グランドロン迎撃戦~強襲!グランドロン!

作者:沙羅衝

 ここは大阪城。とは言え、現在は攻性植物のゲートが存在し、ユグドラシルの一部となっている。
 その大阪城周辺で、数名のデウスエクス達が一堂に会していた。リザレクト・ジェネシスの戦いで5つに砕かれたグランドロンは、それぞれの欠片の主が存在する。
 ダモクレスの進化を目論む科学者、ジュモー・エレクトリシアン。
 マスタービーストの継承者を自称する乱戦忍軍、ソフィステギア。
 寓話六塔の座を虎視眈々と狙う、第七の魔女・グレーテル。
 女性の地位向上に取り組む、エインヘリアルの第四王女・レリ。
 そして、第二王女ハールである。
 彼女等は、ハールの招聘に従って集結しているのだ。とはいえ、当然全員が仲間という訳ではなく、互いの利が一致しただけだ。ただ、その利でも同盟を組むには十分な理由でもあった。
 彼女等の次の作戦は、ドラゴンを懐柔して勢力に加える事となっていた。ドラゴンは竜十字島で定命化の危機に瀕している為、動くチャンスという事でもある。
 多くのデウスエクス勢力を糾合した、大作戦が、今、動き出そうとしていた。

 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)が、集結してくれたケルベロス達を、頼もしそうに見渡し、そして口を開いた。
「みんな、アイスエルフ救出戦お疲れさんやったで。おかげでアイスエルフのコギトエルゴスムと、数百人の女性アイスエルフを救出する事ができた。有難うな」
 絹は頷きながら言う。どうやらケルベロス達の士気も上がっているようだ。
「んでや、そのアイスエルフのみんなから、新しい情報が得られたで。どうやら第二王女ハールを含む複数の勢力が、グランドロンと共に大阪城に集結しようとしているみたいやねん」
 絹の情報に、流石のケルベロス達にも、緊張感が走る。
「その勢力は攻性植物、エインヘリアル、ダモクレス、螺旋忍軍、ドリームイーターの5勢力や。想像してくれたら分かるけど、デウスエクス達が同じ様に行動してるって事は、かなり危険な状態になるって事は分かってくれると思う。
 しかもそれだけやない。攻性植物と第二王女ハールは、『限定的な始まりの萌芽』を引き起こして、ドラゴン勢力の拠点である『城ヶ島』をユグドラシル化する事で、竜十字島のドラゴン勢力も、自勢力に引き込もうとしている事が予知で分かった」
 絹はそこまで言うと、タブレット端末に目を落とし、情報に漏れが無いかチェックしつつ、再び口を開いた。
「ドラゴンまでが一つの勢力に糾合されたら、ほんまにヤバイことになる。せやから、出撃してきたグランドロンを撃退して、阻止して欲しい。これが、今回の依頼や」
 絹の説明を、頭で理解したケルベロス達は、では状況や作戦は? と尋ねた。
「うん。まず、敵の作戦内容やねんけど、どうやら大阪城から城ヶ島までの根の通り道っちゅうのが在るらしい。で、そこに莫大なグラビティ・チェインを注ぎ込もうとしてる。そのエネルギーは、ユグドラシルの根を成長させて、城ヶ島のユグドラシル化させることや。
 で、こっちの作戦は、そのエネルギーの注入を行われる5拠点、奈良、伊勢、浜松、静岡、熱海に乗り込んで、グランドロンの3つ以上を撃破・撤退させる作戦になる。
 3つ以上って言うたんは、ユグドラシル化には、3箇所の拠点での作戦成功が必要になるからや。せやから、こっちが3箇所取ってしまえば勝ちになる。制限時間は30分」
 それならば、戦力を集中すれば、幾分か作戦有利に展開できそうだ。と、一人のケルベロスがポツリと言う。
「せやな。それもありや。ただな、その各拠点のグランドロンの宝物庫には『妖精八種族のコギトエルゴスム』がある。アイスエルフの時と同じや。撤退させるだけでも、作戦は成功するけど、制圧すれば当然救出が出来る。それに、有力な敵も落とす事が出来たら、今後の戦いも有利に展開させる事ができるやろう」
 ケルベロス達は、絹の説明を聞いて、成る程と考え込んだ。とすれば、他のチームとの連携も重要になってくると言える。意志がバラバラであると、さらに踏み込んだ作戦は成功できないからだ。
「とりあえず、敵拠点についてやけど、まずグランドロンは各地に着地した時に修繕した歪な形をしてる。これは、5つに分かれた所を修繕しているからになる。大きさは大体200m~500m程度。んで、その着地した時の護衛のデウスエクスが、そのまま警護してる状況や。
 着陸地点については、市街地である事はわかってるんやけど、詳細は不明や。でもまあ、避難は終わってるから、一般人はおらへんから安心してな。
 グランドロンは市街地に着陸した後、全力でグラビティ・チェインを地中に、グラビティ・チェインを送り始める。とすれば、当然そこは無防備になるわけや。そこを狙うで。グランドロンの外壁に、攻撃を集中すれば、外壁を破壊して内部に侵入が可能やし、扉とか脆い所を狙ってもええやえろ。
 グランドロン内部には、コア部分に有力な敵と護衛、そんで宝物庫のコギトエルゴスムを守る守備隊などが残っていると思う。各拠点の状態については、後で説明するから、何処に向かうかを決めて、どんな作戦を取るか、皆で考えてな」
 そうすると、ケルベロス達は、それぞれに内容を咀嚼し、思考を巡らせた。
「攻性植物、エインヘリアル、ドラゴンの3種族が同盟なんか組んでしもたら、ホンマにアカン事になるやろう。せやから、阻止、頼んだで!」


