『冬の味覚』みかん畑を守れ!

作者:沙羅衝

「今年も、ええみかんできたなあ……」
 ここは和歌山県の山中にあるみかん畑。日本でも有数のみかんの産地である。冬に向けて、みかんの収穫が一斉に取り行われていた。
「おーい! いったん休憩にしようか!」
「はーい!」
 初老の男性が従業員に休憩を促す。
「よいしょっと。これで、終わり……あー」
「どうしたの?」
 二人組の婦人が、休憩に入ろうと最後のみかんを収穫した時、一人が少し残念な顔をする。
「いやほら、これ」
 婦人が指したそこには、かなり大きくなったアゲハチョウの幼虫が、もりもりと葉っぱを食べていた。
「あんまりやりたくないんだけどね……ごめんね」
 婦人はそう言うと、収穫していたハサミとは別のハサミを取り出し、幼虫をちょきりと半分にした。
「……あんまりいい気分じゃないよね」
「でも、しかたないじゃない。これも仕事だし、ね。さ、休憩しよっ」
 婦人はそう言うと、収穫したみかんを集める小屋に足を運んでいった。
「お茶はいったよー!」
「有難うございますー」
 そう言って小屋に向かう婦人の背後から、怪しい影が迫った。

「みんな聞いて! うちらの冬の味覚が、大変やねん!」
 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)が血相を変えて、ケルベロスの元に駆け寄ってきた。
「あー、ごめん。ちょっと落ち着くわ」
 そう言って、手に持った水筒のお茶をごくごくと飲む。
「あのな、最近ローカストが新しい動きを見せてるんやけど、ちょっと知性の低い個体を送り込んできているっていう情報が、ちらほらと聞こえてきてるねんな。で、そのローカストがどうも、和歌山のみかん畑に現れたらしいねん」
 絹の話によると、その知性の低いローカストに、みかん畑の従業員が捕まってしまったらしい。知性が低い分、戦闘能力に優れた個体が多いようなので注意をしてほしいとのことだ。
「被害にあっている人数は3人で、みかん畑にある小屋に内側から鍵かけて捕まっているらしいねん。ローカストのグラビティ・チェインの吸い取り方法は、カゴのような檻で、じっくりと吸収するやり方やねんな。だから直ぐに死ぬってことはないねんけど、当然助けてあげてほしいねん。だから依頼内容は、このローカストの撃破と、3人の救出や」
 絹はそう言うと、再び水筒を口に当て、お茶を一気に飲み干した。
「で、今回のローカストやねんけど、人間の身長と同じくらいの大きさで、アゲハチョウの成虫に似た姿をしてるから、一発で分かると思うわ。攻撃方法は、ストロー状の口を刺して、そこから「アルミ化液」を注入してくる『アルミ注入』と、羽をこすり合わせて飛ばしてくる『破壊音波』 、そんで回復も『アルミニウム鎧化』で出来るっていう情報やから、注意してかからんとこっちもやられてしまうから気をつけてな。
 問題は、そのローカストの近くにその捕まっている人達がおるから、なるべく被害が出んように、引き離すことが重要や。この辺りは、その小屋とみかん畑しかないねん。それにみかん畑やから結構な斜面になってるから、その辺りも上手いこと考えて立ち回りしてもエエかもしれんね」
 絹はそこまで言うと、また少し声を大きくする。
「みかんはな、うちの大好物やねん。もう直ぐ冬やろ? コタツ言うたらみかん。みかん言うたらコタツや。みんなの冬の楽しみ奪ったらあかん。今回のローカストはしゃべらへんから、問答無用で、ぎったんぎったんにしてな。がんばってな!」


参加者
エスツーイ・フールマン(シルバーナイト・e00470)
グリム・シドレクス(ムジカ・e01303)
ケドウィン・アルカニクス(劇場の怪人を演じる地獄の番犬・e12510)
黒鉄・鋼(黒鉄の要塞・e13471)
銀山・大輔(暢気なウェアライダー刀剣士・e14342)
餓鬼堂・ラギッド(探求の奇食調理師・e15298)
キティエリス・ジョーンズ(日常の少女・e16090)

