ミッション破壊作戦~落ちた竜を狩れ

作者:坂本ピエロギ

「ドラゴン・ウォーの勝利、お疲れ様でした」
 ムッカ・フェローチェはヘリポートに集合したケルベロスに一礼すると、ケルベロスの勝利を祝福した。
 竜十字島のゲート破壊によってドラゴン勢力は地球侵略の手段を失ったこと。
 これに伴い、ドラゴンと配下種族のミッション地域の強襲型魔空回廊が消滅したこと。
 いずれもケルベロスにとって、人類にとって、大きな勝利だ。
「さて。今回は皆さんに、強襲型魔空回廊に残る敵勢力を撃破していただきます」
 魔空回廊を失った事で同地域の制圧は時間の問題となったものの、そこに残るドラゴン勢力は今なお健在だ。
 ドラゴン、竜牙兵、オーク、ドラグナー……彼らが自暴自棄になって周辺地域に攻撃を仕掛けてくる事があれば、甚大な被害は免れ得ない。
「そこで皆さんには敵勢力の頭上から降下作戦を行い、敵の首魁を撃破してもらいます」
 首魁を失えば、もはやその勢力はケルベロスの敵ではない。進撃を行うまでもなく、容易に殲滅が可能となる。
 今回の作戦は、通常のミッション破壊作戦と異なる点が1つある。
 敵の魔空回廊は既に消失しているため、グラディウスを使用する必要がないという事だ。
 ヘリオンから降下した後は即座に敵の首魁との戦闘を行い、これを撃破できれば作戦成功となる。
 ただし、回廊を失ったとはいえ、ミッション地域にいるのはドラゴンだ。
 強敵との激戦となる事は、覚悟しておかねばならない。
「仮に首魁の撃破に失敗した場合、怒り狂った敵が自暴自棄になって周辺地位に侵攻する恐れがあります。そのような事態は絶対に避けねばなりません。敵の首魁は、絶対に討ち漏らさぬよう撃破して下さい」
 ドラゴンのゲート破壊に成功した今は、彼らの勢力の拠点を叩き潰す絶好のチャンスだ。
 これに成功し、拠点を全て破壊出来れば、状況は大きく有利になる事だろう。
「ゴッドスピード、ケルベロス。ドラゴン種族の息の根を、確実に止めて来て下さい」


参加者
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
小車・ひさぎ(ダイヤモンドハッピー・e05366)
岡崎・真幸(花想鳥・e30330)
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)
朧・遊鬼(火車・e36891)
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)
鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)

