ミッション破壊作戦~色褪せし栄光

作者:坂本ピエロギ

「ドラゴン・ウォーの勝利、おめでとう。見事だった!」
 ザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)はヘリポートに集まったケルベロス達を労い、笑顔を見せた。
「まさか、あのドラゴンのゲートを破壊するとはな。本当に……本当に大したものだ」
 王子の言葉からは、手放しの称賛が伝わってくる。
 それだけこの戦いにおけるケルベロスの勝利は大きいという事だろう。王子は敬意を込めた眼差しで猟犬達を見回すと、
「さて、今日はお前達にひと働きして欲しい。他でもないドラゴン種族の事でだ」
 そう言って話を切り出した。
「竜十字島のゲートを破壊した事により、日本各地に存在するドラゴン勢力の強襲型魔空回廊は消滅が確認された。ドラゴン、竜牙兵、オーク、ドラグナー、その全てがだ」
 とはいえ、回廊周辺に展開していたドラゴン勢力はなおも健在だ。戦力の補充が断たれた事でミッション地域の制圧は時間の問題となっているが、自暴自棄になった敵勢力が周辺地域に攻撃を仕掛けるような事があれば、大惨事は免れ得ない。
「そこでお前達には、同地域に残存する敵の首魁……大将首を叩いて欲しい」
 すでに回廊は失われているため、グラディウスを使用する必要はない。
 敵首魁の頭上につけたヘリオンから降下し、これを倒す。すべき事はこれだけだ。
「首魁を失えば、その勢力はケルベロスの敵ではない。進撃を行うまでもなく、容易に殲滅が可能だ。ただ、もしも――」
 もしも討伐に失敗した時は、と王子は付け加えた。
「失敗した場合は、怒り狂った敵が周辺地位に侵攻する恐れがある。そのような事態は絶対に避けねばならん。絶対に討ち漏らさぬよう、確実に撃破して貰いたい」
 ドラゴンのゲート破壊に成功した今は、彼らの勢力の拠点を叩き潰す絶好のチャンスだ。
 これに成功し、拠点を全て破壊出来れば、状況は大きく有利になる事だろう。
「説明は以上だ。完全なる勝利の報せを待っているぞ。では出発する!」


参加者
ティアン・バ(薔薇の灰・e00040)
レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
ウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813)
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)
美津羽・光流(水妖・e29827)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264)

