返し、二人はもう一度、固い握手を交わしたのだった。

 続いてのゲームは対戦格闘ゲームだ。
 ロボット格闘ゲームに挑むのは日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)。対戦相手は世界チャンピオンであるコールソンだ。
 蒼眞の選んだ機体は、一撃の威力だけは凄い剣とビーム兵器にロケットパンチ、更に翼装備をしている浪漫仕様の機体だ。……どこのスーパーロボットだとツッコミを入れられそうな機体なので、対戦相手であるコールソンも蒼眞の選んだ機体に驚いている様だ。その彼の選んだ機体は堅実な機体である。
 そして、対戦。コールソンは研究熱心かつ堅実な戦い方をする、勝つ事に全力で拘るタイプだ。……寧ろ、そうでなければ世界チャンピオンの座を手に入れるのは難しいだろう。
 一方、蒼眞の方は、こういう戦いの場では禁じ手とも言える戦い方……無駄に必殺技的な派手なモーションとエフェクトのものを主とする決め技に使って挑んでいく。どうしても隙が出てくる戦い方なので、確実にそこをコールソンに狙われてダメージを受けるし、ガードもされやすい。何となくコールソンには呆れられているか馬鹿にされているか、そんな気がするが、相手はチャンピオン。どんな事があろうとも全力で勝ちに来る。どんどん追い込まれていくが、この戦い方こそが蒼眞の本気。いくつもの攻撃を交わしたその後、全ての決着をつけたのは、蒼眞の選んだ『一撃の威力だけは凄い剣』による必殺技。土壇場のどんでん返しだった。
「勝者、日柳蒼眞!」
 最後の最後の逆転劇に、会場は大いに沸いた。握手を交わす際に、最後の一撃は読めなかった、本当に凄かったよ。そう言って貰えた事が嬉しくて、微笑む蒼眞だった。

「デュアルさん、デュアルさん」
 会場で応援していたデュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、格闘ゲームで戦う予定のミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)に捕まった。
「どうしたの?」
「あの……ちょっと練習してみたんですけど……その」
「勝てる気がしないから、俺とダブルス……? ちょっと待って、待って。確かに動体視力は悪い方じゃないとは思うけど、俺はケルベロスじゃないから、そんなにいきなり凄い事出来ないよ!」
 どうやらミリムはCPU……コンピュータ相手に見事に負けたらしく、協力プレイなら……と思ったらしい。ただ、デュアルはヘリオライダーでありケルベロスではない。ケルベロスの様な身体能力は持っていないのだ。
「良い? ミリムは今まで沢山のデウスエクスを退治して来たよね? その研ぎ澄まされた神経で操作すれば怖い物無しだよ」
「私もそう思ったんです。だけど、CPUに負けるんですよー!」
 涙目になっているミリムにデュアルは慌てる。
「チャンピオンは人間だから! 決まったプログラムで動くんじゃないから! 舞台はゲームでも、相手は意志ある者なんだよ! ミリムなら大丈夫! 俺も応援するから!」
「……じゃあ、意志ある者代表で練習相手になって下さい」
「……はい、本番前までならお付き合いします」
 そんな具合で、デュアル相手にゲームの感覚を掴んだミリムは、チャンピオン戦で――。
「えいっ、そこ! あ、痛っ! イタタッ……!」
 コントローラーと一緒に腕と身体が動いていたが、今まで戦ってきた経験が生き、無事勝利を決める事が出来た。
「私、勝ちましたよー!」
 沸く歓声の中、ミリムはガッツポーズで大喜びをしたのだった。

