ラーメンという聖域を荒らす塩厨に、正義の鉄槌を

作者:紫堂空

●塩厨死すべし
「トンコツ~? 味噌~? 醤油~? 通なら当然……塩でしょ~」
「だよね~」
 男二人が夜道を行く。
 小腹が空いたのでラーメンでも食おうかとなり、塩大好きな彼等はそんな事を言いながら――。
「――うがぁああああっ!」
 怒り狂った鳥人間にぶち殺された。
「焼き鳥に塩! 天麩羅に塩! その上ラーメンまで塩だと! この塩厨共が!」
 男達の血に染まった蹴爪を振り上げながら、ビルシャナが叫ぶ。
「通がどうした! 他の味の何が悪い! ラーメンくらい好きに食わせろ!」
「「然り! 然り! 然り!」」
 ビルシャナに従う七人の戦士達(ラーメン好きのただのおっさん)が、ビルシャナの主張に同意の叫びを上げる。
「さぁ、諸君、どんどん行くぞ! 塩厨からラーメンの自由を守るために!」
「「自由のために!」」
 そうして、一羽と七人は次なる粛清対象を探して夜の街へと消えていくのだった。


●ラーメン以外は保護対象ではない
「『ラーメン通なら当然塩だよね』と言う人間に対する怒りのあまりにビルシャナとなった人間が、事件を起こすようです」
 何度目になるだろう、セリカ・リュミエールがケルベロス達にビルシャナが問題を起こすことを伝えてくる。
 今回は、クロノ・アルザスター(地球人の鎧装騎兵・e00110)がラーメン屋で聞きつけた噂話により、いち早く事件を察知することが出来た。
 調べによると、単なる塩ラーメン至上主義者は襲撃の対象ではなく、あくまでも『通ぶってラーメンは塩に限ると言う奴』のみを標的としているようだが、放っておいていいものでないことには変わりない。
「みなさんには、犠牲者が出る前にビルシャナを倒していただきたいのです」
 セリカの説明は続く。
「また、ビルシャナには彼の主張に賛同し、配下となっている人間が七人存在します。
 ビルシャナの主張を覆すような、インパクトのある主張を行えば、戦わずに彼らを無力化できるかもしれません」
 配下の一般人は戦闘力はたいした事がないものの、逆にいえばそれだけ死んでしまいやすいし、数が多ければそれだけ邪魔になる。
「標的はデウスエクス、ビルシャナ一体です」
 攻撃方法は以下の三つ。
 孔雀型の炎を飛ばす、孔雀炎。
 無数の氷の輪を飛ばす、八寒氷輪。
 傷を癒す光を放つ、清めの光。
「どれも理力を用いた攻撃で、遠距離まで届きます。特に、氷輪の効果範囲は広いので、くれぐれもお気をつけください」
 現場は大阪市某所。住宅地から駅前繁華街へ向かう路上である。
「ビルシャナに従う一般人は七名。彼らは塩以外のラーメンが大好きであり、『塩厨からラーメン選択の自由を守る』というビルシャナの行動に強く共感しています」
 焼き鳥や天麩羅で言われるのはまだ我慢できても、好物に関しては――ということだろうか。
「配下の人間はビルシャナを倒せば正気に戻りますが、あくまで今回の目的はビルシャナの撃破です」
 優先順位を間違えることのないように、とセリカが釘を刺す。
「ビルシャナの言いたいことは分からないでもないですが、その為に死傷者を出すのは絶対に間違っています。
 配下の一般人が道を誤らないためにも、ビルシャナの撃破をよろしくお願いします」


参加者
コレット・クラナッハ(双子の蛇・e00231)
ゼン・ヴァイシュミット(愛及屋烏・e01186)
シア・アレクサンドラ(シロキウタヒメ・e02607)
尾中・水香(レプリカントのグルメ・e04981)
輝島・華(地球人のウィッチドクター・e11960)
ドミニク・ジェナー(狂騒ガンブレイズ・e14679)

