アイスエルフ救出作戦～敵を翻弄せよ！

■リプレイ

●アイスエルフ救出作戦～敵を翻弄せよ！
　大阪城。今回の作戦は、アイスエルフのコギトエルゴスムの奪取作戦の為の敵の陽動になる。
「今回の報酬はたっぷり貰うぞ」
「無理言ってゴメンね。でも瑠奈ちゃん以外に回復支援を任せらる人いないのよ。報酬はずむから頼りにしてるわ」
　舞阪・瑠奈（モグリの医師・e17956）の言葉に、浦葉・響花（未完の歌姫・e03196）は感謝を伝える。今回の作戦の為に、瑠奈に響花は協力を仰いだのだ。
「防衛班を見つけたよ。騎士団６、攻性植物４……１０体だね」
　クレーエ・スクラーヴェ（白く穢れる宵闇の・e11631）は、敵を発見し、皆に伝える。
「しっかりと敵をこちらに引きつけて行きましょう」
「……任せて」
　四乃森・沙雪（陰陽師・e00645）は頷き、レイシア・アクエリアス（穿つ雪兎・e10451）は、バスターライフルを構えた。他のケルベロス達も戦闘準備に入る。
「陰陽道四乃森流、四乃森沙雪。参ります」
　沙雪は名乗りを上げると、まだこちらに気が付いていない白百合騎士団の１体に向け、光の刀身で斬り伏せる。更に畳み掛けるようにクレーエがゲシュタルトグレイブに依る高速回転攻撃をしかけ、薙ぎ払った。
　突然の奇襲に驚く騎士団達は、直ぐに動きを取れない。
　その隙に、シアライラ・ミゼリコルディア（天翔けるフィリアレーギス・e00736）は、地面に守護星座を描くと響花達に護りの力を与えていく。ボクスドラゴンのシグナスは自らに属性インストールを行い護りの力を高める。瑠奈はケルベロスチェインを使ってクレーエ達の守りの力を高め、シア・アレクサンドラ（キボウノウタヒメ・e02607）は、アリアデバイスを展開して歌を紡ぎ、レイシア達の護りの力を高めていく。
　響花は沙雪の攻撃を受けて弱っている騎士団に急所狙って斬りつけ、レイシアも続けて魔法光線を撃ち込んだ。立て続けの攻撃を受け、そのまま相手はそのまま崩れ落ちる。
「……１体、撃破」
「無理せず、倒れず、無茶しないようにやっていこう」
　クレーエは皆に、そう声をかける。誰も倒れさせないし、自分も倒れない。そう強い想いをクレーエは持っている。だからこそ、仲間に無茶をして欲しくないし、自らも無茶はしない。仲間を守る為にも。
「明けること無き夜、沈むこと無き月の舞台を始めよう」
「祓い給い、清め給え、二刀、斬霊、急急如律令！」
　クレーエの紡いだ歌により動きを鈍らせた騎士に向かって、間髪入れず沙雪の放つ衝撃波が叩き込まれ、崩れ落ちていく。シアライラも別の騎士に御業を放って動きを鈍くさせ、シグナスもシアライアに合わせてブレス攻撃を行っていった。
　怒涛の攻撃を受けていた白百合騎士団と攻性植物だったが、こちらの方も態勢を整え直してきた。騎士達はゾディアックソードの守護星座に依る護りの力を傷ついた仲間達に重ねるようにかけていき、攻性植物の方は竹の枝を雨の様に降らせてケルベロス達にまんべんなくダメージを与えていく。
　一気に攻撃を受けたケルベロス達も整え直す。瑠奈は、まずレイシア達にケルベロスチェインを用いて守りの力の底上げを図る。シアはアリアデバイスを展開し、歌を紡ぎながら沙雪達の護りの力を高めていった。
　攻撃に出るのは響花とレイシア。回復しきれていない騎士を狙い、響花は魂を喰らう一撃を、レイシアは凍結光線を立て続けに浴びせかけた。
　まだ相手は混乱している所がある。立て直される前に少しでも数を減らしておきたい所だ。
　クレーエの放つ漆黒の闇が騎士を捕らえ丸呑みにする。巨大な闇の塊はそのまま騎士を呑み込んでしまった。
　沙雪はグラビティチェインを破壊力に変え、騎士を斬り伏せる。そこにシアライラとシグナスによる炎とタックルが畳み込まれ、騎士がまた１体倒れた。
