封印城バビロン決戦~プルート・フォース・パンツァー

作者:鹿崎シーカー

「あーみんな、リザレクト・ジェネシス追撃戦はお疲れ様! 戦争終わりからぶっ続けで悪いんだけど、ちょっとこれ見て」
 跳鹿・穫は爪先立ちし、大きな日本地図を壁に貼り付けた。
 リザレクト・ジェネシス追撃戦の結果、討ち漏らした多くのデウスエクスを撃破が叶った。しかし、城ヶ島……ここではドラゴン達の命賭けの迎撃によって、固定型魔空回廊が完成してしまったのだ。
 人口密集地である東京圏に、ドラゴンの拠点がある危険性は言うに及ばず。だが、城ヶ島の奪還作戦について検討していた際、複数のヘリオライダーが恐るべき新情報を持ちこんだ。それは、ドラゴン勢力が、命を捨てでも城ヶ島に執着していた理由。彼らの狙いは日本列島に走る龍脈、フォッサ・マグナだったのだ。
 日本列島は、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの境目にある島だ。地図を城ヶ島からプレートの裂け目に沿って北に進むと、そこは『封印城バビロン』がある場所に繋がっている。
 ドラゴン勢力は、封印城バビロンと城ヶ島を結ぶ龍脈フォッサ・マグナを暴走させ、その力を以って関東圏を焼き尽くして大量のグラビティ・チェインを獲得。そのグラビティ・チェインで『惑星スパイラスに閉じ込められた』ドラゴンの達の救出を画策しているとのことだ。
 この企みを阻止するには、作戦の起点である『城ヶ島』か終着点の『封印城バビロン』のどちらかを破壊する必要しなければならない。
 現在、城ヶ島では固定型魔空回廊を通って、竜十字島のドラゴン達が雪崩れ込んでいる。これに対抗するには、戦争規模の決戦が必要となってしまうため、実質『封印城バビロンの破壊』が唯一の手段となっている状況だ。
 今回皆に頼むのは、封印城バビロンを守るドラゴンの無力化だ。

 現在、封印城バビロンには『要塞竜母タラスク』、『竜牙流星雨』、『死神マガツキマイラ』の三勢力が駐在している。我々が攻撃するのは、『要塞竜母タラスク』……の、体表面にあるドラゴン戦車工廠だ。
 ドラゴン戦車工廠から現れるドラゴン達です。多数のドラゴン戦車の製造及び、グラビティ・チェインの供給を行う、いわば無限の兵力供給機関。首長竜型超広域索敵ドラゴン戦車『クレアヴォヤンス』とトリケラトプス型重装ドラゴン戦車・ドライラドを大量に生産しており、これらの軍勢による防衛ラインを築いている。
 戦車工廠はただの工場というだけでなく、ドラゴン戦車のエネルギーたるグラビティ・チェインを供給する装置でもある。戦車工廠を破壊されれば、ドラゴン戦車の軍勢は戦闘力を失って無力化し、そのうちグラビティ・チェインの枯渇によってコギトエルゴスム化するだろう。
 ドラゴン戦車はドラゴンとしてはそれほど強くないが、一体のデウスエクスとして見るならばかなりの強敵。その上、ほぼ無限に生産されていて防衛ラインも大群によってつくられている。全滅は不可能なので、防衛ラインを強行突破して戦車工廠に突入。工廠を中から破壊するのが今回の作戦となる。工廠もまた強固で、破壊するにはケルベロス八人が全力攻撃しても一〇分ほど時間がかかる計算だ。
 また、クレアヴォヤンスは広範囲を索敵しつつ凍結光線で狙撃を行い、近距離の相手は尻尾で攻撃。ドライラドは背負った砲門からの掃射や、脚部につけたキャタピラでの突撃と近距離砲撃を武器にし、超重量級の装甲を展開して守りを固めることも可能とのこと。
「相手は強敵、数も多いし防御も硬い。倒すのは難しいだろうけど、やらなきゃ大勢の人が死ぬ! でもみんななら出来るって信じてるよ! 頑張って来て!」


参加者
一式・要(狂咬突破・e01362)
コロッサス・ロードス(金剛神将・e01986)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
旋堂・竜華(華炎の竜姫・e12108)
ウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007)
クリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)
根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)
九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360)

■リプレイ

 封印城バビロン、要塞竜母タラスク体表面を疾駆する影が多数! そのうち、青白い氷結晶めいた光の翼を広げて飛行するクリームヒルト・フィムブルヴェト(輝盾の空中要塞騎士・e24545)は、地平を埋め尽くす恐竜達の姿を発見。四肢にキャタピラを持つ首長竜とトリケラトプス。ドラゴン戦車の大群だ!
