東京六芒星決戦~首都に描かれる六芒星

作者:なちゅい

●ヘリオライダーからの緊急連絡
 ヘリポートにて。
 集まるケルベロスの姿に、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は笑顔を見せて小さく手を振る。
「すごいね。クロム・レック・ファクトリアと合わせて、ディザスター・キングも撃破できたなんて」
 喜ばしいことだが、まだまだ気を緩める事のできない事態が発覚する。
 アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)さんか、阿賀野・櫻(アングルードブロッサム・e56568)ら、警戒に当たっていたケルベロスにより、死神の大規模儀式が行われる事が判明したのだ。
 最近多発していた死神による事件が集約された大儀式であり、都内の6ヶ所で同時に儀式が行われる『ヘキサグラムの儀式』となる。
「儀式が行われるのは、『築地市場』、『豊洲市場』、『国際展示場』、『お台場』、『レインボーブリッジ』、『東京タワー』の6ヶ所だよ」
 この6ヶ所は、丁度、晴海ふ頭を中心とした六芒星の頂点になる場所だ。
 今回の事件では、戦闘力強化型の下級死神や、死神流星雨事件の竜牙兵に似せた死神、死神によって生み出された屍隷兵といった死神の戦力に加えて、第四王女レリの直属の軍団も加わっているようだ。
 更に、竜十字島のドラゴン勢力の蠢動も確認されており、デウスエクス全体を巻き込んだ大きな作戦であると想定されている。

●東京六芒星決戦
「皆には、判明した儀式場の1つに攻め入って欲しいんだ」
 6つの儀式場の全ての儀式を阻止しなければならないので、それぞれの場所に十分な戦力を配置する必要がある。
 儀式場の外縁部には、数百体の戦闘力強化型の下級死神、ブルチャーレ・パラミータとメラン・テュンノスが回遊しており、儀式場への侵入者を阻止しようとしているようだ。
 レインボーブリッジの儀式場のみ、外縁部の防衛戦力が、第四王女レリ配下の白百合騎士団一般兵となっているらしい。
 儀式を行っているネレイデス幹部は、築地市場に『巨狼の死神』プサマテー、豊洲市場に『月光の死神』カリアナッサ、国際展示場に『名誉の死神』クレイオー、お台場に『宝冠の死神』ハリメーデー、レインボーブリッジに『約定の死神』アマテイア、東京タワーに『宵星の死神』マイラが配されている。
「ネレイデス幹部は、儀式を行う事に集中しているようだね」
 少しでもダメージを被ると、幹部は儀式を維持する事はできないらしい。
 つまり、外縁部の敵を突破し、儀式中心部に到達し、ネレイデス幹部にダメージを与える事が出来れば、作戦は成功となる。

 儀式が中断された場合、ネレイデス幹部は作戦の失敗を悟り、撤退を開始する。
「儀式中断の7ターン後に、生き残っていた死神戦力は全て撤退してしまうよ」
 ネレイデス幹部の撃破を目指す場合は、この7ターンの間に撃破しなければならないだろう。
 ただ、ネレイデス幹部は強敵である上、儀式場内部では更に戦闘力が強化される為、単独チームの戦力では撃破は難しいと思われる。
 また、周囲に護衛の戦力が残っている場合や外縁部の戦力が増援として殺到している状態では、幹部の撃破までは難しいかもしれない。
「状況によっては、儀式を中断させた後は戦闘せずに撤退を優先するべきかもしれないね」
 ただ、ネレイデスの幹部が多数生き残った場合、今回のような大儀式を再び引き起こす危険性もあるので、可能な限り討ち取って欲しい。

●敵戦力について
 外縁部には、数百体という大戦力が展開している。
 ただ、それらは『侵入者の阻止』を目的としている為に儀式場周囲の全周を警戒しているので、突破する際に戦うのは数体から10体程度となる。
「白百合騎士団一般兵は3名程度の小隊での警戒を行っているから、突破する際に戦うのは3体……あるいは6体程度と想定されているよ」
 また、外縁部から脱出しようとする場合は、攻撃の対象外となるようだ。
 ただ、全てのチームが儀式場に突入し、増援が来ないと判断した場合、外縁部の戦力が儀式場内に雪崩れ込み増援となる場合があるので、その点は注意が必要だろう。
「各儀式場内部には、ネレイデス幹部を守る護衛役が配されているよ」
 築地市場、豊洲市場、国際展示場にはそれぞれ場所ごとに死神と別種の屍隷兵数十体が配備され、お台場には星屑集めのティフォナと死神流星雨を引き起こしていたパイシーズ・コープス十数体が配備されている。
 レインボーブリッジには第四王女レリがいる為か、絶影のラリグラス、沸血のギアツィンスといった護衛と、十体程度の白百合騎士団一般兵が護衛となっている。
 最後、東京タワーは死神と、アメフラシと呼ばれる下級死神を数十体が護衛となっているようだ。
「儀式を阻止するだけなら、護衛を全て相手取る必要は無いけれど……」
 ネレイデス幹部の撃破を目指す場合は護衛を撃破するか、ネレイデス幹部から引き離す必要があるだろう。
 幹部の撃破を目指すかどうかは、儀式場に向かう戦力と戦場の状況を見つつ判断し、行動してほしい。

