大阪都市圏防衛戦~氷雪の乙女達

作者:志羽

●大阪都市圏防衛戦
 竹の攻性植物による哨戒活動が行われていた、攻性植物との緩衝地帯に第四王女配下の騎士とアイスエルフが侵攻を開始した。
 アイスエルフたちはレベルは低めではあるが戦意は高く。今回の侵攻と市街地の制圧についてはどうやら、積極的に加わっているようだ。
「お前たちの力に期待しているよ」
「はい! そう言って貰えて嬉しいです」
 騎士は笑って、けれど、と紡ぐ。
「コギトエルゴスムから復活したばかりだ。頑張るのはいいが、無理はしないようにな」
「はい、そうします」
「けど、彼女には逆らわぬように」
 そっと、騎士は言葉顰める。先をいくひとりの、ルーンアックスを持った騎士を見つめて。彼女は粗雑で乱暴な面があるのだと。
「何をしている! 速くこい!」
 そんな話をしていると苛立った声。急いで騎士とアイスエルフたちは続く。
 けれど、その中で一人――これで、いいのかと眉顰める者がいた。
「攻性植物とエインヘリアルが手を組んで……」
 本当に信じて良いのだろうかとアイスエルフの乙女は呟いた。

●作戦
 リザレクト・ジェネシスの戦いの後、行方不明になっていた『宝瓶宮グランドロン』に繋がる情報が、大阪城周辺から報告されたのだと夜浪・イチ(蘇芳のヘリオライダー・en0047)は紡いだ。
「大阪城周辺は、竹の攻性植物による警戒が厳しくなっていたんだよね。でもその中に、エインヘリアルの騎士と『妖精8種族であるアイスエルフ』と思われる女性の姿が確認されたんだ」
 おそらく、とイチは言う。
 第四王女は、アイスエルフを自分の騎士団に組み込むと同時に、攻性植物との同盟を強化する事で、リザレクト・ジェネシスで消耗した第二王女の勢力を盛り返そうとしているのだろうと。
 皆に対してもらうのは、レリ配下の白百合騎士団のエインヘリアル8体程度、アイスエルフ8体程度の混成軍とイチは言う。
「市街地の地形を利用して、うまく隠密で近づくことができれば奇襲攻撃ができると思うよ」
 アイスエルフは戦闘力が低いが、ケルベロスが襲撃すれば自分の身を護る為に反撃してくる事。そしてエインヘリアルの騎士は、アイスエルフを守るように戦闘をするようだとイチは続けた。
 アイスエルフは『尖った耳』と『体から生えた氷の結晶』という特徴があるのですぐにわかる。
「エインヘリアルを全滅させた状態で、アイスエルフを説得する事ができれば、連れ帰って来ることもできると思うんだ。でも……」
 自分達を守って戦った騎士を倒したケルベロスをすぐに信用する事は難しいかもしれない。説得を目指すのならば、アイスエルフから見た印象を良くするような戦い方が必要だろう。
 説得できなかった場合、アイスエルフたちを撃破しても良いし撤退させても良い。
 判断は皆に任せるよとイチは紡いだ。
「一緒に行動してるけど、決して意気投合しているわけではないみたいなんだよね。だから崩す予知はあると思うよ」
 できることはあるから、頼んだよと言ってイチはヘリオンへとケルベロス達を誘った。


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
マキナ・アルカディア(蒼銀の鋼乙女・e00701)
疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)
星宮・莉央(星追う夢飼・e01286)
狗上・士浪(天狼・e01564)
セレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
深幸・迅(罪咎遊戯・e39251)

