城ヶ島制圧戦~蹴散らせオーク

作者:林雪

●城ヶ島制圧戦
「城ヶ島の調査、大成功でした!」
 ヘリオライダー笹島・ねむが、まずは明るい報告をと元気いっぱいそう告げた。
「で、今回の調査でズバリ、固定化された魔空回廊の存在が判明しましたー!」
 これまで至るところに出現し、目撃されてきた魔空回廊。
 それの固定化されたものが、城ヶ島に存在しているという。
「この固定化された魔空回廊をに突入、突破しちゃえばなんと! ドラゴンたちのゲートの場所がわかる、とゆうことなんですっ」
 ゲートは、ドラゴンたちの地球における最大の拠点だ。厳重に隠されてきたそのゲートへの足がかり、魔空回廊の謎が今、解けようとしている。
「場所がわかれば、ケルベロス・ウォーを仕掛けられるです。ゲートを破壊出来たなら、ドラゴン勢力の地球侵攻は、そこでストップ! です」
 もちろん、ケルベロスにゲートを発見される前に、ゲートとの接点である魔空回廊をドラゴン自らが破壊してしまう可能性も否めない、だが。
「それは最後の手段、ってドラゴンたちは考えてるみたいです」
 これも今回の強行調査でわかったことなんですよ! と、興奮気味にねむが言う。
「そこが狙い目、電撃戦で城ヶ島を制圧出来たら、魔空回廊を押さえることも出来るはず。みんなで力を合わせたら、きっとドラゴンの侵略を食い止められるですよ!」

●先行部隊
 本丸はその固定化された魔空回廊である、と、繰り返し説明した上で、ねむが集まったメンバーの顔を見回した。
「みんなには、この大作戦の先行上陸部隊、になってもらうです!」
 強行調査の結果、魔空回廊の場所は城ヶ島東部、城ヶ島公園の中にある『白龍神社』であるところまでが判明している。
「なのでドラゴンたちは東側に集結してて、西側は手薄なのです。その隙を突いちゃいましょう♪」
 上陸作戦の流れを説明すべく、ねむは三浦半島と城ヶ島の地図を映しだした。
「みんなは三浦半島のここ、三崎魚市場から水陸両用車を使って、最短ルートで城ヶ崎市街地に乗り込んでください。本隊が上陸して、一気に攻め込むための第一陣として、やってもらいたいことがあるです!」
 つまりは、後続部隊のために橋頭堡を築いてほしい、ということだ。
 続く画像が、この作戦の肝を示した。
「城ヶ島の市街地です。実はオークの群れが巣食ってる、っていうことも調査で判明しました、うう……」
 オークの群れ、という単語に、自分で言ってゾワゾワしてしまうねむ。城ヶ島市街地は、オークの居住区になっているのだ。
「市街地には強力なオークチャンピオンが4体いて、配下のオークを引き連れて迎撃してくると思います。これを先行部隊で撃破、その後、市街地に残ってるオークを掃討して頂いてから、本隊に連絡を入れて下さい。その連絡を受けて初めて、本隊は動くことができますっ!」
 敵の迎撃部隊は、オークチャンピオンが各自配下を率いて構成しているらしい。これを叩いた上で、残る雑魚オークを殲滅する。
「全軍に先駆けての上陸なんで、結果次第で後続に影響が出ちゃう、大事な大事な作戦行動になるです。なるべく後の人たちが有利に戦えるように、がんばってほしいです!」


参加者
篠宮・紫(黎明の翼・e00423)
ディクロ・リガルジィ(静寂の魔銃士・e01872)
ヴァーツラフ・ブルブリス(バンディートマールス・e03019)
竜ヶ峰・焔(焔翼の竜闘士・e08056)
神籬・聖厳(日下開山・e10402)
墓守・襤褸子(ボロッ娘三等兵・e12226)
アルテミス・カリスト(正義の騎士・e13750)
エレファ・トーン(メガトンレディ・e15392)

