成人ならば、我と戦え!

作者:なちゅい

●大人ならば、遠慮はいらぬな?
 宮城県某所。
 その日、とある文化会館では、自治体による成人式が行われていた。
 大学や就職などで地元を離れる者も多いが、この日の為にと帰郷して友人達との再会、そして成人となったことを互いに喜ぶ。
 会が始まれば、自治体の長による祝辞、そして、成人の儀が粛々と執り行われる。
 そんな最中だ。会館の壁を破壊して闖入者が現れたのは。
「ほう、成人の儀とな」
 身長3mもある黒い鎧を纏ったエインヘリアルはゆっくりと会場を見回す。
 果たして、大人になった地球人がどの程度の力を持つのか。ジョルジオと名乗ったそいつは笑みを浮かべて大剣を抜き、刀身を燃え上がらせる。
「成人ならば、我と戦え!」
 勝負を挑んでくるエインヘリアルだが、その場にいたのはケルベロスでもない一般人のみ。
 慌てふためいて逃げる新成人達は抵抗もできず、ジョルジオに切り裂かれ、あるいは舞わせる炎で体を燃え上がらせてしまう。
「せっかく自由になれたのだ。もっと我を楽しませてみろ!」
 さらに刀身を真横に振るい、目の前の成人1人を一刀両断した敵はこの場に立つ者がいなくなるまで刃と炎を振るい続けるのだった。

 予知で確認された罪人エインヘリアルの出現。
 ヘリポートに集まるケルベロス達へと、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)がその事件について説明を始めている。
「皆にその討伐を頼みたいんだ」
 今回の事件は、綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)の一言がきっかけとなって発覚した。
 どうやら、宮城県某所の成人式の会場へとエインヘリアルが襲撃してくるらしい。
 アスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者であるこの敵を放置すると、多くの人々の命が奪われるだけでなく、人々に恐怖と憎悪を振り撒くことにも繋がる。
 合わせて、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせてしまう為、なんとしてもこの場で倒してしまいたい。
「罪人エインヘリアルは、ジョルジオと名乗るようだね」
 身長は3mほど。地球人などからすればかなり大柄な相手だが、エインヘリアルとしては一般的な体格だ。
 戦闘狂であるこのエインヘリアルは、手近な者から戦いを挑むらしい。
 クラッシャーとして炎と大剣を使いこなし、ケルベロスでいうところのブレイズキャリバーと同様とグラビティを使用してくるようだ。
「現場は、宮城県のとある文化会館だよ」
 成人式の参加者は300人ほど。保護者や式の関係者を合わせれば、500人ほどいる。
 それらの人々が参列する成人式の最中に、ジョルジオは会場の壁を破壊して現れる。
 大混乱する会場で彼は新成人達をメインに会の参加者へと次々に切りかかり、炎を浴びせかけて殺害してしまう。
「状況的に心苦しいけれど、避難勧告はエインヘリアルが出現してから始めてほしい」
 この場に人がいなければ、エインヘリアルは人が集まる別の場所へと移動するだけ。そうなれば、被害を防ぐことが難しくなってしまう。
 一応、数人の警備員なども常駐してくれてはいるので、彼らと駆け付ける警察隊などと協力して人的避難に当たりつつ、襲ってきた罪人エインヘリアルの討伐へと当たりたい。
「使い捨ての戦力として送り込まれていることを自覚しているから、敵は逃走せずに死力を尽くして戦うはずだよ」
 事後は、再会した成人式で、新成人達へとケルベロスとして何か声をかけるとよいだろう。もしかしたら、その一言に新成人達も何か感じる物があるかもしれない。
 説明を終え、リーゼリットはすでにヘリオンの離陸準備を済ませていたのか、ケルベロス達へと乗るよう促す。
「準備ができていたなら行こうか。新成人達をキミ達の手で助けてあげてほしい」
 そうして、彼女はケルベロス達へと握手を求め、事態の解決を願うのだった。


