ヒーリングバレンタイン2019~夕日を浴びた魚

作者:雨音瑛

 ミッション地域となっていた複数の地域の奪還が成功している。
 これも、ケルベロスの活躍のおかげだ。
 タブレット端末で複数の報告書を流し読みしたウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)は、ケルベロスの到着を確認して顔を上げた。
「もう少ししたら、バレンタインだな。奪還した地域の復興も兼ねて、バレンタインのチョコレートを作るイベントの開催予定があるんだが、どうだろう?」
 解放したばかりのミッション地域には、まだ住人はいない。しかし引っ越しを考えている者が下見に来たり、周辺地域の住人が見学に来たりすることがある。
 そこで一般人も参加できるイベントを開催し、解放したミッション地域のイメージアップに繋げるのが今回の計画だ。
「こちらのヘリポートから向かって欲しい場所は、沖縄県中頭郡にある『サンセットビーチ』だ」
 サンセットビーチは、その名の通り沈む夕日が美しい浜辺。
 しかし、今はまだデウスエクスの襲撃による爪痕が多く残されている。だから、現地に到着したケルベロスがまず行うべきはヒールグラビティを使用しての浜辺の修復だ。
「修復が完了したら、道具や材料の搬入をしてもらう。準備ができたらイベントの開始だ」
 イベントの目玉は、もちろんチョコレートづくり。
 しかし、ただのチョコレートではない。せっかく海辺でつくるのだからと、多くの魚の型が用意されている。
 さらに時間は夕方。サンセットビーチの夕日を見ずに帰るのは、あまりにも勿体ないというものだ。
「そうそう、不慣れな一般参加者もいるだろう。手間取っている者を見つけたら、ぜひ手を差し伸べてやってほしい」
 これまでデウスエクスの襲撃を受けていた沖縄県中頭郡。
 かつての姿を取り戻し、復興を成すためにはもう少しだけケルベロスの力が必要なようだ。


■リプレイ

●夕日幻想
 沖縄県中頭郡、その海辺に降り立ったケルベロスたちは息を呑んだ。
 海の向こうに近づく太陽に――そして、デウスエクスによって破壊された痛ましい風景に。
「ただこの地を癒やすだけではなく、一時の夢ヲ、皆で見せよウか」
 君乃・眸の言葉に、尾方・広喜はうなずいた。
「エトヴァ、歌を頼むね!」
「ええ、美しい浜辺を取り戻しまショウ」
 ジェミ・ニアの声に微笑み、エトヴァ・ヒンメルブラウエは浜辺に腰かけた。紡ぎだすはボサノヴァの調べ、深みに甘さを溶いた声音にて再興の祈りを織る。
 曲に合わせて踊るジェミが手首をくるりと返せば、色とりどりの小鳥が現れた。
 眸が振るう白金のブロードソードが広げる癒しの光を、鳥たちが追いかけてゆく。
 砂浜に広がる星座の輝きは、【EDB】の仲間の全てを美しく照らしている。
 剣舞に似た眸の動きに合わせて広喜が軽やかにステップを踏むと、ひまわりの花弁が宙を舞った。
「……って、ぽやっと眺めてる場合じゃなかった! 俺も頑張りますよ!」
 筐・恭志郎が急ぎ駆けると、足元から白い光が出現した。ひまわりと共に、白いプルメリアが共に舞う。
「綺麗だなあ」
 呟き、笑う広喜。
 息の合った連携で修復されていく浜辺は、鮮やかな風景に満ちていた。
 気付けば、浜辺はすっかり綺麗になっている。【EDB】の面々は、顔を見合わせて微笑みあった。
 広喜はふと思い立ち、防具特徴を使用しながら海に向かって呼びかける。
「――おーい!」
 するとどうだろう、魚とイルカが飛び跳ねた。微笑み、手を振るエトヴァも広喜と同じように呼びかける。
「わ、すごい! あの子はブダイであっちはタカサゴですね、それと……」
「恭志郎もすげえ!」
「わぁ、恭志郎さんお魚にも詳しいです! 僕も……おーい!」
 と、次々と魚たちを喚ぶ広喜とジェミ。遠くには、鯨も見える。
 そんな幻想的な風景に、眸はただ見惚れるのだった。

