凶悪なる地獄のメタファー

作者:ほむらもやし

●予知
 その公衆浴場は仕事を終えてひと風呂つかりに来た建設作業員たちで賑わっていた。
 しかし異変は突然に起こる。
 ずっぱーん、ばりばりばりばり。
 いきなりの轟音と共に天井が破れて可愛らしいドレス姿の美少女がパンツが丸見えのポーズで尻餅をつく。
 しかも出るところは出て、くびれるところは確りと引き締まった見事なスタイル、西洋の人形のように澄み切った白い肌……。敢えて言えば、胸も大きい。
「いったたたた!」
 しかし男たちは皆、隠すところも隠さないままに、悲鳴をあげて逃げ始める。
 というのも、見た目は美少女でも、体長は3メートルほどもあるエインヘリアルの女騎士だから。
 一緒に落ちて来た巨大なハルバードを見れば、危険なエインヘリアルの女騎士であることは、デウスエクスには詳しくない素人にも分かった。
「あらあらせっかく良いことして遊んであげようと思ったのに——面白くないですわね」
 脱衣所の服を握りしめて、我先にと外に逃げようとする男たちを目がけて、エインヘリアルの女は拾い上げたハルバードを投げつける。
 直後、壁も柱も扉も、まるで紙細工のように簡単に破けた。そして逃げようとしていた人たちも一緒に切断されていた。
「単刀直入にいえば、物足りません。せっかく自由になったのですから、もっと楽しみたいですわ」
 虐殺の幕が切って落とされた。

●ヘリポートにて
「……大分県別府市の公衆浴場にエインヘリアルが現れる」
 ケンジ・サルヴァトーレ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0076)は鼻づまり気味の声で、またしても罪人のエインヘリアルが使い捨ての尖兵として解き放たれたと告げた。
「現場到着から、エインヘリアルの出現までの猶予は殆ど無い。1分程度の短時間しかないから、細かいことは気にせずに行こう。入浴中の客を逃がすか、エインヘリアルの相手をして時間を稼ぐか——それとも犠牲を顧みずに戦いを仕掛けるかは、諸君らの手に委ねられている」
 もし緊急の避難と称してエインヘリアルの出現前に壁を破壊するとか、予知が大きく歪められる事態となれば、エインヘリアルはこの浴場には現れず、別府市内にある別の公衆浴場を襲撃する。
「湯船に浸かっているおっちゃんは8人、あと頭を洗っている青年が4人、湯船の脇に座ってボーッとしているおじいちゃんが1人と、脱衣所で牛乳を飲んだり、扇風機の風で脇の下を乾かしたりしている人が合計3人ほど……番頭さんや女湯まで考えると——17人以上はいると思うよ」
 エインヘリアルの見た目は美少女であるが、実年齢は不明だ。
 このエインヘリアルが、何をやらかして、罪とされたかは分からない。
 しかし言動の軽さを鑑みれば、わかりやすく楽しそうなことなら、興味を示すかも知れない。
「今回のエインヘリアルはハルバードの扱いに手慣れている。ドジそうに見えるけれど、身のこなしは軽くて、一撃も重い、かなりの強敵だからくれぐれも気をつけてね」
 なお、今回の依頼でも、民間人の死傷にかかわらず、罪人のエインヘリアルを撃破できれば成功だ。
「そろそろ時間だね——出発しよう」
 迷いの無い厳しい表情で、ケンジは言った。


参加者
月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)
バジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)
リュコス・リルネフ(銀牙迸り駆ける・e11009)
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)
アミル・ララバイ(遊蝶花・e27996)
田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514)
ミルフィーユ・タルト(甘いもの好き・e46588)
不動峰・くくる(零の極地・e58420)

