シューティング!

作者:一条もえる

 とある、廃棄物処理施設。そこには町中から集められたガラクタが積み上げられてた。
 洗濯機だの冷蔵庫だの、比較的大きな家電が多い。しかしその中に、あまり見慣れぬ形状のテーブルがあった。
 廃棄家電の一番上に、まるで辺りを睥睨するように鎮座したテーブルは、上面にガラスが張られていた。とはいっても、リビングによく置かれているようなガラステーブルではない。ガラスの下はみっちりと機械が詰まっていて、足は入らない。しかも、手元にはなにやらスティックがある。
 それは、『テーブル筐体』と呼ばれる、ゲームの筐体だった。
 どうやらそれは、80年代のゲームらしい。
 ガラスはひび割れており、当然のように電源など入らない。
 ところが深夜。突如として画面が光を放ったのである!
 握り拳ほどの大きさのコギトエルゴスムが、筐体に潜り込んだのだ。周りの部品も取り込んで、それはダモクレスへと変貌を遂げる。
「テレレレ、テレレレレレッテテッテレッテー、テレッテレー、テレレレレレッテッテレッテ~ッ♪」
 やたらと軽快なBGMを鳴らしながら、巨大化した筐体は闇の中に立ち上がった。

「シューティングゲームですか、今度は……」
 話を聞いた機理原・真理(フォートレスガール・e08508)は苦笑を漏らした。以前、やはりゲーム筐体を素体としたダモクレスと戦ったことがある。同様の事件が起こるかもしれないと思っていたところ……今回の事件だ。
「で、なんというゲームなんですか?」
 ゲーマーと言うほどではないが、それなりにシューティングゲームはやる。真理は興味を隠しきれない様子で尋ねたが、
「さぁ? なんだったっけ」
 と、崎須賀・凛(ハラヘリオライダー・en0205)の方はあっさりしたものだった。確かに、何のゲームだろうとダモクレスには変わりない。
 凛はそこいらの駄菓子屋で買ってきたとおぼしきソース味のカツを頬張りながら、事件について語り始める。
「もぐもぐ……。
 事件が起こるのは、郊外の廃棄物処理施設。……と言っても、露天のまま山積みにされてるだけなんだけど。
 だから、少しくらい暴れたからってすぐに被害が出るわけじゃないんだけど」
 とはいえ、もちろん放置することなどは出来ない。
 子供なら大満足するであろう大きさのカツだが、凛には物足りないらしい。レジ袋をひっくり返して山積みにされたのは、光り輝く金貨……ではなく、それ状のチョコレートだ。
「もぐもぐ……。
 それに加えて、ダモクレスが現れるのは深夜だから。作業してる人もいないし、その辺りは心配しないで大丈夫」
 さらに細かく問いただしてみると、どうやらダモクレスと化したのは、往年の名作シューティングのようだった。「ゲームに詳しい人なら知ってるんじゃない?」と、凛は言う。
 敵はゲームに登場する主人公機さながらに、弾丸をまき散らして襲いかかってくるだろう。
 テーブル筐体を頭・胴体にして、そこから手足が生えている。体高は3メートル以上にもなっているだろう。筐体そのものも、二回りほどは大きくなっている。
 攻撃は、胴体から伸びた無骨な砲門が主となっていると思われた。
 凛はヨーグルトのような小さなカップを開け、中身をスプーンですくいながら苦笑した。
「もぐもぐ……。
 懐かしい人には懐かしいのかもしれないけど……こうなった以上は、バラバラになるまで壊しちゃうしかないわね。
 たぶん逃げるようなことはないと思うけど、そこから20分もいけば、住宅地もあるから。絶対に食い止めてね」

「わかりました。なにもかも守れる盾になってみせる……そのつもりです」
 真理はそう言って、色の違う一房の髪にふれた。


参加者
アレクセイ・ディルクルム(狂愛エゴイスト・e01772)
神宮時・あお(綴れぬ森の少女・e04014)
カトレア・マエストーゾ(幻想を紡ぐ作曲家・e04767)
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)
天羽・蛍(突撃戦闘機・e39796)