●楽しい準備
 料理や説明が苦手だという奥鳥羽・ミココは、『神光の腕』にて道具を運搬していた。
「……誰が、女オークじゃ! そんな不浄の輩と一緒にするでないわ!」
 なんて一般人と交流しつつ、会場の設営もこなす。
 そうして作業を終えて観た夕日の、なんと眩しいことか。
「……この美しい夕日があれば、きっとすぐにここも復興するじゃろう」

「お料理が美味しくなる魔法をかけてあげるのです!」
「嫌な予感がするけど、一応どういうのか聞いても……?」
 はしゃぐ仁江・かりんに、一之瀬・白がおずおずと問う。
「こう、おててでハートの形を作って……おいしくなぁれ、もえもえきゅん☆」
 とたん、白の目のハイライトが消えた。そういうのは可愛い女の子がやってこそだと後ずさりする。霧山・和希も目をそらし、白に同意を示している。
「この場は任せてみんなはおいしい呪文を唱えるのです! 誰かその光景を録画しといてくださいね」
 怪力無双を発揮して道具を運ぶ朱藤・環の笑顔が、眩しい。冷々・白雨とアンセルム・ビドーも運搬に集中している。
「魔法いいですね! ものは試しでやってみましょう。美味しくなーれ、美味しくなーれ、萌え萌えきゅん☆」
 躊躇なく詠唱し、ポーズを取るのはエルム・ウィスタリア。と、かりん。
「……って、僕とかりんさんしかやってないじゃないですか!」
 ――さて、気を取り直してチョコ作り。
「前に水族館で可愛い子がいたんですよ。形もシンプルで僕でも作れるかなって」
 ホワイトチョコにピンクのハートを描くエルムの手元で完成するのは、クリオネ型チョコ。
 同じホワイトチョコで、かりんはクラゲのチョコを作っている。和希のチョコもクラゲだが、こちらはビターと抹茶を使用。甘いものも好きな和希である。
「海の生き物ならー……イルカとかかわいいかも」
 ミルクチョコで型をとり、イルカのお腹に白い模様を描くのは環。
 でっかい鯨のチョコに挑戦する白の横で、白雨はひたすらに鮫チョコを量産している。
 アンセルムが作るのは、形こそシンプルな魚だ。しかしビター、ミルク、抹茶、ルビーとたくさんのチョコを使って。
 やがて出来上がったチョコたちを眺め、和希は頷いた。
「……うん。見ても良し、食べても良し……って感じでしょうか?」
「こうして見ると本当に海の中みたいですよね」
 大小さまざまの魚たちを見る環は、どこか嬉しそうだ。
「食べ比べとかしてみたいな、なんてね」
「作り過ぎちゃいましたし、番犬部の皆も是非食べてください!」
 環とアンセルムの発言を聞いて、白雨がずずいと勧める。壮大な光景は、食べるのが少し勿体ない。
 ケルベロスになってから他の人と何かをするのは初めてだという白雨。今回に限らず、また遊びに――と考えていると、あれ、という環の声が聞こえた。
「最初より減ってます?」
「ですね、数減ってるように見えます」
 と、エルムも。
 それを聞いてしゃがみこみ、ルビーの魚チョコを急ぎ口に仕舞うかりんであった。

●沈む夕日と作るチョコ
 たくさんの道具と材料を前に、遊戯宮・水流は目を輝かせた。
「皆でチョコ水族館出来るかもねん♪」
 型を選んだなら、【urbs】のメンバーでチョコ作りスタートだ。
 折角の沖縄だからと、ラズリー・スペキオサは熱帯魚の型で。青いルリスズメダイ、黄色の縞々チョウチョウウオ、みかん色カクレクマノミ……さらにトッピングを駆使して、賑やかにデコる。
 ふと見た茶菓子・梅太のチョコは、クラゲ。抹茶にホワイトチョコにイチゴ、チョコペンで模様や顔を描けば癒やし系の可愛さだ。
「いい感じに出来てるね……って、なんか変な匂いしない?」
「……ラズリーさぁん、梅太くーーん!」
 ラズリーと梅太が振り返れば、お湯を混入させた焦がしチョコを型に流し終えた水流の姿が。
「だ、大胆でいいんじゃないかな」
「だ、だいじょうぶだよ水流さん。トッピングで誤魔化せばきっとなんとか……」
 フォローする二人の言葉に、水流は表情を明るくした。ひたすらデコれば、見た目だけは可愛いチョコの完成だ。
 お皿の上の水族館は、どの子も違って可愛らしい。口に含むは水流のヒトデを溶かしたホットチョコ。
 甘くて苦くて楽しい思い出は、ついでにスマホでも撮影して残す。

