そろそろコタツでバニラアイスでも

作者:星垣えん

●友達同士の集まりのような
 とある寂びれた一軒家。
 そこの居間に、コタツで温まるビルシャナと男たちがいた。
「コタツを引っぱりだして正解だったなあ。こうぬくぬくしてると、人間の幸せとはこういうもんだと実感できるよね」
「そっすねー」
 体の半分以上をコタツ布団に埋め、卓に顎を乗せて純日本風にだらだらする鳥と男。
 実に安穏とした空間だった。
「けどさらに幸せを求めるなら、冷たい物を食べるべきだと思うんだよ。冷たいスイーツ」
「あーわかりますわー」
「暑い時季にクーラーをガンガン効かせて鍋をするのと同じく、寒い時季に部屋をぬっくぬくにしてアイスとか食うのは最高っすよね」
 鳥さんへの同意を、上下に動く首で表現する男たち。
 鳥もまたその男たちに首をこくこくさせた。
「そして冷たいスイーツならば僕はバニラアイスだと思うんだよ。あれにまさる冷スイーツはない……シンプルにして深い甘さとバニラの香り、研ぎ澄まされた究極の味さ」
「たしかにー」
「あーバニラアイス食いたくなってきたー」
「任せろぅ! こういうこともあろうかと、僕の手作りバニラアイスが冷凍庫にたっぷり眠っているからよぅ!!」
「ひゅー! やったぜー!」
「鳥さんやるー!」
「やーめーろー。わかったからやーめーろー」
 ぴうぴう口笛で囃したてられ、照れる鳥さん。
 重ねて言うが、実に安穏とした空間だった。

●和やかでも敵は敵
「もうコタツを出す時季ですか……」
「焦点はそこじゃない」
 冷たい風を受けてぼんやりする御子神・宵一(御先稲荷・e02829)に、ザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)が冷静にして的確なツッコミをくらわせた。
 ビルシャナか……と察するケルベロスたちであった。
 そんな一同を見て肩をすくめるザイフリート王子。
「その顔を見るに状況は理解したようだな。ビルシャナは『冷たいスイーツならバニラアイス一択』と言い張って信者たちとぬくぬくしているから、早急に仕留めてきてくれ」
 状況と要求がいまいち噛み合ってない気がするもののケルベロスたちは了承した。
「バニラアイスを食っている信者どもだが、こいつらは適当に別の冷たいスイーツでも与えてやれば目を覚ますだろう。なにせコタツでぬくぬくしているからな、頭のほうもぬくぬくだ」
 と、王子はみなぎる自信で言った。
「頭がぬくぬくなので特に深く考えたりしない、ということですね」
 宵一も、さもありなんという顔をした。
 やはり鳥に唆されるような連中は得てしてアホなのかもしれない、と思う一同である。
「まあ、伝えるべきことはそれで全部だ。用意ができたらヘリオンに乗ってくれ」
 確実に送り届けてやる、と言って王子は颯爽とヘリオンへと歩いてゆく。
 ビルシャナの戦闘能力とかロクに説明されてないけど、伝えるべきことは伝えたらしいっす。


参加者
琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774)
新条・あかり(点灯夫・e04291)
久遠・薫(一罰百戒・e04925)
七宝・瑪璃瑠(ラビットソウルライオンハート・e15685)
オリヴン・ベリル(双葉のカンラン石・e27322)
鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)
陸堂・煉司(冥獄縛鎖・e44483)
朱桜院・梢子(葉桜・e56552)