●いざ決戦の地へ……
 説明を終え、リーゼリットは今回行われる儀式が、熊本城においてドラゴン勢力が魔竜王を復活しようとした規模に勝るとも劣らぬものだろうと語る。
「死神が行ってきた数々の事件が、今回の儀式に集約されていると言っても過言ではないよ」
 もちろん、儀式を止めて幹部を倒せるなら、それに越したことはない。
 中途半端な戦力だと敵に逃げられてしまうのがオチだが、逆に1ヶ所に戦力を集めすぎても敵が早々に儀式を諦めて撤退される恐れがある。
 幹部の討伐を目指すなら、うまく作戦を練る必要があるだろう。
「難しい作戦だけれど、キミ達の武運を願っているよ」
 各地に赴くケルベロス達へ、リーゼリットは一言激励の言葉を贈ったのだった。


参加者
神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)
一式・要(狂咬突破・e01362)
ミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)
イピナ・ウィンテール(剣と歌に希望を乗せて・e03513)
コール・タール(マホウ使い・e10649)
リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)
鞍馬・橘花(乖離人格型ウェアライダー・e34066)
七宝・琉音(黒魔術の唄・e46059)

■リプレイ

●幹部の元を目指して……!
 東京都で行われる死神勢力との決戦。
「こんなに沢山の儀式を用意して来るなんて……」
 儀式場の数に七宝・琉音(黒魔術の唄・e46059)は驚きを隠せないようだが、すぐに表情を引き締めて。
「この儀式を見過ごすわけには行かないよ」
 用意された6つの儀式場。ケルベロス達は数チームと共に、お台場へと出向く。
「これを乗り切れば、あとはクリスマスかねぇ?」
 神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)は、恋人もいない自身には関係ないと自虐するほどに軽口を叩く。
 ただ、今回の作戦はかなり厳しい状況とあって、一式・要(狂咬突破・e01362)は同じ場所の攻略に臨む他班と綿密な打ち合わせを行う。
 鞍馬・橘花(乖離人格型ウェアライダー・e34066)もタイマーを用意するなど準備も抜かりない。
「敵の狙いはわからなくとも、絶対に成功させてはいけない……これだけは確かなはずです」
 イピナ・ウィンテール(剣と歌に希望を乗せて・e03513)は今回、他班に状況を示す赤、青の信号弾を撃ち出す役目を担う。
 白は外縁班が撤退の際撃ち出すが、赤は儀式阻止時、ネレイデス幹部未撃破。青は幹部撃破時にイピナが打ち上げを行う手はずだ。
 コール・タール(マホウ使い・e10649)もまた、死神の行いを見逃せぬようで。
「敵は殺す。いつも通りだ」
 ――俺は俺としての役割を果たすまで。
 そんなコールの言葉に、元暗殺者のリーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)も小さく頷いた。

 お台場へと到着した6班。
 散開する下級死神の部隊に2班が先行、さらにこちらのチームを含む3班が続く。
 イピナが絶望しない魂を歌い、要が死神の攻撃を防ぎながらも突破を優先する。
 近づく死神へリーナが斬りかかり、コールは十二の矢と弓の連射で、橘花が郵便ポスト型の竜鎚から砲弾を発射し、敵を蹴散らして先を急ぐ。
 ここで、足を止めてはいられない。
「満月の力よ、神秘的な魔力と共に仲間を癒してあげて!」
 琉音の生み出すエネルギーによって力を高めた瑞樹も連撃を叩き込み、ミチェーリ・ノルシュテイン(青氷壁の盾・e02708)も理力のオーラを浴びせつつ敵を突破する。
 こちらを見送る縁ら外縁部で抑えに当たる1班を残し、5班はさらに広場の中央へと向かっていく。

