鶚が残し兵を討て

作者:カンナミユ


 幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)は観光地の一角を散策していた。
 観光地とはいっても宣伝されたのはつい最近という事もあってか、観光客はまだ多くない。
 ガイドマップを片手に散策すればレトロな建物が並び、雑貨屋やアクセサリーを扱う店や、休憩にぴったりな甘味処、ご当地グルメを味わえる飲食店も数多い。
 加えて自然も多く、初夏の風に髪がふわりと揺れる。
「どのお店も魅力的で目移りしてしまいますね」
 あの人と来れば、きっと楽しい時を過ごせるだろう。
 冷たい飲み物で喉を潤しながら鳳琴は広場のベンチに腰を掛け、噴水を眺めていたが――、
 人が、いない。
 ソフトクリームを食べていた親子が、噴水前で記念撮影を行っていたカップルが、ガイドマップを開いていた学生達が、いない。いなくなっていた。まるで人払いをしたかのように。
「…………」
 嫌な予感にベンチから立ち上がり、鳳琴は身構えると噴水の影からソレは姿を表した。
 尖った耳に漆黒の瞳、そしてタールの翼。それは全てシャイターンを思わせるものだが……。
 この場所にいるケルベロスは自分だけ。果たして1体1で勝てるかどうか。
 ――ああ。
 ――あの人を危険な目にあわせないで良かった。
 時を告げる鐘が鳴り、噴水が高く水を上げ、
「いきます……!」
 鳳琴は地を蹴った。


「緊急の依頼だ」
 ヘリポートへやって来たザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)は開口一番に、そうケルベロス達へ声を向けた。
「宿敵であるデウスエクスの襲撃を幸・鳳琴が受けることが予知された。急いで連絡を取ろうとしたが、こちらから連絡をつけることは出来なかった」
 そう話すザイフリートだが、鳳琴との連絡はつかなかったものの、場所は分かっているという。
「今から向かえばまだ間に合う。お前達にはこれから鳳琴の救援に向かってもらいたい」
 一刻の猶予もないのか、手に資料はなく簡単なメモを記した紙が一枚のみ。ザイフリートは、ケルベロス達へ依頼の内容を説明する。

 場所はと郊外から離れた場所にある観光地。
「鳳琴が対峙するデウスエクスはシャイターンに似た特徴を持つが、屍隷兵のようだ」
 屍隷兵と聞き緊張が緩むのを感じたのか、ザイフリートは更に説明を続ける。
「相手が屍隷兵だからと気を抜かないで欲しい。屍隷兵は不完全な神造デウスエクスの為、一般的にはデウスエクスやお前達に劣る筈だが、この敵はそうではない」
 手を抜けば鳳琴の救援どころではなくなってしまうだろうとザイフリートは話し、
「時間がない、説明は以上だ」
 そう言い、メモを懐へしまう。

「お前達なら大丈夫だろう。力を合わせて鳳琴を救ってくれ。頼んだぞ」
 言い終えたヘリオライダーの背には出発準備が完了したヘリオンがある。
 説明を受けたケルベロス達が乗り込むと、ヘリオンは現地に向かい飛び立った。


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
源・那岐(疾風の舞姫・e01215)
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)
東・天紅(くすんだ人形・e18896)
如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384)

■リプレイ


 ざあ……。
 時を告げる鐘の音と共にそよぐ風が髪を揺らす。
 幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)は拳を握り締め、良かったと内心で思う。
 それは、大切なあの人を危険な目にあわせなくて良かったという思い。そして今対峙している人ならざるモノ、倒すべきデウスエクスを前に自分が向けているであろう顔を見られなくて良かったという思い。
(「忘れはしない……忘れる訳がない!」)
 殺せるほどの眼光の先、デウスエクスは余裕ある顔をこちらへ向けている。
 一対一は不利だと分かっていても、絶対に退かない。退いてはならない。何があろうとも。
 ぐぐ、と腰を落とし構えるとデウスエクスもまた得物を手にこちらへ狙いを定め――、
「琴ちゃん!」
 鋭い瞳は愛しい声に和らぎ、見上げればシル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)がヘリオンから飛び降り、鳳琴とデウスエクの間に着地する。
「琴ちゃんっ、大丈夫っ!?」
 武器を手に牽制しつつ声を掛けるシルの背に鳳琴の内に僅かに躊躇いの感情が沸き立つが、それは一瞬でしかなかった。
「ありがとう、……来てくれて!」
「大丈夫、一人じゃないから、ね」
 首を振り払拭する鳳琴にシルは笑みを向け、
「鳳琴さん、こんなところで奇遇ね」
「ふふふ、見つけましたよ鳳琴さん! 1人だと思ってたなら大間違いです!」
 セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)と華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)も割り入った。
「いつだって、どこだって、みんなで駆けつけちゃうんですから!」
「お待たせ、鳳琴ちゃん。独りで戦うなんてつれないじゃないか」
 元気いっぱいの灯に兄弟子、渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)も構えをとる中、東・天紅(くすんだ人形・e18896)が向ける瞳は悲しみと深い怒りの色。
 多くの絆を奪った存在を許す訳にはいかない。
 如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384)と源・那岐(疾風の舞姫・e01215)は目前のデウスエクス――牽制で放った攻撃をいとも簡単に避けた屍隷兵へと向く。
 駆けつけてくれた仲間達の背を前に、決意はより強固なものとなり。
「私は。……皆さんと勝ちたい! 力を貸してください!」
 その声に返事など必要ない。駆けつけた者達の思いはただ一つ。
 ぼたり。
 突然の乱入に攻撃の手を止めてしまったソレの翼からタールの滴が落ちるとレンガの一点を黒く染め。
 にい、とソレは嗤った。


