ビルシャナは女同士の愛を根絶せよと説く

作者:紫村雪乃


「なんて汚らわしいの」
 甲高い声が響いた。
 広々とした廃工場。その中央に異形の存在がいた。羽毛に包まれたそれは鳥人間といっていい。
 元は理知的な女性であったのだろう。が、彼女は人間であることをやめた。ビルシャナとなったのだ。
 そのビルシャナの前には十数名の男女。年齢は様々であった。ビルシャナの信者である。
「愛とは異性の間で育てていくもの。けれど巷には同性愛などというものがはびこっている。特に汚らわしい女同士の愛だ」
 ビルシャナが吐き捨てた。
「女は男に愛されてこそ。子孫を残せるのも男がいればこそ。それを女同士で愛し合うなど汚らわしいにもほどがある。そのような歪なものは排除しなければならない」
 ビルシャナがいった。そして叫んだ。女同士の愛を根絶せよ、と。
 すると信者たちの目が熱病にかかったように光った。そして、叫ぶ。ビルシャナと同じように。
「女同士の愛を根絶せよ」


「鎌倉奪還戦の際にビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はいった。
「悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が、今回の目的。このビルシャナ化した人間が周囲の人間に自分の考えを布教している所に乗り込む事になります」
「どのような考えなの?」
 問うたのは和泉・香蓮(サキュバスの鹵獲術士・en0013)という名のサキュバスであった。輝くような半裸の姿を惜しげもなくさらしている。
「女同士の愛を根絶せよ。それかビルシャナ化した人間の考えです」
「女同士の愛を根絶、ねえ」
 香蓮は薄く笑った。サキュバスである彼女には考えらぬことである。
 確かに香蓮は男と愛し合うことが好きであった。それはサキュバスの本能といっていい。が、女と愛し合うことも良いと彼女は思っていた。それはそれで楽しいことであり、気持ちの良いことであった。
「ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、ほうっておくと一般人は配下になってしまいます。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれません」
 セリカはいった。ビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのようになってしまう。そうなれば厄介であった。
「インパクトのある主張、ねえ」
 悪戯っぽく香蓮は笑った。彼女の脳裏にあるのはサキュバスらしい考えである。女同士で愛し合う姿を見せ、その美しさをわからせてやればいいのではないかというものであった。
「ビルシャナさえ倒せば一般人は元に戻ります。配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
「ビルシャナの戦闘方法は?」
「破壊の光を放ちます。さらには炎も。そして経文を唱え、相手の心を乱します」
 周りにいる人間の数は十ほど。配下となった場合、多少は強化されるようであった。
「教義を聞いている一般人はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのはインパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれません」
 セリカはいった。


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)
渡会・雪(さすらいびと・e44286)
ガートルード・コロネーション(コロネじゃないもん・e45615)
フレデリ・アルフォンス(ウィッチドクターで甲冑騎士・e69627)

■リプレイ


 深夜の廃工場。周辺に人の気配はない。
「女同士の愛を根絶せよ」
 声高に、その女は叫んだ。人間ではない。ビルシャナであった。
「違うな」
 薄く笑う声が廃工場内に響いた。
「……誰だ、お前らは?」
 視線を転じたビルシャナは見た。八人の男女の姿を。
「俺の名はフレデリ・アルフォンス(ウィッチドクターで甲冑騎士・e69627)。ケルベロスだ」
 声の主がこたえた。気品に満ちた美貌の若者だ。絶世の美男子といっていい。
「女同士でもリア充は爆破だよねー♪ とでも言うと思ったか?」
 フレデリは嘲笑った。
「俺はリア充でも非モテを馬鹿にせず、真剣にお付き合いしてる連中は見逃す主義でね。ましてや迫害されてるなら味方になってやんよ。嫌がる女に生殖を強要するなんてオークと同じだ。そんなお前らこそキング&クイーンオブ下衆。汚いオークは消毒だな!」
「きいいい」
 ビルシャナは、まさに化鳥のような声を発した。
「愚かな異端者どもが。汚れた者たちの味方をするのだな」
「そうだよ」
 こたえたのは精悍な風貌の若者だ。腕や顔に不気味な紋様が刻まれていた。破れ衣で、抑えきれぬ反骨心をようやく包んだという印象がある。
「俺自身は同性より異性相手の方が良いけど、女の子同士ってのは……趣があって良いじゃない」
 若者――白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)は、ふっと笑って見せた。
「どうするか、なんて結局は当人達の自由。それに価値を見出だすのも人の勝手ってね。自由で良いじゃん。その中で育む物が、良いんだしさ」
「まあ、私は望まない人が無理強いされたりしなければ……それは個人の嗜好だと思うけど」
 娘はいった。細身で、白磁のような肌は人形のよう。その綺麗すぎる美貌もまた人形を思わせた。リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)である。
 そのリティは思っている。多様性こそが人間だと。命だと。
 均一化され、統一化されたそれは機械に他ならなかった。レプリカントであるリティには、そのことが良くわかっている。
「黙れ!」
 ビルシャナは怒声を発した。そして針のような視線でケルベロスたちを睨みつけると、
「個人の嗜好だと? そんなこをいっているから社会は乱れるのだ」
「勝手なことをいってくれるぜ」
 日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)は吐き捨てた。蒼天を思わせる青い髪の持ち主で、端正といってもよい顔立ちの持ち主だが、どこか物騒な雰囲気がある。
「女同士の愛を許さない。それこそあんたの嗜好だろ。……女性側から女同士の愛を否定してくるなんて、あんたは一体どんな体験をしたんだ? 余程潔癖なのか、それとも同性から性的な意味で好意を向けられたり襲われでもしたのか…?」
「黙れ!」
 再び絶叫すると、ビルシャナは命じた。異端者を始末せよ、と。
「そうはさせん」
 輝く金髪を翻し、女が信者たちの前に立ちはだかった。