　現在、騎士団３、攻性植物４。今度は向こうも全面的に攻撃に移ってきた。冷気を帯びたオーラによる連続攻撃が襲い掛かり、竹が刀の様に姿を変えて薙ぎ払い攻撃を仕掛けてきた。ディフェンダーの響花としては仲間を庇いたい所だが、全員を狙って波状攻撃をしかけられると中々立ち回るのが難しい。幸いにも守りの要である瑠奈とシアの負っている傷は大したものではないのが有りがたい所ではある。
（「でも、なるべく瑠奈ちゃんと、シアさんはしっかり守りたい所ね」）
　そう心に刻み、響花は頷く。その瑠奈とシアはケルベロスチェインで響花達の守備の底上げを、歌に依る護りの力をレイシア達に与えていた。
「レイシアさん」
「……分かった」
　響花とレイシアは標的に据える騎士を確認し合うと、直ぐに攻撃に移った。響花の急所を狙う蹴りが叩き込まれ、そこにみぞおちを狙ったレイシアの魔法光線が撃ち込まれる。
「滑り出しは順調、でしょうか？」
「シリュー嬢。楽観視は出来ないけれど、増援が現れる前に数は出来るだけ減らしておきたい所だね」
「無理の無い範囲で、周囲の状況も確認しておかないとね」
　攻撃の要である、シアライラ、沙雪、クレーエは、敵陣の様子を見つつ改めて状況を確認し合う。不意打ちをかけたので、まだ混乱している状態の相手だ。増援が現れる前に、出来る限り数を減らしておきたい。三人で頷きあった。
　クレーエは、響花とレイシアの攻撃を受けていた騎士に雷の霊気を載せた突きを放つ。それを受けた騎士は感電しながら倒れ込んだ。沙雪達は次の騎士に狙いを定める。シアライラが御業で縛り上げた所に、沙雪の刀印によって生まれた光の刀身が振り下ろされた。
　騎士達は重い重力を乗せた剣でクレーエと沙雪に斬りかかり鍔ぜりあう。竹の攻性植物は後方に向かって鋭い竹の槍を放ち、響花は瑠奈を庇うものの、シアとレイシアは攻撃を喰らってしまう。
「瑠奈ちゃん、みんなをお願いね」
「響花君、余り無理はするなよ？　シアさん、協力していこう」
「勿論ですわ、瑠奈様」
　魔人へと変貌を遂げながら自らの回復をする響花に、瑠奈は心配そうにそう声をかけ、シアにも声をかけ、彼女も頷く。瑠奈はケルベロスチェインを使い、シアは歌を紡いで自身らを癒していった。
　一方、戦いに集中するレイシアの凍結光線が騎士に直撃し、相手を氷漬けにした。
　増援は見えない。更に畳み掛けに入る。クレーエは１体だけになった騎士に歌を紡ぎ、動きを鈍くさせる。そこに沙雪から放たれた衝撃波が叩き込まれ、騎士はそのまま崩れ落ちた。
　残っているのは攻性植物のみ。シアライラは御業を炎と変えて放ち、シグナスがブレス攻撃を行った。
　残された攻性植物は、竹の雨をケルベロス達に降らせ続ける。それに対して、直ぐに瑠奈はケルベロスチェインを使ってクレーエ達の回復を、シアは歌を紡いでレイシア達の回復を重ねていく。
　響花とレイシアは急所を狙う攻撃と凍結光線を次々と叩き込み、攻性植物が一体、倒れた。
「……増援が来たみたいだ。構成は……騎士が５体、攻性植物１体、かな」
「こちらの残りは攻性植物３体。俺達もまだ十分余力がある状態だし、まだ大丈夫だろう」
　クレーエが遠方からやって来る増援に気が付いた。合せて６体。だが、最初の遭遇相手はほぼ崩壊しかけている上に、こちらの被害もそこまで大きくは無い。出来るだけ多くの敵を引きつける方が作戦として有利に働くので、まだ無理の無い範囲でも十分にいける。
「シア嬢、瑠奈嬢、援護をお願いするよ」
「精一杯頑張りますわ」
「ああ、任せろ」
　沙雪の言葉に、シアと瑠奈は頷く。
「まず、こちらから片づけようか」
　クレーエは回転斬撃で攻性植物達を薙ぎ払う。更に沙雪の光の刀身が斬り伏せた。トドメとばかりにシアライラの炎とシグナスのブレスが襲い掛かり、１体が崩れ落ちた。その状況で騎士団達がかけつける。３体の騎士が傷ついている攻性植物の回復と、自らの護りの力を高めに動く。残りの騎士はケルベロス達に凍結のオーラをそれぞれ放ち、攻性植物達も大きな竹の刀でそれぞれ薙ぎ払い攻撃を行った。
