大菩薩再臨~汚れて行くモノほど美しい

作者:baron

『力を……』
『おお! これ程の力が……天聖光輪極楽焦土菩薩の御加護なのか』
 ビルシャナとビルシャナが出逢う時。
 それは何とも不思議な邂逅であった。
 あえて言うならば、使者と修行者と言うべきか?
 訪れたビルシャナが力を移すと、ずんぐりとしたビルシャナはかつてないほどのグラビティを放ち始める。
『ほっほっほ。これほどの力ならば、どれほどの空を、大地を汚せるでしょう。いえ……』
 ニコニコと笑いながら、空では無く彼方を見つめる。
 ピィピィと囀る声も、その話しぶりから胡散臭く聞越えてしまう。
『先に次の仲間を見付けるべきですね。その方が多くを汚す事が出来ます』
 そして大地に目を落とすと、ニコリと笑って歪め始めた。
 仲間を増やしグラビティを捧げ、ビルシャナ大菩薩を再臨させることができれば、全てを汚染する事が出来るかもしれない。


「みなさんの活躍で、竜十字島のゲートを破壊した事で、ドラゴン勢力の制圧地域の解放が進んでおりました」
 ユエ・シャンティエが撒き物を解きながら説明を始める。
 だがそれはドラゴンではなく、ビルシャナのモノだ。
「せやけどその一部がビルシャナの菩薩の一体、天聖光輪極楽焦土菩薩に壊されてまう事件が起きたんですわ。
 どおやら天聖光輪極楽焦土菩薩は、ドラゴンの制圧地域を破壊して奪ったグラビティ・チェインを利用して、ビルシャナ大菩薩を再臨させる為に、強力なビルシャナを集結させようとしているみたいですえ」
 勿論この暴挙を見逃すわけにはいかない。
 ドラゴン勢力のグラビティ・チェインによって生み出されたビルシャナ。
 そしてその力で強化されたビルシャナ達を、見つけ出して撃破しなければならないだろう。
 改めて表示された地図は、今までミッション破壊作戦が行われていた場所だ。
 それぞれに幾つかの反応があるとのことで、どうやら複数のビルシャナが移動しているらしい。
「こん方はどうやら自身での行動よりも、仲間を増やす事を重視したみたいやね。そこを途中で迎え討ち、撃破してもらいます」
 強化されたビルシャナの性格なのだろうか、自分の足元を固めつつ、同時に仲間を増やそうとしているらしい。
 元が重戦闘タイプではなく、絡め手で動くタイプだったのかもしれない。
「どんなやつですか?」
「モノが汚れると落差や失われて行く価値は、むしろ美しくなるゆう考え見たいやね。せやけ現地でも森にゴミや廃棄家電をようさん撒くみたいですわ」
 面倒なのは別に自然だけやのうて倫理や感情もということだろうか?
 もちろん第一は自然であるが、そこから派生できる先は幅広い。
「おれ達がせっかく綺麗にしてるのに……。だからダモクレスとか汚職とか減らないんでしょう」
「せやね。実際に起こせる力は少なくとも、率先すれば真似する人も出るわけやし。真似だけならともかくビルシャナ化したら嫌やわ」
「まあ、ここは表に出たことで、倒し易くなったと思うしかないな」
 他のケルベロスも加わり、自然を汚す奴は許さないと言う事で一致した。
「攻撃は汚染した自然を操ったり、大切な思い出を汚してトラウマを与えて来ます。それともう一体、このビルシャナに力を渡した個体もおるけ注意が必要ですわ」
 ユエはそう言って、戦闘方法をメモ代わりの半紙に書き写して行った。
「あと、強力な力を得たばかりである為、その力は充分に使いこなせていないようですわ。可能化どうか判らしませんけど、自らの教義に疑問を抱かせたり、自分の教義をほめたたえられたりすると、戦闘に集中できなくなり隙ができるかも」
「まあその辺は上手い言い方を思いつけたら試すくらいだナ」
「それはともかく、自然をよごしたりはさせられないです」
 ユエの提案にケルベロス達はそれぞれの立場で頷いた。
 この手の作戦は思い付けば使っても良いし、思いつかなければ使わなくても良いモノだ。
「ビルシャナ大菩薩を再臨させるわけにはいません。皆の活躍を祈っていますえ」
 ユエはそんな様子を見ながら軽く頭を下げて出発の準備を始めた。


