ヒーリングバレンタイン2019~洋菓子の街にて

作者:寅杜柳

●脅威の去った地にて
「去年から今年にかけて、ケルベロス達みんなの活躍で多くの地域が奪還されている。デウスエクス達の攻勢に対抗しながら本当に、お疲れさま!」
 笑顔でそう言う雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259)の雰囲気は、事件の説明をするいつもよりも和やかだった。
「だけれども、奪還された地域が完全に復興するにはまだ時間がかかる。今回の仕事はその地域の復興支援。それでバレンタインも近い事だし、建物をヒールしつつ住民にお菓子を作って配るイベントを考えているんだ」
 知香が言うには住民は基本的にいないが、引っ越しの下見に来る人やその地域周辺の住民が見学に来ることはあるのだという。
「時期的なものもあるし、ケルベロス達がイベントを楽しくやる事が出来れば十分復興の支援にはなると思う。一緒にどうだい?」
 そして知香は地図を広げる。示された場所は兵庫県神戸市。
「三宮駅から少し北に行った北野坂。螺旋忍軍に占領されていたこの地域は異人館でも有名だけれども、神戸と言えば洋菓子も有名。そんなわけで現地の菓子職人が腕によりをかけて色々な洋菓子を準備してくれる手筈になっている」
 現地の建物のヒールを行った後、お菓子作りの会場にちょっとお邪魔させて貰って一緒にお菓子を作るのが第一段階になる、と知香は言う。
「それで、完成したら一般人に配るって流れだね。材料自体は豊富に準備されてるから個人用のをつくっても問題はないだろう。菓子職人の人にも聞いてみればコツとか色々教えてくれると思う」
 あと、配る際には武勇伝だとかどんな風に日々活動してるのか、そんな事も話したりすれば住民達も興味深く聞いてくれるだろうと白熊は続け、
「基本的には現地のイメージアップが大事だからね。楽しい一日をみんなで過ごせるように手伝ってくれないかな」
 そう知香は話を締め括り、にっこりと柔らかに微笑んだ。


■リプレイ

●荒れた街を癒やす
 神戸北野坂。
 長い占領の間にミッション破壊の戦いもあり、南の三宮等と比べ随分と荒れた景色になっていた。このままでは復興もままならないけれど、そんな血を救うためにケルベロス達はやってくる。

「それじゃこっち、行こうか!」
「そんなに引っ張らなくても大丈夫ですの」
 ぐいぐいとミリム(e07815)が控えめなシエナ(e00858)を引っ張り荒れた街並みを歩いていく。
 物心ついた時から傍に居た大切な存在を先日亡くしたシエナ、だけれどいつまでも塞ぎ込んでいるわけにはいかない。
(「街を直して設営を手伝った後は二人でお菓子を沢山食べますの!」)
 お仕事の後の甘味を楽しみにしつつ、二人はまず目の前の荒れた街並みのヒールに取り掛かる。
「んー、何かが足りないかな?」
 丁寧にヒールで修復していくミリムだが、少し満足できていないよう。もっとこう、北の方にパワー負けしているような。
「もっと豪華でロイヤルに!」
 その念を込めて、次の建物をヒール。するとその念に応えたのか、少しだけ豪華な雰囲気に修復される。
「さ、次は……公園だね」
 元は穏やかで奇麗だったのだろうけれど、今は戦闘の爪痕も深く、植わった草木も手入れされていなかった為か残念な事になっている。
「華やかな花園にしてみるのだ!」
 ミリムの元気な声とヒールに、荒れた公園もどんどん元の穏やかな雰囲気を取り戻していく。
 そしてそんな風景を眺めるシエナも負けてはいられないと、
「Je le veux……ヴィオロンテ、あなたの本来の力の片鱗をわたしに見せて?」
 薔薇の芳香が周囲に漂い始め、しっかり感じたシエナがヒールを行う。
 ヒールされた公園の風景は彼女の願いあってかはたまた偶然か、彼女の願ったのとあまり変わらない程度の幻想化の程度で修復されていく。
 ふう、とシエナが息を吐き、ミリムを見やる。対するウェアライダーの少女はぐっとサムズアップで返す。
 そして二人は北野坂の街並みをどんどんと修復していく。

