七彩甘味

作者:東間

●厄災
 ――朝。
 駅周辺や構内は出勤・通学ラッシュで賑わう時間だが、街の中は比較的静かで、広い道路を行く配送トラックらの音がやや目立って聞こえる程度。
 ゲームセンターにレストラン、様々な店舗・施設の入った高層ビルの並ぶ通りが人々で賑わうには、もう二時間は要る――そんな時間、その通りにズンッと大きなシルエットが立つ。
「ここが地球かぁ。よくわからない匂いがあちこちから……んん、これは石っぽい。ここ狭いけど道か? この柱は……うわ抜けた。こっちは……んがっ、臭っ!」
 ぎゅむ、と顰めっ面をしたエインヘリアルは「臭っ」と言った場所、排水溝から顔を離して、おや、と周囲をキョロキョロ。
「何だ? 甘い。いい、匂いだ。……その前に、そらっ」
 ぱらぱらと逃げ始めた人々が斧で払われ、一斉に吹っ飛んだ。壁に真っ赤な色が広がり、ずるずる滴り落ちていく様をエインヘリアルは鼻の奥で嗤い、歩みを進める。その先には一台のトラックと、煌めく甘味でいっぱいの番重を抱えた男女が数名。
「なあ、持ってるものをこのヤートに寄越せ。殺すのはそれからだ!」

●七彩甘味
 過去にアスガルドで重罪を犯したエインヘリアルが、地球に放たれ人々を襲う。
 ラシード・ファルカ(赫月のヘリオライダー・en0118)からの報せに、八千草・保(天心望花・e01190)は、はぁ、と溜息を零した。
「琥珀糖イベント当日に、随分と大きな水を差しに来はったようで……」
 琥珀糖――溶かした寒天に砂糖などの甘味を加え、着色料、かき氷シロップなどで色付けし、固めた菓子だ。
 形は様々で、ちぎれば鉱石。包丁で綺麗にカットすれば宝石タイルかクリスタルの柱。型抜きを使ったなら、魔法の欠片や不思議な生き物のよう。
 食べる宝石と言われる琥珀糖は、美しい見た目とその作りやすさから、年々人気が高まっているので、イベントの参加者数はなかなかのものになるだろう。
「ただ、イベントが始まるより二時間早いお出ましでね」
 居合わせてしまった人々の数は、日中、賑わっている時と比べ圧倒的に少ない。それでもゼロではない為、到着したら避難誘導は警察に任せ、ケルベロス側は攻撃する事で敵の気を惹くのがいいだろう。
「君達が仕掛けていれば向こう……ヤートは君達と戦うので手一杯になるだろうしね。琥珀糖の搬入に来た人との間には距離があるし。さて、ヤートの武器はルーンアックス、ポジションはクラッシャーだ」
 戦場となる道路の広さをヤートは狭いと感じていたが、ケルベロスからすれば十分。
 そしてヤートは使い捨て戦力として放たれている為、不利になっても撤退する事はない。
 人々と琥珀糖イベントを守るという意味でも、攻撃し続ける事がベスト――と、二つの事を口にして笑ったラシードに、保も微笑んだ。
「琥珀糖イベントは、製作された方も一般の方も、楽しみにされてるんやろなぁ。それを壊されるんは、嫌やねぇ」
 人々の命も、未来も、甘く煌めくひとときも。
 全部纏めて、守りに行こう。


参加者
ティアン・バ(さいわいのよぶ・e00040)
八千草・保(天心望花・e01190)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
サイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394)
蓮水・志苑(六出花・e14436)
桜庭・萌花(蜜色ドーリー・e22767)
楠木・ここのか(幻想案内人・e24925)