■リプレイ

●一
 その日の夜も、岐阜県の籾糠山は死んだように静まり返っていた。
 長距離トンネルとして有名な飛騨トンネルが走る、四方を緑に囲まれた山地。そこが竜牙兵の跋扈する場所に成り果てて、ふた月と半ばを過ぎようとしている。
 竜牙兵の名は『暗闇ヲ彷徨ウ哀レデ邪悪ナ骸ノ兵士』。夜影に紛れ人間を襲う異形の手から飛騨を奪還するため、ケルベロスは魔空回廊の跡地へとヘリオンを飛ばしていた。
「光流さん。あの竜牙兵の主人って、確かまだ健在だったよね」
「魔竜クリエイション・ダーク、大阪城に向かったドラゴンの1体やな」
 ウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813)の呟きに、美津羽・光流(水妖・e29827)は面倒そうな顔をして頭をかいた。
 主のドラゴンが存命である以上、竜牙兵の戦意は完全には失われていまい。彼らに時間を与えれば、暴発のリスクはそれだけ増す事になる。
「大阪のドラゴンと合流されても叶わへんしな、ここで叩き潰しとこ」
「そうだね。頑張ろう、光流さん」
 後顧の憂いを断つために、必ず勝つ――そんな二人の思いは、他の仲間達もまた同じ。
「なるべく早く解放してしまおう。でねえと混乱から立ち直って何するか解らねえしな」
 相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)は半裸裸足の格闘家風スタイルの出で立ちで、既に降下準備を終えている。
 ゲートが壊されドラゴンの残党が混乱の渦中にある今は、彼らのミッション地域を奪還するチャンス。この機に一つでも多くを取り戻そうと、泰地は闘志を燃やしていた。
 一方、ステラ・フラグメント(天の光・e44779)は相棒の翼猫を膝に抱き、夜の籾糠山を静かに見下ろしている。
「夜の闇って神秘的で素敵だよな。ノッテ」
 長さ10kmを超える飛騨トンネルの入り口は今なお封鎖されたまま、お飾り程度の照明が道路を寂しく照らすのみ。そんな光景を見て、ウェアライダーの怪盗青年は思う。
「夜に現れる敵、因縁を感じるぜ。こんな闇、星降る夜にしてやるよ」
 光なき夜には、流星の輝きこそ相応しい。暗闇を彷徨う哀れな命には、星の導きを。
 ステラの誓いを聞き届けるように、ヘリオンの風を切る音が弱まり、機内に降下ポイント到着のブザーが鳴り響いた。
「時間だな。この地を駆ける者の平穏のためにも、連中には去っていただこうか」
「皆さん、よろしくお願いします。頑張って援護しますね」
 レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)に続いて、彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)が立ち上がり、解放されたハッチから降下していった。
「こんなに綺麗な山なのに、なー」
 グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264)はそう呟くと、仲間を追うように夜空へ身を躍らせた。
 山の空気は残酷なほどに澄んでいる。真っ暗な闇に覆われていてさえ、この場所が美しい自然に囲まれた場所だということは、すぐ分かった。
 こんな素敵な場所にドラゴンの眷属が根を張るなど、誰が想像するだろう。人知れず犠牲になった人々の無念を思い、グラニテは必ず首魁を討とうと誓った。
「無理やり命を奪うような悲しいことは、今日でおしまいだ。おしまいにするんだー!」
 そして全員が地上に降り立つと同時――。
 彼らの眼前に口を開けた飛騨トンネルの中から、濃密な瘴気が溢れ出て来た。梅雨の湿気などではない、むっとするような殺意と敵意だ。
 ティアン・バ(薔薇の灰・e00040)は、己の心臓が地獄炎で黝(あおぐろ)く燃え上がるのを自覚する。
 目を凝らすまでもない。
 敵だ。それも恐らくは、竜牙兵の首魁。
「気をつけろ、奥にいる」
 ティアンが指さすトンネルの奥から、長身の竜牙兵がどろりと姿を現した。
 『暗闇ヲ彷徨ウ哀レデ邪悪ナ骸ノ兵士』。
 頭数は、ただ1体。狼狽も逃げもせず、そいつは口を開いた。
『ケルベロスか。いずれ来るとは思っていたが……ふふふ、思いのほか早いものだ』
「気をつけろ皆。油断するな」
 先頭に立つレーグルがチェーンソー剣を唸らせると同時、首魁の竜牙兵は両腕から鋭い刃を鎌のように生やし、吼える。
『貴様らの首をクリエイション・ダーク様に捧げる。死ね、ケルベロス』
「死ぬのはてめぇらだけだ。永久に地球から叩き出してやる!」
 ケルベロスが陣形を組んだ最前列で、泰地がファイティングポーズを取ると同時、竜牙兵は襲い掛かってきた。

