ミッション破壊作戦~竜の巣へ飛び込む番犬たち

作者:青葉桂都

●ミッション破壊作戦
「グラディウスのチャージが完了しましたので、ミッション破壊作戦を行います」
 石田・芹架(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0117)は、最初にそう告げた。
 毎回同じ説明なので、わかっている方は聞かなくていいと言ったあと、彼女は説明を始める。
「まずグラディウスというのは、何年か前のクリスマスにダモクレスから奪取した武器です」
 外見は長さ70cmほどの光る小剣。通常の武器としては使用できないが魔空回廊を破壊できる。
「その中でも、強襲型魔空回廊と呼ばれる一方通行の回廊を狙います」
 強襲型魔空回廊はミッション地域と呼ばれる場所の中枢となっている。次々にデウスエクスを送り込み続けているのだ。破壊すれば、その地域を解放できると芹架は語る。
「グラディウスは連続で何度も使用できるものではないので、どの回廊を狙うかは現在の状況も考慮して皆さんで決めてください」
 よろしくお願いしますと、彼女は頭を下げた。
 それから、彼女は攻撃方法を説明し始めた。
「魔空回廊が存在するのはミッション地域の中枢で、通常の手段ではたどりつけません。ヘリオンを用いた降下作戦を行うことになります」
 正確に狙った場所へ飛び降りるのはケルベロスといえども難しいが、半径30mほどの広いバリアのどこかに触れさせるくらいならなんとかなる。
 そして、高空からの降下攻撃は、デウスエクスにも防ぎようがない。
「攻撃時に魂の叫びをあげると、グラディウスは高い効果を発揮します。強い想いがこもっていればいるほど、威力は高まるでしょう」
 残念ながら一回の攻撃で破壊できるとは限らないが、グラディウスによる攻撃のダメージは魔空回廊に蓄積していく。最大でも10回ほど降作戦を行えば壊せるはずだ。
 想いが強く、さらに運に恵まれれば1回で破壊できることさえある。
「グラディウスは攻撃時に大きな爆炎と雷光を撒き散らし、濃いスモークを発生させます」
 攻撃後はそれに紛れて撤退してほしいと芹架は言った。貴重なグラディウスを持ち帰るのも作戦の一部だ。
 ただ、中枢を守る敵は精鋭だ。完全に無力化はできないし、立ち直るのも早い。
 敵を避けて移動しても、どこかで必ず遭遇してしまうだろう。
「しかし、混乱が残っているうちなら敵は連携をとって攻撃してくることはできないでしょう。遭遇してしまった敵を早々に倒して撤退を継続してください」
 もし戦闘に時間がかかれば、敵は態勢を立て直して連携をして攻撃してくる。
 撃破せずに撤退することはできないため、暴走してでも道を切り開くか、あるいは降伏するしかなくなる。
 短期決戦で敵を撃破することが最も重要となる。
 なお、攻撃する地域ごとに現れる敵の特色があるので、選ぶ際の参考にするといいだろう。
「ミッション地域の人々は、常にデウスエクスの脅威にさらされています。それを救えるのはケルベロスの皆さんだけです」
 よろしくお願いしますと、改めて芹架は頭を下げた。


参加者
伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)
鵺咬・シズク(黒鵺・e00464)
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)
土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093)
岡崎・真幸(花想鳥・e30330)
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)
アルベルト・ディートリヒ(昼行灯と呼ばれて・e65950)

■リプレイ

●剣の山へ
 山形県の上空をケルベロスたちはヘリオンで飛行していた。
「まだ月山までついてないってのに、ここからでも剣で覆われてるのが見えやがるぜ」
 鵺咬・シズク(黒鵺・e00464)が言った。
 鋭い眼光で、彼女は目的となる場所を睨みつける。
「あれが、月山。ドラゴンが、かえちゃった山」
 ぽつぽつと呟く伏見・勇名(鯨鯢の滓・e00099)の言葉はまるで独り言のように聞こえたが、あるいはシズクに応えたのかもしれない。
「ドラゴンに作り替えられた山なんて、ぜんぜんロックじゃないデース。早く元に戻してやるのデス!」
 シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)がヘリオンの中でギターをかき鳴らす。
 彼女がいうロックの意味がわからない者もいたかもしれないが、気持ちはおそらく皆が理解することができた。
 8人いるケルベロスの中には、この山形が自らの地元だという者もいた。
「ここで月山開放して、実家帰った時心穏やかに過ごせるようにしてぇな」
 見知っているはずの山が、見たこともないような姿に変わってしまっているのを確かめて、神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)は息を吐いた。
「俺としちゃ、縄張りの山口に攻撃したかったんだがな。ま、お前らがここにこだわりがあるってんだったら仕方ない」
 岡崎・真幸(花想鳥・e30330)が言った。横目で一瞬だけ瑞樹のほうを見る。
「悪いな、岡崎。譲ってもらって」
「ああ……行くからには手を抜く気はないから安心しろ」
 言葉を交わす間にも、月山は近づいてきている。
「そろそろ作戦開始ですね。素早く撤退できるように地形は下調べしておきました」
 土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093)が仲間たちに笑顔を見せた。
「月山のミッションに向かう者がいれば支援してもらえるよう要請もしてある。のさばってるドラゴンを叩いて、無事に帰るとしよう」
 流れるような動きでアルベルト・ディートリヒ(昼行灯と呼ばれて・e65950)が立ち上がり、グラディウスを握る。
 月山の真上で、ケルベロスたちはヘリオンの乗降口へと向かっていく。
 今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)が身体に風を受けながら、剣に覆われた山を見下ろした。
「初めてドラゴンと戦ったのは、ミッション破壊作戦だったよ。あの頃のボクはすっごく弱かったし恐かった。でも、今は違う」
 グラディウスを強く握りしめて、少女は宙へ身を躍らせる。
「絶対に倒してやるんだって、自信を持って言えるんだ。ボク達はキミに負けない。勝って、この山から出て行ってもらうんだ!」
 日和に続き、ケルベロスたちは次々に月山へと降下していった。