■リプレイ

●その姿、見つけ
 まとまって動いていたエインヘリアルとアイスエルフ達の姿を見つける。
 エインヘリアル達がアイスエルフ達を守るように囲んで布陣しており、こちらにはまた気付いていない。
 その情報を、まずケルベロス達は擦り合わせる。
「分断するのは難しそうですね」
 彼女らの状況を聞いて紡いだ幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)の言葉に星宮・莉央(星追う夢飼・e01286)は頷いた。
「割り込めたらいいけど、包囲する方が良さそう、か」
「そうね。それなら……この辺り」
 マキナ・アルカディア(蒼銀の鋼乙女・e00701)は見てきた市街地の地図、その様子を皆へと教える。
 高い建物もあり、遮蔽物も多い。奇襲をするなら、此処がよさそうと告げながら。
「一方的に使われてる雰囲気じゃあなかったんだよな」
 疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)もまた己の見てきたものを紡ぐ。
 ひとり、月斧のエインヘリアルが突出した動きをとり、他の者がアイスエルフとの間を取り持つような。そんな様子だったと。
「どんな状況化はさて置き、目覚めたらよくわからん輩と合同作戦……か。アイスエルフも難儀なモノだな」
 俺だったらそんなのは御免被るとヒコは思う。どうせ共に戦うなら――そう思って向けた、視線の先。
「いつも通りだ。俺の背中は任せたぜ」
 ヒコの言葉に狗上・士浪(天狼・e01564)は片眉上げ。そして口端上げて笑う。任される背中があるという事は、己の背中も託せるという事。幾度も共闘したからこそ、知っている事がある。
「背中守らなきゃならねぇようなヘマしねぇだろ」
 士浪の言葉は信頼だ。ヒコはそりゃそうだと笑って返す。
 動きを示し合わせ敵の元へと、ケルベロス達は向かう。
「参りましょう」
 強い意志の力をその瞳に称えて、セレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)は紡ぐ。
 きっと、故郷に帰りたいと――そう思っているのだろう。そしてその気持ちは純粋なもの。
 けれどその想いを利用するというのは騎士として許し難い行為なのだ。
「ふむ、アイスエルフの者達とはのう」
 制圧を司っておるとは、頭の切れるデウスエクスの者の元におったら危なかったのじゃと、ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)は思う。
 制圧なんてされておったらグラビティチェインの集め放題じゃからのう、と。
 しかしその話を聞く限り、とも思う。
 部下の能力をしっかり考え適材適所に配することができないと部下の方からも不満が溜まる一方なのじゃ――切り崩し方はいくらでもありそうな、彼らの在り様。
「さて、優秀な人材をヘッドハンティングしに行くとするかのう」
 息顰め、音を立てぬようにしつつ瓦礫の影に隠れ距離を詰める。
 ったく、と深幸・迅(罪咎遊戯・e39251)は吐き出すのを留めた。
 策略も謀略も地球巻き込まずに好きにやれってくれ――つー訳にもいかねぇよなァと迅は思い直し、零した。
「稀有な存在だモンな、地球」
 そして――その時がくる。
 回り込み、タイミングを合わせてエインヘリアル達へと攻撃をかけた。

