魔神の歌

作者:雷紋寺音弥

●海より来たる
 長崎県諫早市。
 周囲を三つの海に囲まれ、交通結節点としての色合いが強い場所だ。東部には干拓による農業地が、西部には工業団地が広がっており、農と工の二面性を持つ都市でもある。
 だが、その日に限って有明の海は、いつもとは異なり穏やかではなかった。海面を揺らし、水飛沫を上げて現れた者。それは他でもない、白い天使のような翼を生やした、巨大なダモクレスに他ならなかったのだから。
「……Aaaaaa!!」
 耳をつんざくような高温を発し、突如として機械の魔神が吠えた。その叫びだけで海面が波打ち、埠頭に並ぶ倉庫の屋根が吹き飛んだ。
「……Haaaaa!!」
 再び放たれる凄まじい高音。その度に海が荒れ、大地が剥がれ、次々と建物が破壊されてゆく。
「…………」
 やがて、目の前の大半を更地に変えたところで、魔神は翼を大きく広げて飛び去った。長きに渡る眠りによって失われた自らの力を、諫早市の人々を殺すことで補うために。

●滅びの歌声
「召集に応じてくれ、感謝する。ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)の懸念していた通り、天使のような姿をした、巨大ロボ型ダモクレスの復活が予知された」
 場所は長崎県諫早市。至急、現場に向かって欲しいと、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は集まったケルベロス達に、事の詳細について語り始めた。
「念のため、確認はしておくぞ。復活した巨大ロボ型ダモクレスは、グラビティ・チェインが枯渇した状態だ。放っておくと、それを補うために街の人間の虐殺を開始する」
 それを阻止するためには、こちらから戦闘を仕掛けて撃破する他にない。幸い、付近住民の避難は済んでいるので、現場に到着した後は敵の撃破だけに集中できる。
「敵はグラビティ・チェインの枯渇で、本来の性能を発揮できない状態だ。だが、一度だけなら、捨て身でフルパワー攻撃を仕掛けることも可能だからな。用心に越したことはない」
 その際、反動で敵も大ダメージを負うので、一気呵成に畳み掛けるチャンスでもある。もっとも、戦闘に使える時間は、敵が復活してからせいぜい7分。それ以上は、敵が魔空回廊を開いて撤退してしまうため、追撃するのも不可能となる。
「敵の武器は、右手から繰り出す光の剣と、左手から放つ光の矢だ。その他に、口から放つ音波攻撃も強力だな。こいつを食らうと、あまりの毒音波に感覚がやられて、本当に肉体まで蝕まれてしまうから注意してくれ」
 加えて、敵は見た目以上に俊敏で、機動力も馬鹿にできない。制限時間が課せられていることから考慮すると、的確に役割分担をした陣形で迎え撃つのが、勝利への鍵と言えそうだ。
「天使の歌声……確かに、本物であれば美しいだろう。だが、機械の魔神が奏でる歌声では、より多くの涙が生まれるだけだ」
 歌は人を幸せにするが、しかしこの天使の歌声は人を不幸にする。
 偽りの天使に、翼も歌も必要ない。二度と再び蘇らないよう、しっかり撃破して欲しい。
 そう言ってクロートは、改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)
呉羽・律(凱歌継承者・e00780)
リィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)
天音・迅(無銘の拳士・e11143)
燈家・彼方(星詠む剣・e23736)
清水・湖満(氷雨・e25983)

■リプレイ

●第一楽章:目覚め