■リプレイ

●一
 山口県宇部市。
 瀬戸内海を挟んで南には九州を望むこの地は、完全なる死の世界と化していた。
 人も、鳥も、獣も、草木も、この地に存在を許された生命はいない。
 蠢く生物はただひとつ、宇部疫毒竜獄の主たるドラゴン『アーマ・ケルビム』だけだ。
(「ついにこの日が来た。ドラゴンどもから宇部を解放する日が」)
 座席から地上を見下ろす岡崎・真幸(花想鳥・e30330)は、巌のように揺るがぬ決意を胸に秘める。
 勝てば解放。しかし、負ければ宇部はおろか周囲の地までもドラゴンに蹂躙される。
 故に絶対に敗北は許されない――そういう戦いに真幸達は臨もうとしていた。
「頑張ろう、皆。奴らの息の根を止めるのが1日遅れれば、宇部の復興も1日遅れる」
「ああ了解だ。1分1秒1コンマでも早く撃破してやろう」
 朧・遊鬼(火車・e36891)の準備は万端だ。ナノナノの『ルーナ』も、いつでも一緒に赴けるぞと、ふんすと勇ましい息を漏らす。
「これは中々に凄惨な眺めだな」
 宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)は、次第に近づいて来る強襲型魔空回廊の跡地を見下ろし、その光景に息を呑む。
 そこは、死と毒の充満する地獄だった。
 青い海と豊かな緑は赤茶けた焦土へ変貌を遂げ、無人のビル群は波を浴びた砂城のように崩れ去っていた。街は黄土色の瘴気に覆われ、その全貌を窺い知る事は出来ない。
 建物に隠れて不意をつければと考えていたが、この状況では難しそうだ。
(「ふむ……まあ、仕方ないな」)
 そう考えた双牙は、すぐに頭を切り替えた。
 首魁を襲い、討つ。その事だけに意識を集中させる。
「とにかく殴り倒せばいいのは、分かりやすくていいな。余計な事を考えずに済む」
「だな。しかし、こいつはまた……帰る場所のない奴は手に負えねぇなぁ……」
 水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)は無意識に婚約者のロザリオを握りしめて、宇部を闊歩するアーマ・ケルビムの群れを見下ろした。
 体中に目玉をつけた、不気味な生命体。
 ドラゴン種族の未来のため、魔竜アポクリファ・セラフィムの実験台に進んで身を差し出した強化ドラゴン達を。
「あれ、ホントにドラゴンなの? 眼がいっぱいあって気持ち悪いなあ」
 戦争に負け、親玉も討たれ、帰る場所すら失った戦闘種族の群れを、今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)は眉をしかめて凝視する。
 一方、ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)はケルベロスとしての依頼を思い出していた。ドラゴンを相手に戦った初陣を。
「お互い、星と同胞の未来がかかってるからね」
 あれから4年が過ぎた。
 幾度もドラゴンとの戦いに参加して、仲間と共に勝利してきた。それらを積み重ねた果てに今日がある事を、ノーフィアは静かに噛みしめる。
(「後腐れのないよう戦って、きっちり勝って帰ろう」)
 降下地点の到着を告げるブザーが響き、鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)が席を立った。そこへ小車・ひさぎ(ダイヤモンドハッピー・e05366)も続く。
「着いたみてぇだな。んじゃ、いっちょドラゴンをブッ飛ばしに行くか」
「大阪城に合流されても困るからね。奴らの狼藉も今日限りなんよ」
 撤収ルートの打ち合わせは万全だ。道弘は隠密気流を発動して、ハッチから目視した首魁めざして仲間達と降下を開始する。
 宇部の地を、再び人類の手に取り戻すために――。

