タントラム・トゥ・チョコレート

作者:鹿崎シーカー

 某所デパート一階、食品売り場!
「うわあああああああん!」
 慟哭と共に売り場の一角が爆発した。間欠泉めいて茶色い液体が吹き上がり、買い物客やスタッフ達が悲鳴を上げて逃げ回る。茶色い噴水を背にし、大量の板チョコを積んだワゴンを蹴倒すのはココアブラウンの羽毛を持つ鳥人間! ワゴンに掲げられた『バレンタインフェア』の文字を地団太じみて何度も踏み付け、ビルシャナは空に叫んだ。
「畜生ーッ! 何がチョコレートだ! 何がバレンタインフェアだァーッ! ふざけるなよ女共ぉおおおおおおおッ!」
 床に散らばる板チョコの包み紙から茶色い液体が沁みだし、間欠泉に吸い込まれていく。ビルシャナはその場に膝を突き、滂沱の涙を流し始める。
「二月十四日……期待に胸を膨らませた思春期のあの日……俺は、俺達はッ! チョコをもらうイケメン共を遠目に涙で机を濡らしていた……畜生女共! お前達にわかるのか! チョコを! もらえないッ! 男達の! 嘆きがッ! お前達にわかるか! わかるのかあああああああッ!」
 間欠泉が激しく蠢き、茶色の巨腕が中から複数飛び出した! 伸びた腕は逃げ惑う女性達を鷲づかみにし、空中へ引き上げていく。間欠泉からゆっくり姿を現してきたのは、チョコで出来た巨大なゴーレム! 後方回転跳躍し、開いたゴーレムの胸に収まったビルシャナは喉から血をぶちまけながら咆哮した。
「男に期待させといて結局もらえない! モテない男に虚しい気持ちを撒き散らす! こんなイベントは……こんなイベントに出てくるチョコなんざ! 消えちまえばいいんだァァァァアアア! ウワアアアアアアアアアアアアアア!」


「うーわー……みっともな……」
「デスヨネー」
 顔をしかめるルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)とココアをすする穫の手元、ちゃぶ台に置かれた資料を、子竜が覗き込んだ。
 二月に入り、バレンタインが近づいて来た昨今。とあるデパートのチョコレート売り場で、ビルシャナが暴れ出しるとの予知が入った。
 彼のビルシャナの名は『ビタード』。バレンタインデーをモテない男性が苦しむ日として滅ぼそうとする男である。
 まあそういうわけなので、このビルシャナを撃破してきて欲しいのだ。
 戦場となるのはとあるデパートのチョコレート売り場。バレンタイン間近とあってスペースが広く取られた場所であり、花屋や生鮮食品のスペースと隣接している。物や商品棚、会計カウンターなどがあるものの、上下左右に十分な広さを持つため戦う分には苦労しないだろう。恐らく、売り物は酷いことになるが。
 ビタードさんの方は信者無しの単独出現で、チョコレートを自在に操る能力を持つ。具体的には液状化させる、形を変える、人形のように動かす等。攻撃のバリエーションも無駄に多く、零距離からロングレンジまで対応可能。ついでにビタードさん本人はチョコで作ったゴーレムを中から操って戦うので防御も硬いという困った相手だ。ゴーレムも壊れたところでその場にあるチョコを使って修復できる。戦う際にはちょっと頭を使う必要があるだろう。
「メンドーだけど、やるしかないかー。ほっとくわけにもいかないもんね」
「そういうこと。ここはひとつ、お願いね」


参加者
八月朔日・頃子(愛喰らい・e09990)
セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)
ベルベット・フロー(フローリア孤児院永世名誉院長・e29652)
小柳・瑠奈(暴龍・e31095)
エレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)
レイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747)
ルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)
伊吹・乃亜(箱庭のリグレット・e47969)

■リプレイ

「畜生めええええええッ!」
 怒号と共に商品棚が宙を舞う。ガシャガシャと落下するそれらを巨大な四角い足が踏み潰した。巨大なチョコゴーレムは商品棚を地団太めいて連続ストンプ!