 キタキツネの耳をぴこぴこさせながら、セレナ(e46585)は後ろを歩く執事然とした紳士を振り返る。
「神戸って初めて来ましたけど話に聞いていた通りお洒落な街ですねぇ」
「わたしも初めて参りましたが……本当に美しい街並みでございますね」
 エスター(e46971)も周囲を見、神戸の街並みに溜息を漏らす。
 けれど少し北へと向かえば戦闘の痕も残る北野坂。今は少々荒れているけれども、元々のお洒落さの片鱗はそこかしこに見えている。そんな光景に普段はインドア派のセレナのテンションは上がるけれども、お仕事の方は真面目、復興を祈りながら壊れた建物にヒールをかけ修復していく。
 そんなセレナをエスターはサポート、てきぱきと周囲の建物をヒールしていく。
 四人の他に【CMF】の仲間達もヒールを頑張った甲斐あり、ハイカラな街並みは多少メルヘンチックであるけれどその美しさを取り戻した。がて街並みは南北他の街並みと同じくらいに綺麗に修復された。
「坂の上に異人館と言うのがあるんですって。エスターさん、今度一緒に行ってみませんか?」
 誘いかけるセレナにエスターは微笑み、
「ええ、もちろん。異人館へもご一緒致しましょう」
 そして二人はお菓子作りまでの時間、異人館の街並みをゆっくりと堪能したのだった。

「シエナさんそっち側を持って上に掛けていこう!」
 ええ、とシエナはヴィオロンテを上手く操り、リースをてきぱきと飾っていく。ヒールを終えたシエナとミリムは特設会場の設営の手伝いを行っている。紙のリースなどで飾られたその空間は正にパーティ会場といった具合で。
「これで完了だね!」
 最後に材料を運び込み、会場の外に出た二人は一息つく。一仕事終えた疲労感と、冬のひんやりとした空気が頬を撫でる。その前には修復された街並みが見え。
(「Condamnation……ラジンの魂はわたしと共にありますの」)
 シエナがヴィオロンテに優しく触れる。
 喪失の哀しみから完全に立ち直るにはもう少し時間がかかるかもしれない。
 けれど、きっといつかは前に進もうと、大切な存在を感じながらそう思った。

●甘い日の為に
「リリ、料理なんてしたことないけど大丈夫……かな?」
 【CMF】の一人、リリエッタ(e63102)の表情は不安そう。料理でも初めてなのにそれより難しそうなお菓子作りとなると高い壁の様に思える。
「チョコレートのケーキ……むぅ」
 難しそう、と不安げに呟く。
「はじめての事は確かに不安はありますわ」
 そんな彼女に同意するのはルーシィド(e63107)。バレンタインの準備でチョコの湯せんとか憶えたと自信いっぱいのだけれど、チョコケーキというか焼く方は未体験。
「でもせっかくだから、参加したいですわ!」
 そういう彼女はにこにこ上機嫌。だって、三人で一緒にこんな風にお出かけして何かをするのが嬉しいから。
 一方、アイリス(e28244)は緊張した様子もなくのんびりとチョコを作りにかかる。
 寮の子達の為にお菓子作りも悪くはないと、寮の住人である二人と一緒に来たのだ。時期的には申し分ない。
「……お菓子作りは、レシピ通りに作るのが重要と聞くわ。まずは基本をしっかりと」
 二人にかけたアイリスのアドバイスは年長者として真っ当なもの。お菓子作りは特に分量を正確に量る事が大事だ。
 とは言うものの。
(「……この『少々』ってどれくらい?」)
 はっきりとした数字がないと不安になる。聞いてみようかと思うけれどみんな自分の調理で忙しそうで、
(「リリなんかが声掛けたら迷惑だもん……でも、どうしよう」)
 キョロキョロと二人の様子を窺うリリエッタの表情は助けを求めるようで。
「リリちゃんも一緒に作りません?」
 悩めるリリエッタにルーシィドが助け舟を出す。こくり、とリリエッタが頷いた。

