●具現化する狂月病の病魔達
3月22日。その日は夜空に新円を描く月がある。
螺旋忍軍の1人、ソフィステギアは魔法陣を描き、この場へと6体もの女性を呼び寄せる。
その女性達はデウスエクスだが、他の種族と比べると少し異なった感がある。
「セントールの復活はケルベロスの邪魔により失敗したが、コギトエルゴスムはこういう使い方も出来る」
全身真っ赤な髪に服装をしたそいつらの正体は、狂月の病魔達だ。
「狂月の病魔達よ、神造デウスエクスとなり、我らがマスタービースト様へ至る、道しるべとなれ」
病魔達は笑みを浮かべて小さく頷き、いずこともなく去って行った。
程なくして。
深夜に1人、帰宅の途につく犬の人型ウェアライダーの女性。
珍しくはあるが、地球人以外の種族の血を引き、一般人として生活する者はいる。
疲れてはいたようだが、その日はいいことがあったのか、尻尾を振り振りしながら夜道を歩いていた。
きっと、左手薬指の指輪がその要因だろう。
しかし……。
OLの行く手を遮る様に現れたのは、獣にまたがり、ムチをしならせた怪しげな病魔達。
その女性にとっては神造であろうが、デウスエクスに代わりはない。
「た、助け……っ!!」
荷物をその場に捨て、全力で逃げ出すウェアライダーの女性。
「キャハハハ、逃がさないわよ」
病魔達は嬉々として、彼女を追い掛け始めるのだった。
●とある螺旋忍軍の暗躍
ヘリポートでは、新たな事件の説明を、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が行っていた。
「皆の活躍で、妖精8種族のセントールを蘇らせて自分達の戦力としようとしていた螺旋忍軍の計画を阻止する事が出来たよ」
ただ、セントールの復活を阻止されたことで、螺旋忍軍も新たな作戦を開始している。
何らかの方法で『狂月病の病魔にセントールのコギトエルゴスムを埋め込み』、実体化させた病魔を神造デウスエクスモドキとして生み出しているようだ。
通常、病魔はウィッチドクターでなければ、実体化はさせられない。
ただ、狂月病は、神造デウスエクス『ウェアライダー』が定命化した事で発生した病魔なので、ウィッチドクターに頼らずに実体化させる方法が存在するものと推測されている。
「神造デウスエクスモドキは、実体化した病魔のような戦闘力を持っていて、ウェアライダーを狙って襲撃しようとしているよ」
ウェアライダーを襲撃して殺害する事で、マスタービーストの秘儀を再現しようとしているのかもしれない。
まずは、襲撃されるウェアライダーを守り、病魔型の神造デウスエクスモドキを撃破して欲しい。
そうすれば、妖精8種族のコギトエルゴスムを手に入れる事もできるだろう。
「現場は関東某所の住宅地だね」
満月の夜、病魔型の神造デウスエクス達は夜道を歩いていた一般人の人型ウェアライダーのOLを狙う。
彼女を事前に避難させれば、別のウェアライダーが狙われてしまい、予知の都合もあって救出が困難になってしまう。
それもあって、このOLが襲撃されるところを救援するのが最善だとリーゼリットは語る。
「現れる病魔型の神造デウスエクスは6体だよ」
戦いとなれば、敵はウェアライダーを攻撃することはないようだが、戦闘開始後に、ウェアライダーが逃げた場合はその方向に自動的に移動してしまう。
この追尾移動を阻止する事は出来ず、ウェアライダーを避難させる事は不可能だ。
また、戦闘開始後8ターンが経過すると、ウェアライダーが重度の狂月病を発症し、神造デウスエクスの戦闘能力が上昇してしまう。
「だから、できるだけ短期間に戦闘を決着させるのが望ましいね」
一通り説明を終え、リーゼリットはこう話す。
「螺旋忍軍が病魔を呼び出した方法までは分からなかったけれど、神造デウスエクスを生み出したマスタービーストに関わる技術の一端なのかもって話があるね」