●アメリカン・ドリームマッチ~ダンス・ライブ
 ダンス対決に挑むのは那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)。恋人の椚・暁人(吃驚仰天・e41542)は観客席での応援だ。ダンスとライブ対決は会場審査で行われる。先にチャンピオンがアメリカらしく明るくて派手でユニークなダンスで会場を沸かせた。
 続いて登場するのが、摩琴。先のダンスを見ていた暁人は、どきどきする。彼女がダンスを得意としている事は知っていたけれど、こういった舞台で見るのは初めてで……。曲のスタートと同時に元気よく現れた摩琴を見て、壇上に立っている彼女は明るく楽しそうにしていて、その段階からどきどきと魅入られてしまった。
 摩琴はJ-POPから、大好きな人への想いが綴られた明るくてテンポの良い恋愛ソングと共にダンスを披露する。高い身長に長い手足。そのスタイルを活かして、ケルベロスの体力任せに歌を歌い、大きく動いで魅力的なダンスを踊る。恋に輝いている女の子の姿が思いっきり舞台に広がっていた。
 歌い踊りながらも、摩琴は客席に目を向けつつ暁人を探し見つける。そして、今度は暁人に向けて、自分の恋する気持ちを一杯に込めてダンスを踊る。この歌も踊りも全ては彼に向けて。
 一方、観客席で応援しながら見ていた暁人は摩琴の歌と踊りに魅了されていた。そして、彼女と目が合う瞬間があった。その後の彼女の踊りも歌も全てを自分へと向けてくれている様に思えて、嬉しさで心が一杯になる。
「勝者、那磁霧摩琴!」
 どっと沸く会場。そして、優勝の喜びそのままに摩琴は暁人に向かって胸に飛び込んだ。それを見て、周囲の観客の人達が微笑んでいる。
 今は摩琴が優勝できた嬉しさと、どきどきで胸が一杯だから……後でちゃんとダンスの感想も、また見たい事も伝えたいと暁人は思う。
 ……だから今は。胸に飛び込んできた大好きな人を労いと喜びを込めて抱きしめた。

 続いての対決はDJとパフォーマーチーム戦。対決に参加するのは、チーム『M&R』こと水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)とヴィヴィアン・ローゼット(びびあん・e02608)。
 先にパフォーマンスを披露するチャンピオンチーム『CRIMSON』の歌とダンスを見て、その派手さとダイナミックさに、舞台慣れしている方だと自負していた鬼人も、緊張を隠せない。
 二人が身に纏うのは和柄洋服で青と赤の色違いのペア。二人が魅せるパフォーマンスは日本の四季をイメージしたものだ。ヴィヴィアンの持ち曲を使い『SAKURAcall』を春、爽やかに、『Sunflower Honey』を夏、明るく、『紅葉乱舞』を秋、激しく、『シャアルジャンテ -聖夜の銀の猫-』を冬、可愛く。鬼人がDJアレンジをしながら、ヴィヴィアンが歌って踊る。
 今日の為に、二人は頑張って練習してきた。二人で最高のステージを作るのだから。
 鬼人が奏でる音に同調する様に、ヴィヴィアンが踊り歌う。春の爽やかさ、夏の明るさ、秋の激しさ、冬の可愛さ……DJと歌、踊りで日本の四季を伝える。ケルベロスはこういう国で戦っているという事をアメリカの人達に伝える為にも。
 二人のパフォーマンスが日本という国、そしてケルベロスの事を伝えられたのだろうか。
「勝者、『M&R』!」
 その声に最高の想いを感じた。アメリカの人達に伝わった事を実感できたから。『CRIMSON』のメンバーとお互いを讃えあう。最高の瞬間だった。