■リプレイ

●ラーメンおっさんの心を救え
「ラーメンって複雑? なんですねー」
 説得第一番。パラパラとラーメン漫画を眺めながらビルシャナご一行の前に立つのは、ユーフォルビア・レティクルス(年齢詐欺・e04857)。
「スープって鶏・豚・牛・魚介・野菜ってあるけど塩はシンプルだから、味の誤魔化しが効きませんよね?
 つまり出汁の味を楽しみたいだけで、塩は引き立て役ってことなんですよ!」
「……え?」
「うん?」
 相手の反応は無視。
 実際どうかは置いておいて、とにかく勢いで押し通すのだ。
「それに、ラーメンって激戦だそうじゃないですか。
 ラーメンの味の一つを否定するのは、そのお店が味に自信がないって見えはしないかなぁ?」
「いや、塩ラーメン自体をどうこうっていう訳じゃないし」
 ビルシャナの考えは独り善がりだから、相手の言葉はほぼ聞かない。
 そもそも単なる被害妄想だろう。
 そういったユーフォルビアの思考が透けて見えたという訳ではないだろうが、彼女の言葉はラーメン好きおっさん達の心を動かすことは出来なかったようだ。
 勢いは大事だが、相手を納得させて思いとどまらせるにはそれだけでは不足である。
「『通ぶってラーメンは塩に限ると言う奴』を標的としているようだが、なぜ塩味を推している者だけを攻撃するのか?」
 続いて前に出るのは、エルフリード・ファッシュ(猟兵・e16840)。
「他の味なら通ぶっても良いのか? 違うだろう?
 貴様たちの塩厨を排除しようとする考えも、通ぶっている連中と同じでただの押し付けだ!
 ラーメン選択の自由を守ると言っておきながら、選択肢を狭めているだけなのだ!」
 言いたい事を一気にまくし立て、終わるまで相手の反論を一切聞かないスタイルである。
「……いや、塩厨以外に他の味を見下す奴っておらんしなぁ」
「塩ラーメンが好きなだけやったら、俺ら別に構わんし」
 だが、自分達の事を否定されて面白くなかったのか。
 エルフリードの説得も、いまいち彼等の心変わりを促すことは出来なかったようだ。
(「クロノ姉様が調査してきたこの依頼、難しい事も多いですけど精一杯頑張りますの」)
 姉と慕う人の為にと気合十分なのは、輝島・華(地球人のウィッチドクター・e11960)。
 手遅れであるビルシャナはともかく、せめて配下となっている人間だけでも助けようと言葉を尽くす。
「塩に限る、と言っている人だって、あなた方に好きなラーメンがあるように塩ラーメンが好きで選んでいるのでしょう。
 通ぶっている態度が気に入らなくても、そんな人達を排除したらあなた方の方がラーメン選択の自由を奪う者ではないですか?
 塩ラーメンを選択した人を排除して、それで自由を守ったと言えるのでしょうか。
 通ぶった物言いは気にせず、それぞれ好きなラーメン食べましょう。
 なんなら私もご一緒しますの」
「自由とは何か……か」
 邪魔者を排除することが、自由を守ることになるのか。
 華の言葉は、おっさん達に自分達の行動の是非を問うものだ。
「暴力に訴えて、塩厨でお子様舌の可愛そうな人達と同じレベルに自分達を貶めてどういたしますの?」
 続いて説得にあたるのは、六枚翼のお嬢様シア・アレクサンドラ(シロキウタヒメ・e02607)。
「わずらわしい気持ちはわかりますの。
 けれど美味しいラーメンを食べるのに暴力をふるったりしては、後味が悪くなりますわ」
『塩厨』を見下す発言は、『自分達の気持ちを分かってくれる』と仲間意識を持ってもらうための策である。
「まぁ、たしかに……なぁ」
 ラーメンが不味くなる原因を襲撃して、そのことでラーメンを楽しめなくなるのでは意味が無い。
 シアの言葉は、熱狂していたおっさん達に冷や水を浴びせ、もう一度考え直す冷静さを取り戻させた。
「通ぶった塩厨なんてどうでも良いです。そんな事より、一緒に好きなラーメン食べに行きませんか?」
 そんな風に誘いを向けるのは、尾中・水香(レプリカントのグルメ・e04981)。
 普段は無表情なのだが、食べ物の事となると感情豊かで饒舌になるハラペコ娘だ。
「拳じゃなくて、ラーメンで塩厨達に思い知らせてあげましょうよ。
 本当に美味しいラーメンを食べさせれば、通ぶったりしないと思います」
