かわいいかわいい、にゃんこかわいい

作者:洗井落雲

●犬と猫の果てしないバトル
 人間三人いればなんとやら、主義主張の違いによる対立と言う物は、往々にして起こるものである。
 例えば、チョコレートの商品ラインナップについてだったり、携帯電話のメーカーだったり……ちょっとした冗談で言うものが大半であろうが、時には本気で、自分の選んだもの以外は認めない、という人も、居たりする。
 古典的な意見の対立の一つしてあげられるのが、犬派と猫派の対立だろうか。要するに、どちらがペットとしてより優れているか、という問題である。勿論、そんなもの結論が出るわけでもないし、当の犬も猫も、そんな事はどうだっていいと思っているに違いない。そんな事はいいから遊んで。後はおやつをちょうだい。ご飯も豪華にね。
 さておき。
 ここは某都市の猫カフェである。
 とりわけ保護猫の飼育と譲渡などに力を入れている、いわゆる良心的なお店である。その性質上、店にいる猫はいわゆる雑種が大半を占めていたが、それでも訪れる客は多い。
「ゆるさーん!!!」
 と、店内に突如、声が響いた。何事か、と店員が店内を見渡せば、そこに居たのは巨大な鳥――いや、ビルシャナである。
「猫よりは犬! 犬の方が賢いし、素晴らしい! よって猫を崇めるこの店は破壊させてもらう!」
 バッサバッサと、ビルシャナが翼をはためかせる。店員は恐怖におののき、猫たちは新しいおもちゃだと思って翼にじゃれついた。

●僕らは皆、生きている
「……何かな」
「いや、じゃれつくかな、と思って」
 と、アーサー・カトール(ウェアライダーのヘリオライダー・en0240)に対し、パタパタと猫じゃらしを振るうのは、遠矢・鳴海(駄目駄目戦隊ヘタレンジャー・e02978)である。アーサーは肩を落とすと、今回の事件について説明を始めた。
 曰く、『猫より犬! 犬最高! 猫は排斥する!』という主張を持つビルシャナが、とある猫カフェを襲撃するという予知がなされたという。
 ビルシャナは、単独で襲撃を仕掛けてきたようだ。このビルシャナを迎え撃ち、撃退するのが今回の任務である。
「手早く撃退できれば、多少は猫カフェでのんびりできる時間も作れるだろう。目的を間違えてはいけないが、多少は期待してもいいと思うよ」
 そう言って、アーサーはヒゲを撫でた。
「ビルシャナとなってしまった人を救う事は出来ないが、これ以上被害を増やすわけにはいかない。しっかり撃退してきてほしい。作戦の成功と、君達の無事を、祈っているよ」
 そう言って、アーサーはケルベロス達を送り出――そうとしたところで、おもわずしゅっ、っと、手を出した。ぱしっ、とその手がつかむのは、鳴海がふっていた猫じゃらしだった。
「あっ」
「あっ」
 異口同音、二人は思わず、声をあげた。


参加者
遠矢・鳴海(駄目駄目戦隊ヘタレンジャー・e02978)
アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)
楪・熾月(想柩・e17223)
細咲・つらら(煌剣の氷柱・e24964)
伊織・遥(自縄自縛の徒花・e29729)
沫雪・ありす(泡沫の白・e62457)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ヘヴェル・バルク(泥濘・e72096)

