●混成部隊哨戒す
大阪城から程近く、それでいて住民は既に避難済みである警戒区域。
その、無人であるはずの緩衝地帯に、何者かの気配があった。
気配とは言っても、息を殺し、姿勢を低くして地面に這い蹲り、匍匐前進して移動する彼女らの存在を察知するなど、常人には無理だと思われる。
「……全員居るな?」
移動する集団の先頭を行くエインヘリアルの女騎士が、頭だけ後ろを振り向いて問いかける。
「はっ」
短く答えるのは、同じく武装しているものの、重装備なエインヘリアルとは雰囲気の違う、涼やかな空気を纏った女性。
妖精8種族がひとつ、アイスエルフである。
「エインヘリアルの王を打倒すれば、再び妖精8種族がアスガルドで暮らす事が出来るようになる筈だ。氷と制圧を司る、アイスエルフの力に期待しているぞ」
厳しい口調ながらもアイスエルフを戦力としてあてにしているようなエインヘリアルの言葉は、あながち口先だけではない気遣いも看て取れる。
「そうは言っても、貴君らはコギトエルゴスムから復活したばかりだ。万一戦闘になった時は、無理せず後方へ退がっていろ」
「はっ、ご配慮に感謝します」
アイスエルフたちもエインヘリアルへ素直に感謝したが、その胸中は複雑なようだ。
「口先だけうまいこと言ってても、結局エインヘリアルの反乱に利用されるだけじゃない……?」
と、同族の仲間内でひそひそと囁き合っているのである。
「大体、エインヘリアルは攻性植物と手を組んで何をするつもりなのかしら」
元より好戦的でないアイスエルフが、真意の見えない同盟関係を不安がるのは無理からぬ事だ。
「でも、もしアスガルドで再び暮らせるなら、戦う意義は充分よ。わたしはやるわ」
だが、中には久しぶりの戦いとあって、前向きに哨戒任務を遂行するつもりの者もいるようだ。
●含みの多い市街戦
「リザレクト・ジェネシスの戦いの後、行方不明になっていた『宝瓶宮グランドロン』に繋がる情報が、大阪城周辺から得られたでありますよ」
小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が興奮した面持ちで報告する。
大阪城周辺は、そもそも竹の攻性植物による哨戒が盛んだったが、今回、エインヘリアルの騎士に加えて『妖精8種族であるアイスエルフ』と思われる女性の姿が確認されたのだと言う。
「第四王女レリは、アイスエルフを自分の騎士団へ組み込むと同時に攻性植物との同盟を強化する事で、リザレクト・ジェネシスで消耗した第二王女ハールの勢力を盛り返そうとしているようであります」
竹の攻性植物の時と同様の市街戦が想定されるが、一般市民の避難は既に完了している為、そこは心配無用である。
「さて、皆さんに襲撃していただきたい敵は、第四王女レリ配下の白百合騎士団の一般兵7体とアイスエルフ7体の混成軍であります」
市街地の地形を利用してうまく隠密に近づく事ができれば、奇襲をかけられるだろう。
「アイスエルフは戦闘力が高くありませんけれど、ケルベロスである皆さんが襲撃なされば、自らの身を護るべく反撃してくるであります」
そして、エインヘリアルの一般兵は、戦闘中アイスエルフを守るように立ち回る事が判っている。
「もし、白百合騎士団の一般兵を全滅させた状態でアイスエルフを説得できれば、連れ帰ってくることも夢ではありません」
とは言え、自分達を守って戦った騎士を殺したケルベロスをすぐに信用するのはなかなか難しいだろうから、説得を目指すのならばアイスエルフ視点の印象を良くするような戦い方が必要かもしれない。
「説得できなかった場合は、アイスエルフを撃破しても殺さずに撤退させても構いません。ご判断は、現場へ赴かれた皆さんに一任いたします」
かけらはそう補足した。
