リザレクト・ジェネシス追撃戦~緋の忍者頭追撃戦

作者:長野聖夜


 ――晴海埠頭要塞。
「ギギギ・・・・・・!」
「落ち着きないよ! 大将はやられたけれど、私達はまだやれていないんだから!」
 要塞内にいる歯車忍者達の隠し切れない動揺を汲み取った歯車忍者頭・サオリが叱咤の声を張り上げている。
(「とは言っても、状況はあまり良くないけれどね・・・・・・!」)
 終末機巧大戦で自らが護衛していた空中要塞はケルベロスにしてやられ、歯車を守っていた死神ノストラダムスの援護にも駆けつけることが出来なかった。
 その上、今回の戦いでは散発的な遭遇戦こそあれど、残された切り札ラグナロクを撃破されている。
 失態に続く失態。
 しかも日輪と月輪は、晴海埠頭のバックヤード撃破と共に姿を消している。
 こんな状況で、手下達が平静でいられる筈もない。
 先の大戦中であればさておき、現状ではこの制圧した地に何時までも留まる意味は無いだろう。
 防衛網としての機能よりも撤退し、今後に備えて少しでもダモクレス達の戦力を温存することの方が重要だろう、とサオリは思う。
 しかし、現状の混乱では歯車忍軍による防衛網は愚か、この地域からの撤退も整然するのは難しそうだった。
 焦りつつも撤退の采配をサオリは行っている。

 ――しかし、その撤退の準備の時こそが、付け目なのだ。


「リザレクト・ジェネシスの勝利、皆様、お見事でした」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がですが、と続ける。
「今回の戦いで、多数のデウスエクスが戦場に残されています。最も作戦を阻止されて混乱している状況なのは確かですが」
 だからこそ、好機なのでしょう、とセリカが続ける。
「皆さんには、このデウスエクス達に対して追撃戦を行って頂きます」
 そう告げた後、静かにその標的をセリカが告げる。
「皆様に行って頂く戦場は、晴海埠頭要塞。そして、そこで防衛の指揮を取っていた、歯車忍者頭サオリです」
 セリカの言葉にケルベロス達がそれぞれの表情を浮かべて返事を返した。


「さて、先の戦いで自らが守っていたミトロ・ミカニポリスを破壊され、アポカリプスを撃破されたサオリは、続けてエスカトロジーをも失いました。度重なる失敗に焦りを覚えているものと思われます」
 サオリの無意識の動揺は配下である歯車忍者達にも伝わっている。
 故に要塞の防衛線は混乱している様だ。
 現在、サオリが撤退の算段を纏めている様だが、混乱は少なくない。
「サオリの部隊は戦力をまだかなり残しています。だから全軍を引き上げさせるのに時間が掛かっている、と言う事でしょう」
 とは言えその戦力はまだ十分に残っており、混乱しているとは言え、要塞の防衛は出来ているのだ。
 サオリに近付くためにはこの混乱し、一部隙の出来ている防衛網を潜り抜けなければいけない。
「殲滅は不可能です。なので、サオリを撃破して指揮系統を破壊し、歯車忍者軍団を撤退させるのが今回の皆様の目的になります」
 尚、要塞の最奥部で撤退の算段をサオリは纏めている。
 周囲を徘徊する大量の歯車忍者軍団の目をどうやって欺き、サオリの下に辿り着くかが焦点になるだろう。
「これは、リザレクト・ジェネシスの勝利を更に上乗せする絶好の機会です。皆様からの朗報を心よりお祈り致します。……どうか気をつけて」
 セリカに見送られケルベロス達はその場を後にした。


参加者
マイ・カスタム(後期型・e00399)
テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)
神宮寺・結里花(雨冠乃巫女・e07405)
渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)
軋峰・双吉(黒液双翼・e21069)
清水・湖満(氷雨・e25983)
フィーラ・ヘドルンド(四番目・e32471)
ララ・フリージア(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44578)