　瑠奈は九尾扇を用いてクレーエ達を、シアは歌を紡ぎながらレイシア達を回復していく。
　響花とレイシアは魂を喰らう一撃と魔法光線を放ち、攻性植物を仕留めた。クレーエも残りの攻性植物に雷の力を宿す突きを放ち、続けて沙雪の衝撃波が止めを刺した。
　これで、最初に遭遇した相手は全滅。次は現れた増援が相手のみ。互いに付与されているものを打ち消す事が多い為、特に守備関係の付加効果は余り期待できないのだが、それが無くとも連戦を続ける事には現状問題ない。
　新たな宣戦布告、シアライラは御業を援護に現れた騎士に放った。
　今度は万端な状態で現れた援軍達。騎士団は攻撃の要であるクレーエ、沙雪、シアライラに斬りかかり、攻性植物が援護する様に竹の雨を降らせる。残りの騎士達はケルベロスに凍結のオーラを放った。
　直ぐに瑠奈がケルベロスチェインを用い、シアは歌を紡いでクレーエ達や自分達の傷を癒していく。
　響花とレイシアの二人は、鋭い蹴りと凍結光線を繰り出して騎士の撃破に成功した。
　いつ新たな援軍が現れるとも限らない。まずは、この増援の一掃を狙う。
　クレーエの紡ぐ歌に捕らわれた騎士が沙雪の光の刀身により切り裂かれ倒れると、シアライラの炎とシグナスのタックルが別の騎士に容赦無く襲い掛かる。
　騎士達はクレーエ、沙雪に斬りかかり、凍結のオーラを放つ。攻性植物はシアに狙いを定めて竹槍の攻撃を行うが、それは響花が防いだ。
「響花様、感謝致しますわ」
「いえいえ、回復期待しているわ」
　礼を伝えるシアに響花が微笑む。シアはそれに応えるように歌を紡いで傷を癒し、護りを高めていく。瑠奈も続いてケルベロスチェインによる回復と守備の底上げを図った。
「独り占めは、ダメ……」
　レイシアの魔法光線が騎士の構えるゾディアックソードに向けて放たれた。クレーエは高速斬撃で騎士達を薙ぎ払っていく。そこに沙雪の放つ衝撃波が加わり、続けてシアライラによる御業が縛りあげ、シグナスのブレスと共に消えていく。
　騎士達は凍結のオーラをそれぞれ全体に、攻性植物の竹の雨はシアライラ達に降り注いだ。直ぐに、瑠奈はケルベロスチェインを用いてシアライラ達の回復を、シアは歌を紡いでレイシア達の回復を施していく。響花とレイシアは、魂を喰らう一撃と魔法光線により騎士を追い詰めていく。
　また、こちらに向かってくる援軍に気が付いた。今度の構成は騎士４体、攻性植物２体。到着する頃には、恐らくこちらの相手の数も減っている。体力的には、まだ問題は無い。もう少しは相手が出来るだろう。
　その後、攻撃面はクレーエ、沙雪、シアライラ３人をメインに、取りこぼし無く響花とレイシアが戦う形を取り、瑠奈とシアは常に回復を行い仲間の傷をしっかりと癒しながら、騎士や攻性植物を撃破していく。
　２０体ばかり倒した頃だろうか……向こうから、２０体以上の援軍が現れた。流石にこれはどうにも出来ない。
　そもそも今回の戦いは陽動。ここまで来れば十分だ。
「撤退するよ！」
　クレーエが全員に声をかける。
「祓い給い、清め給え、死天、剣戟、急急如律令！」
　沙雪は迫ってくる増援の追撃を防ぐために、無数の刀剣を放った。
　そして、全員、無事である事を確かめながら撤退していく。
　撤退の際に、大阪城を見るとアイスエルフの集団が見えた。作戦が上手くいったのだろう。
　その事に安堵しながら、皆、戦場を後にしたのだった――。

作者：白鳥美鳥	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2019年4月12日 難度：普通 参加：7人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 3／キャラが大事にされていた 0
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