●二
 闇に同化した竜牙兵が、音もなく泰地の間合いへと潜り込んだ。
 振り下ろされる腕骨の刃を、横から割り込んだ光流の一閃が捌く。そのまま雷刃突の構えを光流が取った刹那、
『ガチッ』
 歯を打ち鳴らす音が彼の耳を打った。
 それが敵の嘲りだと気づくのと、雷刃突が相手の刃の軌跡を逸らしたのはほぼ同時。雷光が闇を照らす中、1秒前まで光流の首があった空間を骨の刃が音もなく切り裂く。
(「おお危な……魔竜の直属、一筋縄ではいかんちゅう事やな」)
 躱しきれず頬に負った傷をティアンとウォーレンの支援で回復しながら、光流は再び闇へ溶け込んだ。
(「上等や。行くべきとこへ送ったる」)
 後衛のヒーリングパピヨンと、中衛の濃密なメタリックバーストに、自身の命中が瞬時に必中の域にまで高まった感覚に覚醒しながら、静かに機を伺う光流。
 その眼前で、泰地の放った蹴りが光る弧を描き、竜牙兵めがけて飛んでいく。
「旋風斬鉄脚!」
 死神の鎌のごとく振るわれる泰地の蹴りを、腕の刃を振るって捌く竜牙兵。
 最前列から怒涛の如く放つ泰地のラッシュは、敵の守りを突き破って一撃を叩き込んだ。悠乃は破壊された街路灯を足場に、流星蹴りで竜牙兵の足を砕きながら暗視ゴーグルで周囲に注意を凝らす。
(「配下の奇襲……来ないとは限りませんから」)
 ミッション中のケルベロスの迎撃にでも向かっているのか、悠乃達の周りには首魁以外の竜牙兵の気配はない。このまま介入がない事を祈りながら、悠乃は戦闘を続行する。
「流石に硬いが、ドラゴン程ではなかろう。さっさと倒れろ!!」
 レーグルのチェーンソー剣が地面を擦り、火花を上げながら振り上げられた。
 両腕でこれを受ける竜牙兵。勢いをつけたレーグルの刃は、しかし敵の硬い骨もろともにその守りを切り裂く。
「逃がさないぞー。これでもくらえー!」
「命中はもう十分そうだな。ノッテ、清浄の翼を頼むぜ!」
 薄い緑色の光を帯びて降り注ぐ、グラニテの流星蹴り。その前方で、ガネーシャパズルを操作するステラが、光る蝶で光流の第六感を覚醒させていく。
「さあ、このまま一気に攻撃だぜ!」
『調子に乗るな』
 声が聞こえた真後ろから、竜牙兵の斬撃が放たれた。
 闇に紛れた一撃を、翳したガジェットで弾くステラ。殺しきれなかった衝撃が鉛のように体を縛るも、
「ふっ、それで挑発してるつもりかな? 甘いぜ!」
 清らかな風で怒りを吹き飛ばしながら、悲鳴を上げる体を叱咤して、ステラは余裕の笑みを浮かべてみせる。
「ふむ、ふむ」
 ティアンは先程から、最後列でガネーシャパズルを手に光る蝶を発現させながら、戦況を俯瞰していた。
 湖面のように静かなその顔には、しかし僅かな緊張が滲んでいる。
(「敵の攻撃力が、高いな」)
 骨の刃、闇から放つ斬撃。
 攻撃範囲が狭くリーチこそ短いが、どちらも鋭く、そして重い。
 ティアンとノッテ、そしてステラの回復支援を上回るダメージが、じわじわと盾役の二人を蝕み始めている事を察し、ティアンは手中のパズルを一層速く動かし始めた。