「見えてきたであります!」
「ええ、こっちでも確認できた。……はぁ」
 上空のクリームヒルトに言い、円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)が渋面で嘆息する。
「まったくもう。日本列島を物理的に分断とか……熊本の時といい、何でドラゴン共はやること為すことこうも極端なのかしら……!?」
「うーん、あの方々、は、やることが大胆、というか、大雑把、という、か……」
 太った猫を抱え、ウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007)は走りながら下顎に手を添える。九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360)が肩を竦めた。
「ま、チマチマ攻めてくるドラゴンなんて、それはそれで拍子抜けというものだけどね。全力で来てくれなきゃあ、やりがいがない」
「ええ、わかります。踊るならば強い相手と、燃え尽きる程に。それでこそ華です。そうでしょう、幻様?」
「話せるじゃないか」
 旋堂・竜華(華炎の竜姫・e12108)と微笑を交わす幻。徐々に大きくなるドラゴン戦車の輪郭を見据え、コロッサス・ロードス(金剛神将・e01986)は背の大剣を抜く。そのやや後ろ、根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)もまた、大太刀の鯉口を切った。
「なにはともあれ、日本……否、世界の興廃此の一戦に在りだ。城ヶ島での負債を幾ばくかでも返済せねばな」
「日本の両断も、閉じ込められたドラゴンの救出もさせる訳にはいきません。何としてでも作戦を成功させなくては……!」
「……そうね」
 キアリが目を閉じ、苦い表情を拭う。見開いた目が敵軍勢を鋭く睨んだ。
「あんなに苦労してスパイラスのゲートを閉ざしたんだもの。無駄にはしない」
 その時、ドラゴン戦車達が一斉に咆哮! 激震する大気に肌を撫でられながら、一式・要(狂咬突破・e01362)は片眉を吊り上げた。
「気づかれた?」
「ああ。開戦だね」
 銃を取る幻。ウィルマは袖口からのぞく肌に黒い紋様を這わせ、拳を固める。
「まあ、では、我々、は、細々とした仕事を、して、堤に穴を穿っていくとしましょう。小さなことからコツコツと、です」
「行きましょう!」
 透子が叫ぶと同時に一同は加速! 空を震わすクレアヴォヤンスの群れが青白い光線を撃ち出し、ドライラド達が飛び出してくる。弧を描いて飛来する凍結光線を見上げたクリームヒルトは大きく翼を広げて飛び上がった。哀悼のレクイエムを唄う彼女と地上を走る八人をエクトプラズムじみた光が包む!
「ボクが皆様を護るであります! はぁっ!」
 凍結光線めがけ、クリームヒルトが輝盾を突き出す! 眩い閃光を放とともに青白い光の巨大バリアが現れ、クレアヴォヤンスのビームをまとめて受け止めた! 一方の地上では砲撃しながら突進してくるドライラドに向かって竜華がダッシュ。砲弾の爆発と炎を回避して顔面の高さまで跳躍し、好戦的な微笑みを見せる。
「ごきげんよう……さぁ、一時の舞台、楽しみましょう!」
 竜華から伸びた八本の赤鎖がドライラドの首に絡みつく。驚き暴れるドライラドに竜華は燃える大剣を掲げて急降下! ドライラドは首回りの重装甲を展開して大剣をガードし、首を振り上げて竜華を弾いた。竜華は鎖を握ったまま真上を仰ぐ!
