少し前に、死の巨神が封じられていた『雑居ビル』。
市の反対側、以前の現場からかなり離れたその場所には、『公園』があった。
公演の内部には小高い丘があり、その頂上には展望台。そこから市街地を一望できる。
周囲には住宅街と商店街とがあり、人があふれていた。
その公園の『丘』。いきなりそこが崩れ、内部から……、ダモクレスの巨体が姿を現した。
巨大な『そいつ』は、ひょろ長い手足の人間を思わせるが……、『頭部』が異様に小さく、胴体にめり込んでいた。一見すると、頭の無い人間のよう。
しかし……そいつはいきなり跳躍すると、『蹴り』を放った。
公園内の木々が、一蹴で『切断』され、薙ぎ払われる。
それだけでなく……離れた場所の電柱や建物が、見えない刃により切りつけられ、切断され、同様に薙ぎ払われた。
あまりに鋭い蹴りが、『真空の刃』を作り出し、それが解き放たれたのだ。
周囲がパニックになり、騒ぎだす。その巨大ダモクレスは、
『駆け出した』。
公園の前には大通りが、その先には駅がある。
ダモクレスは、パニックの中をあえて突撃し、『蹴り』での攻撃を行っていた。
跳躍してのサマーソルト、テコンドーやムエタイのようなハイキック、空中でのローリングソバットなど、周囲の人々や建物、バスやトラック、乗用車などに、蹴りでの無差別攻撃を。
その巨大ダモクレスは、明らかに楽しんでいるかのように、自身の使命であるかのように、周囲に『作り出して』いた。
……地獄の光景を。
「以前に、副島・二郎(不屈の破片・e56537)さんをはじめとした皆さんが戦い、倒した巨大ロボのダモクレス『デスタイタン』ですが……同じような存在が、再び出現する予知がありました」
セリカが言うダモクレスは、今度は同じ市内の、『公園』内。その中心部の小高い丘の内部から現れたという。
前回同様に、今回のそれも『先の大戦末期にオラトリオに封じられた、巨大ロボ型のダモクレス』。
今回の個体もまた、復活直後の状態なので、グラビティ・チェインが枯渇。そのため、戦闘力が大幅に低下している。
が、低下していても……そいつの攻撃は侮れない。放った蹴りは、木々を切断し、車両を真っ二つにしてしまう。しかも鋭すぎるその蹴りは、カマイタチのごとき真空の刃を放ち、遠くの目標にすらも命中させる事が可能。
加えて、人命を奪った分。こいつの体内のダモクレス工場も起動し、小型の分身を量産開始する。
ゆえに、このダモクレスも力を取り戻す前に、破壊せねばならない。
「そして、このダモクレスにも『制限時間』があります」
セリカの言う通り、巨大ダモクレスは起動後420秒、すなわち七分経過すると、魔空回廊が開いてそこに撤退、撃破不可能な状態に。そうなる前に、破壊する必要がある。
そして、
「この個体も。戦闘中に一度だけのフルパワー攻撃を行います」
それは、路面に手を付いて逆立ちし、カポエラやブレイクダンスのように両足と胴体を回転させ、真空刃を自身の全方位に放つ、というもの。
威力自体は、前のダモクレス……『デスタイタン』のパンチには劣るが、範囲が圧倒的に広くなっている。
いうなれば……ダモクレスを中心として、真空の刃が入った竜巻を発生させ、周囲を切り裂くようなもの。破壊力より、殺傷力を増加させているようなものか。
この個体もまた、外観は典型的な『巨大ロボ』や『巨人』めいている。が、
「『デスタイタン』のように、古代の格闘士が軽装の鎧を着ているような姿に近いですね。身長も『デスタイタン』同様、7m程度ですが、頭部が小さいためか、若干低いです」
コードネームは『キラータイタン』。
そして、こちらもまた魔空回廊に逃がしたら、デスタイタンと同じか、それ以上の破壊と惨劇、悲劇が起こるのは火を見るより明らか。
「……皆さん、今回もまた、大変な相手ですが……皆さんしかこれに対処できる相手はいません。もしも戦ってくださるのなら、どうか急いで準備をお願いします!」
セリカの言葉が、前の時よりも悲痛を伴ったそれに。彼女への答えを、君たちは行動で……敵を倒すという行動で示さんと、立ち上がった。
参加者 | |
---|---|
レイシア・アクエリアス(穿つ雪兎・e10451) |
荊・綺華(エウカリスティカ・e19440) |
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004) |
副島・二郎(不屈の破片・e56537) |
エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280) |
狼炎・ジグ(恨み喰らう者・e83604) |
●ジャイアント・ライジング!