「第四王女勢力は、善意で行動してるようですが、アイスエルフとの認識には差があります。うまくそのズレを攻めれば、アイスエルフを味方に引き込む事ができるかもしれないでありますね」
初対面の相手に信用されるって難しいでありますよね——かけらは説明を締め括った。
参加者 | |
---|---|
三和・悠仁(憎悪の種・e00349) |
不知火・梓(酔虎・e00528) |
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629) |
シアライラ・ミゼリコルディア(天翔けるフィリアレーギス・e00736) |
氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716) |
リリー・リーゼンフェルト(耀星爛舞・e11348) |
神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273) |
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412) |
●
大阪城近辺の緩衝地帯。
「ま、アイスエルフは元々好戦的じゃねぇみてぇだし、一先ずこっちから敵対する必要はねぇかな」
不知火・梓(酔虎・e00528)は、愛用のロングコート——Der Einsiedlerの上から更に特殊な気流を纏って、なるべく気配を殺しつつ先行していた。
「ダメなら、説得カッコ物理カッコ閉じに移行すれば良いんだしなぁ」
気楽に呟く梓だが、決して説得を軽く考えている訳ではなく、ロングコートの下には何やら秘密兵器を忍ばせている。
「しかし、アイスエルフ側が情報を持っていなさ過ぎて、どこから斬り込むべきか悩みますね……」
三和・悠仁(憎悪の種・e00349)が懸念するのも尤もで、アイスエルフ達はケルベロスの事すらよく理解していないようだと、伝え聞いた予知の内容を思い起こす。
「流石に、まだ何の害も成していない種族へ対しては思うところもありませんし……共に在れるならその方が良い……」
それが、デウスエクスを激しく憎悪している筈の悠仁が平静な理由である。
「エインヘリアルに利用されているアイスエルフ……アタシの祖先もきっと同じように……」
リリー・リーゼンフェルト(耀星爛舞・e11348)も、螺旋状の気流に我が身を覆わせて、敵に察知させまいと気を遣って進んでいた。
「でも、エインヘリアルだって上の命令に従っているだけってところが、難しいわよね」
シャドウエルフとして同じ妖精八種族を利用するエインヘリアルへ強い憤りを感じるものの、その一般兵達とて第四王女レリ配下であり、ひいては攻性植物の手駒にされている可能性も理解するからこそ、複雑な心情になるリリー。
「これ以上策謀の犠牲者を増やさない為にも、なんとかアイスエルフは助けたいわね」
一方。
「アイスエルフかぁ……色々なエルフが居るのね。ほぇーっすっごい」
妖精八種族の一種が新たに判明した事へ無邪気に感心するのは、神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)。
「しっかしまあ、何となく連れてこられた感があるけど、ケルベロスとの戦闘のリスクを理解してるのかしら?」
そう小首を傾げながら、純恋はいつでも護りの紫花から紙兵を撒き散らせるよう準備して前進。
「ま、敵対しないならそれに越したことはないかな」
純恋のあっけらかんとした明るさが、きっとアイスエルフ説得の助けになるだろう。
「さーて、勝敗はともかく交渉はどうなるかねぇ」
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)は、依頼の結果を占おうと右手で弄んでいたコインを弾く。