 潮風の吹き抜ける倉庫街へと降り立てば、そこは既に戦いの舞台。海面を突き破り、巨大な機械の天使が現れる音が、開幕のブザーの代わりとなる。
「新年早々、慌ただしいもんだな。もうちょい、空気ってのを読んでくれると、助かるぜ」
 願わくは、このまま世界の終わりまで、永遠に眠っていて欲しいものだ。そう言って帽子を被り直す水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)だったが、機械の天使にとっては地球に住まう者の事情など知ったことではないのだろう。
「天使の様な姿をしたダモクレスですか。ですが、如何に天使の姿をしていても、破壊を行うならそれは悪魔にすぎません」
 美しい翼と彫刻のような身体を持った機械の天使を前にして、しかしミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)は実に冷静だった。
「歌は人の心を癒し、時に力を与えし物。されど貴様の歌は、破滅と絶望しか生まぬ……」
 そちらが破壊の天使を名乗るのであれば、こちらは地獄の番犬としての務めを果たそう。そう結んで、リィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)は高々と長剣を掲げ、呉羽・律(凱歌継承者・e00780)も、それに続いた。
「その歌声、一つ残らず打ち砕かん!」
「さぁ、戦劇を始めようか!」
 今よりここは、壮大なる歌と音で満ち溢れる戦場だ。だが、舞台を演じられる時間は決して長くないことを、番犬達は知っている。
「時間は7分……。その間に、必ず決着つけてみせるよ。8人全員守って、皆で家に帰るんや」
 慎重に狙いを定め、清水・湖満(氷雨・e25983)は機械の天使の身体目掛けて、真っ直ぐに如意棒を突き出した。その先端が敵の装甲を貫いたところで、続けて仕掛けたのは鬼人だったが。
「逸るな! それは悪手だ!」
 空の霊力を宿した刃で斬り付ける鬼人に、ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)が後ろから叫んだ。
 果たして、そんな彼の言葉は正しく、機械の天使は少しばかり揺らぎはしたものの、それ以上に何かのダメージを負うことはなかった。
 空の霊力を纏いし一撃は敵の傷口を大きく広げることもあるが、それは即ち、元になる傷口がなければ本来の持ち味を生かせないことも意味している。一通り、敵味方の手番が終わってから繰り出さねば、効果の面では今一つ。
「私が足を止めます。慌てずに行きましょう」
 それでも当ててくれただけ幸いだと考え、気を取り直してミントが仕掛ける。時間制限のある戦いにおいて、真に恐ろしいのは攻撃を外すこと。使える手数が限られている以上、一手でも無駄にできないのだから。
「この飛び蹴りで、まずはその機動力を奪ってあげますよ」
 敵が大空へ飛び立つよりも早く、ミントの脚が白き翼を蹴り抜いた。金属とは思えぬような材質の羽が散り、機械の天使は少しばかり後退ったが、しかしいつまでもやられてはいなかった。
「……Woooo!」
 腹の奥から発せられるような叫び声を上げ、天使は大きく弓を番えるような動作をする。その動きに合わせ、腕より発せられた眩い光が弓と矢を形作り、まるで本物の弓矢の如く、空を切る音を立てて放たれた。
「……っと! もしかして、オレを狙ってんのか!?」
 自分に向かって矢が飛んで来たことを察し、天音・迅(無銘の拳士・e11143)は慌てて身を隠せる場所を探しつつ走り出した。もっとも、矢の速度から考えれば、彼が逃げられる可能性は存在せず。
「……させません!」
