「グラディウスの使用が可能になりました。これより、ミッション破壊作戦を行います」
ヘリポートに現れたムッカ・フェローチェ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0293)はケルベロス達に一礼すると、依頼の説明を開始した。
「本作戦の目標は、デウスエクスの侵略拠点である強襲型魔空回廊を強襲し、損害を与える事です。回廊を破壊できれば、それを有する種族との最終決戦勝率が上昇します」
今回実施される作戦では、ドリームイーターのミッション地域が対象となる。
2019年5月現在、ドリームイーターの最終決戦勝率は17%。昨年2月に香川丸亀城の回廊が破壊されて以降、彼らは拠点をひとつも失う事無く勢力を伸ばし続けている。
ポンポリペッサの魔女作戦の後、学園ドリームイーター事件やグランドロン迎撃戦で散発的な事件を起こし続けているドリームイーターだが、その力は決して侮れない。
「魔空回廊はミッション地域の中枢にあり、周辺は敵の精鋭部隊が常に守りを固めています。現地上空までは私がヘリオンで皆さんをお送りし、そこから回廊めがけて降下による攻撃を実施してもらいます」
攻撃の方法はこうだ。
まず、ケルベロスがグラディウスを手に持って、グラビティを極限まで高める。
次に、回廊を覆うバリアめがけ、魂の叫びを込めたグラディウスを叩きつける。
参加者全員の攻撃が終了した後は、攻撃によって生じたスモークに紛れ、ミッション地域を速やかに脱出。
この3つを達成する事が、ミッション破壊作戦の成功条件だ。
「グラディウスは所有者の魂の叫びに応じて、雷光と爆炎を生じさせる力を持っています。これらの攻撃は、回廊や敵の精鋭部隊を無差別かつ一方的に攻撃できます」
この攻撃で与えたダメージは魔空回廊に蓄積され、修復する事はできない。最大でも10回程度の降下を行えば、どの回廊も確実に破壊できる計算だ。
攻撃完了後に生じるスモークは敵を撹乱する力を持っている。完全に晴れるまでは、一帯の敵をある程度まで無力化することが可能だ。
ただし、回廊を守護するデウスエクスには飛びぬけて強い個体がおり、この敵を無力化することは出来ない。この敵は、ケルベロスがミッション地域を脱出する前に必ず攻撃を仕掛けてくるので、撤退時に戦闘が発生することは不可避と考えた方が良い。
「ボス格の敵と遭遇した場合は、スモークが切れる前に撃破するようにして下さい。万一、時間切れとなってスモークが晴れてしまうと、回廊の精鋭部隊が反撃態勢を整えてしまい、領域離脱は不可能になります」
この場合は、暴走か降伏以外に助かる方法はない。
仮に敵に囚われれば、グラディウスを敵に奪われる可能性もある。それは強襲型魔空回廊を攻撃する武器を、ケルベロスが永久に欠くことを意味するのだ。
故にこの作戦では、グラディウスを持ち帰ることも決して忘れてはならない。
「ドラゴンとの決戦が迫る今も、他種族による地球侵攻は続いています。いずれ来る決戦の時に備え、少しでも彼らの力を削いでおく必要があります」
ムッカはそう言って、再び小さく一礼した。
「ゴッドスピード、ケルベロス。夢食う怪物の回廊に、確実な爪痕を刻んで下さい」
参加者 | |
---|---|
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612) |
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011) |
アイクル・フォレストハリアー(ラディアントクロスオーバー・e26796) |
田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514) |
アルベルト・ディートリヒ(昼行灯と呼ばれて・e65950) |