●竜へ向けて叫べ
 剣に覆われた山へとケルベロスたちは降下していく。
 髪に編み込んだ飾りを風に揺らしながら、日和はグラディウスを握る手に力を込めた。
「何でこんなところに来たのかワカラナイけど、放っておけないんだよ。大阪城みたいにココがドラゴン達の巣になったら、いつも襲われそうだから」
 近づいてくる剣の山から目を離さず、少女は輝く小剣を振り上げる。
「この剣の山を乗り越えて、キミ達を倒してみせるんだ。鵺咬クンのためにもね! いくぞグラディウス、魔空回廊を壊しちゃえ!」
 眼前に近づくバリアへと剣を振り下ろすと、まず最初の爆発が無数の剣を揺らした。
 変わり果てた山を見て、思うことがあるのは日和だけではない。
「……んうー。ドラゴンきて、山トゲトゲなって、みんなきっとかなしい、つらい、な-。それかんがえると、胸のなかが、もやもやする」
 勇名は形にしにくい己の中の想いを必死に形にしながら、想いを高めていく。
「山トゲトゲも、気持ちトゲトゲも、こわしてなくす。それがきっと、じゃすてぃすー。だからいこう、グラディウス……!」
 ぽつぽつと呟くような声に、少しだけ力が入った。
 声が小さいからといって、想いが弱いわけではない。
 勇名が繰り出すグラディウスもまたバリアに触れて爆発を引き起こしていた。
「山を刀剣に変えるなんて酷いです!」
 岳もまた、山の姿にいきどおっていた1人だ。
「自然そのものを滅茶苦茶にする行為を、月山で築かれてきた歴史を蔑ろにする事を、月山を眺め心安らぐ憩いの一時を奪う事を、断じて許せません!」
 今見下ろしている山の姿は、岳が好むきれいなものとはかけはなれた光景だ。
「私達の手で今、取り戻します! 宇宙に輝く蒼き宝石……地球に代わって、大! 大! 大! お仕置きですよー!」
 そして三度目の爆発が大きな衝撃となってバリアを襲った。
 次いで空に響いたのは、声ではなくギターの調べだった。
「新年も目の前なのにこんな風情のない山の姿はノーロック! この時期の山を飾るのは白い雪と相場が決まっているのデース!」
 空へとかき鳴らすその調べは、雪の山をイメージした曲なのか。
「こんな剣山みたいな姿はダメダメなのデス! センスのないドラゴンデス!!」
 シィカの叫びと曲が剣の山へと響き渡る。
「登山を楽しむ人、新年をこの山と一緒に迎えてきた人たちのためにも! ここが年貢の納め時デス! レッツ、ケルベロスライブ! ボクの歌を聴けぇぇデース!!!」
 決意と共に突き出した小剣が、また一度大きな爆発を起こしていた。
 誰もが月山の姿に異を唱えていたが、誰よりも違和感を覚えていたのは瑞樹だろう。
「月山は霊峰で万年雪が綺麗なんだ。過去に刀工集団がいたとして、その物にしていいわけないだろうが」
 この山形の地で、あの山を見て育った彼が見たこともない山の姿。
「あんたらドラゴンが居座っていいとこじゃないんだよ。何より俺の地元に居座ってんのが腹立たしい。さっさと出て行って貰おうか!」
 仲間たちよりもひときわ大きな衝撃を伴って、繰り出したグラディウスがまたバリアを揺らしていた。
 その瑞樹に続いて真幸がバリアへと降下していく。
「ここも誰かの故郷、そして縄張り。解放したい気持ちも許せない気持ちも分かるつもりだ。俺自身が、自分のものを壊され踏みにじられる事は耐え難い屈辱なのだから」
 ここが自分の縄張りだと思う者がいる。例えば瑞樹のように。
「……俺の一方的な感情であっても関係ない。余計な世話だろうと、本人がそこまで気にしていなくても、俺がやる。俺は俺の意思で、ここを故郷と、縄張りとする奴の為に解放する」
 結局は自分のための想いだ。考えながらも、真幸は想いを小剣に込めていく。
「お前はどのくらいここに居座ったのかね。そろそろ御退場願おうか」
 振り下ろした剣とともに、6度目の爆発が広がっていった。
 仲間たちに続いてアルベルトも降下していく。
「ドラゴンは確かに強大だ。だが、その所業……オークや竜牙兵、ドラグナーとクズ共を従えてるお山の大将には。敬意など微塵も払えんな」
 彼は日本の出身ではないが、日本かぶれのアルベルトは山を聖なる土地と感じる人々の心は理解して、そして敬意を払っている。
 だから見過ごすわけにはいかない。
「この月山は神聖な場所だ。その薄汚い足で踏み荒らすんじゃない!」
 七度目の爆発が月山の空に広がっていった。
 爆炎と雷光は月山の空に轟わたり、今やスモークがその地を覆い始めていた。
「あの日、この山に足を踏み入れた時から俺の意思は変わらない。ここでどれだけの命が刀剣に変えられたか……その苦しみを必ず晴らす」
 けれどもシズクの目には、あの日見た月山の光景を忘れることができなかった。
「守るために鍛えた本物の刀剣の力、何度でも見せてやる」
 ポニーテールにまとめた金髪が、煙を含んだ風に舞い上がる。
「剣山刀樹を踏み抜こうが、立ち止まるつもりはない。這いつくばってでも辿りつき、魂の一太刀を浴びせてやる。この身に刻まれる痛みの全てが、てめえらを倒す糧だ!」
 八度目となる大きな爆発が、月山のバリアを強く揺らしていた。
 煙に包まれた月山にケルベロスたちは次々に着地していく。
 無数の剣に覆われている山だったが、刺さったところでもちろんケルベロスたちが傷つくことなどない。
「壊せたか?」
「いや……手応えはなかったぜ。まあしょうがねえ。無駄になるわけじゃないってヘリオライダーも言ってたからな」
 生えている剣を踏みつけ、シズクは踏み砕く。
「……今年は無理みてぇだな。来年に期待するしかねぇか」
 できるだけ明るい口調になるよう気をつけながら、瑞樹が言う。
 いずれにしても攻撃は成功した。破壊するのはまた次の機会に期待するしかない。
 煙の中を、ケルベロスたちは足早に走り始めた。