■リプレイ

●いきなりのこと
「いい年をしたおっさんが細かいことを気にするなでござる!」
 レオタードのような装備を身につけた、不動峰・くくる(零の極地・e58420)がいきなり男湯に入ってくるものだから、中にいる男たちが「入る場所を間違っているぞ」と大笑いした、まさにその時、轟音と共に天井が抜けた。
 次の瞬間、男湯の床に尻餅をついた美少女の肌は雪の如くに白く、しっとりと濡れた乱れ髪が肌に張り付く様は色っぽくて、見事なプロポーションは同性であるくくるが見ても羨ましく感じそうなほどだった。
「いったたたた!」
「また女の子か。今日はいったいどうなっているんだ ——んんっ?」
 しかし、3メートル近い身長という違和感を、大柄な美少女であると納得するのは普通の感覚では難しい。
「デウスエクスの襲撃だ! 逃げろ!!」
 恐怖に駆られて、入浴中の男たちは隠すべきものも隠さずに逃げ出す。
 デウスエクスに出会ったら何はともあれ逃げる。というのは、一般人なら自然な反応だろう。
 しかし、リュコス・リルネフ(銀牙迸り駆ける・e11009)は動じることなく、厳しい表情でエインヘリアルの顔をビシッと指さした。
「お風呂場で暴れちゃいけないって知らないのかな? 服を着たまま入ろうなんて言語道断だよ!」
 怒られるとは夢にも思っていなかった、エインヘリアルは驚いているようで、目を丸くして、瞬きを繰り返している。
「慌てず落ち着いて逃げて頂戴!」
「皆さん、僕達が敵を抑えているうちに、逃げて下さい!」
 その可愛らしい挙動を好機と見た、アミル・ララバイ(遊蝶花・e27996)とバジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)は素早く避難の支援に舵を切り、あのエインヘリアルは食い止めるから、落ち着いて、あとタオルくらいは巻いて逃げましょう、と冷静に呼びかける。
 一方、女湯側も手抜かり無い、田津原・マリア(ドラゴニアンのウィッチドクター・e40514)とエメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)が対応していた。
「慌てず外に逃げてください! 逃げるのが難しい人は、うちらが手を貸します!」
 建物の構造は正面に出入り口、向かって右手側が男湯、左手側が女湯という構造で、裸であることと水気で足下が滑りやすいことさえ配慮すれば、大きな問題は起こりそうもない。
「こんな状況でも、疎かにしてはいけないものもあるだろう」
「まあなんか、皆元気そうやな。これが温泉パワーでしょうか?」
 危険な場所を早く離れる必要はあるが、安全への配慮なしに避難が行われれば、別の事故が起こる。
 事故は少しのフォローで防げる性質のものと、皆が理解していればこそ今回の避難は順調に進んだ。
「そもそも、お風呂に流れるのはお湯だけで十分。キミも随分汚れているみたいだから、キレイさっぱり消してやろう!」
「いやいや、お主、良い乳をしているではござらんか、惚れ惚れするでござる。だが拙者、体格では負けても、力では負けるつもりは無いでござるぞ! いざ力比べと行かぬでござるか?」
「待って、見た目にはだまされないわよ。実はかなり年配そうよね?」
 リュコス、くくる、ミルフィーユ・タルト(甘いもの好き・e46588)が、代わる代わる機関銃のように話しかけて来る。エインヘリアルはその勢いに圧されて答えに困り果てていた。
「脱衣所のかごは持ち出して構いませんので、落ち着いて!」
 タオル巻いて逃げるだけなら2分。脱衣所の服と荷物を持って逃げるとしても、全員が建物の外に出るまでは3分もあれば充分だった。
 果たして奇妙な状況にエインヘリアルが頭の中を整理して言葉を返そうとした頃には、避難はすっかり終わっていた。