●戦いは疾風の如く
 突然の攻撃にエインヘリアル達の反応が遅れた。それはまるで疾風の如く、仕掛けられた攻撃。
 外側に布陣していた者達へと攻撃は集中し、8体の内、3体が倒れる。一気に半数近くを削られたエインヘリアル達は態勢を立て直そうとした。
「我が名はセレナ・アデュラリア! 騎士として、この戦いに力を尽くしましょう!」
 奇襲の後に、セレナは高らかに名を告げる。
 騎士としての名乗りと共に、達人として突き詰めた一撃をエインへリアルへ。その攻撃は守りに徹する者が星辰の剣で受け止めようとしたが、庇いきれず衝撃を与えていく。
「なに、なんなの!?」
「ケルベロスの襲撃だ! 戦えお前たち!!」
 月斧を持ったエインヘリアルが獰猛に笑って見せる。
 頭から勝ち割ってやる――そう言って振り下ろされた一撃を受けたのは鳳琴だ。
 力の限りの一撃は、守るように動いてもそれを突き崩していく。深い傷を負いながらも鳳琴はその向こうのアイスエルフへと強い言葉向けた。
「私たちは貴方達アイスエルフを攻撃しません、お話に参りました!」
 女は何を言っているのかと笑う。嫌な顔だと鳳琴は痛み堪え、次に攻撃が来たらまた庇えるよう構えた。
 そこへ癒します、と――声が響く。それは莉央のものだ。迅は任せたと、その役目を託す。
 莉央は鳳琴の前へと光の盾を生み出した。その光は傷を癒し、そして守りを高める力。
 迅は、戦う仲間達の動きに陣形を見出し名付ける。その恩恵は破魔力の力だ。その力を纏い、前列の者達が走る。
 その間に、月斧の女へとマキナは迫る。
「敗者で恩を売れば、何をしていい訳では無いというのに……」
 零れたのは、胸の内に抱えている想いだ。
「彼女らは……、貴方達の理想の道具では無いわ」
 この場で一番、粗雑に扱う女へその弱点見抜き痛烈な一撃を放つ。
 痛いなと笑う女は楽し気だ。それは戦いを好む者の顔。
「当てやすくて助かるぜ。デカくてよ……喰い千切れ!」
 貫手に固めた拳に氣を収束して。神速からの刺突を士浪は月斧の女へと見舞う。
 気脈を断ち、汚染し。感覚を狂わせその身を蝕む。攻撃の精度を崩す手の一刀に女は呻き声を溢した。
 容赦ないと揶揄するような声に手加減必要ないだろうと独り言ち。一撃の向こうからの刺すような視線に真っ向から、士浪は向かい合う。
「まとめて攻撃したら、あたりそうだな」
 それはこの後、彼女らを説得する事を考えると望ましくない。ヒコは狙いを一人に定めて攻撃かける。
「――……もう、逃がしてやらねえよ」
 模した折紙に鈴音ひとつ、ふたつ。祝詞に呪式、祷を籠めれば本物相違無い蜘蛛となって。
「肩借りるぜ」
 ヒコの掌から士浪の肩へとぴょんと飛び乗って煌めく一糸吐き、敵を縛る。それは士浪の与えた瑕疵を深めていくものだ。
「アデュラリア流剣術、奥義――銀閃月!」
 そこへ踏み込んだのはセレナ。
 騎士の一族であるアデュラリア家に伝わる剣術の奥義の一つ――一瞬の内にセレナ自身の肉体に魔力を巡らせ、瞬間的に運動能力を限界まで引き上げる。
 高められた能力全てを使い、急所へと放たれる一撃。
 その重さに月斧持った女は膝をつき、そして崩れ落ちた。
 そして残ったエインヘリアル達へも、攻撃がむく。
 まだまだ冷え込むからとウィゼはバスターフレイムを放った。しかしただやられているばかりではいられないと、攻撃を担う者達が続けて攻撃をかけて来る。
 その攻撃の激しさにウィゼは膝をつきそうになったのだが――迅がオーラを放ち癒し支えた。
「誰一人倒れさせるかよ……んで、その為に倒れてたまるかっての」
 俺の矜持、ここにいる奴らの矜持、舐めてんじゃねぇよと言葉零して。
 戦いで負った傷は迅と莉央が声を掛け合い、戦線保たせる。
「望まない戦いを貴方達に強いて、攻性植物と盟約を結んだエインヘリアルを信じてよいのですか?」
 魂を喰らう降魔の一撃をその拳に乗せて。踏み込むと同時に向けた拳が敵の身を穿つ。
 続けてもう一撃。マキナは竜槌振り下ろし進化の可能性を奪い切った。
 次はその竜槌が自分に向くのかと怯えるアイスエルフの攻撃。それをマキナはあえて、何もせず受けた。
「地球は他者を慈しむ心があれば、その手を決して振り払わないわ。ダモクレスであった私が今ここにいるのがその証明」
 攻撃をしたのだからされるのではと思うアイスエルフ。けれど、そんなことせずマキナは仲間を守るように動いた。
「もう崩れたが」
「簡単に引き下がっては……くれねぇみたいだな」
 ヒコが撃ち放つ攻撃に士浪が動き合わせ、攻撃重ねて。息が合うのは幾つも重ねてきた戦いの結果だ。
 まだ戦うべき相手がいる。やはり数が多い分、攻撃もそれ相応受けるのは状況的に仕方ないのだろう。
 しかし、守り固めて庇う者もいる。そして、莉央は歌を紡いで仲間達を支える。ふと動いた指先はギターの弦を求めてのものだった。
 ひとり、ふたりと――好戦的な月斧の女が倒れてからケルベロス達は的確に攻撃を重ねエインヘリアル達は倒れていく。
 そして、最後の一人。
「っ! お前たちは、逃げろ!」
 そう言って庇いだてるように動いていた者にウィゼの一撃が入り、その姿は崩れ去った。

