行先知らぬ蹄音

作者:件夏生

●思惑と思惑
「お前達の使命は、このコギトエルゴスムにグラビティ・チェインを注ぎ復活させる事にある」
 螺旋忍軍ソフィステギアの元に夥しい数の犬が集う。獣の姿なれど、全て螺旋忍軍だ。今はただの球体であるコギトエルゴスムを埋め込んだアクセサリーを拝領しつつ、ソフィステギアの命を胸に刻む。
「本星『スパイラス』を失った我々に、第二王女ハールは、アスガルドの地への移住を認めてくれた。妖精八種族の一つを復興させ、その軍勢をそろえた時、裏切り者のヴァルキュリアの土地を、我ら螺旋忍軍に与えると」
 ソフィステギアは僅かばかり声を潜める。
「ハールの人格は信用に値しない。しかし、追い込まれたハールにとって、我らは重要な戦力足りうるだろう。そして、ハールが目的を果たしたならば、多くのエインヘリアルが粛清され、エインヘリアルの戦力が枯渇するのは確実となる」
 犬達の一匹一匹と視線を合わせ、こう結んだ。
「我らがアスガルドの地を第二の故郷とし、マスタービースト様を迎え入れる悲願を達成する為に、皆の力を貸して欲しい」
 一斉に螺旋の力を秘めた獣達が頭を下げて恭順を示した。

「あああああっっ! 誰か! 誰かっ死っしぬ゛……ひぃぃっ!!」
 5匹の成犬に食い千切られてスーツ姿の男が息絶える。
 内一匹の身に着ける首飾りの玉がグラビティ・チェインを吸い、一体の妖精へと変じた。人間の上半身に馬の胴がついている。
「これは一体……。お前たちが復活させてくれたのか? 助かったが、何の為に……」
「……」
 犬達はついて来いとでも言うように首を巡らせ、一方向に歩き出した。困惑していた様子の妖精も、グラビティ・チェインを与えてくれた犬の後をひとまず追う。踏み固められた雪上に、血染めの肉球と蹄の後が点々と続く。

●コギトエルゴスムの奪取
 ギデオン・グッドウィン(オウガのヘリオライダー・en0300)が一礼した。
「よろしくお願いしまっす! リザレクト・ジェネシスの激戦の後に行方不明になってた『宝瓶宮グランドロン』、それに繋がりそうな予知が見えたよ」
 少しややこしいんだけど、と前置き説明する。
「獣の姿の螺旋忍軍が襲撃事件を起こすんだ。その螺旋忍軍が『コギトエルゴスム』を埋め込んだ首飾りをつけていて、襲撃して殺した人間からグラビティ・チェインを奪い、人馬型のデウスエクスを復活させるって計画。……こいつは妖精八種族の一つと考えていいよね。グランドロンへの手掛かりになるかもよ!」
 ケルベロス達へと頷きかける。
「まず皆には、襲撃される人間を守って、螺旋忍軍を撃破して欲しいんだ。そしたら妖精八種族のコギトエルゴスムが手に入る」
 一呼吸置いてギデオンは事件の詳細を語る。
「真夜中、雪の積もる道を一人で歩いている一般人の男性が襲われるよ。男性を完全に避難させたり、道を人払いしてしまうと螺旋忍軍は他の場所で別の人を襲いに行って行動を予知できなくなるから、襲撃されている所を救援して、その場で安全を確保して欲しいんだ。……で、ここからが大事なんだけど」
 動物型螺旋忍軍には特徴があるようだ。
「こいつら、『近接・単体のグラビティ』でケルベロスに攻撃されたら、1分は一般人を攻撃しないみたいだ。『遠距離』や『近接・列単位』の攻撃ばかりずっと続けていると、一般人を殺して人馬型のデウスエクスを復活させる術を施す余裕ができてしまう。……人間をかばおうとしても人間を殺す為なら無理矢理にでも突破されるね」
 ヘリオライダーは躊躇いがちに付け足した。
「……男性が殺されて、人馬型のデウスエクスが復活したら、そのデウスエクスは何が起きたか分からないままとりあえず逃げようとするんだ。螺旋忍軍は足止めの為か皆に攻撃してくるだろう」
 気分を切り替えて、ギデオンはぐっと拳を握った。
「1分ずつ一般人の命を伸ばして、螺旋忍軍を倒す。皆の連携が重要になるね……。大変だけど、グランドロンの手掛かりになりそうなコギトエルゴスムを手に入れるのは、皆にしかできないんだ!」


参加者
浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)
宇原場・日出武(偽りの天才・e18180)
北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570)
岡崎・真幸(花想鳥・e30330)
フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)
イリス・アルカディア(レプリカントのパラディオン・e44789)
鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)
トリューム・ウンニル(碧き天災の運び手・e61351)