 それは凛々しい顔立ちの美しい娘であった。鋭い眼光の持ち主で、肉体は衣服の上からでもわかるほど豊満である。
「待つんだ」
 娘――エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)は半ば叫ぶようにいった。その気迫におされてか、信者たちが足をとめる。
「みんな、もう一度考えてみて。本当に女同士の愛が醜いのかを」
「こういう人しか愛しちゃダメーって、ふわりは悲しいの」
 エメラルドの隣。盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)という名の少女が哀しげに訴えた。睫毛を震わせただけで誰もが哀憐の情にかられてしまいそうになるほど可愛らしい少女である。
 すると三人めの女が口を開いた。透けるほど色の白い、人形のように嫋かな少女だ。名を渡会・雪(さすらいびと・e44286)といった。
「なぜ女性同士のみを目の敵にするのでしょう? 主張に一貫性が無いように感じます。何か個人的に恨みとか後悔とか抱えているのでしょうか?」
 ちらりと雪がビルシャナを見やった。その視線を追って信者たちの目も動く。
 ビルシャナが憎悪のこもった目で雪を見返した。一瞬、空で二人の視線がからみあったようだ。
「子孫を残せないと言うのでしたら、男性同士もダメではありませんか。そこに矛盾を感じませんか? お互いに求め愛する気持ちに性別など関係ありません。癒し…充足…生きる活力すら得られますから」
 雪はいった。すると信者たちの視線が揺れた。迷いが生じたようだ。
「騙されるな!」
 ビルシャナが叫んだ。すると信者たちの目から迷いが消えた。やはりビルシャナの言霊には威力があるようだ。
「仕方ないのー」
 ふわりは微笑むと、するすると衣服を脱ぎ始めた。


