USAスカイクリーパー~レイの誕生日

作者:吉北遥人

 ケルベロス大運動会!
 言わずと知れた、年に一回開催されるハイパーエクストリームスポーツ・アトラクションである!
 これは、その催しに情熱を注ぐ者たちの集まりである――!

●今年の舞台はアメリカだ!
「昨年は皆さん、ご指導をありがとうございました。そのおかげで私は今、生きてます」
 いや競技で死ぬことはないのだが。
 そんな大仰な挨拶をしながら、レイ・ウヤン(地球人の光輪拳士・en0273)は体を傾けた。なんとなく顕現させたままの阿頼耶識が眩しいせいで見えにくかった背景が、ケルベロスたちの目に飛び込んでくる。
 そこは自然豊かな場所だった。
 急峻な崖、ごうと降り落ちる滝に激しい急流、大木そびえる森――実にワイルドな風景だ。
「次はアメリカで開催されると聞きました。現地へはなかなか向かえませんが、せめて自然が近しいこの地を練習場所にしたいと思いまして」
 自然が近しい、とは。ひょっとして崖はグランドキャニオンで、滝はナイアガラのつもりだろうか。大木は自由の女神? 摩天楼? どっちも自然じゃないけど。
「もう教えを乞う立場でもありませんが、また皆さんと修行できたら嬉しいです。もしよろしければ、ともにいかがでしょうか?」


■リプレイ

●摩天楼の頂
 木々の枝を潜り抜け、飛び越えて。走る。駆け抜ける。
 言うなればこれはニューヨークジャンパー。あえて狭い道を選ぶのは高得点回収の練習だ。
「楽しそうですね譲葉さん」
「そりゃそうさ、今の俺はちょっと気分がいいぜ」
 枝を蹴って高く跳び上がりながら、峰・譲葉はレイ・ウヤンに答えた。
「なにせ今年はあの摩天楼のあるアメリカだ! 天を衝くほど大きなビルを飛び越えるのは絶対楽しい!」
 息を切らして駆け上がった先、そこは大木の頂上だった。森の向こう、遠くまで一望できる。
「ここで休むのも悪くないな。っと、散々遊んで疲れ切っちまう前に。今年も誕生日おめでとう」
 太い枝と幹に体を預け、譲葉がナッツの包みをレイに渡した。涼しい風が譲葉の灰髪を揺らした。
「もしかしてお前、背が伸びた?」
「え? そう、かもしれません」
 まったく自覚してなくて、レイは返答に窮した。知らないうちに少しは伸びてたかもしれない。
「そうか……伸びるのか、背……」
 その微笑の意味を、譲葉は最後まで教えてくれなかった。

●ケルベロスじゃなければ即死だった
「ウサではサメが空を飛ぶって聞いたゾ。タツマキに乗ってグルグルーって。ジェットパッカーはサメと対決すると思うゾ!」
「サメ予想は良い線行ってると思うぞ……何せアレがアレだからな! in USA‼︎ というわけで本番に備え稽古だ‼︎」
 少し前にウルスラ・ワルフラーと喜界ヶ島・鬱金にそんな会話があり、現在、芸能賢島組の四人を乗せた10tトラックは練習場所へ現地入りしていた。
「要ちゃん、運搬ありがとー♪」
 メリーナ・バクラヴァが運転席に声をかける。運転席の一式・要はコーラのストローから口を離して、メリーナへとサムズアップした。その顔にはサングラス。気分は早くもアメリカンだ。
「それにしてもご協力いただけてよかったです。カラクリという手もありましたけど、本物の迫力が一番ですからね♪」
 満足そうにメリーナが車体後ろへ回り込む。開いた荷台の中には、いくつもの巨大な水槽があった。その中で身をくゆらせるはサメ、さめ、鮫――お借りしてきた何頭ものシャークが存在を主張している。
「本場のサメ、か。あの依頼を思い出すわね……」
 運転席からアメリカナイズド要がポテト食べながらやってきた。テレビウムの赤提灯とお揃いのサングラスに映るはサメの雄姿だ。一応注釈をつけるが本場ではない。
 かつてサメ退治の依頼を請け負った要は、紆余曲折(酒の勢いとも言う)を経てケルベロスを裏切った。もろとも吹き飛ばされたものの、そのとき確かにサメと敵味方を超えた友情が芽生えたのだ。
 こみ上げる思いを噛み締めながら、要は荷台に乗り込んだ。朋友たちと再会するため水槽を覗き込む。
「久しぶ……」
 がぶり。

