終末機巧大戦~マシンズ・トランスフォー厶・エデン

作者:鹿崎シーカー

「みんな、死神の件はお疲れ様! で、お疲れ様で悪いんだけど今度はダモクレスが来たんだよね!」
 そう言って、跳鹿・穫はヤケクソ気味に話し始めた。
 死神集団ネレイデス主導の儀式は未遂に終わり、十二創神のサルベージは防がれた。が、この機を狙ってダモクレスの軍勢が、儀式のために集められたグラビティ・チェインを横取りして大規模作戦を行おうとしているのだ。
 作戦名は、『終末機巧大戦』。
 まず、六芒星の儀式の中心部、晴海ふ頭に拠点型ダモクレス『バックヤード』を召喚。沿岸工場地帯にある機械や建築物が呼び寄せて合成・生産した巨大拠点を基点として、東京湾周辺地域の工業地帯の全てを吸収。最終的に東京湾全域をダモクレスの拠点で覆う『東京湾マキナクロス化』を行うとんでもない作戦である。
 この作戦の要は、『核となる六つの歯車』とその歯車を守るダモクレス達。歯車は晴海ふ頭外縁部に出現した六体の拠点型ダモクレス内部で行われ、五体の有力ダモクレス『五大巧』とバックヤードの管理者『ノストラダムス』が各ひとつずつを防衛している。
 儀式完了に必要な時間は『30分』。もしこの時間内に止められなければ、県ひとつ分に匹敵する広大なダモクレスの策源地が生まれてしまう。
 だが、一方で穴もある。巨大拠点はその性質上、周辺に展開するダモクレスをも吸収してしまうため、各拠点のダモクレスの軍勢は『吸収されない程に巨大な拠点型ダモクレス』と『吸収対策可能な少数の護衛部隊』のみであり、精鋭による強襲が可能となっている。
 東京の海を守るため、皆の力を貸して欲しい。
 続いて、我々の作戦を解説する。
 まず、我々が狙うのは、無限増殖を繰り返すスライムダモクレス『アースイーター・ブロークン』。これにまず二チームが先行して突撃し、別三チームがアースイーターに穴を開けて内部に突入。突入班が内部の防衛ダモクレスを撃破して突破し、儀式中枢部に向かうというのが大まかな流れだ。
 当班の担当はアースイーター・ブロークン内部への突入班。並み居る護衛部隊を退け、中枢部に座す『五大巧』が一体、『終末機巧アルマゲドン』と儀式の核たる歯車を破壊する役割を担う。
 また、護衛部隊の対処だが、これには三通りに作戦が考えられる。
 ひとつめは、突入班三チームで協力して護衛を全滅させてから、核に向かう方法。
 ふたつめは、一チームが足止めをし、他の二チームが核に向かう方法。
 みっつめは、護衛の足止めに二チームを動員し、一チームのみで核に向かう方法だ。
 ひとつめはローリスクだが、敵は戦いを長引かせようと戦うので、突破に時間がかかる可能性がある。
 ふたつめは、もし足止めチームが全滅した場合、残った護衛がアルマゲドンの増援になってしまう。
 みっつめは、 護衛戦力と互角の戦闘が出来る。一方でケルベロスかダモクレスか、勝利した側が増援となる上、最悪アルマゲドンに一チームのみで挑まねばならなくなる。
 ちなみに敵の増援とは言うが、中枢に踏み入ったダモクレスは儀式の余波によって分解され、アルマゲドンに吸収される。援軍の数にもよるが、増援を吸収したアルマゲドンはダメージを回復し、下手をすれば複数回回復を行なう可能性がある。
 先述したが、制限時間は『30分』。どういう作戦を取るか、よく相談して決めてほしい。
 最後に、護衛戦力とアルマゲドンの戦闘能力について説明する。
 護衛のボスは『ミス・リージョン』。二本のドリルを備えたエビめいた姿のダモクレスであり、蟲型ダモクレスは『メックカスト』を生産する能力を持つ。全長7mの大型で、防御力が高く短期決戦は困難。接近戦と酸を吐く攻撃を駆使して戦う。
 『メックカスト』は虫人間型で、戦闘力は低いが数が多いタイプ。素早い動きと四本腕に備えた銃器で攻撃を仕掛ける火力支援型だ。
 そして『終末機巧アルマゲドン』。強大すぎる力を枷によって制御しており、生命の危機に瀕すると制限解除。最終戦争の名に恥じぬ力を振るうとされる。魚型のダモクレスを魚雷めいて飛ばしたり、クリスタルからのレーザー攻撃を主に行う。
