ヒーリングバレンタイン2019~ぷにぷに肉球チョコ

作者:質種剰

●にゃんにゃんにゃんこ
「皆さんのご活躍により、去年のバレンタイン以降から今までにも、以前はミッション地域となっていた多くの地域の奪還に成功しているてあります」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が、にこにこと楽しそうに説明を始める。
「それで、これらの取り戻した地域の復興も兼ねて、バレンタインのプレゼントを一緒に作りませんか?」
 解放したミッション地域には住民がまず居ないのだが、引越しを考えている人などが下見に来ていたり、ミッション地域周辺の住民が見学に来る事は充分あるという。
「そんな一般の方にもご参加頂けるようなイベントにすれば、解放したミッション地域のイメージアップにもなるかと思うでありますよ♪」
 かけらは笑顔で補足した。
「皆さんにヒールして頂きたい場所は、宮城県は石巻市にある漁港の周辺地域であります♪」
 石巻港では、ずっとオークが勝手にアジトを作っていたせいで、地域住民は奴らの恐怖に脅かされ、避難を余儀なくされてきた。
「ですので、石巻市が無事に解放された事を記念して、皆で『ぷにぷに肉球チョコ』を作りましょう~」
 ぷにぷに肉球チョコとは、その名の通り、猫の肉球の形をしたチョコという事らしい。
 肉球チョコにも色々あるが、簡単なのは肉球の型へ土台のチョコを流し込んでから、肉球に見立てたマシュマロやグミキャンディーを半分埋め込んで冷やし固める作り方だ。
 拘る場合は、猫の手形マシュマロを作ってからチョコで上手くコーティングしても良いし、指の間から鋭い爪を模したチョコが出てくるように細工しても良い。肉球チョコのみならず最近人気の猫の舌チョコまで作ったら完璧だ。
「これからは安心して猫いっぱいの田代島へ観光に行ける——というのを肉球チョコでアピールすれば、きっとお客さんもいっぱい来て下さいますよ♪」
 自信を持って請け負かけら。
「皆さんには、石巻港や倉庫街などをヒールで修復して頂いた後に、特設イベント会場にて肉球チョコ作りを楽しんで頂けたらと思います」
 肉球チョコ作りのモデルとして使える猫のぬいぐるみや写真集も、イベント会場に沢山用意してあるそうだ。
 勿論、バレンタイン用のチョコならば、肉球チョコ以外でも好きに作って構わない。
「それでは、皆さんのご参加を楽しみにお待ち致しております。素敵なバレンタインのプレゼントができますように♪」
 注意事項は未成年者の飲酒喫煙の禁止のみである。


■リプレイ


「折角だから作る前に猫を探したいな」
 そんな巌に付き合って、藍華さんを頭に乗っけた穣も漁港の散策開始。
「写真とかでも良いが、やっぱ居る猫の方が良いじゃん?」
「そうだね……写真で見るのも良いけど、実際に会ってお付き合いするのが良いなぁ」
 テンション高く猫との邂逅を語る巌へ頷いて、穣は既に何度か猫を見かけた事実をそっと胸の内に仕舞う。
 楽しそうな彼を見ているだけで自分も楽しいという打算の他に、巌自身へ猫を見つけさせてあげたい優しさ故の行動であった。
「なかなか居ないね〜」
「猫は気まぐれなもんだ、焦らず探すさ。こうして穣と散歩するだけでも、楽しいからな」
 その甲斐あってか、
「っと、今何か横切らなかったか?」
 巌の問いかけにつられて穣も視線を巡らせれば、塀の上に白くて茶色い丸ぶちの猫が。
「おっ、にゃんこだ~」
 野良にしては真っ白な毛並みが綺麗なふくふくと太った猫を存分に観察した2人。
「穣、俺はこの猫ちゃんのデザインにするぞ」
 2人とも考える事は同じで、ホワイトチョコを猫の手に用いて、ピンクのカシス味のグミを肉球に見立てて白い土台へ埋め込む。
「如何かな?」
 小さいのを沢山作った穣は、完成品の中から1個を巌の口に放り込んであげた。
「うん。旨い」