■リプレイ


(「忍者の砦に忍び込むってのも妙な気分だな」)
 宵闇で少しでも紛れ込みやすくする様、目立たない色の外套を羽織りサオリのいるであろう最奥部への道を向かいながら、渡羽・数汰(勇者候補生・e15313)は内心思う。
「比較的、此方の通路の方が見張りの数は少ない様です」
「・・・・・・スーパーGPSでもそうみたいだな。・・・・・・つっても、確実じゃ無いが」
 隠密気流で周囲から目立たなくなる様、気配を殺し先行偵察を行っていたテレサ・コール(黒白の双輪・e04242)の問いに、マッピングを続けていた軋峰・双吉(黒液双翼・e21069)が眼鏡をかけ直しながらそう返していた。
「混乱に乗じて潜り込めたのは幸いやな」
 底の高い下駄の足音を殺して周囲を見ながら呟いたのは、清水・湖満(氷雨・e25983)。
 祈る様に懐の黝簾石の守り刀を軽く握る。
「事前情報だけじゃ完璧にはならないものだね」
「でも、決してむだじゃないから、マイ」
 隠密気流で気配を殺して先行しつつ囁くマイ・カスタム(後期型・e00399)に返したのはフィーラ・ヘドルンド(四番目・e32471)。
「・・・・・・此処まで戦いも無く来れたのは、運も味方してくれたからみたいっすね」
「そうじゃのう。今も割と綱渡りって感じじゃしのう」
 死角を見つけた時の事を思い出しながらテレサ達に続いて気配を隠して歩いていた神宮寺・結里花(雨冠乃巫女・e07405)の呟きに、ララ・フリージア(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44578)が同意と頷いている。
 実際、数汰達の潜入と隠密はかなり綱渡りであった。
 歯車忍軍の動揺により足並みが揃わないお陰で、辛うじて死角を見つけ、そして完全では無い地図で見当をつけ、更に危うく踏みかけた警戒装置を注意深く周囲を観察してた湖満や数汰が破壊してどうにか歯車忍軍達の警戒網を掻い潜っていく。
 ただ闇雲に最短ルートだけを進むよりも、迂回した方が早い時がある事などを念頭に入れ選択肢に加えておけば、或いは此処までヒヤヒヤする事も無かったかも知れない。
(「となると、もう少し隠密については煮詰めておいた方が良かったかもしれんやね」)
 まあ、情報量の問題もあるので一長一短だと湖満は思うけれども。
「・・・・・・あそこだ」
 地図を見た双吉の呟きに最奥部への扉の近くの曲がり角に身を潜めるララ達。
「・・・・・・ごえい、いるね」
「そうだね。・・・・・・まあ、ならば方法は一つ」
「そうっすね。予定通りに行くっすよ」
 フィーラの問いかけにマイが頷き、結里花が懐の甘酒を一口。
「皆様、準備はよろしいですわね?」
「ああ。良いよ」
「わらわも大丈夫じゃ」
 テレサの呼びかけに数汰とララが頷く。
「せやなら・・・・・・行こうか」
 湖満の合図と共に、結里花達が一斉に動き出す。
「せめるよ」
 曲がり角から飛び出して地面に伏せながら妖精の加護を帯びた矢を弓に番えて撃ち出すフィーラ。
 端から見ればゆったりしている様に感じるが実際は洗練された流麗な動作で死角から歯車忍者の一人を撃ち抜く間に、数汰とララ、2対の流星が歯車忍者の各々を蹴り抜いている。
「ギギ・・・・・・?!」
(「急いでいるんだよ!」)
 思わぬ奇襲に動揺する2体の歯車忍者へと双吉が宿敵、白炎の美少女シャイターンの使った美しき白とその炎を喰らったブラックスライムの黒が混ざり合った炎で歯車忍者を纏めて焼き払った。
「できる限り音は立てずにね」
 双吉の援護の間にマイが合図を出し、氷結の螺旋に歯車忍者の一体を飲み込ませ、すかさず摺足で間合いを詰めた湖満が日本刀を抜刀。
「邪魔。退いて」
 居合いで放たれた自らの手と共に凍てついた刃が弧を描いて螺旋忍者の一体を右脇腹から左肩に掛けてを斬り上げ、その身を凍てつかせパキン、と氷と共に砕く。
 もう一体の歯車忍者はテレーゼが体当たりでその身をよろめかせ、更にテレサが肘から先を内蔵モーターでドリルのように回転させて突きを放って腹部にのめり込ませ、そこに結里花が羽衣の様に自らが纏うバトルオーラ『雷装天女』から雷の矢を解き放つ。
 結里花の一撃が螺旋忍者の首を貫き全身を痺れさせながら崩れ落ちた。
「頭のいる場所だ。入口に敵がいる可能性は想定しておくべきだったね」
「そういうこともある、よ」
 マイの呟きにフィーラが返す間にミカニ・ミトロポリスで戦った時の事を思い起こしながら双吉が深呼吸を一つ。
(「出てこないということは、待ち構えているって事か・・・・・・サオリ」)
 ――でも。
(「俺はこの受け取った螺旋で何かを成し遂げ続けよう」)
 例え病口先生が何を考えて螺旋を他者に振りまいていたかは分からなくとも。
 双吉の脳裏に過ぎる思考を何となく背に感じながらテレサが最奥部に足を踏み入れた。


