番犬ハンター現る! 百の銃を統べし者

作者:雷紋寺音弥

●人知れぬ死闘
 打ち捨てられた、既に人の気配さえない廃工場。赤錆びた機械が無造作に転がるそんな場所で、ジェニファー・キッド(銃撃の聖乙女・e24304)は気が付くと、周囲を無数の銃で完全に包囲されてしまっていた。
「へっへっへ……。さあ、もう逃げ場はねぇぞ。運がなかったなぁ、嬢ちゃん」
 宙を舞う多数のライフルを携えた男の声が、廃工場の中に響き渡る。物陰に隠れつつも反撃や脱出の機会を窺うジェニファーだったが、目の前の男には欠片ほどの隙も見当たらない。
(「くっ……迂闊でしたね。街の被害を考えて人気のない場所に誘導したつもりが、反対に誘導されていたなんて……」)
 朽ちた機械の影に隠れつつ、ジェニファーは背中に冷たい汗が流れるのを感じて歯噛みする。自分の居場所など、あの敵にはとっくに判っているのだ。その上で攻撃を仕掛けてこないのは、相手にそれだけ余裕があるということだろう。
 なんとかして、この状況を脱し、仲間に連絡を取らなければ。そんなジェニファーの思いも空しく、空中を浮遊する銃の撃鉄が、死神の足音のように次々と音を鳴らしていった。

●魔銃を統べる者
「招集に応じてくれ、感謝する。ジェニファー・キッドが廃工場のような場所に誘い出され、宿敵のデウスエクスによって襲撃を受ける予知された。お前達には、取り急ぎ救援に向かってもらいたい」
 事態は一刻を争う上に、敵の電波妨害によってこちら側からは連絡も取れない。このままでは遠からずジェニファーが敗北すると、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は緊迫した面持ちで集まったケルベロス達に告げた。
「ジェニファー襲撃するのは、『SAIKA M-G1』のコードネームを持つダモクレスだ。見た目はサイバースコープを装着した人間の男に似ているが、その中身は機械の塊だぜ」
 そんなSAIKA M-G1の武器は、空中を自由自在に浮遊して移動するライフル型のビット群。SAIKA衆と呼ばれるそれらの銃を巧みに操り、自分の持つ銃と合わせ、あらゆる角度から自由自在に攻撃を行うのが得意技だ。
「どうやら、SAIKA M-G1は、そんなライフルによる狙撃を利用してジェニファーを廃工場に追い込んだらしいな。最初は自分から姿を見せず、市街地で戦う際の被害を考慮させた上で、威嚇射撃で自分のテリトリーに獲物を追い込む……。見た目に反して、なかなか狡猾な相手だぜ」
 そんなSAIKA M-G1は、直接戦闘では機動力を重視した戦い方を得意とするようだ。攻撃の大半をビットに任せているとはいえ、本体がボーッと突っ立っているわけではない。自分の身体さえもオールレンジ攻撃の一部として用いる辺り、その戦闘力の高さが窺える。
「SAIKA M-G1の操るSAIKA衆の攻撃は、お前達の機動力を奪う効果を持っている。そうやって、相手の動きを徐々に制限して……最後に、全方位からの一斉射撃で、敵をハチの巣にするのが、SAIKA M-G1の得意技だ」
 ちなみに、SAIKA衆はSAIKA M-G1のグラビティとして、体内からいくらでも生成されて来る。よって、周囲のビットを撃ち落としたところで状況は好転せず、戦いを有利に進めるためには他の面からのアプローチが必要となる。
「攻撃を避けさせず、当てさせない。その上で、弱ったやつから必殺の一撃で仕留めて行く、か……。まともに正面から正攻法で挑んだところで、膠着状態に陥るだけだろうな」
 だが、その状況を打破できなければ、ジェニファーを助けることさえ叶わない。
 強敵相手の難しい任務だが、宜しく頼む。最後に、それだけ言って、クロートはケルベロス達に依頼した。


