●ケルベロス大運動会
度重なる全世界決戦体制――ケルベロス・ウォーの発動。これによって世界経済は大きく疲弊してしまった。
この経済状況を打破する為におもしろイベントで収益をあげようという事になる。
つまり、ケルベロス大運動会の開催――というのはもう毎年恒例の事。
ドラゴンとの決戦に勝利するなど、近年のケルベロスの活躍は目覚ましい。その活躍を後押しするべく、最大の支援国での大運動会が決定したのだ。
その最大の支援国は――『アメリカ合衆国』だ。
第4回ケルベロス大運動会の開催地である『アメリカ合衆国』は世界の中心ともいえる。
アメリカ合衆国を舞台に、様々な種目がケルベロスたちを待っている。
●アメリカンすいーつ
「そんなわけでケルベロス運動会の季節です」
「今年は『アメリカ合衆国』なんですって!」
楽しみ! とザザ・コドラ(鴇色・en0050)はその尾をびたんびたんと楽しそうに跳ねさせている。そして頂戴! と夜浪・イチ(蘇芳のヘリオライダー・en0047)へと手を差し出した。
「アメリカって、フォトジェニックなスイーツいろいろあるでしょ! 調べといてっていったでしょ!」
「はいはい。言ってたね、調べておいたけど……折角だからケルベロスさん達もどうぞ」
と、イチは笑いながら色々な店が連なった紙を渡す。
アメリカのスイーツ――カップケーキ、チーズケーキ、ブラウニー等がぱっと思い浮かぶところ。それらはどれも『甘さ』全面押しという感じだ。
どっしりしっかり甘い、正直繊細な美味しさとは違うものだろう。美味しいと思うかどうかは、その人によりけりかもしれない。
「甘そ~! でもアメリカのスイーツってフォトジェニックなのいっぱいあるのよね!」
「そだね。アイスクリームも二段重ねで、さらにクッキーとか色々乗せてもらったり」
これね! と素早く検索してザザは端末見せる。ワッフルコーンにアイスクリームはもったりしているような感じだろうか。チョコレートと恐らくカシスと思える色のアイス。その上にホイップクリームが乗って蝶や花のクッキー。それからカラフルなチョコレートスプレーがかかっている。
わあ、甘そうとイチは零し、最近はアイスをロールにし、カップに幾つかいれ花に見立て、そこにトッピングしたりもあるよねと続けた。
「アイスー! 暑いと食べたくなるわよね。それならアイスキャンディーもよさそ! フルーツとか一杯はいってたりするの!」
「あ、そういうのもあるね。一本ずつ手作りの、フルーツとかきれいに並んでたりデコレーションされてるやつ」
「でもでもやっぱり、カップケーキとか! ドーナツとか、チュロスとか! あとスイーツじゃないけどレインボーなベーグルとか!」
そういうのも食べたい! とザザはぐっと拳握った。
カップケーキにクリームたっぷり。アイシングで描かれた模様は個性あふれたものばかり。ドーナツも大きく、チョコレートにアーモンドやチョコスプレー。チュロスにも砂糖菓子の花が咲いたりと目で楽しむことができる。
断面がレインボーなベーグルも、生クリームやフルーツをはさんだ物はスイートと言えるかもしれない。
「ま、アメリカ国内色んな所に色んなスイーツがあると思うから、そういうお店を巡って楽しんでみるのもいいんじゃないかな」
「沢山あって迷いそー!」
ケルベロス運動会の、一時の間に。
お好みのスイーツを探してみるのもきっと楽しい時間となるだろう。
●それぞれの、スイーツタイム
「俺、あんまりスイーツの名前とか知らないから、楽しみだな~」
グレイは果乃に行こうと誘いを。
「かわいいカフェやらスイーツショップとかでいろんなスイーツを食べたいな!」
ザクザクのタルトに色んなフルーツにマシュマロ、カラメルメレンゲのパイ。カラフル綿飴の乗ったイチゴババロアと楽しみは一杯と果乃は他にも色々思う。
「グレイちゃんはどんなのを食べるのかなー? 折角だから写真に残して拡散しちゃおう!」
「今は夏で暑いから、冷たいアイス、それもアメリカンなビッグサイズのやつとか」
一緒にたくさん美味しいもの食べて楽しむぞ~♪ と、二人で街の中へ。
「この機に楽しまないとですー!」