参加者
ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)
ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)
綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)
久遠・征夫(意地と鉄火の喧嘩囃子・e07214)
佐藤・非正規雇用(ルーク・e07700)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
デュオゼルガ・フェーリル(月をも砕く蒼狼拳士・e61862)

■リプレイ

●成人式と式を襲う無粋な敵
 宮城県某所の文化会館。
 粛々と執り行われる成人式を、ケルベロス達は内部で待機しつつ見守ることとなる。
「私も今年で成人ですので、他人事じゃないです」
 今チームの紅一点、銀髪に緑の瞳のミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)は今年度の新成人だ。
 ただ、ケルベロスとして成人を祝う場がないこと、何よりデウスエクスが暴れている以上、やる暇もないのだと彼女は溜息をついた。
「成人式かー……。その時はすでにケルベロスだったからなぁ、行ってなかった気がする」
 着物姿の人派ドラゴニアン、久遠・征夫(意地と鉄火の喧嘩囃子・e07214)は昨年度の成人。終わったその空気に浸ろうと考えていたようだ。
「成人式か……俺は何年前かな」
 色黒の竜派ドラゴニアン、佐藤・非正規雇用(ルーク・e07700)はあの頃はこんな大人になると思ってなかったと言いながら、巫術服姿をした綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)の頭をからかうようにぽむぽむと触る。
「……佐藤さん、俺ももう大きくなりましたので」
 むーっとしつつも、抵抗しない鼓太郎は今年15歳。すでに、成人男性と遜色ない体つきにまで成長している。
「致し方ありません、彼奴らには怒りも憎悪も不要。里に下りた害獣の如く対処しましょう」
(「綾小路は一昔前なら、まもなく元服でもある年齢だな」)
 そんな鼓太郎を、色黒な肌の白狼、ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)が優しげに見守る。
「成人の儀は神聖な物。成長過程を終え、社会に出る者達への節目であり、門出だ」
 続き、年甲斐もなく少年をからかう非正規雇用を生暖かい糸目で見送ってから、ディークスも一言。
「折角の『平和的な儀』を……邪魔はさせん」
 仲間達の主張に、藍色の毛並みの持つ狼獣人型のウェアライダー、デュオゼルガ・フェーリル(月をも砕く蒼狼拳士・e61862)は大いに同意して。
「大人になったら手加減無用、って言ってっけどさ。戦闘経験がない一般人を無差別に襲うその行動が気に食わねぇ」
 デュオゼルガもすでに成人済みだが、その挙動もあって些か幼く見えてしまう。
 その時だ。会館の側面部が破壊されたのは。
「子供が大人へと認められる晴れの舞台を、罪人エインヘリアルなんかに荒らされてたまりますか!」
「エインヘリアルの対峙は初めてだが……、やるっきゃねぇな! 俺たちケルベロスが相手してやるぜ!」
 すぐさま、ミリムは近場の仲間と敵の迎撃へと当たり始め、ディオゼルガはこの場にいる多数の式典参加者の避難に動き出していった。

●成人を狙うエインヘリアル
 この場に現れたのはエインヘリアル、ジョルジオ。
「ほう、成人の儀とな」
 燃え上がる大剣で壁を破壊したそいつは会場を見回そうとしたが、有無を言わさずに非正規雇用がバトルオーラを纏う拳で殴りかかる。
 間髪入れずに、ミリムが光輝のエネルギーを集中した拳で打ち込んでいった。
「成人になる私を楽しませてくれる遊び相手はジョルジオ、あなたでしょうか?」
 2人の奇襲をエインヘリアルは防ぎ、自分から向かってきた相手に喜んで。
「ほう、成人ならば、我と戦ってみろ!」
 嬉々として、ジョルジオは炎の大剣を振り上げてきた。
 そんな敵に、逆立った赤髪にワイルドさを感じさせるジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)は、大儀そうに息を吐く。
「『成人なら戦え』ってか……。クッソ面倒くせェ言い回ししやがって……」
 一般人に注意を向けぬ為、ジョーイは外で拾った小石を素早く投げつけて無駄に図体のでかい相手の気を引いていた。

