リザレクト・ジェネシス追撃戦~すべてはレリのために

作者:沙羅衝

「ケルベロスの大攻勢に備え、我らは準備万端に戦力を整えていた。にも関わらず、先の戦で起きたのは小競り合いのみ。……どうやら、ケルベロス共は我らの事をかなり恐れているようだ!」
 王女レリの言葉を聞き、親衛隊の『絶影のラリグラス』は頭を垂れながらも、奥歯を噛み締めていた。
 前回の戦い以降、レインボーブリッジに陣取った我が隊はケルベロスからも、そして第二王女ハールからも完全に捨て置かれた気がしてならなかったからだ。
(「違う……。現に以前戦った奴らは、目的を達成する為に我らに戦いを挑み、恐れている様な振る舞いは感じられなかったのだから……」)
 主の言葉は、ラリグラス自身には響いていない。心のどこかで警鐘が鳴り響き、止むことが無いのだ。
「しかし、戦いを避けたケルベロス共はきっと後悔するだろう! 我らにこれ程まで多く、戦力を残してしまった事を!」
 王女の勇ましい言葉も、拳を握り締めたラリグラスの身体を通過していくばかりで、どんどんと自らの頭の中で様々な思考が走り回る。
「そう、遂にお姉さまから我らに指令が下ったのだ! 砕け散った宝瓶宮グランドロンの探索――それがお姉さまからの指令だ。お姉さまはこの結末を見通していた! グランドロンの四散に備えるべく、我らをこの地に留めていたのだ! 流石、お姉さま。常に先の先を見ておられる……」
(「!?」)
 レリのその言葉が、ラリグラスに一つの可能性を導き出す。
(「第二……王女。まさか……」)
 ラリグラスはレリを見る。すると、一瞬だが主の顔の変化を見逃さなかった。
(「レリ様も、迷って……いる?」)
 永くこの王女に仕えた身だからこそ分かる表情。だが、その迷いを振り払うかの様に、レリは直ぐに高らかに声を発した。
「我らの目的はあくまでもグランドロンの探索、ただ一つ! それを忘れるな。可能な限り、戦闘は避けよ!」
 主の言葉は絶対だ。
 まずはその目的を果たすべく、望み通りの結果を届けることが先決だ。それ以降の事は、その時に考えれば良い。
 ラリグラスはそう考え、必ず、と答えるのだった。
 この王女のためならば、全てを捧げる。そう決意しているのだから。例え、その事によって己が死を迎えたとしても……。

「みんな、前の戦争。お疲れさんやったで! ほんま、ようやってくれた!」
 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)は、目の前に集まっているケルベロスにねぎらいの言葉をかけていた。そこにはリコス・レマルゴス(ヴァルキュリアの降魔拳士・en0175)の姿もあった。
 ケルベロス達は、リコスが神妙な顔をしている事に気が付いた。となると、次の言葉の予想は付く。
「あー。皆、やっぱり構えてるな。集まってもらったのは、他でもないんや。今回の戦争は、こっちの勝利になったわけやけども、全てを攻略できたわけやないねんな。で、結構か数の敵が戦場に残されてしもたわけや……」
 すると、リコスが頷きながら絹の横で口を開いた。
「そういうことだ。勿論、そのままこの地に残ってしまうと、何を起こすかわかったものではない。という、事だな」
「ちゅうわけで、皆には残された敵の追撃を行ってもらう」
 そう続けた絹の言葉は、あらかたのケルベロスの予想していた事だったのか、頷く者もいる。
「んでや、皆に向かってもらうんは『四王女レリ』率いる『白百合騎士団』や」
 すると、ケルベロス達はざわついた。今回の戦争では、あんまり彼女等のところには攻め込まなかった訳ではあるが、認識をしていなかった訳ではない。そうなったのは勿論、本来の目的があったからだ。
 そんな中、絹はええか、と切り出して説明を続ける。
「有力敵は、『第四王女レリ』と幹部である『絶影のラリグラス』『沸血のギアツィンス』『蒼陰のラーレ』『紫の四片』や。他のチームも同時に動いてくれるわけやけど、今回は担当が決まってる。皆には『絶影のラリグラス』を相手にしてもらうで」
「『第四王女レリ』は、以前レインボーブリッジで戦った相手だな。確かそこにらりぐらすという敵もいたかと思う」
「せや、こっちには前戦った情報がある。対策は打ちやすいかもしれんな。でも、敵が強いこともよーく知ってる。前の報告書とかに目を通したりして、作戦立てた方がええな。
 それに、第四王女の軍勢は、軍勢として行動しているから、『かく乱や陽動、或いは、奇襲・強襲作戦の方法』があってもええ。他のチームと足並みそろえたら、より作戦は上手いこと行くかもしれん。あと、言葉は通じるから、ひょっとしたらのってくるかもしれんな」
 絹がそう言うと、ケルベロス達は敵の情報を集めないといけないな、と各々で考え始めた。
「まあ、今回は戦争の後処理なわけやけど、敵をそのままにはしておけん。ごめんやけど、みんなの力、貸してな。頼んだで!」