参加者
アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)
千手・明子(火焔の天稟・e02471)
神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)
小車・ひさぎ(ヒラリヒトリキラリ・e05366)
タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)
井関・十蔵(羅刹・e22748)
クラリス・レミントン(夜守の花時計・e35454)
仁江・かりん(リトルネクロマンサー・e44079)

■リプレイ

●伊勢にて
「……でかいな」
「目の前にあると、やっぱりそう感じるわね」
 神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)と千手・明子(火焔の天稟・e02471)は、そう呟いた。
 彼らの目の前にはグランドロンが聳え立っていた。所々が歪な姿をしているのは、絹の情報通り着地の影響だろう。ケルベロス達は巨大な戦艦を見ているような感覚を覚える。
「あのグランドロンの中に、妖精さんのグランドロンが……うぅん、ちょっとややこしいですね」
 仁江・かりん(リトルネクロマンサー・e44079)は少し頭を抱える様子を見せながらも、周囲の仲間達を見る。彼女はまだ9歳。正直、少し心細い感覚はある。だが彼女の仲間は、百戦錬磨の先輩達だ。彼等を見ていると心細さは小さくなり、代わりに勇気がわいてくるのだ。かりんはミミックの『いっぽ』と共に頷いて、前を向いた。
「大阪城から城ヶ島まで根っこ通して繋げるとか、壮大すぎて訳わかんない。ドラゴン含めた六つ巴で喰い合えばいいのに……」
 小車・ひさぎ(ヒラリヒトリキラリ・e05366)は尻尾を水平にゆらゆらと揺らしながら、そう言った。
(「でもあそこに、閉じ込められている妖精族の人が居るんだよね」)
 ひさぎは、この巨大な構造物全体を覆う、様々な人々の想いを感じ取る。ひょっとしたら引き裂かれた母や因縁の相手もいるかもしれない。そう思うと、気合が入った。
「兎に角、俺たちの仕事は陽動なんだぜ。出来るだけこっちに意識が向くように、派手に暴れるのがポイントだぜ」
 タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)は、視界の端にキラリとした光が見えた所で、オウガメタル『xeno possibility』を自らの仮面として変形させ、左腕に装着したガントレットと一体化したドラゴニックハンマー『ligula desire』を構えながら、『ミミック』と共に前に出た。
 タクティの見た光は、数秒後に爆発音として伝わってきた。どうやら他の班が戦闘を開始したらしい。
「井関」
「おう、いつでもいいぜぇ」
「そうか、では頼む。作戦通り俺達が前を張る。後方支援を頼む。勿論、最後まで立ち続けるつもりだ」
 アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)は井関・十蔵(羅刹・e22748)にそれだけ言うと、タクティ、晟、それに明子の隣まで進む。