白は、アメリカンサイズって大袈裟に言ってるだけなんじゃないの? と半眼で。
「そんな、阿呆みたいに大きいサイズの食べ物がある訳が―――」
しかし運ばれてきたケーキの前に絶句。
「……恐ろしいサイズだね。マンホールか何かってぐらいの直径だけど……」
アンセルムも息を呑み、これはシェアしないと厳しいかなあ……? と苦笑を。けれど、食べる前に。
「あ、取り分ける前に写真だけ撮らせてほしいな。こんなフォトジェニックな色のケーキ、初めて見たからね」
「なんと……、想像以上の代物ですッ……!」
そしてこの大きさに、和希は瞬くばかり。
「みんなとシェアすることにしてよかったです……これを一人では厳しいですって!」
環はうんうんと頷く。
「む、ケーキのシェアをするのか? 俺達にも分けてくれぬか?」
と、遊鬼の傍らからナノナノのルーナも瞳輝かせお願いを。
竜矢は味はどんな感じなんでしょうね? と。せっかくですからおいしくてアメリカらしいものをとドーナツを。
長方形の巨大なスポンジに愛らしい色のクリームは色とりどりの花。一人ではと思ってエルムは皆に声かける。
「よろしければ一緒に食べませんか?」
「いいですね。一緒に食べましょう!」
と、竜矢はエルムの提案に頷いた。
味も美味しく、二度びっくりのケーキ。
「正直言いますと、もっと大雑把な味なのかと思ってました。でも、全然そんなことないですね」
皆のも気になると、竜矢は他の物も頼んでみようかなと紡ぐ。
そしてアンセルムは自分用にチュロスを。しかし砂糖菓子の花がたっぷり。
「ここまで派手なものとは思っていなかったよ」
それも、分け合おうかとアンセルムは微笑んで。
ケーキの他には、アイスにも興味があると和希も興味津々。
色々な種類を楽しめればと思いつつ、皆のお勧めも気になるところ。
「チュロスも旨そうだな、アンセルム。良ければ一口もらえぬか?」
礼はシナモンロールでどうだろうと遊鬼は言う。
と、皆の食べているものを見筒、世の中広いんだなぁと白は見識の狭さを感じつつ。
個人的な注文をせず少しずつ貰っていた白は目を見張る。
「も、百火……!」
なんてものを注文してくれたんだ!? と白は焦る。
背の高いスペシャルなタワーケーキを注文している百火。しかしこうなれば、毒を食らわば皿までよ! と覚悟を決めた。
「あっエルムさん! 写真取るなら大きさわかるように何か小物も一緒に写すのどうでしょう!?」
後でデータくださーい! という環。それにアンセルムもボクもと手をひらりと。
その言葉にケーキの比較用にとエルムも傍らにおけるものを探す。
そうしながら――こっそり、楽しんでいる皆の写真を。
「撮っておるのか、エルム」
もくもくと食べていた遊鬼はそれに気づいて、ルーナガードをして。
その様もエルムは一枚。それは夏の、思い出。
「……わーお、アメリカのお菓子ってめっちゃカラフルだとは聞いてたけどホントだったんだ」
雅浩は尻尾を揺らしながら色々と見て回る。
「虹色のアイスとかどんな味なんだろーねー……」
夏真っ盛り、雅浩はアイス系から行ってみるかと足を向ける。
雅浩が横を通った店の中で唸る声。
「はうー……! 目移りします悩む悩みますっ!」
ミリムは瞳輝かせ日本では見られないスイーツの数々に夢中。
「一先ず、ザザさん。此方のおっきいカラフルな甘いアイス付き大盛りホイップパンケーキ」
食べ分け合いましょうというミリムに、ええ! とザザも頷く。
甘いものは別腹――全部制覇を目指して。
暑い夏に冷たくて美味しい、アイス。
ぎゅっと果実の詰まったカラフルなアイスを手に舌アリシスフェイルは皆のは、と視線向ける。
スバルはアイス回りを綿飴で包んでトッピング沢山。雲の真ん中にアイスみたいで笑いながら、いろんな種類があって、迷っちゃったよねと言うスバルは――閃いた。
「……あ、お替わりすればいいのか」
「俺こんなの選んでみたよ~」
熾月の手には七層の虹色アイス。
「俺もぴよもロティも一目惚れしてお揃いなんだ♪」
そしてクラリスの手には。
「最高にキュートだよね、これ……」
パステルピンクのソフトクリームにトッピング。それはユニコーンアイスという。
