あなたの値段HOWマッチ!?

作者:天木一

 街の外れにある駐車場の広い大型店舗。以前はチェーンの酒屋が入っていたが、今は閉店となり誰も居ない。そんな店に機械で出来た小さな蜘蛛が侵入する。内部は電気が止められ、外から差し込む日の光だけで薄暗かった。商品は全て撤去され、空の商品棚が並ぶ。そんな中を蜘蛛は行き来し、入口付近のカウンターに乗る。そこにはまだ置かれていたレジスターがあった。その中へと蜘蛛は入り込むと、ピッピッピッチリーンッと音が響き、レジスターはどんどん膨張して大きくなる。カウンターを押し潰しそのサイズが4mを超えると、足元に巨大なキャスターを作って動き出した。
『お茶1点、おにぎり2点、からあげ1点。合計で700万円になりまーす!』
 電子音声が流れると、ケーブルで繋がった大きなスキャナーがピッピッと周囲を読み取り、合計金額が表示される。
『1000万円札はいりまーす! おつりは300万でーす!』
 ドドドジャリ―ンッとレジスターが開き、ジャラジャラと巨大なコインが撒き散らされる。それは周囲に積まれやがてガラス壁を突き破った。
『そこの商品は? お値段気になりますよねー? 気になるものはみーんなHOWマッチ!!』
 ふらふらと道に出た巨大レジスターは人の集まる場所を求め、道路を商店街に向かって進みだした。

「前に酒を作るダモクレスと戦ったのでな、酒繋がりで酒屋の機械類がダモクレスになるかもしれんと予想したところ、当たってしまったようだな」
 ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)がケルベロス達にダモクレス事件だと告げる。
「閉店となった酒屋のレジスターがダモクレスとなり、多くの人を襲ってしまうようです。敵が人の多い場所に到着する前に迎撃し、これを倒して被害が出ないようにするのが作戦となります」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が詳しい説明に入る。
「敵となるダモクレスは4m以上あるレジスターで、コインを飛ばしたり、レシートを絡ませたり、バーコードで読み取り金縛りに掛けたりといった攻撃をしてくるようです」
 レジスターの機能を使った攻撃をしてくる。見た目は普通そうに見えるが、その巨体が何よりの脅威となる。
「現れるのは神奈川県の街中で、既に避難は始まっていて、到着時に戦闘となる道路周辺の避難はおおよそ終わっています。それに敵はお客さんを探しているようなので、こちらから出向けば逃げる人よりも優先されるでしょう」
 道路で敵と接触すれば問題なく戦闘に入れ、少しすれば完全に周辺の避難は終わる。
「レジスターは毎日のように見かける便利な道具ですが、ダモクレスとなって人を襲うなら倒さなくてはなりません。皆さんの力で街の平穏を守ってください」
 セリカは一礼し、ヘリオンの準備に向けて動き出す。
「当たってしまったのならば解決するより他ない。敵を倒し人々を守るとしよう」
 ヒエルの言葉にケルベロス達も頷き、戦いの準備にそれぞれが行動を開始した。


参加者
アイン・オルキス(矜持と共に・e00841)
源・那岐(疾風の舞姫・e01215)
天矢・恵(武装花屋・e01330)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
サラ・エクレール(銀雷閃・e05901)
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)
金剛・小唄(ごく普通の女子大学生・e40197)
ステラ・フォーサイス(嵐を呼ぶ風雲ガール・e63834)

