輝雪

作者:東間

●ゲレンデに牙が降る
 雲1つ無い空。燦々と降り注ぐ陽光。純白のゲレンデ。
 今しかないまっさらな輝きは人々を惹き付け、朝7時を過ぎたばかりにも関わらず賑わっていた。
 スキー靴やスノーボードブーツに各々の物をセットした青年達も、その一部。
 彼らは、若いからこそ有り余るパワーを『遊び』という形にすべく、リフト乗り場の列に向かいながら今日の『遊び』について真剣に話し合っていた。
「思いついた。いっぺん滑ったら次はハンサムカップしようぜハンサムカップ。いっちばんハンサムにゴールした奴が優勝っていうやつ」
「一番ハンサムにゴールって何。じゃ、チャンピオンにはみんなで昼飯奢るって事で」
「アツシ乗り気じゃんウケる。俺カツ丼!」
「俺はきつねうどんだな。つかさぁ、どいつが一番ハンサムにゴールしたかっての誰が判定すんの? ハンサムゴールかどうかは何基準なの?」
「審判はジャンケンで決めんだよ。大いなる力には大いなる責任が伴いますからね、お前ら真剣にジャンケンしてね」
「その台詞言いたいだけだな? あと俺は味噌ラーメン希望」
「誰しもねえ! 一度は言ってみたい台詞ってのがあるんですよお! みんなもあるでしょお!? 穏やかじゃないわねとか!!」
 楽しげに小突き合う彼らの笑顔は、冬の寒さにも、陽射しを受けて輝くゲレンデにも負けず明るい。その明るさが、突如現れた牙達によって凍り付く。
「嘆ケ、喚ケ、絶望シ拒絶シロ!」
「貴様等ノ命ハドラゴン様ノ為ニ在ルノダ! グァハハハ!」
「憎メ憎メ! 我ラヲ心ノ底カラ憎ムガイイ!!」
 輝くほどの純白に散っていく真新しい赤色の染み。
 それは時間が経つにつれ、悲鳴と共にどんどん広がっていった。

●輝雪
 ゲレンデを訪れた人々が犠牲になるという報せに、ココ・チロル(箒星・e41772)は両手を震わせた。
「そんなの、絶対、絶対に、駄目です……!」
 想いと呼応するようにライドキャリバー・バレが音を響かせる。ココは相棒をそっと撫でた後、報せを持ってきたラシード・ファルカ(赫月のヘリオライダー・en0118)を見上げた。
「まだ、間に合いますか?」
「ああ。君が気に掛けてくれたから、未来を覆すチャンスが出来た」
 人々を案じる視線に笑みを返したラシード曰く、竜牙兵が現れるのはリフト乗り場の手前、開けたスペースだという。そこから数メートル先にはリフト利用客の列が出来ているが、事前避難の類を行えば竜牙兵は他の場所に出現し、被害が大きくなる。
「まずはヘリオンから降下。着地したら即、敵に仕掛けてほしい。避難誘導は現地警察に頼んであるから、戦闘に集中して大丈夫だよ」
 竜牙兵は3体全てが前衛かつクラッシャー。
 ゾディアックソードが1体、大鎌が2体となっており、3体全てがやる気に充ち満ちている。ケルベロスが現れたなら決して撤退せず、最後の最期まで戦おうとするだろう。
「現場はリフト乗り場の近くって事もあってかなり広いね。レストランとは距離があるし、思い切り戦える筈さ」
 そして全ての竜牙兵を倒し、ゲレンデに平和を取り戻したら、真っ白なゲレンデで暫し冬のレジャーを楽しむといい。にこり笑ったラシードの言葉に、ココの目がまん丸になる。
「冬の、レジャー……ですか?」
「そう。必要な物はスキー場のすぐ隣でレンタル出来るから、スキー板やスノボを持って無くても楽しめると思うよ」
 レンタル出来る物はスキーウェアやブーツ、スキー板にスノーボード等々。
 そりもあるが、そりの利用は専用エリアでのみとなっている。
「ちなみに雪質だけど、それはそれは見事なパウダースノーらしいんだ」
 水分が少なく、さらさらとした粉状の雪に覆われたゲレンデを滑れば、真っ白な粒が軽やかに舞うだろう。
 そのパウダースノーを楽しみにしている人も多いという話を聞き、ココは手をきゅっと握り締めると、集まった仲間達を見た。
「スキー場に来た人達も、ゲレンデも……必ず、守りましょう」
 真っ白な世界を血で染める。そんな凶行は、見過ごせない。