「透子様!」
「失礼します。お願い劫火……!」
 高く跳んだ透子は抜き身の大太刀に蒼炎まとわせ、竜華の鎖に突き立てた! 蒼炎が鎖を伝ってドライラドに伸び一瞬で火だるまに変える! 絶叫する恐竜の股下をスライディングで潜った要は羽織っていたグレーのコートを脱ぎ捨て二体目のドライラドへジャンプ! 彼の全身を水めいたオーラが覆う。
「んじゃ、とりあえず一発……っと」
 オーラが要の右足に集中しドリルめいて回転! 鋭い飛び蹴りがドライラドの左目に直撃して破壊せしめた。そこへ急接近していく幻とウィルマ! 蒼く燃える鎖を頭上に投げたウィルマを見ず、幻が言う。
「右、もらうよ」
「で、では、左、を……」
 幻が右手の銃と左拳を構え、ウィルマが真横に開いた蒼炎の穴から剣の柄を引きずり出す。天の鎖から降る蒼炎をまとった二人が姿を消した。次の瞬間、ドライラド左右の前脚無限軌道がそれぞれ粉砕&割断! 頭から地面に突っ込みハードランディングするドライラドを背に駆け抜ける二人に、凍結光線が降りかかった。割り込んだクリームヒルトが光の大盾を展開して防御! しかし光線と拮抗する彼女の鎧や、兜から露出した横顔を霜が白く侵し始める。
「ぐっ、うううううっ……!」
「クリームヒルトさん!」
 立ち止まった幻に、クリームヒルトが振り返った。
「ボクに構わず……先を、急ぐであります! 日本を、ドラゴンの陰謀から、護るであります!」
 その時、クリームヒルトの輪郭がぶれて二人に分身! 傷ひとつない片方がバリアを支え、もう片方が弾きだされる。キアリは満月めいた光をまとって滑り込み、クリームヒルトをキャッチする。光が鎧の霜を取り払う。
「無理はしないで! 傷なら私がなんとかするから!」
「うっ……かたじけないであります……」
「よ、よければ、どうぞ」
 ウィルマが頭のデブ猫を投げ、幻と共にバリアを回り込んで進撃を再開。猫のブレスに霜を剥がしてもらうクリームヒルトを小脇に抱え、キアリもまた疾走再開!
「ドラゴンとしては弱い……そうは言っても、やはり侮れない攻撃ね。それでも今回の癒し手として、戦線を支えてみせるわ……! アロン、あなたは……」
 傍らを走る子犬の首根っこをつかんで振りかぶる! 狙いは流れるようなステップで砲撃をギリギリかわし続ける要!
「要の力になりなさいっ! 使って!」
 投擲! 振り返った要は驚きつつもアロンを受け止め、苦笑しながら軽く放った。
「犬使いの荒いご主人だこと。じゃ、ちょっと貸してもらうわ」
 宙で丸まったアロンをつかみ、水のオーラでコーティング。吠え散らすクレアヴォヤンスへ全力投球! オーラ犬を噛みついて止めるクレアヴォヤンスの足元で、コロッサスは広げた大剣二刀に紅蓮の炎と夜明けめいた光を宿す!
「我、神魂気魄の斬撃を以て獣心を断つ……」
 垂直に跳び、二刀をそろえて横回転! 振り抜かれた二重の斬撃がクレアヴォヤンスの首を断つ! 巨大な頭部が地面に沈み、回転しながらクレアヴォヤンスより高く舞うコロッサスを、大地にひしめくドラゴン戦車達が一斉にロックオンした。こめかみに汗をにじませるコロッサス背後上空から竜華の声!
「コロッサス様、頭を下げてください!」
「む……ぬおっ!?」
 下げられたコロッサスの頭上を紅い鎖が横薙ぎに過ぎる。鎖の先、縛れらたドライラドが他のドライラドを右から左に薙ぎ払った! 空中で鎖を絡ませた鉄塊剣を振り上げた竜華は、後衛のクレアヴォヤンスめがけてドライラドをジャイアントスイング!
「はぁっ!」
 投げ飛ばされたドライラドがクレアヴォヤンスめがけて一直線に飛んでいく! クレアヴォヤンスはドリフトめいて転身すると、長大な尾で飛来したドライラドをピッチャー返し! 宙を舞うドライラドの真下に滑り込んだクリームヒルトが垂直飛翔し恐竜の巨体に雷の槍を突き刺した。槍が金色の稲妻を吹き上げ、ドライラドを天に押し上げる!