■リプレイ

●いざ城ヶ島
「水陸両用車なんて初めて見たよ。フツーの車と運転方法同じかな……」
 ディクロ・リガルジィ(静寂の魔銃士・e01872)が運転席に座り、あちこち確認する。普通免許を有する彼には問題なく運転出来るもののようだ。
 ここは三崎港の魚市場。これよりケルベロスたちはこの車で海上を突っ切り、城ヶ島へ向かう。
「こっち側は手薄だ、遠慮なくぶっ飛ばせ。最短ルート、フルスロットルで頼むぜ」
 助手席に足を投げ出してどっかり座り込んでいるヴァーツラフ・ブルブリス(バンディートマールス・e03019)が不敵に、そしてどこか楽しげに言った。マフィアのボスを張る彼が助手席に乗るのは普段であれば有り得ないことだが、大勝負の最前線での喧嘩に、どうやら胸が浮き立って仕方ないらしい。
「私達の戦闘結果で、制圧戦の結果の成否が変わってくるのですね……失敗は許されませんね」
 対照的にやや緊張した面持ちで窓の外を見つめているのはアルテミス・カリスト(正義の騎士・e13750)だ。責任感の強さから、少し固くなっている。その隣で腕組みして頷き、竜ヶ峰・焔(焔翼の竜闘士・e08056)が応じた。
「相手はオークどもとはいえ、あとから来る奴らのためにも気をしめていかないとな」
「自分もとにかく、みんなの足を引っ張らないようにがんばるなのでありまっしゅ……噛みました?!」
 墓守・襤褸子(ボロッ娘三等兵・e12226)も緊張気味なのか、あるいは素でかみかみなだけか、とにかく気合いは入っている。
 彼らが狙うのは城ヶ島市街地。全島を制圧し白龍神社を押さえるための前哨戦として、市街地に巣くうオークの群れを掃討するのが任務なのだ。
「しっかりつかまっててね、揺れるから」
 全員が乗り込んでいると確認し、ディクロが車をスタートさせる。ゆったりとした発進、着水からの、アクセル踏み込み。ヴォン、と低いエンジン音が鳴り、一気にトップスピードへ……。
「きゃあぁっ?!」
 いきなりのスピード感にアルテミスが思わず悲鳴をあげ、車内のアシストグリップにしがみつく。
「ちょ、ちょっとスピード出しすぎじゃない?! 他の車とのバランスも……」
 篠宮・紫(黎明の翼・e00423)が態勢を持ち直し、慌てて後部座席から身を乗り出してそう言うが、ディクロは涼しい顔でハンドルを握っている。
「んー、たぶん平気、かな」
「ヒャッハー! 良いぞ良いぞ飛ばせ! オークは消毒じゃー!」
 片手でバーを掴み、車のサイドに立ち乗りをしていた神籬・聖厳(日下開山・e10402)のテンションは一気にあがったようで、片腕を振り回しちょっとした無法者の体である。
「いい感じじゃねえか、このまま突っ切れディクロ!」
「オーク撲滅まで一直線だな!」
 ヴァーツラフが目も爛々とさせて叫ぶと、焔も高揚を隠さない。
「アイアイ・サー、なわたしディクロさん」
 応じてアクセルはベタ踏みされた。襤褸子が泡を食って叫んだ。
「ひゃあぁ、速いであります!」
 水上を走る車は海を割り、風を切って一直線に敵地を目指す。
 スピードが、戦士たちの血を否応なくたぎらせた。
 遮るもののない海を渡り、いざ城ヶ島へ!
「そろそろ地面ですね~、いきますよ~」
 ずっとおっとりした様子を崩さなかったエレファ・トーン(メガトンレディ・e15392)がそう言うなり、ライドキャリバー・ハラカに合図する。彼女の部族の言葉で『速い』を意味するこの相棒が車から飛び降りると同時、エレファもその上に飛び移った。主を背に乗せたハラカは、名に恥じぬスピードで車と併走し始める。
「おお、やるではないかー!」
 聖厳がはしゃぐと、エレファがにこりと笑ってギュン! とスピードをあげた。
「おっ、速い」
「おい振り切られんな、追え!」
「み、味方とカーチェイスしてどうするんですか!」
 アルテミスの真っ当なツッコミも虚しく、車内は熱気を増していくのであった。