●二
 昼間の日光を遮る濃密な瘴気が、すぐにケルベロスを包み込んだ。
 道弘に先んじ降下したノーフィアの鼻をつくのは、硫黄のような悪臭。箱竜の『ペレ』も思わず悲鳴を漏らす。
(「……いる!」)
 そう感じた、次の瞬間。
『オオオオォォォ!!』
 空気を震わす叫びが聞こえ、紫色の光が瘴気を突き破って放たれた。
 ノーフィアの頭上、隠密気流に包まれた日和へ。
「チビ、庇え!」
 同時に飛ぶ、真幸の指示。
 盾となった真幸の箱竜が追撃の光を浴び、落ちるように地上へと不時着していく。
「いきなりの先制攻撃かよ……!」
「先手を打つのは無理そうだね。仕方ない、このまま行くよ!」
 着地した鬼人は、翼を広げた日和と共に、自分達を攻撃してきた敵に意識を集中する。
 溺死体めいたぶよぶよの醜悪な体躯。四方八方を睨み回す濁り切った目。回廊を守護するドラゴンの首魁、強化版アーマ・ケルビムへと。
『オオオオォォォォ!!』
 醜悪なドラゴンの咆哮が、ひさぎの魂を揺さぶる。
 主たる魔竜を喪い、帰るべき場所を失ったデウスエクス。ゲートを破壊された彼らに待つのは、種族の破滅という未来だけ。
「好き勝手も今日でおしまい! ここできっちり引導を渡してやるんよ!」
 ウエスタンブーツの車輪を滑らせ、加速を開始するひさぎ。
 それが攻撃開始の合図となった。
「食らいやがれ!」
「隙アリッ!」
 鬼人が握りしめた日本刀『越後守国儔』の刺突が、竜の肌を凍り付かせた。
 隼のような急降下で、電光石火の蹴りを頭部へ叩き込む日和。
 衝撃で潰れた目からヘドロのような涙を流し、ドラゴンは怒りの咆哮を轟かせる。
「岡崎! ボクスドラゴンは無事か!」
「ああ、何とか」
 オウガメタルの粒子を前衛に散布する道弘の問いに、真幸はオラトリオヴェールでチビを回復しながら応える。
「あの敵、クラッシャーで間違いないな。あと少し傷が深かったら危なかった」
「大した火力だ。腐ってもドラゴンの首魁という訳か」
 紙兵散布の準備を始めながら、双牙が呟いた。
 お守り程度の回復にしかならないだろうが、毒のダメージは馬鹿にならない。彼の後方では、ドラゴニックハンマーを担いだノーフィアが、轟竜砲の弾幕で敵を捉えていた。
「黒曜牙竜のノーフィアよりドラゴン『アーマ・ケルビム』へ。剣と月の祝福を!」
 名乗りを上げ発射されたノーフィアの竜砲弾が次々と炸裂。傷口を抉られ金切声をあげるアーマ・ケルビムに、遊鬼の流星蹴りが降り注ぐ。
「そこで止まっていろ!」
「どこ見てるんよ、その身体中の目は節穴なん?」
 エアシューズの爪先が、竜の脚に深々とめり込んだ。
 挨拶がわりに突き出されて反対側の踵を砕く、ひさぎの如意棒。見る間に回避を封じられた巨体が、脚から血を流しながらアスファルトをのたうち回る。
『ギキエエェェェェェ!!』
 しかしダメージが入りこそすれ、アーマ・ケルビムの攻撃は全く衰えない。体中の目をぐりぐり回して巨体を震わせると、大きく開けた口から青い種火を次々に吐き出す。
 己が身を盾と為す双牙。被弾を免れた鬼人が絶空斬の構えを取る。
「すまん、助かったぜ。怪我は平気か?」
「問題ない」
 双牙は左目の地獄炎を燃え上がらせ、鬼人に返した。
「俺の役目はドラゴンの攻撃を抑える事……ただし、殴りつけて、だがな」
「頼もしいね。……仕掛けるぜ!」
 無数の目が放つ紫色の光を掻い潜り、空の霊力を帯びた一閃がアーマ・ケルビムの腹を切り裂いた。双牙が獣拳を突き出し、振り上げ、徒手空拳で猛ラッシュを浴びせる。
 純度100%のゴムの塊を叩いたような固く重い手応え。悲鳴を上げる筋肉に鞭を打ち、双牙は拳を振るい続けた。
 紙兵の力で毒こそかき消えているが、双牙の負傷は決して軽くない。
 既にチビは、道弘を庇ったダメージで消滅していた。残る盾は自分とノーフィアのペレだけだ。ディフェンダーが倒れれば、一気に戦列が崩れてもおかしくない。
「さぁ、俺が鬼だ。精々綺麗に凍りついてくれ」
「強いヤツと戦うの、すっごく楽しいなぁあ!」
 遊鬼は鬼火を纏うドラゴニックハンマーで竜の前脚を砕く傍ら、ルーナのハート型バリアで双牙の守りを固め始めた。同時にひさぎがヌンチャク状の如意棒で、種火を吐いた竜の口を滅多打ちにして牙を砕き、その火力を損じていく。
 だがそれも未だ勢いを僅かに殺す程度だ。このまま攻撃を浴び続けて盾の二人が落ちてしまえば、残る仲間は長くはもたない。
「ボクは後回しでいいよ。少しなら自分で回復できるから」
 オラトリオヴェールと気力溜めを仲間達へ発動する真幸と鬼人に、日和はそう告げた。
 真幸とルーナだけでは、もう回復が追い付かない。双牙もまた、全身を地獄の炎で覆いつくし、攻撃に耐え続けている状況だ。
 守ったら負ける。ならば、ひたすらに攻めるのみ――。
「その眼も砕け散れっ!」
 日和は降魔真拳を握り固め、アーマ・ケルビムへと突進するように駆けていく。