●剣の竜、襲来
 鋭くとがった大地を駆け抜け、ケルベロスたちは月山を脱しようとする。
 だが彼らの前方に輝く光が一閃し、地面を走った。
 光が通り過ぎたその跡に、無数の剣先が生えていく。
「来やがったな……剣竜『ギルドレイブ』! 斬るか斬られるか、決着をつけるぜ」
 シズクが両手の刀を抜き放ちながら叫んだ。ドラゴンの赤い瞳が空から見下ろしている。
 1秒か、2秒か見下ろしてから、敵は言葉を発することすらなく猛然と降下してきた。
 そのまま低空を飛びながら、ドラゴンは再びブレスを放ってきた。鋭い衝撃が飛び出した前衛のケルベロスたちを薙ぎ払う。
 とっさに日和とアルベルトがシズクと瑞樹をかばった。
「お人形さん達、みんなを守って!」
 日和が紙兵をばらまいて仲間たちを守護し、アルベルトもオウガメタル粒子を散布して感覚を強化する。
 勇名は前衛の仲間たちが強化されたことを確かめると、中距離から敵を狙う。
「うごくなー、ずどーん」
 小型ミサイルを作り出して、ドラゴンの下部すれすれに飛ばす。
 真下で爆発したミサイルが色とりどりの火花を撒き散らして敵の動きを鈍らせる。
「ここからちゃんと、みんなでかえる。それが、じゃすてぃすー」
 中距離からさらに攻撃する隙を狙って勇名は敵の動きを確かめている。
 もっとも、多少鈍らせたくらいではドラゴンの戦闘能力はそうそう落ちない。
 他の仲間たちも次々に攻撃を行っていたが、すべては命中していなかった。後衛から狙いをつけてしかけた真幸やシィカの飛び蹴りは両方とも敵を捕らえていた。
 全身に剣を生やしてギルドレイブは勇名へと襲いかかるが、日和が素早くかばう。
 岳は小ぶりな槌を日和へと向けた。
「雷神のご加護を!」
 トポと呼ばれる槌が雷を放つ。
 もっとも、敵を攻撃するための雷ではなく、生命力を刺激し賦活するための電撃だ。
「ものすごい威力ですね……とても攻撃に回る余裕はなさそうです」
 それでも、煙が晴れ始めるようなことがあれば攻撃に回らざるをえなくなるだろう。
 その時に込めるべき想いを心の中に溜めながら岳は回復を続ける。
 支援をしている間に他のケルベロスたちはさらにギルドレイブの動きを鈍らせ、ダメージを与えていく。
 ただ、闇雲に攻撃を続けるだけでは倒せないことはわかっている。
 アルベルトは後衛に向けて放たれたブレスから岳をかばった。
「強いのはわかっているが、こんなところで倒されているわけにはいかないんでな」
 岳や他の者たちが回復を続けてくれるならば、しばらくは耐えられる。
 そして、敵にも回復の技があるはずだ。ギルドレイブに同じように耐えられると、少し厄介なことになる。
「悪いがさっさと終わらせたいんでな」
 幻想結晶刃を振る。敵に届くような距離ではない――が、無意味なことをしているわけではなかった。刃からナノマシンを振りまいているのだ。
 空気中に飛散したそれは敵の体内に入り込んで治癒力を阻害する。
 神聖な場所を踏み荒らしたドラゴンには、罰が下るはずだ。
 仲間を守りながらアルベルトは毒とナノマシンで少しずつドラゴンを追い詰め続ける。