 森に流れ込む川のただ中に水槽ごとサメを設置して、ジェットパッカーのコースは完成した。さすがにサメを放流するのは危ないためこうしたが、これだってなかなか危険でシュールである。
「上には樹が張り出し、下にはサメが……ふっふふ、燃えますねぇ」
「燃えますか……」
「そうですよ。見てください、この絶体絶命感――!」
 メリーナがレイに示した先、水槽では早くも獲物の到来を嗅ぎ取っているのかサメのヒレがぐるぐると回っている。落下すれば間違いなく喰われる。殺意という名のコースがあるとすればきっとこれのことだろう。
「サメでもカメでもどんとこい! 今年もいちばん目指してがんばるのダー! トラミは飛べるから、オレたちと一緒に飛んだり、手助けしてクレ」
 獣毛輝くボクスドラドンに指示しつつ、ウルスラはジェットパックを背負った。その慣れた所作に、鬱金が自然と余裕の笑みをこぼす。
「そう! 何せウチにはウルスラがいる。フハハハこれは百人力だ!」
 ウルスラからコツを学べば勝ったも同然。きっとスカイクリーパーが何曲流れようが飛び続けていられる。
「んで、どんな競技だったっけ」
 ジェットパックを背負いながら、鬱金は先に飛び出していったウルスラを目で追った。上の木々にぶつからないよう低く、下から喰い千切ろうと跳び上がってくるサメよりも高く、その中間をキープする――。
「なんかサメの殺意が高いな? まあ要領はわかったからいくか」
 装置を起動。ジェット噴射で急速に鬱金の体が上昇し、枝葉に衝突する。
「!?」
 そして急降下。サメの口へ飛び込む、寸前、トラミに引き上げられる。
「……待て、こんなに難しかったか!?」
「うらぎりものめー……ジェットパックの極意を習得してリベンジしてやる!」
 衝撃を受けつつ鬱金が川辺に戻ると、そこには頭が血まみれの要がいた。包帯を巻く赤提灯とともに「教えてウルスラー!」と駆けていく。
「コツはナー、えっと、ここをクイッとして、思いきってバーンとやると上手く飛べるぞゾ!」
 ありがたい教えは身振り手振りで超高度。神妙に頷いて、賢島組は再び飛ぶ!
「イエーイ! ふっふっふ、オレを捕まえてミロー‼︎」
「ウルスラちゃん待て待てぇ~ですぅー♪」
 手を振りながらぴょんぴょこと空中をジャンプするようにコースを翔るウルスラを、メリーナが追いかける。青髪を揺らし楽しげに舞う姿は軽やかだが、何を隠そう彼女、下手である。
「あ」
 当然のようにサメの水槽に墜落!
「こんにちはぁ‼︎」
 喰われる前に下からサメに頭突きをかました!
「ウコンさん……サメって食べ物で懐柔できないっけ……!」
「メリー!? その手があったか……」
 重心を高く、舞うようにと、ウルスラの飛翔法を自分なりに解釈していた鬱金が唸った。
「何を持ってる?」
 タンコブを押さえつつメリーナが答える。
「お麩とか」
「麩か! いいぞ! いや良くない! 麩は鯉とか金魚だから‼︎」
「鯉も金魚も懐柔されてるわけではないと思うのですが……」
「いいツッコミだレイ! そういやお前さん誕生日だったな! 麩は要るか?」
「この懐柔の流れでですか!?」
 そこへ呆れたため息をついてアメリカナイズド要が飛んでくる。
「まったく、アメリカ人はお麩とか食べないでしょ。ちゃんとポテトで……」
 人じゃないとかそれも違うとかツッコむ前に要はポテトごとサメに喰われた。
「KAIJU……? サメがカイジュウになるのカ!? ハイハイハイ! オレもやりたいやりた」
 よそ見からのサメとの衝突で、ウルスラがすごい勢いで水中に消えた。
 鬱金もこの直後、ごくごく普通にサメのもとへと落下した――。