■リプレイ

●襲撃! 犬好きのビルシャナ!
「ゆるさーん!」
 店舗内に、高らかと声が響き渡る。その言葉の主は、ビルシャナである。
 場所は、とある猫カフェ。ビルシャナは、早速邪悪極まりない猫カフェの破壊を行おうとして――、
「何者だ!」
 きっ、と店内を睨みつける。座敷状のスペース、中央に置かれたコタツの上には、香箱座りをする一匹の猫――いや、ウイングキャット、『ピスィカ』が、ふてぶてしい目つきでビルシャナを見つめている。
「来たね……!」
「むぅ、しゃべる猫か!?」
 突如上がった声に、ビルシャナは思わず威嚇を試みるが、ピスィカは動じない。
「ふふ……いや、私だよ」
 ピスィカの影に隠れる形になっていたため、ビルシャナは気づかなかったようだが、よく見ればコタツに座る人影があった。その人影はすくっ、と立ち上がる。ケルベロス――遠矢・鳴海(駄目駄目戦隊ヘタレンジャー・e02978)だ。
「聞けば『猫は許さん犬こそが最高』なんて、分ってないね……」
「なにおう!?」
「いいかな!? にゃんここそが至高!! 全ての生態系の頂点であり、何をおいても貴ばれるべき存在!!」
「な、なんだとぉ!?」
 突如投げかけられた言葉、その衝撃に、ビルシャナはたまらず、羽をばたばたとさせた。
「馬鹿な、猫より犬の方が賢いんだぞ! 芸とかするし!」
「――ハッ! 賢い? 賢いとか賢くないとか、そんなの『どうでも良い』よッ!」
「なにぃ!? 賢さこそが優劣を決めるバロメーターではないのか!?」
「いいかい? 可愛いか可愛くないか、癒されるか癒されないか、重要なのはそこッ! あのつぶらな瞳! 愛らしい声! こちらを翻弄してやまない気まぐれな姿!!」
 びしっ、と鳴海はビルシャナへ斬霊刀『雪灯』の刃を突きつけた。その威圧感に、ビルシャナはたまらず後ずさり、ピスィカはあくびをした。
「何よりにゃんこのお腹はそれはもうもふもふでもふもふでもふもふでもふもふなんだから!!」
「なんだとてめー! 犬のお腹だってもふもふなんだからな!」
 しかしビルシャナもただ黙ってやられるわけにはいかない! 反撃の糸口を見つけたビルシャナは、ここぞとばかりに声をあげる!
「はぁ!? にゃんこの毛の方が断ッ然柔らかくてお腹に顔を埋めた時の至福感が違うんだからッ!」
「はぁ!? てっめ、ゆるさん、表に出ろ!」
 ヒートアップしたビルシャナは、乱暴に猫カフェの扉を開いた。鈴がけたたましく鳴り響く中、肩を怒らせ表に出ようとする――、
「そう。それはよかったわ」
 そんなビルシャナへ、対照的に静かな声がかけられた。
「手洗い、手指の消毒もできない方は入店禁止よ、お客様。猫さん達に病原菌を移したらどうするの」
 声の主――アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)は、そのままビルシャナを突き飛ばした。ビルシャナは、盛大に体勢を崩す。
 この猫カフェは建物の二階にあるので、入り口のすぐ近くに階段がある。そんな所でバランスを崩せば、後は階段を転がり落ちていくだけである。
「ウオァーーーーッ!」