フレイア・アダマス(銀髪紅眼の復讐者・e72691) |
グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264) |
エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280) |
●一
群馬県吾妻郡高山村。
周囲を緑の山々に囲まれたこの地に、ひとつの古城がある。
名をロックハート城。スコットランド救国の英雄王である、ロバート・ブルースの心臓を預かる居城を復元したこの場所は、既にデウスエクスの住処となって久しい。
傷心旅行で訪れた女性の失踪事件。影で暗躍するドリームイーター、Mr.キャンドルの潜む魔空回廊へケルベロス達は向かっていた。
「うわー! 綺麗なお城だなー!」
グラニテ・ジョグラール(多彩鮮やかに・e79264)は、ヘリオンの窓に顔を付け、レンガ造りの城を興味津々の表情で眺めている。
「中はどうなってるのかなー! 珍しいぞー!」
「確かにな。西洋の古城など、そうそうお目にかかれない」
だからこそ、旅行で訪れる者も後をたたないのだろう――。
フレイア・アダマス(銀髪紅眼の復讐者・e72691)は、人々に牙を剥く怪物を睨みつけるように、眼下の魔空回廊を凝視した。
「Mr.キャンドル。貴様の命も今日までだ」
「ああ、今度こそ雪辱を果たしてやる」
赤い瞳に怒りを灯すフレイアの横で、目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)が重い声で呟く。二人は前回の作戦にも参加した経験者だ。故に勝利への思いもまた大きい。
先の戦いで収集した地形データは、残らず頭に叩き込んである。どの程度まで使えるかは未知数だが、利を得られそうな材料は一つでも多い方がいい。
「立派なお城やねえ。旅行者に人気なのも、よう分かるわ……」
田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514)も、現場の地図を繰り返し読みながら、複数の脱出経路を頭の中で組み立てていく。
撤退時にはスモークの助けがあるが、敵の数や展開している場所は不明。不測の事態への備えは、多くて困ることはない。
「Mr.キャンドル……グンマーの地にお前らデウスエクスは必要ないにゃ……」
アイクル・フォレストハリアー(ラディアントクロスオーバー・e26796)は何やら謎の単語を執念めいて呟きながら、降下の時を待っている。正統派アイドルを目指すドワーフの少女にとって、この城のドリームイーターは許せない相手のようだ。
「思いの強さで魔空回廊を破壊する剣……ですか」
エレインフィーラ・シュラントッド(翠花白空のサプレション・e79280)は、初めて握るグラディウスを眺め、感慨深そうに呟いた。
ミッション領域全体から見れば、Mr.キャンドルは手強い部類に入る敵とは言い難い。だが、元軍人であるエレインフィーラは知っている。
(「戦場は何が起こるか分からない。格下と油断して足元を掬われる愚は避けねば」)
ミッション破壊作戦の初陣で、彼女は心に誓っていた。
――絶対に勝ち、生きて帰る。
――地球で生きるという想いを、届かせる。
エレインフィーラの心に応ずるように、グラディウスが微かに温かい光を湛えた。
そして――。
「着いたようだな。行こうか」
降下ポイント到着のブザーが鳴り響くと、アルベルト・ディートリヒ(昼行灯と呼ばれて・e65950)が立ち上がり、仲間達も次々にハッチへ向かい始めた。
「ハーイ皆さん! 今回はよろしくデース!」
相棒のギターを手に、シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)は挨拶がわりの音色をギュインと奏でる。