前回の作戦の経緯から、敵がセントールのコギトエルゴスムを利用しているのは間違いない。
「どうか、ウェアライダーの救出を。それに、セントールのコギトエルゴスムも助けてあげてほしい」
リーゼリットはそうして、話を締めくくったのだった。
参加者 | |
---|---|
御子神・宵一(御先稲荷・e02829) |
リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168) |
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815) |
款冬・冰(冬の兵士・e42446) |
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102) |
ルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107) |
ジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719) |
フレデリ・アルフォンス(ウィッチドクターで甲冑騎士・e69627) |
●狂月病と妖精
夜空に浮かぶ丸い月。
その日は満月。ウェアライダーの中には、狂月病に苦しむ者も少なくないという。
「グルルルッ! 重度の狂月病で今宵は疼く日なのに、最悪のタイミングだ!」
狼のウェアライダーであるミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)もその1人。自らの体の内側から湧き出す衝動を抑えるだけでも、かなり苦しそうにしている。
「狂月病……、俺自身は大した症状出ないんですけどね」
それでも、狐のウェアライダー、御子神・宵一(御先稲荷・e02829)もまた、気分は少し高揚しているとのこと。
「結核や黄熱病のように、根絶出来れば良いのですが」
今回の事件は病魔によるものとあって、関心を高める者もちらほら。
「ウィッチドクターのはしくれとして、病魔は消毒だー!」
「さらに、ウェアライダー達の隣人として。狂月病は……根絶」
甲冑を纏うオラトリオの騎士、フレデリ・アルフォンス(ウィッチドクターで甲冑騎士・e69627)が大声で叫ぶと、無表情なレプリカントの少女、款冬・冰(冬の兵士・e42446)も続き、静かに依頼解決に意欲を見せる。
「奴等の手には、まだまだセントールのコギトエルゴスムが残ってるのですか」
セントールは、妖精8種族の一つ。
元軍人、ジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719)は自身もまた妖精8種族の一員だからか、妖精が多種族から「好き勝手に利用されているこの状況に憤る。
「むぅ、早く倒さないと、襲われた人もセントールも危ないんだよね?」
ポニーテールのシャドウエルフ、リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)は冰と同様に、ほとんど感情を露わにはしない。
ただ、犠牲者を出さぬ為、病魔……というより、デウスエクス討伐に対する意気込みは強い。
「螺旋忍軍の企みが変わったのが気になるけど……、それよりとにかく襲われる日笠さんを助けなきゃ!」
やや衝動が収まったのか、ミリムも普段通りに人助けをと拳を握りしめる。
そんな彼女の姿に、ジュスティシアはウェアライダーにとって、狂月病が辛い事を再認識して。
「セントールと襲われる女性、どちらも助けましょう」
ジュスティシアの呼びかけに、この場のメンバー達は皆、同意するのだった。
●ウェアライダーの女性を守れ!
