封印城バビロン決戦~タンクス&ドラゴンズ

作者:のずみりん

 ケルベロスたちはリザレクト・ジェネシス追撃戦では戦場で打ち漏らした多くのデウスエクスを撃破し、また成果を手にすることができた。
「これも皆の知恵と勇気あってのものだ。及ばずながら地球の人々を代表して礼を言わせてくれ、ありがとう」
 更にこの追撃戦で得られたものは驚異の撃破だけではない、とリリエ・グレッツェンド(シャドウエルフのヘリオライダー・en0127)はデウスエクスたちの動きと最新情報を指し示す。
「熾烈を極めた城ヶ島のドラゴンとの戦いはここからが本番となりそうだ。三竜の撃破に成功した際、ドラゴン達の命を賭した迎撃で完成した固定型魔空回廊により、竜十字島から多数のドラゴンが城ヶ島に出現してきている」
 人口密集地である首都圏にドラゴンの拠点がある危険性は言うに及ばず、更に恐ろしい予知が複数のヘリオライダーへともたらされた。
「ドラゴン勢力が城ヶ島に執着していた理由はフォッサ・マグナ……日本列島に走る龍脈だ」
 日本列島は、北アメリカ、ユーラシア、フィリピン海という三つの岩盤プレートの境目に存在する。そして城ヶ島からプレートの裂け目に沿って北に進むと、そこにあるのは一つのダンジョン。
「そう、封印城バビロンだ。ドラゴン勢力は封印城バビロンと城ヶ島を結ぶフォッサ・マグナを暴走させ、関東圏を壊滅させると同時に大量のグラビティ・チェインを獲得。それを使用して『惑星スパイラスに閉じ込められた』ドラゴンたちの救出を行おうとしている」
 これが『日本切断計画』……恐るべき予知の全貌だ。これを防ぐには作戦の機転である『城ヶ島』か『封印城バビロン』を破壊するしかないが、固定型魔空回廊により竜十字島の全線力を投入できる城ヶ島は現状では攻略不能。
 人類に残された選択肢は『封印城バビロン』しかない。
「皆には封印城バビロン攻略の第一段階として、封印城バビロンを守るドラゴンの漸減を頼みたい」
 日本列島の存亡がかかった大作戦を、リリエはケルベロスたちに大きく広げた。

「我々の狙いは要塞竜母タラスク! そのなかでも敵主力として配置されたドラゴン戦車と戦車工廠が目標となる」
 要塞竜母タラスクの体表面に築かれたドラゴン戦車工廠は多数のドラゴン選手を製造し続けると同時に、グラビティ・チェインの供給を行う動力機関でもある。
「圧倒的な数で攻めてくるドラゴン戦車だが、戦車工廠を破壊できればグラビティ・チェインの供給を絶たれたドラゴン戦車の軍勢はグラビティ・チェインの枯渇によってコギトエルゴスム化、撃破できるはずだ」

 戦車工廠の破壊は最低でも八名からのチーム全員がいり、全力で攻撃して十分ほどはかかると予想される。 このため、ドラゴン戦車攻略戦は三チームからの合同作戦となる。
「ドラゴン戦車の車種……竜種は索敵と冷凍砲を搭載した『超広域索敵ドラゴン戦車・クレアヴォヤンス』、重装・多砲塔で中~近距離を戦う『重装ドラゴン戦車・ドライラド』の二種。各チーム十両も倒せば突破はできるだろう」
 まず考えられる作戦は正面からの強行突破による強襲破壊だが、他の作戦があるなら方法は問わないとリリエはいう。
「東京圏の浮沈は要塞竜母タラスクの撃破に掛かっており、その第一段階として竜戦車の撃破は絶対に失敗できない……プレッシャーをかけるつもりはないが、頼むぞケルベロス」
 敬意を敬礼で示し、リリエは自らのヘリオンを指し示した。