「危ない琴ちゃんっ!」
 構える弓からそれは放たれ、一矢は狙った鳳琴ではなく立ち塞がったシルの腕を射る。
「くっ……」
「シルさん……よくもっ!」
 腕を血が伝いぽたりと落ちる。大丈夫だと瞳が向くが、許せる訳がない。
 ごっ。
 鈍い音が響くと舞う脚がデウスエクスの腕を撃ち、その頭上をシルのスターサンクチュアリが降り注いだ。
 一気に距離を縮め数汰もまた一撃を放つが、それはすとかわされてしまう。
「なるほど、確かにただのザコとは一味違うな……」
 屍隷兵は本来ならあまり強い敵ではない。だがヘリオライダーが説明したように一筋縄ではいかないようだ。
 攻撃をかわした屍隷兵は束ねた髪を揺らし、ふわりと構えなおすのを目に数汰も構え直し、友の形見を手に天紅が紡ぐのは黎明の道標。
「誰の、何も、奪わせない。失わせたくない、から。どうか私にも、温かな色を――」
 穏やかな紅い光は自らの能力を上げるセレスティンを包み、
「我が力、祝福の力となれ!! 白百合よ、我と共に舞え!!」
「貴方の運命は……あら、お気の毒。負のサイクルに踏み込んでますね?」
 那岐が道筋を仲間に示せば、沙耶がデウスエクスへ運命を示す。
「…………」
 忌々しいのか、眉を寄せるデウスエクスの上。灯自慢の翼がばさりと舞い、
「シア!」
 きらきら煌めく脚撃と共にウイングキャット・シアが清浄の翼を羽ばたかせた。
「……忌々しい」
 低い声で呻くと噴水の水を跳ね上げ、デウスエクスは距離をとる。ばしゃんと水が跳ね、再び弓に数本の矢をまとめてつがえて一気に放つとそれにディフェンダー勢が立ち塞がる。
「させません」
「お願い、シア!」
 那岐が立ち塞がり灯の声にシアも続く。
「聞いた限りでは、鳳琴さんのお父様、数汰さんと天紅さんのお師匠様。……鳳琴さんの襲い方を考えればより多くの命を奪っていそうですね?」
「既に多くの絆を奪った貴女を許すことは出来ません。止めさせて頂きます」
 那岐と沙耶は言うが、目前の敵は関心を持たなかった。
 だが。
「貴女は……誰だかさっぱりわかりません! でも、鳳琴さんを狙うなら私とも関係、大アリです!」
 息を飲み、しかしビシッと灯が言うように、大切な仲間を狙う事をケルベロスは許さなかった。
 牙を剥く殺意はここで断つ。
「お前は俺にとっても師匠の仇、誰に蘇らされたかは知らないがもう一度冥府へ送り返してやる」
「……ね、あなた。わたしの大切な人襲うのなら……覚悟、いいよね?」
 数汰が言い放つと、大切な人を守るべく前に立ったシルは鋭く睨み、
「お前達に用はない。邪魔をするなら……覚悟はできているな?」
 感情のない冷たい声に鳳琴は隠せないほどの感情に拳を握り、仇へと躍り出た。
 戦いの音は激しさを重ねていく。