「カトレア、そっちはどうだ?」
「順調ですわよ」
 克己(e02613)の問いにカトレア(e00568)が応える。彼女が取り掛かっているのは苺のクリームケーキ。ケーキ自体は以前にも作ったことがあるのでその感覚を思い出しつつテキパキと手順を進めていく。
「ふう、これってなかなか大変ですわね」
「じゃあ混ぜるのは俺がやろうか」
「ええ、お願いします」
 これまでは別々に作り交換していたけれども、今年は共同で作る。いつもと勝手の違う作業で、だからこそお互いに役割を分担して丁寧に進めることもできる。
「克己、何か分からない事がありましたら、私もお手伝いしますわね」
「おう、頼りにしてるぜ」
 所々作業を代わってもらいながら、婚約者と二人で作るケーキはまた違った楽しさがあり。
「二人で、思い出に残るような、最高のお菓子を作りましょう♪」
 そう言うカトレアに克己は笑って返す。

「最近ちょっと料理に凝っててさー。もっと上達したいんだよね」
 そう言う恵(e01060)はそれなりに慣れた手際でクッキー生地を作っていく。
「十分上手だと思うけれど」
 プロ並とは言えないと本人は言うけれどシャンツェリッゼ(e30061)にとっては十分上手。なぜなら、
「私は料理というもの作ることに慣れていないんです」
「ふーん、こういうのあんまりやったことないのか?……っていっても、俺も始めたの最近だしなぁ」
 大自然で生きていたシャンツェリッゼはいつも食べる側、作る側は経験が少ない。
 けれど恵に教えて貰ったなら上手にできる、かもしれない。
(「ううん、きっとできる」)
 そんな風に信じるシャンツェリッゼはふと、
「それにしても、エプロン似合ってますよ」
 今更ながら、といった風に恵を見てシャンツェリッゼが言う。
 エプロンは恵の自前。女性に間違えられる事もあるけれども、彼は立派な男性である。
「流石に間違えたら怒るぞ、リゼ」
「ああ、大丈夫。恵の事を間違えたりしないよ」
 恵み言葉に、けれどシャンツェリッゼ(e30061)はごく当たり前に返す。そんな風には思わないのだから、当然だ。

 調理会場の一角にて、果乃(e00673)が作ろうとしているのはタルト。ザクザクした食感が特徴的なクラッカーを生地に、ダークチョコとココアクッキーの黒っぽい下地にアーモンドやカラフルチョコを混ぜ込んだホワイトブラウニーの三層を作る。
 味見をした感覚は上々、これでいいかなと思うけれどまだもう一品作る時間はありそう。そう考えた果乃は再び調理に取り掛かる。

 さらに別の場所にはどこかハードな雰囲気の男性二人。
 いつも旨い菓子や飯を貰ってっから、とエリアス(e50581)はアベル(e36140)に日頃のお返しをする気十分。
「腕によりを掛けてガトーショコラつくってやるよ! ……で、ガトーショコラってどうやって作るんだ?」
 普段やっていないからまあ、仕方がない。意気揚々、けれどやり方を知らないエリアスに、
「お返しねぇ、そいつは楽しみだ」
 ピッとアベルが差し出したメモには彼なりのガトーショコラのレシピと注意点。
 そのぶっきらぼうな言葉とは違い、読み手が分かり易いように綴られたそれは大きな助けになるだろうと思われる。
「困ったらシェフに頼りな」
 そう言ったアベルは少し離れた場所へと移動する。きっと、信頼しているのだろう。
 そのメモをエリアスが読むと、思いの外簡単そうに見える。
(「……これは、イケる!」)
 勝利を確信した彼はアベルを一瞥し、自信満々にクッキングスタート。
「まずは材料を計って……」
 いきなり粉がどばっとボウルに落とされる。いきなりの目分量に周囲で調理していたパティシエも思わずガン見。
 次の手順は何だっけか、と砕く前の板チョコを齧りつつ自分を心配顔で見ている職人に尋ねるエリアス。
「次はチョコを砕いて湯煎……なんかチョコ足りねぇな……計り間違えたか?」
 それは既に貴方の胃に収まっているからです、そんなツッコミは心にしまい込みつつ十分量のチョコを準備してくれるのは流石職人さん。
 一方。
(「……待ってんのも暇だ」)
 一般用のお菓子も作るか、とアベルもお菓子作りに取り掛かる。
 作ろうとするのはトリュフ。トッピングを少しずつ変えたそれは彩り豊かで多くの人に喜ばれるだろう。
 そしてもう一つ、という所でエリアスの方を見やる。悩みつつ、職人に尋ねつつ、苦労している様子は少し離れた場所からでもありありと分かる。
 そんな頑張る弟分の姿を和らいだ表情で時折眺め、アベルは調理を進めていく。