「む、むぅ……」
「……そんな事より、ラーメン好きが七人も居るのに、お奨めのラーメン店一つ出てこない事の方が問題だと私は思います」
「……言われちまったな、シゲさん」
「おう。連れて行ってやるよ。俺のイチオシの店にな!」
 説得をしながらも、頭の中はラーメンのことで一杯。
 そんな水香に、おっさん二人がにやりと笑う。
 ラーメン好きだからこそ、楽しむ事を邪魔されれば本気で怒るし、美味い店を聞かれれば嬉しくなって全力で教えたくなるのだ。
 ――あと、おっさんだから若いコに弱い。
「好きな物の為に行動するのは素晴らしい事だと思うけど、アプローチの仕方は大事なのですよ」
 そう言って前に出るのは、コレット・クラナッハ(双子の蛇・e00231)。
 この連中の主張には共感できる部分が結構あってやりにくさを感じているが、ともかく人命救助である。
「ラーメンで過激派してたら、ラーメン自体が迫害されちゃうかも、かも。
 これだから○○やってるやつは……とか。
 そういうの、最近テレビでやってました」
 屁理屈であるのは分かっているが、まだ直接手を下していない信者達が改心してくれればそれでいいのだ。
「そんなことよりラーメン食べたい、のです」
 水香にならい、コレットも純粋にラーメンを楽しむことを思い出させようとする。
「ほう、お嬢ちゃんは何味が好きだい?」
「味噌です」
 コレットの好みは、味噌を第一に豚骨、醤油、塩と続いていく。
 塩はシンプルだから誤魔化しが聞かないのか、ハズレと感じるものが多いのだそうだ。
「味噌か、味噌、あるよ。いい店」
 ラーメン好きおっさんの一人が、「味噌といえば俺の出番だな」とばかりに張り切り出す。
 もうすっかり、この小さな味噌愛好家にオススメを紹介することだけに頭がいっているようだ。
「『常識でしょ?』とか『当たり前じゃん』って考えってホントつまらないよねー!
 視野を広くしたら、もっといいものわかるかもしれないのにね!」
 信者達の気持ちが理解できると言うのは、ゼン・ヴァイシュミット(愛及屋烏・e01186)。
「当然のことの様に『通は「塩」こそ至高!』みたいな意見押し付けられたらイライラするよね! わかるわかる!
 でもさ、本当にラーメンが好きならそうやって意見の押し付け合いしてたら楽しめなくない?
 ラーメンが好きなら、意見じゃなくてラーメン愛を貫こうよ!
 それぞれが好きなようにラーメン愛そうぜ。
 うおー! ラーメン大好きだ―!」
「……お前のシャウト、腹に染みたぜ」
「オマエもラーメン好きなんだな」
 おっさん達も、『同類』と感じる相手の言葉が耳に入らないほど我を忘れていない。
 一緒にラーメン食いに行くかと、二人が声をかけてくる。
「気持ちは、よォわかるわ。
 ワシも、塩より豚骨や味噌のが好きじゃからのォ。
 食っとるとたまに言われるわ」
 八番手。隣人力を発揮しつつ説得にあたるのは、特徴的な言葉遣いのドミニク・ジェナー(狂騒ガンブレイズ・e14679)。
「でもな、気にせず好きなモン食えば良ェじゃろ。
 ンな雑音に対して、暴力でしか他の味の良さを語れねェとか、ラーメン好きとして悲しくならねェかのォ」
「むっ……」
「言われンのが悔しけりゃ暴力じゃのぅて、これが好きだっちゅー誇りと揺らがぬ主張を持ちィ!
 狭い視野しか持っとらんヤツに、胸張って自信と愛情叩きつけたれや!」
「くっ、くそ……」
「確かに、な……」
「わかった。そうだな、人を襲って、ラーメンが美味くなるわけ、ないよな」
 今までの説得により、行動の正しさに疑問を持つようになっていたおっさん達への最後の一押し。
 ケルベロス達の説得の甲斐あって、七人の怒れる男達は皆ただのラーメン好きおっさんに戻った。
「ンじゃ、後はお前に風穴開けたるだけじゃのォ!」
 ドミニクはおっさん達に避難を促しつつ、ビルシャナに向かって宣戦布告する。
「ラーメンを愛するからこそ、ラーメンを汚すものを許さない。
 そんな奴らを庇おうとする貴様らも同罪だ!」
 ビルシャナの方も、ケルベロス達の言動が気に食わなかったらしく、完全に敵認定して襲い掛かってくる。
 事態を収めるには、もはや実力に物を言わせるしかない!