 対峙する敵は屍隷兵。
 それは不完全なデウスエクスであり、強くはない――本来ならば。
 鈍い音が響くとその痛みに鳳琴は眉を寄せる。
 返す手で反撃するそれをばしんと弾き、立て続けに数汰の攻撃をいとも簡単にいなしてしまう。
「私は私のできることを全力で……陳腐な言葉ね。でもちょうどいいわ」
 仲間達へと守りを注ぐセレスティンの喪服が風に揺れ見つめる先では、死から蘇ったモノが那岐と沙耶の攻撃を捌き、灯の狙う一撃を真正面から受け止めた。
「これだけか」
「……っ」
「琴ちゃん!」
 冷たい声に斬撃が追い、それを掻い潜る鳳琴はシルと攻撃を叩き込む。バランスを崩しかけたところに全身全霊を込めた飛び蹴りが繰り出されるが、数汰のそれは得物によって打ち払われてしまった。
 手応えはある。だが、致命傷には至らない。
(「屍隷兵化する前より、段違いに強い」)
 天紅とセレスティンが仲間達の為に動くのを目にし、鳳琴は思う。
 那岐の剣が髪をはらりと落とし、狙い定める沙耶と灯のハンマーを受けるもその表情は余裕を見せている。
「鳳琴さん!」
「っ……!」
 シアへ指示する灯の視界にちらりと動く敵が入り、声を上げるとほぼ同時にがづんと鈍い音が響く。
 ディフェンダー勢を掻い潜る一撃を腕で受け、胴に響くほどのそれに思わず呻くいてしまう。
「大丈夫か、鳳琴ちゃん」
 攻撃の中で気遣う数汰の声を耳に、敵を見据える天紅は思う。
 優しかったお師匠様を殺した。私の友達を泣かせた。家族の幸せを、壊した。でも、これ以上、許しはしない。
 ――あなたの罪も、鳳琴を悲しませることも。
 その思いは戦う仲間達を癒す。

「敵は、一度倒されて、他者に蘇らされた屍隷兵とか」
「一度倒されたならそのままでいればいいものを」
 沙耶と那岐は言葉を交わす。
 銀糸が揺れ、那岐の舞剣が閃くと同意するかのように頷く沙耶が凍結弾を放つ。
 ざくりと裂かれた腕から紅が散り、それでも敵は倒れない。目前に迫る流星に身構え、得物で灯の攻撃をがしんと受け止める。
「殺したはずの輩がまた目の前にいるなんて……姿かたち代わってまで、なんの意味があるのかしら」
 激しい弓の攻撃に仲間達が耐え、そして攻撃に転じる中でセレスティンは小さく呟き敵を見る。
 屍隷兵。
 地球の生物の肉体をベースにし創造された、不完全な神造デウスエクス。
 何故、死したモノが肉体を得、そしてここにいるのか。詳しい事は分からない。
 だが――、
(「今度こそしっかりと、冥府に落としてあげればいいかしら」)
「私、肉体のある死者は好きじゃないの」
 妹達の攻撃は効いていない訳ではない。確実に、その肉体にダメージを与え続けている。
 凍るような吐息の囁やきにネクロオーブと白杖に魔力が溜り。杖で空をひと撫でと共に水晶の炎が死者の肉体を切り裂いていく。
「戦う強さも、だけど、癒し、守る……優しい強さだって精一杯応援したいのですね、シア」
 幸せいっぱいの子猫はにゃんとなき、灯と仲間達の為にふわりと翼を羽ばたかせ――、
「双華乱舞……絆の力を見せてあげるよっ!!」
「今こそ見せましょう。これが、私達の絆の力です――! ……すべてを、撃ち砕くっ!」
 がっ、っ……!
「ぐ、っ!」
 シルと鳳琴渾身の一撃に、ソレは大きくのけぞった。