「苺味のチョコを作ってみたいんですけど、どうやって作るんでしょう?」
 首を捻っているのはセレナ。高校生の彼女は、日頃の料理は全て母親任せ。だけれどもこればかりは自分で作らないとならないのだから。
「苺味のチョコはホワイトチョコに食紅で色を付けて苺のパウダーを使うのが簡単だそうですよ」
 悩めるセレナにそっとエスターがアドバイスする。
「わたしも手伝いますよ」
 執事であるエスターだけれども、彼は料理は殆どしない。一応、手先は器用な方なので職人の助けがあれば大丈夫ではある、はず。

●大切な人へ
「んー……焼き時間はどの位がいいかな」
「菓子職人さんに聞くのはどうでしょう」
 折角この場に大勢集っているのだから、と悩める恵にシャンツェリッゼの意見。餅は餅屋、お菓子作りはその専門家に聞くのがいいだろう。早速アドバイスを貰いに行った恵はその言葉通りに焼いてみて、その出来に満足。
「この焼き加減はどうでしょう。……形はちょっと崩れちゃいましたけど」
「ん、いい感じ! 形も慣れだから大丈夫!」
 完璧な出来とはいえないけれど、しくじった所はまた次の課題、覚えておけばいい。
 だから今日は上手に出来たところを素直に嬉しく思う。
 そんな風に、二人の思い出はまた一つ重なって。

 一方の【CMF】。
 二人の助けもあって、リリエッタも何とか作業を進めて無事焼き上がり、次はトッピング。
「ここにある砂糖菓子も使っていいの?」
 それじゃあ、とリリエッタが選んだ砂糖菓子はボクスドラゴンやオルトロス、サーヴァントの似姿の砂糖菓子。並べれば心なしかほんわか賑やかな色がケーキの上に見える。
「……なるほど、そういう風にすれば良いのね」
 アイリスも職人によるアドバイスを受け、より美味しくなるよう新たな工夫を学んでいる。年長者でも素直に学ぶことは大切だ。
 そんな風に新たに吸収しているアイリスに教わりながら、ルーシィドもチョコケーキを作っていく。分からない事があればいつも教わっているからちょっと恥ずかしいけれども、それが一番なのだから。

「あ、知香さん! よければ手伝って下さい!」
「ああ、いいよ。どんな感じに作るんだい?」
「雨河様もお手伝い頂けるのでしたら有難いです」
 近くで何かのお菓子を焼いていた知香に声をかけると、快く協力してくれる。彼女だけでなく、集ったお菓子職人達の助けもさらに合わさり、
「できました!」
 ぎこちないながらも苺味のチョコレートが完成していた。
「それじゃこれを皆さんに……」
「お嬢様、その前にこれを」
 特設会場へと向かおうとするセレナを呼び止め、エスターが差し出したのはボンボンショコラ。エスターが苺のチョコと並行してこっそりと作っていたものだ。
 三日月と星の形をしたそのショコラは手先の器用な彼らしく、可愛く整った形をしていて。
「えっ、わたしにですか?」
 まさか自分に、とセレナは赤の瞳を驚きに見開く。
「日々の感謝の気持ちです」
「なるほど! こちらこそ、いつもありがとうございますね♪」
 エスターの言葉にセレナはにっこりと笑顔で受け取った。