 ――刹那。
「よく此処まで来たわね! 今度は逃がさないわ!」
 天井から緋色の線を引いた回転蹴りが降り注ぐ。
「・・・・・・あなたでございますか、サオリ様」
 上空からの奇襲に咄嗟に反応し、結里花を守りその腹部に痛打を受けながら問いかけるはテレサ。
 テレーゼは湖満を守り悲痛な音を上げた。
(「あの時より、つよいね」)
「どうか、守って」
 自らの掌への接吻と共に、光の蝶達を羽ばたかせたフィーラが思う。
 フィーラによって飛び立った淡く薄白い輝きを発する蝶達にテレサ達を守る光の盾になって、と。
 ――そう、それは願いを込めた、ひとの夢。
「悪いが逃がす訳にはいかない! アンタはここで確実に仕留める!」
 数汰が流星の如き線を引きながら蹴りを放つ。
 星屑の力の込められた蹴りを咄嗟に忍者刀で受け止めるサオリだが数汰は気にしない。
「今だよ、ララ!」
「任せておくのじゃ」
 祝福の矢を射ってララに破剣の加護を与えたマイが叫ぶと、ララがおっとり返しながら自分用のガジェットの玉として開発中の玉を射出。
(「多数の兵を束ねる者じゃ、相当強いんじゃろうなぁ」)
 心の中のワクワクが抑えきれぬのであろう、ララの声は何処か弾んでいた。
 その弾丸がサオリの足の一部を締め上げる。
「ちっ・・・・・・!」
 サオリが舌打ちをしながら袈裟に刃を振るった。
「通さないよ!」
 結里花に向けて放たれた斬撃からマイが彼女の盾となる。
「そんなんで私の攻撃を受け切れると思わない事ね!」
 サオリが返す刃で続けざまにマイを切り裂く影から結里花が飛び出し親友の幻霊を召喚。
『二人心を合わせれば、その一撃は金を断つ!! 連携奥義断金一式!! 疾風迅雷!!』
 親友の幻霊とハモって調和した声を張り上げると同時に、結里花の雷を纏った親友の幻霊の呼び出した竜巻が暴風の如く荒れ狂いながら襲いかかった。
 サオリが咄嗟にその雷竜巻の軌道を見切り、その目に上空から飛びこもうとするが、その時には既に雷竜巻に彼女は飲まれている。
「くっ・・・・・・!」
「こういう時は、速攻やね」
 摺足で接近した湖満が底の高い下駄で回し蹴りを放つ。
 轟、と風を切る音と共に放たれた底の高い下駄の一撃がサオリの胸に吸い込まれ、サオリが傾ぐ間に腰を低く落とす湖満。
「邪魔。退いて」
 自らの内部にまで侵食し、未だ先程の一閃から凍り付いたままである日本刀を居合いと共に解き放つ。
 鋭い一閃ががサオリの腕を掠め、その部分から音を立てて凍り始めるサオリ。
「サオリ、あの日、倒せなかったお前を超える!」
 双吉が雄叫びを上げながらチェーンソー剣を振動させてジグザグにサオリを切り裂く。
 それがララによって傷つけられたサオリの足を深く抉り、更に湖満の氷を拡大。
「こいつら、あの時と・・・・・・?!」
「同じではありませんわ」
 サオリの呻きにテレサがヒールドローンを召喚して自分達のサポートをさせつつ傷を癒やす間に、テレーゼがその車体に炎を纏わせて体当たり。
 テレーゼによる一撃に傾ぐサオリを見ながら、フィーラが呪われた魔導書に刻まれた禁断の断章を紐解き詠唱。
「マイ、おねがいね」
「任せてね、フィーラ」
 フィーラの祈りで脳機能に常軌を逸した強化を施されたマイがその豊満な胸を変形させて、一口の砲門を用意。
「行け!」
 そのまま赤い光線を撃ち出してサオリの体を撃ち抜いた。
「少しはやる様ね。でも、まだまだよ!」
 声高にサオリが上空へと飛び出した。