「さて、と」
予見が正しければ、そろそろヤツが、『キラータイタン』が出現するはずだ。
公園の出入り口付近に立った副島・二郎(不屈の破片・e56537)は、気を引き締め、敵を待った。
『……緊急警報。公園に不発弾が発見されました。市民の皆様は速やかに指示に従い、できるだけ公園から離れるか、最寄りの地下鉄構内へ避難してください。車はすぐに停車し、キーを付けたまま降りて、避難指示に従ってください。繰り返します、緊急警報……』
サイレンが鳴り、緊急警報のアナウンスが流れる。周囲では、大慌てで右往左往しつつ、公園から離れようとしている人々、そして彼らを避難誘導している警察官の姿があった。
それを見つつ、二郎は……、
自分の後ろに、仲間たちが集まるのを感じていた。
数刻前。
公園最寄り、市役所出張所窓口。
「……公園から離れて、それができないなら、地下鉄に避難してって、警報を鳴らして。地震とか、必要なら理由付けて」
レイシア・アクエリアス(穿つ雪兎・e10451)が窓口で依頼を。
同、交番。
「……とにかく避難するように、警察機関に協力をお願いしますのです!」
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)と、ウイングキャット・ベルが、警察官へ訴えかける。
同、消防署。
「ええ……そうです、私はケルベロスです。ダモクレスがこれから出現するので、一般市民の皆さんを巻き込みたくないんです」
ケルベロスの身分を名乗った、エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280)が事情を説明。
「そういうわけだ。時間がない、出てくる奴は俺達が倒すから、あんたらは一般人をできるだけ逃がしてくれ」
二郎もまた、別の場所の派出所でそう訴えていた。
そして、現在。
避難誘導がほぼ完了、街中の人払いが為され。
「……そろそろ、現れます……?」
足下にウイングキャット『ばすてとさま』を連れたオラトリオの少女、荊・綺華(エウカリスティカ・e19440)と、
「……来るぞ!」
狼炎・ジグ(恨み喰らう者・e83604)が、気配を感じ取った。
二人の言葉が終わるとともに、公園内の一角から、
『そいつ』……『キラータイタン』が、出現した。
少し前に出現した、『デスタイタン』。
それと戦い、倒しているケルベロスは三人……レイシア、二郎、ジグの三人は、目前の『キラータイタン』と見比べていた。
形状も、見た目も、ほとんど似ていない。間違いなく別系統の機体だろう。
「……けっ、あのガラクタの親戚にしちゃ、似てねえな。巨人って言うより、妖怪手長足長ってな気もするが」
ジグが、吐き捨てるように言い放つ。
確かに、似てはいない。が……醸し出す気配めいたもの、雰囲気のようなものは共通している……と、レイシアは思っていた。
そして、二郎は。
「殴るものがいれば、蹴るものもいるのは、道理……かもしれんが」
『キラータイタン』に、何かしら秘めたものがあると感じていた。
皆の手には、レイシアから配られた『タイマー』が。
残り時間、420秒。時間内に目的を遂行せねば。
ここから先は、言葉はいらない。整備が行き届いた機械が作動したかのように、全員が広がり、動き出した。
●アタック・オブ・ザ・ジャイアント!