■リプレイ

●24時、雪の道
 街灯もまばらな道に、家路を急ぐくたびれた男が一人。踏み固められた雪の上をひたひたと足音を殺し、獣が一匹、また一匹と彼に迫る。
 狙われているとは露ほども気づかない男が歩を緩めてくしゃみをした。 今が好機だ。
 音も無く背後から飛び掛かる五匹は、急に眩い光に照らされてたたらを踏む。
「お座り!」
 浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)が懐中電灯を向けて毅然と命令するが、二体の褐色の犬(アブランカ・オダマキ)の内一体が、構わず腰を抜かした一般人に飛び掛かろうとする。
「た、助けてくれ!」
「もちろん! あなたは動かないでいてね。……さあ、犬なんだから、人様の命令聞きなさい……よ!」
 小さく口を尖らせた浦葉が振り向きざまに犬の足を狙う。彼女の拳は空中の水蒸気を白く凍らせる。理力を発露し、己の肉体の末端を雪より冷たい超低温とする凍撃。触れれば寒いどころか、瞬時に重度の凍傷となるだろう。
「ギャウゥゥ!?」
 異様な凍気が毛皮をチリチリと凍結させ、褐色の犬は咄嗟に横に跳ねた。
「ごめん、ちゃんと当たってない!」
「了解!」
 犬が逃げた先に構えていたのは北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570)。Believe Lightの灯りが青年のシルエットを雪上に浮かび上がらせる。
「俺達は地獄の番犬、ケルベロスだ! つまり8人で頭は24個! たった5匹の犬が勝てるはずがないだろッ!!」
 跳躍からの煌めく蹴りの一閃を犬の腹に入れ一般人から遠ざけた。北條の着地点にライドキャリバーのこがらす丸が滑り込み、相棒を乗せるや否や炎を纏って走り、白い犬(アブランカ・カメリア)を弾き飛ばす。
 白犬はならばと手近にいた宇原場・日出武(偽りの天才・e18180)へ螺旋の力を込めた爪を叩きつける。
 血を噴き出しながら螺旋の衝撃に肌を波打たせた宇原場はぐっと耐え、怯える一般人の男へ上からにっこりと微笑みかけた。
「さあ、そこで見ているといいでしょう。この天才に何でも頼りなさい」
 仲間の明かりに照らされた親しみやすい姿に肩の力が抜けた男がまた息を詰める。
「う、後ろに!」
「んん……?」
 光の加減のせいだろうか一匹の黒犬(アブランカ・ククリ)に向き直った宇原場が瞬時にして逞しく変じたように見える。
「約百裂拳!!!!」
 無数の殴打、無数の蹴りが瞬く間に黒犬に吸い込まれる。
「お前はもう……何かアレしている……!」
「オオオォォ!」
 肉体のあちこちから血を噴き出す黒犬だが、歯をむき出して氷の螺旋をお返しした。
「うっうっ」
 宇原場は時に打たれ弱い。すかさずボクスドラゴンのチビが羽ばたいて治療に当たる。
 それを横目に岡崎・真幸(花想鳥・e30330)は自身のターゲットに定めたもう一匹の褐色の犬との間合いを測る。
 先に動いたのは犬の方だ。吠えながら氷結の螺旋を岡崎に吐きかける。衝撃にコートがはためいた。
「……っ! 来たれ神性。全て氷で閉ざせ!!」
 詠唱の後、急に上から押し付けるような冷風が吹き犬が強制的に伏せさせられる。犬が片目をどうにか開けて見上げれば、この世の物とは思えぬ異形の大きな足が宙から降るのが見えた。一瞬の事だがどこかの骨が折れる軽い音が鳴り、犬の毛皮にびっしりと氷結が粒になって固まる。
 自身にぶつけられた螺旋の痛みも構わず、岡崎は軽くせき込んだ後、犬だけに聞こえるようにある通り名を告げた。
「……知っているな?」
「……」
 荒く息をつく褐色の忍犬はしばし動きを止めた。是とも否とも色に出さず再び爛々と目を輝かせて隙を伺う。
「そうかよ」
 どうやら、長い指導になりそうだ。岡崎は嘆息する。

「攻撃を受けていないのはあと何体だ!」
「そこの、黒犬一体です」
 鎖で魔法陣を描きながら指折り数え戦況を見守っていたフェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)に応じ、鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)が動く。ランプが闇夜を照らし、もう一匹の黒犬の姿を露わにする。
 フェルディスが術を完成させ、神を讃える意匠を廻らせた鎖の魔法陣の中心で皆への守護を願う。
「グルル……」
 螺旋の力を持つ獣が、その爪でもってスポーツプロテクターを裂き鵤の胸を抉る。だがフェルディスの支援もあり傷は深くない。
「やるじゃねえか!」
 怯まず拳で鼻面を叩き返せば、顎から血を滴らせて黒犬がよろめいた。