「・・・・・・ゲホッ」
 蝶の様に舞いながら上空から放たれたその蹴りから結里花を庇ったテレサが咳き込む。
(「流石に、一筋縄では行きませんわね・・・・・・」)
 同じく湖満への攻撃を受け止めたテレーゼの消滅を防ぐべくマインドシールドを展開。
「どうか、守って」
 更にフィーラの『願い』の籠められた光の蝶達がテレサ達の傷を癒やす。
「あまり時間を掛けていられないんだよ!」
 旋風蹴りに続けて燕の様に翻り忍者刀を下段から一閃するサオリの刃から湖満を庇い胸を切り裂かれたマイが自らのバイタルを確認。
「・・・・・電圧調整・・・・・・落ち着いて、そのまま」
 そうして自らのヒール効果を高めて自らの傷を癒やし、次の攻撃に備えるマイ。
 その間に、数汰が動く。
「時間があまりないんでね。一気に決めさせて貰う」
 増援の危険性を鑑みた数汰が右手を天空へ突き出した。
『刹那は久遠となり、零は那由他となる。悠久の因果は狂い汝の刻は奪われる……狂え、時の歯車』
 詠唱と共に上空に描き出される魔法陣の中でグラビティの力が限界まで圧縮。
 右手を振り下ろすと、加速した魔法陣がサオリの上空へと飛び立ち、そのまま限界までサオリの全身を押し潰す。
 グラビティの檻に捕らわれたサオリの全身が嫌な音を上げながら地面と接吻。
「ここがチャンスじゃのう」
 ララが愉快そうに告げながら悲鳴を上げているガジェットに構わずその砲身に拘束弾(プロトタイプ1号)を装填し、射出。
 射出されたそれがグラビティの檻に押し潰されていたサオリの全身を締め上げる。
「今じゃよ、双吉殿」
「行くぜ!」
 ララの呼びかけに応じて双吉が病口・鬨緒によって移植された腕で螺旋を描き、サオリの身に打ち込む。
 打ち込まれた部分から加速度的に氷が拡大していきサオリの身動きを封じる間に結里花と湖満が動いた。
「逃がしません!」
 結里花が雷装天女から解き放った雷龍がサオリに食らいつき。
「そこやな」
 その隙をついて、湖満が大きな杵を大上段から振り下ろす。
 振り下ろされた杵の衝撃を諸に胸に食らったサオリが地面に叩き付けられ、そこに傷だらけのテレーゼが機銃を連射しながら迫った。
「まだ! まだこの位でやられるものか!」
 機銃の中を突っ切り、車体が悲鳴を上げているテレーゼを大上段から切り裂く。
 袈裟からの切り返しによる追撃を受けたテレーゼが遂に消滅し、その勢いに乗ったサオリが幾度目かの空中回転蹴りを放つ。
「負傷限界点突破ですね・・・・・・」
 湖満の前に仁王立ちになったテレサが強烈な衝撃を受けて、立ったまま意識を失う。
「マイはまだいける、の?」
「あんまり・・・・・・だね。でも、回復して貰えば大丈夫だよ」
 全身をスパークさせながら答えるマイに頷き、フィーラが脳髄の賦活を行い、マイを行動可能領域まで回復。
(「流石にこれ以上は回復しきらないか」)
 この場に来てからどの位の時間が過ぎたのかは覚えていないけれど。それでも、かなりの負傷を蓄積しているのは、マイにも分かった。
 ――ならば。
「行くよ!」
 コアブラスターを放ち、サオリに負傷を蓄積させるマイ。
 疲労の極致で放たれたその一撃がサオリの足を掠め、その動きを止める。
「今だな!」
 双吉が叫びと共にその場で足を振るい、理力を籠めた星型のオーラをサオリへと放つ。
「まだまだ続くぜ!」
 不敵な笑みを浮かべた数汰が惨殺ナイフでサオリの傷を容赦なく抉り取って、氷と足の傷を拡大させララが己の光の翼を暴走させて、一条の白い光条となってサオリの身を射貫いている。