 ソロで歌うのはエトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)。対する世界チャンピオン、ユーリアン。ユーリアンの歌う歌はしっとりとした優しいラブソング。今までは激しい物が多かったが、こちらは高い歌唱力と声量を活かした綺麗な歌だった。
 続いて歌うのはエトヴァ。まずは、聴衆に挨拶をする。
「ハジメマシテ。……注目を集めるのハ、苦手だったのですガ、俺も、ぜひこの舞台で歌わせて頂きたいと思いマス」
 エトヴァが歌うのはクラシック曲をベースに現代風アレンジを加えた、英語の歌詞の自作曲。その手にはクラシックギター。そのギターからかき鳴らせるのは、追い風を受けるような、颯爽とした、ややアップテンポな演奏。そして、歌声は澄んだテノール。その澄んだ声量を活かし滑らかに空を舞うように、歌い上げる。
 明るく柔らかな旋律は、友人達を想い、歌う曲。絆を育み、そっと背中を押すような前向きな、応援歌だ。人が人を想う気持ちは、きっと世界中に溢れている。……それが自らの勇気になるから。
「勝者、エトヴァ・ヒンメルブラウエ!」
 観客が惜しみない拍手を贈ってくれる。それに改めて実感する。人の心にも芸術にも国境はないのだと――。
 ユーリアンとも握手を交わし互いを讃えあう。素晴らしい歌声だった、と。国境なんて無い心、それがとても嬉しかった。

 続いて、バンド対決。世界チャンピオン『DREMER』の熱くも爽やかな演奏の後、『雫Xジャパン』ミハイル・アストルフォーン(エキゾチックウェアルーラー・e17485)、真島・雫(勝手気ままに野良メイド・e31223)、そして平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)の三人組。こちらも『M&R』と同じく和を感じさせるアレンジを演奏する。曲はケルベロス運動会テーマソング『スカイクリーパー』。
 構成が面白い。メインボーカル&ギタリストの雫、キーボードのミハイル、三味線&コーラス担当の和。和が三味線なら少々と言った所、ミハイルが三味線のアレンジをしてくれたのだ。これが、和製ロック。
 服装も雫はメイド服アイドルの衣装に和を追加したもの、和はゴスロリ風にアレンジした振袖。ミハイルもそれに合わせたもので、ロックに和を溶け込ませたものだ。
 折角の機会、一気にメジャーデビューと洒落混もう。そんな勢い。
 三人は演奏する前に、声を掛け合う。
「こんな場所で演奏するなんて、そうないもんね……! 緊張するけど……私、頑張る! 頑張ろっ、ミーシャ、平!」
「ああ雫ちゃん、いつでもいけるぜ!」
「ひゃっはー! 和製ロックのロック魂ってやつを魅せてやるぜー! みーちゃん、雫お姉ちゃん、やってやろうぜー!」
 雫の言葉に、頷くミハイル。そして、和からは凄くテンションの高い反応が返っていた。
「平、ノリノリだね」
「ほんと、ほんと」
 和のテンションに思わず雫とミハイルは笑ってしまう。でも、これで緊張感はほぐれた。
 雫は満面の笑みを浮かべ、声を張る。
「アメリカンドリームマッチに来た皆は初めましてー! 『雫Xジャパン』です! 今日は、精一杯歌うので、どうぞよろしくね! それでは、聞いて下さい―――『スカイクリーパー』!」
 雫が可愛いデザインのギターを奏でながら歌を高らかに歌う。そこに、和がギター張りの立弾きを披露する。キーボードのミハイルは、ドラムの分もカバーしながら。
 雫の歌声に、イエーイ! とノリノリな笑みで和がハモりのコーラスを入れて、そこに演出として、ミハイルが御業で炎を召喚して爆発やらルナティックヒールやら演出も余念がない。
 そして、『スカイクリーパー』和製ロックバージョンの演奏が終わった時、拍手が会場から溢れる。
 勝者は『雫Xジャパン』。そして、続くアンコール。それに、三人はにっこりと微笑み合った。
「皆で歌いましょう、『スカイクリーパー』!」
 ケルベロス運動会のテーマ曲で会場は盛り上がる。
 ケルベロスとアメリカの心が一つになる、そんな瞬間――。
 ここはアメリカ合衆国。自由の国。素晴らしい時間が流れる、そんな運動会だった――。

作者:白鳥美鳥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年8月11日
難度:易しい
参加:13人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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