■リプレイ

●不法侵入は常識
 冬は寒い。
 つまり家の中でコタツに入るのは自然なことなのだ。
「炬燵が至高、って鳥じゃなくて良かった」
「おコタは魔性だよ、ね……」
 すっぽりとコタツに収まった新条・あかり(点灯夫・e04291)とオリヴン・ベリル(双葉のカンラン石・e27322)が気の抜けきった息をつく。地デジ(テレビウム)に至っては収まりすぎて見当たらない。
「そのコタツがアイスと組みやがるとはな……」
 何やら険しい表情となる陸堂・煉司(冥獄縛鎖・e44483)。
 その下半身はもちろんコタツ布団に囚われている。
 つまりだらけきっている。
「このみーちゃんの炬燵のおかげで快適ですね」
「ええ! ダメ人間具合なら私、負けないですわー!」
 ぬくぬくこたつむっている久遠・薫(一罰百戒・e04925)が目を向けると、同じくこたつむっている琴宮・淡雪(淫蕩サキュバス・e02774)が典型的ドヤ顔を見せつける。
 すると、バターのごとくダレていた朱桜院・梢子(葉桜・e56552)も顔を上げた。
「そうね……炬燵と冷たいすいーつへの愛は私だって負けてないわよ!」
 そう言うや眠るように再び突っ伏す梢子。
 圧倒的やる気のなさを見て、葉介(ビハインド)はアップル(テレビウム)と物言わず視線を交わす。お互い大変だね、と。
 一方、七宝・瑪璃瑠(ラビットソウルライオンハート・e15685)と鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)はケモ耳をへにょんとさせている。
「みんなでぬくぬくなんだよ!」
「おこたってどうしてこう幸せになれるんでしょう~」
「いけない。このままじゃ囚われちゃう……」
 天板に顎を乗せ、全力で脱力してゆくあかり。
 ――というまったりシーンを、鳥さんは見せつけられている。
「人ん家でまったりして! なんなの!」
 鳥さんが盛大にツッコんだ。
 当然である。
 けれどもその当然の一言に、瑪璃瑠は眩しいほど爛漫に言った。
「お邪魔します、なんだよ!」
「それはコタツ設置のはるか前に言わないと!!」
 当然のツッコミである。

