ナズナの誕生日~氷のチャペルでセレモニー?

作者:狐路ユッカ

 19歳の誕生日を控えたナズナ・ベルグリン(シャドウエルフのガンスリンガー・en0006)は、街中で展示されたドレスに目を奪われる。
「わぁ……素敵なドレスですね……」
 そして、ふと視線をその横のポスターへ。
「……氷の、チャペル?」

「……と、いうわけなんですけど……」
 ナズナはドレスショップで貰って来たポスターをひらり、と掲げる。
「なんでも、このシーズンにひと月だけ、北海道で氷のチャペルというものが作られるんだそうです」
 挙式するカップルにはもちろん、チャペルの周りに設置された氷のカフェも一般客に人気らしい。
「私は、結婚式はまだ早いですけど、その……」
 綺麗なドレスをたくさん見てみたいなぁと思ったので。少しはにかんだようにナズナは笑う。
「奇しくも私の誕生日に、このチャペルでドレスショップさんの撮影会があるんです。それで、モデルさんを募集しているみたいなので、もしよければみなさんいかがですか?」
 美しい氷のチャペルに、レースのヴェール、シルクのドレスに白いブーケ……とても絵になるでしょうね、と続ける。
「ちょっと寒いかもしれないですけど……きっと、綺麗だと思うんです」
「いいわね~! もしよければ、私にメイク協力させて?」
 サッと手を挙げたのはエルヴィ・マグダレン(ドラゴニアンの降魔拳士・en0260)。北海道の澄んだ寒空に向けて、ヘリオンが飛び立った。


■リプレイ

 シエラシセロ・リズは大きく息を吸って、吐いた。
 ホントのホントは、失敗しないように。模擬挙式に参加しようと、ベルカント・ロンドを誘ったのは彼女だった。
「最近は髪を伸ばしてるし、お菓子も控えめにしてるんだよ。あとはドレス着たらお淑やかにする練習が必要だよね?」
 ロングトレーンのドレスに小首を傾げる彼女の金の髪には、スズランの生花。
「そうですね」
 真っ白なタキシードに身を包んだベルカントが優しく頷いた。
「跳ねない、走らない、ゆっくりめに動く……うえぇ心折れそう」
 黙って立っているだけで大丈夫と伝えても、彼女はそれが難しいんだよ、と頭を抱える。
「大丈夫、私がエスコートしますから」
 優しく差し出された手に、シエラシセロの白いグローブをはめた手が重なる。当のベルカントも彼女の美しさに緊張してはいるのだけれど。
(「あと、ルカがかっこよすぎて……心臓破裂しそう」)
 氷の階段に足をかける花嫁の手をそっと取る。触れる、温もり。永久に愛し合う事を誓う、言葉。その言葉が僅かに、震える。幸せすぎて、シエラシセロはふっと小さく息を吐いた。誓いのキスを促され、向かい合う二人。
(「ヴェールをあげられたら泣きそうな顔が見られちゃうよ……」)
 潤んだ彼女の瞳に、ベルカントは込み上げる愛おしさを抑えきれずそっと顔を近づけて。
「誓いの言葉は本物ですよ」
 彼女にだけ聞こえる小さな声で囁いた。キスは、まだその時までお預けだけれど、更なる誓いを。
(「意地悪だけどこんな時優しい、ずるい」)
 ――キミがくれた約束はボクの宝物。
「ねぇ、次は本番で」