参加者
イェロ・カナン(赫・e00116)
ゼレフ・スティガル(雲・e00179)
ルーチェ・ベルカント(深潭・e00804)
ジゼル・クラウン(ルチルクォーツ・e01651)
ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810)
クララ・リンドヴァル(本の魔女・e18856)
幸・公明(廃鐵・e20260)
ココ・チロル(箒星・e41772)

■リプレイ

●輝雪に立つ
 ゲレンデに牙が突き刺さった衝撃で、白雪が壁のように舞い上がった。
 さらさらとしたパウダースノーの向こうに3つの異形が姿を見せれば、人々の間に悲鳴が波のように広がって──そこへ上空から降ってきた別の影『達』が雪の飛沫を巻き起こす。
「ハンサムカップ会場はこちらですか!! 良かった、まだ始まってませんね」
「ナッ……!?」
 ミミック・ハコを抱えた幸・公明(廃鐵・e20260)の第一声に、ふ、と零れた笑い声。ゼレフ・スティガル(雲・e00179)は『随』に手を掛け、1歩踏み出した。
「こんな好い日に、なんとも無粋なことで。でもまあ――準備運動だって大事だしね」
「それじゃあ、楽しい準備運動と行くか」
 イェロ・カナン(赫・e00116)は手から黒鎖をじゃらりと流しながら、銀の瞳と笑い合う。クララ・リンドヴァル(本の魔女・e18856)も、押さえていた帽子のつばから手を離し、一礼した。
「血染めの雪なんて、心底御免ですよね……ここで止めさせて貰うとしましょう。”不変”のリンドヴァル、参ります……」
「ケル──ベロス!」
「殺セェ! 奴等ヲドラゴン様ニ捧ゲルノダ!」
「オオォ!!」
 驚き、安堵、硬直。様々な反応をしていた人々が竜牙兵達の勢いに悲鳴を上げるが、駆け付けた警察官達の避難誘導を受け、一斉にそちらへ向かっていく。
 間に合って、よかった。人々の声を、音を背に、ココ・チロル(箒星・e41772)はライドキャリバー・バレを隣に敵の殺気を真っ向から受け止める。
「必ず、必ず、助けましょう……!」
「ああ。必ずだ」
 静かな胡桃色の瞳と声。ジゼル・クラウン(ルチルクォーツ・e01651)の紡いだ旧き精霊魔法は共に前へ出た仲間達を広く護り、イェロの黒鎖が一瞬で守護を重ねていく。
「あまり雪を汚さないでやってくれよ」
 白縹のブレスを追うように一瞬で迫ったゼレフの瞳、そこに映る竜牙兵の手には星辰の剣。真っ直ぐな太刀筋が攻め込んだ瞬間、藤色の双眸が寄り添う。
 突き立てた刃から螺旋の炎が溢れ竜牙兵の悲鳴が呑まれた刹那、クララから一斉に奔った無数の黒鎖が波のように3体を絡め取り、その頭上へザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810)の放った巨大光弾が着弾する。
「グウゥッ!」
「何ひとつとして壊させやしないっすよ!」
「ハッ……! ソレハ、ドウダロウナァ!」
「マズハ貴様等カラダ!」
 剣の切っ先が雪に触れた瞬間に守護星座が輝き、空を裂く大鎌が前に立つケルベロス目がけ飛来する。刃は間違いなく竜牙兵にとっての敵を切り裂いた。しかし雪に血の雫を落としたのは、相棒と共に迷わず飛び込んだココの肌。
「チロルさん!」
「大丈夫、です、公明さん! しっかり、みなさんを守り、ます!」
 バレ、と呼べば響くエンジン音。炎纏ったバレの突撃は竜牙兵を吹き飛ばし、そこをココは獣化した拳による一撃で繋ぐ。
 直後、一瞬だけ姿を見せた大小無数のエネルギーシールド群。公明の生んだ護りを飛び越えたハコが剣持つ竜牙兵の腕に牙を立て、その瞬間、反対側の雪が勢いよく巻き上げられ、はためくように散った。
「本当、よく働いて健気だねぇ、竜牙兵って。ただ……」
 あまり煩いと、殺して黙らせたくなるのだよね。ルーチェ・ベルカント(深潭・e00804)は微笑む。だが、その奥底は氷のように冷たくて。
「さぁ、楽しく殺り合おう」
 Siete pronti──?
 挨拶にと送った蹴撃は命削る流星になり、竜牙兵が吼える。それを見るジゼルの表情はぴくりとも動かない。『丘の防人』から借りた力が後衛を護ってすぐ、クララはゲレンデを蹴って跳んだ。
「まるでレミング死の行進ですね」
 あちらは近年それが誤解であり、集団移動のさなかの事故と判明しているようだが、目の前にいる竜牙兵達はどうか。その解はいずれ判るのだろう。
 見舞われた星の襲撃に、星辰の剣握り締めた竜牙兵が唸り声を上げた。獣のようなそれは激しく──。
「熱くなりすぎちゃ、折角の雪が台無しだ」
 体中に満ちる重力鎖を『随』に乗せたゼレフの一撃が、ぶつりと斬り取った。