「まあ、やばい時はそん時だ。それまでは、支えあうっちゅうのも、悪くねぇ……」
 ニヤリと答える十蔵の言葉が終わる頃、目の前にドドド……という地鳴りを感じ、此方に突っ込んでくる敵の姿が見えた。
「クレイドール・クレイドル……! 自壊に特に警戒だね」
 クラリス・レミントン(夜守の花時計・e35454)はその姿を確認し、全体に警告を発する。
 真っ先に現れたのは、『グランドロン』のコギトエルゴスムから力を引き出して強化されたダモクレス『クレイドール・クレイドル』だった。そのダモクレスは、ある程度のダメージを負った後は強化しつつ、自爆するのだ。
 だが、その事は既に知っている。その知っているという事は大きく、物事に対処することが出来るという事でもあるのだ。
「こんなに大勢あげて思いきったことするなんて、敵にはもう後がないって言ってるのと同じだよね。……どのみち食い止めよう、全力で」
 まず向かってきたのは3体。良く見ると向かってきている敵の後方に、更なる敵の姿が確認できた。
「私達、ずっと地球の未来を守ってきたんだもの。どれだけの数が攻めてこようと、負ける気がしないよ!」
 クラリスが気合の言葉を発して構える。周囲から再び、更なる爆発音が自分達の戦場を駆け抜ける。
 ケルベロス達の作戦は、今始まったのだった。

●作戦と陽動
 ドドオ……!!
 爆音とともに土煙が立ち昇った。
「ラグナル!」
 晟の声に反応したボクスドラゴンの『ラグナル』が、ブレスを吐いて牽制を行う。
「いっぽも、ガブっとしちゃってください!!」
 かりんもいっぽに命じ、自らはその地に塗り込められた『惨劇の記憶』を、呼び起こすべく地面に掌を充てる。
『ぼく達は、みんなの命を背負って、みんなの命の上に立っているのです。だから、絶対に、負けられません!』
 すると、かりんの声に応じた無数の骨の手が前を行くアジサイ、タクティ、晟、明子へと絡みつき、自在に動いた後、強固な鎧を形成した。
「うむ。良いものだ」
 晟はその鎧の感触を確かめて、前にずいっと出る。
「では、派手に行くとしよう……」
 既にドローンを展開していた彼は、ドラゴニックハンマー『蒼竜之錨鎚【溟】』を派手に冗談から振りかぶり、目の前のクレイドール・クレイドルを叩きつけた。
 ケルベロス達の作戦は陽動と突入の班に分かれる事だった。出来るだけこちらに意識を向けさせ、内部への活動を容易にするためだ。
『爆ぜろ、"凍星"』
 ひさぎが晟の傷付けた一体に、自らの人差し指に御業を込める。そして敵に突っ込むと、傷口に自らの人差し指を銃口になぞらえて突き付ける。そして、引き金である親指を弾いた。
 ドゥン!!
 寸分たがわずに傷口をとらえた銃弾で、クレイドール・クレイドルは吹き飛んで倒れる。仰向けに倒れた胸からは、氷が発生していった。
「そら……よっと!」
 ドゴォン!
 そして、倒れたクレイドール・クレイドルにタクティが追撃をかける。勢いよく『ligula desire』を叩きこみ、派手に爆発させると、クレイドール・クレイドルは消滅していったのだった。