「攻め時は今じゃのう」
「砕け、白蛇の顎!」
 ララの呼びかけに応じて結里花が大蛇を象った巨大な木槌の先端にある白蛇の大顎を解き放ち、サオリの身を砕き。
「そこやな」
 後退しかけたサオリの懐に潜り込みながら、その着物の袖に隠した薬を撃ち込む。
「ゲボグゲァ?!」
 全身に回る殺神ウイルスに苦しげな声を上げるサオリが大上段から刃を振り下ろしてきたが。
「まだだよ!」
 マイが湖満の前に立ち、袈裟に切り裂かれて、ぐらりとその場に傾いで遂に崩れ落ちた。
「これで・・・・・・3!」
 サオリが不可思議な文様を生み出し深く抉られた全身の傷を癒やしていた、その時。
 ――ドタドタドタ!
「・・・・・・このままだと、ぞうえん、来るよ」
 フィーラが後ろから聞こえてくる歯車忍軍達の音を聞き取りながら、足音を立てぬ様、サオリの側面に回り矢を放つ。
 これ以上回復を続けるよりは一気に攻めかかるべきだと判断したのだ。
「最後まで絶対に諦めないからな!」
 数汰が何度目になるか分からない時流変転を詠唱。
 解放された魔法陣から放たれたグラビティの檻でサオリを押し潰し。
「まだだ・・・・・・まだ行けるぜ!」
「そうじゃのう。此処で攻撃の手を緩めるわけにはいかんのじゃ」
 双吉がチェーンソー斬りでサオリを引き裂きララがスターゲイザーで三角蹴りを放ち、サオリの足を砕き。
「絶対に、逃がしません!」
「そこやな」
 結里花が雷龍を召喚してサオリを食らわせ、全身をスパークさせる彼女に湖満がもう幾度使用したか分からない、日本刀を手事凍らせる渾身の一撃を居合い抜きで放つ。
 ――その攻撃で全身を凍てつかせながら、サオリが大上段から日本刀を振り抜いた。
(「あかんな、これは」)
 渾身の刃で肩から脇腹にかけてを切り裂かれ遂にその場に膝をつく湖満。
 更に返す刃で放たれたそれが、結里花の右脇腹から左肩までを切り裂き同じくその場に崩れ落ちさせる。
(「でも・・・・・・これなら、かてる」)
 フィーラが掌からドラゴンの幻影を解放してサオリを焼き、ララが拘束弾(プロトタイプ1号)でその身を戒め、数汰が怒濤の如き速さでその身をギザギザに抉った。
 全身傷だらけになり最早ほぼ動けぬ状態のサオリに、双吉が遂に迫る。
「これで終わりだ。俺達は、お前を超えていく・・・・・・サオリ!」
 叫びながら放った双吉のフォーチュンスターがサオリを撃ち抜き、遂にサオリがその場に崩れ落ちた。


 ――それとほぼ同時だった。
「ギギギ!」
 まだ士気のある歯車忍者達が此方になだれ込もうとしたのは。
 だが・・・・・・。
「サオリはたおした、よ」
 テレサ達を回収しながらフィーラがそう告げ。
「大将は倒したが・・・・・・まだ、やるか?」
 数汰が呼びかけ凄んだ、その時。

 ――歯車忍者達はちりぢりになってその場を逃げ出した。

 ――歯車忍者頭サオリ、撃破・・・・・・完了。

作者:長野聖夜 重傷:マイ・カスタム(後期型・e00399) テレサ・コール(黒白の双輪・e04242) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月11日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
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