■リプレイ

●強襲!
 現場に到着したケルベロス達は、眼前に広がるみかんの木々に隠れながら、小屋の様子を確認していた。良く晴れた日光を浴び、みかんの木は爽やかな香りを放つ。
「いい香りです。そして、なんと美しい果実だろうか」
 ケドウィン・アルカニクス(劇場の怪人を演じる地獄の番犬・e12510)は、木に生っているみかんを手に取り眺める。
「本当は周辺の地図を入手できれば良かったのですが……」
「餓鬼堂殿、仕方が無いのでありますよ。でも、何とかなりそうですなー」
 双眼鏡を片手に持って、小屋の様子を確認している餓鬼堂・ラギッド(探求の奇食調理師・e15298)の言葉に、自分たちの上方にある小屋を見ながらグリム・シドレクス(ムジカ・e01303)が返す。グリムの言う通り、小屋は斜面の緩やかになった中央付近にぽつんと立っていて、他にはみかんの木々のみである。小屋の造りも簡単な構造な様で、どうやら準備はそう必要ではなさそうであった。
 ケルベロス達が暫く小屋の様子を見ていると、ちらちらと派手な色の蝶の羽根らしきものが小屋の窓から見えていることを発見した。その様子から、どうやら、被害者が捕まっているであろうカゴ状の檻が中央にあり、その周りをローカストが飛んだり、羽根を休めたりしているようであった。
「では、手はず通り参ろうかのう」
 エスツーイ・フールマン(シルバーナイト・e00470)がそう言い、みかんの木から身体が見えないように、腰を屈めた状態で前進していく。
「……この体勢は堪えるのう」
 そう言いながらエスツーイは、すすっと前に出て行く。
「おいらも行くだぁよ」
 銀山・大輔(暢気なウェアライダー刀剣士・e14342)もそれに続いていく。
「では、私も……。鋼、キティエリスを守れよ」
「任せろ。キティエリス、もしもの時は俺を盾にしろ」
 サルヴァドール・ナイトフード(無貌・e00934)の言葉に、黒鉄・鋼(黒鉄の要塞・e13471)は当然の様に答える。それを聞いたキティエリス・ジョーンズ(日常の少女・e16090)は、よろしくおねがいします、と言おうとする。しかし、声がかすれ、あまり聞き取ることができない。
「キティエリス。大丈夫か?」
 サルヴァドールが怪訝な声を仮面を向けながら聞く。
「だ、だいじょうぶ。です……」
 キティエリスはそう言いつつ、足元がおぼつかない。彼女はこの依頼がケルベロスとしての初任務であった。幸い、同じ師団の人間が多かった為に、少し安堵はしている。しかし、いざ任務の地に立ち、デウスエクスを目の当たりにすると、不安が先に立つ。
「こ、これも勉強です。がんばります」
 キティエリスは何とかそれだけを言い、傾斜を上っていく。それを見ながら、何も言わず鋼が横に並んで進んだ。
 小屋にたどり着いた一行は、それぞれを確認し、うなずく。ざわりとした風が、みかんの木を駆け抜ける。
「皆様、まずは被害者の保護と避難を……」
 ラギッドは声を出さず、身振りでそれを伝えた。
 ギュイイイイイイン。
 突然、チェーンソー剣を持ったサルヴァドールが小屋の外壁を破壊する。派手な音を立て、大きな穴が開く。それを合図に、グリム、鋼、ラギッド、キティエリスが突入していく。ケドウィンはそれを見て、みかん畑に姿を消した。
 小屋へ突入した四人が見た光景は、サルヴァドールの攻撃で飛び散ったみかんの香りが漂う中、部屋の中央に2メートル四方のグラビティで出来たカゴ状の檻が見え、そして大きなアゲハチョウがこちらに向かって来ている所であった。ローカストはそのままラギッドに長いストロー状の口を伸ばして突く。
「おおっと、それは想定内でしたよ」
 ラギッドは、その攻撃を身を翻してかわし、そのまま羽根に向かって指先を突き出す。その指先は羽根をかすめ、ローカストの鱗粉が舞った。