 ケルベロスの行動は連携、作戦ともに効果的だった。特に、大量の敵に対する行動を心得ていたのが大きかった。次々と敵が増援として送り込まれてくる。だがそれは、ケルベロス達の作戦でもある。望むところだ。
「じゃあ、こっちも派手に行くね!」
 クラリスはそういうと、両手に氷結輪を装着する。氷結輪は、新たに仲間になったアイスエルフがもたらしてくれた武器である。その二つを合わせ、冷気を纏わせる。
 するとその冷気はだんだんと大きくなり、『氷のゴーレム』となった。
「どかーんと、派手にやっていいよ!」
 氷のゴーレムは、クラリスの声に呼応し、一気に戦場へとジャンプして降り立った。
「派手でいいねぇ。ほらよっ、アジサイ。まだまだ油断する……訳ねえか……」
 クラリスの氷のゴーレムが、その腕を振り回している所を見た十蔵が、アジサイに喰霊刀『傍刃』が喰らった魂を、ニヤリとしながら分け与える。
「大丈夫だ。そして助かる」
 アジサイは十蔵にそう言って礼を言い、ライトニングロッド『救雷』をくるりと目の前で回した後に構える。
「あきら、まずは前をこじ開けるぞ」
「そこに突っ込んで来いっていうことね。良いわよ」
 アジサイの声にそう答えた明子は、日本刀『白鷺』を抜刀し、切っ先を一番前にいるクレイドール・クレイドルに向けた。
「援護する。……行くぞ」
 バチバチバチ……!!
 アジサイのその雷が、一番前の2体を打つ。そこへ、明子が突っ込んだ。
『千手の剣を見るがいい……!』
 ふらりと剣尖によるフェイント動作から、一瞬にして放たれる突きであった。その残像が陽炎となり、尾を引くようにクレイドール・クレイドルの胸に伸び、貫いた。その貫いた位置は、敵の急所だったのだろう。悲鳴を開ける暇もなく一瞬にして霧散したのだった。

 ケルベロス達の目的は、この一団を突破することではなく、引き付ける事。派手に動き、追加の敵を引っ張ってくるのが役目だ。
 ただ、こちらの連携はその目的より良すぎたかもしれない。もちろん此方が無傷ということにはいかないが、十蔵とシャーマンズゴーストの『竹光』の力で十分にフォローできた。すると、その分仲間たちは攻撃に加わる事ができるのだ。
「これで最後っと……!」
 ひさぎが残りのクレイドール・クレイドルを、重力を乗せた蹴りで葬った。
「さすが先輩達です。凄いなあ……」
 かりんがひさぎを見て目を輝かせる。すると、その視線を受けたひさぎは、すこし得意げにポーズを決めた。
「小車、まだ戦いは終わってないぞ……」
 叱責しているわけではないが、アジサイはひさぎにそう言った。油断が命取りになることもあるからだ。
「分かってるって。あ、でもまた来たみたいー?」
「新手のようなんだぜ……」
 タクティもひさぎの視線を追って、その敵を確認する。
「次は、竹みてえなヤツだな。攻性植物……か。色々来やがるなぁ」
 そう答える十蔵だが、少し楽しそうではある。
「そのままの陣形で行けそうね。ねえ、やれるわよね? アジサイ、神崎せんせ?」
 すると明子が、今の陣形で良いか、一応メンバーに聞く。
「答えは、分かっているんじゃないのか?」
 晟は、彼女の表情が、既に自分達の答えを確定させていることに気が付いて、ニヤリとしながらそう尋ねた。
「ふふ……一応ね。確認はしておくべきかなあって」
「ハハハ……そうだな」
 明子に笑いながら答えた晟の答えは、やはり想像した通りの答えだった。