高くトスされても以前と違いすんなり手の中へ戻ったコインだが、裏を向いている。
「やれやれ、占いがアテにならないのはいつもの事さね」
口だけで強がる泰孝。今までのコイントスの結果を振り返ると一抹の不安を覚えずにはいられない。
「エインヘリアルが何を企んでいるか、それを上手く説明できればよろしいのかもしれませんけど……」
シアライラ・ミゼリコルディア(天翔けるフィリアレーギス・e00736)は、憂いを帯びた緑の瞳を細めて思案する。
「何としても……助けられる命は、助けたいです。それが、時空の調停者たるオラトリオとして生まれた者の使命でもありますもの」
ボクスドラゴンのシグナスも、音を立ててはいけない状況をしっかり解っていて、シアライラの背中へぴたりとくっついていた。
「ここに来るのも何回目だったかしら。早く元の風景にしたいわね」
大阪城調査や白の純潔決戦を思い返して、沈んだ面持ちになるのは氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)。
「初対面でいきなり攻撃したわたしたちが、エインヘリアルのしている事はダメだと言っても、信じてくれるかしら……?」
今回の依頼に対しては、誰もがまず抱くだろう懸念に駆られて、不安が尽きないでいるようだ。
「とにかくやるしかないわね。アイスエルフさんたちとはもっとゆっくりとお話したかったけど」
さて。
「敢えてアイスエルフに一切攻撃をしなければ、エインヘリアルの言葉の信憑性を欠く事ができる……?」
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)は、その無表情に近いぼんやりした面差しからは意外なほど、柔軟な発想でアイスエルフ説得へ挑むべく作戦を練っていた。
「エインヘリアルの言い分の矛盾を指摘する為に、徹底してエインヘリアルを追い返すだけの戦い方をするのも手でしょうか」
確固たる説得材料がなければ自分で作れば良いというミオリの斬新な発想は、アイスエルフの誘引へ役立つに違いない。
●
(「見つけたぞ」)
先頭の梓が悠仁以下後続の仲間へ向かってハンドサインをした時、白百合騎士団一般兵は、隠密活動に不慣れなアイスエルフらが追いつくのを待っていた。
「斬り結ぶ、太刀の下こそ、地獄なれ、踏み込みゆかば、後は極楽、ってなぁ」
長楊枝を吐き捨ててしっかと意識を切り替えるや、Gelegenheitを手に一般兵の背後から突撃する梓。
雷の霊力を帯びた刃が、目にも止まらぬ速さで一般兵の白銀の甲冑を刺し貫いた。
「なっ!?」
刺された腹部を抑えて飛び退る一般兵。
「敵襲! 貴君らは退がれ!」
別の個体は、駆けつけたアイスエルフらへピシャリと言う反面、自らは剣を構えて応戦の姿勢。
そこまでして新たな盟友を守りながらも、アイスエルフ達当人からは疑念を抱かれ満足な信頼関係を築けていない辺り、やはり心を持たぬデウスエクス同士、意思疎通にも限界があるのかもしれない。
「共闘依頼を蹴ったそちらは警戒せざるを得ませんが、貴女方とまで、対話も無しに争う気はありません」
その歪な関係性へ更なるヒビを入れるべく、悠仁はアイスエルフへ語りかける。
同時に凝血剣ザレンを腕力のみでぶん回し、達人の域に到った剣戟を一般兵へとお見舞いした。
「交戦対象をエインヘリアルに限定。オープン・コンバット」
無機質な口調で淡々と宣言し、アームドフォートの砲塔を白百合騎士団一般兵へ向けるのはミオリ。
「電磁弾、投射」
砲口から次々と爆弾を放っては敵陣で爆発させ、エインヘリアル達を轟音、閃光、電磁パルスで苦しめた。
リリーは愛用の星輝槍を手に、白百合騎士団の懐へ飛び込んでいく。
——バシィッ!!