■リプレイ

●禍色
 地球に放たれたアスガルドの罪人。ヤートという名のエインヘリアルが斧を揮うより前に、甘い匂いに気付くより速く、一気に巡った黒鎖と雷孕んだ旋風の音が響き渡る。
 何、と反応したヤートを射抜くのは、守護を描き終え佇むティアン・バ(さいわいのよぶ・e00040)の眼差しと、逃げ行く一般人を背に庇って笑むキソラ・ライゼ(空の破片・e02771)。
「……お前達、邪魔だなぁ。俺はこの甘い匂いのものが欲しいんだよ」
「ワガママ言うて駄々こねちゃあいけないネ。さくっと、退場してもらおっか」
「ああ。お前にやれるものは無ぇよ」
 ラウル・フェルディナンド(缺星・e01243)の呟きに、朝の街を翔た銃弾が煌めく軌跡を残して。次の瞬間には何発もの銃弾が斧構えた巨体を貫き、鮮やかに迫った少女の揮う刀が月を描き肉を斬る。
「此処から先へは行かせません」
 ひゅっと散った赤の向こうを見据える蓮水・志苑(六出花・e14436)は、ただ凛と。
 それを見下ろすヤートが、にたりと嗤う。
「へぇ。お前達が、『そう』か。思ったより小さいな」
「そうですか。ですが、人々がこの日の為に用意したこの場を壊させはしません。あなたのお相手、私達がいたします」
「そーゆーコト♪」
 志苑の後に桜庭・萌花(蜜色ドーリー・e22767)は楽しげな声で続き、竜槌の姿をがらりと変え、くすっ。
「よそ見、しないでね?」
 可愛らしいお願いは轟く竜砲弾と共に。ヤートの低い呻き声は煙の向こうから。それが笑い声に変わっていく。
「ああ、いいよ! いいとも! 応えてやる!」
 アスファルトを乱暴に蹴り、振り上げられた斧が眩い輝きを宿すやいなや、ヤートは真下にいた萌花目がけ叩き込んだ。手応え有り。だが。
「!」
 一撃見舞ったそこから放たれた、実態無きどす黒い刃の反撃はモノクロの青年から。「ありがと」にサイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394)は「おぅ」と手を挙げ、不敵に笑う。
「キレーとかカワイーとかは、より強えヤツのモンなわけ。おたくの星でもそうだろ?」
「……ハハ。あぁそうだよ。勝った奴が、強者が全てを手に入れる!」
「でもデウスエクスの襲来で客足が遠のいてしまうのは……!」
 楠木・ここのか(幻想案内人・e24925)の心配に八千草・保(天心望花・e01190)は、うん、と頷く。沢山の琥珀糖が会するそこは、きっとからふるで、綺麗だ。見るのも食べるのも楽しみな自分と同じく、人々も待ち遠しい筈だから。
「せっかくのいべんと、邪魔するのは見過ごされへんね」
「はい! デウスエクスも不景気も吹っ飛ばしてしまいましょう!」
 自分達ケルベロスがいれば大丈夫。それを、今日も現実にする!
 ここのかの手がぽちりとスイッチを押せば、前衛陣の後ろで景気良い色彩の爆煙が派手に上がり、ここのかの纏う純白ロマンティックチュチュもふわふわり。テレビウム・アジュアも『顔』にきらきら輝くお楽しみを映して、サイガをめいっぱい応援する。
 踊るような二人の姿に保は思わず微笑み――静かに瞳を閉じる。全身から溢れたオウガ粒子が、星々のように煌めきながら前衛陣を包み込んでいった。