 会場内では、急ピッチで式参列者の避難が進む。
「急いで避難を」
 目深に被るフードから、金色の瞳を煌めかせるギルフォード・アドレウス(咎人・e21730)が割込みヴォイスを響かせていた。
 ところが、参列者には袴、華やかな着物の者もおり、避難はそれほどスムーズにはいかない。
「吾々はケルベロスです、此処はお任せください。皆様は急ぎ此方から避難を!」
 鼓太郎も正面入り口から人々へと呼びかける。ケルベロスと気づけば、警備員が役割の交代を申し出てくれていたようだ。
 そんな鼓太郎の姿を視界に入れつつ、非正規雇用は相手を挑発する。
「おいおい、新兵なんかに勝って嬉しいのか? 大物はこっちだよ」
 会場の壁を破壊した敵へ、俺という壁は砕けまいと非正規雇用は胸を張ってみせた。
「ふん、誰がうまいことを」
 挑発をさらりと流し、ジョルジオは自らの体の炎を燃え上がらせ、自身の力を高めていく。
「戦って欲しいのだろう……? 余程手応えはあるぞ」
 そのタイミング、ディークスが『晶樹の手鎚』より砲弾を撃ち込み、文字通りに敵の足止めを狙う。
「避難には時間も掛かる。……耐えてくれ」
 ディークスは盾役となる非正規雇用の身を案じていたようだ。
 そのやり取りの間に、ミリムも『ブルーフレイムラズワルブレイド』を深く構え、突撃態勢をとって力を蓄えていく。
 動き出す敵を見て、征夫も戦況全体を見ながら構えをとる。
 前衛陣がうまくエインヘリアルの気を引いてはいるが、いつ狙いを変えるか分からないと征夫は備えていたのだ。
「要は喧嘩してェ、もっとぶっちゃけりゃあ一方的に殺してェ……ってことだろ?」
 ジョーイも仲間の抑えがうまく機能していると察し、冥刀「魅剣働衡」に手をかけて直接相手に問いかける。
「なら、素直にそう言えばいいじゃあねーか!」
「御託はいい、いくぜ!」
 さらりとケルベロスの叫びを交わしつつも、戦闘狂の戦士はにやりと口元を吊り上げ、その身の炎をさらに勢い良く燃え上がらせたのだった。