参加者
ウォリア・トゥバーン(獄界の双焔竜・e12736)
ディオニクス・ウィガルフ(否定の黒陽爪・e17530)
クローネ・ラヴクラフト(月風の魔法使い・e26671)
比良坂・陸也(化け狸・e28489)
獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)
本田・えみか(スーパー電車道娘・e35557)
ループ・リバーヴ(黒犬ディレイ・e67536)
グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264)

■リプレイ


 デウスエクスが拠点としようとする森だからか、汚物や廃棄家電が見受けられた。
「汚いのが美しいとは……自分の家の中だけでやってもらいたいものです」
 ゴミ箱で拾って来たらしきモノを眺めて、ループ・リバーヴ(黒犬ディレイ・e67536)が眉をひそめた。
 急いでこれなら、時間があればもっと酷くなっているだろう。
「何故自然を汚す様になったかわからないけど、今のうちに止めないとね」
「ボクの故郷……ううん。それだけじゃなくて、他の地域にも及ぶ前にさっさと片付けなき、ですね!」
 獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)の言葉にループは頷き、ちっちゃな拳を握る。
「ビルシャナは肯定・否定で心が揺らぐんだっけ? ちょっと褒めて見るわね」
 その様子に銀子はカメラを取り出してパシャリ。
 ファインダー越しに覗きこんで、蜘蛛の巣で髪の毛が汚れたり、服に汚れが染み付くのを撮影した。
「ありえないものがありえない所にある。ギャップの良さはあるよね。人工物と自然のコントラストとか。そう思わない?」
 ビルシャナの気配が感じられた事もあり、銀子は森の奥の方に声を掛けて見た。

 それに合わせてループも演技を開始し、話を合わせて近寄って行く。
「ボクはこの人たちに脅されてるんです! 見ての通り汚れているものに美しさを感じるのです!」
『ほゥ……それはそれは……』
 ループの声に反応したのは、ふくよかな鳥人間だった。
 嬉しそうなその声は、このビルシャナのツボに嵌ったからだろう。
『世界は一度汚れ、その中でこそ輝くもの。汚れることを恐れてはなりません』
「きれいな中に汚れを混ぜる、かー」
 グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264)は顔色は変えずにウンウンと頷いてみる。
「荒廃の美しさなら良く解るぜェ? ゴーストタウンが自然に呑まれて一体化する様は気持ちが良い」
『その通り! 貴方は良くお判りの様だ。そちらのお嬢さん、白と黒がそうであるように、美しさと汚れは並び立って輝く物なのですぞ』
 ディオニクス・ウィガルフ(否定の黒陽爪・e17530)が自分の納得できる分野で口を出すと、ビルシャナは我が意を得たりと頷いた。
「んんー……でもそれ、自然にそうなったものだったら、元との対比も通してきれいさが際立つのもわかるけど……」
 グラニテの表情は変わらないが、小首を傾げ疑問を口にする。
「自分から手を加えちゃったら、不自然さでいまいちになると思うぞー?」
『なんですと!?』
 グラニテの言葉に、ビルシャナは大仰に驚いた。
『おぉ。なんという事でしょう。我が教義を理解する光が在ったと思えば、こんなにも無理解という闇が!!』
 ビルシャナはその文字を見た瞬間に顔を手羽先で覆う。
「パフォーマンスとして人目を引きたいだけならそれでもいいけど、きみが目指してるのって、そういう方向なのかー……?」
「あー言われてみりゃそうだな」
 グラニテが繰り出す無表情のツッコミに、賛同したはずのディオニクスが掌を返す。
「……結局は自分色に染めて嬉しいだけなンじゃねェのか? ……何せ…お前は醜いからよ」
『わ、ワタシが自分の色に染めて居るですと!? アリエナイ! 染めるのは私の色ではありません。汚れという新しい概念の色なのです!』
 ディオニクスが否定し始めると、ビルシャナは持って居たゴミをまきながら反論する。
 それは怒りの咆哮であり、癇癪にも似た言葉だ。
『良いですか? 放っておいても世界は汚れるのです。ならばそこに価値を見い出すべきでしょう』
 そして、さも自分の主張の方が正しいのだという論理に置き変えて行くかに見えた。