 さて、ドレスショップの撮影会が幕を開けた。
「ええと……少しは大人っぽくなったかな?」
 シル・ウィンディアは、青いロングヘアをきっちりと結わえ、ブルースターをちりばめたAラインのシルクのドレスに身を包み、幸・鳳琴を振り返る。鳳琴も、同じくAラインのドレス。こちらは花びらの刺繍にパールをアクセントにしたもので、柔らかな印象が美しいドレス。ヘッドドレスも白い薔薇に揺れるパールチェーンをつけたもので、統一感が出ている。本当はタキシードでシルをエスコートしたい気持ちもあったが……。
「よく、似合ってます! えぇと、モデル撮影、は……」
 どきどきしますが、シルさんと一緒なら。
 スタッフに求められたポーズも、最初はぎこちなかったが二人いっしょなら徐々に緊張もほぐれていく。年相応の笑顔で抱きつくポーズが、一番二人らしいと言えただろうか。カメラマンの評判も上々だ。
「一枚、ちょっと大人っぽいのを撮りたいのだけど……」
 カメラマンの提案に、鳳琴はえぇ!? と慌てる。
「誓いのキスとか」
「キス!?」
 うん、とシルは頷く。やってみよう、と。
「琴ちゃん、綺麗だよ……」
 見上げる彼女の瞳。その言葉に自然と頬が熱くなる。
「――愛しています」
 そっとシルの肩に手を添え、優しく抱いて口付けを。
 ……いつの日か、本当に。

 カタリーナ・ラーズグリーズが纏うのは、真っ白なパンツドレス。ウエストの大きなサッシュベルトは、マニッシュな印象ながらも上品で華やかだ。傍らの翔雛・瑠璃が纏うドレスを見て、心の中でサムズアップ。瑠璃はコンプレックスの大きな胸を上手く隠す上品なベアトップを着せてもらっていた。肩にはオフショルダーのショールが付けられていて、それが良い具合に胸を目立たせなくしている。
「同じ悩みの方が、『胸が大きくても、似合うドレスはちゃんとあるんだ』って思えるようなモデルになれたらな、なんて」
 どうですか? と微笑む瑠璃に、カタリーナは感極まる。
「わ、わたしの嫁がこんなに健気。天使かな……好き……」
「えっ」
「聞いた? 圧倒的天使っぷりにこれを聞いた人達が瑠璃さんを好きになるのでは?」
 あわわ、と瑠璃は頬を染める。
「前は恥ずかしかったんですけれど、今はリーナさんが、そういうところも含めて好きだと……って私すっごい惚気けてますね!?」
 き、聞かなかったことにしてくださーい! と、慌てて顔の前で手をぱたぱたさせる。
「わたしの嫁あまりにもかわいい……尊い。少し泣くね……ふふっ」
「ええっ」
 気を取り直して。
「ささ、瑠璃さん、写真撮ってもらわないと。ほら、もっと寄って!」
 そっと抱き寄せられるまま、瑠璃はカタリーナに寄り添う。
「わたし、大概のことならできると思うよ」
 どうする? と囁かれて、瑠璃はおずおずと提案する。
「じゃあ……お姫様抱っこでもいいですか?」
 それが一番幸せそうに見えるかなぁ、なんて。照れくさそうにそう付け足した彼女が愛おしく。
「ふふ、了解しました」
 ふわり、と抱き上げる。ふんわりとしたプリンセスラインのドレスが、花のように舞う。幸せな、一枚を。

「本番前に着ると婚期を逃すらしいけど、君が将来貰ってくれる予定だもんね」
「そもそも馴れ初めはそんな約束からだったな。婚期なんて気にせず安心して、着替えておいで」
 アラドファル・セタラに背を押され、咲宮・春乃は笑うと早速更衣室へ姿を消した。一足先に準備を終えたアラドファルは、バージンロードの上で春乃を待つ。緊張する気持ちはあるが、それでは恰好がつかない。正々堂々としてみせよう。そう、息を整えた時。扉が、開いた。
「……ッ」
 ドレスの裾を軽くつまみ、ぺこり、とお辞儀をする彼女。
「君に見惚れて何も言えなくなった……君のその姿をこんなにも早く見られるなんてな」
 擽ったそうに春乃が笑う。
「アルさんもタキシード似合ってるよ」
「こんなに美人なお嫁さんを本当に、貰ってもいいのか?」
「君がお嫁さんにしてくれる約束でしょう?」
 もちろん、と微笑むと、二人は祭壇の前へ歩み出る。カメラが、何度もシャッターを切った。手を取り合う二人、ヴェールをあげるその瞬間、そして、誓いの言葉。
「どんな困難が訪れようと必ず君を迎えると誓おう」
 本番での誓いを取っておくために、アラドファルはそう口にした。春乃は、嬉しそうに頷く。
「わたしの未来の旦那さまは君だけ。迎えに来てくれるの、ずっと待ってるよ」
 出来上がった写真は、きっと部屋に飾ろう。いつでもこの瞬間を夢に見ることが出来るように――。