 雄たけびを上げたビルシャナが転落していくのを見てから、アウレリアは店内へと視線をやった。視線の先には、店舗奥の従業員用スペースへ続く扉があって、そこにはまた人影があった。
「大丈夫。今、最後の猫たちを裏口から避難させたよ」
 手にした毛糸のボール――店内にいた猫たちを誘導するために用意したものだ――を弄びながら、リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)が告げる。リリエッタの頭には、可愛らしい猫耳がついていて、なにやらぴこぴこと可愛らしく揺れている。
「心配しないで。大丈夫だよ」
 扉の奥へと、穏やかな笑顔と言葉をかけ、避難する従業員と猫たちを励ましていた楪・熾月(想柩・e17223)が、ゆっくりと扉を閉めた。それから、仲間達へ向けて、穏やかに頷く。
「……よくやってくれたな、ピスィカ……」
 ヘヴェル・バルク(泥濘・e72096)はピスィカへとねぎらいの言葉をかけた。ピスィカは頷くように、ふんふんと鼻を鳴らした。
「ひとまず、皆無事よ。注意を引いてくれて、ありがとう」
 ふんわりと、鳴海とピスィカへと一礼をする、沫雪・ありす(泡沫の白・e62457)。
 ケルベロス達は、鳴海とピスィカがビルシャナの注意を引いている間に、従業員と猫たちを避難させていたのだ。
 さて、階段から転がり落ちたビルシャナは、地面へと叩きつけられていた。その頭へ、明確な敵意と殺意の乗った、冷たい声が叩きつけられる。
「猫のつれないところ、気ままで自由なところ、シルエットの美しさetc……の良さをご理解頂けないのは、まあ見解の相違ということで仕方ないかも知れませんが。猫カフェの破壊などは……ええ、もってのほかですね」
 ビルシャナがその言葉に慌てて首を持ち上げると、張り付いたような笑顔を向ける、伊織・遥(自縄自縛の徒花・e29729)と視線が合った。明らかに目は笑っていない。
「きょぁぁぁっ!」
 奇声をあげ、ビルシャナが飛び上がる。
「まったくもうっ! ネコちゃんよりワンちゃんの方がお好きでしたら、「犬最高!」というだけで済むお話ではありませんかっ? なにもネコちゃんの事をいじめる必要はないとつららちゃん思うのですけどっ!」
 両手に腰を当て怒った様子を見せる細咲・つらら(煌剣の氷柱・e24964)であったが、しかし日本刀『ササメサキツララ』を抜き放つや、満面の笑みを浮かべた。
「これはもう、おしおきですねっ! ……うふふっ、一人で殴り込みに来たくらいですもの、きっと腕に自信のある、お強いビルシャナさんなのでしょうねっ……うふふ、うふふっ……!」
「おしおきなんて生ぬるいですよ。こういう相手は、潰して出荷が妥当です」
 バトルジャンキーの笑顔、殺意を隠そうともしない張り付いた笑顔。二つの笑顔を向けられたビルシャナは思わず後ずさりをしようとするが、既に逃げ場などはない。店から降りてきたケルベロス達が、その退路を塞いでいる。ビルシャナはぐぬぬ、と唸ると、
「――良いだろう! お前らに! 犬好きの意地を! 見せてやるぁあ!!」
 力強く吠えるや、ビルシャナはケルベロス達へと襲い掛かってきたのであった!