戦いの前の景気づけに、シィカは派手な曲を仲間達へ送ると、
「ザ・ロックタイム! ボクの熱いシャウトがソウルを震えさせるのデース!」
回廊の敵へ高らかに告げる一言を合図に、一斉に大空へと飛び出していった。
●二
先陣を切ったのはアイクルだった。
バリアめがけて一直線に降下しながら、アイクルは魂の叫びを響かせる。
「このあたしが正統派アイドルとしてグンマーに君臨する限り、デウスエクスの存在は一匹たりとも許さないにゃ!」
アイクルは、アイドルとしてはデビュー前。
だがこの方が気合が入るからと、小さな体から大声を振り絞り、グラディウスをバリアへ叩きつける。この城は第一段階だ、そう言わんばかりに。
「跡形もなくぶっこわれろにゃロックハート城の魔空回廊! おんどりゃあ~!!」
グラディウスから生じた爆炎が、次々に回廊へ降り注ぐ。
空気を揺さぶる爆発の衝撃。そこへ、アルベルトが降下してきた。
「人の想いを片っ端から喰らい尽くすお前等の暴食振りには本当、うんざりだ」
アルベルトは、ふっと呆れたように溜息をつく。
彼自身の好みから言えば、西洋の城に傷心旅行に行くなどというのはひ弱に映った。
好みかと問われれば、首を横に振るだろう。しかし――。
「罪なき女性が踏み躙られる謂れはない! 腹立つんだよ、さっさと壊れろクソ回廊!」
怒りを込めた一撃が、稲光となって地上を焼く。
回廊からは襲撃を察知したドリームイーター達が迎撃せんと出てきたが、グラディウスを防ぐ術など彼らにはない。雷に打たれ、次々に絶命していく。
「心の傷に付け込んで人々を攫う、狡い奴らよ! これ以上、貴様らに誰一人として連れ去らせたりはしない!」
逃げ惑う防衛部隊の群れを見下ろしながら、フレイアが叫んだ。
奴らは一体、今まで何人の女性を手にかけてきたのか。女性達が一体、どのような思いで被害に遭ったのか。それを考えれば、容赦する気などは微塵も持てない。
「ここに訪れる人々が安心して心の傷を癒やせるよう、今度こそ此処を破壊してやる!」
「人が一番弱っている時に付け入るやなんて、最低最悪にも程があるわ卑怯者!」
マリアもまた、グラディウスを握りしめて言う。
傷心旅行というのは、人が心を整理し立ち直るための旅。その大事な時間を台無しにしたドリームイーターの罪は、裁かれるべきだと。
「やから手加減なしでぶち壊したる、アンタらの居場所を! 魔空回廊を!!」
4本のグラディウスから迸る爆炎が、雷光が、城の回廊を包み込んだ。
爆発の衝撃で空の大気が震え、落雷で生じた煙が、澄んだ山の空気を焦げた臭い漂う戦場のそれへと変えていく。
次に降下してきたのは真だった。
「悪辣なローソク紳士よ、相変わらず心に傷を負った者達を攫っているのか?」
剣を突き刺した真は、次々に吹き飛んでいくMr,キャンドル達を見下ろして言った。
「オレはその行為を止めに来た。オマエと、その根源たるゲートを破壊しに」
未だ生きているであろう、回廊の首魁に届けとばかり、真は魂の叫びを込める。
「前にオレが言ったコトを覚えているか? その燃える頭を溶かし尽くす、とな。その覚悟は出来ているか?」
回廊からの返答はない。
よしんば返ってきても、聞く気はなかった。なぜなら――。
「この城を、今日限りで廃城にするからだ。滅べ、その悪辣な行為と共に!」
特大の爆炎が咲き乱れ、眼下のドリームイーターが玩具のように吹き飛んでいく光景を、エレインフィーラは眺めていた。
「この地球で、戦い始めて一か月と少し……私は一つの想いに至りました」
グラディウスに語り掛けるように、エレインフィーラは話し始めた。
彼女はこの場所にさしたる思い入れがある訳ではない。だが、ミッション破壊作戦への参加を決めた事には、明確な理由があったのだと。
「何かを護りたい。私はそう思ったのです」