けれどアイスをじっと見つめているわけにはいかない。
それは溶けてしまうのだから。
「私あんまり詳しくないんだけど、こういうのが『映え』なんでしょ?」
「ふふ、そうね流行りよね」
「そうそうそれ! 流行りの『映え』!」
スバルは笑って、写真撮ろうと言う。
それぞれの手にあるアイスは様々だ。来れなかった皆にもせめて写真はと、四人で並べて。
可愛いくて美味しい。友達との思いでは記念に残したいものとアリシスフェイルも撮るわよと紡ぐ。
「あ、ぴよ。まだ食べちゃめっ」
と、待てないぴよを熾月は止め、皆で一枚を。
楽しい美味しい想い出作りはまだ始まったばかり。そして何より、冷たくて美味しい幸せ。
リュシエンヌの選んだ店にウリルは一緒に。
「ルルがとっておきのを選んであげるの」
甘い物が得意ではないウリルの為にリュシエンヌが選んだのはビターチョコのカップケーキ。それにさすがだと思う。
「ルルのケーキは可愛いな」
赤い薔薇の花が咲いてるんだねとウリルは笑む。
そして腕を組んで一緒に食べ歩き。
「その前に、せっかくだから写真を撮ってあげるよ」
「お写真撮るの? クリームついてない?」
「クリームは……まだ大丈夫」
揶揄うように言って二人で携帯端末に向かって、笑顔を。
水辺の公園で、ミチェーリとフローネは食べ比べを。
「これはハイビスカスの花の色なのでしょうか。そちらのレインボーは……何の色かよく分かりませんが」
「う、うん……何の色なんでしょうか……。実物を見ると、想像以上のインパクトですね……」
戸惑いながら虹色ベーグル食べれば。
「あ。意外と、美味しいかも。味はちゃんとしたベーグルです。ええ、ほら、どうぞ」
「なるほど、ハイビスカスは甘酸っぱいんですね。ふふ、そちらも一口もらっていいですか?」
ミチェーリの言葉にフローネは笑って頷く。
楽しく食べ合う、アメリカでの旅の思い出をふたりで増やしながら。
食べる前に、写真撮っておかなきゃ! とノルは瞳輝かせる。
レッドベルベットに花の飾り可愛いバニラクリーム。
もう一つはお任せしたら薔薇を描いたものが。
ノルはまず、一口。すると日本ではありえない甘さに表情綻ぶ。
「甘いね! すごく甘いー! でも、癖になるかも」
話には聞いていたがと見た目裏切らない甘さにグレッグは多少驚愕している。
けれど、ノルと一緒に楽しめることは嬉しくて表情は柔らかだ。
可愛くて甘い。そして目の前でグレッグが微笑んでいる。
「アメリカ、楽しいね」
ノルは幸せと小さく笑む。グレッグも愛しい人の可愛い表情が見れただけでも来た甲斐があると笑み深めて。
「ウサのケーキ、すっげー色してるナー」
と、メニューめくりながらウルスラは沢山食べるぞと息巻く。
「このでっかくて虹色なのも食べたいゾ!」
その傍でメリーナと要は目配せしあって仕込みを。
ウルスラの前にやってきた虹色ケーキは――誕生日仕様。
「おおー! そう、オレも12になったのダー! オトナのオンナってヤツだナ!」
誕生日も忘れていたのだが要の前にも誕生日仕様。驚いているとメリーナが笑い零していた。
「カナメも誕生日なのカ、ハッピーバース!」
赤提灯とトラミもお祝いを一緒にしつつ、甘い物に舌鼓。
「きゃ~! 甘さがお口の中でハリケーンしてますーっ♪」
分厚いパンケーキに虹色クリーム。ハートのマシュマロたっぷりだがメリーナは瞬く間に食べきって。
「やっぱり甘いものには緑茶よね」
途中で胸やけリタイアした要はまったり緑茶も。
それでもお祝いは、心躍るもの。お腹いっぱいになっても、楽しい時間は続く。
「大きなバケツみたいな容器に、山盛りのアイスを入れて食べてるのを見た事があるんです」
「それは、つまり……バケツアイス?」
チョコメインにナッツやクッキー。沢山詰め込んだアイスを手にクィルはにこにこ笑顔だ。
そしてそれを一口。
「……おなか、冷やさないようにね」
忠告は届いているやらいないやら。すごく甘いですときらきらの瞳でジエロもどうぞとひとくちとお裾分け。
差し出された一匙がジエロの口の中で広がっていく。
「ジエロには甘すぎるかな」
「そうだなあ、君には丁度良さそうだけれど」