参加者
ミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)
因幡・白兎(因幡のゲス兎・e05145)
ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
マイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)
アーニャ・シュネールイーツ(時の理を壊す者・e16895)
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)
浜本・英世(ドクター風・e34862)

■リプレイ

●ドラゴンタンク・ブレイカー
 接近する殺意にタラスク工廠は敏感に反応した。
「シュゥッ」
「列島切断とか、よく思いつくものだね……くるわ、進行方向より大型デウスエクス。反応多数」
 近代戦の先触れはいつだって索敵だ。
 甲羅めいた『超広域索敵ドラゴン戦車・クレアヴォヤンス』のセンサーより投げられる索敵波をリティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)の『増設レドーム・センサーユニット』が逆用して分析。戦力を集中する三班の仲間たちへ情報という戦果を渡していく。
「これこれは……文字通りキリがない。随分と買ってくれたものだっ」
「第一波、来ます!」
 アーニャ・シュネールイーツ(時の理を壊す者・e16895)の警告に合わせ、浜本・英世(ドクター風・e34862)のライトニングロッドがライトニングウォールを描く。それに重なるは並び立つエルス・キャナリーの展開したスターサンクチュアリ。
 重厚な多重防御が重装ドラゴン戦車の突破砲撃を迎え撃ち、爆風と硝煙を散らしていく。
「――地獄から番犬様の御成りだ、纏めて砕けろ竜戦車共!」
 猛烈な斉射を潜り抜けたのはケルベロスの側、角竜めいた『重装ドラゴン戦車・ドライラド』の連装砲塔を月見里・一太の放ったデスサイズシュートが切り裂き、途切れた弾幕をアーニャのフォートレスキャノンがねじ伏せて刺さる。
 一瞬にして硝煙と砂埃にまみれていく戦場は、およそドラゴンとの戦いとは思えない鉄臭さだ。
「データリンク、敵偵察機の索敵情報を受信。命中支援モードでダミー広域投影、しばらくはこれで」
「ありがと。戦艦竜といい、これといい……ドラゴンも生体兵器みたいなのが得意よねえ」
 ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)の『多重分身の術』が、ディスインテグレートを放つマイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)をぼやけさせ、ドライアドの視界を幻惑。直撃させる。
 跡形もなく消えていく肉体の後に残るは鋼鉄の残骸。その仲間だったものも観賞なく踏み砕いて迫るドラゴン戦車隊に、フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)は『アメジスト・シールド』を掲げる。
「魂までも鋼鉄に変えたというのですか……!」
「比喩で済まないかもね、勘弁してほしいけど!」
 獄混死龍の例を見るに、彼らにもいよいよ後がないのだろうか? だがそうだとしても、目前のクレアヴォヤンスたちは因幡・白兎(因幡のゲス兎・e05145)のハウリングにも臆さず突っ込んでくる。
 後衛の索敵型でさえこれだ。搦め手で隙をつく彼の戦法とと、全身の装甲で圧殺してくるドラゴンの相性は正直悪い。
 わかっているから、『純白の誓い』のマフラーを今は封じ白兎は立ち向かう。
「ま、ま、こだわりとか言ってる場合じゃないし……それは向こうもかな」
「肯定です。なぜこのタイミングなのか」
 語りながらもピコの擬似螺旋炉は止まらない。
 少女を軽やかに舞わせる『飛行ユニットだった物』、そして『増設型擬似螺旋炉』の主たる親族との戦いで調律された彼女の中枢は過去にない効率で動作してくれている。
「列島切断なんて強引な手に出るということは、恐らく……あるいは急がないといけない理由でもできたのか」
「例えば」
「少なくともバレンタインではないだろう……バレンタイン頃にドラゴン戦車群が出てくれば、バレンタイン終了のお知らせだったのに」
「もしもし? リティさん?」
 さて……何か聞き間違えただろうか。
 意外な一面に戦慄しつつも、白兎は突っ込んでくるドライアドに地面を蹴る。
 タイミングは完璧。前に出るミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)は『仕込み長銃【リストライフル】』を内蔵した大籠手が前のめる巨体をしっかと掴む。
「いつにしろ、何が目的にしろ……!」
「ガ、ゴアァ……ッ!?」
 静かに燃える心の火が『ドモヴォーイ・サパギー』重装ブーツを着火させ、強攻鎧兵術の踏み込みを強固に累乗する。ドライラドの巨体が浮いた。
「この一突きで穿ち抜く! 露式強攻鎧兵術……!」
 掴み上げた腕に形成された氷柱が伸びる、射出されるパイルバンカーのように『сосулька』……氷柱の名を冠した氷の突槍が装甲を砕いて重装ドラゴン戦車を跳ね飛ばす。
 乱れる戦列に超広域索敵ドラゴン戦車がレドームを唸らせ、増援を呼ぶ。だがどのような通信よりも紫水晶と青氷壁の連携は早い。
「抉じ開けます!」
 以心伝心、不言実行。
 共に突き抜けたフローネの光盾は既に『アメジスト・バスター』へと接続されている。放たれるバスタービームの奔流、光条がクレアヴォヤンスを押し流した。