■リプレイ

●その敵はBGMとともに
「いったい、なんのゲームなんでしょうね」
 あれかな、これかなと、考え込んでいたのは機理原・真理(フォートレスガール・e08508)。
 その隣に座ったマルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)は呆れたように、しかし傍らの真理だけに伝わるかすかな微笑みを浮かべ、
「ダモクレスだってこと、忘れないでよ真理」
「それはもちろん。でも、この調子で行けばそのうち、ゲームも全ジャンル制覇とかしちゃいそうなのですね」
「私は、あまりやったことがありませんね」
 アレクセイ・ディルクルム(狂愛エゴイスト・e01772)が首をかしげる。
「我が愛する君の楽曲が収録されている音楽ゲーム以外は、さほどやらないので」
「わぁ、愛で生きてるね。他のみんなは?」
 いいねいいねシューティングだね、と好奇心が隠せない天羽・蛍(突撃戦闘機・e39796)は、他の面々にも声をかけた。
 ところが、
「同じく、音ゲーならよくやるんだけどね」
「嫌いじゃないけど、アクションの方が好きだな、私は」
 と、カトレア・マエストーゾ(幻想を紡ぐ作曲家・e04767)もティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)も反応が薄い。
 レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)も、
「シューティングは、FPSとかTPSとかの方が好きでね。……得意ではないけど」
 と、肩をすくめた。
「たしかにFPSも『シューティング』と言えば、そうだよ。でもこう……ねぇ?」
 この情熱は、仲間たちとはなかなか共有できていないらしい。望みを託すように神宮時・あお(綴れぬ森の少女・e04014)の方を振り返ったが、
 あおはその勢いに気圧されたように身を反らせたのち、ふるふると首を振った。
「全滅か……ッ!」
「そんなことで落ち込んでる場合じゃないよ。ほら、そろそろ見えてきた」
 カトレアが下方を指し示す。話している間に、ヘリオンは件の廃棄物処理場の上空にあった。
 そしてまさに今、廃棄物の山からはダモクレスと化したゲーム筐体が起きあがったところだった。
「テレレレ、テレレレレレッテテッテレッテー、テレッテレー、テレレレレレッテッテレッ テ~ッ♪」
 やたら軽快なBGMを鳴らしながら、ダモクレスは周りの瓦礫を突き崩していく。
 聞いていたとおり、あたりに人影はない。しかし放っておけば、やがて人家を求めて移動し始めるだろう。
「探すなら人じゃなくて、タケノコとか探せばいいのに」
 敵の眼前に飛び降りたケルベロスたち。マルレーネはため息混じりに、攻性植物を茂らせる。
「そこの小川とか、攻撃しててよ。旗が出るかもよ」
「なんです、それ?」
 襲い来る銃弾を避けながら、きょとんとする真理。「そんなことより」と促されると慌てて応じ、
「これで、全部助けるですよ!」
 と、ドローンを展開させた。黄金に実った果実と、精密な制御で陣形を組むドローンが、仲間たちを援護する。
 真理のライドキャリバー『プライド・ワン』がすかさず突進したが、敵は巨体に似合わぬ素早さでそれを避け、単調ながら耳に残る音を発しながら襲いかかってきた。
 無数の弾丸がマルレーネたちに襲いかかり、はずれた弾丸は、後ろの、まだ形を保っていた家電をことごとく破砕していく。
 言いしれぬ圧力。敵が、目に見えるよりも大きく感じる。
 そのとき、辺りに紙兵が舞った。振り向けば、カトレアが笑みを浮かべていた。
「さぁ準備は整った。とりあえず、ゲームクリアを目指して頑張ろうか」
 感じていた圧力が消えていく。
「凄まじい威力だが……それくらいは覚悟している!」
 ちらりと銃撃のあとを見たティーシャが、跳躍した。
 流星が大気を切り裂くように。跳び蹴りが一直線にダモクレスへと襲いかかる。瓦礫を踏みつぶしながら、吹き飛ばされるダモクレス。
 しかし、ティーシャの表情は苦々しい。
 敵は紙一重のところで跳び下がり、直撃を避けていたのだ。
「なるほど、ちょこまかと素早い……よく狙っていきましょう。あおさん?」
 アレクセイは視線を巡らせたが、当のあおは、ダモクレスを見上げてなにやら考えている様子。小さな小さな呟きが、耳に届く。
「……昔の、ゲーム機は、ずいぶんと、大きい、サイズ、だったの、ですね」
「一応言っておきますけど、このまんまのサイズなわけじゃないですからね」
「……わ、わかってます」
 40センチを越える身長差で見下ろされた、あお。思わず視線を逸らして身をすくめたが、アレクセイはそれには気づかず、
「足を止めましょう!」
 と、大槌を構える。小さなあおも、奮闘しているのである。後れをとるわけにはいかない。
「……ッ!」
 砲撃形態に変じたふたりの大槌から、竜砲弾が放たれる。
 さすがのダモクレスもこれはたまらず、今度こそ吹き飛ばされて大の字に倒れた。
「その程度で動けなくなるわけ、ないよな? 羨ましいタフネスだ」
 レオンの、影という影が蠢く。そこから生まれた無数の黒縄は、ダモクレスに絡みついていった。
「前往くことは許さない、先を往くなど認めない。ここで腐れて死んでいけ! 塵でしかない、我が身のように!」
「ピロリロリロリロッ!」
 敵の、苦し紛れの爆撃。蛍は身をよじって、それを避ける。
「ドット単位で避けるのが、シューターの腕の見せ所ってものよ!」
 時間さえも凍りつかせる弾丸が、蛍の構えた砲台から放たれた。