●鳥は泣き、猫は丸まる
「グハァァァァァ!」
 ケルベロス達の攻撃を受けたビルシャナは、盛大な土埃をあげつつ、道路を転がった。勢いよく飛び上がるや、傷だらけの翼をはためかせつつ、
「やるな、ケルベロス共よ! だがまだ!」
 と、懐から取り出した犬用のほねスナックをぼりぼりと齧り始める。
「おやつ食べてる」
 リリエッタが声をあげた。頭につけた猫耳がぴん、と立ち上がる。
「回復……かしら。でも、トリさんが、わんちゃんのおやつを食べても、大丈夫なのかしら……?」
 小首をかしげるありすへ、
「基本的には害はない……と思うけれど、ペットフードはそれぞれの動物の為に、栄養バランスや味を調えて作られているもの。食べさせない方が無難だと思うなぁ」
 熾月の答えに、ケルベロス達は感嘆の声をあげる。
「犬への愛があれば! 栄養とかそういうものは超越できる!」
 吠えるビルシャナへ、つららが返す。
「その愛で、受け止めてみてくださいなっ!」
 右手を握り、左手は二本の指をたてすうっ、と左手を滑らせる。その軌跡は陽光に煌き、見れば右手にあるのは氷の刀だ。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ――『氷鬼』は絶対に、アナタを逃がしませんっ」
 つららが両の手を放すと、氷の刀は宙へと浮かんだ。ぱん、と手を叩くとともに、氷の刃は追尾するようにビルシャナへと迫る。氷の刀は複雑な軌道を描いてビルシャナをとらえ、切り裂いた。
「犬が可愛いという気持ちはわかるわ。でも、それを理由に他の生き物を傷つけるのは許さなくてよ」
 ビルシャナへと肉薄したのは、アウレリア、そしてビハインド『アルベルト』だ。アウレリアの傷口をなぞる刃、そしてアルベルトの背後からの刃。二人の攻撃を受けたビルシャナが、たまらず悲鳴をあげた。
「そうだね。ぴよ、鳥の名誉を守るためにも、頑張っておいで。ロティもよろしくね」
 熾月がファミリアロッドをファミリア……ひよこ姿の『ぴよ』へと変化させる。ぴよは熾月の手の中で一鳴き。シャーマンズゴーストの『ロティ』も、ゆっくりと頷いた。ぴよは魔力をその身に纏い、ビルシャナへと突撃。ビルシャナの顔面をその足の爪で、跳び蹴りの要領でけりつけ、ロティは非物質化した爪で追撃を見舞う。
「ライバルの猫カフェを暴力で壊そうなんて、犬が猫に勝てないって認めてるってことだよ」
 挑発の言葉を一つ。リリエッタが一撃を見舞う。鋭い蹴りの一撃がビルシャナへと突き刺さり、弾むボールのようにその身体が吹っ飛ばされた。地面を数度、バウンドしてから立ち上がり、
「ぬぅ! おのれ、おのれ……なんか返す言葉もないがおのれぇっ!」
 上手い事言い返せないビルシャナが、怒りに任せて吠える。
「まったく、あんまりそういう事やってると、犬の飼い主のイメージ下げちゃうよ?」
 雪灯による斬撃を見舞う鳴海。ビルシャナは苦痛に顔をゆがめつつ、しかし不敵に笑った。
「くく……安心しろ! 我はペット禁止物件に住んでいて犬を飼えないから問題ないぞう……!」
 ビルシャナが住んでいる……というか、ビルシャナになる前の人間が住んでいた物件、という事であろう。そんなビルシャナを、遥の放った御業がわしづかみにし、力強く締め上げ、地に叩きつけた。
「……呆れますね。対立すると、当人たちより外野の方がヒートアップしやすい……という事もありますが、これは……」
 張り付いたような笑顔はそのままに、遥はその感情を隠さぬ声音で言い放つ。
「……ただの、迷惑なトリさんなのね」
 肩を落としつつ、ありすが呟く。気を取り直すと、バスターライフルを構え、
「グリ、わるいこには、おしおきよ!」
 放つ氷の魔法光線。合わせるようにボクスドラゴン『グリ』は属性のブレスを吐き、主に合わせる。二人の射撃がビルシャナへと突き刺さり、その動きを止め、
「……ったく。救いようがねぇな、てめぇ……」
 ぼやくヘヴェルが放つ礫が、ビルシャナの嘴へと直撃、ヒビを入れた。続いて放たれるピスィカのキャットリングが、ビルシャナの嘴を固定するようにハマり、
「もがが!」
 ビルシャナが呻く。同時に放たれる、苦し紛れのビームがケルベロス達を襲うが、ロティがその身を挺して受け止め、こくりと頷く。
「いい加減、お別れの時間ですっ!」
 つららが全身を光の粒子に変化させ、突撃を見舞う。光に撃たれたビルシャナが、体中に傷を負うのへ、アウレリアとアルベルトがそれぞれ追撃を見舞う。アウレリアの構えるリボルバー銃から、『分子運動抑圧特殊弾』が発射され、ビルシャナの肉体へと突き刺さった途端、その身体を凍り付かせたのである。アルベルトは同時に金縛りでビルシャナを拘束。
「にゃんこのためはもちろん、犬の為にも! 君みたいな奴は、成敗させてもらうよ!」
 鳴海が放つ雪灯が、激しい凍気を纏う。持ち主すら傷つけかねない、力のオーバーロード。鳴海はその全てを斬撃として、ビルシャナへと叩きつけた。ビルシャナはその刃に切り裂かれ、次に爆発した凍気により瞬く間に全身を凍り付かせ、そのまま爆散。消滅したのであった。