●おいしいアイス
 鳥が鶏を見つめる。
 鶏も鳥を見つめる。
「コケー!」
「な、なんぞこいつー!?」
 突如として現れた肥満鶏――淡雪のファミリアロッド『彩雪』の咆哮にビビる鳥。
 彩雪は食欲のままにバニラアイスを奪いだす。
「コケェー!」
「止まらない……! なんてパワーだ!」
「く、食われる前に食わなければ!」
 略奪者の恐怖を見た信者が、慌ててバニラアイスを食おうとする。教祖はまだしも信者は彩雪(の食欲)に抗うことはできないだろうから正しい判断である。
 が、そのとき巨大なため息が聞こえた。
「……てめぇら、マジでバニラしか食わねぇつもりなのか?」
 煉司である。
 コタツに突っ伏す煉司である。
「バニラもまぁ、美味ぇよ。美味ぇけど……抹茶アイスだって美味ぇだろ。茶と甘味の融合、しかもアイス。初めに考えたヤツ天才だろ。ガチの」
「そうですね~。私も抹茶は大好きですよ~」
 もぐもぐ、といつの間にか抹茶アイスを食べている紗羅沙。
「抹茶も食べてみませんか~?」
「うーん……でも正直バニラのほうが美味くない?」
 今ひとつ納得しない信者たち。
 しかし今度はあかりが負けじとかぶりを振った。
「でも、バニラアイスばっかりだと飽きるんだよね」
 じぃーっ、と蜂蜜色の瞳を向けるあかり。
 しかも隣からオリヴンも碧玉に似た眼差しを投げてきている。
「うん、バニラの良さがわからなくなるよね。偶には違う味でリフレッシュしません、か?」
 のんびりした口調で言いながら、小さいバケツ並みの容器を天板にどすっと置くオリヴン。
「ぼくのおススメはこちら、です。チョコレートクッキーアイス!」
「こ、このビッグサイズは……!」
「1ガロン、です!」
「ガロンって何!?」
 耳慣れぬ単位に信者たちが目を剥く。
 ちなみに1ガロンは4L弱である。
 つまりはアメリカンなサイズをご想像頂きたい。
「冬ってチョコの限定商品が沢山出るよね。つまり冬はチョコとか濃ゆい味のものが食べたくなる、のです。しかもクッキーでちょっとリッチに!」
 大きなスプーンで豪快にチョコクッキーアイスを楽しむオリヴン&地デジ。
「アメリカンな食い方だ……!」
 見せつけられる状況に早くも信者はぐぬぬした。
「僕のおススメはチョコミント」
 どんっ、とオリヴンに比べれば小ぶりな容器(2L)を出すあかり。
「これがね、美味しいんだ」
「私もアイスはチョコミントが究極だと思います」
 あかりがディッシャーを持ち出すと、薫も力強くうなずいた。
「チョコレートの甘み、ミントのほんのりとした苦み、そして後に残る清涼感。それはもう格別ですよね」
「はい、薫さんもどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
 あかりから貰ったチョコミントを頬張り、薫は厳しい目つきで信者に向きなおる。
「歯磨き粉だなんて言う方も居ますが、それは違います。ミントと共にポリポリとしたチョコレートがある、それがチョコミントです」
「は、はぁ……」
 強めの圧に曖昧な角度でうなずく信者。
 そんな彼らを尻目に、あかりは耳を震えさせて熱いため息をついていた。
「バニラ、チョコミント、バニラ。これを最中の皮に挟んで食べたらもう……」
「な、なにぃ!?」
「アイスモナカ……だと!?」
 最中でサンドしたアイスを食べてるあかりの姿に、信者らが同じくぷるぷるしはじめる。
「チョコミント……アリか?」
「アリっていうなら、キャラメルだってアリだぜ」
 ぎらり、と眼光を強める煉司。
 その手と口にはキャラメルアイスが収まっている。
「バニラ一択とか小せぇ事言ってんじゃねぇ。いろんな味が楽しめるから良いんだろうが」
「こいつ、コタツにこもってアイス食ってるだけとは思えない上から目線だ……」
「だがキャラメルアイスも美味そうなのが困るぅ……」
 一部の者がふらーっと手を伸ばし、煉司が勧めたキャラメルアイスを味わいだす。
 そんなときである。
 梢子と紗羅沙がビニール袋を持ち出したのだ。
 その中から出てきたのは、2つ丸餅が連なったようなプラ容器だった。
「私がお勧めするのはこれ! 雪見……あいすくりぃむをお餅で包んじゃった大福よ!」
「雪……大福だと!?」
 ギリギリの線を攻めあう梢子と信者。
「やっぱり冬はこれですね~。ふわふわもちもち、中のアイスのとろーりともちもちひんやり食感は冬という感じがしますね~」
 付属のアレを刺し、もちとろアイスを口いっぱい頬張る紗羅沙。
 それを見るなり梢子も早速ひとつ、口に放りこむ。
「初めて食べた時はあまりの美味しさに衝撃を受けたものだわ……考えた人は天才よね!」
「おもちとアイスの両立、手作りはとっても難しいんですよ~。メーカーさんの頑張りの結晶だと思うのですよね~」
「あら、やっぱりそうなのねぇ」
 むぐむぐと雪……アイス大福をまったり味わう梢子&紗羅沙。
「だいふく、美味しいよね! ボクも食べたくなっちゃったんだよ!」
「僕も。ひと口もらってもいい?」
「あ、私もください」
「もちろんいいわよ。今しか味わえない期間限定の味も用意したわ」
 瑪璃瑠やあかり、薫に、梢子はビニール袋に手を突っこんで答えた。
 で、数秒後には信者たちも「ください」と頭を下げていました。