 ここまではビルシャナに在る程度、話をさせて居た。
 隠れて配置に着く時間を稼ぎ、話しに夢中にさせる為だ。
「待て。この星が長い時間をかけて育んだものを勝手に汚すなんて許さないぞ」
 クローネ・ラヴクラフト(月風の魔法使い・e26671)はプラカードを掲げてそこへ横入りする事にした。
 書かれた文字は『不法投棄反対、美しい自然を守ろう』だ。
「つまりは相撲! ひいてはえみかへの挑戦!」
 本田・えみか(スーパー電車道娘・e35557)は敵の前に飛び出すと、挑戦を叩きつける。
『なんですか貴女は……』
「同じ土俵に立つ以上、えみかの相撲に付き合ってもらうっす!」
 そして四股を踏み、こいつが汚した大地を清める。
 四股はその地の醜い物を踏みしめ、清める意味合いがあるのだという。

 その動きにもう一体のビルシャナが反応し、隠れて居た別の影も動き出した。
「そうか。此の星を穢すのだナ」
「ビルシャナも驚く、森の中場所の開幕っす!」
 ウォリア・トゥバーン(獄界の双焔竜・e12736)は森陰の中、陰鬱に笑って倒すべき相手を見定めた。
 彼が真っ先に飛び掛ったことで、えみかは戦いの開演を告げた。
 目の前の彼女が敵を引き付けた形に成り、ウォリアは奇襲に成功する。
「……羽根の一本とて地に遺せると思うなよ、売僧。天に輝く七の星を見よ……オマエに死を告げる赫赫たる星こそが我……」
 ウォリアは猛烈な勢いで強襲。
 そいつを無視して、出て来たばかりの、もう一体に踊り掛った。
「ヒトの堕落を生む害鳥よ、地獄に堕ちる覚悟はできているな? 世界を汚す者に報いを」
「わかったの、だー……でも、こいつ何か、へんだなー」
 その動きに追随し、グラニテは高速で踏み込む。
 そして槍で突き刺して居たのだが、デザインの中に奇妙さを感じる。
「地域ごと取り込んだからじゃないか? 七神合体とか。まあどっちでも良いさ。……天地を指し示す、破星の力を見せてやろうぜ」
 比良坂・陸也(化け狸・e28489)はグラニテに答えつつ、北斗七星を刻んだ剣を引き抜き、更に金剛杵の先に光の剣を紡いで二刀を構える。
『なんと一方的な!』
「馬鹿野郎。そうやって台無しになった物であふれていったら、将来生まれてくる後の奴らは汚いものしか知らないことになるだろうが」
 それでも反論しようとしたところを陸也は言葉を遮り、加護を仲間に授けた。
 どうせこちらの言葉など聞かず、上げ足を採るだけなのだ。
 包囲してしまった以上はもう付き合う必要もあるまい。
「汚して、汚して、汚し尽くして……その後はどうするの?」
『なんですと? 先ほどから言っているではありませんか。その差こそが美しいと』
 クローネはその言葉を待って居た。
 ビルシャナの言葉はあくまで、論法のすり替えでしかない。
「美しいものを汚した後のギャップは大きいかもしれないけれど、汚れたものを更に汚しても美しくもなんともないじゃないか」
 クローネの言葉は真実であった。
 確かに最初のギャップは大きいだろう。だが二度目は大したことはない。
「……お前の教義には未来が無い。お前の教義も汚れた魂も、この美しい星には不要だよ」
 クローネは紙製の護符を取り出して、周囲に配置。
 仲間たちを守る結界を築いて行った。
「援護するぜ竜皇」
「鳥頭の長話。待ちかねたゾ」
 ディオニクスが胸を叩くと、アクセサリーのオウガメタルが雲散霧消。
 周囲に展開することで、ウォリア達を援護する為のガイド役に成る。
「血で汚すことになるかも……ごめんなさいね!」
 銀子が敵にではなく、大自然に対して誤った。
 そして先に誤った以上は、遠慮は不要!
「こういう汚れ方嫌い? でもゴミは違うわ!」
 銀子はビルシャナの頭を掴んでチョップを叩き込む。
 掴んだ頭を引っ張り上げて今度はモンゴリアンチョップ!
「まずは流れを作りましょう。動きを止めますよ」
 ループは技を忘れた事もあり、一つ飛ばして動くことにした。
「そっちにいきます!」
「えみかの大一番をお見せするっすよー!」
 ループが飛び蹴りで敵を蹴り飛ばすと、えみかは大きな息を吸って炎を吐いた。
 周囲のゴミを燃やしつつ、土俵の形状に燃やして行く。
『ああ!? ワタシの世界が。汚れた世界が燃えてしまう』
「炎にも清める効果があるッす! 同じ土俵に立ったからには、えみかの相撲に付き合ってもらうっすよー!」
 えみかは怒りに燃える敵に対し、差し出す様に手を出した。
 こっちに来い。自分と一緒に相撲を取ろうと挑発したのであった。