●至福
「いやぁ、皆無事でよかった、よかったねぇ」
 こたつにて足を延ばし、鳴海が嬉し気にそういう。鳴海の膝の上には、一匹の猫が、人懐っこく転がっている。触ればふわふわの毛並みが、最高の触り心地を提供してくれる。鳴海は頬を緩ませつつ、その手触りを心行くまで堪能していた。
「つららちゃんも楽しめましたし、ネコちゃんたちも無事っ。おまけにお茶もおいしいですっ! 素晴らしいですねっ!」
 同じくコタツで足を延ばすつらら。お茶を飲みつつ、近くにいた猫の頭を撫でた。
 無事ビルシャナを撃退したケルベロス達は、辺りのヒールを済ませ、避難していた猫カフェ従業員と猫たちに、作戦の成功を報告。
 そして営業を再開した猫カフェにて、つかの間の休息を楽しんでいる、というわけである。
「やっぱり、良い物ね」
 アウレリアはその胸に、一匹の猫を抱いている。こちょこちょと喉元をくすぐると、猫は嬉し気にその額を、アウレリアの頬へと押し付けた。アルベルトはその様子を見て、穏やかに頷く。
「でも、他の子の匂いをさせて帰ったら、うちの子に嫉妬されちゃうわね」
 アウレリアは、しかし嬉しそうに苦笑した。
「ねこさんとウイングキャットさん……似てるけど、やっぱり違うものね」
「……ああ、そうだな」
 ありすの言葉に、ヘヴェルが頷く。ピスィカは香箱座りで、二人の前に。その隣には、店の猫が座っている。敵意がない事を感じ取っているのか、猫が威嚇するような様子はない。
 ありすが優しく手を伸ばすと、猫はその手をぺろぺろと舐めた。ざらざらとしているが、不思議と嫌ではない。くすぐったさにありすは目を細め、
「ねこさん、わたしも飼ってみたいわ」
 そう呟くありす。しかし、間髪入れずにグリがつんつんと、口でありすをつっつく。
「……いたた、もう、冗談よ!」
 楽しげにそういうありす。ヘヴェルはピスィカへと視線をやると、お互いの目が合った。ピスィカはふてぶてしい目で一鳴きすると、何かが伝わったのか、ヘヴェルは静かに頷いた。
「あっ……」
 と、リリエッタが声をあげる。猫を撫でていたリリエッタだったが、猫は突然一鳴きすると、飛びあがって距離をとってしまった。困惑するリリエッタへ、
「どうかしたのかな……?」
 と声をかけたのは、猫とロティとぴよたちの写真を撮っていた、熾月だ。
「……逃げられてしまって……」
 リリエッタが事情を話すのへ、熾月は穏やかな微笑を浮かべた。
「そうだね。きっと、君も緊張して、力が入り過ぎてしまったのかもしれないね。優しく撫でてあげると良いよ」
「でも……きっと嫌われちゃったわ」
 肩を落とすリリエッタへ、熾月は答えた。
「大丈夫。敵意が無ければ、猫たちだって許してくれるよ。……ほら」
 熾月が言葉に視線を移せば、先ほどの猫がリリエッタの元へ戻ってきていた。リリエッタは恐る恐る、今度は優しく、猫を撫でてやる。猫は気持ちよさそうに目を細め、リリエッタを受け入れるのだ。
 そんな猫たちの様子を見ながら、遥は一人、隅でコーヒーを飲んでいた。どうにも、猫に威嚇されてしまう性質であるらしい。猫好きであるのだが、こればかりはどうしようもない。とは言え、楽しげにくつろぐ猫たちを見るだけでも、充分に幸せなのだ。そんなことを考える遥の下へ、一匹の猫がやってきた。
 遥と猫の目が合う。不思議気に小首をかしげる猫。遥は恐る恐る、その手を伸ばしてみるのだった。

作者:洗井落雲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年1月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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