■リプレイ

●巨大レジスター
 避難する人々が視界から消えてゆき、昼間だというのに人気の無くなった道路にはケルベロス達だけが残っている。
「幸いにも避難は終わったようだが、ここで仕留めねば意味は薄い。念入りに壊してくれよう」
 この先には通さんと、アイン・オルキス(矜持と共に・e00841)は敵の通る道路で油断なく待ち構える。
「大通りの交差点で戦うのが良さそうだな」
 あそこならば広く周辺への被害も少ないだろうと、天矢・恵(武装花屋・e01330)は被害の少なく済む場所を戦場に決める。
「レジスターですか。最近セルフレジなんかもあるそうで。店舗が閉店してちゃんとレジスターを片づけなかった店の人の落ち度ですよね。今回は」
 とはいえ一般人にそういう意識を徹底させるのは難しいかと、源・那岐(疾風の舞姫・e01215)は小さく息を吐いた。
「そうだね最近のレジは日々進化してるよね。今回は不法投棄じゃなくて、店舗が閉店してレジスターを置き去りにした店の人の落ち度だよね。そういういい加減な店だから閉店しちゃうのも分かるような」
 同意した源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)は、もっと管理がしっかりしていれば避けられただろうと肩を竦める。
「物悲しいですね」
 サラ・エクレール(銀雷閃・e05901)はどんどん古い物が新しい物に置き換わっていくのを寂しく思う。
『200万ー! 400万ー! お札はないので釣りは小銭でー!』
 そうしていると、道路の先からジャラジャラと大きなコインを撒き散らしながら4mを超える巨大なレジスターが現れ、ケルベロス達の前までやって来る。
「現れたな、ここは一歩も通さん」
 ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)は手足に氣を纏って進路を塞ぐように立ち、道路のド真ん中を突っ込んで来た敵を両腕を伸ばして受け止め、ずずっと足元に焦げ臭い煙を上げながら停車させた。
「ふむ……レジスターのダモクレスは初めて見たんですね。値段どれぐらいかな? ちょっと気になるね」
 少し自分の値段が気になると、金剛・小唄(ごく普通の女子大学生・e40197)は興味深そうに敵を見る。
『あなたのお値段はHOWマッチ!!』
 するとコードを伸ばしたスキャナーが小唄に向けられ肩に止まっていたウイングキャットの点心ごと精査し金額が出る。
『ジャジャーン! 猫と人間女性で3500万円となりまーす! ちなみに猫ちゃんが、いくらにしようかな……3000万円くらいでーす!』
「……てか適当に決めてるよな! やっぱり故障してるね、このレジスター。叩いて直そうかな?」
 ギロッと睨んだ小唄が声を荒げ拳をポキポキ鳴らして威嚇する。その隣でドヤ顔の点心は胸を張って尻尾を振っていた。
「なん百円をうん百万円って……もしかしてあのレジ、関西生まれなんじゃない?」
 ステラ・フォーサイス(嵐を呼ぶ風雲ガール・e63834)は関西のやり取りにそんなのがあったと思い出す。
「おっちゃんコレ1回なんぼー、五百万円やでー、って掛け合いあるじゃん? あ、でも千円を1万円って言ってないか」
 違うのかなと首を傾げていたステラは、今はそんな事を考えてる場合ではなかったと頭を振って雑念を払った。