「畜生畜生チックショオオオオオオ! バレンタインがッ! なんだコラッ! 女性が男性にチョコを贈る日だクソッ! クソがッ! 一回ももらえたことない俺はなんなんだ! 男じゃねえってか! ふざけやがってこん畜生が! オラアアアアアアッ!」
 憤怒の一撃が床を砕いた。床にすり鉢状のクレーターを作ったゴーレムの胸部、チョコで出来たコックピットをぶっ叩いたビタードさんの手元に血の雫が滴る。血涙を流す彼は独り、ゴーレムの体内で叫んだ。
「チクショオオオオオオオ! バレンタインなんで滅んじまえばいいんだアアアアアッ!」
「ちょーっとー」
「あァン!?」
 チョコゴーレムが背後を振り向く。ルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)は両手を口元に当て、声を投げかけた。
「なに一人で暴れてんのー! ミンナが盛り上がってんのにマジナイんだけどー!」
「うるせえええええええッ!」
 怒鳴り、ゴーレムが腕を薙ぐ勢いで振り返った。
「どこのみんなが盛り上がってるってんだ! どうせ盛り上がってンのは女とモテるイケメンだけだろが! 顔が悪いって理由だけでハブられる俺達は何一つ盛り上がらねーってんだよッ!」
 激しくまくし立てるチョコゴーレムに、ルナはジトッと半眼を向ける。
「あのさー。本命ほしーんなら話かわっけど、どっちにしろ受け身だからダメなんじゃん? 今時逆チョコとかも流行ってんだし、自分からアプローチしてくのだってダイジでしょ。やってる? そういうこと」
 伊吹・乃亜(箱庭のリグレット・e47969)は体を斜めに傾け、八月朔日・頃子(愛喰らい・e09990)に耳打ちをした。
「なぁ頃子。バレンタインって、そんなに必死になるほどのイベント?」
「バレンタインとは、愛を伝え、受け入れるイベント。それが為されれば形は何でもよいのですわ。チョコでも、その他のものでも。もちろん私を食べて、でも」
「ふーん……」
 微笑みかける頃子の足が地響きに揺られて浮き上がる。両膝をついたゴーレムは、四つん這い姿勢で右手を床に打ちつけ始めた。
「お前らなぁ! わかんねえだろ! 顔悪いって自覚してる俺らがさー! イケメンにしかチョコ用意してない女子に近づけるわけねーじゃん! ゴミを見る目で『うわ、キモッ』とか言われるだけじゃん! 見え透いてんじゃんそんなの! 俺達だってかわいい子とお付き合いしたいさ! でもしょーがねえじゃん! どんな顔で生まれるとか選べねーし、整形する金も権利もねえんだし! じゃあもうバレンタインぶっ壊すしかねえだろ!」
 チョコゴーレムから咽び泣く声。ルナは溜め息を吐き、うんざりした顔でレイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747)を見やる。呆れ顔で肩を竦めるレイラの隣で、エレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)は豊かな胸の谷間に手を突っ込んだ。取り出したるはラッピングされた小さな小包。
「バレンタインでチョコが欲しかったのですか? 貴方が望むならプレゼントしますが……」
 泣き声がピタリと止んだ。四つん這い体勢のまま、チョコゴーレムがおもてを上げる。
「……マジで?」
「もちろん」
 ベルベット・フロー(フローリア孤児院永世名誉院長・e29652)が頷き、小さく肩をゆすりながら屋形船型の容器を持ち出した。
「ほら、おいでなさって? せっかく用意したんですもの……手渡しで渡したいですわ」
 ゴーレムの胸部がスライドドアめいて半分開いた。ビタードが半分だけ顔を出す。
「マジのマジのマジで?」
「欲しいなら早く来なよー。ルナルナとうち、どっちのがほしー?」
 レイラとルナがラメの輝く包装を掲げる。ビタードはさらに顔を出した。
「マママのマジで? まっさかカーニバルとかじゃない?」
「そんなお祭りは存在しないよ。まぁでも……」
 小柳・瑠奈(暴龍・e31095)が乃亜の方に小箱を持った手を突き出した。頬を赤らめ、片手で口元を隠して。
「君がいらないなら……その、どうだい乃亜君。食べる……?」
