チヒロの誕生日ー温泉宿で猫さんともふもふー

作者:雪見進

 ここはさむーい雪がとっても多い日本海側のとある県です。そこで運営している温泉宿。そこはちょっと特徴的なお宿なのです。
「今年は雪が多いね〜」
「それはいいんだけど、客足が遠のいてね〜」
 今年は例年より雪がとってお多くて、反対にお客さんが少ない様子。
「じゃあ、大人数の予約いいですか?」
 そんなお宿なので、ちょっぴりわがままなお願いをするチヒロさん。今年の誕生日は、この温泉旅館で行うことになったのでした。
「みゃ〜」
 そんな温泉旅館なのですが、ちょっと特徴的なのが、旅館の中で猫さんたちがと〜っても自由にのんびりしているところなのです。
「あらあら」
 足元でチヒロさんの足にすりすり『遊んで〜』のおねだり。
「にゃん!」
 チヒロさんは優しく抱っこして、猫さんがい〜っぱい遊べるロビーへお散歩です。
「にゃー!」
「みゅ?」
「みゃみゃ!」
 そんな猫さん抱っこなチヒロさんの後を追いかける猫さんたち。どうやら、お客さんが来なくて困っているのは温泉宿の皆さんだけじゃないみたいです。
 普段なら、従業員の皆さんがお相手してあげるのですが、閑古鳥さんと一緒に来てしまった冬将軍さんのお相手も大変な様子。
「今年の雪かきが大変でさぁ」
 そんな大変そうな事を笑顔で言う従業員さんに、何かお手伝いがしたいと考えちゃうチヒロさんなのでした。

「と、言う訳で今年は温泉宿でお誕生日会をやります!」
 とっても頑張って作ったように見える、温泉宿の地図を背中にチヒロさんが説明をしています。そんな頑張り地図はチヒロさんが作ったものではないようですが……。
「猫さんいっぱいの温泉宿を貸し切りました!」
 楽しそうに言うけど、実は予約が無くて困っているのは温泉旅館の皆さん。なので、貸切予約はとても助かった様子です。
「お宿の中では、猫さんたちが自由に遊んでいます!」
 この温泉宿の子は、いわゆる保護猫さん。このまま、温泉の看板猫としてのお仕事もありますけど、希望があればお引越しも出来ますので、ご相談してくださいね。
「そんな自由な猫さんたちは遊んでくれる人を大募集中です!」
 閑古鳥さんのお相手はしなくても大丈夫なのですけど、冬将軍のお出迎えで大忙しな従業員さん。なので、猫さんたちは遊んでくれる人が少なくて寂しそうなのです。
「それと、温泉もあります!」
 温泉宿なので、しっかりと温泉があります。ですが、猫さんたちが自由にしている事もあって、浴場は何種類かあります。一つは源泉掛け流しの温泉。腰痛に効果があるとか。そして、一番の特徴なのが猫さんと一緒に入れる特別大浴場。お湯は温泉じゃないのですけど、猫さんが入っても大丈夫なのように排水溝を特別にしたお風呂(というか、温水プールに近い施設)。こちらは混浴なので、入る場合は専用の浴用着か水着となります。ちなみにチヒロさんはこちらの猫さん浴場に水着で入る予定となっています。
「とにかく、参加者大募集ですので、よろしくお願いします!」
 とっても元気なチヒロさんのお誕生日会へのお誘いなのでした!


■リプレイ


 ここは猫さんと一緒に入れるお風呂があるお宿。そこでチヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)さんのお誕生日会が開かれます。
 中に入ると、そこには猫さんたちがお出迎え。
「みゃん!」
「みぃ〜」
「ふにゃ?」
 猫さんたちは、皆さんの来訪に元気にしっぽぱたぱたと寄ってきます。
「にゃんこだらけのお宿なんて、ここは天国かな!!」
「本当ににゃんこだらけだな……」
 早速『遊んで〜』って来た子を抱っこする小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)さんと、足元で『お客さんにゃ!』『遊んでくれる人にゃ!』って雰囲気にびっくりする泉賀・壬蔭(紅蓮の炎を纏いし者・e00386)さん。
「しかも、いっしょに入れるお風呂もあるなんて」
 嬉しそうにぱたぱたと猫さんと一緒に入れるお風呂に向かう涼香さんと壬蔭さん。
 他にも、お風呂に向かう人、一度荷物を置きに行く人、皆さん早速自由行動です。