●ガンコな鳥人間を撃破せよ!
「戦士たちは、護るべき者達に、何を想い……」
 一番手。シアが『哀シミノ戦士ノ歌』により、華、ゼン、水香、ドミニクの前衛四人に異常耐性を付与する。
「アハハハハハ!! 真っ赤に染めてやるよ!!」
 シアによる加護を受けたゼンが笑いながら繰り出すのは、『壱ノ式・暁』。
 両足から噴き出す地獄の業火によって天高く舞い上がり、灼熱の炎を撃ち下ろして相手の体を焼き尽くすド派手な技だ。
「ぐぅおおおおっ!?」
(「うん、ここなら……」)
 炎に巻かれてうろたえるビルシャナ。
 コレットはその隙に、より攻撃を狙いやすい位置へと移動を行う。
「ほいじゃ、風通しようしちゃろうかのォ!」
 同時に、ドミニクも攻撃に移っている。
 ガトリングガンによる炎の魔力を籠めた弾丸の連射で、ビルシャナの土手っ腹に風穴をあけてやるのだ。
「フィールド展開……行きます」
 さらに水香が続く。
 一般人を利用し、『食べ物の事で』暴動を起こそうとしたビルシャナへの怒りを籠めた、フォース・フィールドバッシュ。
 質量を持った球状の力場を周囲に発生させて、ビルシャナへと吶喊。
「く、その程度の速度で――っ!?」
 ギリギリ躱せるつもりだったのだろうが、ゼンの炎を受けて動きが鈍り、正面から喰らってしまう。
「……お返しだっ! 焼き豚になるがいい!!」
 いい一撃を貰ったことによる怒りが、ビルシャナを駆り立てる。
 水香へ向かい、孔雀型の炎を勢いよく撃ち出してくる!
「大丈夫ですのっ!?」
 回避の間も無く炎に包まれた水香を、華が薬液の雨を降らせて治療する。
「おおおおおっ!」
 これ以上はやらせないと、エルフリードが両手のバスターライフルから魔力の奔流を放ち動きを抑えにかかる。
「行くよっ」
 エルフリードが作った隙を生かし、ユーフォルビアが仕掛ける。
 翠嵐衝影迅。
 少し溜めをつくった後、高速で突撃して斬りつけるという単純明快な技だ。
「ぬぅうっ、負けん、負けんぞ! 塩厨を滅ぼして、ラーメン界を平和に導くために!」
 焼かれ、撃たれ、撥ねられ斬られても、ビルシャナの闘志が翳ることはない。
 そして彼があくまでも考えを改めない以上、行き着くところまで行くしかないのだ。