●果て無き竜戦車群
「見えた……!」
 スリットめいて見えた到達点、戦車工廠を前にミチェーリは限界を超えたグラビティの氷柱を切り離す。
 大盾へと戻るフローネ両腕のアメジストシールドと入れ替わり、『仕込み長銃【リストライフル】』を斉射。躍り出るウルトレス・クレイドルキーパーらを支援する。
「今日は随分とオーディエンスが多いな」
「けれど、道は閉ざさせません……!」
 転がる重装ドラゴン戦車の向こう、クレアヴォヤンスのレドームが放つビーム波を『全身防御』に構えたフローネが受ける。
 敵味方の光学砲戦が拡散する閃光がウルトレスの周囲をライブステージのように照らして焼いた。
「突破距離二百、ですが……」
 敵味方の光学砲戦が拡散し、要塞竜母表層がじりじりと焼けていく。ピコの放つナパームミサイルが戦車隊の迎撃に弾け、炎をばらまいていく。
「あと少しというのに……!」
 一気呵成に攻め込むケルベロスたちだが、敵の層は厚い。
 戦場を埋め尽くさんと迫る重装ドラゴン戦車の装甲をアーニャのガトリングガンが叩き、飛び込んだ白兎がブラッディダンシングで切り伏せるが、それを乗り越えて敵軍は押し寄せてくる。
 握る『カマキリブレイド』に刃毀れの気配はないが、それを握る彼の腕には否定できぬ痺れがあった。
「予想通りとはいえ、これはちょっとさぁ……!」
 三班、二十人を超えるケルベロスをもってしても物量の差は歴然。ドラゴン戦車の群れは側方までも押し寄せつつあった。
「これはもう、退く選択肢はなさそうねぇ」
「うむ、包囲に来ようというのなら是非もない」
 だがマイアの涼しげな表情は崩れない。
 ドライアドの喉を刺し貫いた『白銀の選定者』の刀身が双丘をなぞれば、ねっとりと血ではない漆黒の粘液が卑猥に絡みつく様子に、得心したように英世が頷いた。
「少しばかり遊んできなさいな、『Mucus dubh』」
 かの神剣を託したものが見れば破廉恥な真似をと怒鳴られそうだが、あるいはそれすら楽しんでか。
 神剣をねぶりながら飛ばされた黒は『使い魔『Mucus dubh』』によるレゾナンスグリード。ドラゴン戦車の履帯へと染みつく黒が動きを封じ、隊列を乱す姿にリティもまた策を察し動く。
「成程……ブレイクルーン付与、援護する」
 物量による包囲への対抗策は一点突破。そしてケルベロスたちにはそれを為す力がある。
「感謝する、リティ君! ではお見せしよう、我が探求の一片……!」
 リティの『増設レドーム・センサーユニット』から照射されたレーザーが英世の腕に破壊のルーンを描く。刻まれた腕が指揮杖のように大仰に舞えば、繰り出されるは無数の歯車。
「舞い踊れ我が刃よ――ギア・スラッシャー・ハリケーン!」
 嵐の如く舞う歯車が狙うは正面突破。蓄積したダメージを抉る破剣の刃には、重装甲のドライアドといえど耐えられない。動きが鈍り、マイアの乱した戦車隊の隊列が一気に崩れた。
 今こそが好機――ケルベロスたちの無言の連携が呼応する。
「ミチェーリ、このままいきますよ!」
「あぁ! 今こそ二人、閉ざされた海に航路を拓く!」
 砲撃を抑えこんだ『アメジストシールド』が形を変える。三角錐の衝角、アメジスト・ラムへと変えて突進を跳ね飛ばす。その頂点、フローネの腕にミチェーリの手が重なる。青氷と紫水晶が呼応する。
「“紫水晶“と“青氷壁“が共に砕き!」
「道を拓きます!」
 その名を『Арктика』。世界最北の氷の海と、その氷の海を制する世界最大の砕氷船の名を冠する二人のワイルドグラビティは、流氷の如く敵陣を割った。