●誤算
 竹の攻性植物は、ともかく数が多かった。だが、ケルベロス達の連携はその数を圧倒する。
『セット……咲誇れ愚者の華!晶華ァ!』
 ドォン!!
 タクティが指さした相手が爆発する。するとクラリスもまた、右手で指鉄砲を構えて「ばんっ!」という動きを見せる。
『終わりの、始まりを』
 その見えない弾丸が、攻性植物に命中して、爆ぜた。
『そぉら、よっと!』
 ダメージの前衛に、菊の花弁を舞わせながら吹く旋風を巻き起こす。
「そぉれそれ! 枯れ木に花を咲かせましょう、ってかぁ!」
 その菊の花弁は、ケルベロス達の攻撃の効果をもたらす力を与える。するとその力を受けた前衛達は、更なる攻撃の力を発揮していくのだ。

 こうした攻防が15分ほど続いただろうか。もう既に敵の勢いは衰え始め、ケルベロス達は竹の攻性植物の全てを倒し切っていた。
「まだ、時間はあるわよね?」
「ああ……、そろそろ他の班はうまくいけば突入しているかもしれん」
 明子の問いに、晟が答える。
「ちょいと外壁に攻撃をしておくか?」
 タクティの言葉の真意は、こちらの敵をもっと引き付ける為だ。要は、おかわりを注文しようとしているのだ。
「ぼくは、まだまだいけますよ!」
 かりんは言葉通り元気いっぱいである。
「確かに、もう少し派手に動くためにも、グランドロンに攻撃をする、っていうのは手だよね……」
 クラリスもそういって頷いた。
「あれ??」
 その時、ひさぎが何かに気が付き、しゃがんで地面に耳を当てた。
「どうした小車?」
 アジサイの問いに、頷きながら目をぱちくりさせたあと、ひさぎはそのまま話す。
「地鳴りがする! あと、何か機械音みたい!?」
「なんだと!?」
 晟はその言葉に、ある一つの答えを導き出し、グランドロンを見た。
「……ひょっとして、もう!?」
 明子もそれに気が付いた。
 グランドロンが震え始めているのだ。
 ゴゴゴゴゴ……。
 そして、誰でもわかるほどに、グランドロンはゆっくりと浮上を開始したのだ。

「他の、班は……?」
「分からねぇな。ただ、逃げられたってことは、確かみてぇだな」
 上空に浮かぶグランドロンの姿を見ながら、晟の問いに答える十蔵。
 ケルベロス達は、浮上を開始したグランドロンに向かってグラビティを放ち、何とかこちらに注意を向けようとしたが、その巨大な建造物は止まらなかった。
「アジサイさん。中の妖精さんは、無理だったんよね……」
「この時間じゃあ、無理だっただろうな。最小限の目標である、撤退をさせる事はできた、が……悔しいな」
 ひさぎにそう答えるアジサイは、言葉通り悔しそうな表情を見せた。
「負けはしませんでしたが、確かに悔しいですね……」
 クラリスもまた、同意して頷く。
「まだまだこっちは元気だから、尚更そう思うのかもね」
 明子がそう言葉を紡いだ時には、グランドロンは既に遥か上空で小さく見える程になっていた。
「でも、皆さん、カッコ良かったです! だから、ぼくも頑張れました。きっと次がありますよ!」
 少し重くなりがちだった空気に、思わずかりんがそう言う。すると、タクティはその小さなケルベロスの頭に手をぽんとのせ、全員に話した。
「かりんの言う通り、まだ全てが終わったわけじゃないんだぜ。悔しいが、この借りは必ず返す。それで、次に向かうんだぜ……」
「そうね! 暗くなっても仕方ないじゃない! ね、神崎先生!」
「そう、だな。よし、ひとまず勝利ではあるわけだ。飯でも食おう。まずはそれからだ」
「ちがいねぇ」
 明子の言葉に晟が同意し、十蔵が賛同する。

 きっと次がある。その為にまた、力を蓄えるのだ。
 ケルベロス達は、もう見えなくなってしまったグランドロンを目に焼き付け、帰路についた。
 春風がそよぐ風を感じながら、ケルベロス達は前を向くのだった。

作者:沙羅衝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年5月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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