 もちろん、お風呂だけじゃなくのんびり出来るお部屋もあります。そこには……猫さんの山がありました。
「いらっ〜しゃ〜い〜」
 そんな猫さん山から、なんとも緩んだ声が聴こえてきます。
「みゃ!」
 皆さんの来訪に嬉しそうに、猫さん山から下山した三毛猫さん。上野・零(焼却・e05125)さんの足元にとてとてっと走って、足に鼻をつんつんしてご挨拶。
「……チヒロさん?」
 三毛猫さんが下山して、猫さん山から顔を見せたのはチヒロさん。どうやら、猫さんたちのお布団にされてしまっていたようです。
「えへへ〜」
 そんなお布団チヒロさん、まんざらでも……いえ、とっても幸せそうな笑顔を見せてくれるのでした。
「……というわけで、今年もハッピーバースデーチヒロさん」
 プレゼントと一緒にお祝いの言葉を送る零さん。
「チヒロ、お誕生日おめでとう!」
「チヒロお誕生日おめでとう!」
「今年も可愛いにゃんこと一緒に遊べるお誘いありがとう」
 一緒にルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)さん、カレン・シャルラッハロート(シュトゥルムフロイライン・e44350)さん、ユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)さんも続いて並んでお祝いの言葉。
「ありがと〜」
 カレンさんたち三姉妹に猫さんのお布団から助け出されたチヒロさん、起き上がってプレゼントを受け取ります。
「まあ、嬉しいです」
 チヒロさん大喜びなのは、やっぱり毛糸のプレゼント。編み物が好きな人にとって、毛糸はとっても嬉しいプレゼント。
「猫たちと遊んだり、一緒にお風呂に入れると聞いて、やってきたわ」
「はい、楽しんで下さいね」
 皆さん、お風呂に行く様子なのでチヒロさんもご一緒するのでした。


 さて、猫さんと一緒に入れる共同浴場では、壬蔭さんと涼香さんが準備万端!
「涼香さん、水着の準備もバッチリだね」
「うん! 準備ばっちり!」
 共同浴場では、混浴なので水着か入浴着の着用が必要なのです!
「ほらほら、ねーさんもおいでおいで?」
 一緒に来ているウイングキャットのねーさん。最初は珍しい光景にちょっとキョロキョロですけど、涼香さんが楽しそうにしているので、興味津々です。
「温かいよー??」
 それから、そっと前足でお湯にちょっと付けると、すぐに慣れた様子。涼香さんと一緒に首までつかって、ほっこりポカポカです。
「ふぅ、温かいね」
 二人と一匹で首までつかって、とっても幸せそうです。そんなお隣でも、猫さんが目を細めて、凄く気持ち良さそうにしています。

「猫と一緒のお風呂は初めてですね!」
 とても楽しそうな様子のエルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)さん。そんなエルスさんを眩しそうに見つめるのは巽・清士朗(町長・e22683)さん。
「年越し前から、ちと恨を詰めていたからな」
 ちょっとお疲れな雰囲気の清士朗さんの手を優しく握るエルスさん。
「ああ、今日は息を抜くとしよう」
 エルスさんに握られた手を優しく握り返し、伝わる温もりに込められた想いを返す清士朗さんでした……。
「おっと、入る前に、髪を結ってやろう。濡らすと大変だろう」
「濡れたら干しのは大変ですねー」
 そんな清士朗さんの気遣いに、嬉しくなった気持ちを、こっそり隠すように、背中を向けてちょこんと座るエルスさん。そっと優しく髪の毛を結ってあげます。
「なんなら、あとで髪は別に洗ってあげよう」
「お願いしますね」
 そんな二人だけの優しい時間……ですけど、猫さんはおかまいなし。
「みゃみゃんっ!」
 お風呂の中でも元気に『遊んで〜』と元気いっぱい。
「猫って、こんなに痩せているの!?」
 お湯で濡れて、ふかふかな毛がしんなり。すると、猫さんはびっくりするほど痩せて見えてしまいます。
「……うむ、本当だ」
 ちょっと、言葉が出ない清士朗さん。そんな表情を見て、嬉しそうなエルスさん。
「もこもこのほうがかわいいね……」
 そんなエルスさんに清士朗さんが優しく触れ、耳元で囁きました。
「まあ、もちろんエルスは濡れていようが、濡れてなかろうが、かわいいがな?」
 そのまま、ほっぺに『ちゅっ』。
「今日はゆっくり休めましたか?」
「ああ。今日俺に気遣い、誘ってくれて有難う」
 エルスさんの優しい気遣いに、そっと返す清士朗さん。お礼のお返事は、ほっぺに『ちゅっ』のお返し。そんな二人を温泉の湯気が優しく包むのでした……。