「つー♪ かー♪ まー♪ えー♪ たーー!!!」
あこの『じゃれつきヘヴィメタル』が、戦場に響く。
それとともに、レイシアが、『メタリックバースト』を、
綺華も、『騎士ニ捧グ少女ノ祈リ(ホーリープロテクション)』を、それぞれ付与。
二郎もまた、後衛に下がり、『ブレイブマイン』をかけるとともに、後方支援と共に敵を観察していた。
敵の変化、異常・全力攻撃の気配。そういったものを見抜かんと、抜け目ない鋭い瞳を向けている。
貴重な時間を割き、まずは攻撃力を増加。
ジグもまた、自身にインフェルノファクターをかけている。
既に攻撃を仕掛けるは、綺華のウイングキャット『ばすてとさま』と、エレインフィーラ。
アイスエルフのアレインフィーラの左半面には、氷の半仮面が。
「……『旋刃脚』!」
公園の門あたりまで出てきた『キラータイタン』に、鋭い蹴りを一閃。が、直撃を受けたというのに、あまりダメージを受けたようには見えない。
ばすてとさまのひっかきが、表面に軽微なダメージを与えたが……、
それが引き水になったかのように、『キラータイタン』が反応を示した。
「! 来るぞ!」
出現から60秒後。二郎が叫び、それとともに『キラータイタン』は駆け出した。
「へっ、特技が『殴る』から『蹴る』に変わっただけだろ? やることは変わらねぇ! 来やがれ!」
ジグとともに、
「続けて、行きます……!」
エレインフィーラも向かっていく。
ふたたび、旋刃脚を放つ彼女に続き、
「くらってくたばれ!『レガリアスサイクロン』!」
ジグの暴風もかくやの蹴撃が、『キラータイタン』へ炸裂。ダモクレスはそのひょろ長い手足をもって、防御の型で受けしのぐ。
「『カーリーレイジ』なのです!」
あこのガネーシャパズルからは、血と災厄の女神カーリーの幻影が現れ、『キラータイタン』に容赦なく切り付ける。
「狙い……撃つ!」
障害物の影から、バスターライフルを構え撃つはレイシア。フロストレーザーの一撃が、『キラータイタン』の身体へと命中する。
が、防御の型を解いた『キラータイタン』は、
次は自分の番だとばかりに、突撃。身構えるケルベロスらの前で、突進の勢いを殺すことなく、身体を横に倒した。
そのまま手を地面に付き、胴体を横に倒し、回転させ……低い体勢から蹴りを放つ。それはまるで、カポエイラ、あるいはブレイクダンスを思わせる動き。
「なっ!?」
敵が大柄故に、高い位置からの蹴りまたは踏みつけでの攻撃を予想していた二郎だったが、その予想は、大幅に外してしまった。
あこのウイングキャット、ベルが、そして綺華が、ディフェンダーとしてその蹴りを受け止めるが、受け止めきれず……、
「くっ……! ああああっ!」
派手に蹴り飛ばされ、地面を転がされ、ビルの壁面に叩き付けられてその勢いを止めた。
『キラータイタン』の動きはそれで止まることなく、更に身体をひねり、やはりカポエイラを彷彿とする動きで、両腕で胴体を支え、両足を周囲に回転させ、薙ぎ払う。
「ぐっ!」
矢面に立つジグは、それを受け止め、空中に蹴り飛ばされ、
「……くうっ!」
エレインフィーラは、後方に下がりかろうじて直撃は避けたが……、鋭い蹴りが発生させた真空の刃が、彼女を切り裂いた。
そのまま、両足を回転させ、プロペラのように空中に浮いた『キラータイタン』は、空中で身体をひねり、再び両足で大地に立った。
「……こいつは」
こいつは、前に倒した『デスタイタン』とは全く違う。二郎はその事を、改めて実感させられた。
確かにパワーは低いが、スピードと体術は遙かに勝っている。その変幻自在な手足の動きは、対処するのが難しい分……厄介だ。
ブレイブマインで、仲間たちを回復させつつ……二郎は焦燥に駆られつつあった。
●ジャイアント・ザ・ジェノサイダー!