いつもと違う国、風景。変わった食べ物は新鮮で、それを一緒に感じられる事は――なによりもうれしい。
だからたまの甘さも、好いもの。
ヒコと市松が覗き込んだのはりんご飴専門店。
が、見て零れたのは苦笑だ。キャラメル、虹色チョコに星型マシュマロにホイップたっぷり。
これをりんご飴と認めていいのか――否、信じねぇからな! と市松は言う。
意を決して齧れば口端にクリームが付く。
「クリームついてんぞー。やーいお子様ー!」
「うっせ、ガキはどっちだっての!」
そんな言いあいも楽しく。指についたクリームを舐めて市松は甘ぇとすでにげんなり。
「意外と喰え――いや、やっぱ甘めぇな……」
これはあとでしょっぱいモンがいる。頷きあいながらずずいとヒコは市松の口元に林檎飴を運びあーんとするが、逆に。
「ヒコ、あーん。ほれほれ、さっさと食いねぇ!」
俺にも限界ってもんがあんの、という市松に仕方ねぇと言うヒコ。
「……ちゃんと俺を見て褒め讃えろよな!」
その勇姿、見届けてやらあ! と市松は笑って見守るのみ。
「にほんのとは違うのが多いですね!」
大きなアイスを食べつつのんびり歩くエルス。
その手は迷子にならないようにリリウムと繋いで、彼女の行きたい場所へ。
リリウムはアメリカのどーなつはとても大きいと聞いてとってもたのしみと笑って、甘い匂いに足止める。
「あ、この大きい自動車も、宮殿も、まんが肉も、全部ケーキだって?」
すごいと感心するエルス。
「やっぱり、これくらい食い応えがある方が良いです」
トリスタンは大きなデザインスイーツ眺めて楽しそうに。
「これは……食べきれるか自信がないですね」
「みんなでたべましょーです!」
圧倒的に甘い菓子に合わせるのは珈琲だ。
「ふわー、コーヒーに合わせて食べるほうがいいよね」
トリスタンは試食には大きすぎるピースを口へ。
「毎日こんなどーなつが食べられたら幸せですのに~」
自分の顔より大きなどーなつをリリウムはぱくり。けれどすぐお腹いっぱいになってしまう。
何事もほどほどが一番、というけれど今日はいつもより沢山。
暁人と真琴はワッフルバーを手に。
「これ考えた人頭良いなぁ」
見た目も可愛いし良い感じと暁人。
写真を一緒に二人でとったりも、楽しい。
「ねね、あきと。あれ一緒に飲まない?」
そう言って真琴が示したのは。
「カップルドリンク……うん、飲んでみよう」
ストロー咥えて大好きな暁人をみながら真琴は一口。
照れるけれど――でもすごく美味しい。
摩琴のはにかみ笑顔見ながら暁人もつい笑顔に。
来年も再来年も、こんな風にいっぱい遊ぼうと笑いあって。
けれどまずは明日を一緒に。
ケルベロス運動会開催記念限定メニューを見つけ折角だから挑戦しようというウォーレン。何も考えずにウォーレンについてきた千梨は。
「……ば…え……?」
ミルクシェークの上にドーナツ、ケーキ、アイス。
生クリームに虹色チョコチップにクッキー。
「って思ったより大きい?!」
「あああやっぱりすっごい大きいのきた……!」
「……でかっ」
恭志郎はサーヴァント型クッキー可愛いし、パズルの駒デザインも運動会らしいと唸る。
器は金魚鉢くらいか、と千梨は見つめ凄い存在感と。
「皆で挑めば、何とか……?」
これくらい食べると期待されている――ならそれに、応えられるはず。
「うむ、戦いにはチームで臨むのが、我々の流儀だな」
千梨はナノナノクッキーを摘まみ。
「高得点の味がして美味い」
と、ウォーレンは気付いた。
「あれ? 飲み物が増えて……えっ」
それはこの量なら飲み物も欲しいと恭志郎が注文したものだ。
「……大きい」
「……筐はどうしてそう己を追い込むんだ」
頑張って食べようと戦いが始まる。
最先端スイーツ巡礼コースを練って、アラタは燃えていた。
皆の声をもとに最初に訪れたのは最新フレーバーが気になるカップケーキの店だ。
「律、お店にこういうカップケーキ置きましょう?」
きっと人気が出ると思うわとメロゥは試しに買ってみない? とおねだり。そこへ私も賛成だよ、とメイも。
「カップケーキ版のニューヨークチーズケーキもあるんだね」
「NYチーズケーキ味……っ!」
これ食べてみたいなとメイとアラタの視線は釘付け。