●儀式の阻止を……!
 ウェストプロムナード、セントラル広場で儀式を行うハリメーデー。
「それでは私達も参りましょうか」
 幹部を護るよう布陣するのは、星屑集めのティフォナ。
 そして、パイシーズ・コープスの軍勢を2班が食い止めることとなる。
 目の前のチームが放つ鎖の牽制に銃弾。
 まるで、一陣の風のように切り開かれた突破口。
 1本の矢の如く仕掛け、別班もまたそれぞれが道を切り開くべくグラビティを発していく。
「今です、突入を!」
「こいつらは俺たちに任せるんだぜェーッ!」
 叫ぶ彼らにこの場を任せ、この場を駆け抜ける3班。
 今なお儀式を続ける赤いローブの幼女、幹部ハリメーデーの前にはまたも護衛のパイシーズ・コープスの姿が。
 しかし、3班のメンバーは前進を止めることなく、目の前の護衛を倒す為にそれぞれ戦闘態勢へと入る。
 要は羽織っていたコートを脱ぎ捨てて、水の闘気を纏う。
 確実に敵を叩こうと、コールも全身の気を高めて。
「魚風情に興味はない」
 盾を構える邪魔なパイシーズ・コープスから、コールは拳を振るって食らいつく弾丸を叩き込む。
 橘花は仲間が相手を迅速に攻撃できるようにと魔力を高めた咆哮を上げ、護衛達の動きを鈍らせようとしていく。
「とっておきだが、出し惜しみしてはいられないな!」
 瑞樹もまた立ち塞がる敵へと突撃し、回転しながら手前の敵目掛けて連続蹴りを叩きこんで痺れを与える。
 これまでの依頼でも現れていたパイシーズ・コープス。
 それほど弱い相手ではないが、あくまでも前座。こんな敵に、もたついてもいられない。
「さぁ……、殲滅の時間だよ……」
 仲間の影から現れるようにリーナが跳び上がり、奇襲を仕掛ける。
 握る『魔宝刃ファフニール』を振るい、リーナは骨が露出した死神の身体へとさらに傷つけようとしていた。
 当然ながら敵もただ立ち塞がるだけではなく、全身を覆うオーラを、大鎌を、魔法を駆使してケルベロス達を襲い来る。
 身軽さを活かして距離を取るリーナの代わりに、そいつらを抑える為にとミチェーリが前に出た。
 冷気のオーラを纏う彼女はクールな態度をとっているが、仲間を助けたいという想いは人一倍熱い。
 横から大鎌を振るって来る一体を食い止め、ミチェーリは重装甲ブーツ『ドモヴォーイ・サパギー』より妖精のオーラを放ち、相手の気を強く引いていたようだ。
 水の闘気『練成闘気 -蛟-』を纏う要は、ダメージを覚悟の上で相手の懐へと潜りこむ。
「残念、次のが本命だ」
 グラビティ『鱗殺』(ウロコソギ)。
 仲間に気を取られていたこともあって要は悠然と死神のボディへと殴りかかり、鱗どころか僅かに残る肉までも削ぎ落とそうとしていく。
 そんな戦う仲間達を、イピナは前線でゾディアックソードの刃を盾代わりにしてカバーしながら歌う。
「今 最後の望みが絶え 虚空の彼方へと消えてゆく……♪」
 絶望しない魂を歌い、イピナは敵の気を引いていく。
「負けるはずないわ。占いにはそう出ているもの」
 さらに、この場で戦う多数のケルベロスの為、琉音はネクロオーブを手に占いの結果を告げ、仲間達を鼓舞していたようだ。

 他班もまた数体のパイシーズ・コープスの討伐へと当たり、順調に攻め立てる。
 とにかく、ハリメーデーを攻撃し、儀式を止めねばならない。
 ミチェーリが護衛どもの攻撃を防ぎ、琉音が彼女の傷を診て癒しに当たる。
「死霊魔法、苦手だけど頑張るよ!」
 地面から惨劇の記憶から魔力を引き出した琉音は、敵の刃や拳を受け止める前衛陣の傷を塞いでいく。
 再度、『郵便ポスト』より砲弾を飛ばす橘花。
 それを腹に浴びて動きを止めた護衛へ、要が仕掛けて。
「行きがけの駄賃だ。マグロらしく転がってろ」
 要が素早く腰につけていた弾丸を指で弾いて複数の護衛に撃ち出し、1体のパイシーズ・コープスの頭を破壊し倒してしまう。
「闇を切り裂き、死に誘うは我ら猟犬。雄叫びと共に喉笛を喰らい裂く!」
 同じく、前線にいたイピナは剣を身構えた態勢のまま、行軍歌を周囲へと響かせる。
 勇壮なる歌に鼓舞された瑞樹は音速を超える拳で殴りかかり、止めを刺してしまう。
 ほとんど同じタイミングで、護衛を倒す周囲の2班。儀式を行う小さな体躯へとケルベロス達は攻め入っていく。
 多少慌てた様子で、手を止めるハリメーデー。
「ティフォナよ。何を遊んでおるのじゃ。おぬしの忠義の志、いまこそ見せよ!」
 敵も自らにまでグラビティによる攻撃が及び、儀式どころではなくなってきていたようだった。