●牙色
 自身の周りに黒鎖を奔らせるティアンの眼差しは、くゆる煙のようにどこか朧気でもヤートから離れない。あのエインヘリアルがいては、数時間後に人々を出迎える甘い匂い以外のものも、悪戯に潰されてしまうだろう。
「――……おい、何だよ、その目は」
 一歩。重い一歩が刻まれかけたそこに柔らかな春色が、秋色の友連れた薄花桜が一瞬で飛び込んだ。
「そんなよそ見……してていーの? アンタの相手はあたしだよ?」
「私とアジュアもいますよっ!」
 感覚までも削いで貫くような萌花の蹴撃に、ここのかとアジュアが間髪入れず攻撃を叩き込んでいく。やればできる。やれば、琥珀糖イベントが待っている。
 右から左から上からと続く連係攻撃にヤートが苛立たしげに唸り声を上げ、跳んだ。アスファルトが割れて陥没した、その範囲内。お、と見上げたサイガを小さな『盾』が飛び込んで守り抜く。
「くそっ、邪魔が入ったか」
「おい、アジュアサンに邪魔とか失礼なコト言うんじゃないよ」
 本心からの言葉がキソラの精神をより研ぎ澄ましてくれる。言い終わると同時にヤートの右肩で爆発が起きるさなか、アジュアはん、と優しく声をかけたのは癒し手の一人、保。
 アジュアの頭に叩き込まれた一撃は強力だが、ティアンが送った守りの加護とポジションが作用し、ちっちゃな仲間は既に立ち上がっている。受けた傷も輝く盾によって一気に癒えれば、もう大丈夫。
 今後も任せてと言いたげにバールを振る姿に志苑は微笑みながら頷いて。
 ――バチリッ。
 氷の霊力に『雷』が重なったのとほぼ同時、志苑は捉えるのも困難な突きをヤートの正面から見舞い、その反対側。背後に、もう一人。
「観光は楽しかったかあ? せっかくだしどうよ、地球の土の味も覚えてったら」
 イチオシだ。
 振り返ろうとしたヤートの頭をサイガが蹴り飛ばし――。
「サイガおにーさん、ここだと土じゃなくてアスファルトじゃない?」
「あー。そういや土ほぼねーなここ」
 萌花の声に気付いた段階で、ヤートはアスファルトの上を派手に転がった後。
 それでも斧を突き立て荒々しく立ち上がる様は、流石エインヘリアルというべきか。そして欲望のままに殺戮を行おうとするのも、アスガルドで重犯罪を犯した者なら当たり前の行動かもしれない。
 それを見たラウルが思い出したのは、予知の中、ヤートが甘い匂いのもと――琥珀糖を得ようと、まずは戯れに人々を殺した事。幻想的な煌き踊らせる甘味にはラウルも心惹かれるものがある。故にヤートが惹かれたのも、解る。解るが。
 風のように速く。足元を蹴り、流星を宿す。防ごうと突き出された斧に手を突き、跳んだ勢いで星の蹴撃を叩き込めば、ヤートの口から喉を絞めたような悲鳴が出た。
「おま、えッ」
「人々の命を穢す無粋な輩には、一欠けらの彩も見せやしねぇよ」
 痛みに呻いていた顔が、その言葉にカッと怒気を浮かべ――嗤う。転がされてもなお離さなかった手がぎしりと斧の柄を握り締め、
「させない」
「退場させる、って言ったでしょ」
 ティアンが指先でパシッと放った礫が。キソラがフルスイングしたお気に入りの凶器が。斧とヤートに、容赦ない傷を刻み付ける。