●三
 ぶん、と日和の拳が振り下ろされた。
 脚についた目玉の一つが体液を噴出しながら潰れ、喰らった魂で日和は火傷した肌を回復していく。息を合わせて射出される、道弘のイガルカストライク。目玉だらけの肌を霜に覆われて、アーマ・ケルビムが痛みの叫びをあげる。
「ペレ、もう少し頑張ってね……!」
 氷でひび割れた傷口に流星蹴りを叩き込みながら、ノーフィアが箱竜を励ました。
 ペレは先程からずっと属性インストールで回復に専念しているが、ヒールがまるで追いつかない。ノーフィアもまた、種火によって浴びた熱傷がじくじくと痛んだ。
 比較的火力の低い範囲攻撃でこの威力だ。ミッションで戦ってきた通常個体とは、何もかもが違う。前列で盾を務めるペレと双牙のプレッシャーは如何程だろう。
 鬼人の絶空斬が、日和の血襖斬りが、無数の濁った眼を切り裂き、潰す。
 アーマ・ケルビムはますます猛り狂い、眼光を収束させた破壊光線を滅茶苦茶に乱射してくる。ひさぎを庇って消滅するペレ。これで残る盾は双牙だけだ。
 潰れた目から流れる血と体液で体中を濡らしながら、アーマ・ケルビムは倒れない。
 ドラゴンの未来を奪った者は残らず殺す――。
 そんな常軌を逸した執念に駆られるように、一切の回復を放棄して攻撃を繰り出し続けるアーマ・ケルビムが、負傷を重ねた双牙を踏み潰した。
『オオオオォォォォ!!』
 まずは一匹――そんな言葉が聞こえそうな、ドラゴンの雄叫びは、
「……天に捧げしこの一撃……」
 足元から聞こえる、踏み潰したはずの双牙の言葉に遮られた。
 異変に気付くアーマ・ケルビム。力を籠めようとした足がぐぐっと持ち上げられる。
「……粗悪品は、砕け散るのみ!」
 地から響く双牙の声。
 アーマ・ケルビムの巨体が、ふわりと宙に放り投げられる。
 負けられぬのは、自分達とて同じ。
 双牙は軋む身体で地を蹴ってドラゴンの巨体を肩に担ぐと、インフェルノファクターで燃え上がらせた地獄炎をさらなる高温へと変えて、
「ソードスミス・ハンマー!!」
 火だるまになったアーマ・ケルビムを全力で地面めがけて叩きつけた。
『グオオオォォォ!!』
 ドラゴンの地響きと衝撃と絶叫が宇部の空に轟く。
 氷と炎に覆われアスファルトの上でもがくアーマ・ケルビム。好機だ。道弘は取り出したチョークの束を一思いに握り砕くと、投擲の姿勢をとった。
「さぁて、勝手に荒らしまわったツケを払う時間だぜ」
 これまでドラゴンと戦ってきたケルベロスの思い。犠牲になった人々の無念。
 そして、先のドラゴン・ウォーで己に深手を負わせたドラゴン種族への怒り。
 その全てを込めた必殺の『ブロークンチョーク』が、いま放たれた。
「おめぇも親玉と同じ所に還りやがれってんだ!」
『グオオオォォォァァァァァ!!』
 野太い雄叫びに乗って種火が後衛へ吐き出された。最後の力を振り絞り、負傷したひさぎを双牙は庇うと、
「やらせるか! 行け、小車……!」
 その言葉を最後に、地面に崩れ落ちた。
「……了解なんよ!」
 ドラゴンの足元に着弾した轟竜砲が、舞い上げる破片で巨体の足を縫い留めた。
「アーマ・ケルビム……敵ながら見事な戦いぶりだったんよ」
 間合いへ飛び込むひさぎ。鋼鬼と化したひさぎの拳が腹の目玉に肘まで埋まり、ドラゴンの守りを剥ぎ取る。
「けどここまで。宇部を返してもらうんよ!」
「よし。攻撃は任せるぞ、皆」
 真幸が、己の翼から生じた七色の極光で後衛を包み込む。
 傷を癒したノーフィアは、宙に描いた魔方陣から漆黒の球体を生成し始めた。
「我、流るるものの簒奪者にして不滅なるものの捕食者なり――」
『オオオオオォォォォ!!』
 アーマ・ケルビムの破壊光線が、ノーフィアを貫いた。
 身を焼かれたノーフィアは、紙一重の生命力で踏みとどまると、口から溢れる血もそのままに『収縮する世界』の詠唱を完成させた。
「然れば我は求め訴えたり、奪え、ただその闇が欲する儘に」
 ビルが丸ごと収まりそうな漆黒の球体が、アーマ・ケルビムの巨体を丸ごと飲み込む。
「その力! その命! その覚悟! 黒曜の牙(わたし)が全部! 喰い砕く!」
 肉も、骨も、皮も、そしてドラゴンの未来すらも、ノーフィアの超重力場は全てを等しく圧し潰していく。
『ガアアアアア!! ド……ドラ……ゴ……』
 しかし、なおも。
 アーマ・ケルビムは体中から血を吹き出して球体から這い出ると、原形を失った頭の口を開き、後衛に種火を放とうとする。
 しかし――ついにその刻は訪れた。
「ボクは昔のひ弱な日和じゃないぞ。勝負だ、アーマ・ケルビム!」
「さあゲテ物のドラゴンよ、幕といこうぜ」
 左目を閉じた日和の視線がグラビティを帯び、濁った視線の束を跳ね返した。
 標的の気を乱す『阿遮一睨』の一睨を浴びたアーマ・ケルビムの目がくるくると泳ぎ、一斉に光を失う。
 ぐらりと傾ぐ竜の巨体。
『ドウホウ……タチヨ……スマ……ヌ……』
「……刀の極意。その名、無拍子」
 鬼人の一閃が走り、越後守国儔が鞘に収まると同時、水袋を叩きつけるような音が響き、ドラゴンの首がどさりと地面に叩きつけられる。
 ほんの刹那、静止する世界。
 疫毒竜獄の瘴気を吹き消す夏の海風が、宇部に再び地球の時間を刻み始めた。