参加者
ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)
ジェニファー・キッド(銃撃の聖乙女・e24304)
那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)
旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・e72630)
フレイア・アダマス(銀髪紅眼の復讐者・e72691)
エイシャナ・ウルツカーン(生真面目一途な元ヤン娘・e77278)

■リプレイ

●新たなる刺客
 廃工場に響く無数の銃声。動力もなく浮遊する無数の火縄銃が、ジェニファー・キッド(銃撃の聖乙女・e24304)を工場の隅へ、隅へと追い詰める。
「ハハハハッ! どうした、嬢ちゃん? その腰にぶら下げてる銃は、飾りもんかぁ?」
 多数の火縄銃を従えた男が、豪快に笑いながらジェニファーへと迫った。
 SAIKA M-G1。その姿は一見して人間の男性のそれだが、しかし彼は列記とした、アンドロイド型のダモクレス。
(「またダモクレスですか……。しかも、ジェーンやベルと同じく、国籍は違いますが実在した人物のネーミング……」)
 今まで、自分を襲って来たダモクレス達のことを思い出し、ジェニファーは目の前のダモクレスに、巨妙な共通点を感じていた。
 あの日、散り際にベル・シューターが残した言葉。このダモクレスもまた、彼女の制作者であると思われる、『ドクター』と呼ばれる者が作った存在なのだろうか。
「まだまだ、この程度ではやられませんよ! ところで……ドクターという方をご存知ですか?」
 こいつの出所は、いったい何処か。カマをかけて問い掛けるジェニファーだったが、しかしSAIKA M-G1は、そんな彼女の問いさえも一緒に伏し。
「あぁん、ドクターだぁ? 自分がピンチになったから、お医者様に怪我でも治してもらおうってか?」
 下らない冗談を交え、挑発してくるだけだった。
「とぼけないでください! あなたを作ったのは、ジェーンやベルを作ったのと同じ人物なのでしょう?」
「ハッ! 知ってたところで、そいつを答える義理はねぇな! テメェは大人しく、俺様の銃でハチの巣にされやがれ!」
 無数の銃口が、一斉にジェニファーへと向けられる。元より、向こうはこちらを殺すつもりで来ているのだ。完全に退路を断たれた今、もはや殺られるのは時間の問題かと……そう、思われた時だった。
「ふふふ……そこまでです!」
 剣刃一閃、放たれた銃弾を刃が叩き落し、颯爽と割り込む影がひとつ。
「大丈夫ですか? なんとか、間に合ったみたいですね」
 刃を片手に、目線だけ後ろに向けてエイシャナ・ウルツカーン(生真面目一途な元ヤン娘・e77278)がジェニファーに尋ねた。見れば、他にも彼女を助けるために馳せ参じた仲間達が、SAIKA M-G1の周りを囲んでいた。
「ちっ……仲間が嗅ぎ付けやが……おわっ!?」
 続けて放たれた跳び蹴りが、SAIKA M-G1を工場の端まで吹き飛ばす。衝撃で崩れ落ちた鉄屑の下敷きになった敵を横目に、ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)は溜息交じりに呟いた。
「やれやれ、お前も銃使いなら、もう少しスマートに振る舞えないのか? 女性を手荒に扱うなど、もっての他だぞ」
 皮肉を交えて告げれば、果たしてSAIKA M-G1は、何事もなかったかのように鉄屑を押し退け、立ち上がってくる。見た目は人間と大差ないが、やはり腐ってもダモクレス。パワーだけ見ても、並の人間のそれを軽く凌駕するものを持っているようだ。
「ジェニファー、この相手って、もしかして前に戦ったのと同じ感じのヤツ?」
「さあ……そこまでは、さすがに分かりません」
 那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)の問いに、ジェニファーは小さく首を振って答える。果たして、目の前のダモクレスが本当に過去の刺客と同じ理由で襲って来たのか、現段階では分からない。
「SAIKA M-G1とSAIKA衆、ですか。もしこのダモクレスのモチーフが、私の想像通りだったら……」
 その戦闘力は、場合によっては傭兵一個大隊にも匹敵する可能性があると、旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・e72630)は言葉を切った。だが、そんな彼の言葉を聞いてなお、フレイア・アダマス(銀髪紅眼の復讐者・e72691)には、どこか滾るものがあったのだろうか。
「確かに厄介な相手のようだな。しかし、それほどの強敵となればかえって魂の食い応えもあると言うもの。味方救出のついでに、しっかりと私の復讐の糧となってもらおうか」
 こいつは強い。しかし、だからこそ戦い甲斐のある相手だ。もっとも、当のSAIKA M-G1は、そんな彼女の心の内を、どこまで理解できるかは疑問だったが。
「ハッ……やってくれるじゃねぇか、テメェら。こうなりゃ、全員纏めて俺様の銃でハチの巣にしてやるぜ」
 死にたい奴から、かかってこい。その周りに無数の火縄銃を展開し、SAIKA M-G1がケルベロス達に向かって叫ぶ。
 その戦闘力は、集団戦においては正に一騎当千。殲滅戦のエキスパートであるダモクレスとの、恐るべき死闘が幕を開けた。