●燃え上がる闘志をぶつけてくる戦士
「落ち着いて、正面入り口から避難してください!」
 会場内に、鼓太郎の声が響く。
 彼はエインヘリアルも注視しており、攻撃がこちらに来ないかと警戒も強める。
 警察隊が駆け付けてきたことでギルフォードは協力を仰ぎ、デュオゼルガも連携して人的避難を進める。
 さて、エインヘリアル、ジョルジオは笑いすら浮かべて炎の大剣で切りかかってくる。
 それを率先して受けるは、非正規雇用だ。
 相手が繰り出す炎に彼は紙兵を撒きつつ耐え、溺愛するほど可愛がるオルトロス、店長に狙撃を任せており、神器の瞳で睨みつかせる。
 それもまたチャーミングと思う愛犬家の非正規雇用はさておき、異質な炎はエインヘリアルの体を焦がす。
 隙を見たミリムが相手の武器に傷を入れようと、大剣で切りかかっていく。
 しかしながら、単純な力では相手が上。
 ミリムも押され負けても自らの大剣を盾にして、なんとか押し返そうと踏ん張って見せる。
「派手に暴れてやるぜ!」
 そこで、鬼神のごときオーラを纏ったジョーイが仕掛ける。
 モーションの長さに難のある技だが、仲間達が気を引いてくれていたこともあって彼は威力を出すことに専念して。
「……でぇりゃァァァ!!!!」
 悪鬼羅刹を一撃で倒すとも言われる一撃で、ジョーイはジョルジオを切り伏せる。
 だが、敵も致命傷はしっかりと防いでおり、そのままジョーイと剣を組み交わす。
 その瞬間、互いに楽しそうに笑って見せる。
 ただ、先にも述べた通り、力は敵の方が圧倒的に上だ。
 この為、相手に突破される可能性も考え、ディークスは意思が紡ぐ歓喜の唄を響かせる。
「唄え。その想い示す儘に」
 唄は青い稲光となって駆け巡り、相手の体を焦がして黒い花を咲かせる。
 その花は神経を蹂躙し、破壊していくものの、相手も強靭な肉体を持つエインヘリアルだ。そう簡単に壊されはしない。
「さー、狩らせてもらいますよっ!」
 征夫も地面に手をついて飛び上がり、相手の頭へと飛び乗る。
 そのまま彼は相手の脳天を土台として飛び上がり、尻尾を叩きつけてから旋回して相手を翻弄する。
「ちょこまかと……!」
 迎撃に当たるメンバーがうまく時間を稼いだことで、ある程度避難も進んだようだ。
 駆け付けたギルフォードは、すでに疲弊し初めていた前衛陣へとオウガ粒子を飛ばして回復支援を行う。
 交戦していた仲間の回復には鼓太郎もメイン回復役として当たるが、その前にとジョルジオへと問う。
「ところで、故郷で一体、如何なる罪を如何なる故あって、犯したのでしょう?」
「聞きたいか?」
 口元を歪ませ、目を怪しく光らせる敵から、鼓太郎は視線をそらして。
「まあ、どうでも良い事です。悔悟の念すらないのなら最早、思う所は有りません」
 事もなげに、鼓太郎は「紅瞳覚醒」の歌詞を口ずさみ、仲間達を奮起させていく。
「粉砕の時間だッ!」
 そして、デュオゼルガはオルトロスのラゴゥを自らの護りにつかせ、獣の拳で相手に殴りかかる。
「あぁ? ガキでも容赦しねぇぜ」
「うっせー! こう見えて、俺は成人済みの22歳だっ!!」
 童顔を気にするデュオゼルガは苛立ちながらも、戦籠手で覆った腕で今度は殴り掛かっていくのだった。

 炎を舞わせて襲い来るエインヘリアル、ジョルジオ。
 燃え盛る炎は、ケルベロス達を個別に襲い掛かる。
 斬霊刀『白刃 不動』で淡々と切りかかっていたギルフォードだったが、その最中で彼はジョルジオから炎の斬撃を浴びてしまう。
「おらおら、どうした?」
 身を引く彼へと敵は大剣から炎弾を飛ばすが、それを非正規雇用が受け止めみせた。
「気合い入れろ! 相手はイキった野郎一人だぞ!」
 体を燃やし尽くされそうになるほどのエネルギーを浴びた仲間へ彼は叫びかけ、ボール状に圧縮したオーラを蹴りこんで強引に治癒へと当たる。
 鼓太郎も仲間が倒れそうだと察し、此の世を守護する誓いの祝詞をあげる。
「遍く日影降り注ぎ、かくも美し御国を護らんが為、吾等が命を守り給え、吾等が力を寿ぎ給え」
 ギルフォードの心臓より現れた光の球は彼の全身を包み、癒しをもたらしていく。
「わひゃー……、流石エインヘリアル、強ぇな……!」
 一撃が強力な敵に、デュオゼルガも圧倒されていたようだ。
 とはいえ、メンバー達は相手の攻撃をうまく受け、回復し、手数をもって攻め立てていく。
 ミリムは度重なる攻撃で相手の炎の大剣に亀裂が入ったことを確認し、持ち替えた『灼熱の竜棘鎚』の先端から相手の大柄な胴目掛けて虚無球体を放出する。
 全てを消滅させるそれに気を取られるジョルジオへ、ディークスも『晶樹の手鎚』を手に殴りかかっていく。
 球体を浴び、さらに凍りかけたその胴目掛け、征夫が『妖刀亀斬り』で緩やかな弧を描いて切りかかれば、ジョルジオは身を竦めてしまって。
「何しやがった……!?」
「その足、止めさせてもらうぜッ!!」
 続けて、相手をかく乱するように戦場を飛び回っていたデュオゼルガが狼人の雄叫びと共に、渾身の一撃を拳で打ち込んだ。
 体重を預けた重い一撃に、ジョルジオの足が止まる。
「一発デケェの行くから、しっかり受け止めろよ?」
 その技はすでに幾度か仕掛けていたが、ジョーイは敢えて相手に一言告げた。
 今度も、仲間が絶好の隙を作ってくれている。
「……でぇりゃァァァ!!!!」
 叫びかけたジョーイが相手を切り裂いた瞬間、追撃するミリムが渾身の力でジョルジオを地面へと叩き潰す。
「こんな、バカ、な……」
 自らの敗北を受け入れられぬまま、エインヘリアルは式場の床へと崩れ落ちていったのだった。