●四
 意識を取り戻した双牙が身を起こすと、視界の先には宇部の地が見えた。
「……終わったのか」
「うん。あたし達の勝利なんよ」
 お疲れ様とひさぎは笑顔を送り、魔空回廊のあった場所を眺めた。
 かつて疫毒竜獄と呼ばれた彼の地に、ドラゴンの咆哮が轟く事はない。
 僅かに生き残った配下のドラゴン達も、回廊が消失して首魁を失った以上、もう討ち取られるしかないだろう。宇部に居座ったアーマ・ケルビムの悪夢はこれで終わる。
(「……これからが、大変だな」)
 婚約者から貰ったロザリオに祈りを捧げながら、鬼人は焦土と化した宇部を眺めた。
 生きた人間のいない死の世界。あの地にはこれから復興の時が待っている。
「なぁに大丈夫だ。何年かかっても、必ず宇部は元に戻るさ」
 他の街が元に戻って来たようにな――。
 道弘の言葉に頷いて、真幸は深い安堵と満足の息を吐く。
「お疲れ。またひとつ取り戻せたな」
「帰ろう。ボク達の勝利だ!」
 日和はそれに頷くと、勝利の吉報を携えて、仲間と共に帰還の途に就いたのだった。

作者:坂本ピエロギ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年6月4日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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