 お風呂でのんびりな シャルラッハロート三姉妹の皆さん。
「……」
 お互いに様々、とっても複雑な想いで、お互いのスタイルを比べる皆さん。とっても、素敵なのですけどそこは皆さん複雑な想いがある様子。
「チヒロもスタイル良いよね」
「そうなんですか?」
 ユーロさんの言葉に、小首をかしげるチヒロさん。自分のスタイルとか、まったく無頓着な様子。そんなチヒロさんの無頓着っぷりに、意地張っていた皆さんも笑顔で笑って、猫さんと一緒に温泉でまったり。
「ここの猫って、濡れるの平気なのかな?」
「そうですね~ 猫さんの中でもお風呂が好きな子もいますからね~」
 カレンさんの言葉に猫さんを撫でながら答えます。全部の猫が濡れるの平気って訳じゃないですけどね。
「なぁ~ん」
 三姉妹の間に猫さんを挟みながら、仲良く戯れるルリィさんなのでした。

「猫さんと一緒に入れる大浴場かぁ、珍しいね!」
「ねこって、水が嫌いなイメージがあったんだけど……」
「にゅ〜」
 ヴィ・セルリアンブルー(青嵐の甲冑騎士・e02187)さんと香坂・雪斗(スノードロップ・e04791)さんは、早速大浴場へ。そこでも猫さんたちがお出迎え。
「結構だいじょうぶなもんなんだね」
「みゃ!」
 ずっとお風呂に入っている猫さんは少ないですけど、温泉のぽかぽかなぬくぬくな雰囲気が好きな子は多い様子。
「はぁー、やっぱり冬は温泉に限るなぁ……」
「うん、あったかいねぇ」
 ヴィさんと雪斗さんが、ゆっくりとお湯に浸かると、指先からじんわりと温まっていく身体。冷えた身体も、すぐにほかほかになります。
「にゅにゅ?」
 そんな温泉でぬくぬくまったりなお二人を、白猫さんと黒猫さんが遊んで欲しそうに、見つめています。
「うちのねこも、たまに風呂まで見にくる事あるよ」
「ふふ、観察しに来るの可愛いなぁ」
 お風呂が嫌いな猫さんでも、ご主人様がお風呂に入っていると『いれていれて〜』ってする子がいますよね。
「おいでおいでー?」
「一緒に入るかい?」
 二人に興味津々な猫さん、お二人に呼ばれて、嬉しそうにジャンプ。お二人の腕の中へ。
「どんな反応するかな……?」
 猫さんを抱っこしながら、持ってきたアヒルのおもちゃを鳴らして、遊んであげると猫さんぱんちでアヒルさんをぷにぷに。
「……ねこと仲良しになるの上手だよね」
 ヴィさんは雪斗さんが猫さんと遊ぶ様子を微笑ましく見つめているのでした。


 さて、温泉からちょっと離れて、こちらはキッチン。愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)さんがケーキ作りに挑戦中です。
「チョコレートケーキにしましょう♪」
 一生懸命な手作りケーキにミライさんの歌声をトッピング。
「みゃんっ♪」
 ケーキにつられちゃったのか、それとも歌声にお呼ばれしちゃったのか、キッチンの出入り口からは猫さんたちの合唱も響いています。
「……これはダメなのです〜♪」
 チョコは猫さんにはダメなので、注意しながらのミライさん。でも、時々振り返ってしまうのは心配もありますけど、『遊んでにゃ〜』の誘惑も大きそうですね。
「私も厨房をお借りるわね♪」
 ミライさんの歌声に乗って、一緒に楽しそうにザッハトルテを作るユーロさん。こちらもチヒロさんへのプレゼントの様子。
「ルリ姉様が食べたがってたよね☆」
 一緒にお姉さんの分まで作る優しい妹ユーロさんなのでした。