●三
 竜牙兵とケルベロスの鍔競り合う火花が、籾糠山の闇を照らす。
 光る左手の力で竜牙兵を引き寄せる泰地。闇の右手で固い骨を砕くも、敵はそんな反撃をむしろ楽しむように、ますます苛烈に刃を振るって来る。
(「発破頼むで、レニ。どかんと派手にな」)
「任せて、光流さん」
 光流はケルベロスチェインで魔法陣を描き、前衛を守護の力で覆い固めた。息を合わせ、光流の目配せに頷いたウォーレンが、カラフル煙幕で前衛の戦意を鼓舞する。
「砕け散れ、竜牙兵!」
「取り巻く羽根は鋭き刃。あなたの癒しを阻みます」
 ブレイブマインの高揚に身を任せ、レーグルは降魔真拳を振るう。魂を喰らう拳によって腕の骨に亀裂を入れられ、憎しみの目でレーグルを睨む竜牙兵。
 その背中を、悠乃の翼から放たれる鋭い羽が刃のザックリと切り裂いていく。ケルベロスの攻撃を受けた事に怒りを覚えたのか、竜牙兵は闇に紛れて不意打ちの斬撃で執拗に前衛を狙い始めた。
「くらえー! カチンコチンになれー!」
 グラニテの吐く氷の吐息で全身を凍てつかせながらも、その戦意は全く萎えない。
 そこへ泰地が、ステラの光球を浴びて滾った血潮に身を任せ、三日月の蹴りを放った。
「止めてみやがれ!!」
 鉄斬脚が竜牙兵の肋骨を粉砕し、砕けた骨片が光る月輪に照らされて舞う。
 光流の絶空斬を叩き込まれ、ギザギザの傷口から砕かれた骨を撒き散らしながら、竜牙兵は呻き声を漏らした。
『ぐ……この程度、ドラゴン様の無念と屈辱に比べれば……!』
「そう。彼らはしんだ」
 ティアンは早鐘を打つ地獄炎の心臓で、ドラゴン達への怒りを酸素と一緒に五体へ行き渡らせながら口を開いた。
「ティアン達がころした。お前も今この場でころしてやる。かならず、かならず」
『戯言を!!』
 眉一つ動かさずに竜牙兵へ言ってのけるティアンを、ウォーレンは振り返った。
「ティアンさん、手伝うよ」
「ありがとう。とても助かる」
「ちょっと回復厳しそうだからね。僕の『真珠雨』も役に立つはず」
 攻撃担当の命中と攻撃は、前後衛ともに最大レベルまで強化した。あとは仲間を信じて、回復に専念するのみだ。
「痛みが真珠に変わるように、涙が罪を雪ぐように――」
 グラビティの雨に打たれながら、ウォーレンは光流を見た。
 自分を庇い、仲間を庇い、傷だらけになった背中。同調した痛みは真珠色の光となって、煌く真珠のように光流を照らす。
「傷も恐れも躓きも、光の雨になるように」
「ありがとな、レニ。めっちゃ心強いわ」
 笑う光流のすぐ傍では、泰地の青いガントレットが竜の骨にめり込み、暗闇を纏って得た妨害の力を、回復した傷口もろとも打ち砕いていた。
『くっ……! ケルベロスども!』
 羽の傷によって回復力が鈍った事を悟り、回復をやめる竜牙兵。その声には明確な焦燥があった。ほんの一瞬生じた心の隙を、悠乃は逃さない。
「逃がしません!」
『ぐううぅっ!!』
 闇の中に身を沈めようとする瞬間を狙って、流星蹴りが足の骨を粉砕する。回避を完封された竜牙兵は、呪詛の言葉を漏らしながらレーグルめがけて闇から刃を放つ。
「その程度か!」
 ブレイブマインの鼓舞に昂ったレーグルは身を刻まれる痛みを忘れ、重量トラックの如く重い空気を纏って竜牙兵へと突っ込んでいく。
 狙うは肋骨。グラニテのアイススパイクで亀裂が生じた箇所だ。
「ぬおおおおおおおおっ!!」
 スピードと重量をありったけ乗せたチェーンソー剣が、ぶんと振り上げられた。
 竜牙兵に避ける術はない。防ぐ術もない。
 グシャッという鈍い音が響き、断たれた肋骨がカラカラと路上に飛び散る。丸裸にされた竜牙兵の間合いへ飛び込み、氷の吐息を放つグラニテ。
「これで、凍りつかせてやるぞー!」
『侮るなあああああ!!』
 竜牙兵は怒号を放ち、全身を霜に包まれながら腕骨の刃をレーグルへ向け、飛んだ。
 ガキン、と派手な火花が散る。身代わりに受けたのはステラだ。
「侮ってるのはお前だぜ、竜牙兵……!」
 ティアンと共に光の蝶でレーグルを癒しながら、ステラは不敵に笑う。
「お前達の時代は終わりだ。ドラゴンはもう、負けたんだぜ!」
「そういう事さ。そろそろ退場の時間だよ、竜牙兵」
 ウォーレンはステラの痛みに同調し、真珠の光を浴びせながら小さく唇を噛む。
 思ったより傷が深い。もう少し耐えてくれと、心の底で応援を送りながら必死に祈る。
「よし、行くぜ! あの竜牙兵を落とす!」
 泰地の旋風鉄斬脚はウォーレンとステラの支援によって、旋風を超えて竜巻の域に達していた。特大の三日月の蹴りが、ガードする竜牙兵の腕を軽々と吹き飛ばす。
 トンネルに響く竜牙兵の悲鳴。そこへ光流の斬霊斬が、レーグルの降魔真拳が、悠乃の刃と化した羽が一斉に浴びせられた。
『こんな……ところ……で……』
 竜牙兵は最後の力を振り絞り、闇に溶け込もうとして、はたと気づく。
 自分の足元に広がるのが、慣れ親しんだいつもの暗闇ではないことに。
『な――っ!?』
「きらきら煌めく夜の中で、ひときわ輝くもの」
 それはグラニテのペイントブキが描いた夜空の黒。全てを飲み込む無限の宇宙だ。
 竜牙兵の意識が宇宙のイメージに取り込まれ、天の彼方へと運ばれていく。
「ほら、きみにもきっと見えるはずだよー。だって、あれは」
『う……うおおおおおおおおおおお!!』
 落下。激突。そして、死。
 鮮烈なヴィジョンに囚われた竜牙兵は、断末魔を残して砕け散った。