 ヒールを終えたミリム・ウィアテストは、共に訪れた牧野・友枝を見てニヤリ。
「出来の競い合いしよっか?」
「ええ~? まぁ別にいいけどさ」
 その後は二手に分かれ、それぞれのチョコを。
 ドルフィンジャンプするイルカチョコ、のんびりジンベエザメを作り上げたミリムは――、
「どうです! 即席にしてはいい出来でしょう!」
 ドヤ顔で見せつけつつ友枝の作品を見て、目を丸くした。クジラとイルカが並ぶ風景が、そこにあったのだ。
 友枝の顔を見れば、なぜか楽しそうに笑っている。
「ミリっち、チョコついてる」
 指で掬って舐めると、落書きをしたみたいに見えていっそうおかしい。
 お互いの健闘を称えたならば、作ったチョコを手に地元の子ども達へと配布するのだった。

 一昨年覚えた方法で、キース・クレイノアはくじらとシャチのチョコを作る。
 途中、落ちて行く夕日に目を細めていると、チョコが少し固まってしまった。
「お前たちも夕日の中を飛ぶのだろうか」
 そう話しかけ、チョコペンで模様を描く。うねうねと曲がる線はくじらの顔と言い張って、一つ一つ丁寧に仕上げる。
 それらはきっと、美味しく出来ていることだろう。

「ワタシ、napo‘o ‘ana o ka la……サンセット見るの大好き」
 そう話すマヒナ・マオリは、イルカの型にルビーチョコを流し込む。
「その色、アマゾンのイルカに似てるねぇ」
 重なるは、昨年の思い出。ピジョン・ブラッドはマヒナの手元を覗き込む。
「ルビーチョコ、っていうんだよ。天然の色。これをこうやって……イルカ座の形に」
 繊細な作業に感心し、ピジョンはマヒナに微笑みかけた。
 ふと、マヒナは初めてキスをした場所である水族館を思い出す。
(「ピジョンもまたキスしたいのかな……?」)
「……ん、どうかした?」
 マヒナの内心に気付いてかどうか、ピジョンはダークチョコでクジラを作る手を止め、首を傾げて笑った。

 ミチェーリ・ノルシュテインとフローネ・グラネットは、共にペンギン型のチョコレートを作っていた。
 密かにしてきた練習の成果を見せようと、ミチェーリは張り切っている。
 出会った頃こそ料理をしていなかった彼女の手際がよくなってきたことに、フローネは驚きながらも微笑みを見せた。
「それにしても、南の海でペンギンさん……少し、おかしいでしょうか?」
「ふふ、だからこそ、私達だけの記念になるはずですよ」
 フローネの言葉に微笑むフローネ。
 出来上がったペンギンを夕日に掲げて砂浜を歩いているように見せた後は、視線を交わして嬉しそうに微笑み合うのだった。

 好きな人と南の島、なんていうのは季節外れでも憧れのシチュエーションだ。
 愛しい者がそばにいるだけでも幸せだと、ルテリス・クリスティは神崎・ララの作業を手伝う。
 選んだ型は魚、それも釣りに行った時に釣った魚に似たものを選んだ。
 ルテリスがチョコを刻む間、ララは湯煎の準備を。
 いざ湯煎の際にルテリスにボウルを抑えてもらえば、距離の近さにララの胸が高鳴る。
 ララの頬が紅いのは、夕日のせいだけではないだろう。
 それはルテリスも同じようで、穏やかな笑みを向ける。
 婚約もして長い間側にいるというのに、新鮮なときめきは今も変わらない。
「完成したら……食べさせて、くれる?」
「もちろん! あーん……してね?」