●オークの巣
「おったぞ! オークどもじゃ!」
 車の屋根に上がっていた聖厳が叫ぶと、紫が窓から顔を出して前方に目をこらす。視線の先には、見たこともない数のオーク。そこに混じって一際目立つ、オークチャンピオンが4体。当然ながらオークなので、全員触手持ちである。
「オークもこれだけ群れると圧巻ね……それよりもあの数の触手とか見てると悪寒がすごいけど」
 嫌悪感に、紫が顔をしかめた。
「このままつっこんじゃいましょうか~」
 呟いて、エレファは速度を保つ。意を得たディクロも、アクセルを踏みっぱなした。並んでオークの群れに突っ込むと、タイヤを軋ませドリフトで方向を転換、停車した。まさしく巣のど真ん中。
 バン! と扉を蹴破る勢いで降車する、ヴァーツラフ・ダルコビッチ・ブルブリス。今は完全に鉄砲玉の喧嘩屋、という顔つきになっている。
「はン……メインディッシュは食えねえが一番乗りで豚が食い放題ってか? 不味そうな豚肉どもだぜ」
『ブヒイヒヒ……ケルベロスども、ここがどこだかわかってるんだろうな? ブヘヘ……』
 ホームの余裕か、オーク側も怯まない。ジュルリといやらしい舌なめずりの音を響かせ、オークチャンピオンは汚らわしい視線を女性陣に差し向ける。
 しかし、それで怯むケルベロスはいない。まずは聖厳が車上から飛び降り、びしりと口上を投げ返した。
「その方、調べによると一味の者と結託し、島の男衆を殺害……更にその妻子までも手に掛けたとあるが、左様相違ないか?」
『ブヘブヘヘ……何のことだかわからんなぁ……?』
 どこぞの奉行所を彷彿とさせる聖厳のセリフにも、オークどもは触手を蠢かせてとぼけるばかり。
「邪悪なオークたち! 城ヶ島を解放し、ドラゴンの本拠地への攻撃を成功させるためにも、この正義の騎士アルテミスが成敗しますっ!」
『……?』
 その言葉に、オークチャンピオンだけは辺りを見回した。手下のオークどもはアルテミスの腿をねめつけるのに忙しい。
 乗り込んできたケルベロスのチームが複数であることを見てとったチャンピオンは、その作戦が事実実行されているらしいと理解する。
『……どうやら貴様ら、生きて返すわけにはいかんな……ブヒヒ……』
 凄むオークチャンピオンを、焔が鋭く睨み返す。
「焦げ焼豚にしてやる」
 全員が素早く戦闘配置についた。相手はオークチャンピオンと、その手下オークが5体。チャンピオンの壁になるディフェンダーと、今にも飛びかかってきそうなクラッシャーである。