「ねこねこ☆ ぱらだいすっ!」
 共同浴場に入った瞬間から笑顔爆発なのはリュシエンヌ・ウルヴェーラ(オラトリオのウィッチドクター・e61400)さん。その繋いだ手の先は、大切な旦那様のウリル・ウルヴェーラ(ドラゴニアンのブラックウィザード・e61399)さん。
「こ、これは……確かにパラダイスだな」
 握った手を離さないようにと、手を引かれながらも、転ばないように追いかけるウリルさん。
「うりるさん、ムスターシュも早く早く♪」
 猫さんたちがのんびりゆったりしている共同浴場ではしゃぐリュシエンヌさん。そんな元気な来客にも慣れた様子の猫さん。ぽかぽか温泉の湯気で幸せそうにおおあくび。
「うりるさん、どの猫さんが好き?」
「そうだね……この茶トラも可愛いと思う」
 風呂桶の中で、幸せそうにおねむな茶トラ猫さんを優しく撫でるウリルさん。ふわふわな茶トラさんですが、されるがまま幸せそうに夢見心地。
「ほら、こうやって撫でても眠ったまま全然起きない所とか、ルルにそっくりだと思わないか?」
 あらあら、リュシエンヌさんもなでなでされても起きないのでしょうか。
「じゃあ、茶トラさん抱っこするから、ルルはうりるさんに抱っこしてもらうの」
 眠っている茶トラさんを優しく抱っこするリュシエンヌさん。そんな彼女の腕の中でも、やっぱり夢見心地な茶トラさん。そのままウリルさんのお膝へ……。
「……結局、猫を抱いているのはルルで、俺が抱いているのはルルになる訳だな」
 素敵な腕の中で茶トラさんがもふもふ。背中はウリルさんの安心する背中。
「ふふふっ」
 とっても幸せそうな笑顔のリュシエンヌさんとウリルさん。
 そんな二人を、タライにすっぽりのムスターシュさんが、のんびりと眺めているのでした。


「ふひー」
「……ちょいちょいっとね」
 本当は慰安の温泉なのですが、困っている人を見て、ほっとけないのはケルベロスの皆さんのいいところですね。
「本当、ありがとうございます」
 今年は本当に冬将軍が大活躍のようで、本当に雪かきが大変のようです。大変すぎて涙目になっている従業員さんと一緒に、一式・要(狂咬突破・e01362)さんやミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)さんたちが雪かきのお手伝い。
「雪だから軽いと思ってたけど、意外と重労働だね?」
「そうでござるな」
「新潟県民の雪かき力でこう……」
 たくみなスコップさばきを見せる要さん。
「コレ、終えたらかまくらでも作ってみます?」
「それもいいね」
 従業員さん、お手伝いさん、一緒になってわいわいと雪かきをする皆さんでした。

「お風呂大丈夫なねこかー。泳いだりもできるのかな?」
「『好きよ好きよも個性のうち』ってやつやなぁ」
 水着に着替えた御神・白陽(死ヲ語ル月・e00327)さんと猫夜敷・千舞輝(地球人のウェアライダー・e25868)さん。お風呂でのんびりしている猫さんを見て、早速抱っこ。
「オンザ猫や!」
 そんな猫さんを頭に乗せて、早速湯船へ。
「いーい湯だな〜」
「泳いだりもできるのかな?」
 広〜い浴槽でのんびりな白陽さん。そんな隣でぬくぬくな千舞輝さん。頭の猫さんも慣れた様子で、千舞輝さんの頭でのんびりゆったり。
「うりっ〜」
 そんなオンザ猫さんな千舞輝さんに、ちょっかいを出す白陽さん。
「やったな〜!」
 それにお返しする千舞輝さん。それでも猫さんを落とさないのはさすが?
「みゃ!」
 楽しそうにわちゃわちゃする白陽さんと千舞輝さんに混じりたい様子の頭の猫さん。勢いよく白陽さんにじゃんぷ! その頭にオン……しようとして大失敗!
「みゃ……」
 あっという間に、ずぶ濡れになってしまいました。まあ、もともと濡れてましたけどね。
「これは?」
「洗う?」
 お二人が見つけたのは、猫さんの首輪に付いていた札。そこには『洗って欲しいにゃ』という文字。どうやら洗っていい子には、この札が付いているのだとか。
「洗うか!」
「そうやね。せっかくやし!」
 猫さん用のシャンプーで二人で猫さんをわしゃわしゃシャワシャワ。あっという間に猫さんは泡だらけ。
「鼻に泡、ついとるや」
「千舞輝もな」
 お二人も色々な所が泡だらけ。そんな二人はとっても楽しい笑顔。最後に、猫さんを乾かせて……猫さんはぴっかぴかのふっわふわで、ご機嫌な様子なのでした。