●火祭乱舞
 仲間が集い、数的有利を得たケルベロス達。しかし、SAIKA M-G1の戦闘力は、それを補って余りある。
 敵の使う火縄銃ばかりに目が行ってしまいがちだが、真に恐ろしいのは、その機動力だ。時に牽制弾を交えながら、およそ人間離れした動きで飛び回る様は、彼が機械の身体を持つダモクレスだからこそ成せる業。
「オラオラ、どうしたよ! テメェらの力ってのは、そんなもんかぁ?」
 繰り返し降り注ぐ銃弾の嵐。これでは、いかにこちらが狙いを定めようとも、それを上書きする形で行動を阻害され、立ち回りを相殺されてしまう。
「貴様のビットは、私のビットで押え込む! ダモクレスのビットがどれほどのものか、見せてもらおう!」
 このまま撃たれるだけでは勝てないと察し、嘉内は魔術により翡色の翼を紡ぎ出す。それは、闇を払い、未来を導きし希望の翼。その身に新たな力が宿ったことを感じ取り、ゼフトとジェニファーが互いに頷き同時に仕掛けた。
「このまま撃つぞ。狙いは解っているな?」
「当然です。一発……一発だけでも、着火させることができれば、後は……!」
 互いに同じ技、同じ戦闘術を持つ者だからこそ、言葉に出さずとも理解できる。敵は機動力が高く、持久戦も必至。ならば、その身に一発でも炎を浴びせることができれば、時間の経過はこちらにとっても有利に働く。
「……火炎砲だとぉっ! ちっ……面倒な真似を……」
 御業から放たれた炎の直撃を食らい、さすがのSAIKA M-G1も、歯噛みしつつ退く他になかった。
「一気に押し切るよ! みんなの情熱に一陣の風を! アンスリウムの団扇風!」
 この機を逃さず攻め立てようと、摩琴が薬瓶を放り投げる。瓶が割れ、中の薬液が飛び散るとともに、現れるとは色とりどりなアンスリウムの幻影だ。
「よし、これなら……!」
 肉体のリミッターが解除されたことで、エイシャナが一気に前に出た。雷の気を纏った一撃にて、正面から貫かんと突撃するが……さすがに、SAIKA M-G1も、それを黙って見ているはずもなく。
「おっと、危ねぇ! ヘヘヘ……テメェみてぇなクソガキの攻撃なんぞ、そう簡単に当たってやるわけにはいかねぇなぁ!」
「なっ……貴様ぁっ!!」
 地雷を踏み抜かれ、思わず激高するエイシャナ。心なしか、言葉遣いが崩れているような気が。
「未だ、接敵はさせてくれそうにないな。ならば、こちらも牽制を続けるのみだ」
 ボクスドラゴンのゴルトザインと共に、フレイアは遠距離からの攻撃を繰り返した。敵は徐々に機動力を削がれているとはいえ、その身は未だ軽く、十分な余力を見せていた。