●シューティングは最高だぞ!
 ケルベロスたちは、一気呵成に攻撃を仕掛けていく。
 真理のバスターライフルが閃光を放った。命中を確かめるや、その視線はマルレーネの方に向く。
「えぇ。やっと私の番ね。
 私は君をプレイしたことはないけど、往年の名作を好きにはさせない」
 マルレーネが差し伸ばした手からは、魔力弾が放たれた。
「ピィ……ピロリロリロリロッ!」
「黒い板の群れが飛んでくるところでも、見た? 256発打ち込んだところで、倒せないけれど」
 あ、いま意地悪な笑みを浮かべているなと、真理だけが悟った。
 アレクセイの刃も、ダモクレスの膝を割る。刃に憑依した霊体が敵を浸食していく。
「上手く当たると……これはこれで楽しいかもしれません。気を抜かず、確実に行きましょう!」
「ゲームは、1日、1時間、と、言う、みたい、ですし。早めに、ご退場、して、いただき、ましょう……!」
 大槌を手放したあおは、掌をダモクレスへと突きつけた。すべてを焼き尽くすドラゴンの幻影が、敵めがけて襲いかかる。
 ところが。
「デレロ……ッ! デロレロデロレロッ!」
 ダモクレスは雄叫びのように、おどろおどろしい音を上げながら身を翻した。炎はプラスチック部分を焼き焦がしたが、致命傷には遠い。
 体勢を整えた敵は砲門をこちらに向け、機銃を掃射してケルベロスたちをなぎ倒していく。
 ティーシャの、そしてあおの全身から、血が飛沫となって辺りに飛び散った。
 それでも、あおは痛みなど感じぬように前に進んだが、
「無茶するんじゃないよ!」
 蛍が、翼を広げて割って入る。
「デロレロデロレロッ!」
「やっぱり、お次は『ブラスター』か!」
 読んではいたが、体勢が悪い。仲間をかばって、あえて蛍は退かなかった。吹き飛ばされた身体が宙を舞い、古自転車の山に落下する。肉を焦がす嫌な臭いが、辺りに立ちこめた。燃え上がる炎が、蛍を苛み続ける。
「いまどき、そんな『ピコピコ』なんて電子音も、ないでしょ」
 駆け寄ったカトレアは傷の様子をうかがってから、ダモクレスを挑発するように笑う。
「名曲じゃない」
 なぜかマルレーネから抗議の声が挙がったが、
「褒めてどうするの!
 せっかくのボス戦なんだし、音楽もふさわしいものがないとね。聞いて、私の曲。『Climax Shot』!」
 それは、生きることの罪を肯定するメッセージ。どことなくレトロゲームを思わせるメロディーラインが戦場に鳴り響いた。
「うん、いい曲だね!
 何度被弾しようが、パターンを攻略するまでとことんまで戦ってあげる。『クソゲー!』って言いながらでも100円入れるのが、シューターなんだから!」
 蛍の周囲を回っていたアームドフォートが轟音とともに火を噴く。敵がのけぞるその隙に、レオンが死角から間合いを詰めた。
「あぁ、僕のことは塵とでも思ってくれれば結構……気づいたときには、手遅れだ」
「デロレッ!」
 それでも敵はレオンの方を睨み、高速回転させた腕を叩き込んできた。回転に巻き込まれ、纏った防具が引き裂かれるが、
「さすがに、一筋縄ではいかせてくれないな……。
 ノーコンワンコインクリアなんて真似はできないけど……諦めは悪い方だからそのつもりでいてもらいたいね!」
 ニヤリと口の端を持ち上げたレオンが、妖しく煌めくナイフを振り下ろした。鋸のように変形した刃が敵のケーブルを引き裂いていく。
「デ……デロレロッ!」
 刃はこれまでに蓄積した損傷を上書きするように滑り、いくつか主要なケーブルが断線したのか、敵の動きは明らかに鈍くなった。
「ようやく効いていたな」
「足を引っ張るのは、得意中の得意なんでな」
「やれやれ……いい性格だな。戦友としては頼もしくてなによりだ」
 レオンに向けて苦笑したティーシャが、大斧を握りしめて跳ぶ。叩きつけられた大斧はダモクレスの脳天……天板のガラス、そしてゲーム画面を粉々に打ち砕いた。
「まだ、まだ」