夜道を歩く1人のOL、日笠・あづさ。
上機嫌に夜道を歩く彼女は尻尾をふりふりしながら、左手薬指の指輪へと嬉しそうに視線を落とす。
希望に満ち溢れるそのOLは浮足立ちつつ、家路についていたのだが……。
彼女の目の前に並ぶのは、ムチを手に獣に跨るウェアライダーの女性を思わせる姿をした神造デウスエクスモドキ……病魔達だ。
「た、助け……っ!!」
その場から逃げ出そうとするOLが荷物を投げ出そうとすると、その場へと介入してくる一隊の姿。
「動かないでくれ」
やや不愛想な物言いながらも、リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)が通る声でOLへと呼びかけた。
すぐにジュスティシアが彼女の荷物をキャッチし、凛とした風を吹かせて落ち着かせようとする。
「逃げるよりも、ここで守ってもらう方が安全です」
「どうか信じてくれ。必ず護る」
ジュスティシア、リューデが合わせてOLを説得する間に、一行は宵一が用意したハンズフリー照明と電灯を合わせて光源を確保しつつ、敵と女性の間へと割って入っていく。
そして、ミリムは問答無用で青い炎を纏う大剣「ブルーフレイムラズワルブレイド」を構えて。
「心の相棒、共に行くぞ!」
心に宿る騎兵の志を馬として召喚し、ミリムは雷嵐を纏って突撃していく。
「「なっ……!?」」
驚き、飛び退く病魔達。
デウスエクスに対して奇襲はほとんど効かないが、足止めには十分。
「後のことはボク達に任せて、そこで見守って欲しい」
敵を抑えつつ、ミリムがOLへと呼びかける。
「でも……」
怯え、戸惑いも見せるOLの為に、大きな丸眼鏡のルーシィド・マインドギア(眠り姫・e63107)はダイナマイトモードで、煽情的なサキュバスらしい衣装へと変身して見せた。
「どうかご安心なさって。あの敵の前に立つあの方たちは、わたくしの知るたくさんのケルベロスの中でも、トップクラスの実力者なのですから」
OLを諭し、ルーシィドは後ろに下がるよう促す。
そのルーシィドの親友であるリリちゃんことリリエッタもまた、アルティメットモードとなって。
「うん、リリ達が絶対守るから……お願い、その場から動かないで欲しいよ」
素っ気ない言葉遣いながらも、リリエッタもOLを励ます。
「決してあなたに傷一つつけさせません。だから、戦いが怖くても、どうか信じて見守っていてください」
自身たっぷりに、ルーシィドは目を輝かせて太鼓判を押していた。
それというのは、この場には実力派揃いの仲間達……特に、リリちゃん、ミリム、ジュスティシアと数々の高難易度ミッションで顔を合わせ、世話になり、尊敬する先輩方がいるからだ。
ケルベロス達がそう主張するのであれば、OLも信じる他ない。
彼女へとそっと近づく宵一が些か気負いしながらも、剣気を解放してOLを無気力状態にしてしまう。
「あ……」
「ちょっと其処の脇に退いて、暫く動かないでいてください」
へたり込む彼女を背に、宵一が構えを取る。
そんな様子を横目に見つつ、リューデは戦闘態勢に入って相手を睨みつけた。
リューデもまた、病魔が具現化するのにセントールのコギトエルゴスムが利用されていることに憤っていて。
「その命は貴様等のものではない。在るべき形に返してもらう」
怒りを地獄の炎として燃え上がらせ、彼は仲間と共に病魔へと立ち向かっていくのである。
●手早く病魔の殲滅を
夜道に響く、狂気をはらんだ笑い声。
「「キャーーッハハハッ!!」」
病魔どもは鞭を振るいながら、けたけたと病的とも言える笑い声を上げる。
魔力が込められたその声は雄たけびとなり、周囲にいる者の動きを止めてしまうのだ。
だが、ケルベロスなら幾分か耐性があり、狂ったように攻撃を仕掛けてくる病魔の攻撃に耐えることができる。
リューデはOLに攻撃が及ばぬよう立ち回りつつ、フェアリーブーツから星型のオーラを邪魔な敵盾役へと浴びせかけた。
仲間との連携を図る宵一は、しなやかで無駄のない動きで病魔へと切り込む。