●突入、戦車工廠
「殿は引き受けます! 工廠へ!」
 しぶとくも側方より阻まんとするクレアヴォヤンスの尾撃をミチェーリの旋刃脚が強引に叩く。身にまとう『ホロドナヤ・ブローニャ』魔導スーツの冷気が拮抗し、傷つけあいながらも道を守る。
 託された間隙を抜け、アーニャは追いすがるドラゴン戦車に全火器を開放した。
「やはり工廠にも残存戦力……どのような構造か興味は尽きないが!」
「中の掃除はこっちでやっとくわ。玄関は予定通り、よろしく」
 ちらと見える工廠の姿に英世は残念そうにつぶやくが、探求に避ける余裕がないことは承知の上。共に護衛に当たる一式・要たちと手早く分担しあう。
「では、今しばらくお付き合い頂きましょう。この舞台が砕け散るまで!」
 飛び込んでいくクリームヒルト・フィムブルヴェトに背を預け、英世はさてと向き直る。
「お戻りの方々には御整列いただこう。袋叩きは御免被りたいのでね」
「同感です。全火器開放、テロス・クロノス……ここから先は通しません!」
 展開するライトニングウォールを盾に、アーニャが一斉砲撃からの時間停止。静止した時間の中でも彼女の火力は止まらない。
「『時』は私の味方です! テロス・クロノス・デュアルバースト!」
 そして開放。放たれるアーニャの多重砲撃『テロス・クロノス・デュアルバースト』が、迎撃から反撃へと流れを変えて戦車隊を押し返す。
「さて、お行儀よくできるかしら?」
 更に開かれた地形に放たれるマイアのゾディアックミラージュの軌跡。英世の構築した防壁を更に切り分けるように振るわれた神剣が、猛獣使いさながらにドラゴン戦車の戦列を誘導していく。
「今のうちです、リティさん! ピコさん!」
「了承。防衛体制を再構築する」
 アーニャの声にリティは『対艦戦用城塞防盾』を突き立て、能力を一気に開放した。
「データリンク継続……確認。これより適切な医療術式及び薬剤投与に関する技術支援リアルタイムで行う。YOU HAVE」
「I HAVE。ナノマシン、ヒールドローン生成開始。広域展開します」
 ピコの、仲間たちの、リンクした情報が目まぐるしく『電子戦・連携支援ユニット』に走る。それぞれの治癒能力に沿い『メディカル・エスコーター』支援プログラムを起動、散布。
 アップデートされたヒールドローンが大盾をカタパルトに飛翔し、仲間たちを一気に癒していく。
「後は工廠の方だが……」
「心配無用ですよ」
 ドローンとアメジストシールドを二重の盾として、フローネは力強く目線で示す。
「破壊工作はお手のものですよ」
「わたしの炎の槍でまとめて全部焼き尽くしてあげるよ!」
 ある種プロフェッショナルともいえる空木・樒の支援に、容赦なく轟竜砲を叩き込んでいくイズナ・シュペルリング。妨害なき破壊の進捗には何の不安もない。
「……けど気を付けて、敵戦力増大中」
「まぁそうだろうねっ!」
 ライトニングウォールを突き破るドラゴン戦車の車列に突っ込み、リティに答えるのは傷に汚れた白兎。それでもひるまず超広域索敵ドラゴン戦車へと飛び乗るや、彼は手に作り出した光球を叩き込む。
「まんまるお~つきさん、召し上がれ、と♪」
 ねじ込まれた『狂月掌』のエネルギーにクレアヴォヤンスのレドームが爆ぜた。