 ふと、ヒールの手を止めてしんみりした顔になるのは琢磨。
「昔、石巻には何度か来た事があるんです。色々起きる前の話ですけど」
「……むー」
 キサナは、朧気だが懐かしい思い出へ浸る彼の横顔を見て、何を思ったのか背中へよじ登った。
 おおかた、思い出に恋人を取られた気がして、かまってほしい、愛でてほしいという欲求が噴出した反面、思い出に浸る琢磨の横顔が余りに素敵で直接ねだるのが躊躇われたのだろう。
「もし今度きたら、一緒に魚とか食べましょうっ! 料理しますよー、男の!」
「わかった、約束だぜ!」
 果たしてキサナの気持ちを察してかは判らないが、琢磨はキサナが落ちないように支えながら、新しい思い出作りを提案してみせた。
「……楽しみにしてるからにゃん」
 その後。
「切る焼くだけの男、湯煎で溶かすという工程に直面するの巻」
 会場へ移った琢磨は、早速チョコを湯煎しようと大奮闘。
「料理は、得意だ! 切ったり焼いたりはとりあえず置いといてだな……」
「よかった、キサナさんが『優しく』教えてくれる! それじゃ、チョコにメープルの混ぜ方を教えて下さいっす!」
「そ、それは……つまり、温度管理と、レシピの厳守だ!」
 琢磨の無茶振りへ、どん、とレシピ本を置く音も高らかに、自信満々で答えるキサナ。
 ともあれレシピ厳守を徹底したお陰で、きてぃず・すたんぷとミケ猫顔模様の肉球チョコは無事に完成した。

「肉球チョコ作り、頑張ろうね、はるはる」
 春撫へ語りかける陽葉は、いつもの笑顔も殊更柔らかく、お嫁さんへの愛情へ満ち溢れていた。
「ええ」
 春撫の為に陽葉が作るのは、春撫の髪色からの着想か、彼女をイメージしたピンク色の肉球チョコ。
 猫の手はピンク色のイチゴ味チョコを使って、それより少し色の濃いピンクのアセロラ味グミを肉球役に選んだ。
「文字も入れていいんだ?」
 真ん中の一番大きなグミを前に、しばし考え込む陽葉。
「じゃあ……シンプルに、大好きって入れておこう」
 ピンクのチョコペンで描いた文字は、その深い想いの表れか、のびのびと大きかった。
「どう? よくできてるかな」
 冷やした肉球チョコを手にふっと隣を見れば、春撫も同じく固まったピンクのチョコを型から外すところだった。
「はるはるも上手に作ってるね」
 陽葉が驚いたのは、そのピンクのチョコが猫そのものを象っていたからだ。
「こうして、肉球チョコと合わせると、猫とあしあとみたいになってアーティスティック」
 春撫が八重歯を見せてニヤリと笑った。

「俺達が偽イケメンオークを消毒したところだな。また一肌脱ぐか」
 アルベルトは、バレンタインに男1人とかお構いなしな心意気で石巻港をヒール。
「実際は肩叩きに使わないが、見てるだけでも和むだろう」
 チョコ作りでも猫の舌チョコを伸ばして孫の手状にするという独創性を見せた。
 ホワイトやブロンドチョコの長舌へ、チョコペンで散りばめた肉球模様が可愛い。
 一方、肉球チョコの肉球部分は、食紅で着色したわらび餠が涼しげだ。
「かけらとガイバーンも毒見してみるか?」
「毒見なんじゃな」
「頂きます」
 猫の長舌チョコと肉球チョコの両方が、石巻では有名なガレオン船を模した籠に盛られていて、観光客の為に石巻市が猫の町という分かり易いアピールも欠かさないアルベルトだ。

 ヒメにゃんと2人がかりでヒールに勤しむのはギメリア。
「最近、動画作成をするにあたり東北地方には特に世話になっているからな。その礼もあって、念入りに直すぞ!」
 ヒールの最中でも撫でまくられるヒメにゃんは、微妙に不本意そうな顔だが、それでも大人しく主の言う事を聞いていた。
 そして、猫への愛溢れるギメリアがヒールした結果、建物が若干猫っぽい形になるのはもはや必然といえよう。
「料理経験はあまりないが、猫への愛情を込めて作るとしよう!」
 と、メインの肉球チョコもなんやかんやあって完成。
「少し変な肉球の形だが可愛いからよし! ……はっ!?」
 その後、アルベルトの猫の長舌チョコや肉球チョコを発見して、あまりの可愛さに萌えまくるギメリアだった。