 あれから4年弱。
 殺されそうになった鳳琴は降魔の力に覚醒し、そして、最初の敵として棗を倒した。
 胸中に過るのは父母を亡くした悲しみを憎むことで堪え、ただただ夢中で拳を握っていた日々。
 だが、今は違う。
「私はこれほど有難い仲間が、戦友が、友達が。……愛する人に恵まれた今の私の拳は、憎悪だけじゃない。何ももう、失わない」
 何も知らず、何もできないまま何もかもが終わっていたあの日とは違う。年月を経て数汰も大きく成長している。
「今の俺はケルベロス。戦う力、大事な人達を守れる力がある。この牙を突き立て、邪悪な亡者を討ち倒そう」
「……あなたにはもう、何を壊すことも、誰を失わせることもさせない」
 言葉と共に天紅は深い怒りを向けるが、その感情以上に強いのは、共達である鳳琴を悲しませたくないという想い。
 大切な家族を失い、今なお傷付いている彼女の涙をここで止めてみせる。
「鳳琴さん達の強い気持ちいっぱい、支えますから!」
「うるさい……声、だ……」
 元気いっぱいの声に呻きが漏れるが灯は気にもしなかった。
 あの一撃から続くケルベロス達の攻撃はかなり堪えたらしく、荒い息を吐き傷を癒そうとするが傷は癒えきらず、だらだらと血が流れ続ける。
「みんな、一気に畳みかけちゃいましょう! シア、頑張ろう!」
 元気な声ににゃんと続き、
「強い気持ちいっぱい、いっぱい支えます!」
 ど、がんっ!
 派手に振り回すハンマーは豪快に炸裂すると、デウスエクスは更に回復に努めるがもはや手遅れに近い。回復より受けるダメージが多すぎる。
「……お、おの……れ……」
 肌が、髪が、服が、紅に染まり、裂けた腕を庇い後ずさる。
 これで、ようやく。これで。
 共に戦ってくれた仲間達を見れば、那岐と沙耶は優しく頷き、
「命は限りあるものでしょう」
 セレスティンは死にゆくものに、死の思い出に花を手向けるべくふわりとそれを再び手向けた。
「鳳琴さん!」
「琴ちゃん、数汰さん、天紅さん、決着つけちゃえっ!!」
 ぐっと拳を握る灯は元気に言い、シルも続く。
 血に濡れ武器を構える力すら残っていないのだろう。それでも瞳は鋭く戦う意思を見せるが限界は近く、それも時間の問題だろう。
 3人の胸に様々な感情が入りまじり、
「これで決める。行くよ、鳳琴ちゃん」
 憎しみに囚われる事無く、だが静かな怒りを拳に宿し続けた数汰は最後の力を籠め、風を纏いながら空高く跳躍する。
「輝け、俺のグラビティ!」
 急降下し、全身全霊を込めた飛び蹴りは吹き荒れる嵐と共に敵を撃ち、
「……あなたにはもう、何を壊すことも、誰を失わせることもさせない」
 天紅に続くのは、鳳琴の思い。
「これで――!」
 父への思い、仲間達への思い。
 様々な思い全てを込め、鳳琴は憎き敵へと叩きつけた。渾身の一撃は貫き。
 ごぼり。
「……っ! はっ……」
 直撃を受け、デウスエクスは紅を吐き出した。ぼたぼたと零れ落ちるそれは足元のレンガを染めていく。
 そして、瞳に映るソレを決して忘れはしないだろう。
 ――にいと口端を釣り上げ、含みを持たせたその顔を。
「…………」
 その表情に鳳琴は息をのみ、それでもとどめの一撃を叩き込もうとし――、
 倒すべき存在の命のともしびは潰え、デウスエクスはどろりと溶けタールの池となるも、ざらりと消えてしまった。


 風が吹く。
 激しかった戦いの音は消え、ケルベロス達の間を静かな風と噴水の音が優しく流れていく。
 さらりと振り払ったセレスティンの髪は地毛に戻り、優しい双眸を妹達へと向けると、そこには成し遂げた鳳琴の姿があった。
 ようやく、ようやくだ。やっと仇を討つ事ができた。
 胸中にこみ上げる思いに涙が零れる背に愛しいぬくもりを感じると、思わず零れた一筋が頬を濡らす。それを拭ってくれるのは大切なひと。
 あたたかいぬくもりに思わず瞳を伏せる鳳琴。
 互いに言葉はない。いや、言葉など必要なかった。
 その姿を目に沙耶と那岐が瞳を交す中、周囲にはちらほらと人が増えてくる。
 親子がソフトクリームを買い求め、カップルが記念撮影にと噴水前に訪れ、学生達がガイドマップを手にはしゃぐ様子は平和そのものだ。
 穏やかな時が戻り優しい人達がずっと幸せでいてくれたらと静かに見守りながら、天紅は願う。
「お師匠様も、喜んでくれる、かな」
「きっと喜んでます、天紅さん!」
 ヒールを終えた灯は満開の笑顔。手にはスタッフから貰ったガイドブックとお得なクーポン券もある。
「こんな素敵な所すぐ帰っちゃうのは勿体ないです! みんなで巡りません? 可愛い雑貨やアクセ、何より魅惑のスイーツを求めて、ごー!」
 ガイドマップを広げる灯は今にでも駆け出してしまいそうだ。
「早く早く! 期間限定スイーツが売り切れちゃいます!」
「すぐ行く!」
 元気いっぱいの灯の後を数汰が追い、
「夢を見すぎたのかも知れない……」
 無意識に骨杖を撫で、ため息に続く呟きに沙耶と那岐が瞳を向けてくるが、
「ううん、私の独り言」
 言い、セレスティンはさらりと髪を揺らし、まっすぐに歩き出す。
「鳳琴さんとシルさんも早く!」
 呼ぶ声に頷く鳳琴はシルの手にそっと自分の手を重ね、そのぬくもりと指輪に触れ、誓う。
 ついに父の仇を討つ事が出来た。
 だが、ようやくの一歩に過ぎない。この一歩を踏みしめ歩み続け、必ずその存在へとたどり着くだろう。
 道は間違えない。間違う筈がない――!

 空は決意を示すかのように雲一つなく、見上げればどこまでも蒼天が続いている。
 ケルベロス達は人々で賑わう地で疲れを癒し、新たな戦いに備えるのだった。

作者:カンナミユ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年6月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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