●ひとてまアイス
「でもやっぱバニラが一番じゃね?」
 何人か信者は落ちたが、まだバニラ信奉は根強い。
 というわけで薫と淡雪は別方面から攻めることにした。
「バニラも確かに美味しいです。しかしそこにひと手間加えてはいかがですか?」
「そうですわ!!」
 理屈っぽいことは薫に任せ、ノリで指を差してみる淡雪。
 逆の手には、鳥からくすねたバニラアイス。
「さ、薫様どうぞー」
「どうもです」
 バニラを受け取った薫は、天板の上に牛乳とブランデーを置く。
「たとえば子供向けには、ミルクと混ぜればシェイクのようなドリンクに。大人でしたら、お酒をひとたらしするのもまた良いです」
「ほぅ……それはまたなかなか」
「こちらは、カロリーを一切無視した白玉クリームあんみつですわ!」
 だぁん、とガラス容器を叩き下ろす淡雪。
 バニラに合わせて白玉やら餡子やら黒蜜がかかるそれは実に破壊力がある。
 色々な点において。
「巨悪なカロリー同士で相殺して推定カロリーは0! だから太らないのですわ……」
「おまえ、声が震えてるやないか……」
 語ってるうちに顔を俯けた淡雪を憐れみ、つい涙する信者たち。アップルさえも顔画面に泣き顔を映している。最近、飼い主のお腹がヤバいらしい。
 が、当のお腹ヤバいさんはすぐメンタルをリセットした。
「あかり様、あーんですわ!」
「あーん」
 淡雪が差し出したあんみつを迷わず食べるあかり。
「……この美味しさを知らないなんて、勿体ないなあ」
 やはり耳をぴこぴこさせ、ちらちらと信者を見やる。
「これ見よがしに!」
「だが美味そうなのは事実……!」
「太るけど……」
 バニラあんみつの魅力に色々な意味で震える信者たち。
 そこへ煉司は無言で1杯のグラスを置いた。
「……ほらよ、お手軽抹茶パフェだ」
「!!?」
 信者の何人かが目を剥く。バニラと抹茶アイス、そこに黒蜜。
 淡雪のものとはまた違うパワーである。
「下にはわらび餅とカステラを敷いてある」
「絶対美味しいやつやん……」
「よし食おう」
 煉司の静かな補足を聞いた彼らは、すでにスプーンを手に取っている。
 そうして信者が何人か落ちた一方で、梢子はホールケーキを天板の上に披露していた。
「あいすのけぇきなんていかがかしら?」
「アイスケーキ……!」
「いいんですか? ありがとうございます~」
 うっとりとアイスケーキに魅入られるオリヴン&地デジ、そして紗羅沙。
「あいすなのにけぇき、なんていいとこどりなのかしら……!」
 葉介が並べた皿にウキウキとアイスケーキを分ける梢子。
 完全に見せつけている形であった。
「なんちゅう圧や……!」
「アイスケーキ、美味しそうだよね!」
 ごくりと喉を鳴らす信者と信者と瑪璃瑠。普通に溶けこんでいる。
 が、ただ紛れこむばかりの瑪璃瑠ではない。
「でもでも、アイスだけが冷たいお菓子じゃないんだよ! ほら、プリンやゼリーも持ってきたからみんなで食べるんだよ!」
「プリンか。いいじゃねぇか」
 瑪璃瑠がせっせか並べだしたプリンやらを見て、煉司がわずかに口角をあげる。
「ほら、ぷるぷるなんだよ! おすそ分けなんだよ!」
「文字通り押しが強い……」
 信者の頬へぐいぐいとカップを押しあてる瑪璃瑠。
「これ食べてからアイス食べるとぷるぷるとは違う口溶けがいいよね!」
 食べて食べてと勧める瑪璃瑠。
 そこで煉司もはたと思い出したように顔を上げる。
「そういや俺もコーヒーゼリーと水羊羹、持ってきてるぜ」
「コーヒーゼリー……」
 ぽつり、と紗羅沙が反応すると、煉司はさらりと流し目を送る。
「生クリームを乗せたやつな」
「それはいいですね~」
 というわけで2人してもぐもぐする煉司と紗羅沙。
 横で見ていたあかりは、しみじみと天上を見上げる。
「味を変えるって大事だよね。僕も焼き鳥食べたくなってきた」
「それは別なんじゃ……」
 ぽそっとこぼしながら、すっかり存在が薄くなってる鳥さんを見やる淡雪。彩雪とバニラアイス争奪戦を続けている鳥は、自身に迫る危機を知る由もない。
 一方、信者にはオリヴンが声をかけていた。
「甘いもの続きで困る人には、はい、冷凍ミカン」
「これは……」
「コタツに定番のやつ……!」
 天板に置かれた冷え冷えミカンを、囲んで見つめる信者たち。
 さらにオリヴンは、チョコクッキーアイスを持ち出す。
「しかもこれに添えると……チョコとシトラスの鉄板アイススイーツになる、のです!!」
「あ、合わせ技!?」
「うーん、合うわねぇ……」
 身を乗り出す信者。を出し抜いてすでに食べてる梢子。
「こ、こいつ抜け駆けして!」
「俺らにも食わせろ!」
 スプーンを握り、我先にとスイーツたちに群がる信者。
「彼らの目も覚めたみたいですね。では、お仕事を済ませますか」
 ちゃっかりアイスやら何やらで汚れた口元をぬぐい、薫が立ち上がった。
 しかし、最年長の梢子さんはぐでーっと溶けていた。
「え~蜜柑もあるのよー? 炬燵から出たくないわ……」
 鳥と戦うまで、もちろん何分もかかった。