 マンディアンを作る新条・あかりと玉榮・陣内は、注意深くテンパリングしながら夕日を見遣った。
「――去年の夏は、ここまでは来なかったね」
「実は、来てるんだよ」
 あかりの言葉に、陣内が柔らかく笑みをこぼした。ここから見える向こう岸の一角、そこにあるカフェで青いソーダを飲んだのだ。
 流し込んだチョコにピスタチオやイチジク、アラザンを乗せれば、ウミガメをモチーフにしたマンディアンがあかりの手元で出来上がってゆく。
 陣内はドライフルーツやナッツ、クランベリーとパッションフルーツ、アラザンを一粒。
「夏を一緒に過ごしたこの島と海をどうか君も好きになってくれたらいい」
 けれど、あかりはとっくに恋をしている。
 この島に、海に。
 そして、この島で育った陣内に。

 アイヴォリー・ロムと咲宮・春乃が恋をしたのは、丁度一年前の同じ時期だ。
 想いを胸に頬を染めるアイヴォリーの手元で、チョコが粉々に刻まれてゆく。
「ちょ、はや、怪我だけはしないでね?」
「まあわたくしったら、つい気合が入ってしまったみたい」
 チョコを刻んだなら、次はテンパリング。春乃のアドバイスの元、アイヴォリーは真剣勝負の面持ちだ。
「こうですか? こうですね!?」
「そうそう、その感じ!」
 けれど焦らなくても大丈夫。想いが届くよう、ゆっくりと溶かして。
 二人が流し込むは、おほしさまみたいなヒトデの型。
 ――わたくしに、もっと恋してくれますように。
 ――きみの傍で、ずっと、いられますように。
 アイヴォリーと春乃の願いに応えるように、チョコの海に夕日が沈んでゆく。

「折角なので大物を……リュウグウノツカイを作ろうと思う」
「万里くんが大物なら、わたしはあえての小物! ヒトデです!」
 ここ数年一華と共に暮らしてきた暁・万里は、水無月・一華が凄いものやカラフルなものに惹かれることが解った。だから使うチョコはストロベリー、抹茶、モカ、バナナなどなど、色鮮やか。
 一華のヒトデには、びっくり仕掛け。青にはアプリコット、黄色にはブルーベリーと逆の色のジャムを仕込んでいる。他にもたくさん、七つの海を制覇すること間違いなしのラインナップだ。
「……完成!」
 ナッツにクランチ、グミにゼリーを埋めたら、ホワイトチョコを胴体に流し込んだリュウグウノツカイは見事の一言。
「わたしも完成……!」
 そうして並べた彩りは、夕日よりも眩しく見えた。

 金魚の型を流用して、カジミェシュ・タルノフスキーは鯉のチョコを作成していた。
 綾小路・鼓太郎は鼻歌を歌いつつ、海老型を。
「実家で食べた神饌の御下がりの伊勢海老は美味しかったのです」
「伊勢海老かあ……あまり食べる機会ないのですよね。今度3人で食べに行きましょうか」
 熱帯魚型のチョコを串に刺しつつ、アイラノレ・ビスッチカが提案する。
「それはいい。今度三人で食べにいこう」
 話しつつも完成したチョコは、アイラノレの流木フレームに並べて。
 夕日が背景になるフレームに、熱帯魚や海老、鯉を泳がせたなら素敵な水槽の完成だ。
 アイラノレとカジミェシュが記念に写真撮影していると、いつの間にか鼓太郎が姿を消していた。
 離れた場所で海辺の散策をする鼓太郎は、気遣いの出来る男である。良い雰囲気になるように、二人きりにしてあげたのだ。
 アイラノレは、そっとカジミェシュの肩に頭を寄せた。
「……少し、こうしていても?」
「もちろんだとも。それにしても綺麗だな」
 肩に手を回し、カジミェシュが頷く。夕日に照らされた君が、とは付け足せないままだった。