●『宝冠の死神』ハリメーデー
 護衛を排除し、幹部、ハリメーデーへと攻め入るケルベロス達。
 他班の攻撃に交じり、リーナは仕掛ける。
「貴方はここでバラバラにしてあげる……」
 生憎と今は昼間。リーナが暗殺術を最大限に活かすのは難しいが、その分身軽な動きで攻撃を行う。
「骨とそれを従える死神も、俺の相手じゃない」
 コールは全身のオーラを弾丸と変え、ハリメーデーへと食らいつかせていく。
「なんじゃと、無礼者!」
 他班もまた、ハリメーデーへと攻撃を行っており、ハリメーデーが激昂している。
「跪くがよい!」
 ハリメーデーは手にする金の錫杖を振り下ろし、ケルベロス達へと重力波を浴びせかけてきた。
 儀式阻止の赤い信号弾を構えたイピナは咄嗟に、自らの翼で敵の魔法を止めようとする。
「なんて威力……」
 五体に負傷するよりはマシと考えた彼女だったが、全身を破壊されそうな威力に顔を引きつらせてしまう。
 見れば、戦うケルベロス達は折角仲間が駆けてくれた支援強化も打ち砕かれていた様子。
 この為、イピナは信号弾を諦め、仲間の為に再び行軍歌を口ずさむ。
 琉音もまた満月に似たエネルギー光球を使い、前線メンバー……特にチームの火力となる瑞樹やコールへとぶつけ、力を再度高めようとする。
 しかしながら、状況は悪化の一途をたどっていく。
 遠くで上がる白い信号弾。それは、外縁部班の撤退を示すもの。
 直に外縁部から、死神の増援が広場へと入ってくることだろう。突破支援してくれた2チームの身も危うい。
 残る護衛を駆除しながらも、3班のケルベロスはハリメーデー打倒に当たっていく。
 他班メンバーの攻撃に紛れながらも、リーナが再度敵を奇襲する。
「奇襲・暗殺はわたしの得意技……望んで得た技術じゃないけどね……」
 他班メンバーのつけた傷を見定め、リーナは霊刀「鳴月」の刃を大きく切り上げ、ハリメーデーの体を大きく抉ろうとする。
 確実に、それでいて迅速に。
 コールもバスターライフル『イフリート・スカーライト』を構え、砲塔から魔法光線を発射してハリメーデーにプレッシャーを与えていく。
「いたいのじゃ!」
 赤いローブを翻し、敵は鮮烈なる雷群を発してくる。
 それを、何とか己の身を盾にして食い止めようとするミチェーリ。
 瑞樹は仲間に高めてもらった力が霧散してしまったのを感じながらも他班メンバーの攻撃の間を埋めるように攻撃し、卸した御業の力でハリメーデーをしっかりと捕えようとした。
「術式弾装填、目標基部の拘束を試みます」
 さらに、橘花がグラビティスマートカノンに装填した、装甲貫徹能力を有するグラビティ弾を発射する。
「おぬしらしつこすぎるのぅ!」
 多少拘束されども、意に介したように見えぬのはさすが幹部といったところか。
「これで手打ちじゃ、口惜しいがそろそろ撤退かのぅ」
 不承不承といった態度で、事件の邪魔をされたこともあり、ハリメーデーが周囲の死神へと告げる。
 それを見つめるケルベロス達は、苦い顔をせざるを得ない。
 全力で攻撃を繰り返す面々。ようやく、ハリメーデーの表情が歪む。
「なんじゃと?!」
 状況が良ければじっくりと相手を攻め落とせたかもしれないが、ティフォナを抑える2班はもう限界だった。
 メンバーの半数が倒れ、立っているメンバーもかなり辛そうにしている。壊滅も間近といった状況だ。
 さらに、魚型死神の増援の第一波も広場へと入ってくる。
 このままでは、なだれ込んで来る死神に押し切られてしまう。
「こっちじゃ、ティフォナ、なにをしておる、早う来んか!!」
 金色の杖をぶんぶんと振るうハリメーデー。まだ余裕綽々といった様子にも見える。
 相手前衛がいなくなったこともあり、要は直接ハリメーデーの懐へと潜り込み、力任せに殴りかかっていく。
 だが、なかなかに敵を切り崩すことは出来ない。
「ちっ……、守りが堅いわね」
 やはり、幹部はそう甘い相手ではない。