高速回転しながら一般兵達を次々と斬りつけ、一気に薙ぎ払って奴らの態勢を崩した。
「セイヤァッ!」
未だ動ける一般兵が高々と跳び上がり、長剣を頭目掛けて振り下ろしてくる。
「させないわ!」
すかさずかぐらがミオリの前へ滑り込み、顔の前に組んだ両手で刀身を受け止めてみせた。
「人数多いからディフェンダーの役目が重要かしらね。氷が怖いからそこはケアしないと」
純恋はディフェンダーとして戦況の推移に目を配り、率先して癒しの紫花を咲かせる。
「痛いの痛いの飛んでいけ―」
辺り一面に咲き誇った紫色の菫の花が光を放ち、かぐらの傷と状態異常を癒した。
「テレ蔵君は割と相性良さげだから頑張ってね」
おだてられたテレビウムのテレ蔵も、応援動画を流して懸命に味方を鼓舞していた。
「子どもじみた遊びだが……コイツはちっと厄介だぜ?」
泰孝は魔力で生み出したトランプを手裏剣の如く勢いよく投擲。
空を切るトランプによって腕を負傷した一般兵へ、無理矢理トランプの加護を付与した。
「燃え盛る太陽よ、煌々と輝く月よ、夜空に瞬く無数の星よ。大いなる力を与えたまえ!」
シアライラは天空に祈りを捧げる事によって、白百合団員一般兵を浄化。
奴へ齎した苦痛の分だけ降り注ぐ癒しの光を浴びて、自らの怪我を治療した。
「あの布陣、あまり戦わせるつもりが無いのはほんとっぽいわね」
ガトリングガンで敵群前衛へ狙いを定めながら、かぐらは思う。
「まぁその分、アイスエルフさんたちを狙わないで攻撃するのが簡単だから助かるのだけど」
嵐の如くばら撒かれた弾丸は白百合騎士団一般兵の身体だけを撃ち貫いて、奴らへ痛みと共に言い知れぬ威圧感を植えつけた。
●
倒す以外道のない白百合騎士団一般兵との戦いは、恙なく決着した。
「我ら中隊を潰したぐらいで思い上がるな……こうしてる間にもきっとレリ様が……」
それが最後に絶命した一般兵の言葉だ。
「ど、どうしよ」
「決まってるでしょ、逃げるのよ」
「でも、でも、敵に背を向けたら撃たれるって」
アイスエルフ7人はどうして良いか判らず、半泣きで囁きあっている。
「そもそもケルベロスの行動理念は『防衛』。攻め込まれたから反撃し、奪われたから奪還して……それだけです」
狼狽える彼女らへ落ち着いた声をかけるのは悠仁。
「地球での戦いのことはどのように聞いていますか? 私達との戦闘は勿論、戦闘外でも定命化にて命落とすリスクを抱えて……」
アイスエルフがエインヘリアル側から大して情報を下ろされていないのを逆手にとって、奴らへの不信感を増幅させんとしたのだ。
「それを正しく呑んで争うならば、選択の結果ゆえ、仕方のないこと。ですが、もしまだ一考の余地があるのなら、共に道を行けないか……ご考慮、願えないでしょうか」
加えて、地球側へつく為には定命化が必要な事を隠して、ただ地球で敵対行動を取る際のリスクだけを巧みに突きつける。
「抵抗が長引けば長引くだけ、定命化にかかる可能性が高くなる……」
アイスエルフは元々白い顔を益々蒼ざめさせて、投降すべきか否か迷う様子を見せた。
「ケルベロス、ひいては地球は強引に奪おうとしなきゃなんだって受け入れてくれるさ」
続いて口を開くのは泰孝。
「オレも地球人じゃねぇ。元々はそっちの勢力とグラビティを奪いあってたダモクレス……おっと」
元ダモクレスである証拠を見せようとジャンクアームを解体すれば、オイル滴るチェーンソー剣がガシャンと地面へ落ちて、ホラー映画顔負けの絵面を披露した。
「色々あって地球に受け入れられたんだ、今現在、どーなってるか見極めてから判断するのもいいんじゃねーの?」
そんな恐い見た目はともかく、説得内容は良い滑り出しだ。
だが。
「アイスエルフの皆、アタシはこの星で生まれたシャドウエルフよ」
リリーが己の出自を披露した後に続けた内容がいけなかった。
「定命化は終わりじゃないわ、命は繋がれていくのよ」
地球に暮らす者としては充分理解できる哲学だが、定命化を何より恐れ忌避するデウスエクス相手には、とても納得させられない。
「シャドウエルフが定命化に冒された?」
「今次戦役開始より1種族も滅びず2種族が定命化して、平穏に地球で暮らしているわ」
リリーはめげずに言葉を紡ぐ。
「それより恐ろしいのは攻性植物、アレは全てを無かった事にする……全てを隷属させ種族最後の一人を支配する、生命の冒涜者なんだから!」