●前哨戦
 だが攻撃の触手は、後列から先に飛んできた。正確には飛んできたのは触手から放たれた、ドロリと汚らしい溶解液である。
「きゃあっ! もお~!」
 エレファの健康的な肌に、溶解液が付着した。
 蠢く触手に、ディクロが苛立たしげな視線を送る。オークも見慣れたつもりだが、どうしても触手の群れにはイライラしてしまう。
「寝ててくれないかな……、目覚める必要もない程」
 冷ややかな心情をそのままに、吹雪の姿をした精霊が、オークの列に襲いかかった。まずは雑魚オークを片づけて、それからチャンピオンを倒そうという戦術に添って、ヴァーツラフの2丁拳銃が火を噴いた。
 その間のオークチャンピオンの引きつけ役を買って出たのは、紫である。
「さぁオークのチャンピオンさん、しばらく私と遊びましょ? 他のコに目移りするなんて、つれないコトは言わないで、ね……っ?」
 さすがは由緒正しきサキュバス、といったところか。瞳を妖しく輝かせ、長い黒髪をかき上げる紫の仕草はひどく艶めかしい。ブヒャヒャヒャ、と欲望丸出しに笑いながら卑猥な言葉を並べ立てるオークチャンピオンの足下を、しっかりペトリフィケイションの魔法光線が捕らえていた。
『オボッ……ブヒャ、ブキャアァ……!』
 2体のオークが続けざまに耳障りな雄叫びを上げ、モリモリと肉体のあちこちを盛り上げ始めた。その不快な声に、眉間にしわを寄せる焔。ジリジリと間合いを詰める中、けがらわしい触手が襤褸子に絡みつく。
「ひ、ひぃいっ?! はな、離せでありますぅ気持ち悪い!」
 襤褸子が身をよじる姿に、アルテミスが怒気を発する。
「何という下劣な真似を! 襤褸子さんから離れなさい、この正義の騎士アルテミスが相手です!」
『へえー、怒りに任せて好き放題しちゃうぜぇブヘヘヘ』
 アルテミスの体から発せられる正義のグラビティに、オークの群れが怒りに狂っ……たようには見えないがとにかく彼女に引きつけられたことは確かだ。すぐさま無数の触手がアルテミスに襲いかかり、弄ぶように実に楽しげに殴打しだした。
「あ、く……っ、こ、この程度……っ」
 オークどもにしてみれば、半分以上が女子で構成されたこのチームとの戦闘はある意味ご褒美だ。
 が、相手はケルベロス。
「さあ……ぺちゃんこにして、あげますよぉっ!」
 エレファが飛び上がって象の力を解放し、全身を巨大化させた。そのままオークの群れに落下し、超重量級のヒップドロップ! 
『ブヘヘヘェ~~』
 ダメージボイスのはずだが、どことなく嬉しそうに響いた。柔らかなボディは一瞬にして元の大きさに戻る。再度エレファはハラカに跨り、ヴォンと攻撃的なエンジン音をあげた。
「どんどんいきましょう~」
「ああ、奴ら永遠に黙らせてやる!」
「グラビティシェイキング発動! ポチッとな、なのであります!」
 焔が両拳を突き合わせ、襤褸子も同じく震動でオークたちを削っていく。
「悪党ども、覚悟しやがれ! 変ッ神ッッ!!」
 聖厳のバトルオーラが輝きを増し、服の一部がはじけ飛ぶ! 下劣な声をあげるオークに、地裂撃の強烈な一撃!
『ブエヘヘヘ、ヘヘヘ』
 手下どもがダメージを食らうことなど気にもとめず、オークチャンピオンは自分の欲望を満たすのに忙しい。紫と向かい合いつつも、合間を縫った触手の先端が、アルテミスを狙う!
「きゃ、きゃあっ、スカートがっ?! み、見ないでくださいっ!」
 不意を突かれ、スカートの前を押さえてヘナヘナと座り込んでしまうアルテミス。こんな下劣な目に遭わされるなど、清純な彼女には耐えられない。そこへ。
「目移りするなって、言ってるでしょう? ふふ……アナタの触手も硬くしてあげるわ。それこそ石のように」
 紫のファミリアシュートが、赤面するアルテミスからチャンプの触手を引き剥がす。
「ぼちぼち頭数減らしていかねぇと、埒があかねえな……」
 戦況を見極めていたヴァーツラフが、一瞬の隙にダメージ蓄積の多いオークに寄った。銃口をびたり突きつけ、ニヤリと笑う。
「豚挽き肉になりな」
 ズガガガッ! 特注の徹甲弾の散弾が、その威力を見せつけ1体が砕け散る。
『ブギャギャギャ……!』
 しかし攻撃力を増したオークのけがらわしい触手は、前列に殴打と締め付けを繰り返す。