 辺り一面が燃えているような風景に見惚れてしまいそうになるが、今日のメインイベントはチョコづくり。
「このままみんなで眺めるのもきっと楽しいケド、今はチョコ!」
 そう話す小早川・里桜に、リューデ・ロストワードは微笑んだ。
 マーブルのウミガメを作ろうと、エヴァンジェリン・エトワールはホワイトとミルクを型に流し込み、静かにくるんと混ぜた。
 レミリア・インタルジアも同じチョコを使うが、こちらはクジラとイルカ。腹部を色分けできるよう、そーっと流し込む。仕上げの目には、思い切り集中して。
 クラリス・レミントンはホワイトチョコで、シロイルカを。空気が入らないように流し固めた後は、ペンで目を描いて完成だ。
 仲間の手際に目を輝かせつつ、里桜も集中して。ミルクチョコを流し込んだ型はペンギン、ホワイトで目を描けば愛嬌ある子ができあがる。
 リューデが作るのは貝型。ミルクにビター、イチゴは桜貝。そしてホワイトは夕日を映した夕日色の貝殻に。
 出来上がったチョコはどれも可愛らしく、誰もが思わず歓声を上げてしまう。
 ちょっとしたミニ水族館を前にそれぞれの顔を見れば、皆同じ色に染まっていた。
 夕日に海に友情――これはもしかして青春、とクラリスは微笑んで首を傾げる。
 あたりに満ちるは波の音に夕日の色、なにより友人たちの顔が素敵で美しい。
 それらを写真に残そうと、エヴァンジェリンはスマホを取り出した。並んだチョコを映した後は、
「ねぇ、皆、笑って?」
「エヴァ、ナイス!」
 スマホに向かってにっこりピースするは、里桜。私も、とスマホを取り出すレミリアに、リューデもおずおずと参加する。この瞬間を覚えておきたいのだ。
「陽が沈んで、今日が終わって、明日になっても、それから先もこの瞬間は、ずーっと覚えていたいものね」
 一枚に収められた皆の顔は、とてもいい笑顔だ。
「……成程、此れが青春か」
 真顔でつぶやくリューデに、【鮮血】の面々は笑顔で頷いた。

 鮮やかな夕空と甘やかな香りに包まれ、お菓子作りを。
 苺、甘橙、檸檬といった果実で夕色に染め、ラウル・フェルディナンドは黄昏の彩に艶めくクジラを形にしてゆく。冬の水族館で見たクジラの姿は、今でも印象に残っているのだ。
 ふと近くを見れば、大きなお魚型を前に奮闘する燈・シズネの姿が。いちばん食べ応えがありそうだからと選んだ型に流し込むのは、もちろんホワイトチョコ。ぷりぷりの身の代わりである。
 シズネとは対照的に、瀬戸口・灰は夕日を思わせるようなオレンジ色で、熱帯魚を作っていた。カットした輪切りオレンジをヒレに見立て、カクレクマノミの型に流したチョコの上へ載せる。すると、
「うまそうだなあ!」
 と、シズネの視線が。完成を願う先に、輝く海のいきものたちが黄昏に泳ぐ姿を夢見る。
 出来上がった後は、3人分のチョコを並べて。
「カクレクマノミ、可愛らしいね。キラキラ輝いていてとっても綺麗!」
「ありがとな、ラウル! ラウルのは流石、センスあるなぁ。シズネのは、すごく食べ応えありそうだ!」
 広い海のどこかでこんな魚たちが悠々と泳いでいる。
 並んだチョコを見ていた灰の脳裏に、そんな光景が思い浮かんだ。

「そうよ、とっても上手ね」
 子どものフォローをするのは、ウルズラ・オーベルラント。
 面倒を見終わった後は、幼い姪に贈るクラゲにウミガメ、クリスタルソルトの鱗を振ったサカナチョコを作り始めた。
 ふと顔を上げれば、夕日に染まる海が見える。にぎやかなのは、さざ波の音に皆の声が混ざっているからか。
 この光景もラッピング出来たらいいのにと、ウルズラは表情を和らげた。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月13日
難度:易しい
参加:43人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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