 忍犬は五匹、番犬は八人。一人が一匹をマークし続け、残る三人とサーヴァントが支援を行う構成により、いかに素早い螺旋忍犬と言えど一般人に近づく隙を与えない。
「ポチ、伏せ! もう、しつけがなってないわね」
 浦葉が追い立てる前述の褐色の犬の行く手に飛び降りたのはトリューム・ウンニル(碧き天災の運び手・e61351)。ボクスドラゴンのギョルソーも応じて囲い込む。
「そうそう、言う事聞きなよー。ふせ! おすわり! ごろごろ!」
 ギョルソーの吐く炎に焼かれ慌てて雪の上を転げる敵を、笑顔で如意棒を振り下ろすトリュームの一打が叩きのめし完全に動きを止めた。
「ありがとう」
「集中攻撃できたおかげだよ。よーし、次!」
「うん、お願いするね」
 犬が消滅した後に残った首飾りを手にし、イリス・アルカディア(レプリカントのパラディオン・e44789)がきゅっと両手を組みオウガメタルの輝きを皆に分け与える。その目は至近距離でめまぐるしく繰り広げられる攻防を冷静に見据え、次なる最善手を模索していた。

●犬達の足跡が点々と
 敵が一体減る度に守りから攻撃に転じられる手数が増える。この決断も迷いがなく、一般人を狙う動きを止める他は倒し易そうな個体にグラビティを浴びせ続ける。
 こがらす丸が白犬を続けざまに轢こうと赤々と燃えて突撃するが、突き破ったのは犬の分身だった。死角に逃れようと駆ける本体を今度は北條が捉えた。
 胸の古傷から生み出された刀で袈裟懸けに一太刀で切り捨てる。
「本物の犬みたいけど、人に仇なすデウスエクスなら容赦しない!」
「ガル……ウゥ! ギャウ! アウウゥ……!」
 残忍な犬が最期に見たのはどのような光景か。鋼の鴉には知る由も無くまた一体が消える。

 無力な人間にどうにか食らいつこうと駆けまわる三匹の犬を番犬達が見逃さず抑え込む。至近でグラビティがぶつかり合う乱戦ながら、ケルベロス達は標的を誤る事なく決して刺客の牙を通さない。
 この場で最も大きい鵤はさながら火力を備えた城壁。対峙する黒犬が活路を求めて肩口に食らいつく。
「むっ!!」
 両腕で引きはがそうとするが、犬にも忍びの執念があるか螺旋の力がジャケットを貫いて食い込み、これまで数度耐えて来た鵤も流石に顔を顰めた。
「ステイ! 動くんじゃないわよ」
 標的を切り替えた浦葉が風切る蹴撃で屈強な犬の腹を蹴り飛ばし、すかさずフェルディスが鵤の支援に入る。
 跪き敬虔に祈れば、雲に閉ざされた夜闇を裂いてフェルディスの上に輝く何かが降り注ぐ。天使か、鳥か、UFOか!
「さぁ天よ、人々を癒し祝福を……」
 それは新品の艶やかな金タライだ。
「ガフッ!? なん……で」
「キャーッ!? 忍者ヒドイ!」
 鼻から血を吹き道端の雪だまりに沈むフェルディスを見てトリュームが両手を頬にやり、ギョルソーと共に黒犬へ反撃に向かう。
「グゥゥ?」
 黒犬は何が起きたのか分からず困惑しながら間合いを取り直す。
 それもそうだろう。これこそがフェルディスの必殺技。真摯に祈れどなぜかタライが降り注ぐ。犠牲を神が見届けたか、奇跡が鵤の傷を癒す。
「キャハハハー! まーてー!」
 甲高く笑いながら黒犬を追うトリュームだが、あろうことか高性能の装着型機械脚がぐんぐん敵を追い越して行く。
 これには犬も再び面食らう。しかし気を取り直して目前のトリュームの太腿へと牙の並ぶ歯列を噛み合わせ。
「!?」
 ガチリと顎は空を喰らった。ジェットブースターで高天を舞うトリュームの姿はみるみる小さくなり、くるんと宙返りをして一気に下降する。目標はもちろん犬の上。
「キャ……ッッッッハハハハァーッッッ!!!!!」
「ゴフッ……!」
 敵の背を砕く音も喜びに満ちた哄笑に掻き消える。計画通りに行かぬ苛立ちに喉をグルルと鳴らすが、それ以上に怒れる男がやはり犬の前に立ちはだかる。
「フェルディス! この力……無駄にはしねえ。てめえら、しつけ直してやる。ちょいと痛い目みてもらうぜ…!!」
 勘違いはそのままに鵤も額に青筋を浮かべて、身の内から湧き上がる力を籠め懐から取り出した蛍光チョークを放つ。
 黒犬はふらふらと下がりつつ躱すがその動きは計算済みだ。男のあまりの力にチョークは着弾点の雪塊ごと爆砕され、その一粒一欠片全てがグラビティを帯びた散弾となり犬の右半身に突き刺さる。
「ギャァァウ! ……ッッ!」
 なぜこんな目に合ったのかさぞ納得いかなかっただろう。呆然とした目でよろめいた後、一体の黒犬は消滅した。