氷と制圧を司る妖精アイスエルフ。かつてエインヘリアルによって滅ぼされ、奪われる痛みをエレインフィーラは知る。地球で共に生きる人々に、あんな思いはさせられない。
「だからこそ取り戻し護りたい。共に定められた命を生きる、新しい私の仲間の為に!」
決意を込めた叫びは雷光に変じ、回廊の外郭を砕いた。
エレインフィーラの一撃が、新たな爪痕となって刻まれていく。
「……この世界はすごく素敵で難しい」
グラニテは無表情で剣を振りかぶると、光る刃をバリアに接触させた。
この世界では毎日笑う人がいれば泣く人がいる。祝福が起これば不幸だって起きる。
「それはわかるぞー……でもなー!」
泣いても不幸になっても、犠牲になった女性達は自らの苦しみを乗り越えようと頑張っていたはずなのだ。
だというのに。
そんな一生懸命な人が攫われるなんて理不尽を。
辛さの上に、誰かがいなくなる辛さを上塗りするような理不尽を――。
「許すなんて、絶対できないんだー!」
グラニテの剣から生じた雷光が回廊を貫いた。
一際大きな衝撃が鳴り響き、悲鳴を上げるようにバリアが明滅する。
「さあ! 消えた人たちを返してもらうのデスよ、そうロックに!」
そこへ降下してきたシィカが、最後の一撃を叩きつけた。
「格好だけ礼儀正しくしたって悪事は見過ごせないのデス!」
観光地に居座り続けるノーロックな蝋燭頭の悪巧みを、ロックな叫びで吹き飛ばしてやると言わんばかりに。
「レッツ、ロックンロール!! ボクの歌を聴けーデス!!」
最後の一撃が叩きつけられ、一際派手な爆炎に包まれるロックハート城。
そこへ降下するケルベロス達。
彼らがスモークの切れ間から目にしたのは――。
今なお稼働を続ける、魔空回廊の威容だった。
「これでも、ダメだと言うのか……」
「残念だ。行けると思ったのだが」
言葉を失う真。その傍で、フレイアは光を失ったグラディウスをシースに収納すると、
「行くぞ。じきに奴らが来る」
頷き合う仲間と共に、急ぎ離脱を開始するのだった。
●三
スモークに覆われたロックハート城を、ケルベロス達が駆け抜けていく。
抵抗は全く問題にならないレベルだ。散発的に抵抗してくる蝋燭頭の雑兵達を、アイクルの駆るライドキャリバーが機銃掃射を浴びせて蹴散らしていく。
「お手柄にゃ、インプレッサターボ! このまま――」
このまま外まで一直線にゃ。そう、アイクルが言おうとした時だった。
「気をつけて下さい。前方に敵がいます」
エレインフィーラは顔の左半分を氷で覆い、ケルベロス達に接敵を告げる。
肌が凍り付くようなプレッシャー。回廊の首魁に間違いない。
「来たな、ローソク紳士め」
真の言葉に応えるように、スモークを突き破って現れたのは、臙脂色のスーツをまとったドリームイーターだった。
目も鼻も口もない、病的に白い蝋燭の体。頭に燃える炎に、心臓を覆うモザイク。
強化型Mr.キャンドルの登場だ。
「皆、派手に行くぞ!」
アルベルトが縛霊手を天に掲げ、紙兵の群れを射出する。
それが、戦闘開始の合図となった。
「GoGoデース! レッツ、ドラゴンライブ……スタート!!」
乱れ舞う紙兵を紙吹雪替わりに、ドラゴニアンの少女達で奏でる旋律が前衛を包む。
己の血が沸き立つ感覚に高揚感を覚えながら、マリアは古代語魔法を詠唱して魔法光線を発射する。
『――……』
頭を狙った一撃を腕でガードし、後方へ飛び下がるMr.キャンドル。
しかし床の煉瓦を踏むと同時、足下が真の精神集中で派手に吹き飛んだ。
「そこはビンゴだ。行け、翔之助!」
真のボクスドラゴンが吐くブレスは、しかし遠隔爆破の効果を増幅するには至らない。
Mr.キャンドルは、両腕を広げて芝居がかったポーズを取る。
それは驚愕か、はたまた嘲弄か。巨大な鍵をステッキがわりにクルリと回し、立ち上る煙を振り払うと、頭の炎を大きく燃え上がらせて、マリアの、真の、シィカの罪を映し出していく。