●男とは
 キティエリスがラギッドとグリムに雷の鎧を纏わせ、鋼はキティエリスの前に立った。
「あー、やっとしゃべれますー。私息が詰まると思いました。さあさあ、冬のみかんは風邪予防に骨粗鬆症にガンに美肌にチョー大事でございますッ! 農家の皆様を襲うと言うことは、即ち! 全人類の敵でございますッ!」
 グリムは今までの鬱憤を晴らすかのようにしゃべくり、ブラックスライムから黒い液体を飛ばす。しかし、その液体はローカストにひらりとかわされてしまった。
「きー! あたりませんかー!」
「グリム!」
「なんで御座いましょう?」
「静かにしろ!」
「一寸ぐらい良いじゃないですかーッ!」
 グリムに容赦なくツッコんだ後、鋼は両腕に装着した籠手型音波兵器をローカストに向け打ち出す。
『目標捕捉、バンシーボイス起動!』
 彼の放った音波がローカストに衝撃を与えた。ローカストはそのまま視線を鋼に向ける。
「こっちに来い!」
 鋼はそのまま入ってきた穴に再び戻り、小屋を出る。すると、ローカストはそれを追い、小屋を出て行った。
「出てきただぁよ!」
「よし、救出じゃ!」
 大輔とエスツーイが、ローカストと入れ替わるように小屋に入っていく。
「エスツーイ様、銀山様、そちらはお願いいたします!」
 二人が小屋に入った時、ラギッド、グリム、キティエリスとすれ違い、ラギッドが声をかけた。
 カゴの檻では、一人の初老の男性と、二人の婦人の姿があった。三人とも、なんとか意識はあるが、ぐったりとしている。
「ふぬぅ!」
 大輔がグラビティを纏った拳で、カゴの檻を破壊し、エスツーイが三人に声をかけた。
「大丈夫か? 今、助ける。わしに捕まるんじゃ」
 エスツーイはまず、初老の男性を担ごうとした。しかし、男性はエスツーイの手を取ろうとしない。
「待ってくれ……わしより、このお嬢さん方を先に」
「気持ちは分かるが、まずはご老体。お前さんを先に……」
 エスツーイは、まずは歳のことを考え、先に男性を救おうと考えていただのが、思わぬ言葉にはっとすることになる。
「そりゃまあ、このお嬢さん方も若くはないが、少なくともわしよりは長生きするじゃろ。それに、お主にご老体呼ばわりはされたくないわ」
 男性はそう言い、ニカっと笑う。
「男とは、そういうもんじゃろ。ここのみかん畑の長としてもな。大事なときにどうすべきか、分かっているつもりじゃ。……伊達に歳はくっとらんよ。さあ、行ってくれ」
 エスツーイはその言葉に、少し目を瞑った。
「その心意気、感服したわい。では、わしも気合を入れるとするかのう」
 エスツーイはそう言うと、ケルベロスチェインを使い、園長を背中に縛り付け、婦人二人を両腕で軽く抱え込み、怪力無双を発動させた。
「三人くらいは、余裕じゃ」
 エスツーイは三人を抱えながらも、軽い動きで立ち上がった。
「エスツーイさん。今ならいけるだぁよ!」
 大輔は小屋の穴から様子を伺い、今度は戦いが継続している方向からは逆になる玄関の扉を開け、エスツーイに報告する。大輔はそのまま玄関を出て構えを取った。
 それを聞いたエスツーイは、うなずき、ゆっくりとした足取りで玄関を出て行った。