 華奢であるが、瑞々しい裸身が露わとなった。
「ふふふ」
 子猫のように笑うと、ふわりはエメラルドに抱きついた。そしてエメラルドの衣服も脱がしはじめた。
「あっ」
 一瞬、エメラルドの口から戸惑ったような声がもれた。が、すぐになんでもないように取り繕う。
「雪ちゃんも」
 ふわりが慎み深そうに控えていた雪の衣服も取り去った。現れたのは触れただけで壊れそうな繊細可憐な肉体だ。恥ずかしそうに雪が俯く。
「ふわりね、男の人も女の人も、みーんな大好きなの! でも女の人を愛してあげる時はー、ふわりも女の人だから、何をして欲しいか全部分かっちゃうの♪」
 ふわりは豊満なエメラルドの肉体に口づけした。全身に、ゆっくりと。
「あっ」
 エメラルドの顔が羞恥に紅く染まった。
「ああっ」
 一際高い喘ぎ声をエメラルドがもらしたのは、ふわりの舌が彼女の勃起したピンク色の乳首を舐め上げた時だ。電流に似た快感がエメラルドの全身を駆け巡っている。
「ふ、ふわり殿」
 エメラルドの手が無意識的にふわりの髪にかかった。そして、すぐに抱きしめるようにする。ふわりの手の指がエメラルドの秘肉を割って、中に入り込んだからだ。
「エメラルドちゃんのここ、もう濡れてるのー」
「い、いわないで……くれ……あんっ!」
 ふわりの指の動きに敏感に反応するエメラルド。信者たちが息を飲んで彼女たちを見つめている。
 好きな男性にしか見せてはいけない部分まで見られていた。恥ずかしくてたまらないのだが、返ってそれが気持ちいい。
「私のして欲しい事、全部分かるのだな……」
 凛々しい顔に淫蕩な笑みをうかべ、エメラルドは手をのばした。ふわりの小ぶりの乳房を揉む。
「やあん」
 ふわりが身をよじらせた。そしてエメラルドの乳首を甘噛みする。エメラルドは身を痙攣させると、
「ふわり殿、っ……私、変に、なってしまう……!」
「あんっ……雪ちゃんに……してあげてほしいのー」
 乳首から口をはなし、ふわりがいうと、エメラルドは雪を熱く潤んだ目で見た。雪は楚々とした様子で佇んでいる。
 エメラルドは片手で雪を抱き寄せた。実りかけた果実のような雪の乳房を揉みしだきながら、蕾のような唇にエメラルドのそれを重ねる。
 乙女のように雪は応じた。が、すぐに雪の方から舌をからめる。唾を交換し合う濃厚なキスだ。
「の、飲ませたいのだな」
 ごくりとエメラルドは混ぜ合わせた唾液を飲み干した。
「ゆ、雪ちゃんのここも……可愛がってあげるのー」
 ふわりが雪のほとんど無毛といい股間に手をのばした。尖った部分を指ではじく。
「あっ……あああっ!」
 雪の白い肉体がびくんとはねた。股間から溢れた駅がふわりの手をしとどに濡らす。
 ふわりは雪の愛液に濡れた指をちろりと舐めた。
「これが雪ちゃんの味。……とっても美味しいのー」
「い、いわないで……ああん」
 雪が身悶えた。ふわりの口が彼女の皮肉に吸い付いたからだ。
 ぴちゃぴちゃと、子猫がミルクを舐めるようないやらしい音が響いた。ふわりの舌が雪の中をかきまわしている。
 雪の手は無意識的にエメラルドの尻にのびた。薄茶色のすぼまり指をくぐらせる。
「ああん。雪殿、そ、そこは――」
 たまらずエメラルドは雪の口にキスした。彼女の口腔内を激しく舐めまわし、舌をしゃぶった。
「やろめ!」
 叫び、ビルシャナがふわりたちに襲いかかろうとした。すると、その前に一人の女が立ちはだかった。


「女性同士で悦びを求め合うことを許さないビルシャナですか。まあ、その主張は理解できなくもないですが……けれど、それは、それ。これは、これ。ビルシャナに囚われているとなれば許すわけにはいきません」
 女がいった。ピンクの髪をツインテールにした可愛らしい少女である。やや垂れ気味の瞳が彼女の愛嬌を増しているのだが――そこにやどる凄絶の光はどうしたわけだろう。
 次の瞬間、少女――ガートルード・コロネーション(コロネじゃないもん・e45615)の身が躍動した。細いが、しなやかな鋼の筋肉をもつ彼女の放つ斬撃がビルシャナの肉を裂く。
「くっ」
 激痛に呻きつつ、しかしビルシャナは炎を放った。空を灼きつつのびる火流がガートルードを灼く。
「仲間が身をもって説得しているのだ。その邪魔はさせない。――ドローン各機、座標指定完了……レーザー発射と同時にグラビティフィールド展開。リソースはドローン軌道、レーザー反射角演算に回せ」
 リティが叫んだ。
 刹那である。光が乱舞した。
 それは彼女が放った小型偵察無人機の群れが反射させたレーザーである。無数の光流が空間を縦横無尽に疾り抜けた。
「要するに暫くの間ビルシャナを抑えていて、信者達を説得する方々の邪魔をさせないように時間を稼げば良いんだな。……別に俺が倒してしまっても構わないんだろう…なんてな」
 説得している仲間を見ないようにしながら、蒼眞は抜刀した。相変わらず軽口を叩きながら。
 蒼眞の刀が閃いた。光をはねながら、正確にレーザーで灼かれたビルシャナの傷をえぐる。
「今回はサポート、頑張ってこーぜ。御褒美が欲しくなるのは分かるけどねん」
 蒼眞と違い、永代は説得役の仲間たちを眺めている。三つの裸体がいやらしく絡みついていた。
 股間が疼くが、それはそれ。どこか冷静さを残した意識で永代は闘気を身裡でたわめた。ガートルードの傷を、その練り上げた膨大な闘気をもって分子レベルで癒す。
 さらに異常に対する耐性をフレデリは与えようとした。貴族的な美貌を必死になって説得する美女たちからそらす。
「さてリア充が増えるのは業腹ではあるが同性愛者が増えればそれだけ、あぶれたストレートのイケメンや美女が選り取り見取りだぞ。それでもダメならいっそ死んだ気で、うちのしっと団に来てみない? ゲスい性根を叩き直して楽しくやろうよ~♪」
 嘲弄するように笑いかけると、フレデリは風雷剣サンティアーグ――ライトニングロッドを掲げた。その先端から迸り出る紫電が煌く雷光の壁をつくりあげる。高圧の電流にケルベロスたちの細胞が震えた。