「…………」
斬霊刀『若宮』を手に、宵一は幻惑の桜吹雪を舞わせて、敵前衛を切り裂いていく。敵半数が最前線におり、比較的効率よく相手を傷つけることができていた。
「ヨイチ、こちらは任せて。……飛べ、ミサイル」
冰は前線を集中的に叩く仲間達へと告げ、袖の中から折り鶴の形をしたナノマシン・ペーパー製のミサイルを多数飛ばしていく。
相手前線が3体いることを確認し、リリエッタは好都合とばかりに両手に拳銃を手にして直接グラビティを注ぎ込み、弾丸を生成していく。
「リリの攻撃は簡単には止まらないよ!」
リリエッタは敵陣に向けて発砲を開始し、途切れることのない全方位射撃で病魔達を攻め立てる。
弾丸の嵐に逃げ場を失いつつある敵へとさらに、ジュスティシアが「ヴァルターGSS04携行式ランチャー」を突き付けて焼夷弾をばら撒いて敵陣を炎に包みこんでいく。
なおも、フレデリもオウガメタル「アロンソ」で黒太陽を具現化する。
フレデリが力を籠めると、じりじりと照り付ける黒光に病魔どもは心身共に削られることとなる。
だが、敵は勢いづき、こちらの前線メンバーへと攻撃を仕掛けてこようとしている。
ルーシィドはオウガ粒子を飛ばし、仲間達の感覚を研ぎ澄ませるよう援護することにしていた。
回復役として位置取るルーシィドは九尾扇を手に、次は陣形を見定めて仲間達に破魔力を与える構えだ。
「……ありがとう、ルーシィド。反撃に移行」
冰は礼を告げながらも、病魔への応戦を続けていく。
交戦が続く中、次第に野生を露わにしていたのはミリムだ。
人助けを最優先すべきだとは、彼女も頭では分かっている。
しかしながら、空に描く丸い月がミリムを狂わせてしまう。
(「なんだか敵が愛おしく感じるし、今すぐ壊してやりたくてたまらない……!」)
竜鎚「灼熱の竜棘鎚」で敵前衛を蹴散らしながら、ミリムは内なる衝動に抗い、相手を殴りつけていく。
「キャハ、キャハハ……ッ」
相手盾役も鞭を振るう手が弱まり、後方の仲間から満月のような形のエネルギー光球で回復支援を受ける。
しかしながら、ケルベロス達が万全の態勢になるのを許すはずもない。
「どうだ。捉えられるか」
病魔が振るうムチを耐え凌ぎつつ、身構え続けるリューデが仲間達へと尋ねる。
相手は見た目通り素早い相手だが、ケルベロスも手練れのメンバーだ。上手く敵を捕捉しつつダメージを与えていた。
相手にキャスターもいないこともあり、リューデは序盤からの戦法を変えることなく、焔を舞わせて竜鎚「ハートブレイカー」で殴りかかる。
「アアアアアァァ--ッ!!」
殴り倒され、全身を燃え上がらせた病魔は一際大きな声で叫び、その身を消滅させていった。
●獣人達が狂う前に
神造デウスエクスモドキ……病魔達の敵前衛の残りはいずれも火力。
ケルベロス達は序盤から纏めて攻撃を繰り返し、少しずつ疲弊させていた。
1体が倒れたことでリリエッタは集中して攻撃を繰り返し、電光石火の蹴りを相手の胴へと叩きつけていく。
リリエッタの渾身の一撃を受け、一声呻いた病魔が爆ぜるようにして消え去ってしまう。
「キャハ、まだまだこれからよ」
仲間が倒れてもまるで気にする様子がないのは、実に病魔らしい。
そいつらは荒ぶるままに叫び、ケルベロス達の攻勢を削ごうとしてくる。
「損傷確認……戦闘継続、可能」
冰は敵中衛が1体、後衛が2体と確認。
彼女は縛霊手から巨大光弾を発射し、敵後方の動きを止めようとする。
その間にも、宵一がもう1体の火力役をムチでの攻撃をいなして。
「……捉えました」
戦いが始まってからそれまで一切喋らなかった宵一が一言告げ、病魔の態勢が崩れた隙を突いて「若宮」でその体を寸断する。
病魔はその裂け目から広がる様に消し飛び、消滅していく。
戦いが始まってから8分後には、襲われたOLが重度の狂月病を発症してしまう。
そうなれば、目の前の病魔達は強さを増してしまうとのこと。
迫る時間。残る中後衛の病魔の立ち位置は、阻害、狙撃と回復。