参加者
喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)
八蘇上・瀬理(家族の為に猛る虎・e00484)
空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)
峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)
黒住・舞彩(鶏竜拳士・e04871)
明空・護朗(二匹狼・e11656)
鞍馬・橘花(乖離人格型ウェアライダー・e34066)
エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)

■リプレイ

●絶影のラリグラス
 レインボーブリッジに突入したケルベロス達は、少し考え事をしながらも、それぞれの手に持ったモノを見つめながら走っていた。
「交渉が成立出来るなら肯定派だけどちょっとハードル高いかな……」
 喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)は八蘇上・瀬理(家族の為に猛る虎・e00484)の手のモノを見てそう呟いていた。
「まいあ。それは、今はしまっておいたほうが、よくない?」
 空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)は黒住・舞彩(鶏竜拳士・e04871)の持っている巨大なモノを見て言った。
「大丈夫。私なりに考えた結果。だから……」
 そうして同じ用に大きなものを抱えている鞍馬・橘花(乖離人格型ウェアライダー・e34066)も、少し張り切っているようだ。
「とは言え、ちょっと難しい雰囲気になって来たかもね……」
 明空・護朗(二匹狼・e11656)オルトロスの『タマ』と共に走っていた。黒狼の耳をぴんと立て、前方を見る。
「そうだね。こういう事にもなるよね」
 峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)もまた、前方を見る。
(「交渉……いまくいくとも思わないけど……。でも、決まった以上はつきあわないとね。ボクの想定が合っている保証もないし」)
 恵は、そう思いながら、少し後方に位置取りはじめ、支援の準備をし始めた。
 彼女達が見ている前方にいるのは、ほんの少しだけ先に走り出したケルベロス達だった。そして聞こえる、剣戟、爆音。
「……これハ、作戦変更になりますネ」
 エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)はすぐに準備できるように用意していたその手のモノを、懐にしまいこむ。
 彼らの準備していたモノとは、なんと『お茶会道具』だったのだ。
 更に橘花は炬燵。舞彩にいたっては、巨大なエインヘリアル用のお好み焼き用の鉄板だった。
 そんな、ツッコミ所満載のケルベロス達も、流石に事態が戦闘になっていては、それどころでは無い事を悟り、一旦そのモノ達をレインボーブリッジの一角に置き、代わりに武器を取り出したのだった。

「エトヴァ。ここは任せて」
「あなた方には大事な仕事。ありますよね?」
 ジェミ・ニアとアレクシア・ウェルテースが、ケルベロス達の前に向かってくる白百合騎士団員達に向かっていく。
「ジェミ……。お願いしマス!」
 続いてモヱ・スラッシュシップと、相馬・泰地、中村・憐も続いていく。
「瀬理さん。こっちは泰地アニキと俺が頑張るっすよ!」
 憐がそう言うと、真っ先に泰地がオウガメタルを撒いていく。
「よっしゃ。ほな、任せたで!」
 瀬理がそう返すと、リコスもその戦いに参戦していくのだった。
 その戦いには、他の班のサポート部隊も加わり、かなり攻勢に出ていることが分かった。その様子を見ながら、横をすり抜けていくケルベロス達。