●帰れなくてもね
 鳥を葬った猟犬たちは、早速その家の冷凍庫を開けていた。
「このまま置いとくのも勿体ないし、地球の為に犠牲になろう」
「ええ、犠牲になりましょう~」
「仕方ねぇ。犠牲になるか」
 バニラアイスを見てわけのわからないことを言うあかり、紗羅沙、煉司。
 淡雪はそんな3人と、全身をバニラで汚している彩雪とを交互に見る。
「今回、私たち略奪しかしてないんじゃ……」
「地球の為だよ」
「強者はすべてを手に入れるんだよ!」
 複雑な表情をする淡雪へ、あかりはディッシャーをカシカシ鳴らし、瑪璃瑠は震えるほどのリアリズムを無邪気に言い放つ。
 そうして大量のバニラアイスをGETした一行は、またコタツに戻ってぬくぬくと過ごす。
「ほにゃー……美味しい」
 バニラを味わい、地デジと一緒に巨大羊ぬいぐるみに埋もれるオリヴン。うとうと瞼が重そうなのを見るに、あらゆる意味で夢心地っぽかった。
 一方で瑪璃瑠はタッパーに入れたバニラをぺちぺちとならし、せっせとクーラーボックスに収納している。
「本当に美味しいんだよ! きっと兄様も美味しく食べてくれるんだよ!」
「お土産ですか。いいですね」
「うん! 美味しいおはぎをもらったから、そのお返しなんだよ!」
 満開の笑顔で、ぎうぎうとボックスをいっぱいにする瑪璃瑠。
「微笑ましいですわねぇ……」
「彩雪さんとは大違いですね」
「本当ですわねぇ……」
 薫に言われた淡雪が嗚咽をこぼす。
 あの肥満ファミリアは今なおアイスを求めて彷徨していた。
「このバウムミニパフェもあげましょうかね」
「薫ちゃんがいいなら、もうご自由にですわ……」
 淡雪は色々諦めた顔でそう言った。

 数時間後。
 猟犬たちはまったりとコタツでぬくぬくしていた。
 しかしその中に梢子の姿はない。葉介はいるのだが、梢子だけがそこにいない。
「梢子さん、遅い、ね……」
「あれだけ食べてましたからね~」
 気の抜けた声を交わすオリヴンと紗羅沙が、ちらっと廊下のほうを見やる。
 調子に乗ってアイスやらを食べまくった梢子さんは、お腹の調子を崩して絶賛お花摘みの最中だった。
 だが、紗羅沙もオリヴンも特に迷惑とは思っていなかった。
「じっくりおこたで待ちましょうか~」
「うん、ぬくぬく、待つ……」
 じりじりとコタツに埋もれてゆく2人。
「今日、帰れるか……俺」
 煉司に至ってはすでに首まで埋もれている。動く気ゼロ。
 コタツが温かすぎてな、正直どっちにしろ帰れてなかったかもしれません。

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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