●甘色へ
 一撃叩き込めば癒しが飛び、己に破壊のルーンを宿してもすぐに砕かれる。
「あああぁッ! くそ、くそ!!」
 やってもやっても、やってもやってもキリがない。
 苛立ちや怒りを露わにするヤートの攻撃は荒々しさを増していた。それはケルベロス達の作戦や心の繋ぎに穴は無し、という何よりの証。
「ンだよ、図体は立派だけど勢い落ちてっし」
「舐めた口を――!」
 斧が風を切り、空気を低く唸らせる。サイガの頭から全身まで砕こうとした一撃を受け止めれば、当然痛みが走る。しかしそれは、肉体や武器に刻まれたものによって本来の勢いを欠いていた。
 かといって、割り込み受け止めたキソラも庇われたサイガも、心の内では舐めてなどおらず。
「ちゃっちゃと終わらせンぞ」
「うーい」
 交わして即、一撃。もう一撃。その間に、ここのかは最初の時のように仲間の背を押す爆煙をドカンと巻き起こし、アジュアの琥珀糖な応援動画が彩りを添えていく。
 油断せず、ここから先をしっかり守る為――今は人々が避難し、戦いの音のみ響くここに日常を取り戻し、きらきらと甘いひとときを迎える為。ケルベロス達は攻撃と回復の手を弛めはしなかった。
 この日の為に作られた琥珀糖は、色、形、味――そして、匂い。どれもが特別だろう。目の前のエインヘリアルの鼻がそれを嗅ぎ取ったのかどうかは、保にはわからないけれど。
「……せっかくの味覚やし……お兄はんも味わっていったらどないです?」
「っ、は。そりゃあいい。けど、」
 他のものも楽しまないと、この腹は膨れない。
 見下ろし、嗤う顔が語る『他のもの』は何なのか。問わなくてもわかってしまう。保は瞳をほんの少しだけ細めて、力を練り上げる。
「せやったら、やっぱり決まりやねぇ」
 巨体の奥底へ一瞬で投射したのは、痛みを与えるだけでなく癒しも阻む神殺しのウイルス。沸き上がった感覚にヤートが胸を押さえ呻いたそこを、ラウルの斬撃が断つ。ラウルの武器に『憑』いていたものが一斉にヤートの肉体へとなだれ込めば、呻き声は悲鳴に変わって。
「惹かれたのだろう甘い匂いは、お前のものには、ならないよ」
 ゆらりと感じた気配と、声。弾かれるように振り向いたヤートの視界の外、背中の中心にティアンの操る黒鎖が深々と突き刺さった。
 喰らい付いて掻き斬ったそこに、ふふっと落ちたのは小悪魔のような甘い笑い声。
「ねぇ、おにーさん、こんなのは、どぉ?」
「な……!?」
 萌花の声と共に幻想の白茨がたちまち伸び、抱き締めるように絡み付いて。
「それと――じゃあね」
 一気に広がった瞬間、罪に濡れたエインヘリアルの魂が千に裂け、肉体と共に滅んでいった。