「ん。……まあ、悪い気はしないか。ありがとう」
 乃亜は無表情で、瑠奈の小箱に手を伸ばす。それを尻目に確認したセレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)が煽るように声を張った。
「自分から拒絶してたら貰えるものも貰えないんですよねー。あ、伊吹さん、私からもお一つどうぞー! なるほどー! こうしてイケメンにチョコが集まっていくんですねっ」
 乃亜はビタードに憐憫の眼差しを向ける。こめかみに青筋を浮かべたビタードはチョコゴーレムから飛び降り、神速で女性陣の前にお辞儀姿勢で滑り込んだ。
「頂きます」
「うだうだ言ってないで早く来ればいーのに。はい」
 ビタードは女性陣から渡されたものを順に受け取る。途中、瑠奈の小箱やエレスの小袋、頃子のボトルなどを見て、小さく呟く。
「クッキーとアメとヨーカンとコーヒーギフト……あ、チョコじゃないんだ……」
「バレンタインはチョコじゃないといけないなんていう決まりはないですからねー」
「それに、チョコは今まさに貴方自身がダメにしているので」
「そもそも君、チョコ操るんでしょ? 敵に塩を送るような真似はしない。これ、戦場の鉄則。つまりは自業自得だ。いいね?」
「アッハイ」
 乾いた返事をしたビタードは、続いてベルベットがの屋形船型容器を両手で受け取り、ぎょっと目を見開いた。
「熱っ! なにこれ」
「たこ焼きですわ。美味しそうでしたので、買ってみました」
 ビタードの目に落胆が過ぎる。
「あー……やっぱりチョコじゃないんだ……」
「これもまたバレンタインの形ということで。そして……」
 うつむいたベルベットの顔面が黒煙を上げた。面の皮が内側から爆ぜ炎の顔面が露出!
「ははははは! 掛かったな馬鹿め! さあこの顔を見ッ……」
 だがビタードの姿無し! ゴーレムの胸がぴしゃりと閉ざされ、ベルベットは沈黙した。静寂の中、ベルベットの肩に乗った炎塊じみた子猫が、喉を鳴らして頬ずりをする。ベルベットは肩を落とした。
「……帰るの早」
「きっと照れているのですわ。気を落とされないで」
 しっとり微笑み、頃子がベルベットを慰める。一方、頃子の足元にトランプのジョーカーめいた姿のテレビウムが、ルナとレイラの肩に蒼いファーと二本角を持つ子竜の双子が顔を出した。笑う寸前の顔で口元を押さえる三匹。小さな体がぷるぷる震え出して、数秒後。
「っぎゃああああああああああああああああああああッ!」
 ゴーレムが悲鳴を上げのけ反った! テレビウムと子竜の双子が同時に噴き出し、腹を抱えて笑い始めた。同じく笑いをこらえた表情でセレネテアルがゴーレムに声を投げかける。
「貰えてよかったですねー! これでバレンタインを認めてくれたという事でっ!」
「よかねえよ! いやクッキーとアメとタコ焼きとヨーカンは良いよ! 美味かったから! コーヒーギフトは帰ってから飲むし! だがそこの二人テメーらは駄目だ!」
 ゴーレムがルナとレイラの二人を指差す。二人は足元で笑い転げる子竜を余所に、顔を見合わせ白を切る。
「えー? うちらなんかしたかなー?」
「いーじゃん、チョコもらえたんだし。モンクないっしょ?」
「あるわ! 大アリだわ!」
 ゴーレムの胸が開き、飛び出したビタードが両手を突き出した。
「何がチョコだこのヤローッ! カレー粉と! シチュー粉じゃねえかコレええええええええッ!」
 セレネテアルが口を押さえて背中を折り、瑠奈は明後日の方に目を逸らした。両者ともに肩が震える。ルナとレイラはサラリと。
「帰ってから食べればイイじゃん。シチューとカレー、どっちも好きな方食べられるし」
「そーそ。チョコ代わりと思って作れば? コーヒーとか隠し味になるしさ」
「そういう問題じゃね――――んだよ! せめてなんか言い訳しろや! てかそのトカゲとか止めてから言えや! 笑ってんじゃん! 隠す気すらないじゃん! 馬鹿にしやがってクソがああああああああああッ!」
 憤怒に吠えたビタードを格納したゴーレムの目がギラリと輝く。床へダブル瓦割りパンチを繰り出した両腕の手首から肩にかけて無数の逆棘が出現!