●狡猾なる銃口
 硝煙の匂いが工場に漂う。数多の銃撃を繰り返した結果、その銃口より立ち昇る無数の煙によって、いつしか工場内には霞が掛かったような世界が広がっていた。
「……ったく、面倒なやつらだぜ。いい加減、一人くらい始末しねぇと、洒落にならねぇ……」
 長引く戦いで、さすがのSAIKA M-G1にも、開戦当初の余裕はなくなっていた。その変化を敏感に感じ取り、摩琴は煽るようにしてSAIKA M-G1へと告げた。
「キミは狩りのつもりだったんだろうけど、一人で出てくるべきじゃなかったね。火力がキミには決定的に足りないから!」
 範囲攻撃の欠点は、目標数の増加による火力低下。しかし、それを指摘されてもなお、SAIKA M-G1は何ら動ずる素振りさえ見せず。
「言ってくれるじゃねぇか、嬢ちゃん。だがなぁ……火力がねぇってのは、果たしてどうかな?」
 今、この場に展開されている全ての銃。その銃口を、一点に向けて放てば、果たしてどうか。少なくとも、一人くらいは殺せるだけの火力はあると豪語するSAIKA M-G1だが、摩琴もまた決して退きはしなかった。
「ふふ、いくら狡猾でも遠隔操作で手数を増やしても、キミの銃口が向く先に狙いがあるのはお見通しだよ?」
 それこそが、人型の欠点だ。ビットが狙うのは、本体が狙っているのと同じ相手。ならば、狙いも読み易いと……そんな摩琴の言葉に、SAIKA M-G1は不敵な笑みを浮かべて答え、唐突に持っていた火縄銃を放り投げた。
「あぁ、そうかよ。だったら……こうすりゃ、どう動くつもりだ?」
 武器を捨て、本体が狙いを定めることを放棄すれば、果たしてどうやって攻撃を読むつもりか。バイザーの奥で瞳を怪しく輝かせながら、SAIKA M-G1は獲物を品定めするような視線をケルベロス達に向け。
「決めたぜ! まずはテメェを血祭りだ!」
 そう、SAIKA M-G1が叫ぶと同時に、彼の投げ捨てたはずの銃が唐突に宙へと浮かび上がった。
「……しまった!」
「なっ……あれもビットだったのか!?」
 摩琴や嘉内が気付いた時には既に遅く、火縄銃がジェニファーに狙って放たれた。すかさず、間に割って入るフレイアだったが、SAIKA M-G1はそれさえも見越していた。
「ハハハハッ! やっぱり、自分の身体を盾にして来やがったか! だがなぁ……そいつも、最初からお見通しだぜ!」
 自分の狙いは、他でもないフレイアだ。そう叫ぶと同時に、SAIKA M-G1は全ての銃口をフレイアへと向け直し、全ての砲門から一斉に銃弾を降り注がせた。
「くっ、ビットが四方八方からと……! 確かにこれは厄介……ぐあっ!」
「オラオラ! もっとしっかり盾にならねぇと、後ろのやつが死んじまうぞ?」
 もはや、数えることさえできない程の火縄銃が、次々にフレイアへと銃弾を浴びせて行く。凄まじい量の硝煙が辺りを包み、フレイアの安否も確認できない。
「ハイエナみたいな奴ですね……。まあ、分かりやすい敵なら叩っ斬るまでです!」
 あまりに外道なやり方に、とうとうエイシャナは考えることを止め、感情のままに斬り捨てることを選んだ。
 敵は未だ素早く動くだけの余力を残していたが、それならばこちらも、大技は控えて太刀を振るうのみ。空の霊力を宿した刃で、空間諸共に敵の身体に一閃を浴びせ。
「ちっ……ガキが! 調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
 斬られたところを庇うようにして下がるSAIKA M-G1だったが、その肩を後ろから、唐突に誰かに叩かれ振り向いた。
「なっ……てめぇは!」
「手間をかけさせてくれたな……だが、やっとこれで貴様を食える!」
 そこにいたのは、フレイアだった。何故、彼女が死んでいないのか。否、死ななかったとしても、あれだけの一斉射撃を浴びて、まともに動けるはずはないのだが。
「悪いが、私のことを忘れてもらっては困るな」
 嘉内がにやりと笑う。見れば、彼の展開した光の盾が、フレイアをしっかりと守っていた。集中砲火で満身創痍にされた彼女のことを、煙が引くよりも先に、ギリギリのところで助けていたのだ。
「さて……普通のダモクレスよりも、食い応えがあればいいのだがな!」
「ぐぅっ……!?」
 魔を食らうフレイアの拳がSAIKA M-G1の腹に食い込み、続けてゴルトザインのタックルが決まった。これ以上はさせまいと、牽制の射撃で次なる攻撃を相殺しようと試みるSAIKA M-G1だったが、それをするだけの力さえ残されていなかったようだ。
「銃は冷静に扱うものさ。感情に任せて撃つなど三流だぞ」
「さあ、これで終わりにしよう! カッコよく決めてよね♪」
 弾と弾の間を縫うようにして飛翔するゼフトと摩琴のブラックスライムが、SAIKA M-G1の手足に絡みついて動きを封じた。これでもう、敵は逃げることも避けることもできない状況。そんなところに、狙撃に特化したジェニファーの弾丸を叩き込めば、どうなるか。
「ま、待て! テメェ、動けねぇやつを狙い撃つとか、それでも正義の味方のつもりか、おい!!」
 慌てて叫ぶSAIKA M-G1だったが、もう遅い。なまじ、上っ面だけ人間の感情に似せたプログラムを施されていたことで、ケルベロス達を本気にさせたのが運の尽きだ。
「ヴァルキュリアの弾丸よ、敵を貫け!」
「なっ……ぐはぁぁぁっ!!」
 光の翼を生やした白き銃弾が、真正面からSAIKA M-G1の身体を貫く。瞬間、巻き起こる大爆発。宙に浮いていた火縄銃が一斉に落下し、百の銃を統べるダモクレスは、無残な鉄屑と化して機能を停止した。