しかし、アイスエルフの反応は芳しくない。
「攻性植物と定命化を同列に語られても」
「定命化の方が治しよう無いし」
デウスエクスの説得へ定命化を持ち出すのが地雷にも等しい事は、重グラビティ起因型神性不全症に苦しむドラゴンを見れば判る。
定命化をリスク込みで受け入れたオウガは例外中の例外なのだ。
「全てを無にする攻性植物と組んでいる者達が、正しいとお思いでしょうか」
次はシアライラがリリーを後押しするように言う。
「私たちは妖精族である、シャドウエルフやヴァルキュリアの皆様とも共に歩んでいます」
妖精八種族の仲間意識へ訴えかける自体は決して悪くない方策である。
「エインヘリアルを死者の魂から導いてきたヴァルキュリア達が、今は定命化の道を選んでいるという現実を、どうか見てください」
「ヴァルキュリア自身が定命化を望んだとでも?」
「だとしても、私達がそれに付き合う義理はないわ!」
しかし、リリーやシアライラが定命化の不安を抑えるべく幾ら言葉を尽くしても、アイスエルフからすれば緩やかに死ねと言われたも同じ。
彼女らの半数が激昂、或いは恐怖してその場を逃げ出した。
「そちらでは私たちが問答無用で攻撃してくるとか言っていましたけど、違いますよね?」
「分かったでしょ、あたしたちとの戦いがどういうことか」
気を取り直して、エインヘリアルとアイスエルフとの認識のズレを突くのはミオリと純恋。
「このことちゃんと説明されてたかしら? 不完全な状態で戦うのは本当に危険だったのよ」
コギトエルゴスムから目覚めたばかりのアイスエルフを気遣ってみれば、アイスエルフの態度も僅かに軟化する。
「ケルベロスは危険とは聞いてましたが」
「まさか騎士団員が負けるだなんて」
尤も、最初から負け戦を想定して部下の士気を下げる上官もいないだろうが。
ケルベロスにエインヘリアルが負けた時点でアイスエルフからの信頼へヒビが入るのも当然であり、そこを説得の突破口に選んだ純恋やミオリは正しい。
「それでも貴女達はエインヘリアルを信じて共に戦えるの?」
「一度私たちを見ていただけませんか?」
多少説得が簡潔に過ぎるものの、2人の呼びかけは、逃げようとするアイスエルフの足を留めるだけの力があった。
(「説得と言っても、あんま耳障りの良いことは言えねぇんだがなぁ」)
梓も、ともすれば定命化の事など口に出してしまいそうな己を自嘲しつつ、
「とりあえず、仲良くできるかもしれん奴と、問答無用で殺り合うつもりはねぇんだ」
自分の義娘もヴァルキュリアである事実をアイスエルフらへ屈託なく伝えた。
「そうだ、仲良くなるにゃぁ腹割って話すのが一番だろ。つー訳で、まずは呑もう」
その上で、ロングコートの中に隠し持っていたスキットルを次々と取り出し、奨めてみせる梓。
「戦場でお酒……?」
アイスエルフ達は互いに顔を見合わせたが、梓自身が旨そうに酒をかっ喰らう姿を見て、
「……貴殿らに戦う意志が無い事は信じます」
と、半ば信じられない心地で呟いた。
「あなた達の中でほんとは戦いたくないって人はいる?」
かぐらの問いへは、3人中全員が頷く。
「わたしたちならそういう人の思いを叶えられるかも知れないわ」
そして、かぐらと泰孝が発した次の質問には、アイスエルフ3人が反応した。
「あと、今いるのは女の人だけだけど、男の人がいない種族じゃないのよね?」
「勿論よ!」
「今のお仲間は女だらけのようだが、野郎の扱いはどうなるのかねぇ」
「エインヘリアルの人は男の人たちも一緒に暮らせるって言ってた?」
とかく定命化を嫌悪していたアイスエルフ達だが、意を決して語り出す。
「……お願い。第四王女が持つグランドロンから、男達のコギトエルゴスムを救い出して」
「あそこに恋人がいるの」
「私も、彼が助かるなら、どんな目に遭ってもいいわ」
当然、彼女らの訴えを撥ねつける8人ではない。
結局、アイスエルフの男達を慮った事が決め手となり、ケルベロス達はアイスエルフの女性7人中3人を連れ帰る事ができた。
作者:質種剰 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年3月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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