 その後、ジェットパッカーに慣れていい感じに飛び回る四人の姿が確認されたという。

●アイス争奪戦、再び
 くり抜かれたように拓けた森の一角に、四人はいた。
 これより挑むは『音楽に合わせてリズミカルに敵を倒す』競技。
 毎年、開催地にちなんだ名前がつくためそう呼称するほかないアレだ。
「毎年恒例のアレならば大得意です、わたくしの力を見せつけて差し上げる!」
「意気込みはいいけどよ、ヴォリー」
 自信に満ちた表情のアイヴォリー・ロムに対し、サイガ・クロガネはすでに勝者であるかのように口の端を上げた。その目の先にあるのはアイヴォリーの装備する、彼女の小柄な体には不釣り合いなほど巨大なドラゴニックハンマーである。
「んなデカいヤツ、振り回されるオチが見えてんね」
「ハンマーの可能性に刮目することですね、クロガネ」
「みんな、ルールは覚えてるだろうか。勝利条件は、最もリズム良く多くの敵を倒すこと」
 ティアン・バがメンバーに再確認する。実際の競技でも、スコアはヒット数とコンボ数に基づいて算出される。
 加えて、ティアンたち独自のルールといえば。
「負けてもペナルティはない。だが勝てばご褒美(アイス)だ」
「もちろん、忘れてはいないよ。アイスのために勝つという気概もね」
 落ち着いた面持ちで藍染・夜は頷いた。その口元は微笑を刻んでいる。
 そして少し長めのイントロが流れるのを合図に、四人は所定の位置についた。
 一曲目、『紅瞳覚醒』――熱いメロディと同時に木々の隙間から射出されたのは、標的である木の枝だ。ほとんど丸太みたいなそれが四つ、回転しながら四人へと飛来する。
 銃声が森に轟いた。一拍後、ティアンの正面に迫っていた枝は木っ端微塵に砕けている。
「この感覚か。いけそうだな」
 舞を得手とするティアンにとってリズムを掴むのは造作もない。ただ唯一の懸念は、最近になって扱い始めたリボルバー。発射から着弾までのタイムラグを正確に読み取れるかどうか。だがそれも今の一発でおおよそ把握した。
 間を置かず、第二、第三の木枝が風を切って迫る。次の標的へとティアンは銃口を向けた。
「――流石はティアン」
 こだまする銃声に、感嘆の息を夜はこぼした。
 銃の扱いに一苦労と聞いていたが、その舞うような足取りに迷いは見受けられず。
 ならば己も――。
「共に舞おうか、『葬月』」
 夜が愛刀の名を呼んだ次の刹那、白刃は弧状に空を裂き、軌跡上にあった枝を真っ二つにしている。そして切断された枝が地面に落ちるより速く、翻った『葬月』は次の枝を斬り割っていた。
 小気味良く最適な機に刃を振るえるのは、剣舞による足拍子の賜物だ。
「夜は何踊ってやがんだ」
 一方、夜の洗練された技術をまったく解してないサイガは、アッパーに打ち出した拳で枝を粉砕していた。続いてその場で回転。遠心力の乗った左足で枝を砕き、次の枝を右足で砕く。
「おらおらどうだどうだ!」
 連続回し蹴りで標的を沈めると、すかさずストレートパンチで次の枝をへし折る。それら闘技もハイレベルなものなのだが、落ちる木の葉や別の枝まで見境なく巻き添えにしているあたり、手当たりしだいの喧嘩マシンみたいになっている。