『キラータイタン』の動きが、更に複雑化する。公園出入口から街中に出たダモクレスは、周囲の電柱や建物に蹴りを放ち、薙ぎ払い、破壊の痕を増やしつつあった。『デスタイタン』よりもパワーは無いが、テコンドーやムエタイのような蹴りは、コンクリや鉄骨をいとも簡単に破壊・切断し、破壊の痕跡を周囲に残していく。
「……まだ残り240秒! 時間はたっぷりあるぜ!」
ジグの叱咤に、攻撃の手を休ませないケルベロスたちだが、『キラータイタン』はそれに対し側転して突撃。皆の気を引く。
地面に片手を突くと、やはりカポエイラのように片腕を支店として身体を回転、周囲を風と真空の刃を以て薙ぎ払う。
「脚が主なだけあって……上半身はヒョロいな。こいつでも喰らってな!」
その攻撃をかわしつつ、ジグが『降魔真拳』を放つ。それを受けた『キラータイタン』は、痛みを覚えたように体を震わせ、
再び側転し……逆立ちした。
「……?! まずい、逃げ……」
二郎の警告が飛ぶが、遅かった。上下半身を入れ替えた『キラータイタン』は、そのまま下半身をプロペラのように高速回転させ……真空の刃を周囲へと放ったのだ。
電線や電柱、建造物、車にアスファルトなど、周囲に存在するすべてのものに、空気のナイフが切り付ける。それはケルベロス達も例外ではない。
「なっ! ぐはっ!」
最前線に居たジグと、
「……来る、です……! ……あああっ!」
綺華と、ばすてとさま。
「う、うにゃあああっ!」
それに、あこ。
彼らに無数の見えない刃が襲い掛かり、その体中を容赦なく切り刻んだ。
あこには、ベルがダメージを受け流し、庇うものの……、全てを受け流しは出来ない。ウイングキャットもまた、多大なるダメージを食らい地面に転がされる。
「……ちいっ!」
二郎は幸い、近くの大型車の陰に隠れる事が出来た。が、空気の刃はその車ごと二郎に切り付け、彼に深手を負わせていた。
しかし、その攻撃を避けた者が。
レイシアは空中に飛び出し、障害物を足場にして駆け出し、回転する脚より上へと飛び出した。
「……荒れ狂う竜巻は台風の目……回転してる中心が一番の弱点……!」
ならば上部から、回転の中心を狙い撃つ。
空中から、レイシアのバスターライフルより放たれたクリスタライズシュートが、逆立ちしている『キラータイタン』の股間部、回転の中心部へと直撃する。
「……そう。足よりも軸……あなたの中心は決してぶれない……このまま、潰す……!」
このまま、相手に降り立ち零距離射撃でとどめ。
勝利を確信したレイシアは、
「!」
次の瞬間、恐怖と絶望に襲われた。
『キラータイタン』は、両足の回転を止めず、そのまま『脚を閉じ』、そしてその状態で『真上へと飛びあがった』のだ。
回転するプロペラの中心部を撃ち抜いたら、そのプロペラの羽根が前へと畳まれ……ドリルに変形。そのドリルが、自分へ迫っている。
ほぼ反射的かつ本能的にそれを悟り、レイシアは空中で身体をひねり直撃をかわしたが、
「!!……ぐっ……はぁっ……!」
遅かった。掠っただけだが、両足ドリルはレイシアの体表面を削り、近くのビル壁面に叩き付けた。
猛烈な勢いでビルは崩れ落ち、そのままレイシアを瓦礫で生き埋めに。
「なっ……レイシア!」
二郎が叫ぶが、彼女からの返答は無かった。
●ケルベロス・ザ・ジャイアントスレイヤーズ!