●誓い
「こちらで御座いますよ! 害虫は駆除ッ駆除ッ!」
 グリムがローカストに、スターゲイザーを飛ばす。それを飛行しながら避けるローカストだが、上方からサルヴァドールのハートクエイクアローが飛んでくる。
「私はサルヴァドール、奇襲の無礼を詫びよう」
 そう言いながらも、攻撃の手は緩めない。ローカストはその攻撃を受け、よろめく。
 ケドウィンはその様子を見つつ、みかん畑を颯爽と移動していた。ケドウィン自身の身体からは地中やみかんに向かい、ブラックスライムが伸ばされている。
「蜜柑は炬燵の妖精ですねぇ。美味しさと愛らしさは無限大ですよグリム様」
 ラギッドは自分自身も飛行し、ローカストに向かって炎を吐いた。
 ローカストはその熱に少しひるみ、地上へと降り立つ。そこへ、キティエリスが雷を放とうとするが、上手くグラビティを扱うことができない。
「キティエリス。あまり無理をするな。回復してくれるだけで良い」
 それを見て鋼がキティエリスに話し掛ける。キティエリスはうなずくが、その表情は硬かった。
 すると、ローカストが羽根を広げ、振るわせ始めた。
「破壊音波です! 防御を!」
 ラギッドがそう言うと同時に、破壊音波が鋼とキティエリスに向かって放たれた。鋼はキティエリスを庇いながら、その攻撃を全身で受け止める。
「……ぐ!」
 鋼の膝が落ち、苦痛の声を上げるが、鋼はその攻撃を何とか耐え切った。
「鋼さん!」
 キティエリスが鋼に駆け寄る。しかし、鋼の取った行動に、キティエリスの目が大きく開かれた。
「……え!?」
 鋼が自分のアームドフォートをキティエリスに向けたのだ。鋼の仮面の眼の光が泳ぎ始めていた。
(「止めろ!」)
 鋼はその行動を制止しようとすべく、かすかに意思の残った左腕で砲身を押さえ込む。
(「大切な者を護ると決めたのだ」)
 しかし、右腕はその意思に逆らい引き金を引こうとする。
「止めるんだァ!!」
 止められないと悟った鋼は叫び、とっさに左手を砲身から外し、その勢いで自分の顔を殴った。
 ドウン!
 殴ると同時に、砲身から弾が射出される。しかし、殴った勢いで鋼がバランスを崩した為、弾はあらぬ方向へ飛んでいった。
「……鋼……さん?」
 キティエリスはガクガクと震えながらも、鋼に話し掛ける。
「大丈夫、だ。すまない。怪我は、無いか……キティエリス……」
 鋼は仮面の下で激しく息を突く。仮面の内側から汗が滴り落ちた。
「まぁーったく! しっかり頼みますよッ。黒鉄殿」
 グリムはブラックスライムを器用に使い、みかんの木や地面に突き立てながら、ローカストの攻撃がそれ以上二人に向かないように警戒し、鋼とキティエリスに近寄っていく。
「迷惑をかけた。大丈夫だ」
 その様子を確認し、サルヴァドールは再び上方から弓の一撃をローカストに放った。その攻撃は、ローカストにかわされたが、注意をこちらに向ける為のものであった。