●組織の影
 戦いは終わり、今回も無事に、ジェニファーは敵の襲撃を退けることに成功した。
「……ああ、しんどい相手でした。二度と戦いたくありませんね」
 緊張の糸が一気に解け、崩れ落ちる嘉内。戦闘中は余裕ぶっていたが、実際は自分が常に狙われながら他人のフォローに回らざるを得ず、なかなかどうして大変だった。
「なるほど、ビットとはこう言うものか。実際に食らってみて、いい経験になったよ」
 その一方で、ボロボロにされたフレイアだったが、そこから何かを掴んだ模様。転んでもただでは起きないという言葉は、彼女のような者のためにあるのかもしれない。
(「……昔の自分を見てるようで、嫌な手合いでした……」)
 そんな中、まともに正面から戦おうとしない銃使いに、エイシャナは嫌悪の色を隠せない。もし、あのような敵と再び相対することを考えた場合、それに備えて特訓をしておいた方がよさそうだと。
「お疲れさん、ジェニファー。いい戦いっぷりで惚れ惚れしたよ」
「いえ、私はまだまだですよ。それにしても……」
 ゼフトの言葉に謙遜した返事をしつつ、ジェニファーは言葉を切る。
 ここ最近、自分を狙って現れた一連のダモクレス群。いったい、誰が自分を狙って刺客を送り込んでいるのか、それが判るまでは安心できない。
「ジェニファーを執拗に狙うダモクレスたち……。組織のにおいがするね」
 そろそろ、製作者を探した方が良いのではないかと告げる摩琴だったが、残念ながら、何の見当も付いていない。だが、実際に製作者と顔を合わせるのも、そう遠い話ではないのかもしれない。
 彼らの背後に見え隠れする、ドクターとはいったい何者か。一部、謎を残しつつも、次なる戦いに備え、束の間の休息を得るケルベロス達だった。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年3月31日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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