 くるりと身を翻したティーシャが、地を蹴ってさらに仕掛ける。大斧を投げ捨てた腕は瞬時にして破砕アームに換装され。
 ところが敵も応戦の構えを見せて、砲弾を放ってくる!
「避けて」
 ティーシャを突き飛ばしたのは、真理。ライフルと砲塔とを身体の前で交差させ、爆炎を受け止める。火の粉は全身を焦がしたが、この程度なら。
「大事なのは、ちゃんと弾を避けることなのですよ」
 と、苦笑する。
「でもまぁ、それは私が」
「ふふ、助かったよ。……終われ!」
 退こうとするダモクレスをティーシャは追い、渾身の一撃を叩きつけた。破砕アームの威力に腕が砕け、地面に落下する。
 ところが、敵はそれでも動きを止めなかった。腕が無くても、機銃と砲塔は健在である。画面が粉々になっても、変わらずおどろおどろしいBGMを鳴らしながら襲いかかってきた。
 無論、動きは鈍っている。ケルベロスの刃は幾度もその筐体に食い込んだが、ギリギリのところで敵は致命傷を避けていた。
 カトレアはここまで幾度も、仲間たちを立ち直らせていた。
「君たちを讃える歌を、用意しておいた。まだまだへばるんじゃあないよ!」
 カトレアがその曲が記されていた楽譜を開くと、少女を模した式神が召喚された。
「それでは第6番……『聖女による頌歌』」
 その歌声は、ケルベロスたちを何度も立ち上がらせたのだ。
 そのカトレアが、「ねぇ」とマルレーネに声をかける。
「このジャンルは詳しくないんだけど。敵機を捕まえるのは反則かい?」
「……ありじゃないの?」
「じゃあやってみようか!」
「えぇ」
 爆発したかのように、ふたりから半透明の御業が猛然と伸びる。それは敵を鷲掴みにして、瓦礫の山に押さえつけた。
 ダモクレスがもがく。もがくが、その束縛からは逃れられない。
 それでも、機銃を動かすことは出来た。狙いなどお構いなしに、ありったけの弾丸を撃ち込んでくる。
「弾幕ゲーは得意じゃないんだよ!」
 レオンのコートが、瞬く間に穴だらけになっていく。中折れ帽はとっくに吹き飛んだ。
「シューターとしての腕が鳴るね!」
 仲間たちの前に飛び出した蛍。はためかせた翼から放たれた聖なる光は、四方八方に散らばって銃弾と衝突していく。
「はは、ボムみたいだね」
「呑気なもんだ」
 レオンは光と弾丸とがぶつかり合う中を駆け、敵との間合いを詰めた。鋼の鬼と化したオウガメタルの拳が、筐体のコンソールを貫く。砕けて飛んできたスティックを受け止めながら、
「ガードは下げたぜ、デカいのねじ込んでやれ!」
 その声に背を押されるように、あおが駆ける。纏ったコートは全身から流れ出た血で赤く染まっていたが、それでも、無造作にも思える足取りで間合いを詰めた。
 アレクセイも、その傍らに続く。
「ゲームとは本来、人を楽しませるものでしょう? 人を撃ち落とすための存在ではないのです」
「全てのハジマリ、全てのオワリ。……世界を、覆い、隠す、最果てへと、誘う、悲しき、調べ」
 あおの歌声に、魔力が乗せられていく。その歌声に唱和するように、アレクセイの声も響く。
「ゲームオーバーです。深淵の彼方、暗く冷たい闇の最果てに……連れて行って差し上げましょう」
 満月の魔眼が魅せる、甘美な死の幻影。
 歌声はダモクレスの知覚を奪い、有は無に、無は有にと円環を為していく。そして幻影は、甘く蕩ける痛みと煉獄の苦しみを与えていく。
「……ほら、いいんですよ。そのまま、死の腕に抱かれて眠ってしまいなさい」
 アレクセイが蠱惑的に微笑み、目を細めた。
「デ……デロレロ、デロ、レロ……ッ!」
 嫌々をするように身体をくねらせ、のたうち、ダモクレスは自らが粉砕した瓦礫の中に倒れ込む。
「まだ、力尽きないですか。
 ……ダモクレスにならなかったあなたを、遊んでみたかったです」
 真理が哀れみを込めた目で、ダモクレスを見下ろした。すこし顔を赤らめて、フィルムスーツの胸元を開く。
 ダモクレスは武器を向けようとしてきたが、その動きはあまりに鈍い。
「最後はやっぱり、大技なのですッ!」