 矢が迅の身体を捉える瞬間、燈家・彼方(星詠む剣・e23736)が間髪入れずに割って入った。が、命中した光の矢は彼の身体を貫くことはなく、むしろ今までになく激しい光を放ち、周囲の地形諸共に、強大な爆発を起こして彼方の身体を吹き飛ばした。
「……さ、さすがですね。もう少し当たり所が悪かったら、危なかったですよ……」
 爆風の中から姿を現した彼方は、早くも身体のあちこちに血が滲んでいる。敵の最大の武器は機動力だが、火力も決して低いわけではないようだ。
「その力、確かに神々の眷属を騙るに相応しいものかもしれぬ。だが、そこまでだ! 機械の天使よ……我が爪と牙を以て、貴様の翼と歌声を破断する!」
 こうなれば、こちらも遠慮は不要。最初から全力全開で仕掛けてやろうと、ジョルディは自らの身体を炎に包み、捨て身の覚悟で突撃し。
「さあ、ここからが本当の戦いだ。まずは守りを固めよう」
「準備不足で、大事な一撃をスカにするわけには行かねぇよな? まあ、そこんとこのフォローは、オレに任せな」
 リィンが長剣を掲げて星辰の加護を広げて行けば、迅もまた自らの持つオラトリオとしての力を解放し。
「時の欠片が見えるかもしれねえな?」
 彼が見せることのできるのは、ほんの一秒にも満たない刹那の未来。だが、人知を超えた力を以て侵略者と戦うケルベロスにとっては、それでも十分な助けとなる。
「右の翼は既に断った。ならば、左の翼は俺が断とう」
 それに続けて、仕掛けることはできるか。そんな律の問いに、彼方は傷の痛みを堪えながらも頷いて。
「ええ……。まだ、守りに入るには早過ぎますから……」
 そこから先は、歯を食いしばって何も言わない。この程度の痛みに気を乱されては、当たるはずの一撃も当たらなくなる。
「この一刀にて、あなたの武を断ちます……!」
 律の脚が天使の左翼を貫いたところで、彼方もまた二振りの刃を手に敵との距離を一気に詰めた。そのまま超高速の斬撃で敵の腕を斬り付ければ、光の矢を生成した敵の腕甲が、激しい火花を散らして吹き飛んだ。

●第二楽章:真眼
 毒の歌声を撒き散らし、背中の翼で縦横無尽に飛び回る機械の天使。制限時間の課せられた中、この条件はなかなか厳しいものがある。
 こちらが翼を蹴り抜いて足を止めれば、天使もまた光の剣で斬り掛かることで、番犬たちに圧力をかけてくる。ならば、狙いを定められるよう誰かがフォローに回れば良いのだが、しかしあまり補助にばかり手を使ってしまうと、今度は肝心の攻撃に割く手が不足する。
「なかなかやるな……。だが、こちらとて、退けぬ理由がある!」
「夜の帳纏いし紫の歌よ……彼等から奪い給え!」
 炎を纏った斧の一撃をジョルディが叩き付ければ、続けて律が奏でるのは紫紺の霊歌。命と死を秤にかけ、光と闇を入れ替える呪詛の調べは、それを聞く者の魂をも削り、歌い手の糧として奪い取る。
 手数の限られた戦いである以上、攻撃と回復を兼ねた技を用いて戦うのは悪くない手だ。もっとも、いかに律が敵の体力を奪いながら戦えるとはいえ、それでも限界というものはあるだろう。現に、彼の身体にも戦いによる疲労が蓄積し、それは奪うという手段では癒し切れない傷を刻んで行く。
「地味に厄介な相手だな。今のところ、そこまで手酷い被害はないが……」
 長剣を掲げるリィンの顔に、微かな曇りが生じていた。敵は強力な技こそ持たないものの、徐々にだが確実にこちらの体力を削ぐような方法で攻撃してくる。加えて、光の弓による一撃は極めて高い命中精度を誇るが故に、常に急所を射抜かれる危険性が付き纏う。
「竜砲弾よ、敵の動きを封じよ!」
 ミントの放つ轟竜砲が敵の翼へ穴を開けるも、それでも機械の天使は止まらない。足を止められたところで攻撃に支障はないとばかりに、ともすれば光の剣を振るうことで、こちらの攻撃を薙ぎ払わんとする素振りさえ見せ。