●七彩の、
 現場をしっかりと癒して日常に繋いで、暫し。
 搬入も開店準備も終えたビルがその入り口を開けば、待ちに待った時間がやって来る。
 食べられる宝石閉じ込めた箱が行儀良く並ぶ上、硝子ケースの中で作り手自慢の琥珀糖が顔を見せていた。沢山の彩がここのかの瞳に映れば、目は見る見るうちに丸くなり、エルフ耳も嬉しそうにエンドレスぴこぴこだ。
「わわーっ!! 琥珀糖ってこんなに綺麗で可愛いんですね! なんだか食べるのが勿体ないような気も……!」
「わぁ、きらきらしてる……」
「見目、色々あるな」
 思った通り、からふるで綺麗。魅入る保の横、ティアンも並ぶ色彩を灰色の瞳に映して物色開始。と、横からサイガがぬっと手を伸ばす。
「コイツらコンビニでは見かけんな」
 手にした千代紙柄には、用意されている『試食用』シール付きと同じ菱形が入ってるらしいが、その隣には琥珀糖の作り方という張り紙が。
「んな手ぇ込んでんの? はぇー……」
 読み進めれば驚きと感心が混ざった声。反応にくっくっと笑ったキソラは、振り向かれる前にあーゴホンゴホン。誤魔化しは成功。
「琥珀糖って味はミンナ同じだと思ってたケド、随分色々あるモンなんだなあ」
「どれにしようか迷うよね」
 微笑むラウルの目に映る琥珀糖は様々な甘い彩りで煌き、一つ一つに作り手の個性が現れる甘き幻想。まるで色の洪水に溺れるようだ。
 皆の視線を見守っていた双眸がふと止まった頃、琥珀糖を見ているだけで心躍らせていた志苑は、過ぎた季節から連れて来たような桜色の琥珀糖に笑む。
「茶道でも時々茶菓子として琥珀糖を出しますが、此方で出されているものは普段見ないものが多いですね。噂によると、ホワイトチョコレートの琥珀糖は大変癖になるそうです」
「へぇ、チョコ? ホント色々あんね。どんな味かちょっと想像つかな……あ? アイツは?」
 姿探してあちこち目を向ければ、少し先に。じ、と眺めるサイガの姿はジュエリーの原石求めるハンターのようであり、宝物一直線な少年のようでもあり。
「此れも良いですね。試してみませんか?」
 お邪魔しないようにと志苑は声を掛けず、試食してみたそれを保にも勧めてみる。淡い琥珀色の薔薇をぱくりといった保の目が、ぱちり瞬いた。紅茶のものだけでない香りが豊かに広がり、笑顔がほろりとこぼれていく。と、目に付いたのは魚形。
「こないな形もありますのん……?」
 小さくて可愛らしい。試食とはいえ食べるのが勿体無いけれど。
「頂きます。……わ、これ、不思議なお味……何やろ、ソーダ? 志苑はん、ちょっと交換してみぃひん?」
「はい、是非」
 あたしは何にしよっかな、と巡っていた萌花の視界に、ケースの中で輪を描くハート達が華麗にイン。
「へぇー、フレーバー付きのもあるんだ?」
「萌花に似合うな」
「ふふ、ありがとティアンちゃん。ね、これキレー。果汁使ってるんだって」
「果物の甘いの、すきだ。そっちの、花のシロップのもきっといい匂いだろうな」
 ティアンが指したのは、前向け前で並ぶ色違いの小鳥達。
 他には、と行きかけた足が止まった。赤と橙揺らめく星々がパズルのように収まるそれからなかなか視線を外せない。自然、店員もそれに気付き、となると買わない訳にもいかず――そして白いシルエットが朱色の琥珀糖で再び止まるまで、そう時間は掛からない。
 宜しければ試食どうぞ、で「はっ」と揺れたのはここのかの肩。見惚れるあまり、試食の二文字が意識外に行っていた。じゃあ、と空色に似た琥珀糖をぱくっと食べれば甘味が優しく駆け抜けていく。
「へぇぇ、食感も不思議ですね。外はシャリッと中はとろとろ……」
 作ってプレゼントしたら? 想像したその続きは、喜ぶ誰か。
(「今度挑戦してみようっと!」)
 ラウルの手には、甘酸っぱい春の欠片抱いた柔らかな薄紅色の琥珀糖と、甘く瞬く金の綺羅星、移ろう空生まれの猫達。檸檬リキュール世界の中、月魔法に包まれたオレンジピールは留守番している『彼』のようで。つい、眦を緩める。
「ね、皆はどんな琥珀糖を?」
「あたしはコレ。色ごとに果汁とかシロップで味が違うみたい」
「私はやはり、これでしょうか。頂くのが楽しみです」
「わわ、素敵ですね!」
「お、どっちも美人サン。撮ってもイイ?」
 ここのかのターコイズブルーが輝く先には萌花の煌めく宝石のような琥珀糖と、志苑がずっと気になっていたというホワイトチョコの琥珀糖。
 目で見ても綺麗な色形を笑顔で撮ったキソラが、やっぱりこれ、と選んだのは空のように美しい青のグラデーション。甘い物は平気だったろうか。ティアンは内心首を傾げるが、満足そうな笑みの先にシャッターを切る姿が浮かべば、ん、と納得顔。
「ね、ちょっとずつ交換ことかしてみない?」
「萌花に賛成だ。キソラのはどこにあったの。あとサイガはすきだろう、こういうの」
「しゃあねえなあー、同レートのヤツなら代わりにやんよ」
「センセー、そう言いながら一つくすねてますー。お返しに味見しちゃる」
「あ、テメ。ん? それどこ売ってた?」
 賑やかになりながら齧った一つは、多分、夏の味。
「ほんま、宝石を食べてるみたいやねぇ。シャリっとして、ぷるんと……食感も美味しぃ」
 保はまだ迷っていた。そっと目を向ければ、七彩がきらきらり。
 迷うけれど。決めた事も、ひとつある。
(「……お土産にも、買うて帰りましょ」)

作者:東間 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年5月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 4
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