●戦いの時
「お楽しみはここまでだ」
 月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)は身につけた攻性植物に生命を分け与え収穫形態と変える。作り出された黄金とも橙色とも見える果実から光が溢れて、刹那、男湯は幻想的な光で満ちた。
「やっぱり、そうこなくっちゃね。いいわよ、楽しみましょう」
 エインヘリアルの美少女は遂に年齢は言わないまま、成熟した体つきとは裏腹に小学生のような無邪気な笑顔を見せると、己の背丈よりも大きなハルバードを軽々と拾い上げると前に突き出すようにして構えて、迫り来るオルトロス『リキ』を牽制した。
「拙者の『轟天』、『震天』の力、とくとみるが良い!」
 くくるは心の中で渇を入れながら、朔耶の斜め前方に踏み出て、右腕の『轟天』を突き出す。唸りを上げる『轟天』の雷撃増幅機構、次の瞬間、作り出された巨大な雷の手裏剣は飛び行き、突き出されたハルバードと衝突して爆ぜ散った。硬い物のぶつかり合う様な高音が響き渡り、飛び散る火花が大量にあった風呂の湯を一瞬にして高音の水蒸気と変えた。
 ドゴォゴゴーン!!
 同時、恐るべき水蒸気爆発が起こった。公衆浴場の建物は2秒で瓦礫の山となった。
「ごほごほ、これはやりすぎてしまったというやつでござるか?」
「なんということだ。これでは男湯も女湯も区別がないではないか……!」
「くすくす。気にすることはないわよ。最終的にあなたたちはここで死ぬのですから」
 虹の軌跡を描く跳び蹴りを横に跳んで躱したエインヘリアルは、エメラルドの藍色の瞳を見据え、機嫌よさげに笑った。
「まずは、その素早い動きを封じてあげますよ!」
 間髪を入れずに響くバジルの声、続けて急降下の蹴りが衝突する。流星の如き輝きが着衣のフリルを花弁の様に散らしながら少女の動きを地に縫い付けように広がり、余勢によって飛散した瓦礫が弾丸の如くに鋭く飛び散った。
 前に立っていたリュコスは被った瓦礫を払い落とすこともせず、直感に突き動かされるように、一挙に間合いを詰める。
「遊びたいならボク達が相手だ! エインヘリアル相手なら、遠慮いらないよね!」
 リュコスの声が耳に届くと同時、稲妻を帯びた突きがスローモーションの様に迫ってくる様がエインヘリアルの両眸に映った。まともな精神であれば、少女の見た目をした相手に殺意を込めた攻撃など出来るはずがない。リュコスは己の良心に言い聞かせる様にして、莫大な威力を孕んだゲシュタルトグレイブを突き出した。
 しかしエインヘリアルは巧みに回避する。身体には傷一つつかず、まるでそれが一連の動作であるが如くにハルバードを回転させると、星座の如き星の煌めきが現れる。
「力くらべだと、言ったでござろう?」
 次の瞬間、リュコスの代わりに星座の光輝を引き受けた——くくるは自身の身体が、内から溢れ出てくる悪性腫瘍の如くに醜く歪みながら膨張して行く様に感じられた。
「なんでござるか。これは——」
「心配ありません。トラウマの一種でしょうから、すぐに収まりますよ」
 リュコスが何に苛まれているか、アミルには分からなかったが、メディックとしての役割を果たすため、様々な色のビオラを嘴に咥えた燕たちを召喚する。
「もう大丈夫です。この子たちはとってもやさしいの」
 燕たちの落とす花弁が瓦礫の野と化した戦場に舞い、消耗しきったくくるの心と身体を急速に癒やす。
『王子様は本当に幸せだったの?』
 謎の言葉を残して。
 読み手の解釈に任される寓話は数多く存在するが、少なくとも、燕は冬になる前に旅立たないと寒さに耐えられずに死んでしまうというのが、一般的な解釈だ。
 そして誰の物か分からない財貨を拾得したのなら、返還の努力をする善良な意思も必要だろう。
 流星の輝きが煌めき、マリアの蹴りが、エインヘリアルにダメージと足止めの効果を刻み込む。
 剥き出しとなった傷口から血が流れ落ちて、戦いに熱せられた地面に触れると同時に蒸発する。
「盛大に壊してしもうたなあ」
 怪我人が出なかったことが幸いと、マリアは朔耶の殺界形成の影響で人気の無くなった周囲を見渡した。
 恐らくヒールを掛ければ何とかなるだろうが、被害は甚大で公衆浴場の建物は原型が無くなるほど、通りを挟んだ建物の窓の殆どが割れている。
「っ!」
 そんなタイミングで、ミルフィーユの操る蔦が、地面から湧き上がる触手のようにエインヘリアルの足下から太もも、臀部、腰へと、絡みつき、たちまち大きな流れと化したそれは、四肢を拘束する様な動きを見せる。
「……くっ、何すんのよ。いやらしい、エッチ! ヘンタイ!!」
「さぁ、育ちなさい……地中に眠る植物よ。蔦となり相手を絡み捕りなさい!」
 ダメージよりも羞恥心の声を上げるエインヘリアル。
 敵であるケルベロスの操る蔦に拘束され乱暴に身体をまさぐられる感触をもう少し楽しみたいなどと一瞬でも考えそうになったことに感づかれない様に咆哮して力任せに蔦を引きちぎり、ミルフィーユを橙の両眸を睨み据える。
「お前だけは、絶対殺す!!」
「なんで私なのよ?!」
「問答無用よ!!」
 逆ギレの如き叫び共にハルバードを後ろに引き、爆ぜる業火の輝きの勢いを乗せて、エインヘリアルはそれを投げ放つ。二度とえむだとか変態だとか言わせない。男ばかりがいい目をみる世の中なんてぶっ壊れてしまえ。そんな感じの怒りを孕んだハルバードが唸りを上げながら、ミルフィーユの方に砲弾の如くに迫り来る。
(「流石に、これはきついかもしれないわね」)
 万一のために防具にも注意を払い、考え得る限りの対策はしてきたが、いざそれが現実となると恐ろしくなってくる。ハルバードが衝突するまでの刹那、目の前で起こっていることがスローモーションの様に見える。
 飛翔するハルバードを斜め後ろから追う様に地を蹴るエメラルドの動きは間に合いそうもない。そして横からハルバードを叩き落とそうとしたくくるの巨大な右腕がタッチの差で外れた。
 痛みが来るよりも早く衝撃が来た。苛烈な斬撃が孕む衝撃に受け止めようとした両腕の防具が千切れ飛び続けて前腕と手の付け根から先がミンチとなって消えて無くなって行く様が見えた。
 凄まじい激痛、己の血液で目の前が真っ赤に染まり、なおも近づいてくる巨大なハルバードは防具もろとも皮膚を深々と引き裂いて、肋骨の何本かを断ち切ってようやく止まった。直後、刃は外れること無くめり込んだままの小さな身体と一緒に地面に落ちた。
「ミルフィーユちゃん!」
 アミルの呼びかけに原型を留めぬ腕を掲げようとするミルフィーユ。血の塊に喉を塞がれても武器を持つ腕を粉砕されてもまだ戦える。その気持ちに応じる様に、アミルの放った燕たちは莫大な癒力を孕んだビオラの花弁の運び、ミルフィーユは腕と声を瞬く間に取り戻した。
 絶対に倒せると見込んでいた相手に必殺の一撃を凌がれたことは、エインヘリアルに大きな動揺と精神的な衝撃を与えていた。
「お主のような、エインヘリアルが好きにしていい命などひとつたりとも無いでござるよ」
「生意気だわ——?!」
 ウイングキャット『チャロ』が清らかな気配を振りまく中、くくるの攻撃を避けようとしたエインヘリアルの下腹に、回転衝角槍が突き刺さる。
「なっ?!」
 瞬間刃から迸る稲妻の輝きが激痛を伴う奔流となって体内を駆け巡り、エインヘリアルの意識は飛びかける。