しかし、『キラータイタン』もまた、無傷ではない。
レイシアが上空から攻撃した際に、逆立ちした巨人の頭部。その真下に滑り込んだエレインフィーラの、
「……『アイスエイジインパクト』ッ!」
振り上げたドラゴニックハンマーの、熱き氷の一撃が決まっていたのだ。
再び地面を踏みしめて、立ち上がった『キラータイタン』だが。その股関節と頭部から火花を散らし、ふらついていた。明らかにダメージが蓄積されている。
残り、120秒。
二郎と綺華は、瓦礫の山に取りつき、レイシアの回復を試み……。
「……みなさん、大丈夫ですかっ?」
あこの『ブラッドスター』が、他の皆を回復。
が、回復したとはいえ、全快ではない。
「……ちっとばかし、早いが……やるか?」
覚悟を決めたジグが、歩み出す。
「援護します!」
エレインフィーラも彼に続く。
『キラータイタン』が、片足を引きずりつつ、動き出した。
ばすてとさまの攻撃が、『キラータイタン』の注意を引く。
「……はーっ!」
続き、エレインフィーラの『ドラゴニックスマッシュ』が、巨人の片方の膝へ直撃。歩行能力を失わせた。
「……番犬(ケルベロス)に、脚を噛まれた気分はどうだ? 痛えか?」
発生したその隙を狙い、
ジグの背後から、『恨み』が……解放され、獰猛な獣の幻影の姿を得た『恨み』が出現した。
「いけーっ!」
それは咆哮し、『キラータイタン』へと叩き付けるように襲い掛かる。
『恨み』の獣は、鉄の巨人の腕を噛みちぎり、胴体装甲を引きはがし、内部の機械へ噛みつき、容赦なく破壊していく。
「……ああ、答えは聞いてねえ。勝手に人様の命なんざ奪おうとするから、そういう事になるんだぜ。お分かり? んじゃ……」
これで永久にお別れだ、二度とその面見せるな。
その別れの言葉が終わらぬうち、ジグの『絶廻方向(リング・ワ・ンデルング)』は、『キラータイタン』を粉砕し、
巨人を完膚なきまでに破壊し、爆発させ……ケルベロス達に、勝利をもたらしていた。
「……疲れたぜ。ったく、ヒールは得意じゃねぇんだよ……」
事後、新たな戦いが。事後処理という名の戦いは、ジグは不得手。
ぶつくさ言いつつヒールしていくが、彼自身の精神と身体も疲れ切っていた。
「すぐに、終わりますよ。もう一仕事……熟してまいりましょう」
エレインフィーラがそう言葉をかけるも、彼女もまた疲労困憊。
「あそこも、ヒールをする、です……」
綺華はあことともに、また別の場所をヒールしていたが、
「あ」
何もない場所で、すっ転ぶ。
「えっと、大丈夫なのです? 綺華さん」
あこが駆け寄る。二人からそう離れていない場所では、二匹のウイングキャットが丸まり、寝息を立てていた。
やがて、二郎のヒールと治療で、破損個所は修復、皆も回復。
その後、二郎はいつの間にか。姿を消していた。
ヒール及び事後処理終了後。
レイシアは警官から聞いた、近くの……二区画ほど離れた場所の、有名アイス店に皆で赴き、
「……今回、色々と疲れた……」
反省会を兼ね、アイスを口にしていた。
ペット同伴OKの店なので、足元にはウイングキャット二匹が、ペット用アイスを舐めている。
「なんとか、勝った、です……が……これ、どうぞ」
「苦戦だったのです……こっちもどうぞなのです」
綺華とあこは、互いのタロイモアイスとココナツアイスを食べさせ合い、
「そうですね。回転の中心を狙うのは効果的でしたが……あの攻撃は予想外でした」
エレインフィーラは、バニラとミルクのダブルを。
「……ああ、そうだな」
ジグも、噛みつくようにしてアイスを口にする。
「だが、次に新たな奴が来たとしても……ぶっ潰す。それだけだ」
彼の口元から、血のような赤……ラズベリーとブラッドオレンジフレーバーの赤色が、一筋滴った。
「……次は、負けない」
自分に言い聞かせるようにつぶやいたレイシアは、チョコミント、数種のソルベフレーバー、そしてビターチョコレートのトリプルを口に運び、その味をかみしめていた。
作者:塩田多弾砲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年8月7日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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