●最後の一押しを
 崩れ落ちるドラゴン戦車、飛び退く白兎に怒りの叫びと砲撃はそれでもなお収まらない。
「厚が増したのは、敵も苦しいということ。最後まで、耐えぬきましょう」
 執拗に白兎を追いかける砲撃と閃光、だが都度掠めながらも致命傷だけは、彼の身体能力と割り込むフローネの紫水晶の輝きが許さない。
 そして十分に引き付けた後は、側方より反撃。
「こっちとしてもそれなりに必死なのよね。いま住んでいる所を破壊させれると困るのよ……発動したら魔術的に見ごたえがあって面白そうだけど」
「なにそれ怖い」
 その第一撃は白兎まで恐れ入る、マイアの容赦なき蹴撃。『Banquet of the Spirits』魔力術式が零距離から放つフォーチュンスターがドライアドの重装甲にヒビを穿つ。
 すかさず叩き込ミチェーリの『сосулька』。
「七つ目……!」
 氷針の杭打ちは装甲を正確に撃ち抜き、同時に砕け散る。撃ち抜かれた傷口も露わに、のべ十数体目のドライアドが倒れた。
「ふむ……流れが変わってきたかな?」
「賛同します。工廠への攻撃に伴う生産の停止、グラビティ・チェインの供給にも滞りが生じつつあると推測」
 つまり、あと少しというわけだ。一致したピコの分析へ満足げに頷き、英世は彼女の構える『忍者刀【紅竜鱗】』とライトニングロッドを重ね螺旋を描く。
「後方、廃熱に問題なし」
「では全力で冷やしていこう」
 英世の合図にピコの髪が熱を帯びる。
 打ち出されるのは冷気。螺旋氷縛波とアイスエイジ、螺旋と魔力……二人のレプリカントから放たれる二種の力は一つの強烈な吹雪と化し、ドラゴン戦車の駆動系を冒していく。
 索敵用レーダーの熱で、あるいは重装に身を包み耐えようとするドラゴン戦車たちだが、存分に散布されたリティの殺神ウイルスがそれを許さない。
「それじゃあ後は……」
「打ち砕くのみ!」
 再びのフローネたちの『Арктика』が押し返す。重装ドラゴン戦車・ドライラドを押しつぶし、破砕する。
 最前線を叩き続けた彼女の傷は全身を守る『ダイアモンド・フロスト』あってなお相応、手を取るミチェーリの消耗も激しい。
「こんなのは柄じゃ無いけど……起こして見せましょうか、奇蹟」
 その身で二人、無事突破できたのはある種の奇蹟。支えるマイアの呟く神代の『Word of primordial』が呼び起こした再生の奇蹟……いや、それだけではないかもしれない。
「止まった……?」
 ワイルドグラビティが駆け抜けた後、訪れた静寂。呟くアーニャにマイアが笑う。
「奇蹟を思いがけぬもの、という事かしらね」
 見渡せばドラゴン戦車は倒れ、動くものは何もない。工廠は破壊され、グラビティ・チェインが尽きたのだ。
「わははははっ! この戦い、わしらケルベロスの勝ちじゃ! 鬨を上げい!」
 工廠から響く無明丸たちの声が、ひとまずの勝利を高らかに告げていた。

作者:のずみりん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月30日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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