「やっぱりサイガは全部ぼこぼこにしてるな」
 弾倉を交換しながらティアンは横目で皆の様子を窺った。夜の剣舞は流麗で、対抗心が燃えてくる。そしてアイヴォリーは――。
「ティアンのリズム感はさすがです。けれど――」
 豪快な武器を軽快に取り回し、アイヴォリーはヒットを重ねていた。しかし危機が訪れる。曲のサビに差し掛かり、加速したメロディに合わせて多数の枝が殺到したのだ。彼女の得物ではとうてい処理しきれない――。
「――ハンマーには裏技があるのです!」
 強烈なスイングに風が渦巻いた。アイヴォリーに迫る枝が風圧に一本、また一本と絶妙な時間差でひしゃげて墜落する。
「はあ⁈ ずりぃだろ!」
「失礼ですねクロガネ、これは決してずるではないのです、戦略ですよ」
「ああそうかよ、ならこっちにも考えがあるぜ!」
 サイガが足下の地面に拳を振り下ろした。衝撃に巻き上がった土砂が枝の群れをいっきに真下から打ち据える。
「ッハ、ちょろ過ぎってな」
「いや、これはそういう競技では」
 手元を忙しく動かしてどうにか乗り切ったティアンが、二曲目のイントロにぴくりと耳を立てた。『マリオネットの花束』――さっき以上に速いテンポに乗って枝が立て続けに射出される。
 ティアンの手元で銃火が連続で瞬く。撃ち切ってすかさず弾倉をスイングアウト――装填が間に合わない。眼前に迫る枝を、シャドウリッパーの要領で繰り出した手刀で際どく対処する。
「来やがったか、まとめて吹き飛びな!」
 変わらずサイガは面制圧攻撃。コンボボーナスを完全に捨てている。
 対して夜は完璧な動きだった。滑らかな足捌きで速いリズムに順応し、刀を振るうたび枝が千々に乱れ飛ぶ。白刃はさしずめ森に踊る一輪の閃花。
「盛り上がってきたね。ご褒美のアイスは何段重ねかな?」
 勢いを増して押し寄せる枝々に、かえって夜は笑みを深めた。
「アイス……」
 その単語をアイヴォリーが繰り返す。
 軽々と扱っているが、もともとハンマーの重量はアイヴォリーの腕力には荷が勝つものだ。短時間の酷使に、彼女の腕は小刻みに痙攣している。その状態でコンボを繋げられているのがむしろ奇跡的であった。
 もうここまでか――そんな折に届いた夜の言葉。
「アイス、そう、アイスのために――」
 旋回した槌が、巨大な面で薙ぎ払うように枝を次々と粉砕していく。
「わたくしは! 負けません!」
 気合いの入った大振りが突風を生んだ。
 突風は枝を墜とすのみならず、サイガの巻き上げた土煙をも拡散させる。そして。
「――迂闊」
 枝を二本同時に斬り落とした――すなわちタイミングを外してしまった夜がかすかに眉を上げた。風で枝の動きが乱れ、斬撃の間合いに入ってしまったのだ。
「だけど、こうでなくてはね」
 コンボが途切れたがそれを抗議するでもなく、この状況を面白がるように夜は『葬月』と舞う。勝負にアクシデントは付き物。結局は楽しんだ者勝ちとばかりに彼は微笑をたたえる。短いようで長い、皆とのひと時――決着は三曲目にもつれこむ。