●終わりの始まり
「解放…ポテさん、お願いしますっ!」
 愛用の魔法の杖を梟の姿に戻し、朔耶は魔力を込めてそれを撃ち放つ。魔力を孕んだ梟に苛まれながら、エインヘリアルの少女は高熱に浮かされた様にふらふらと歩む。
 刀を咥え直したオルトロスの一閃が深々とエインヘリアルの脇腹に突き刺さる。蹴り進んで後ろまで抜けると、裂けた傷口から中に収まっているべき物が顔を覗かせる。
 堪らずにエインヘリアルは自らを癒やすが、傷が癒えきれぬうちにバジルが追い打ちを掛ける。
「ジグザグの刃です! この傷は、治しづらいと思いますよー」
 流れる様な動きで、バジルは同じ場所にギザギザの刃を走らせる。再び傷口が開く。
 エインヘリアルは悔しそうに眉を顰めたまま、左手で腹の傷を押さえながら、右手だけでハルバードを前に構えた。
「その自慢のハルバードごと叩き斬ってやる!」
 高速演算で見いだした構造的弱点を目がけて、リュコスは凝縮した一撃を突き出す。
 もはや勝利は時間の問題。リュコスの満身の一撃が己の身丈よりも大きなハルバードと激突して火花を散らす。甲高い男が響き渡り、あと少しで砕けると信じて力を出し尽くすが、砕けることは無かった。
「まだ足りないのかなあ……」
 それならばとアミルは身体を覆うオウガメタルに生命を送りオウガ粒子の発散を促す。夏に舞う蛍の群れの如くに銀色の輝きが舞い、仲間たちの超感覚を呼び起こす。
「このままで済むと思うな……!」
 一般人の避難は完璧にこなしたが、仲間を護るという意味でエメラルドには忸怩たる思いを抱いていた。
 ならばせめて敵を斃すことで貢献しよう、直後エメラルドは死線を越えて必中の間合いに踏み込むと、冥府深層の冷気を手刀に込める。
 次の瞬間、エインヘリアルが攻撃をハルバードで遮るよりも早く、手刀はエインヘリアルに刺突する。直後、莫大な冷気をまともに受けたエインヘリアルはハルバードを地に突き立て——そのまま動かなくなる。
 弛緩した左手がだらりと垂れ下がり、露わになった傷口から押さえていた物が零れ落ちた。
 それを見て、次の一撃を繰り出そうとしていた、マリアが手を止める。
「このエインヘリアル、もう死んでるで!」
 真っ赤な臓物を露わにしたエインヘリアルは崩れる様にして自ら流した血溜まりに倒れ伏して、間も無く、数え切れない程の光の粒と化して舞い上がり、夜空に消えた。