●山中のティータイム
 サルヴァドールに対し、ローカストがストローの口を伸ばしながら突っ込んでいく。
 ギィン!
 構えを取ったサルヴァドールの前で、金属音が鳴り響いた。
「盾は……騎士は遅れてやってくるものじゃ! ローカストの戦士よ! わしが相手じゃ!」
 エスツーイがゾディアックソードで、ローカストの口を弾いたのだ。そこへ、大輔の大きな影がローカストに近づく。
「もうそろそろ、静かにするだぁよ!」
 大輔のバトルオーラを纏った拳が真横から襲い、ローカストを吹き飛ばした。
「被害者のみんなは、もう大丈夫だぁよ!」
 大輔は大きな声で叫び、被害者の無事を知らせた。
「遠慮なく行くぞ!」
 エスツーイはそのまま一気にローカストとの距離を詰め、ゾディアックソードを振り下ろす。ローカストはその一撃をジャンプしてかわすが、空中で動きがぴたりと止まり、羽根がブラックスライムの溶液で溶かされていく。
「さぁ♪ 美しき♪ 我が巣の中で♪ 踊れ♪ もがけ♪ 踊れ♪ 苦しめ♪」
 ケドウィンが先程まで暗躍していたのは、このブラックスライムで出来た巣を、蜘蛛の巣の罠の様に張り巡らせる為だったのだ。
「そちらにも思うところはあるのだろうが、こちらにも事情はある。次は侵略ではなく、交渉をしたいものだ……」
 サルヴァドールはそう言いながら、容赦なくチェーンソー剣を羽根に向かって振り下ろした。ローカストから片方の羽根がもがれていく。
「蜜柑を汚した罪は重い。蜜柑をむくように、貴様の部位を剥いで喰らってやる」
 ラギッドは静かに近づきながら、全身から歯牙の生えた胃袋を出現させていく。
「いよっ! 待ってましたー!」
「グリム……」
「はい、なんでしょうか? エリス嬢に砲口を向けた黒鉄殿?」
「……何でもない」
 茶化すグリムの言葉に、何も言えなくなってしまう鋼。本当はデータ取得の為にラギッドに少し残して欲しかったのだが、それも言えなくなってしまった。グリムは少しやりすぎましたかね、と思いながらラギッドの捕食を見守った。
『煮ても焼いても食えない輩は踊り食いだ』
 ラギッドの歯牙が、ローカストの身体の周りから削ぐ様に食らいついていき、とうとう最後の一片にいたるまでを食い尽くしたのだった。

「たはー! このみかんは甘いですねー!」
「はははっ。気に入ってくれたかの」
「このみかんは、こだわりを感じるだぁよ!」
 みかん畑の園長にみかんを振舞われ、グリムと大輔は感嘆の声を上げる。
「さあ、紅茶が入りましたよ。しかし、ここのみかんは美しい……」
 ケドウィンはグラビティを使い、オレンジティーを淹れた。オレンジではなく、みかんの香りではあるが、それもまた爽やかである。
「キティエリス。初仕事はどうだった?」
 サルヴァドールがキティエリスに尋ねる。
「はい……何とか、ようやく緊張から解放されてきたところですが、まだ……」
 キティエリスは、そう言いながら足をさする。少しまだこわばっているようだ。
「エリス様、そんな貴方に、こういったものを用意しましたよ」
 ラギッドはそう言って、一つの大福を差し出す。
「蜜柑大福です。是非召し上がってください」
「えー! 餓鬼堂殿。エリス嬢だけですかー!?」
「もちろん、みなさんの分もありますよ」
 グリムの言葉に、ラギッドがテーブルに用意した大福を差し出す。
「餓鬼堂殿。良い仕事をするもんじゃ」
「恐悦至極でございます」
 エスツーイが大福をほお張り、ラギッドに礼を言う。
「蜜柑のない炬燵などルーの無いカレーのような物。これからの時期の大事な食材ですからね……。そういえ黒鉄様は?」
 自らも大福を口に運びながら、姿の無い鋼を探すラギッド。
「さっき外に居たのを見ただぁよ? 呼んで来ようかなぁ」
「あー。大丈夫だと思いますよー。少し落ち込んでいるだけですからー」
 探しに出ようとする大輔を静止するグリム。その話を聞いたキティエリスが、はっとして外に出て行った。
「男前ですねー」
 グリムはそう言って、紅茶をすすった。心から仲間を信じているから出てくる言葉。それは何物にも変えがたい事を知っているから。一同はそれ以上しゃべらず、静かな時間が経過していった。
 数刻の後、鋼をつれたキティエリスが帰ってきていた。その空間にはいつもの空気が流れ始め、賑やかな笑い声が響く。
 みかんの甘さが引き立つこの時期。事件を解決したケルベロス達は山を後にしていった。手には大量のみかんを抱えて。

作者:沙羅衝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年11月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 8
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