「あと二体! もう少し……もう少しで」
 味方の支援に、敵の妨害に、常に状況に合わせた細やかな気配りでオールラウンダーとして濃密な数分を動き続けたイリスが、もうひと頑張りと気勢をあげる。
「畳み掛けるぞ!」
 宇原場の野心を籠めた拳が残る黒犬を迫真の表情で殴り、生気を奪うだけ奪って高々と弾き飛ばす。
 それでも敵の目は殺意に燃え、空中で体躯を捻り体勢を立て直し、壁を蹴って浦葉のしなやかな首筋を狙う。
「……討つっ!!!」
 結った黒髪をなびかせ振り返りながら、掬うように振り上げた拳が敵の心臓を確かに穿ち、噴き出す血潮も凍り付いてぱらぱらと落ちる。凍撃が急所に致命的な損傷を与える。
「私、犬好きじゃないのよ。ネコ科だから」
 ゆっくりと拳から力を抜きながら、命あらばいかなる非道も行う忍犬にぽつりと呟いた。

 やっと残るは褐色の一匹。視線は敵に据えたまま、岡崎はチビの赤く滑らかな額をそっと撫でて手短に頼んだ。
「行って来い」
 頷いたボクスドラゴンは負傷者の手当てに回り飛び立つ。
「これで決めるぞ」
「はい、援護するねっ!」
 イリスのクイックスパークは大技では無いが溜めがなく速い。指先から閃く一瞬の稲妻の光が敵の両目に見えてからでは遅いのだ。
 前足を撃たれて動きの鈍った敵は歩み寄る岡崎に凍結の螺旋を尚浴びせる。
「安心しろ。もうお前に聞きたい事は無い」
 醒めた声音と共に敵の眼前を異界の雪風が覆う。その中に輝く異形の神の瞳を見て、忍犬は悲鳴も上げずに凍死した。

●闘い過ぎて東風
 血生臭い空気がどこか春めいた風に払われる。
「ふぅ……、あんたも偉い目に合ったな」
 コートの裾の汚れを叩いた岡崎が肩を竦めつつ声をかけ、巻き込まれた男はやっと我に返った。
「怪我は無いかしら? 立てそう?」
 浦葉が屈んでヒールを施す。磨かれた黒曜石のような瞳に魅入られながら、彼女の差し出した手に手を伸ばしつつ男は礼を言う。
「は、はい。皆さんは命の恩人です」
「そうだぁ、この天才の名を言ってみろぉ!」
 ここぞとばかりに前に出た宇原場が男の胸元を掴んで豪快に立たせる。
「おれの名は……」
「村長! 一杯どうぞ。あ、あなたも!」
「村長さんと言うのですか。ありがとうございます!」
「う、うむ。間違ってはいないがな……」
 良いタイミングで北條が爽やかに温かい飲み物を配った。コーヒーと麦茶の香ばしい匂いが漂いどこかほっとする。
 希望者にドリンクを渡した北條自身はこがらす丸に寄りかかり、薫り高いオリーブオイルを嗜んでいた。
「ボクも麦茶を……」
 頭の上にチビとギョルソーがピヨピヨと回って飛び、ふらふらしているフェルディスの顔を腕組みしたトリュームが覗く。
「ええー大丈夫? 温かいの飲んだらまた血ぃ出なーい?」
「あっ、まだ怪我があった!?」
 聞きつけたイリスがすぐさまヒールをかけた。
「ふがが……! ありがとうございます」
「どういたしましてっ!」
 イリスはにこりと笑い、てきぱきと周囲の塀や電柱も見回る。そこへ鵤が声をかけた。
「くまなく探したが、これで全てのようだな」
「うんっ、忘れずに持ち帰るよ!」
 二人の手の中にはいくつかの首飾りに耳飾り。いずれも青い宝石に飾られじゃらりと重い。
「復活はもうちょい待ってくれや、悪いようにはしねぇからよ」
 気安く言葉をかけると敵の遺したコギトエルゴスムを埋め込んだ宝飾品がランプの光に輝く。
 岡崎は玉の輝きに目を細めてから、忍犬どもの来たる夜闇へと首を巡らせた。妖精を巡る各陣営の攻防に犬ばかりの螺旋忍軍まで加わった。考えるべき事項はいくらでもある。
 春分は近いがまだ夜が長い。吐き出した白い息は暗闇の中へと流れていった。

作者:件夏生 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年3月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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