●輝雪の向こうへ
 どう、と倒れた竜牙兵の体が砂になり、ざらざら崩れて消えた跡からケルベロスへ。2体の視線が完全に移動するより速く、雪のように淡い色をした髪が翻った。紅い瞳が2体を見て、笑う。
「どちらも同程度かな。ねぇ、スティガルさん?」
「そうだね。どちらでも問題無さそうだよ」
 返事と反応、どちらが速かったか竜牙兵には判らなかったろう。理解出来た事は1つ。気付いた時には、ルーチェが指1本だけを使った突きで己の気脈を断ちに来た事だけ。
「ッガ、ハ、ァ……!?」
「チィッ!」
 苦しげに呻いた個体とは別の竜牙兵が、舌打ちと同時に駆けた。ぐるり旋回した刃に『虚』が宿る。太陽の光が真っ白に反射する。その色が映り込んだ橙の瞳──その前へ、凄まじいエンジン音と共にバレが割り込み、砕け散った護りの粒子が僅かに煌めいた。
 波飛沫のように舞った雪が竜牙兵に掛かる。それにダメージは無いが、邪魔されたという事実は確かに刻まれたらしい。
「クソッ、忌々シイ!! オイ!!」
「グ、ウ……オオォォ!!」
 苛立ちを吐きながら雪を払った竜牙兵の横を、ついさっき強烈な突き攻撃を受けた竜牙兵が駆け抜けた。刃にずるりと宿った力が何か、瞳に映していたココはよく解る。
「バレ、バレ、ありがとう……!」
 応えるエンジン音を聞きながら今度は自分の番と我が身を盾に。
 更なる一撃をと重く訴える大鎌を『地果斧』で弾いて即、真っ青な冬の空へ跳んだ。一気に落ちれば冬特有の冷気が全身を激しく過ぎるが、構わない。
 着地してすぐ、バレが激しいスピンと共に足を轢き潰しにかかる。続けざまの攻撃に竜牙兵がたまらずフラつく間、イェロは戦場全体を撫でるように九尾扇をふわり揺らした。
「鶴翼の陣、だな」
 見出した最適の陣は癒しと共に前衛へ破魔の力を与え、白縹が封印箱ごと竜牙兵の顎に突撃すれば呻き声に近い悲鳴。
「いい感じで進んでるっすね。お仕事完遂目指して、頑張るっす……!」
 控えめに弾んだザンニの声に鉄や鋼を撃ったような音が1回。響いた音がまだある中、1体の持つ大鎌の刃にびしりとひびが入った。
「流石ですね、俺も……! 凍結した通勤路にはよく転ばされますが、今日はそうはいきませんとも」
 アイスバーンの道路が戦場なら光速フラグ回収になったかもしれないが、大地を覆うのはスキーに最適といわれるパウダースノー。ふふんと笑った公明は前衛を包むようにエネルギーシールドを一気に作り上げ、ハコの『財宝』がドサドサと竜牙兵に降り注ぐ様に少しだけ「ひぇっ」とした。
「頼もしいね。負けてられないかな」
「一気に決めるんだったら任せたわ」
「──それじゃあ、」
 ゼレフが流れる雲のように飄々とした笑みで言えば、イェロは甘い色をした瞳を細め九尾扇をひらり。ルーチェも形の良い唇に弧を描く。ジゼルは短く息を吐き──それが真っ白だった事はあまり考えないようにしながら、旧き魔法を手繰り寄せた。
「なら、私もキミ達に任せるとしよう」
 クラッシャーである竜牙兵との戦いで、敵の攻撃に耐えうる強さをもたらしてきた護りを、中衛へ。続いたイェロが陣形の維持を告げながら後衛に破魔を与えれば、白縹が竜牙兵の振り回す大鎌を見事に避けてブレスを見舞った。
 その僅かな間、ゼレフとルーチェが一気に駆ける。2人の蹴ったパウダースノーは水流を描くように鮮やかに舞い、右から左へと思い切り揮われた『随』が旋風を生む。
 斬撃の塊となったそれは2体を纏めて喰らい、1体の手から大鎌が離れた刹那。ルーチェがいつの間にか握っていた漆黒のナイフが、竜牙兵という宵空に光を刻んでいく。突きは明星、裂けば三日月。絶命直前に流れた鮮血は、黎明へ──。