●四
 街の明かりが、道路を抜けた先に見えて来た。
「よし。作戦完了だな」
 泰地は達成感に満ちた顔で、彼方に見える籾糠山を振り返る。
 重傷者はなし。撤退時の敵からの妨害もなし。万一の時に持って来た閃光手榴弾を使わずに済んだのは幸運だった。首魁の竜牙兵を討たれた今、配下の兵達が掃討されるのも時間の問題だろう。
「光流さん。無事でよかった……!」
「そう簡単に死なんわ、泣くなレニ」
 大事な恋人が無事だったという安堵故か、ウォーレンは光流の手を握りしめたまま大粒の涙を流している。そんな彼を宥める光流の、
「この辺り、ツーリングに良さそうやな。解放されたら一緒にどうや、レニ?」
「ツーリング? 光流さんと? 嬉しい……!」
 とても素敵な提案に喜ぶウォーレンの後ろでは、レーグルが山を見上げて呟く。
「解放、か。これでこの地も、ようやく復興できるであろうかな」
 いまだ大阪にはドラゴン勢力の残党が残っているが、一段落には間違いない。
 ゲートを失った以上、彼らが新たな魔空回廊を築く事は不可能なのだから。
「山で見るお星様、綺麗だなー……そうだ!」
 グラニテは大きな絵筆のペイントブキを掲げて、大きな星を夜空に描いた。犠牲になった人々が安らかに眠れるようにと、祈りを込めた餞だ。
(「仇はわたし達が取ったぞー。安らかになー」)
 グラニテの祈りが届いたように、描かれた星は煌々と明るく輝いて籾糠山を照らす。再びこの地が、人類の手に戻ってきた事を祝福するように――。
「よしっ。それじゃあ、俺達も帰ろうぜ!」
「了解。ティアンは祈る、竜牙兵達が消えたこの地が平和になるように」
「うむ、お疲れ様だ。他のミッション地域も成功している事を祈ろう」
 怪盗のマントを翻すステラを先頭に、いつまでも輝く星の光を浴びながら、ケルベロス達は帰路へと就くのだった。

作者:坂本ピエロギ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年6月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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