●HOWマッチ!
「早々に片付けましょう」
 殺気で人払いを掛けたサラは、最適化された動きでオウガ粒子を展開し仲間達の感覚を高め戦闘準備を整える。
「こんな礼儀のなってないレジスターはさっさと壊してしまえ」
 同時に小唄もオウガ粒子を放ち、仲間達の能力を高め後押しする。
「会計を頼みにきた、清算を頼むぜ」
 そう軽口を叩いた恵は、勢いをつけ飛び蹴りを放って敵の注意を引き、こっちだと交差点の方に着地する。
『おいくら万円ー!?』
 敵がスキャナーを伸ばしてくると、恵が下がって誘導し交差点で止まる。
『ピピッ成人男性1点。お会計は2900万円になりまーす!』
 そこへスキャナーがピッと光り恵の動きを止めてレジの表示部分に値段が出る。だが恵は平然とした顔で敵のボディを蹴り飛ばした。
「まずはみんなを援護していくよ!」
 ライドキャリバーのシルバーブリットに乗ったステラは手にしたスイッチを押し、仲間達の後背に色とりどりの爆発を起こして士気を高め勢いづける。
「これは大きなレジスターだな。破壊するには手間取りそうだ」
 だがこの場で壊さなくてはならないと接近したアインは腕をドリルのように回転させ、火花を散らしながら敵の装甲を削って穿つ。
「ダモクレス化してしまった以上、お前を壊さねばならない。人々の役に立つどころか危害を加えるのであれば、お前の値段……価値はマイナスだ」
 ヒエルは周囲の仲間の『当てる』という意思を増幅させ、集中力を高めて動きの精度を上げた。
「所で値段を計ってくるということですが、人の価値は値段では決められませんよね。決められるなら決めて見ろってことで。瑠璃、行きますよ!!」
 啖呵を切った那岐は蒸気大鎚の歯車の速度を上げ、砲門を開き蒸気を噴き出しながら弾を発射する。敵の足元で爆発しキャスターを1つ破壊し巨体を傾けた。
「ダモクレスに寄生されて、所構わず値段を付けるようになっちゃったか。一般社会に出てしまうと甚大な被害が出てしまうような気がするので、何とかしないと」
 姉の呼び掛けに応じた瑠璃も動き出し、禁断の断章を紐解き口ずさむと、サラの脳細胞が限界を超えて強化される。
「装甲を貫く!」
 死角から接近しながら腕をオウガメタルで覆ったサラは、先端を鋭くして殴り装甲を貫いて穴を開ける。
『レシートはご利用ですかー?』
 その頭上からこれまた大きなレシートが放たれ巻き付いてくると、前に出たヒエルが代わりにレシートを浴びて、覆うように身体に巻き付かせる。
「買ってもいないものの証明書など不要だ」
 その分厚い紙を破り捨て、ヒエルは氣を練った拳を敵に叩き込んで後方へ退けた。
「大きな分装甲は厚いようだが、熱に対しての耐性はどうかな」
 アインはガジェットを操作し、敵は発火させて炎によって装甲を溶かしレシートを燃やす。
『お釣りもどうぞー』
 レジが開きコインが砲弾のように飛び跳ねる。
「いいか、ケルベロスに適当に値段つけるってのがどういう意味か、教えてやるよ」
 ガントレットを装着した腕でコインを受け止めた小唄が、獣のように素早く懐に入って殴りつけた。すると衝撃でレジが開きっぱなしになりコインがばらばらと降って来る。そこへライドキャリバーの魂現拳が突っ込んでコインを纏めて撥ね飛ばす。
「これじゃあ小銭っていうより大銭だよっ。当たったら痛そうだから気をつけて!」
 騎乗でコインに当たらぬよう移動しながらステラは銃型のガジェットから蒸気を噴き出させ、仲間達に微細な金属片を付着させて防御能力を向上させた。
「まずは氷漬けにしてしまいましょうか」
 銀色のライフルを構えた那岐は、冷凍光線を敵のボディに撃ち込み一瞬にして広範囲を凍結させる。
「硬そうな敵だから、攻撃力を強化しておくね」
 瑠璃は断章の詠唱を続け、次は恵に強化を施し戦闘力を高めた。
「ここまで桁が違うとコントみてぇだ。レジというよりはスロットマシンじゃねぇか」
 凍って動きの鈍った隙をついた恵は腕に炎を纏って振り抜き、放たれた火炎に巻かれた敵のボディが燃え上がる。
『あなたをHOWマッチ!!』
「市街地で好き勝手させる訳にはいきませんので、どんどん邪魔していきますよ」
 伸びるスキャナーに向けて那岐は銃口から光弾を放ち、グラビティを中和してスキャナーを狂わせた。
『電柱は500万ーマンホールは1000万ー』
 スキャナーがあっちこっちを読み取ってデタラメな値段が並び、コインが吐き出される。
「人の値段を調べる前に、自分の値段を見てみたらどうだ?」
 跳躍した恵は思い切り蹴りつけ、吹き飛んだ敵は信号機にぶつかりぐるんぐるんと回転して止まる。その衝撃でレジが閉じ代わりにレシートが飛び出てきた。
「ちょっとレシートが長すぎじゃない……ポテチとか買ってないものが書かれてるし! ぼったくりは犯罪だよ!」
 巧みにシルバーブリットを操縦して避けたステラは、ガジェットから鞭を伸ばして伸び続けるレシートをバラバラに切り裂いていく。
「故障してるんだ。廃棄するしかないよな」
 小唄は両腕にガントレットを装着し、左手でレシートを引っ張って引き寄せ、右の拳で殴りつけて装甲を砕いた。反動でレシートが中の方で千切れる。
「行け、コンドル。損傷個所を中心に狙え!」
 アインの手に持つロッドが猛禽へと姿を変え、砕けた部分に飛翔しその鋭い爪で傷ついた装甲を大きく引き裂いた。
『億千万円ー!』
 レジがガシャンガシャンと何度も開け閉めされ、無数のコインを撒き散らし周囲を埋め尽くそうとする。
「釣り銭もまともに渡せないのか。それでは見捨てられても仕方ないな」
 皮肉を言いながらヒエルが拳でコインを弾いていると、横からスキャンされ身動きを封じられ、コインが体に当たり腰の辺りまで埋め尽くす。
「そうはさせん!」
 サラは愛刀を抜き放ち、コインの上に踏み込むと同時に斬撃を放った。ボディの切断面から霊体を憑依させ、まるで数十年野ざらしにしたように劣化させる。
「援護するね。これで少しは敵の攻撃に抵抗できるはずだよ」
 瑠璃はエクトプラズムで仲間達を覆い、怪我を癒しその膜によって敵性グラビティへの抵抗力を高め、点心も翼を羽ばたかせて仲間達を癒す。