 戦いが始まれば、普通は言葉ではなく肉体とグラビティの応酬になるものだ。
 しかし、こいつは違って居た。
『ワタシの自由を邪魔する言われは無いでしょう。アタシには自由にする権利がある』
「そんなもん認められるか。そういうのは公共のものでやるんじゃねぇ! 私有地でやれ!」
 自由と権利を主張するビルシャナに、陸也はもっともな言葉で返した。
 返礼は燃えて清浄になる空気とは別に、悪臭が漂ってくる。みれば汚水も迫ってくるではないか。
「ここは通さないっす! 呑んだ唾は戻せないっすよ!」
 えみかはそれに立ち塞がり、汚水を踏みつけ、悪臭に炎を吐いて半減させて行く。
「燃やして綺麗にするかカ。それも悪くない」
 ウォリアは豪快に体当たりを掛け、ながら内なる炎を燃やし始めた。
 昂る戦意と共に炎が噴出し、この世を地獄に変えて行く。
「わざと汚すの自体はー……。絵でも、例えば自然な状態に近付けようとしたり、なくはないんだけどなー」
 グラニテは炎を見ながら、プラモデルというものを見せてもらった時のことを思い出した。
 いろんな色に着色してあったが、あえて焙ったり削ったりして、ダメージを加工するのだ。
「それかそれこそインパクトのために使うことはあるけど、なー。大元まで汚すこの教義とは、やっぱりちょっと方向が違う気がするなー……?」
 プラモデルと言えば、爆竹を詰めて爆発させたこともあった。
 しかし芸術としてはちがった……と告げつつ、自分の炎に燃える蹴りを放つ。
「つーかよ、一か所汚れたら連鎖的に周辺も地下水も汚れていってほんっとシャレになんねえんだよ。全部汚れて綺麗がなくなるわ、ボケ」
「ぁわわ……大変です。大丈夫でしょうか」
 陸也が怒りの声と共に、星の光を広げて行くと……。
 その言葉に反応したループが右往左往。
「大丈夫。そうさせない為に、ぼくらはここに居るんだと」
「がっ、頑張ります」
 クローネはそう言って紙の御守りをループに持たせた。
 次に守るのは彼なので先渡しなだけなのだが、それでも頼もしさが違う。
「けほっ、こんなのナシっ。あーもう酷い目に在った」
 銀子は悪臭の中から飛び出しながら、ダイビングエルボーでぶちあたる。
 そして立ち上がりざまに手を引っ掛けて、袈裟を引き剥がしておいた。
「佳い男ならともかく、こんなんじゃ楽しくもないわね」
「別の愉しみ方があんだろ? お前らみたいなタイプは、嫌いじゃねェ……遠慮無く思う存分責め抜けンだろうさ」
 そしてディオニクスは銀事入れ替わりに突入し、ビルシャナの顔を殴打。
 狂えるほどの力を込めて、顔面強打の鉄拳を放ったのである。
「汚れたモノは消毒しないと困るんですよ。だから持ち帰ってくださいね」
 ループはそう言って相手の周囲を石化し、汚水に濡れず持ち帰れるように加工する。
 涙目になっている暇は無いのだ。頑張らないと!
「どすこーい!」
 えみかは対象的に燃えて居た。
 ビルシャナは大地を汚すし、仲間の中にはプロレス技を使うやつも居る。
 負けてはいられないと、張り手をぶちかました。