 真っ白いドレスを着て、愛する人のお嫁さんに……。女の子なら一度は憧れるシチュエーション。七星・さくらは少し不思議な気持ちでチャペルの扉を開いた。
 タキシードを纏い、ヴァルカン・ソルはそんなさくらを待つ。
(「結婚して2年近く経つというのに、君を待つ時間は未だ落ち着かぬ……」)
 武骨者の俺が。ヴァルカンはふと小さく笑った。扉の向こうから、慣れないピンヒールを履き、白いレースのドレスを纏ったさくらが現れる。考えていた言葉など、全て吹き飛んだ。神秘的なこの空間と相まって、妻の姿は本当に――。
「……綺麗だ、さくら」
 歩み寄ってきた最愛の人を抱き寄せ、耳元にもう一言。
「世界で、一番」
 語彙力を失った己を恨めしく思いつつ、その手を取る。
「行こう」
「はい」
 ぴんと張りつめた氷の世界なのに、さくらの頬は燃えるように熱く火照る。
(「今日は一番綺麗なわたしを見て貰って、あなたの心も視線を独り占めする筈だったのに、わたしの方が、世界一素敵なあなたから目が離せなくなっちゃうわ」)
 ヴァルカンは祭壇へたどり着くと、二度目のプロポーズを口にした。
「……さくら、愛している。これからもずっと、俺と共に歩んでくれないか?
 さくらの頬に、涙が伝う。うれし涙に声を出せず、ただいっぱいになった胸のままさくらはヴァルカンに口づけた。
『愛してる』
 言葉にせずとも伝わる想いを受け、真白の花嫁を抱きしめる。
 ――これからも、ずっと一緒に。

 真っ白なドレスを手に取った立花・吹雪は、少し照れた様子でラプチャー・デナイザに問うた。
「似合うと思いますか?」
「似合うでござるよ。どう想像しても素敵以外の結論が出なかった程でござる」
 即答するラプチャーに、吹雪は目を丸くしてドレスを見遣った。
「氷のチャペルも相まって、絶対感」
 はっきりと言い切る彼を信じて、ドレスを手に更衣室へ。
「そういう素敵な場所で素敵な衣装を着るというのも中々恥ずかしいですね」
 さすがに冷える。
「だ、大丈夫でしょうか……」
 初めて身に纏うぴったりとしたマーメイドドレス。二の腕までカバーする総レースのグローブが、黒髪によく映える。
 ラプチャーは着替えを済ませて出てきた吹雪に缶のホットティーを手渡した。
「ここは撮影前のリラックスターイムでござるー」
「ありがとうございます」
「恥ずかしがる姿も至高でござるが、堂々とすると更に魅力的に映えるでござるよ」
 ハッとして、吹雪は頷いた。
「堂々とした姿ですか。自然体で私らしさを出すのが一番ですね。ラプチャーさんありがとうございます」
 うんうん、と頷くラプチャー。
「でもこういうのは不慣れなので今日はエスコートよろしくお願いしますね!」
 悪戯っぽい笑みを向けられ、ラプチャーは笑い返す。
「……ふふ、拙者もつい見惚れてしまう程の笑顔。誘った甲斐があったでござるね。素敵な花嫁殿、お手をどーぞ」
 カメラからの指定通りポーズをこなしていく二人。
「撮影へのサービスでもっと密着してみるでござるー?」
「そうですね」
 すっ、と眼鏡を外し、吹雪の腰を抱き寄せた。
「来いよ」
 カメラクルーから上がる悲鳴。なかなかの好ショットが撮れた、とか。