「まんま白猫の脚だな」
 空牙は、ホワイトチョコにイチゴ味のグミを埋めた肉球チョコを作って、予想以上の出来に自ら感心していた。
 ふと、相棒のミリムはどんな肉球チョコを作っただろうと視線をやれば、
「どうだ、手にはめられる篭手型なチョコだ!」
「きゃ~♪」
 なんと、肉球チョコを篭手のように両手へ嵌めて、小檻の頰を挟み込んでいたのだ。
 ビターチョコ製の黒猫の手へ肉球らしく並べたグミが鮮やかで、クッキーの猫爪も飛び出している芸の細かさだ。
「ふふふ、どうだ! この完璧な出来!」
「流石にびっくりだ」
 次は自分がぷにぷにされながら、益体もない事を考える空牙。
 それでもミリムが肉球チョコを口に入れてきたら、もごもごと咀嚼する。
「クッキーとグミがアクセントになってていい感じ。ビターで甘過ぎず食べやすい」
 かぷ。
 しかも悪戯心を出して、ミリムの手まで咥えた。
「……って手まで味わっちゃだめぇえ!?」
「ご馳走さんな」
 空牙はけらけら笑って、慌てるミリムの口へ白猫肉球チョコを放り込む。
「……あ、おいひいにゃーん」
 思わず尻尾をふりふりして、機嫌が直ったとバレてしまうミリムだった。


「肉球を量産すれば、猫さんが集まったりしないでしょうか……」
 猫愛と煩悩を垂れ流しつつメディカルレインを乱射していたのはミリア。
 肉球チョコ作りも当然本気。
「右手はもう少しこっち側に……左手はこうですかね」
 丁寧に肉球の位置へマシュマロを配置するだけでは飽き足らず、
「前脚だけだと可哀想ですよね……」
 いつのまにか後ろ脚も作っていた。
「どうぞ……手抜きした肉球ですが」
 結果、肉球チョコのお裾分けを貰った小檻は言葉を失った。
「……本気を出したら、なんか可愛くなっちゃって……」
 何故なら目の前には、総チョコ製の等身大猫が鎮座していたからだ。
「この猫さんは後で頂くとして、手抜きを量産しましょうかね」
「あ、ありがと。相変わらず凄い情熱ね」

「難しいことをやっても失敗するだけだし、一番簡単な方法にしましょうか」
 堅実に行くと決めたかぐらは、エプロンも着けてやる気満々。
 猫の手にすべく湯煎するチョコは、最近話題のルビーチョコレート。
「白いマシュマロと組み合わせれば、ピンクのかわいいのができると思うのだけど……」
 かぐらの期待通り、ルビーチョコとホワイトマシュマロの肉球チョコは、実に女の子らしい色味に仕上がった。
「あ、でも、わたしがピンク色って似合わないかな……?」
 友人へ渡す時に思わず自嘲したかぐらだが、
「いえいえ、お心映えのお優しいかぐら殿ですから、ピンクもお似合いでありますよ」
 お世辞抜きでフォローする小檻は、第四のチョコが食べられて嬉しそうだ。

 奏星は小檻を誘って肉球チョコ作りに挑戦。
 猫の手の型へは甘めのミルクチョコ、肉球部分はストロベリーチョコを溶かして流し込む。
「可愛らしくできるといいんですが」
 元よりお菓子作りが得意な奏星だけに心配も杞憂に終わり、それぞれのチョコは肉球と猫の手の二層へ綺麗に分かれて固まった。
「かけらさんの1番になれないのはとても残念ですが」
 完成品を小檻へ振る舞い、自分は彼女の後ろへ回る奏星。
「あ、ではお返しに白い肉球チョコを……ふえっ!?」
 小檻が貰ったチョコへ気を取られた隙に、するりと服の中へ手を入れて、
「くどいでしょうけど、好きです、かけらさん」
 何度目かの愛の告白をしつつ、胸や尻を揉むのだった。

「この時期はあたし達の生誕祭……気づけばこんなに時間が経っていたのね」
 感慨に耽るフレックが湯煎にかけたチョコへ混ぜるのは、甘い甘いきなこ。
 チャトラな猫の手をイメージしたチョイスらしい。
 肉球は苺ミルクグミをホワイトチョコの掌へ埋める手際の良さは流石である。
「おててが白いチャトラ仔猫の肉球チョコよ!」
「きゃー♪」
 早速、ガイバーンや小檻のみならずトートやかぐらなど他の参加者へもお裾分けするフレック。
「後は……」
 まだまだ創作意欲は尽きないらしく、型で固めたきなこチョコを削って形を整え、ブラックチョコで目や口元を描いた。
 チャトラ仔猫の全身像、完成である。
「せめて形は柔らかそうに」
 猫の柔らかさやしなやかさへ妙に拘る戦乙女だった。