 これがアイスの情熱か。ハイスコアの夜、ティアンと僅差で、一位をもぎ取ったのはアイヴォリーだった。
「音楽に合わせて、リズム良く枝を落とす音が四つ重なって響いたときは楽しかったのです」
「……音楽? リズム⁇ んなモンもあったっけか」
 地面がぼこぼこに抉れた戦場で、ルールなど焼却の彼方のサイガであった。

●がんばれアルバ!
 じっと競技動画を見てる。
 スマホの画面に釘付けになる。
 マサイの戦士が投げる槍が参加者の頭上から降ってくる。でも目を逸らさない。顔を固定されてて逸らせない。
「お前今年はじめてだからなアルバ」
 動画には事故現場にしか見えない映像が映っている。
「目をそらすな。運動会だ。これが、ケルベロスの、運動会だ」
 幼いアルバにはショッキングなシーンだった。

 名前:アルバ。
 身長:2m。
 年齢:1歳(精神年齢5歳児)。
 所属:ミゼット・ラグテイルの弟子。サーヴァント(シャーマンズゴースト)。
 備考:純真。ビビリ。

「事故みたいだろ? でもケルベロスだから死なない」
 ちなみに怪我に関しては「……祈りなさい」としかミゼットは言わなかった。無事を、ではなく、お前のヒールグラビティ使え、という意味である。
「今年はアメリカだから何があるか……まず高層ビルの間をジェットパックで飛ばされるだろ? 列車を素手で止めろとか言われるだろ? あと予想される被害……いや、競技は」
 さらっと言い直しつつ、パズルの平和な競技動画を見ていたアルバの首をぐりんと回す。
「アルバ。お前には、今回私の代わりに動いてもらうぞ」
 すでにもういっぱいいっぱいのアルバの受難はここから始まる。

「アァァァァァルバァァァ!!!!!!!!」
 いかついジャージ姿の鬼が現われた。腕組みして仁王立ちで見上げてくる鬼という名の桐山・憩にアルバの全身がガクブルMAX。涙腺大崩壊である。
「ラグテイルはああ言っちゃいるが生半な覚悟で挑むんじゃねぇぞ!!!! 怪我はなくとも、死ぬほど痛い思いすっかも知れねぇからな! シハハ!!!!!! あとあんまり気ィ抜いてっと私がブッ千切るからなアルバァァァァァァァ!!!!!!!!」
「桐山。声がでかい」
 鬼教官憩をべしんと叱ったのは恐怖のあまり硬直したアルバではない。アルバを鍛える会の医療要員、柊・乙女だ。
「見ててやるから頑張れ」
 アルバを一瞥して、乙女は木陰へ戻っていく。そこが待機場所らしい。ミゼットもそこで弟子の様子を眺めている。
 乙女と入れ替わるように川面がざばぁと盛り上がった。
「魚釣れた。食う?」
 ビチビチ跳ねる魚を口に咥えたまま九十九折・かだんが岸にあがった。格好は昨年ピラニアを釣り上げた歴戦の水着である。
「よしよしアルバ。いこいが怖いな。ごめんな」
 震えるアルバをかだんは撫でてやった。地獄のキャンプに来て初めて優しさに触れて、さっきとは違う意味でアルバが涙する。
「じゃ、頑張ろうな」
 かだんの言葉にアルバが「え?」って顔をするのと、テンションが落ち着いた憩が指導開始するのは同時だった。
「ここ数年やってる事ァそんなに変わっちゃいねぇ。飛ぶ、走る、踏ん張る。基本動作はコレで良い。あとは気合いと筋肉だ! 聞いてるかアルバァ!!」
 ぶんぶんともげそうな勢いで首を縦に振るマンゴー。
「それじゃ行くぜアルバァ!! まずは地下鉄タックルだ!!!!」
 地下鉄役の鬼という名のかだんが、目で語りかける。
 がんばろうな、アルバ。
 やるからには本気だ。
 これが優しさだ。
 そのアイコンタクトがどこまで通じたかはわからないが、容赦ない突進にアルバは轢き飛ばされた。
 だがこんなときのために医者がいるのだ。
「暑い。アルバ。アイス」
 だめだ、鬼しかいない。
「は? 修行で忙しい? そうか。頑張れ。アイス分けてやるから」
 クマさん柄の絆創膏を貼ってもらって、アルバはまた地獄へ戻っていった。その背中に乙女がふと息をつく。
「……しかしまあ、毎回無茶な競技ばかり出してくるからな。うちの診療所の一員なら気概で負けることだけはあってはならないし、鍛えて損をすることも無いだろ」
 再びヘラジカと向き合うアルバ。アイスを分けてもらえると聞いたからか、相変わらずビビリな背中がちょっぴりやる気を出してるように見える。
「頑張れ」
 地下鉄タックルにマンゴーが吹っ飛ぶ。
 休憩後にはジェットパッカーの練習が待っているという。
 アルバの苦難はまだまだ終わらない。

作者:吉北遥人 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年8月1日
難度:易しい
参加:13人
結果:成功!
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