 そんな感じで、共同浴場を堪能していた壬蔭さんと涼香さん。
「……あれ? はしゃぎ過ぎて、ちょっと顔が熱くなってきちゃった……かな??」
「大丈夫?」
 ちょっとお風呂でのんびりしすぎてしまった涼香さん。少し顔が赤いですね。
「お水持って来たよ」
 少しのぼせてしまった涼香さんに壬蔭さんは、優しくお水を飲ませてあげます。
「お水有難う……って……」
 そっと、水を飲ませてから、壬蔭さんは涼香さんを楽な姿勢に。
「楽しいと、時間が過ぎるのが早いから仕方ないか……」
 優しく頭を撫でる壬蔭さん。そんな涼香さんの頭は、優しい壬蔭さんのお膝の上。
「コレ、頭が冷える気がしない……」
 さっきまで、お風呂のぬくもりでのぼせた鈴鹿さんですが、今は優しい微笑みにのぼせてしまっているようですね……。

 外の雪かきもひと段落した模様。
「ちょっと茶でも飲んで休むでござる」
 お手伝いさんが用意してくれたのは、少し濃いめのあったかい緑茶と、食べやすい一口サイズの和菓子。
「お茶と和菓子でお話するのもいいわね」
「そうだねぇ、……っと張り切り過ぎた」
 皆さんのお手伝いのおかげでかなり雪かきがはかどった様子です。お手伝いさんも皆さんに嬉しそうな笑顔を見せてくれます。
「お疲れ様ね、差し入れよ」
 そんな頑張った皆さんにカレンさんたち三姉妹からのホットチョコレートの差し入れ。
「これはあったまるでござる」
「美味しいです」
 皆さんの優しい気遣いで、心も身体もポカポカです。
「みゃ〜」
 そんな話をしていると、さっき作ったかまくらに、ちゃっかりと猫さんが丸まっていました。


「あーん」
「……んっ 美味しい」
 ユーロさんの『あーん』を恥ずかしそうに食べるルリィさん。それを微笑ましく見守るカレンさん。お互いにケーキを食べさせっこ、楽しそうです。
 プレゼントのケーキが色々と並んでいます。カレンさん自家製のホットチョコレートと果物のグラッセも、ユーロさんの手作りザッハトルテも、みんなが笑顔になる美味しさ。
「ささ、溶ける前に、早速」
「まあ、ミライさんの手作りですか!」
 手作りケーキに、溶けそうなのはケーキよりもチヒロさんの笑顔。
「いえ、溶けてもいいのですが!」
 そんな笑顔を見て、ミライさんも思わず口から想いがあふれてしまいます。
「はい、美味しいです」
 溶けそうなのは、ケーキよりもほっぺたでしょうか? 素敵な手作りケーキに笑顔あふれるチヒロさん。
「この一年、大変なことばっかりでしたが……」
 時が流れるもは早いもの。チヒロさんがヘリオライダーになってから、三年目です。少しノスタルジーな雰囲気になりそうなチヒロさんとミライさん。
「にゃーん!」
 そんなの猫さんには御構い無しなのです。二人の間に、飛び込んでくる白ねこさんとぶちねこさん。
「こんなの似合いませんね、にゃーん♪」
 そんな猫さんを優しく抱き上げながら、笑顔を見せるミライさん。
 そんな空気を和ませるように、のんびりなのは要さん。
「みかんとってー」
「……はい、みかんだよ」
 雪かきで大活躍だった要さん。今はこたつでのんびり。零さんにみかんをとってもらいまったりモード。
「ふふふ……」
 そんな皆さんの、のんびりした姿に微笑むチヒロさん。その髪は零さんからもらったピンク色のシュシュでまとめられ、ルリィさんから貰った毛糸で早速何か編んでいます。編んでいるのは、どうやら要さんから貰ったキャンディーボトルのケースみたいです。
「……」
 そんな光景を見ながら、何かを思い出した様子の零さん。今日は帽子に浴衣なスタイルでのんびりゆったりな様子。
(「……やっぱり似合ってますね……!」)
 それに、とても似合っている自分のプレゼントに優しい雰囲気の零さん。

 そんな賑やかな雰囲気の中で、気付くとチヒロさんの手が止まって、静かに寝息を立てていました。
「……みゃ」
 そんなチヒロさんの側に、そっと身体を横たえる猫さん。
 今日一日、とっても楽しかったから、とても幸せそうな寝顔を見せてくれたチヒロさんなのでした。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月8日
難度:易しい
参加:17人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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