 ブンブンと錫杖を振り回す敵はなおも魔力を行使し、周囲のケルベロスを排除しようと膨大なエネルギーを叩きつけようとしてくる。
 他班もかなりハリメーデーの放つグラビティによって、押されている様子。
 手足の装甲でできる限りダメージ軽減をと考えていたミチェーリも、仲間のカバーに回るが故にハリメーデーの攻撃で疲弊してしまっている。
「我が魂よ、神秘の炎となりて、傷を癒す力となれ」
 回復役となる琉音は狐のウェアライダーとしての妖力を小さな炎として具現化して仲間を癒していくが、回復の手はまるで足りない。
 傷ついてなお冷静なミチェーリは気力を放ち、己の癒しに当たって状況を立て直そうとする。
 各班、メンバー達は態勢の立て直し、攻撃にと思い思いの行動をとるが、コールは諦めることなくバスタービームを浴びせかけていく。
 もはや、一刻の猶予も無いが、ハリメーデーはまだ余裕の表情。
 深紅のローブが翻った直後、陽光よりも鮮やかな雷光の槍が降り注ぎ、3班のケルベロス達を一気に追い込む。
 周囲に鉄臭い臭いが漂う。皆、かなりの深手を負っている様子だ。
 このままだと、こちらも壊滅は必至。
 そこで、橘花のアラームを含め、他班メンバーのタイムキーパーがセットしていたアラームが広場に鳴り響く。
 これは、撤退2分前に全班の全火力をハリメーデーへと集中してぶつけるという合図だ。
 ケルベロス達は回復などを捨て、全力で攻撃へと出て行く。
 他班メンバーに交じって、要は電光石火の蹴りを繰り出していき、イピナも歌いながら妖精弓を引いて追尾する矢でハリメーデーを射抜いていく。
 なおも、メンバーは攻撃の手を止めず。
 リーナはここぞと切り札として、自らの奥底に眠る暴走時の力を強引に引き出す。
「目覚めよ力……」
 引き出した全ての魔力とグラビティを使い、黒く輝く一振りの魔力刃と背面に漆黒の魔力の翼を4対生成する。
「わたしの刃は全てを断ち、全てに死を与え討ち滅ぼす……!」
 彼女は神速のスピードまで加速し、一直線にハリメーデーへと迫って。
「黒死に呑まれ滅びろ……!」
 手にする魔力刃で、一気に敵の体を切り裂いていく。
 相手に攻め入る瑞樹は暴走も止むなしかという考えをちらつかせるが、まだ絶望的な状況とまではいっていない。
 このタイミングで一気にと、相手の急所を抉って行く。
 どんどん畳み掛けるケルベロス。
「やめんか。いい加減諦めるのじゃ!」
 ハリメーデーが叫ぶが、ケルベロスが攻撃を止めるはずもなく。
「この一突きで穿ち抜く!」
 冷気のオーラを圧縮させて実体化させた氷の杭をガントレットへと装着して。
「露式強攻鎧兵術、『氷柱』!」
 それを一気に高速射出し、敵の胸部を打ち貫く。
 一斉攻撃に加わる琉音も虚無球体を放出して、敵を飲み込もうとすれば、橘花が郵便ポストを振り上げて。
「死神殺すべし、慈悲はない……たぶん」
 グラビティを込めて強かに叩きつけ、相手の体表面を凍りつかせる。
「お前で終わりじゃないんだ。俺はまだまだ先へ進まなければならない」
 さらに、コールが『イフリート・スカーライト』の砲口を相手に差し向けて。
「邪魔をするんじゃねぇ」
 一気に凍結光線を発射し、相手の体力を奪い去ろうとしていく。
 畳み掛けられた攻撃。果たして、誰の攻撃がトドメとなったのか、ケルベロスにも自覚のないままに。
「何故じゃ、こんな莫迦なことが、あるはずが……」
 倒れ行くハリメーデーの頭から宝冠が滑り落ち、ぱたりと、地面の上で軽やかな音色を上げた。
 その討伐を確認したイピナだが、信号弾を打ち上げる前にティフォナを相手にしていた2班を救わねばならない。
「まだ、終わるわけにはいかないわね」
 要はコートをつかみ、そちらの班の救援へと仲間と共に向かうのである。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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