「この乙女の純潔、散らせるもんなら散らしてみろぃ!」
 素肌に打撃を受けても聖厳の激しさは衰えない。
「……よし、これで本気出せる、はずだ」
「ありがとうございますっ……絶対許しません!」
 まだ頬を赤らめているアルテミスもゾディアックソードを握りしめ、雷刃突で反撃した。焔の治癒焔気功がアルテミスの傷とスカートをもしっかり癒し、同時に闘争心にも火をつけた。正義の怒りに乙女が駆け出す!
 その隣で、残念ながら襤褸子はパンチ、キックを連続してスカっていた、が。
「ボロッ娘ぱ~んち! ボロッ娘きーっく! ……からの~ボロッ娘ローリングアタックなのでありましゅぅぅぅ?!」
 出た、本人すら動きの軌道がわからない凶悪な大技。闇雲に回転しつつ突っ込んだ襤褸子は、本人も気づかぬうちに見事オークを撃破。しかし。
「う……おぇぇぇ……」
 まことに残念ながら、彼女に初撃破を喜ぶ余裕はなかった。
 残り雑魚3体、チャンピオンを引きつけている紫の体力も限界がある。未だ倒れない敵に悔しげに、だが不敵に紫が笑って見せる。
「……さっさとイっちゃえばいいのにね……」
『つれねえこと言うなよ……ブヒヒ』
 一方で雑魚オークたちは順調に頭数を削られていく。
「おら、てめぇもミンチにしてやらぁ!」
 ポケットに手を入れたまま、勢いよくヴァーツラフが蹴りとばしたオークに、アルテミスの正義のオーラがとどめを刺した。
「いきますよ~、これでも食らえ、です~」
 攻撃に転じたエレファはハラカごと敵に突っ込み、豊満な胸からの降魔の一撃を繰り出した。
「燃え尽きるがいい!」
 焔の全身が薄く煌き、その手から放たれた気咬弾はあたかも炎を纏ったドラゴンのように敵に食らいつく。悲鳴をあげるオーク。その喉笛に、聖厳の指先が突き刺さった。
「そろそろラスボスを取らねばならんからのう、カタルシスじゃな」
 ディクロのレゾナンスグリードが残りの雑魚を仕留めた時には、オークチャンピオンはほぼ雁字搦めになっていた。
「さあ、クライマックスね……」
 そう言って妖艶に微笑む紫からは甘い毒を、アルテミスからは星天十字撃を、エレファのストラグルヴァインに捕縛され部下は全滅……と、ほぼ手足を毟り取られた状態にも関わらず。
『ブ、ブフフ……』
 オークチャンピオンは笑った。
『貴様ら、本気でドラゴンに……勝てる気でいるのか? あの、強大無比のドラゴンに……めでたい頭だ、ブヘヘヘ……』
 不吉で下劣な笑い声に、一瞬嫌な空気が流れた。確かに調査が成功したとは言え、ドラゴンの真の力は未知数なのだ。
「……黙れ」
 焔が低く凄んでも、オークは笑うのを止めない。己が散っても関係ない、とでも言うように。その声は、ディクロに『静寂』を求めさせた。オークの言葉も存在も、何もかもを否定する静寂を。
「……先に寝ててくれないかなぁ」
 ディクロが青白いリボンをなびかせながらリボルバー銃を突きつける。オークチャンピオンの額を貫いた銃弾は不思議なことに発砲音もなく、悲鳴をあげさせることもなく、倒れる音すら立てずに敵を葬り去ったのだった。
「さあ! 残ったオークを掃討しましょう!」
「よし、もう少し戯れようかのう」
「オークは脱がすなのであります! 因果応報で仕返しなのであります!」
 敵部隊を撃破後、付近に残る雑魚たちを皆で完全掃討する。チャンピオンを失ったオークたちはあっけなく散っていった。
「よさそうですね~、連絡しましょうか~」
 エレファがそう言うと、ヴァーツラフが車に戻り、細葉巻を咥えて備え付けの通信機に向かってテンション高く報告した。
「おう、俺だ。いつでもきやがれ!」
 ちょっと報告雑じゃないかな? と皆思ったが、皆黙っていた。
 焔が海の方、本隊の上陸してくる方を見遣って呟く。
「……お膳立ては済んだぜ。必ず帰って来いよ……」
 強敵ドラゴン、その本丸を叩くための舞台は整った。
 負けられない戦いがひとつ終わり、始まろうとしていた。
 後は仲間に託した。城ヶ島奪還は目の前に――。

作者:林雪 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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