 ケルベロスたちの攻撃は敵の動きを鈍らせ続け、最初は頻繁に外れていた攻撃があまり外れなくなってきた。だが、その間にも敵の攻撃はケルベロスたちの体力を削る。
 シィカはギターを爪弾き煙の中で声をはりあげた。
 後衛に向けられた攻撃は二度だけ。それでも、シィカや真幸はかなりのダメージを受けてしまっている。
「雷光の守護を!」
 岳は自分を守ってくれた前衛へ雷の壁を展開して守っている。
 最初のワンフレーズを鳴らすと、シィカの左右に楽器を準備した2人のドラゴニアンの少女が姿を現した。
「レッツ、ドラゴンライブ……スタート!!」
 キーボードに指を走らせ、ドラムのスティックを操り、シィカのギターに合わせて曲を奏でる。
 熱いメロディがロックでない敵を打ち砕く力を後衛の仲間たちに与えていた。
 真幸は奏でられる歌を背に受けながら、2振りのナイフを手に剣竜へ接近した。
「来たれ神性。全て氷で閉ざせ」
 異世の神の断片をドラゴンの眼前へと召喚する。
 シィカの歌で暖められた空気をエネルギーに、神はより強烈に竜を凍てつかせる。
 ボクスドラゴンのチビもブレスを放って敵の傷口を広げている。
「ここは俺の縄張りじゃねぇが、お前が好き放題していい場所でもねぇんだよ」
 告げながら真幸は後方へと動いてまた距離をとる。
 苛立ったように咆哮をとどろかせて剣竜が突進し、アルベルトが打ち倒された。
 瑞樹は仲間を飛び越えてギルドレイブへ接近した。
「必ずここから追い出してやる……忘れるな!」
 叫びとともに振り下ろしたエクスカリバールが傷口を痛烈に引き裂くと、竜が悲鳴をあげていた。
 ギルドレイブはたまらず翼を広げて体勢を立て直そうとするが、十分に効果は発揮しなかったし、それを黙って見ているケルベロスでもない。
「『想い』の力、受け取って下さい!」
 その隙に岳が大地に槌を打ち込み、不屈と成功を示すターコイズの輝きで敵を攻撃する。
 日和は敵を強くにらみつけた。
「ボクをこれ以上、怒らせるなよ!」
 左眼を閉じて、右目へとさらに力を入れる。敵の内部の気を乱し、整えた体勢を再び崩す。
 勇名のナイフもジグザグに敵を切り刻んで閉じた傷口を開いていた。
 暴れまわるギルドレイブはケルベロスたちの体力を削っていくが、それ以上に竜の体力も削れている。
 死にものぐるいの反撃で日和も倒れるが、その時にはもう戦いは終わろうとしていた。
 シズクは傷ついた敵へ両手の刀を構えて接近した。
「さっさと往生しやがれ!」
 斬霊刀を振り上げると、剣気の巨大な刃が出現する。
 全身の力を込めて横薙ぎに剣気を振るうと、鵺咬流秘伝奥義はギルドレイブを真っ二つに断ち切っていた。
 まだスモークは十分に残っている。
 倒れたアルベルトと日和を協力して助け起こし、ケルベロスたちは月山から撤退していく。
 踏みしめる足の痛みが、山がまだ解放されていないことを伝えてくる。
 いずれこの山がもとの姿を取り戻すことを願いながら、ケルベロスたちは走り続けた。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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