 戦いは終盤に入り、二体目もかなり削って居た。
 だがケルベロスの心も、かなり削られている。
「違うの、私じゃ、な」
『じゃあ、なんで……そんなに嬉しそうなの?』
 銀子は耳を塞いで目線を反らせていた。
 だが過去からは逃れられない。
 婦警だった時代に暴力事件を起こし……。
「耳を傾けては駄目だよ! ……いつかは汚され無くなってしまうものだとしても、思い出まで勝手に、汚されてたまるか」
「あー最悪。仲裁してるのに、嬉々として笑ってるなんてないわ」
 彼女に正気を取り戻させてくれたのはクローネの歌だった。
 いや、正確には呪文なのだろう。だが刻まれたリズムは歌の様で暖かかい。
「ぁあ?  ほら、醜いお前も美しくなってきたぜェ? ほら、自信持てよ。お前がそう考えるに至った理由をオモイダセ」
 ディオニクスは爪で斬り割き絶望を流し込んで行った。
 造り上げる悪夢は、敵もまた綺麗な世界を望んで居たと言う過去。
 できないと判って絶望したのだと偽りの夢を見せる。
「まあ、仮に同情する過去があったとしても容赦する気は無いけどね」
 銀子は自分に掛けられた悪夢を振り払うかのように、鉄拳制裁を始めた。
 まず普通に一発、グラビティを乗せて一発。
 更に獅子の力を載せて一発。悪夢の借りで一発、ついでにストレスも乗せる!!
「そろそろ、逃がさないようにしましょうか」
「わかったっす! はっけよーい!」
 ループが蹴りを浴びせ重力で縫い留めると、えみかは鋭く四股を踏んでから足を踏みつけた!
『世界の全てを汚せば、それ以上汚れるモノなどないのです!』
 ゴミやペンキで汚れた植物がツタを伸ばし、ゴミの津波で攻め立てる。
 そこに盾役が割って入り……。
「覚悟しな。豹尾神ならぬ竜頭がやってくるぞ」
「……さぁ、オレ/我がオマエを此処で殺す……終焉の時は、来たれり」
 陸也が七星の剣で天を指し示すと、ゴミを燃やしながらウォリアが現われた。
 剣や刀で斬り付け斧で断ち割り、鉄槌で粉砕したのである。

「……その生命、糧と成れ」
「浮かない顔ダナ」
 ディオニクスはウォリアの言葉に苦笑。
「ここは護れても人手の足りなかった所は……手の届く範囲しか護れねェのが、な」
「なら手を広げるしかあるまい」
 ディオニクスの苦い思いにウォリアは可能な事をするしかにあのだと傲岸不遜に応えた。
 過去の無い男にとって、実行以外に自己証明なないのだから。
「ゴミは綺麗にしてこっか」
「掃除するッすよー」
 銀子が声を掛けると、えみか達は掃除を始める。
「が、頑張ります!」
「誰もここにゴミを捨てようと思わなくなるくらい、美しい命が芽吹く場所になるように、だね。あ、服はあとでクリーニングしてあげるよ」
 沢山のゴミを見てループが冷や汗をかくと、クローネは笑ってフォローに回った。
「廃棄物はこっちによこせ、知り合いんとこ持ってく」
「おー? 廃棄物で作ったロボットだ~」
 陸也が周辺の排気家電を一か所に固めると、つい友人の事が頭をよぎった。
 だからなのか積み上げた姿に、グラニテは歓声を上げる。
「塵塚怪王っていってな。ちゃんとリサイクルしてくれるだろ」
「相撲で勝負してみたいっすねー」
 陸也はそう言って廃棄家電を積み上げ、えみかがワクワクするのを我慢してもらう。
 ケルベロス達が掃除し、積み上げる度に、周囲は綺麗になって行った。
 こうして来た時よりも綺麗になり、森の平和は保たれたと言う。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年6月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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