「どれにしようかな……迷ってしまうわ」
 フィロヴェール・クレーズは結婚式はまだ早いけれど、モデルならと引き受けたものの、目の前に並んだ無数のドレスにため息をひとつ。
「ドレスモデルかー。色んなドレスがあるね、どれがフィロに似合いそうかな」
 一之瀬・白も、一緒にドレスの森の中を歩く。
「これなんてどうかな……ピンクのプリンセスドレス、きっとよく似合うと思うんだ」
「君がそう言って選んでくれたなら、これにするわっ」
 ふわっとした桃色が愛らしいドレスを愛おしげに手に取ると、フィロヴェールは白のタキシードはどうするのかと問うた。
「僕は……特に希望は無いから、フィロに選んで貰ってもいいかな?」
「このタキシードはどう?」
 淡いシャンパンベージュのタキシードを手に取ると、白に差し出す。
「わたしがピンクだから、あたたかめな色で揃えるのがいいかなって」
 いいね、と頷き、二人は更衣室へ。着付けを終えてチャペルで顔を合わせると、白が急に呼びかけてくる。
「フィロ、ちょっと此方に来て貰ってもいいかな?」
「はーい、何?」
「ちょっと、ごめんね……それっ!」
 ふわりとフィロヴェールの身体が宙に浮く。
「ひゃあっ!?」
 横抱きにされて、所謂お姫様抱っこに。まるで本物のお姫様だ。
「わ、ダメよ、わたし……重くない?」
「全然」
「前だったらきっと軽かったのに」
「ふふっ、びっくりした? いつもは君に引っ張られてるけど……たまには、僕がリードしてあげなきゃね?」
 白はフィロヴェールを抱き上げたまま、そっとその耳元に唇を寄せて囁く。
「……綺麗だよ、良く似合ってる」
 フィロヴェールは耳まで真っ赤にしてぎゅぅっと目を瞑ってしまった。
「も、もうっ。いつもと違うかっこよさの君にそんなこと言われたら、その、困るわ……っ」

 鉄・冬真は、最愛の妻の横に並ぶにふさわしいタキシードを、とエルヴィに持ちかけた。
「それなら、シルバーグレーのかっちりしたのなんてどう?」
 着付けを終えて出てくると、ナズナがわぁっと声をあげる。
「花嫁さんとぴったり合いますよ」
 チャペルの扉をひらくと、そこにはマーメイドラインのドレスを纏った御影・有理の姿が。そろり、と歩みを進めると、裾部分のオーガンジーフリルが波のように揺らめく。美しく結い上げた髪には優しい光を放つパールのカチューシャティアラ。席を外したエルヴィ達。冬真と有理は互いに向き合うと、少し頬を染める。なんだか、恥ずかしくて、照れくさくて、けれど。
「旦那様、エスコートしてくれる?」
 勝るのは幸せの方だ。有理は冬真へ手を差し出す。
「勿論だよ。さあ行こう、僕のお嫁さん」
 その華奢な手を取って、一緒に撮影へ。うっかりすると互いに夢中になって撮影を忘れてしまいそうだ。クルーの休憩を縫って、冬真は有理を抱きしめる。
「更に深く君に恋してしまったみたいだ。愛しているよ有理」
 そして、シャッターを切られないうちに愛しい妻へ口付けを。どうしてもこれだけは、
「私も。冬真が愛おしくてたまらないの」
 ――貴方を一番、愛しています。
 生涯を共に歩むと誓いを新たにして、こっそりと二人は微笑みあった。

 ロゼ・アウランジェとエルス・キャナリーは笑顔でナズナに祝福を告げると二人で撮影へ。
「うーわーあー、ここは、とても素敵なの!」
「エルスさん、すごいですね! 氷のチャペルなんてロマンチックですー!」
 チャペルに圧倒された後は、二人でドレス選び。
「まだまだ先のことですけど、一度、……着てみたいの」
 エルスが手に取ったのは、白と薄水色のレースが幾重にも重なったふわふわのフィッシュテールのドレス。白い生花のティアラからは、床に着くほど長いフラワーベール。小さな手に握るのは、白と薄紫のラナンキュラスを束ねたブーケだ。
(「……幸せになる、ように」)
「えへへ、どうかな?」
 ロゼは、カーテンをシャッと開けると自分のマーメイドラインのドレスを披露。真っ白なドレスの裾は、ヒラヒラと海中を揺蕩う人魚の尾びれ。七色に煌めくティアラはシーグラス。マリアベールから、光が見え隠れする。
「わぁい、ロゼ様のは、とても似合って、すごく美しいと思います!」
「ありがとうございます!」
 はにかんだように笑う手には、薔薇のブーケ。
「きっと見る人も喜ぶよね!」
 仕上げに、とお互いのアクセサリーを調整し、チャペルへと向かう。白薔薇をあしらった祭壇の前で二人より添えば、最高の写真が仕上がることだろう。