●氷雪の乙女達は
 エインヘリアル達が全て倒れ、ケルベロス達は攻撃の手を止めた。
 逃げられるとは、思えない。続けて襲われるのでは――と緊張し、身構えていたアイスエルフ達。
「対応、良かったのじゃ。仮にじゃが攻性植物に支配されたこの大阪の地を攻性植物から取り戻すとしたら、どう制圧する?」
 ウィゼはとっかかりとして、アイスエルフ達へと声を向けた。
 しかし彼女らからすれば突然、何故そんなことを問うのかと躊躇いが見て取れる。
 莉央は倒した者達に黙祷した後に、アイスエルフ達へと向き直り。
「怖い思いさせてすみません」
 その謝罪に構えていたアイスエルフ達はきょとんと、どこか拍子抜けしたような顔をする。しかし気を抜くなとアイスエルフ達は再び身構えた。
「目覚めたばかりのアイスエルフの方々――皆さんに、エインヘリアルにとって都合の良い情報のみ与えて味方とするのは騎士にあるまじき行いではありませんか」
 セレナは、先日戦った者を思い出す。彼女のようにただ第二王女に利用されているだけだと理解している者も中にはいるようだ。
 言葉を聞く、その表情からその意志の強さが見て取れるものがいる。
 力無き者の言葉に彼女達が耳を貸す事は無かっただろう。だが――腰に収めた、この剣をもって力を証明した今ならば。
「私達の生活を見て、最終的にエインヘリアルの下に戻る事を選択しても。その時は一般人の方々も含め、そちらから手を出さない限り攻撃をしないと、騎士の名にかけて誓いましょう」
 言葉は届くだろうとセレナは紡いだ。そしてヒコも、救いに来たと続く。
「俺らケルベロスはこの地を取り戻す為に、延いては故郷である星の守護・安寧のため戦っている。脅かす者にゃ容赦しねえよ」
「戦う術がねぇ奴ばっか殺しに来てる相手から星を護るって意味もあって戦ってる」
 命賭けてよ、と迅は言う。
「俺らの戦いは迎撃、防衛の戦いなンだぜ?」
 百聞は一見に如かず、ってんだ。話聞くよりも、自分の目で見てみたら良くねぇか? と、迅は誘いをかけた。
 あんたらの知らねぇ世界だと思うけども、見てみっか? と。
 そして一歩、鳳琴も前へと踏み出した。
「私の世界でいちばん大切な人は、貴女達と同じ妖精八種族の、シャドウエルフです!」
 鳳琴は真っすぐに、彼女達へと言葉を向ける。その言葉に嘘はないと伝わるように。
「地球を愛していただけた方々は、妖精八種族のみではありません、ローカストにも、ダモクレスにも」
 マキナは頷いて己がレプリカントであることを告げる。レプリカントになったものだと。
「恩義も人質も分かる、それでも。奪われる苦しみを知る貴方達が奪う側にならないで欲しいわ」
 アイスエルフを縛る鎖は幾つもあるのだろう。
 それでも。
 縛る鎖は断ち切る事が出来ると信じて、マキナも言葉を向けた。
 もし――叶うならば。
「貴方達とも手を取れるなら……本当に嬉しいです」
 鳳琴は己の気持ちを伝えた。
 その言葉をどう、アイスエルフ達が受け取ったのか。
 向けられている言葉を簡単に信じられないのは想像に容易い。
 しかし――元から、エインヘリアルと距離を置いていた者もいる。寄る辺であったものが居ない今、その判断は早かった。
「私は……あなた達と共に行こうと思う」
「ちょっと!」
「エインヘリアルにも良い者はいたけれど、信じられないんだ」
 もしこれで私が死んだとしても後悔はないとそのアイスエルフは紡いだ。