「連戦に次ぐ連戦だけど、ここが正念場になるよ。頑張って来て!」


参加者
結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)
叢雲・蓮(無常迅速・e00144)
篁・メノウ(紫天の華・e00903)
旋堂・竜華(華炎の竜姫・e12108)
七宝・瑪璃瑠(ラビットソウルライオンハート・e15685)
瀬部・燐太郎(ジャックランタン・e23218)
レイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747)
ルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)

■リプレイ

 銀色の壁が橙色に発熱し、爆裂! 飛び散る熱銀の飛沫を斬り裂いて着地した旋堂・竜華(華炎の竜姫・e12108)が八本の赤鎖を伸ばして壁や床を這い回らせる。遅れて飛び込む多くの人影。最後に踏み入った篁・メノウ(紫天の華・e00903)は抜刀して一回転し、背後を向いて刃を振るう。
「疾く在れ! 篁流回復術、『追い風』!」
 紫の旋風が来た道を吹き抜け、より強い突風となって吹き返って来た。風を背に受け、一斉に走り出す面々のうち、自身をドーム状の気流で覆った結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)は、ケミカルライトをまきながら壁に沈んでいくビルの一部を見て生唾を飲み込んだ。
「……気味が悪いですね。まるで胃袋にいるみたいです……」
「実のところ、これはビルを食らって巨大化すると聞きます。我々は実際、怪物の体内を走っているということなんでしょう」
「ぞっとしないんだよ……」
 天井や四方の壁を見渡す瀬部・燐太郎(ジャックランタン・e23218)の隣で、七宝・瑪璃瑠(ラビットソウルライオンハート・e15685)が二の腕をこする。レイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747)は足元に青いボタンを貼りつけ、天井を見上げる。
「あー……これ、もしかしてユダンしてたらパクッとやられちゃう系?」
「ちょっとそれはサイアクかも。リューカ、その辺ダイジョーブ?」
 ルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)に問われ、竜華が鎖を手繰る。
「今のところ、壁が閉じたり天井が動いたりということはなさそうです。ただ…………蓮様、剣を」
「わぅ?」
 叢雲・蓮(無常迅速・e00144)が竜華を見返す。彼女の険しい横顔を見た蓮は表情を引き締まり、腰に帯びた刀を握った。竜華が声を張る。
「十二時の方向、下から来ます!」
 直後、前方の床が大きく盛り上がった。急ブレーキをかける一同の前で膨らみを爆散させ、赤銅色の甲殻を持つエビじみた巨体が出現! ミス・リージョンが放つ金属音めいた咆哮に合わせ、その足元を突き破って八体の昆虫人間型マシンが現れた。四ツ腕についた銃を一斉掃射するメックカスト達の前にレオナルドが踊り出、大きく吸息!
「ガァオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
 暴風じみた咆哮がメックカスト達が放つ鉛弾や光弾を減速させ、押し止め、跳ね返す! そのまま帰って来た弾幕に腕や装甲を削られる部隊へ蓮と竜華が突っ込んだ。子竜のチェニャとヴィズが二人の背中にくっつき、光と闇のオーラを流す。大剣に灯した炎を闇色に染めた竜華が先行! メックカスト達に肉迫した彼女は大剣を大上段に振り上げる!
「ごきげんよう。さぁ、一時の舞台、楽しみましょう!」
 振り下ろされた大剣が地面を打ち据えた。開く黒紫色に輝く炎の大華は凄まじい竜巻と化してメックカスト達を巻き上げ天を突く! 後ろから光をまとって跳躍した蓮はコマめいて回転しながら炎の竜巻を螺旋を描くように上昇、天井に上下逆さで着地した。破裂する炎の竜巻がメックカストの残骸を散らすと同時、竜華と蓮はミス・リージョンに向かって跳躍!