「怯む事はないのにゃ。生きるための罪、あたしが全部肯定するにゃ!」
心を抉る映像。そこから生じるトラウマの鏡像を、アイクルの歌声がかき消していく。
フレイアはそれを後方から観察しながら、敵能力の把握を急いでいた。
妨害の力は強くない。防御力、回避はいずれも並。ダメージを受けた前衛は誰一人紙兵を失っていない。そして、攻撃の精度が異常に正確だ。
「スナイパーか。それならば!」
フレイアは『不撓不屈の咆哮』をあげて味方を鼓舞した。必勝を誓う魂の叫びで今一度、皆の心を奮い立たせるのだ。
「私は、私達は――負けるわけにはいかんのだ! 皆、速攻で撃破するぞ!」
ボクスドラゴン『ゴルトザイン』が、ボクスブレスでMr.キャンドルを包み込んだ。
石のように動きを固くしていくMr.キャンドルに、グラニテが城壁を足場に跳躍。流星の蹴りを叩きつける。
「エレインフィーラさん、命中は大丈夫や。攻撃を手伝うて下さい」
「承知しました」
エレインフィーラはマリアに頷くと同時、銃弾のように駆けた。
長く美しい髪の毛先が地獄の炎で青い尾を描き、Mr.キャンドルへと迫る。
炎を燃やしエレインフィーラの罪を映そうとするMr.キャンドル。それをシィカが即座に盾となって庇う。
「さあ、とっつげきデース!」
「はああっ!!」
電光石火の蹴りを、鳩尾に叩き込むエレインフィーラ。
追撃でシィカが投げつける対デウスエクス用カプセルが頭に命中し、Mr.キャンドルが体を折り曲げて悶える。
「チャンスだ、行け!」
「任せろ!」
アルベルトのカラフル煙幕に勇気をもらい、真が翼を広げた。
狙うは頭だ。全ての力を、グラビティを脚に込め、『蹴剣』の一撃を叩き込むのみ。
「不届き者よ、その頭を刎ねてやる」
『――……!』
真を見上げ炎で迎撃を試みるMr.キャンドル。その真横からアイクルが拳を振り上げて鬼神のごとき形相で殴り掛かる。
「ぶっ●おおおおおおす! ●ぁあああああああっく!!」
「これで、終いや!」
キャリバースピンのスキール音で、器用に主人の発言をボカすインプレッサターボ。
回転しながら迫るマリアのエクスカリバールを背中に叩きつけられても尚、蝋燭頭の狙いは真から離れない。
「エレインフィーラ、一緒に攻撃するぞー」
「了解しました。アイスエルフの力、見せてやりましょう」
グラニテとエレインフィーラがガネーシャパズルを操作して、ガネーシャ軍団の幻影と、竜の稲妻でMr.キャンドルを蹂躙する。
パラライズの効果によって、跪くMr.キャンドル。
そこへ――。
フレイアの叫びと、シィカの旋律と、アルベルトの煙幕の効果を載せて――。
蝋燭の頭めがけて、真は一蹴を叩き込んだ。
「破ッ!」
『――……!!』
頭を砕かれたMr.キャンドルは蝋燭の炎を全身に浴びて、塵のように崩れて消えた。
●四
「ここまで来れば大丈夫だろう。皆、ケガはないか?」
「平気だぞー。グラディウスも全部揃ってるぞー」
仲間を案ずるアルベルトに、グラニテは挙手して応じた。
「……破壊できませんでしたね」
氷の仮面を外したエレインフィーラが、遠くに見えるロックハート城を見つめて呟くと、フレイアは砕かんばかりに拳を握りしめて、静かな声で頷いた。
「うむ。次こそは必ず壊してみせよう」
支度を整え、ケルベロスは帰還していく。
この場所が人類の手に戻るのは果たしていつの事だろう。ひと月後か、それとも1年後か、それとも――。
山中の古城では、静かにモザイクが蠢き続けていた。
作者:坂本ピエロギ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年5月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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