「串刺しになりやがれえええええええッ!」
 トゲがルナとレイラに向かって伸長! 素早く割り込んだ乃亜は黒鞘の刀を抜刀一閃、トゲを全て斬り捨てた! 怜悧な瞳がゴーレムを見やる。
「ほらね。だからモテないんだよ、アンタ」
「ンだとオラアアアアアアッ!」
 クラウチングスタートじみて飛び出したゴーレムが乃亜に殴りかかる! 乃亜の足元から巨大な樹木じみて絡み合ったイバラが噴き出し、ゴーレムのストレートをガード。ヘッドにハートをあしらった金の杖を構えた頃子は、妖しい微笑みを浮かべた。
「自分も愛されたいという気持ちは否定できませんわ。ですが、そんな貴方も頃子は愛します。ですから…………食べられてくださいまし」
 杖の石突を床に押し込むと同時にイバラがゴーレムの腕に絡みついて登り始めた。ゴーレムは舌打ちし、二の腕を自切してバックジャンプ!
「邪魔するか! なら全員まとめて俺のキリング・バレンタイン・アーツの錆にしてや……んッ!?」
 ゴーレムの目が大樹じみてそびえるイバラの塊上空を見る。開いた蒼い魔法陣の下、イバラの根元でルナがステップを踏んだ。
「水瓶座の一幕、命の泉!」
 爪先が床を叩くと同時に魔法陣が水めいた光をイバラに注ぐ。イバラは黄金色の薔薇を無数に咲かせて実を結び、まばゆく発光! 金の光を浴びて飛翔するエレスの手に赤い液状の幻影が揺蕩い、長い棒の形を作る!
「幻影棍!」
 黄緑色の翼を広げて加速したエレスがチョコゴーレムに真っ直ぐ突撃! 対するゴーレムは切断した片腕を再生させ、両拳を打ちつけて前に突き出す!
「キリング・バレンタイン・アーツ2式ッ! アーク・デ・トリオンフッ!」
 両手のチョコが膨張し、巨大な凱旋門を高速形成! エレスは速度をさらに上げ、扉を閉じた門に幻影棍を突き刺した。先端だけめり込んだ棍を手放して垂直に飛ぶ彼女と入れ替わり、ジャンプしてきたセレネテアルが棍の柄尻に足裏を向ける!
「行きますよーっ! せいっ!」
 空中サイドキックが幻影棍を門に打ち込む。波紋めいた衝撃波が門全体に広がり、蜘蛛の巣状の亀裂を走らせて粉砕! 次の瞬間、チョコの瓦礫を蹴散らしたゴーレムがセレネテアルを殴りかかった!
「どらああああッ!」
「わっ!?」
 クロスガード体勢を取るセレネテアルを右ストレートが強襲! しかし跳躍したベルベットが腕の真下から金色の大戦斧を振り上げ軌道を逸らす。そのまま背中から爆炎を噴射した彼女は空中で両手を交叉。炎が翼の形に変わる!
「グレンメイデンの渾身の一撃……Awakening Discharge!」
 爆炎の翼を推進力に炎の槍めいて飛び蹴り! 右腕を跳ね上げられたゴーレムは左腕手の甲を差し込んでキックを防御。ベルベットは思い切り背中を曲げて、炎の翼でチョコゴーレムを包み込む! 汗をかくように溶け出すゴーレム!