 そして彼女に続くものがひとり、ふたり。しかし迷っている者達もいる。
「ほ、本当に行くの!?」
 その様子に士浪は溜息をつく。
 まぁ、おそらくは何も知らされてねぇ連中だと、その様子から思った。
 何を選ぼうと咎めるつもりはない。だがその代り――今後向かってくる様なら手は抜かない。
 どう転ぼうが……後はやれるだけの事をやるだけだと士浪は思いつつ言葉発した。
「一方的に滅ぼすわ、寝てる間に攻性植物とも組んでドンパチする気満々だわで。挙句故郷に戻すときたか……連中に使い潰されねぇ保証もねぇのによ」
 その言葉は、彼女達が気付かないようにしていた事実なのだろう。
 押し黙り、不安そうに視線を漂わせているのは――何か、答えとなる言葉を待っているからだ。
「まぁ、選択すんのはそっちだ……けどな」
 どうせ選ぶんなら、テメェ自身で見聞きして、テメェ自身の意志に従え――士浪の言葉は決して優しく迎え入れるものではなかった。
 その様子にふと、彼のぶっきらぼうさを知るヒコは笑い零し。
「俺はこの自分の生まれ育った星が好きだぜ」
 日々一期一会に季節が巡り、何時でも違う姿を魅せる。
 今この地は丁度貴殿らと同じ目覚めの季――とりわけ沢山の美しい花々が咲くと。
「悍ましい攻性植物なんかとは比べ物にならんさ。そう云うモンを――本当に瞼を開けたんなら見て欲しいもんだ」
 歩み合えるのならばいつでも歓迎しよう、と。
「この星と人々は寛大だ。害さぬ者は無条件に受け入れるだろう。な?」
「征服者の言葉だけが全てじゃねぇと、俺ぁ思うがね」
 士浪がそっぽ向きながら落とした言葉へそうです、と莉央は頷いた。
「友人は家族――仲間は、何処に? 処遇は?」
 男性もいた筈。でもその姿が見受けられない。彼らのことは聞いているのかと、莉央は問い掛ける。
「それは……」
 莉央の言葉に詰まるアイスエルフ達。つまりは、問われたその通りなのだろう。
「彼らには何もせず――いや、復活させずにいるなら。それは『アイスエルフという種族の為』と云える事?」
 言葉は届いていると莉央は感じていた。
 望まぬ戦いを強いられ故郷の繁栄や仲間の為にと使い捨てられる路を歩んで欲しくない。
 それはエゴだとわかってはいるが願わずにはいられないのだ。
 敗者だからと考えを狭めていないか。云われるが儘に望まぬ戦いをしても辛いだけだと莉央は伝える。
「疑念を持った儘、故郷や仲間の為に戦ったと胸を張って云える?」
 いえない、と。ぽつりとアイスエルフ達は落とした。
「……俺は貴方達を、アイスエルフを救いたい。貴方達を護る騎士にはなれませんか」
 騎士としてふるまえる力は、見せた。エインヘリアル達を挫いたのだから。
 けれど、その真っすぐな言葉に思わず、と言ったようにアイスエルフ達笑み零し、決意する。
 アイスエルフ達全員、共にケルベロス達と行くことを。彼女達自身が選択するために。
 けれど、新たなる仲間になるかどうかは――まだ今は、わからない。

作者:志羽 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年3月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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