●お釣り
『みんな値段を見ますから一列に並んでくださいー。えー1億、2億……4億円でーす!』
 スキャナーがうねうねと動いてケルベロス達を纏めて読み取って金縛りに掛ける。
「人の値段を勝手に決めるなんて、失礼にもほどがありますよ!」
 靴の銀色の羽が羽ばたき軽やかに跳躍した那岐は敵を蹴りつけ、星型のオーラを叩き込んでその形に装甲を凹ませスキャンを止めた。するとレシートがうねうねと出て来る。
「値段を調べたのならもう用済みだな。廃棄してやる」
 ヒエルはスキャナーを回し蹴りで吹き飛ばし、魂現拳はレシートに突進しスピンして車体に巻き付かせて攻撃を引き受けた。
「搦手は厄介だからね。早々に治療しておかないと」
 すぐに瑠璃の元から穏やかに風が吹き抜け、仲間達を優しく包み込み心身共に治療する。
「私も援護する。敵に休む間を与えぬよう攻撃を継続してくれ」
 アインは魔力を注いだ指で周囲に三つの円を描く。すると円が不規則に回転しエネルギーの球体を生み出し、放つ波動が仲間達を癒していく。
「人には数値化できねぇ価値がある、誠の価値ははかれねぇ。それがわからねぇんじゃ値付けなんて百年はえぇ」
 正面から力強く踏み込んだ恵は敵を殴りつけ、装甲をひしゃげながら敵の巨体がぐらぐらと不安定に揺れた。
『えーと、お釣りは……いっぱいでーす!』
 コインが盛大に撒き散らされ、周囲の電柱やフェンスを薙ぎ倒していく。
「上に避けるよシルバーブリット!」
 ステラはウィリーさせてコインを跳んで避ける。すると上に待ち構えていたスキャナーに捕捉されてしまう。
『あなたのお値段は……4200万円となりまーす! 内バイクのお値段は900万円くらいだと思いまーす』
「ちょっと!シルバーブリットはそんなに安くないんだからね!?」
 出た値段にステラは抗議の声を上げる。
「せめて本物のコインを出せば、後でまだ使えるのに……もう全然使えないやつですね、やっぱり廃棄しないと」
 うんうんと納得顔の小唄はガントレットでコインを弾き、仲間達を守る盾となる。
「この程度!」
 十文字槍を構えたサラは、コインを斬り払い突きを放ち、稲妻宿る穂先が装甲を貫き内部に電撃を流して機能を狂わせる。
『お値段が気になるならお気軽にどうぞー』
 ひび割れたスキャナーが光を発する。
「そこまでです。もうこれ以上攻撃はさせません」
 那岐が戦舞を舞うとその一挙一動ごとに藍色の風が巻き起こり、無数の風の刃が生まれ敵の全身を切り刻んだ。
「手伝うよ那岐姉さん」
 瑠璃は半人半馬の狩人ケンタウルスを召喚し、その手にある弓が引かれ放たれた矢は狙い違わず敵の装甲の切れ目に入り込み、内部の基盤を貫いた。
「私の価値を、その身に刻め!」
 納刀状態でサラは接近し、一瞬にして抜き打つと横に一薙ぎ、そして続けざまに電光の如く突きを放ち、ボディを断ち切り、向こうの覗ける貫通痕を残した。
「壊れた機械には、廃棄処分がお似合いだ!」
 その穴に小唄はガントレットで貫手を放ち、内部の機械を掴んで引き千切る。
「コンドル、獲物を仕留めろ!」
 アインの元から猛禽が飛び立ち、爪で装甲を引き剥がし、内部に入って機械類を切り裂く。
『お釣り……お釣りはーー』
 狂ったようにコインが溢れ白紙のレシートが伸びると、点心が爪で引っ掻きレシートを爪研ぎするように破る。
「シルバーブリットの真価を教えてあげるんだから!」
 ステラはシルバーブリットを駆り、動き回りながら鞭でスキャナーのコードを切り飛ばし、敵の全身を裂いていく。
「こいつで終わりにしてやるぜ」
 一振りの刀を召喚した恵は剣閃を奔らせる、いつ振り下したかも分からぬうちに袈裟斬りに敵を両断した。
「つりは要らない。手向けとして持って逝け」
 飛び込んだヒエルは蹴りを浴びせて押し倒し、コアに拳を打ち込んで破壊し、機械が爆発を起こしレジスターはバラバラに吹っ飛んだ。