 しかし、彼女等の戦いはすぐに訪れる事になる。
「明空さん! 上です!」
 ひとつの動きに気が吐いた橘花が、上空を見ながら叫ぶ。
 ドシュ!!
「ぐっ!!」
 その言葉に即座に反応した護朗だったが、その者が放つ刃を全て避ける事は叶わなかった。上空からの斬撃を右の方向に避けたつもりが、もう一方の刃で切られていたのだ。護朗の左の肩から血が滴り落ちる。
 すかさず、前に出る無月と舞彩。そして波琉那が日本刀を構える。
 恵が桃色の霧を護朗へと施すが、全てを回復する事は叶わない。それ程にその斬撃の威力は大きかったのだ。
「ここは……通さない」
 そう言って、着地の姿勢から起き上がるエインヘリアルの女性。両手に持っているのは小さい刃であるが、それは彼女がエインヘリアルが故。刃渡りは1メートル程はあろうか。
 そう、彼女こそ、第四王女レリの親衛隊である『絶影のラリグラス』であったのだった。

●信念
「ケルベロス達の進言は我らとの和平であった。次の会談、それまでの協力体制が彼らの望み。故によく聞け、我が白百合騎士団よ! 第四王女レリの名の下に、皆に命を下そう。戦場は各々の判断で離脱せよ! 和平を受け入れるも由。和平を受け入れぬと言う選択もまた、私は咎めない!」
 レリの声が全体に響き渡った時でも、ラリグラスは構わず攻撃を仕掛けてきた。
 その声は聞こえていないはずがない。
 しかし、ラリグラスは攻撃を止めず、ケルベロス達に戦いを挑んできた。きっとそれが彼女の意志なのだろう。

(「あちらハ、どうなっているでショウ……」)
 エトヴァはそう思いながら、オウガ粒子を後列に位置した瀬理、恵、橘花に展開する。彼は自分達の先に続いて、レリと対峙しているであろう一団の方向をちらりと見る。その中心にははっきりと王女レリの姿が見て取れた。こちらからは彼女の様子が分かる程度の距離だ。ケルベロス達の数は多い。全体をあわせると100人に届くだろうか。そのうちの三割程のケルベロス達がレリに集結しているのである。そして他の班もまた、白百合騎士団とケルベロス、そして幹部達の戦闘が繰り広げられているようだ。
「なあ。今のままやと、まず王女様、利用されて死ぬだけやで? そんな惨めな死に方、部下として認めてええん?」
 瀬理はまずそう声をかけた。
 ケルベロス達の作戦は、『交渉の決裂までは戦闘を行わない』という物だったからだ。
 交渉が決裂しているわけではない。いや、今正にレリと対峙しているケルベロス達は、交渉を行っているハズなのである。
「焦っても、良いことは、ないよ」
 無月も淡々とそう言って、バスタードソード『竜王剣【バハムート】』を構えながら攻撃に備える。まだ、こちらから攻撃は、しない。
 そして、交渉が決裂した時の事を重きに置く恵や、波琉那は、ラリグラス自身をレリの元に行かせないような位置をじりじりと取り始めた。
 その二人に連動するように、護朗はタマと二人同じ動きで、牽制と守備に回れる位置に入る。そして橘花は、すぐに攻撃に移れる場所へ移動する。
 目的は二つ。
 ラリグラスをレリの元に行かせないこと。そして、可能であれば、彼女自身を説得する事だ。
 だが、ラリグラスはその言葉に耳を貸すそぶりは見せなかった。
「何を狙っているのかは知らないけど、レリ様は私が護る。ただ、それだけよ!」
 そう言って、ラリグラスは目の前の舞彩に向けて一直線に飛びこんできた。
 ギィン!
 その一太刀を『竜殺しの大剣』で何とか受け流す。
「話を……聞きなさい! 薄々察しているでしょう? 第二王女の狙いを!」
 だが、その言葉に耳をかさず、ラリグラスはもう一太刀を舞彩へ薙ぐ。それを、何とか紙一重避けるが、それはただ運が良かっただけなのかも知れなかった。
「……もう少し、マシなヤツらかと思ったのにね。あなたも、あの時の勢いはどうしたの?」
 あの時、それは即ち東京六芒星決戦の時の事だ。その時ケルベロス達は、ラリグラスに肉薄したのだ。
 もしあの時、仲間達が舞彩の怪我に構わず、そして作戦の成功のタイミングと重ならず、ケルベロス達がトドメを刺しに戦闘を無理矢理継続したのならば、ラリグラスは討ち取られていた可能性もあったのだ。もっとも、それを実行したのならば、何人かの犠牲は出ていたのかもしれないのだが。
 ただその結果を生んだのは、ケルベロス達がラリグラスを殺すつもりでかかったからだ。
「少し、認めていたつもりだったけど。残念ね……」
 ふと見せる寂しげな表情。それはエインヘリアルが戦闘種族であるからに他ならない。一進一退の攻防。生か、死か。彼女はその第一線で戦い続けているのだ。
 すると、レリの箇所から刃を交える音、そして何かが炸裂する音が激しく響き始めた。
(「決裂した?」)
 波琉那はそう思い、手に持った日本刀に力を入れる。
「まだでス! まだ、信号はあがっていまセン!」
 即座に状況を判断したエトヴァが言う。交渉決裂時には、赤の信号弾が上がる手筈だ。それはまだ、上がっていない。
「どうやら、レリ様もお覚悟を決めたみたいね。さあ、行くわよ!」