「はぁッ!」
「イヤーッ!」
 黒炎の斬り上げと白光の居合いがミス・リージョンの頭部を上下から襲撃! だが次の瞬間、甲高い音を立てて二本の刃が折れ飛んだ。半ばで真っ二つに折れた剣を見下ろして目を見開く竜華と蓮。背中にくっついた子竜が渾身の力で二人をミス・リージョンから引き離した直後、巨体の頭上に白黒二色の巨大魔法陣が開かれた。息を合わせてステップを踏むルナとレイラ!
「射手座の一幕、披露する?」
「開演合図、鳴らしちゃお」
 陣中央が黒紫色と白金色に輝き、光の槍を甲殻の背中に突き下ろす! 上からの圧にミス・リージョンは六本足で踏ん張りつつ二本のドリルを地に刺して抵抗。その頭部に向かって瑪璃瑠と燐太郎が飛びかかった!
「うりゃあああああああッ!」
「おおおおおおおおおおッ!」
 膨れ上がった鈍色の義手と毛皮に覆われた拳の右ストレートが炸裂! 二人はさらに左ストレートをぶちかまし、マシンガンめいてラッシュを繰り出す!
「でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ!」
「おああああああああああああああああああああッ!」
 鈍い金属音が連続して響く。六本足と二本のドリルが徐々に深く沈み始めるのを見、レオナルドは他の班に向かって叫んだ。
「ここは俺達に任せて下さい! 必ずここで食い止めますッ!」
 ミス・リージョンをすり抜けて奥へ走っていく他の面々。彼らが過ぎきり、小さく見えなくなった辺りで瑪璃瑠と燐太郎は渾身の鉄拳を振りかぶる!
「せやあああああああああッ!」
「ぬアッ!」
 最後の拳打が直撃し、重低音が沁みわたる。その瞬間、燐太郎の義手が砕けて水を噴き出し、瑪璃瑠の腕が血肉を噴出しながら潰れた。ミス・リージョンの頭部は無傷!
「ぐぉッ……!」
「いぎッ……!」
 キチキチと鳴いたミス・リージョンは踏ん張っていた八本節足に力を込めて、勢いよく跳ね起きた。光の槍が弾け飛び、瑪璃瑠と燐太郎が宙空に吹き飛ばされる。限界まで振り上げられた巨大なドリルが回転し、その切っ先が滞空する二人を狙う。ルナはレイラの肩に手を置いた。
「リラ、ちょっとお願い」
「ん、気ぃ付けてね」
 低姿勢で飛び出したルナは宙を舞う二人の真下に一足跳びで滑り込み、タップダンスめいてステップを踏む。二人とドリルの間に割って入る魔法陣!
「盾座の一幕。お触りキンシ」
 振り下ろされたドリルの先で魔法陣が巨大な長方形のバリアに変わった。二本のドリルを受け止め激しい波紋と電光を散らす盾! 後方でゆるやかに一回転したメノウは刀を前から後ろへ振り上げた。
「吹き寄せろ! 篁流回復術、『彼岸西風』ッ!」
 紫紺の風が瑪璃瑠、燐太郎、ルナに巻きつき、ドリルがバリアを突き破ると同時に三人を後ろに引っ張る! ドリルに穿たれた地面が灰色の粉塵を上げた所で、レイラは片手にチェニャを乗せてくるりと回った。両肘から先を引き千切られたルナが目の前を通り過ぎるのを見たレイラは金の瞳に怒りを燃やす!
「竜座の一幕、憤激の章!」
 禍々しい黒紫色の光をまとったチェニャが宙に放られ、光と同色の濃霧を辺り一面にまき散らした。霧から這い出した巨竜チェニャは咆哮し、漆黒のブレスをミス・リージョンに向かって放出! ブレスは海老じみた顔面に直撃してそのまま後方まで貫通。だが、ブレスが収束した先、ドリルを地に刺したままのミス・リージョンは無傷だ! ミス・リージョンは黄緑色の液体を吐き出してチェニャに反撃。液体を浴びた巨竜は激しく白煙を上げながら悲鳴を上げ、倒れ伏した!
「チェニャ!?」
「ゴルィニシチェさん! 下がってくださいッ!」
 叫んで大跳躍したレオナルドが巨大な機械式戦槌を振り上げる。純白のブリザードをまとったそれを、地面に突き立てたままの右ドリルめがけて振り下ろす!