●戦い終わって
 通りには人の気配は無く、戦場となった公衆浴場は爆撃の後に様に灰燼に帰していた。
「こんなにしてほんますみません」
「そうだよ。頑張ろうね、ヒールするまでがケルベロスの仕事だよ」
 やがて戻ってくると思われる、別府市民を悲しませないために、マリアもミルフィーユも大急ぎでヒールを発動する。幸いマリアが建物の内部構造をよく覚えていたため、内部は壊れる前とほぼ変わらずに元に戻ったが、外観の方にはケルベロスたちの幻想が混じり込んでいて、例えば油屋熊八の銅像が燕に導かれる王子のようになっていたりと、不思議な感じになっている。
「あれが予期できぬ爆発ゆえ、仕方が無かったでござるよ」
「大丈夫だよ! ちゃんと元通りに直ってるし、そうだ、せっかくだから皆でお風呂に入ってゆこう!」
「そうでござるな、仕事上がりの風呂はたまらんでござるからな」
 バジルが戦闘終了の連絡をして人々が戻ってくるまでの時間、ケルベロスたちは別府での夜をどのように過ごすかの話題に花を咲かせる。
 空を見上げれば、真っ暗な空に垂れ込めた雲が街の光に照らされて、その凹凸を露わにしている。
 冷たい風が吹き抜ける中、街の明かりはどこまでも温かそうに見えた。

作者:ほむらもやし 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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