●働く機械
「ヒールではもとには戻らねぇが、こいつは手作業って訳にもいかねぇな」
「お手伝いします。壊れた部分だけをヒールすれば……」
 恵は自分で折ってしまった信号機を運び、根元の残った場所に立ててみる。そこへサラがヒールを掛けると、多少歪んではいるが実用に耐える状態で修復された。
「これで修復も完了だな。被害が軽微で良かった」
 ヒールを掛けたアインは、守った人々の姿を目にして満足そうに頷く。
「ふー、今こいつの値段はいくらかな?」
 すっきりしたと小唄は狂暴性を潜め、ガラクタとなった機械のパーツを道の端に置いて見下ろした。
「店のレジもどんどんハイテク化が進んでいるとはいえ、お前の様なレジならまだ再利用できる店も沢山あっただろうに」
 ヒエルは砕けたパーツを一箇所に集めながら、まだ使えた機械の成れの果てを憐れに思う。
「結構、個人でやってるお店なんかに掘り出し物が眠ってたりするんだよ。倉庫の奥に眠っている新品同然の昭和グッズとかレトロな機械とかね」
 これもダモクレスにさえならなければそんな道もあったのかもと、ステラは拾ってきた破片を置いた。
「今日の夜ご飯は何にしましょうか。瑠璃は何が食べたいですか?」
「寒くなってきたからお鍋なんかもいいね」
 那岐と瑠璃がおかずを買いに商店街へと歩いていく。人々の活気が戻った街では、多彩なレジスターの音が響いていた。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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