 ラリグラスの攻撃は早く、的確であった。消えるように移動、そして跳躍し、ケルベロス達を二刀をもって斬る。
 それは前回の戦いと同等のように、ケルベロス達を次々と傷つける。
 だが、ケルベロス達は、前回と同じではなかった。
 恵とエトヴァが、ケルベロス達が傷を負うたびに癒し、そして盾の力と、狙いの力を付与するからだ。
 そして、前衛の数を揃えたことが大きい。ケルベロス達の作戦は持久戦だ。護りの陣形を取ってしまえば、単騎であるラリグラスがその穴を開けるのは難しいのだ。
「……このままで良いとハ、思っていないのでショウ?」
 エトヴァは諦めなかった。戦闘を継続しながらも、話かけた。
「舐めるなあ!!」
 だが、ラリグラスは攻撃の手を緩めない。その攻撃を受け止める護朗、そしてその隙に波琉那が彼女の足元を切りつける。
 ケルベロス達は、相手の戦意を削り取るようにその動き鈍らせ、任務として彼女を抑えることに集中する。
 両者に共通するのは、信念だった。

●そして……
 しかし、その戦いもそれほど長くは続かなかった。
「こっちは、終わったわよ」
 アレクシアがそう言って、ケルベロス達の元に合流する。そして、他のサポートメンバーも続々と。
 すると、瀬理がラリグラスの右太腿に、指一本を突き刺す。
『足元……注意……。……もう遅いけど』
 そして、無月が地面から大量の槍を生やしてその足元を傷つけた。
『仕掛けます!』
 橘花が懐に入りこむと、ラリグラスの両足の間をを通過し、彼女の大きな左足持ち上げ、そのまま後ろに倒す。
 ドウゥン!
 レインボーブリッジが揺れる。そしてラリグラスに鉄拳を浴びせ、護朗が雷の追撃を与える。
 もう、これで戦いは終わりだった。
「……殺せ」
 仰向けに倒れながら、ラリグラスは言う。彼女は目を瞑り、その時を待っているのだ。ケルベロス達に命を断たれる瞬間を。
 戦いで死ねるなら、本望と思っているのか、少しだけやりきった顔をしていた。
 すると、チラリとレリのほうを窺う。
 レリは勇猛果敢に戦っていた。その勇姿はかげる事は無い。
 ……だが、いつまでも、ケルベロス達の刃は彼女の首をはねる事はなかった。
 代わりに、がちゃりがちゃりという音と、こぽこぽこぽという音。そして、何かが焼ける匂いが漂う。
「何を……しているのかしら?」
 ラリグラスが見た光景は、炬燵の中で弾を取り、お茶を入れるケルベロス達の姿であった。隣では舞彩がお好み焼きを焼き始めている。
「馬鹿にしているの?」
 冷静にツッコミをいれるラリグラス。
「確かに剣を交えて雌雄を決する戦いも有るけど……今、レリ王女が行っている交渉は戦いなのかもしれないけど。たぶん今レリ王女が戦っているのは、無用な被害を出さないための戦いだよ。……邪魔は失礼と思うなら、今は矛を納めてほしいんだよ」
 波琉那がそう言って、冷静な言葉を投げかけた。
「まぁ、お茶でも、飲んで? 戦わずに済むなら、その方が、よくない?」
 無月も同意し、ラリグラスにお茶を差し出した。