「いただきっ!」
 この日のトートはチョコを作る気など毛頭ないらしく、小檻が作った肉球チョコをいかに摘み食いするかへ専念していた。
「まぁ、手癖のお悪い」
「心配せずとも、かけらも後で摘み食いしよう」
 などと意味深な冗談を吐きながら、肉球チョコの食べ歩きに勤しむトート。
「猫にチョコ……甘い物と猫なんて……もう究極ではないか!」
 フレックのもミリアのもアルベルトのも皆美味しくて、しばし甘美な幸せに浸った。
「うむ、やはりましゅまろもよいが此方も実に良い薫りと感触よ」
 その後は、小檻の胸にダイブしてすりすりむにむにと感触を堪能。
「では、いただきます」
 と、なし崩しに先の宣言通り彼女を食べる自称王様であった。

「カヤ、こいつがメークインで」
「メインクーンでしょ」
 榧相手に猫のぬいぐるみや写真を見せては、検索した知識をベラベラ喋り倒すのは泰孝。
 以前、榧へ語った本音が余程後ろめたいらしく、全部無かった事にしようと画策中なのだ。
 榧は榧で、それらを告げられてからは自称旦那様の顔すらまともに見られず悶々としている。
「猫は甘さの味覚がなく甘い物に興味を示さないらしいぜ」
「ふーん」
 表面上は普段通り相槌を打つも、極力顔を合わせぬようにしていた。
「色ね……旦那様に上げるなら金運……黄色かしらね?」
 それでも本命チョコはちゃんとあげたいのか、猫の手の色について悩む榧。
 ふと、泰孝がどんなチョコを作ったのか気になって彼の手元に視線をやれば、
「カヤ、どうだ。バナナチョコをベースに肉球はマシュマロで……金運上がりそうだろ?」
「……え?」
 黄色い猫の手を見た榧が思わず噴き出す。
「あはははっ……嘘でしょ……まさか……被るなんて」
 散々笑い転げたお陰か、自然と決意も固まって真面目に問いかける。
「ねえ旦那様……? 旦那様にとって……私は……どういう存在?」
 泰孝は観念したのか、猫の鳴き声が邪魔してくれないかと願いつつ悪態をつく。
「……あぁ、オレが安心して帰れる場所だよ、ったく」
「ふーん……そうよね……私は貴方の妻ですから!」
 それを聞いた榧も、照れて素直に喜べなかったが、
「……何があっても……妻として待ってますから」
 猫の声にも紛れる事なく、2人の気持ちが通じ合ったのは間違いないようだ。


 2人仲良く肩を並べて、漁港のヒールに勤しんでいるのは氷空と碧斗。
「折角だからチョコレート、作るのも手伝ってほしいの。催しだもの、参加するのも悪くないと思うわ」
 氷空がそうおねだりすれば、
「ああ。君が望むなら手伝おう」
 これから復興する産業や戻ってくる街の人の為に——と真剣にヒールしていた碧斗だから、チョコ作りも快諾してくれた。
「……これでいい、かしら。後は冷やすだけね」
 氷空が作るのは、ホワイトチョコの土台に青いソーダ味のグミを埋め込んだ、青い肉球が爽やかな猫の手チョコだ。
 表には出さないものの、隣の彼へ渡したくて作ったのもあってか、少々気合が入っているようだ。
「しかしチョコレートか、貰う人間は幸せ者だな」
 氷空の作業を手伝った碧斗は、ビターなカカオ凝縮チョコを猫の手のベースに白いミルクのグミを埋めて、自分でも肉球チョコを作りながらぽつりと呟く。
「……そう? そう思う? 誰かに渡したいとは思っているのよ」
 思わぬ碧斗の言葉に、氷空は照れつつもやや嬉しそうな様子で、綺麗に包装した肉球チョコをバッグへ隠した。
 後でどんな風に渡そうかと胸を高鳴らせながら。