「はァァァァァッ!」
 戦槌に打たれたドリルが打ち込まれ、上から下まで一気に氷結! だがミス・リージョンは凍った片腕を力任せに引き抜いた。振り払われ円弧を描いて飛ぶレオナルドより跳躍したミス・リージョンのドリルが内側から氷を砕いた。目を見開くレオナルドに回転ドリルが突き下ろされ、彼をプロペラめいて回転させながら地面に打ちつけた。歪んだ腕を包帯で固定した瑪璃瑠が跳ね起きる。
「レオナルドさんっ!」
「かはっ……!」
 灰色の地面にめり込んだレオナルドを見て、瑪璃瑠は鋭く息を呑んだ。コートの右脇腹からあばらにかけてが綺麗に抉り取られ、とめどなく血を溢れさせている。メノウは顔をしかめ、ミス・リージョンの方を見上げた。天井に片手のドリルを突き刺してぶら下がったダモクレスはもう片方のドリルも突き刺し、自らも高速回転しながら天井を掘り進んで上昇! 空いた大穴から落ちてきたメックカスト隊がガトリングをぶっ放す。素早く舞うメノウ!
「『裂葉風』ッ!」
 真横に刀が打ち振られ、紫紺の風壁が弾幕をシャットアウト! 構わず撃ち方を続けながら疾走するメックカスト隊の目前、風壁の上部を突破した竜華が赤く燃える鎖を振るった。
「はッ!」
 急ブレーキをかけ、バック走するメックカスト達を追尾する八本の鎖。鎖を撃ち落とさんと撃ち出される弾幕を、竜華はオーケストラの指揮者じみて腕を動かし複雑に波打つ鎖でかき分ける。そのまま伸長した鎖はメックカストを一匹残らず縛り上げ、迷宮の横壁にまとめて叩きつけた! 竜華は身をひねり、鎖を反対の壁にフルスイング! 激突の衝撃で壁が大きく陥没するのも構わず今度は頭上に振り上げ、振り下ろす!
「砕けなさい……!」
 しなった鎖がメックカストを銀色の床にぶち込んだ。生まれた浅いクレーターの中心、縛られたままの機械兵に、風壁より飛び出した蓮が二本目の刀に手をかけて急降下!
「そりゃあッ!」
 華麗に回転しながらの抜刀一閃! 赤黒い光線じみた斬撃がメックカスト達の首を床ごと横一文字に斬り裂き、爆発させたその時である! 蓮の足元が大きく盛り上がり突き上げたドリルが彼の上半身を大きく抉った。地中から再出現したミス・リージョンは跳躍し、滞空する竜華にドリルのフックを見舞う! 赤いドレスの腹に直撃!
「あッ……!」
 甲高いドリルの擦過音と共に、竜華が隕石めいて風壁を貫通して落下した。地鳴りを響かせて着地したミス・リージョンは海老じみた尻尾を振り回してメノウを吹っ飛ばす! 三六〇度回転したミス・リージョンの右目に飛びかかった燐太郎は、不気味に輝く刃を逆手に握って振り下ろした!
「ふんッ!」
 右目に命中した刃が破損! 間髪入れず右目に押し当てられた燐太郎の左手義肢がワインレッドの光を放ち、接触箇所を爆発させる。反動で後ろに下がった彼が見据える先、ミス・リージョンの右目を覆う爆煙が晴れ……無傷の機械眼球が露わになった。
「馬鹿な……!」
 目を見開く燐太郎にミス・リージョンは口から酸を吐き出した。大量の酸が燐太郎を飲み込んで地面に当たり、白い煙を噴き上げる。レイラが急いで踏むステップの音が響く。
「祭壇座の一幕、紅蓮の詩を聞いてみる?」
 ミス・リージョンの足元に開いた赤い魔法陣が赤銅色の巨体を火だるまに変える。紅蓮の炎に包まれたまま、ミス・リージョンはドリルの回転数を上げて地を這うドリルブローをレイラに打った! 目を見開くレイラをタックルで押しのけたヴィズにドリルが突き刺さり、銀河じみて光る煙にして消滅させる。直後、世界が墨絵めいたモノクロームの色彩に変じた!
「厳しい戦いなのは分かってた」
「それでもボクたちはここにいる。そうだよね!」
 白黒の世界で、二人に分身した瑪璃瑠の瞳が金と緋色に瞬いた。二人はアンクと包帯を握った腕を高く掲げる。音叉の如く共鳴する二つの武装!