「面倒なやつだな。その翼、二度と飛び回れないよう斬り落としてやるぜ!」
 ならば、今度は攻撃の精度さえも削いでやろうと、鬼人は左の翼目掛けて美しい弧を描く斬撃を繰り出した。
「……Aaaaaa!!」
 女性の絶叫にも似た悲鳴を上げ、天使の翼が大地へ落ちる。その傷口へ塗り込むように、続けて迅が幻影の龍を呼び出して炎を紡がせて。
「残りの時間も少ねえからな。悪いが、少しでも削らせてもらうぜ」
 広がる炎が天使の身体を包み込み、純白の装甲を溶かして行く。剥がれ落ちた鎧の下に見えるのは、無数のパイプが複雑に絡み合った機械の身体。破壊の天使の正体ともいえる、冷たく不気味な鋼の塊、そのものだ。
「残り2分。これなら……」
 ここから先は、一気呵成に仕掛けるのみ。気合で負傷を吹き飛ばし、更なる攻撃に備える湖満だったが、果たして、そんな彼女の読みは正しかった。
「あれは……瞳が開いた!?」
 敵が今までにない動きをしたことで、彼方が思わず仲間達に叫んだ。
 天使の瞳を覆う、青きガラス細工を思わせる美しいバイザー。それがゆっくりと上がって行き、その下にある二つの瞳が露わになる。車輪の如き瞳孔を持つ瞳が輝いたところで、敵は周囲の空気を激しく震わせると、そのまま大きく口を開いた。
「……Raaaaaa!!」
 瞬間、解き放たれる凄まじい衝撃波。その勢いは、今までの戦いで天使が見せた歌声の比ではない。
 埠頭の倉庫が一瞬にして吹き飛び、海面が激しく揺れて波打った。地面を覆っていたコンクリートが剥がれ、それらは無数の瓦礫となって、津波のように迫って来た。
 正に全身全霊、反動さえ顧みない捨て身の一撃。機械の天使が見せた本気の歌声は、それだけで戦場の空気を一変させる程に、凄まじい威力を秘めていた。

●第三楽章:不屈
 強烈な音の嵐が過ぎ去ると、そこに広がっていたのは荒涼とした光景だった。
 衝撃によって倉庫の屋根は無残にも剥がされ、他にもあちこちに瓦礫の山が広がっている。崩れ落ちた建物の残骸を強引に押し退けて顔を上げれば、機械の天使もまた反動により、決して浅くはないダメージを受けていた。
 顔面を覆う装甲は完全に崩壊し、もはや神々しい天使としての面影はない。歯車と動力パイプが剥き出しとなった、グロテスクな内部が丸出しになっている。
「嗚呼なんて声なんだ。歌はもっと美しくあるべきだよ……」
 瓦礫の欠片を払い律が言った。あれだけの攻撃を受けたにも関わらず、自分は無傷。それは即ち、彼の代わりに敵のフルパワー攻撃を受けた者がいるということで。
「……なんとか、無事にやり過ごせたやろか……」
「正直……今のは……堪えましたよ……」
 仲間の盾として敵の攻撃を受けたのは、他でもない湖満と彼方の二人だった。
 守りを重視した陣形を取っていたとはいえ、自分も狙われている状況で、更に他人まで庇えばそれだけ負担も増してしまう。範囲攻撃とはいえ、直撃を受ければ無事では済まない一撃を、数回分も纏めて受けたのだ。
 このままでは、遠からず二人は力尽きる。だが、残り時間を考慮すれば、回復に回している手数はない。
「僕達のことは、構わないでください!」
「私が倒れたら……後のことは、任せたよ」
 満身創痍の身体に鞭を打って、彼方と湖満は自らの負傷も顧みず、機械の天使へと仕掛けて行く。このまま戦えば、最後まで立っていることは難しいかもしれない。だが、それでも構わない。
「僕の力が、少しでも役に立つのなら……」
「この短い時間を、懸命に生き続けるんや。ヒトの命は、短いものやからね……」
 二振りの斬撃が空を裂いて飛翔すれば、それに追随する形で影の弾丸が敵を射抜く。同時に、二人の身体に残された猛毒が、恐ろしい速度で残る体力を奪って行く。