「あっ、雨河さんこんにちは!」
 会場でお菓子作りを終え一息ついた知香の前に、ミリムとシエナ。
「おっミリムとシエナじゃないか。設営有難うな! お礼と言っては何だけど」
 そう言って知香が差し出すのはワッフル。焼きたてのその甘味はバレンタインらしく、口にした二人の頬を緩めさせていた。

 なんやかんや格闘しつつ、想定よりは一回り小さく、ちょっとだけ不格好。けれどもエリアスの調理台にはちゃんとしたガトーショコラが完成していた。
「……ま、まぁ味は上出来だぜ!」
 見た目はちょっと自信はないが、味見の感触は十分。それを持ってエリアスは兄貴分の元へと向かう。そして、
「いつもありがとうな兄貴分?」
 試行錯誤したという様子は見せず、普段通りの口調でアベルへと差し出す。
「ありがとさん」
 目を細め素直にアベルは感謝を返す。
 そしてそんな頑張り屋には、『Alles Gute zum Valentinstag.』と綴られた生チョコケーキの贈り物が渡される。
「俺の方こそいつもサンキュ」
 お互いに贈り合い、感謝を示す。
 それもきっと、しあわせなバレンタインデーの在り方の一つなのだ。

「できた!」
 完成した果乃の二品目は、パイ生地とチョコチップクッキーを中に、マシュマロとメレンゲで上下を挟み仕上げたタルト。
 一品目のサクサクとした食感とは違い、ふんわり柔らかで包み込むような感触を重視したそれはまた違った美味しさで。
「みんなに美味しく食べて貰えるかな?」
 これらを口にする人達の表情はどんな風になるか、そんな事を果乃は思っていた。

 やがて、【CMF】三人それぞれのお菓子は努力の甲斐あって完成する。
「無事完成したけど……リリのケーキ、味見してくれる?」
 ええ、勿論。否というわけもなく、三人はできたてのチョコケーキを早速試食する事にして、調理会場に近い部屋へと向かい、ハーブティを淹れる。
 香り高いハーブの香りが広がり、いざ試食。
 味の方は努力の甲斐あって、バレンタインに見合った乙女らしい味。
「リリ、ルー。これをどうぞ」
 アイリスも出来上がったチョコレートを二人に差し出す。自身が寮長を務める量の皆にも配るつもりだけれど、まずはこの場にいる二人から。
「いつも、無事に帰ってきてくれて嬉しいわ」
 これからも、よろしくね? そう言ったアイリスの表情は柔らかく、可愛い妹分を見るような表情で。
 カトレアと克己の作業もいよいよ最終盤。焼成も終わり、クリームを塗り、飾りつけ。
 出来上がった、はじめての共同制作の苺クリームのケーキ。
 他にもいくつかケーキを作っているけれども、この一つは二人のためのケーキで。
 別の部屋に一旦移動した二人はまず共同作業の完成品をじっくりと眺める。
 眺めて見た目はよし、努力の甲斐があったというもの。
「やー、できたできた。じゃ、食べてみようぜ」
 さて味は、と同時に二人は口に運ぶ。
「うん。うまい。うまくできてよかったな」
「上手にできましたわね、とても美味しいですわ♪」
 出来立てのケーキはいつもとまた違う、しあわせの味。苺の酸味が甘さにぴったりで――それ以上に、大切な相手と二人で過ごすこの時間の甘い雰囲気に、克己とカトレアは表情を綻ばせる。
 皆の為のケーキ作り。今は自分たち二人だけの楽しみだけれども、もう少しすれば人々もきっと甘いお菓子に楽しい気分になるのだろう。
 この活動が復興に貢献出来る事を願いつつ、カトレアと克己は一日を楽しく過ごした。

 そんな風にバレンタイン前の賑やかなイベントはつつがなく準備され、そして占領から解放された地域周辺の人々に甘い癒しを齎したのであった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月14日
難度:易しい
参加:14人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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