 必殺のエネルギー光線を浴びたダモクレスは、限界を迎えた。全身のあちこちから小爆発が起こり、最後に大きく爆発して、部品が粉々に飛び散る。
「これじゃ、直せそうもないね」
 すこしもったいない。カトレアが肩をすくめる。
「……なに? もしかしたら他のゲームもあるかもしれない?」
 紙に書いたメッセージを見せたあおは、コクコクと頷いて瓦礫の山に潜っていく。
 蛍は記念にと、レオンに筐体のスティックをねだっていた。
「まぁ、別にかまわないが」
「やった♪ 私、小指と薬指で挟む派なんだよね」
 と、もらったスティックを弄ぶ。
「レトロなゲームも、悪くはないですね。楽しみがひとつ増えました」
「そうだな。たまには遊んでみるのも悪くはない」
 アレクセイとティーシャも、少しゲーム気分になってしまったようだ。
「帰ったら、ゲームセンター行ってみる?」
 マルレーネが、真理に声をかけた。真理が嬉しそうに、頷く。
「前はプリ撮ったですし、今日はクレーンゲームとか、どうですかね?」
「いいね。取れたら、プレゼントしてくれる?」
「いや、そこはシューティングって言うところじゃないの? ちょっと!」
 蛍が素っ頓狂な声を上げたが、ふたりはもう、聞いちゃいなかった。

作者:一条もえる 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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