「あっつぁぁああああッ!?」
「でっかくたってチョコはチョコ! それ溶けろ溶けろーっ!」
 炎の翼が渦と化す。よろめくゴーレムに瑠奈は純白の二連装ガトリングの掃射を浴びせ、チョコの足めがけてルナと乃亜が素早く肉迫!
「彫刻具座の一幕、描いてみない?」
「はっ!」
 ルナの踊るような蹴りのラッシュがチョコの装甲を刻み、ブレイクダンスめいて回る乃亜の足が炎をまとって削り取る! ルナがサマーソルトキックを決めると同時、半ばまで削れたチョコ外装に魔法陣が開いた。独りでに放たれた連続斬撃がゴーレムの足首をズタズタにし、切断! 乃亜の炎渦巻く回し蹴りにもう片足を蹴散らされたゴーレムは尻餅をつく。溶けていく巨体の胸元から呻く声。
「キリング・バレンタイン・アーツ14式……!」
 ゴーレムが全身をボコボコと泡立たせ、両目を光らす!
「カカオ・スプラッシュ!」
 チョコレートの飛沫が全方位に飛んだ! ベルベット、ルナ、乃亜の三人が横殴りのチョコ雨を受けて吹き飛び、ゴーレムを飲み込んでいた炎が四散。粘土の如く形状を変え巨人型を再構築するチョコレートの頭上を舞う頃子! 赤黒い霧に包まれた両腕を大きく広げ、巨大なアギトを生み出した!
「愛を与えられなかったと嘆く貴方を、余さず愛して食らいましょう」
「キリング・バレンタイン・アーツ、214式!」
 穏やかに微笑む頃子を見上げたゴーレムは滞空パンチの構え! 突き上げられた拳めがけ、頃子はアギトと化した両腕を後ろに振りかぶった! 繰り出されるチョコ大拳!
「出会いに感謝を、貴方に愛を!」
「クロス・オブ・ヴァレンティヌス!」
 チョコ大拳が巨大な十字架チョコを射出した。勢いよく閉じた頃子のアギトが十字架の中央とゴーレムの前腕部を捕食! 十字架の残りが頃子の頭上と足元を抜ける一方、ゴーレムは逆の手をドリルアームに変えて引き絞る!
「まず一人! 死ねッ!」
 直後、ゴーレムの側頭部に回ったエレスが幻影棍をビリヤードめいて構える。棍の先に幻影を球状に固めて撃ち出す! エレスを向いたゴーレムの眉間に命中した幻影弾が頭部を爆破! たたらを踏むチョコゴーレムの足元に赤い魔法陣が開かれた。子竜に頬のチョコを舐められながら、ルナは重い溜め息を吐く。
「サイアク。服ベッタベタじゃん……」
「チョコと、ついでになんか服も買って帰ろっか。正直このまま外でるのヤだし。その前に……」
 魔法陣の傍にルナと並んだレイラが言い、二人はそろって踊る。タップダンスじみたステップに合わせて魔法陣が明滅!
「祭壇座の一幕、燃えてみない?」
「恋みたいに高ぶる炎、はいどーぞ」
 魔法陣が輝き、火柱がチョコゴーレムを飲み込んだ! 勢いよく上がる火の手が溶けたチョコの雫を雨天逆再生めいて空に飛ばして蒸発させる。再生しかかる頭部が溶解!
「があああああああああッ! クッソ! キリング・バレンタインッ……」
 吠えるビタードの目前でゴーレム胸部が穿たれる。チョコの扉を射抜いた影の苦無は、奥のビタードの四肢を溶けるチョコ壁に縫い止めた。鳥の視界に走る白刃! ゴーレムの胸を切開した瑠奈は、白い光の苦無を零距離投擲!
「Hasta la vista!」
 白い閃光の苦無が鳥の胸を穿ち貫通、ゴーレムの背中を抜けてデパートの床をぶち抜く! 胸に大穴を開けられたビタードはゴーレム背中に空いた穴から零れ落ち。
「サヨナラ!」
 そして、爆発四散した。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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