 癒しの加護は、行動した後でなければ効果を発揮しない。永続的に身体を蝕まれることはないにしても、無敵になれるわけではない。
 そのような状況で、敢えて特攻に近いスタイルを取る。常識的に考えれば、無謀としか思えない戦い方だった。それでも、二人は信じていた。ここで自分が倒れても、残された仲間達が必ず敵を倒してくれると。
「……Haaaaa!」
 ケルベロス達により、四方八方から攻撃を浴びせられる機械の天使。翼は折れ、鎧は剥がれていたが、しかし敵もまた諦めない。
 右手に生やした光の剣。それを振り下ろすことで、天使は最後の抵抗を試みた。迫り来る光の刃を受け太刀で止めようとする彼方だったが、さすがにそこまでの余力は残されていなかった。
「……っ!?」
 刀諸共に叩き伏せられ、彼方の身体が大地に沈む。残り時間も、後僅か。ここで決めねば、今までの犠牲が全て無駄になる。
「俺の火力じゃ、こいつを落とすには足りねえか……。だったら、固めて砕くまでだ!」
 止めは任せた。それだけ言って、まずは迅が時をも凍らせる絶対零度の弾丸を叩き込む。続けて、リィンが凍結部を抉るように刃を突き立てれば、そこを目掛けて鬼人が真正面から斬り込んだ。
「我流剣術『鬼砕き』、食らいやがれ!」
 斬撃の重なりで弱くなった一点を貫き、確実に止めを刺すことのできる技。だが、それを食らってもなお、敵は動きを止めようとはせず。
 火力だけなら、単に非物質化した刃で斬り付けるか、急所を狙って斬り付けた方が上だった。掠れる声を漏らしながら、付け根だけの翼を羽ばたかせ、天使は空へと舞い上がる。
「逃げられませんよ、どこにも!」
 逃走を阻止すべく、ミントがすかさず気弾を放った。小さな爆発ではあったが、敵の動きを止めるのには十分な一撃。
「行くぞ、相棒。人間の底力、機械の偽神に見せてやろうぞ!」
「ああ、そうだな。地を這うヒトの歌でも天を震えさせることができることを、最後に教えてあげないとね」
 全身を炎に包み、突撃するジョルディ。その背に備え付けられた砲塔に乗る形で、同じく敵へと肉薄する律。
 繰り出されるは、燃え盛る斧と杭による重ね技。その上に、更に重ねる形で、二振りの刃が交差する。
「「鉄鴉連奏! 攻凶曲”終焉”」」
 十字と十字が重なって、敵の傷口から凄まじい勢いで地獄の業火が溢れ出した。
 機械の天使に、翼は要らない。偽神の帰りし場所は天界に非ず。爆発四散した残骸は海へと落着し、そのまま波間の中へ飲み込まれるようにして消えて行った。

●最終楽章:凱旋
 戦いの終わった埠頭は、随分と凄まじい状況になっていた。
「随分と建物も壊れましたね。念入りにヒールしましょう」
 瓦礫だらけの光景に、ミントは気を取り直して修復作業へ取り掛かる。そんな中、鬼人はふと、ダモクレス達への疑念を述べてみたが。
「そういえば、こいつらって、なんでグラビティ・チェインが枯渇してるんだろうな?」
「過去の大戦で使い切ったか、もしくは封印されている間に消耗したのだろう」
 別に、最初から枯渇していたわけではない。しかし、それが今の自分達にとって、救いとなっているのも事実だと、ジョルディが答えた。
「片付け終わったら、練習に戻った方がええよね? 公演もあることやし……」
 そんな中、すべてを守りきれたことに安堵の溜息を吐きつつ、湖満がジョルディや律に告げた。
 かくして、この度も破滅の運命は覆り、世界は歓喜の歌に満ちる。だが、この希望を明日へと繋げるためにも、番犬達に休むことは許されないのだ。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。