『リミッター限定解除! 廻れ、廻れ、夢現よ廻れ!』
 二人の瑪璃瑠を中心に墨汁じみて黒い竜巻が膨張! 艶消しの黒が白黒の色彩ごと仲間達の欠損をぬぐい去り、元通りに再生させる。構わず瑪璃瑠へドリルを振り上げるミス・リージョン! 螺旋の刺突が放たれたその瞬間、軽やかなステップの音が響き瑪璃瑠の足元に魔法陣が開いた。
「冠座の一幕、舞台は続く」
 ルナが再生した両腕を振るって回り、魔法陣から宝冠型のバリアを出現させた。バリアにドリルをぶち込んだミス・リージョンの足元にも陣が展開、レイラが踵を打ち鳴らす!
「蛇座の一幕、終わりの拍手はまだ早い」
 魔法陣から噴出した無数の大蛇がミス・リージョンの甲殻を雁字搦めに締め上げる! そこへ炎の鎖を巨大な剣の形に編み上げた竜華と、地獄化・ワイルド化した両腕を打ち合わせた燐太郎が飛び込んだ!
「大きな魚を逃したかと思いましたが……ふふっ! 中々楽しい舞台です!」
「これは心ばかりの差し入れだ。口に合うかはわからんが、とりあえず食らっておけッ!」
 爆炎を燃やす鎖大剣が振り下ろされ、炎と水の両拳が爆発的に膨れ上がって解き放たれた! 真紅の一撃及び暗赤色と緑青色の渦が大蛇の群れに絡まれたミス・リージョンを飲み込み、通路を埋め尽くす大渦となる。震える足で立ち上がったレオナルドは巨大なライフルに青白い光をチャージ!
「これで……止めますッ!」
 トリガを引き光線を発射! 一直線に飛翔した閃光は水と炎の大渦に着弾し、一瞬にして氷塊にしてみせた。しかし氷山の頂上を踏みしめたメックカスト部隊が次々に高高度からダイブしてくる! 銃口を向ける虫達に真っ向からジャンプする蓮。メノウの旋風に押された彼は、弾幕に体中を傷つけられながらも連続居合い抜きを繰り出した!
「イイイイイイイヤアアアアアアアーッ!」
 乱射された赤黒の斬撃達がメックカストを片っ端から細切れに解体していく。金眼の瑪璃瑠が伸ばした包帯を蓮に巻きつけ、金色の光を流して傷を癒やす。直後、ミス・リージョンを封じていた氷山が爆砕! 無傷のまま咆哮する巨体を見上げ、レオナルドは唖然と口を開いた。
「き、効いてない……!?」
「ホントにさあ、さっきから思うけど何で出来てんのあれ? アルマゲドンよりこっちの方が強い気してきたんだけど」
 メノウが呆れ果てた表情でぼやきつつ、刀を構え直す。頬に冷や汗を伝わせたレイラが不安げにルナに目をやる。
「ルナルナ……」
「うちはヘーキ。みんなで一緒に帰るよ、リラ」
 爪先で足元を叩くルナ。妖しく輝く両腕を握りしめた燐太郎は、両足を踏みしめた。
「どんなに硬かろうが倒しきる必要はありません。こちらが耐えきれば勝ちです! 今しばらく持ちこたえましょう!」
 耳障りに吠えるミス・リージョンが両のドリルを再駆動! 六本足の先を地面に食い込ませて屈み……ミス・リージョンはいきなり背後を振り返った。
「……おや?」
 鼻白んだ竜華が動きを止める。通路の奥から地鳴りが響き、徐々に大きくなっていく。次の瞬間、奥から凄まじい光が噴出し通路を真っ白に染め上げた! 思わず目をふさぐ面々!
「うわっ!? な、何!?」
「まぶしっ……!」
 分身したままの瑪璃瑠が驚いてから数秒して、閃光が抜けていく。恐る恐る蓮が顔を上げると、ミス・リージョンは振り返った姿勢のまま静止していた。油断なく見上げ続ける一同の前で、ミス・リージョンは両目を忙しなく明滅させる。やがて八人をチラリと一瞥して跳躍。床に空いた大穴に姿を消した。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月7日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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