 橘花に至っては、こたつの中で子狼に変身し、頭だけ出している。そして、持参した焼き芋を頬張る。
 護朗もまた、こたつの上に出したクッキーをもぐもぐと食べ、エトヴァに差し出している。
 勿論、恵を中心にしたメンバーは、何時でも動ける状態は維持している。
「……わからない」
 ラリグラスはその光景を見て、そうポツリと呟いた。
「……正直言うと、私もレリ王女のこと、良く思ってるのよ」
 そう応えたのは舞彩だった。彼女はぺんっとお好み焼きを返して、話を続ける。
「勇者選定で、救いなく死ぬとこだった女性に救いの可能性が生まれた事や、仲間思い、家族思い、ちょっと頭足りてなさそうなとことかね」
 そう言って、真正面からラリグラスを見る。
「もっと知りたいの。だから、私なりにだけどレリ王女が死なずにすむよう考えた。お願い、協力して。
 手遅れになる前に」
 そして、瀬理も頷きながら言う。
「主の命と誇り、そらどっち大事か言うたら誇り言うやんなぁ、忠臣なら……それが護られるならよかってんけど、な」
「手遅れ……誇り。か……」
 ラリグラスは天を見上げた。その胸中は定かでは無いが、彼女なりに考えがあるのだろう。
「レリ王女のための、良い関係とは何でショウ? このままでは将も配下も、いつか互いを失ってしまう……そう、あなたモ」
 エトヴァの言葉に、ラリグラスははっとした表情を見せた。
「考えてはいなかったのですカ? あなた自身の存在ニ」
「私……」
「そう。レリ王女の為に動いているあなたハ、大事なレリ王女の将であるハズ。違いますカ? そしてあなたハ、王女が利用されていると気づいておられマス。何がレリ王女のためになるか……よくお考えくだサイ」
 すると、後ろを振り返り、レリを見るラリグラス。その瞳に映ったレリはちょうど、自らの剣を納める所だった。

「レリ様の命令。従うのが私の役目ね」
 レリの停戦命令を受けたラリグラスは、ゆっくりとそう言ってケルベロス達に背を向けた。結局、お茶やお菓子、そしてお好み焼きは受け取ってはくれなかった。
 その後姿を黙って見送るケルベロス達だったが、ふとラリグラスはケルベロス達を振り返る。
「また、会うかもしれないわね。その時は……いえ、なんでもないわ」
 そう呟き、後ろを向いたラリグラスに瀬理が明るい声で言う。
「戦いでも、お茶でも、なんでもええ。うちら幾らでも付き合うで! でも、殺し合いは、カンベンやけどな。ほな、またな!」
 後ろを向いているラリグラスの表情は分からない。

 だが、右手を天に上げケルベロスの応えとしたのだった。

作者:沙羅衝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月11日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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