●輝雪溢れて
 戦いの名残を手分けして整えた後、連絡を受けて真っ先に戻ったスタッフがSNSや場内放送を使い、明るく再開を告げる。
 それは避難していた人々に──ゲレンデと人々を守り抜いたケルベロスに届いた、楽しんでくださいのサイン。

「どこを見ても、雪、です、すごい!」
 リフトに少し揺られてドキドキしながら辿り着いた先、コースのスタート地点に立ったココは一面の雪景色に目を輝かせる。
 スノーボードへの挑戦は、さっきまでとは違うドキドキと緊張感に包まれるが、運動神経の良さがその2つをワクワクに変えていった。
 少し経てば、そこにあったのはゲレンデを楽しげに滑るココの姿。心配そうなバレに気付き、難なく一時停止するとぶんぶん手を振って「大丈夫」と一生懸命伝える。
「バレに、乗るのとはまた違う、疾走感、です」
 は、と吐いた息は真っ白。それはパウダースノーとはまた違う煌めきを見せながら、青空にとけていった。

 ふわり湯気を昇らすカップの中身は、パセリ散らしたコーンスープ。
 カップを両手で包んだジゼルは、ほ、と音にならないかすかな吐息を零した。戦闘中は常に動き回るとはいえ、寒い中動き回るのが苦手なジゼルとしては、あのままゲレンデで──は、少し辛い。
(「……ああ、生き返る」)
 飲んだ一口分、その熱が味と一緒に体中へ染みていくのを感じながら、視線だけを外に向ける。
 向こうは相変わらず眩しく、寒そうだから、もう暫くはここで体を暖めよう。
 それからゲレンデに小さな雪兎を拵えて、入り口近くにポスターが貼られていた温泉に行ってみようか。