律は少し、考えて。
「日本人向けに作るなら色々、再検討しなければなりませんが」
一考の余地は、ありますねと同意する。そして強請るというなら、とちらり。
「支払いはうちのBIG BOSSこと律ちゃんで!」
最近、使い道が無いんでしょ? とナクラは律をつつく。
「ハミングバードって味あるんだ。ナクラにいいんじゃないか?」
と、アラタの声にぱっとナクラは視線向けて。
「ハミングバード? バナナとパイナップル味かー」
そう言っているとニーカがじぃと見つめている。
「ん? ニーカも食べたいって?」
勿論、可愛いお姫様と半分こと笑っている。その様子に律は溜息交じり。
「ナクラさんの方が明らさまだ」
けれど律は、日頃店に尽して頂いたお礼ですと好きなモノをと。
「ふふ、律太っ腹ね」
いいのかなと思いながらもメイもぺこりと頭下げ。
お互いのカップケーキを写真にとるのは賑やかな旅路の一枚。けれどそれは始まり。
「まずはドーナツ!」
これぞアメリカン! カラフル! とまぐろは瞳輝かせ、乃恵美もその手にドーナツを。
「ドーナツ二刀流! 甘い! 高カロリー!」
と、言いつつも料理への礼儀、味わうことは忘れないと食べようとする乃恵美。
「はいはい、みんな、食べる前にまず写真ね!」
「あ、せやね。まずは写真とらな。ほーんははんひ」
瀬理は口にドーナツ咥え、八重歯を見せて笑顔を。
危なかった……と齧る前に乃恵美も一枚。
「スイーツが色鮮やかで派手ですねぇ、撮影にうってつけです」
葵もまた写真を撮って、けれどやっぱりお味が気になる所。
撮影の後は思い思いに目の前の物を口へ運ぶ。
「アメリカでは、単一農園の豆から丁寧に抽出したコーヒーを出すみたいね!」
「その分、スイーツは甘いですけどね?」
どっちも美味しい! とまぐろは微笑み、乃恵美もまた撮影を。そこに増えていくのは料理よりも皆の笑顔の方が多い。
「頭にぐーっとくる甘さやね。さすがアメリカ、加減っちゅうもんを知らんなー」
そう言いながらも瀬理の手は次のパンケーキへ。葵も食べつつ、新たなお店を発見。
「あ、ブラウニー発見! いただきましょう! まだまだいけますよ!」
まだまだ、撮影と実食は終わらない。
「見ろ一十、水色の部分、サキミくらい水色だぞ」
そうなんだよティアンくんと頷く一十の手にはクリームと果物たっぷりのベーグル。
「クリームまでもサキミのような水色をしているぞ」
「……これサキミサンの枕とかじゃなく?」
甘いのは苦手なキソラは鮮やかさに一瞬無言。
「一十のサキミと並べてみると玩具っぽくてみえる。かわいい」
「しかし粘土か絵の具かのような」
そう零すと、敢えて黙ってたのに、とアガサが一瞥し、一十はすまんと笑う。
アガサはさて、とスイーツとは違うが見た目のインパクトは十分のベーグル見る。
「あ! そのままそのまま!」
キソラは皆が食べようとするのを引き止めて写真をぱしゃり。
「美味しい顔だって撮っとかないとネ」
「食べている最中を撮るなよ、はずかしいではないか」
口にして感じる力強い甘さに、塩気のあるものを挟んでも美味かろうと一十。
ピーナッツバターとチョコクリームを貰ったアガサは甘いと頷くも、もちもち感は悪くない。
「キソラもクリームチーズとかなら大丈夫じゃないか?」
「塩気……チーズやハムとか? んー、アガサちゃんが言うなら食えっかなぁ」
と、ティアンははっとする。また写真撮るのを忘れたと。
撮影は趣味だが食べ物だとつい先に手をつけてしまう。
アガサが口いっぱいに頬張りつつ不愛想ながらピースサインすればキソラは笑ってぱしゃりと。
半分齧った四つの虹と一緒にもう一枚。これは文句無しに『映え』なのではと、笑いながら。
作者:志羽 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年8月11日
難度:易しい
参加:51人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 2
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