 エメラルドがふわりを押し倒した。どうすれば良いのかわからないが、いやらしいことをして欲しがっている肉体に従ったのだ。
「ここが熱くてたまらんのだ」
 エメラルドが秘肉をふわりのそれに押し付けた。二人の秘唇がよじれ、形を変える。にちゃりといやらしい音がした。
「ああ、ふわり殿。ぬるぬるして気持ちよいぞ」
 狂ったようにエメラルドが尻をくねらせた。ふわりが応じ、足をからませる。
「ああん。あそこ、気持ちいいのー。尖ったところ、もっと擦り付けてなのー」
「ふわり様」
 禊を行う巫女のように厳粛な様子で雪がふわりの顔の横に立った。そして、妖婦のごとく大胆にふわの顔をまたぐと、尻を落とした。広がった秘肉をふわりの顔に押し付ける。
「ふわり様。口でして。お願い」
 雪は尻を前後に振った。たちまちふわりの顔が彼女の愛液で濡れる。
「はあん。雪ちゃんのあそこ、美味しいのー」
 愛液を味わってから、ふわりは舌を雪の中に差し入れた。襞を舐める。
「ああん、いいです。もっと舐めてください。もっと、そこぉ」
 乳房を自ら揉みしだきつつ、雪は絶頂をむかえた。


「おのれ」
 ビルシャナは悔しげに呻いた。三人の女たちの痴態に酔い痴れ、せっかく信者たちに施した洗脳が解けてしまっている。が、まだだ。洗脳は再び施せばいい。
「ええいっ、邪魔だ」
 ビルシャナの目が紅く光った。赤光が辺りを薙ぐ。鋼鉄すら断ち切る怪光が前衛のケルベロスを切り裂いた。
「もう、やめようよ」
 三人のケルベロスたちを眺めながら永代はいった。傷つけあうより、愛し合うことの方が気持ち良いのがどうしてわからないのだろう。 永代は小型治療無人機の群れをグラビティにより操り、仲間のそばに滞空させた。
「うるさい!」
 ビルシャナから炎が噴いた。ビルシャナの孔雀炎だ。
 するとフレデリが前に飛び出した。自ら盾となり、炎を受ける。
 灼熱の炎にフレデリの身が灼けた。本来なら半死の状態になるはずだが、ダメージは削がれている。ドローンのおかげであった。
「……信者たちはもう大丈夫だな」
 炭化した皮膚を払い落とし、フレデリはナイフを舞わせた。稲妻の形の刃が複雑にビルシャナを切り刻む。
「ぎゃあ」
 激痛にビルシャナが苦悶した。羽毛を真紅に染め、もう一度ビルシャナは光を放った。前衛のケルベロスたちの細胞そのものが滅殺される。
「やってくれるぜ」
 蒼眞は凄絶に笑った。さすがはビルシャナだ。もう一度怪光をあびたらケルベロスでもただではすまないだろう。
「……まあ、男の立場としては女同士でくっつかれるとその分あぶれる男が出る、とは言えるかな…いや、まあ百合の花が咲き乱れているのを見ているのはそれはそれで興奮するけど……いや、蛇の生殺し状態か…」
 苦笑すると、蒼眞はいった。終わらせるぜ、と。
 斬霊刀を手に、蒼眞は踏み込んだ。憐憫の情ともどもビルシャナを斬り裂く。達意の刃はビルシャナですら逃れようもなかった。
 よろめくビルシャナに、するするとガートルードは迫った。夜明けを呼ぶと名付けられた剣を振りかぶる。
 猛攻によりビルシャナを釘付けにする。その策は成功した。あとは始末をつけるだけ。
 ガートルードはサンライズブリンガーを薙ぎ下ろした。が、まだビルシャナは倒れない。のみか、その目が三度紅く光りはじめた。
「ま、まだだ。まだ――」
 ビルシャナの声が途切れた。疾る光が彼女の額を撃ち抜いたからだ。
 狙撃を終えたリティは、静かに重力鎖集束火線砲の銃口をおろした。


 夢から覚めたような顔で信者たちは去っていった。いや、正確には欲情した顔で。蒼眞が一人の女性を誘ったのはいうまでもない。
「散々我慢させられたんだしな」
 片目を瞑ってみせ、蒼眞は女性と姿を消した。
 見送る六人のケルベロスたち。動いたのは永代である。秘肉をひきつかせ、涎をたらしたまま横たわっているエメラルドのそはで片膝つく。
「どーう、エメラルドちゃん。気持ち良かった?……見られながらするのはさ」
「もっと見てくれ」
 秘肉をくぱぁと、エメラルドは指で広げてみせた。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。