阻害役から叩いていくのだが、戦いが進むにつれ、突撃するミリムの様子が次第に荒々しくなっていて。
「ガウガウグルルルーッ! ……っは! 早く倒しませんと! 日笠さんが狂う前に……!」
苦しそうに息つくのは、ミリムだけではない。ケルベロス達に守られるOL、日笠・あづさの様子もおかしい。
「あうう、ああああ……!」
内なる衝動に、彼女は体を揺さぶっていた。
「大切な人がいるんだよね? お願い、もう少し頑張って」
「気を確かに持って」
リリエッタが励まし、冰が指輪を見ながら大切にするよう呼びかける。
「捉えた。ドローンっ」
あとちょっと。仲間と攻撃を同じくする冰はやはり腕を振り、袖から折紙型ナノマシン製のドローン群が自動変形して飛んでいく。
ドローンは交戦によってオールレンジ攻撃を放ち、穿つ病魔を仕留めてしまう。
盾役リューデはオーロラの光を放ち、自身や仲間を回復する。
敵の攻勢が徐々に弱まるのをリューデも感じるが、ウェアライダー達が苦しむ姿を見ると、不安は募る。
「逃すかあ!」
素早く、フレデリが日本刀「士魂刀」を突き出す。
シンプルながらも鋭い刺突に貫かれた病魔だが、にやりと笑ってみせた。
「なんだと……!?」
「キャハッ、キャハハハハッ!!」
それに耐えた敵にフレデリが驚く。
時間が経つにつれ、そいつらは逆に活性化していたようだ。
前列メンバーにグラフィティを描いて回復支援していたルーシィド。
「犠牲者なんて、出させないわ」」
ルーシィドの支援を受け、ジュスティシアは神経毒を配合したグラビティ弾を相手の眉間へと「J&W2000 対物狙撃銃」で撃ち込む。
頭を撃ち抜かれた病魔は、苦しむ間もなく消え去ってしまう。
隣では、ミリムが瞳を輝かせ、相手狙撃役を狙っていて。
「汚い言葉でお恥ずかしいのですが……。さっさと死ねぇああ! こんのなり損ないの失敗作がぁああ!!」
素の口調を見せる彼女は「灼熱の竜棘鎚」で敵のムチを切り払い、勢いのままに相手を叩き潰す。
「ギャアアアアアアアアアッ!!」
最後の病魔は一際高い声で叫び、その存在を消し去ってしまう。
その跡には一つ、コギトエルゴスムらしきものが転がっていたのだった。
●それぞれの行く末を案じて
病魔を全て討伐したケルベロス一行。
吹き付ける風もあって冷静になったルーシィドは急に恥ずかしくなり、変身を解除していつものゴスロリ姿へと戻る。
リリエッタは病魔が消え去った後、残されたコギトエルゴスムを回収して。
「この子たちもリリの仲間になってくれると嬉しいな」
宵一も回収したコギトエルゴスムは後で、ヘリオライダーに託そうと考えていた様子だ。
ジュスティシアも大切に懐に仕舞いつつ、花びらのオーラを舞わせて戦闘後の修繕へと当たる。
落ち着きを取り戻したOL、あづさにはフレデリが施術して、応急処置を行う。
その彼女に、宵一は剣気で無気力にしてしまったことを詫び、平謝りしていた。
「日笠さん大丈夫です?」
自分を救ってくれた恩人が頭を下げるのに戸惑うあづさに、なんとか沸き立つ血を抑えたミリムが声を掛ける。
「早くお家に帰って、その指輪の相手に無事を伝えましょう!」
この襲撃事件はおそらく、警察を通じて指輪を贈ってくれた主にも知らせが入っていることだろう。
「ありがとうございました……!」
「幸福を願っている」
荷物を持って帰宅の途に戻るあづさに、リューデは僅かに表情を和らげて声を掛ける。
それは、仲間に回収されたセントールのコギトエルゴスムにも向けられていた。
アイズフォンで任務完了報告を行っていた冰は、満月を仰ぎ見て。
「……誰もが平等に、観測出来る日が来ますように。祈念」
そんな日が来るようにと、冰は静かに願いを捧げるのである。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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