「こう、でありますかっ!」
「ありがとう。ああ、最高に良い感じだ!」
 上がって来たドライアドを見て、幻が片頬を吊り上げる。彼女の手中でスピンした赤い拳銃が展開し巨大化して伸長! 幻は長大な機械拳をムチめいてしならせ、虚空に浮いたドライラドを殴り飛ばした! 回転しながら吹き飛んだドライラドは戦車工廠の壁をぶち抜く。即座に壁の前に割って入る一体のクレアヴォヤンスの脳天に、コロッサスは二本の大剣を振り上げた!
「道を……開けてもらうぞッ!」
 刀身そろえた一撃がクレアヴォヤンスの頭蓋を砕き、地に叩き伏せた。その首から背を駆け抜け、戦車工廠にダイブした面々を射抜くドラゴン戦車達の視線。大太刀を握りしめて透子が呻く。
「多い……!」
「中にも、結構戦力を割いているようで、すね。だ、大分、彼らも手足を縛られてきているようで……」
 その時、出入り口付近で響く戦闘音。竜華は炎をまき散らす大剣を構え直し、毅然と言い放った。
「では、今しばらくお付き合い頂きましょう。この舞台が砕け散るまで!」
「中の掃除はこっちでやっとくわ。玄関は予定通り、よろしく」
 要が他班に声を投げ、クリームヒルトと前に出た。一斉に撃ち出される砲弾と凍結光線を前に、二人はそろって光のバリアを生成して防御! 光の壁を包む連鎖爆撃と光線が消えると同時、バリアをゲートめいて左右に開いたキアリとクリームヒルトの間を他の面々が駆け抜ける! 低姿勢で疾駆しながら、要が目を鋭く光らせた。
「大層な施設だわね。せいぜい守ってみな」
 跳躍してドライラドの突進を回避! 要の後ろで幻は振りかぶった機械拳に巨大な角を生やして渾身のパンチを繰り出した。拳と突進が正面衝突し幻が後方に押しやられていく。爪先で床を抉りながら、幻は拳を無理矢理ねじ込んでいく!
「おおおおおおおおおおおああああああああッ!」
 機械拳を振り上げ、ドライラドを放る。太刀を床に突き刺した透子は空中のドライラドを見上げて叫んだ。
「劫火!」
 刃から蒼炎が噴き出し、透子をドライラドのもとへ連れていく! 勢いを利用した透子はコマめいて回り、恐竜の脇腹に全力の刺突を繰り出した! 突きを食らったドライラドが真横に飛んでいき、反対の壁を突き破って叩き出される。対空する透子を狙い、一体のクレアヴォヤンスが凍結光線照射! 割り込みをかけたクリームヒルトがこれを防御し、キアリがアロンを振りかぶる!
「そこっ!」
 投げられたアロンが空中で発火し、そのまま射撃クレアヴォヤンスの首に直撃! よろめく首長竜へ、コロッサスが地に熱の線を引きながら射撃個体に肉迫!
「ふんッ!」
 紅蓮に燃える切り上げがクレアヴォヤンスを縦に斬り抜く! 天井に絶叫するクレアヴォヤンスの顔面を蹴って再跳躍した要は奥、工廠破壊班へ走るドライラドに目を付けた。
「無視なんて寂しいわね。もうちょっと付き合って行きなさいな」
 要の片足に水じみたオーラが集中し、粗い刃を形成。彗星じみた急降下飛び蹴りがドライラドの首筋に食い込み、引き抜かれて鮮血をまき散らす。悲鳴を上げるドライラドの全身を竜華の鎖が雁字搦めに締め上げる!