●新成人に祝辞を
 戦場となった文化会館と、ケルベロス達は手慣れた様子で修復を始める。
 ギルフォードが会館内へとオウガ粒子を、征夫がドローンを飛ばして破壊箇所の修復を進め、ミリムは他者向けヒールが無い為仲間の手伝いへと当たっていく。
 気力を発していた鼓太郎が細部を整え、外で待っていた参列者達へと呼びかける。
「お騒がせして大変失礼致しました。無事討伐と相成りましたので、どうか式の再開を御願い致します」
 落ち着いた様子で応対する未成年の鼓太郎に、新成人達は舌を巻いてしまう。
 新成人といえば、ミリムも再開される式に参列者の一員として参加させてもらうことになった。
 スーツを正し、彼女は晴れやかな表情で他の参列者と記念撮影したりする。
 その非正規雇用は、近場で新成人女性を口説いていたのだが。
「フッ。おぜうさん方……。本当の意味で大人になってみないかい?」
(「今回のお祝いは全て、佐藤さん持ちですね……!」)
 悲しいかな、彼はミリムを含め、新成人女性達から体の良い財布代わりにされていたようだ。

 再開した式典でケルベロス達は祝辞を求められ、数人のメンバーが壇上へと上がる。
 征夫はあまり語ることも無いとしながらも。
「強いて言えば、こんな感じの今なんで、前向きにやれる事は色々やっといた方がいいですよ」
 人生、何が役に立つかわからないと彼は話す。
 また、人との繋がりについても軽く触れ、自衛の為にも辛いと感じたときには誰かを頼ることも大切だとも、征夫は語っていた。
 その後、デュオゼルガが明るく式場内の参列者に呼びかける。
「戦闘なんか出来なくたって、社会貢献する方法はいくらでもあるからな。いい社会人になれるよう頑張ってくれー♪」
 次に、マイクを渡されたジョーイは「クッソ面倒くせェなァ……」と頭をかいて。
「……おめっとさん」
 彼はそっけなく一言だけ会場内に響かせ、壇上から降りていく。
 締めに、ディークスが新成人達を祝福する。
「成人おめでとう。……これから、社会的にも身体的にも1人の大人となります」
 成人になると許可されることも増え、自分らしい生き方の選択幅が増える事にも繋がる。
「同時に、成人としての責任も負う事になります」
 権利と義務。それを追った新成人達が自分らしい生活を送れるよう、ケルベロスとして努めていきたいとディークスは話す。
「新たな門出を心よりお祝い申し上げます」
 ケルベロスの言葉に何か感じた新成人達は、惜しみない拍手を送って祝辞に応えたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。