●チャーシューになれなかった鳥
「凍えて裂けろ!!」
 ケルベロス達の連携を生かした戦いにより圧倒的に追い詰められているビルシャナは、それでも勝負を諦めること無く攻撃を繰り出す。
 怒りの対象である水香を含んだ前衛へ向かい、無数の氷の輪を放つ。
「させませんの!」
「防ぎます」
 華がゼンを、水香がドミニクを庇い、ビルシャナの攻撃を一身に受け止める。
 受けた傷は、華がメディカルレインによってすぐさま治療にあたる。
「わたくしの歌をお聴きなさい」
 すかさず反撃。
 シアが愛用のギター『Starlightparade』にもう一本のギターを合体、光と希望の歌を奏でる。
「ぐぅぅっ、この、耳障りなっ……。演歌以外の雑音をっ――!」
「あなたも痺れちゃえっ」
 色々なイミで苦しんでいるビルシャナに、コレットが追撃。
 羊毛で包み込め(アフロニナレ) 。
 羊のようなふわふわ精霊を召喚し、飛びつかせる攻撃だ。
「あががががっ!」
 密着からの電撃を受けたビルシャナの羽毛が、チリチリと逆立つ。
 さらにユーフォルビアが、石化光線を放って追い討ちをかける。
「動きを止めるぞ」
 追加で、エルフリードが制圧射撃によってビルシャナの動きを制限させ。
「撃ちます」
 水香がバスタービームで着実にダメージを重ねていく。
「く、そ……。塩厨め、貴様等が笑う未来など、俺は、認めん――」
 満身創痍でありながら、なおも立ち上がるビルシャナ。
 そこへ、真打ち登場!
「ちゃー!」
「しゅー!」
「「メエエエエエエエエン!」」
 ゼンとドミニクによる、チャーシューメンコンビネーションだ。
 ゼンがブレイズクラッシュを、ドミニクが大器晩成撃を繰り出してビルシャナを襲う!
 炎と氷、二つの一撃がビルシャナの最後の糸を断ち切り、その執念に幕を下ろす。
 ――こうして、ラーメン界の平和はケルベロス達の活躍で無事守られたのだった。

●ラーメンで広がるトモダチの輪
「おなかすきました、ラーメン食べたくなってきましたの」
 戦闘によって壊れた所を修復し終えた華が、仲間と戻ってきたラーメン好きおっさん達に提案する。
「味はどうする? ここならなんでもあるで?」
 通称ラーメン通り。
 ずらりと並んだラーメン屋が、日夜しのぎを削っている場所である。
「お野菜多い感じのものが好きですのよ」
 シアは味噌ラーメンを希望する。
「味噌なら、ここ、イチオシ……」
 コレットとシアを、味噌好きおっさんが案内する。
「熱いの苦手だから、つけめん、ごまだれで。
 ……餃子はどうしましょ……」
「おお、つけめんだな。胡麻だったら――」
 ラーメン好きが七人となれば、つけめんをカバーしているものも当然いる。
 ユーフォルビアも、無事に満足いく味にありつけたのだった。
 ゼノは醤油ラーメン。
 ラーメン友達のドミニクが「叫んだら食べたくなった」と豚骨チャーシューメンを選んだが、関係ない。
 あくまで『好きなモノを好きなように食べる!』なのだ
「よっしゃ、おいちゃんに任せとき!」
 トロトロで口の中でほろりと解けるチャーシューが絶品の、醤油、豚骨共に美味い店に案内してくれる。
「おいしいいい!」
 ゼノは醤油ラーメンに舌鼓を打ちつつ――。
「おまっ、ワシの! 大事に取っておいた! 味玉ァァァ!」
 ドミニクのラーメンから、味玉を容赦なく奪う。
 キレるドミニクだが、おっさん達に暴力を否定することを言っただけに、暴れるのは御法度だ。
 そして、おそらくこの中で一番ラーメンを楽しみにしていた水香は――。
 それらオススメラーメンの全てを、黙々と、一心不乱に平らげていった。
 まさに、ハラペコ娘の名に恥じないフリーダムっぷりである。
「ご馳走様でした」
「いい食いっぷりだなぁ」
「惚れ惚れするぜ」
 水香の健啖ぷりに、おっさん達が驚嘆する。
 こうして、みんなで好きな物を共有したことで、おっさん達の怒りに支配されていた心も完全に癒されただろう。
 彼等が再び問題を起こすようなこともないはずで、まさに文句なしの事件解決である。

作者:紫堂空 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年11月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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