「途中退場は、ご遠慮くださいな!」
 鎖を伝って走った地獄の焔でドライラドを火だるまにした竜華は、マグロ一本釣りめいてドライラドを宙に引き上げ、地に打ちつけた! 直後、竜華の背にクリームヒルトの警鐘が飛んだ。
「危ないであります!」
「!」
 振り向いた竜華に連続砲撃が命中! 燃え立つ爆炎と黒煙を踏み越えんと疾駆する二体のドライラドを前に、ウィルマは両腕を広げて引き絞り、赤鎖の塊二個を投げつける。鎖は軌道上で巨大な蜘蛛の巣型になり、ドライラド二体の顔面に覆い被さった。しかし二体は零距離砲撃で鎖を吹き飛ばし、ウィルマを引き潰さんとする! ドライラド二体の頭上を突っ切ったキアリとクリームヒルトが着地して、それぞれの盾を構えた。
「下がってウィルマ!」
「ここは通さないでありますよ……この輝盾にかけて!」
 盾が先に倍する巨大なバリアを生み出しドライラドを真っ向から受け止める! キャタピラを臨界駆動させた二体のドライラドは零距離砲撃を連発。凄まじい爆撃音と共にバリアがひび割れ、支える二人の顔に脂汗が浮いた所で、ドライラド二体の片目がそれぞれ蒼炎を噴いて爆発した。大太刀を床に突き刺した透子が合図を送る!
「九十九屋さん!」
「任されよう!」
 機械腕を拳銃に戻した幻が赤黒い槍を高速回転しながら突撃! キアリとクリームヒルトの間を駆け抜け、悶絶する右ドライラドの顎下を打ち上げる! さらに着地からの再跳躍で左ドライラドの顎も打ち上げた。二足歩行上体になったドライラド二体は後ろ脚のキャタピラを逆回転させて距離を取る。態勢復帰した二体の間を貫く一条の凍結光線を、コロッサスが大剣一本で叩き斬った! キアリは頬を伝う汗を手の甲で拭う。
「ちょっと疲れてきたわね。あとどれくらいかしら……」
 仲間の近くに着地した要が、爪先で床を叩きながら肩越しに工廠の奥を見返る。激しい攻撃の音と微かに伝わってくる衝撃。
「手伝いたいところなんだけどねー。あっちはあっちで頑張ってもらうしかない、か」
「いずれにせよ、今しばらくの辛抱だ。気を引き締めろ。向こうも本気で来るぞ」
 大剣二刀流を構え直し、コロッサスが告げる。その時、クレアヴォヤンスとドライラド二体が咆哮し、極太の凍結光線と凄まじい速度の絨毯爆撃を放った。受けて立つのはキアリとクリームヒルト! 突き出した盾が超巨大な光の城壁を形成し、防御!
「はあああああああああああああっ!」
「くうッ! このッ……!」
 踏んじばる二人の足がジリジリと後ろに下がり、城壁に亀裂が入る。裂帛の気勢を上げた二体のドライラドが砲撃を続けながら突撃を敢行! 城壁を蹴って跳躍した竜華と透子が目配せをする。
「透子様。今一度合わせましょう……!」
「はい!」
 四対八本の炎鎖が射出され、特攻してくるドライラドの首に絡みつく! だがドライラドは一切止まらぬ! 城壁に角が追突する寸前で、透子は炎鎖に刀を当てて蒼炎を流し、ドライラド二体を炎上させた。絶叫し動きを止めたドライラド二体の後頭部に直上から要と幻のドロップキックが直撃! 要はオーラを振り上げた右足先に集中し、幻は大口径銃を足元に向ける。
「くひひ! 最後の一合、全力で挑ませてもらおうか!」
「だるまさんがころんだっ、と」
 蹴り下ろしと紅雷の銃撃がドライラドの首を強かに撃ち、頭を床に叩き込む! その後方では凍結光線を受け続けていた光の城壁が完全凍結して粉砕! キアリとクリームヒルトがノックバックし、膝を突いた。全身から再度冷ややかな輝きを放つクレアヴォヤンスに、コロッサスが斬りかかる!
「来たれ……黎明!」
 闇まとう業火に覆われた大剣が大上段から振り下ろされ、首長竜の頭から首を引き裂いて地に辿り着く。頭を割られた恐竜が横倒しになると共に、外から断続的な地響きが届く。中枢を振り返ったウィルマは、微かに聞こえてくる快哉を聞いた。
「こ、工廠の破壊に、成功したみたい、です。お、お疲れ様、でした、皆さん。我々の勝利、です」

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月30日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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