「ナズナ、お誕生日おめでとうだよ」
「ありがとうございます!」
 リリエッタ・スノウはナズナを見つけると、小首を傾げて一つ頷く。
「それで、今回はどんなデウスエクス退治? それとも、ヒールのお仕事?」
「ええと、今回はケルベロスのお仕事ではないんです」
 あれです、と指さした先にはドレスの山!
「えっ、ドレスを着てモデルのお仕事?」
「はい」
「うぅぅ、リリなんかがドレス着てもかわいくないけど……リリの言葉に二言はないよ」
「似合いますよ?」
 にょきっ、とエルヴィが顔を出した。
「さあ、こっちこっち!」
 ずるずると引きずられてリリエッタは更衣室へ。
「ナズナさん、お誕生日おめでとうございます!」
 続いて、イッパイアッテナ・ルドルフも参戦。
「イッパイアッテナさんもいらしていたのですね」
「はい。今日はお任せでタキシードを体験してみようかと」
 ナズナさんはどれがいいと思いますか? イッパイアッテナに問われ、ナズナは少し悩んだ後アイボリーのタキシードをハンガーかけから取り出す。
「お肌の色に相まって映えそうね!」
 エルヴィも大きく頷く。
「ありがとうございます! では着替えてきましょう。……相棒も大丈夫ですかね?」
「もちろんですよ!」
 ドレスショップ店員は快諾。さて、どうなるか。
「どんなドレスがいいか悩むんだよね」
 唸る白咲・朝乃。
「どうしたんですか?」
 朝乃さんならどれでも着こなせそう、とナズナが言うと、朝乃は力強く拳を握り答える。
「え、ナズナちゃんに着てもらうドレスの悩みだよ?」
「えっ」
「私は可愛いの着るって決めてるから!」
 この白いオフショルダーに薄ピンクのお花がたくさんついているのなんて可愛いかな? と朝乃は笑う。きっと朝乃さんに似合いますと言いかけると、
「というわけでナズナちゃんも着てみよう!」
「え」
「どれにする?」
 ちょっとこの清楚感あふれるやついいんじゃない? と目を輝かせ。
「大丈夫大丈夫! あとで紅茶奢るから! まずドレス着ようね!」
「メイクは私に任せといて!」
「ほら、主役だし。着飾らないとね!」
「あわわ」

 そうこうして、着替えが終わった皆さんの登場。
「ほら! やっぱり似合う!」
 ナズナは、総レースの長袖が上品な細身のシルクベアトップのドレス。あえてベールは付けず、結い上げた髪に百合の花を挿し、ナチュラルメイクに薄ピンクのリップをのせてもらった。
「ありがとうございます……」
 はにかんだように、笑う。
「リリエッタさんも、一緒に撮りませんか?」
 ナズナが手招きをすると、隅っこにいたリリエッタがぴくっと肩を弾ませる。薄い水色のふんわりとした愛らしいプリンセスラインのドレスに、シルバーの小さなティアラ。耳元には、サファイアのイヤリングが揺れていた。
「でも、皆みたいに似合わないし……」
「おーいで!」
 エルヴィはリリエッタの手を取ると、背を押してナズナの横へ並ばせる。
「すっごく、可愛いわよ。バッチリ任務こなしてるじゃない。ね?」
 そんな風に褒められて、ナズナとイッパイアッテナ、朝乃と並んで恥ずかしくなって頬を赤らめる。
「それじゃあ、シャッターきりますね!」
 相箱のザラキも、パールのネックレスをかけてもらってオシャレなインテリア風に。ぱしゃり、楽しそうに笑っている顔は、最高のポスターになることだろう。

作者:狐路ユッカ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月4日
難度:易しい
参加:21人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 3
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