 掬い上げた雪が掌から流れるように零れ落ち──遠い故郷が思い浮かぶ。
 純白に輝く世界には今、ルーチェ独りだけ。舞い散るパウダースノーの音も聞こえそうな静寂に在るのは、とても心落ち着くひととき。なのだが。
「……」
 頭上には澄み切った青空と輝く太陽。あれが月と星輝く夜空になり、大地には雪、という光景を見られれば一番良いが、そうなるには短くとも4時間は必要だろう。
 ルーチェはスキー板にスキーブーツをがちりと嵌め、遙か下に至るゲレンデへと滑り出す。
 夜が訪れるまでは、時間が許す限り、のんびりと。

 ツンと澄ましていても、硝子の小竜の瞳は赤いソリをちらちらと。スノーボードを抱えたイェロは当然それに気付いていた。赤いソリを手に取り、しょうがないなあ、な顔をして白縹を乗せてやれば。
「……あれ? 一緒に乗せてくれないのってもう居ねぇ」
 遠ざかる硝子色と赤は、白縹船長の処女航海。
 輝かしい雪の坂道でイェロは『ぽつん』。
 何やら居た堪れない、な顔の後、渋々ボードに乗って始めた追いかけっこ。軍配はというとイェロに上がったが、白縹は赤いソリが気に入ったか尻尾をゆらゆら踊らせていた。
 真っ白なゲレンデに抱かれて大の字になり仰いだ空は、果てまで澄んだ紺碧色。
「……綺麗なもんだな」
 偶には、こんな日も。

 ジャンケン勝負を決した学生グループがゲレンデを風のように駆けていく。
「あれがハンサムチャンピオン……」
 輝く若さを目で追ったスキー初心者・公明の足は見事な八の字型、速度はゆっくり。しかし余所見の影響か、ふいに視界がゲレンデから青空へ華麗にチェンジした。
「ウッ」
 舞い上がったパウダースノーがふさりと顔に掛かっていく。ゲレンデにストックを突いて起き上がり、腰をさすれば痛みは多少和らいだ、ような。
 ゆっくりと下まで滑りきった後も三十路パンチで殴られた心地は残るが、年齢的な意味で肉体辛い系は多分自分だけではない筈! と仲間を見る思いで見た先には、ゲレンデに鮮やかなラインを描き、滑り降りてきたゼレフの姿。
「これが雪国出身パワー……」
「……ん? 何が?」
「いえ、俺も体重移動の角度は演算できるようにと思……あれ、どうしましたハコさん。……え? ソリに乗りたい? そんな、やっとコツを掴んできたところなのに……!」
 筋肉痛は明日以降ですかとトホホ顔の公明と、ぴょんぴょん飛び跳ね移動するハコ。
 2人をいってらっしゃいと見送ったゼレフはリフトに乗り、パウダースノーがくれた雲上を滑る心地求め、再び遥か上へ。
 改めて見る風景は空の青と雪の白、そして木々の黒が鮮やかに共存していて──気を取られた瞬間、平衡が崩れた。舞い上がったパウダースノーは視界いっぱいの空に重なって。ゼレフは降り注ぐ繊細な白を払わず、ついついそのまま眺めてしまう。
「――陽射しは冬のそれの筈なのにね」
 なんて眩しい季節だろう。

 スキーもスノーボードも未体験。それでも真っ白なゲレンデを見ていれば、ザンニは心が踊るような気がした。
 それはレストランから外を眺めている間も同じ。リフトの列に並ぶ人々や、スタッフから教えを受けている初心者グループ。楽しそうな人達の様子と景色を眺めていると、不思議と退屈しない。
 のんびりお茶を楽しむザンニから少し離れた席で珈琲を味わっていたのは、温かな読書タイムを過ごしていたクララだった。
 今年は暖冬と聞いたが冬は冬。やっぱり寒い外よりも、暖かいレストランの方が自分には合っている気がする。
 外で楽しむ皆の声をBGMに、ぱらり、とページを捲って、捲って。ふと外へ視線を向けると、ゲレンデを染める陽射しの色が変わっていた。
「いい雪、です……ね」
 白雪を染めるのは、1日の終わりを告げ始めたとろける橙色。
 明日も明後日も、その先も。まっさらなパウダースノーは、世界に輝く。

作者:東間 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 3
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