「さぁ紫織。一緒に作りましょう。俺は恐らくひとりでは上手く作れないから、いろいろ教えてください」
 婚約者へ普段よりは柔らかく語りかけるマティアス。
「はい、お任せくださいな~。私がしっかりサポートしますよぉ」
 猫好きなマティアスらしいお誘いが可愛いと、自然に頰が緩むのは紫織だ。
「このマシュマロというのは、良いものですね。俺の好きなプリンと同じ、卵からできているのでしたか」
「ええ、手作りの品は卵白のメレンゲを使いますねぇ。でも、工場で作ってるものには入ってないそうですよぉ」
 色とりどりのマシュマロを前にマティアスが呟けば、紫織もにこにこ笑顔で頷く。
「ぷにぷに……どうですか? 猫の肉球らしくなったでしょうか?」
 まずマティアスが紫織へ差し出したのは、小さなマシュマロが点々と載って肉球を形作っている、ちょっといびつな猫の手チョコ。
「うふふ、上手にできてますよぉ。あっ、私のも見てください。どうぞ~♪」
 お返しにと紫織が掲げたるは、通常の3倍はあろうかというビターな猫の手チョコ。イチゴ味のマシュマロでできた肉球とのコントラストが可愛い。
「前にあなたと撫でた、おっきなぼす猫ちゃんを思い出しちゃって。えい、ねこぱんちっ! なんちゃって」
 猫の手チョコを突き出してマティアスの手へタッチする紫織が微笑ましくて、
「なるほど、ぼす猫に相応しい風格がありますね」
 マティアスは我知らず口角が上がっていた。

「準備はいい? 沢山作ろうー♪」
「準備万端! 完成したらみんなで交換しようね?」
「はーい♪」
 にゃんとも達へ向けられたユアの号令に、ルティエとクレーエが手を挙げて応える。
「にっくきゅー♪ にっくきゅー♪ 可愛く作ってこうかーん♪」
 楽しそうに歌いながらビターチョコを湯煎したクレーエは、そこへ肉球型のマシュマロを浸して、ビターチョコでコーティングするつもりのようだ。
「ふふー、順調順調♪ 料理はまだ得意とは言えないけど、やれば出来る子な僕!」
 クレーエは肉球チョコの固まり具合を見て満足そうに頷くや、こっそりと2人に隠れて別の工程も進めた。
「ふふ、みんなで作ると楽しいね」
 頑張るクレーエを温かい眼差しで見守っていたルティエも、自分の作業へとりかかる。
 ミルクティーチョコの淡い色をした猫の手へ、ピンク色のピーチグミを肉球に見立てて埋め込み、冷蔵庫でしっかり冷やせば完成だ。
 銀の狼尻尾がご機嫌にゆらゆら揺れていた。
 だが、一方のユアは。
「今日はできそうな気がするの」
 そう息巻くも、あくまで気がするだけなのか、
「ふえーっ、そっとやってるつもりなのにっ」
 ホワイトチョコを削ろうとするも力み過ぎて、ぴゅんぴゅーんとチョコの欠片を飛ばしまくっていた。
「ふえっ、ゆ、ゆあさんなんでチョコが飛んでっちゃうの?!」
 驚くクーリエ。ルティエはさり気なくルアのボウルを支えて、チョコが飛び散るのを防いだ。
 ともあれ、ユアの白地にピンクの肉球チョコも無事完成。
「はい、こういうの乗せたりも楽しそうじゃない?」
 そう言ってクレーエが2人へ淹れたのは、ホットチョコレート。
 猫の形をしたにゃんましゅまろがぷかぷか浮かんでいる。
「にゃんこで繋がった縁の僕達にはピッタリでしょ?」
「わぁ、ありがとうクレーエさん。ふふ、考えるコト一緒、だね?」
 ユアが喜んでホットチョコへありつく。
「んーっ、ホットチョコ美味しいねぇ」
 幸せな気分でにゃんましゅまろを眺めつつ、ホットチョコを飲むルティエ。
「ん、これからも沢山色んな楽しいことをしようね」
 クレーエへ差し出した肉球チョコには、小さなハートがついていた。
 ユアへ渡した方には音符と星が飾られていて可愛らしい。
「ボクも! 2人にあげるの」
 ユアやクレーエもお返しにと、それぞれ肉球チョコを交換する。
「これからもずーっと、仲良しでいてくれたら嬉しいなって!」
「二人とも大好きだよ! これからもよろしく♪」
「2人ともこれからも仲良くしてくださいっ、なの♪」
 にゃんとも達の絆が更に深まった1日だった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月13日
難度:易しい
参加:24人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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