蛸、参上

作者:秋津透

 神奈川県横浜市、中心街の一角。
 馴染みの場所というわけでもないが、未知の場所でもない。ごく普通に街路を通り抜けようとしていた小野・雪乃(光と共に歩む者・e61713)は、目の前に奇妙なものを視認してしまい、思わず足をとめた。
「……蛸?」
 戯画化もデフォルメもされていない海洋生物の、蛸。大きさは、小型トラックぐらいだろうか。それが、大海原とか、水族館の水槽にでもいるならどうということもないが、裏通りとはいえ横浜市の中心街の道路の真ん中で、どんとうねっているのは、明らかに異様だ。
 しかも、普通なら大騒ぎになるはずなのに、周囲には人の姿も車両の通行もない。何かの力で、明らかに人払いがされている、と、雪乃は悟った。
「この、蛸が……」
 おそらくデウスエクスなのでしょうね、と、雪乃は呟いた。その刹那、蛸……デウスエクス・デスバレスこと死神『ヤルダバオート』の目玉がぎろりと動き、雪乃を睨んだ。

「緊急事態です! 小野・雪乃さんが大蛸の姿をした死神に襲われる、という予知が得られました! 急いで連絡を取ろうとしたのですが、連絡をつけることが出来ません!」
 ヘリオライダーの高御倉・康が緊張した口調で告げる。
「皇士朗さんは、神奈川県横浜市中心街の一角にいるので、今すぐ全力急行します! 一刻の猶予もありません!」
 そう言って、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「現場はここです。雪乃さんを襲ってきた死神は『ヤルダバオート』という名で、小型トラックぐらいの大きさの蛸の姿をしています。資料や伝承では、超巨大で天空を漂う不可侵の魔神とも言われるのですが、今回現れたのは分身か何かなのか、そこまで大きくはなく、宙に浮くこともありません。ポジションは、おそらくクラッシャー。八本の触手をオークのように叩きつけてきますが、破壊力は桁が違うので注意してください。目玉で睨むことで、単体の相手を催眠に陥れ、麻痺性の墨を噴いて、複数の相手にパラライズをかけます。治癒グラビティはシャウト……何というか、蛸のシャウトって想像しにくいんですが。いずれにしても、一対一で闘ったら、絶対に勝てないとまでは言いませんが、雪乃さんの勝ち目は非常に薄いでしょう」
 そして康は、一同を見回して続ける。
「幸いというか何というか、敵は単体で、増援も呼びません。雪乃さんを殺せば目的を果たして撤収しようとするようですが、そんな真似をさせるわけにはいきません。どうか雪乃さんを助けて、死神を斃し、皆さんも無事に帰ってきてください」
 よろしくお願いします、と、康は深々と頭を下げた。


参加者
天谷・砂太郎(心が乾いた地球人・e00661)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
暮葉・守人(浜辺の貴公子・e12145)
リィナ・アイリス(もふきゅばす・e28939)
セラフィ・コール(姦淫の徒・e29378)
エルバート・アーヴィング(二親喰らい・e46758)
ライスリ・ワイバーン(外温動物料理人・e61408)
小野・雪乃(光と共に歩む者・e61713)

■リプレイ

●さあ、食用蛸をタコ殴りだ!
「……蛸?」
 神奈川県横浜市中心街の裏通り。通りかかった小野・雪乃(光と共に歩む者・e61713)の前に、小型トラックほどもある大蛸……死神『ヤルダバオート』がいきなり出現。目玉をぎろりと動かし、睨んだ相手を催眠状態に陥れる強力なグラビティを発動させようとする。
 しかし、グラビティの力が雪乃に及ぶ寸前、高空から高速降下してきた暮葉・守人(浜辺の貴公子・e12145)が、蛸と雪乃の間に立ちはだかる。
「仲間のピンチを無視できるほど薄情じゃ無いんでね。力を貸すよ!!」
 犬耳のついたパーカーを被り、ヘッドホンでPOP音楽を聴きながら、日本刀『雷刃ー瞬ー』を手にした守人は、雪乃を背後に庇って大蛸を睨み据える。
 人の頭ほどもありそうな大目玉が守人を睨み返し、周囲の光景がぐらりと揺れる。
(「……催眠か」)
 まあ、庇えば食らうに決まってるよな、と、ごく冷静に呟き、守人はヘッドホンから流れる音楽に合わせ、勢いよくシャウトする。
「貴様らの手の内はわかってる。そう易々と乗せられてたまるか」
「守人さん、さすがだね!」
 伊達に浜辺の貴公子を名乗ってるわけじゃないね、と、晴れやかな声で告げながら、降下してきた源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)が、そのままの勢いで大蛸に如意棒『玄武轟天【飛水・八相】』を叩き付ける。
 目と目の間を狙った一撃は見事に決まり、ぐにゅっと大きく変形した蛸の頭は、へしゃげたまま元に戻らない。
「まったく、ここまで襲撃が多いと、もう外出時は複数人のチーム制で行動した方がいいような気がしてきたね」
 続いて降下してきた天谷・砂太郎(心が乾いた地球人・e00661)が、やや神経質な表情で呟きながら、雪乃を見やって無事を確かめる。
 そして、サーヴァントのミミック『段ボール箱』が、がぶりと足の一本に噛みつくのを見計らい、早々とオリジナルグラビティ『雷光之牢獄(ライトニングプリズン)』を放つ。
「蛸の足止めか……さて、どの足をどう撃てば足止めになるのやら?」
 まあ、動くなよ、手元が狂っちまうからな、と、一見気のない口調で告げながらも、砂太郎は熟練した手つきで帯電するグラビティチェイン製の糸を掌から繰り出し、大蛸の周囲に張り巡らせて簡易結界を作り出す。
 むろん、それで言われた通りに大人しく動きを止めるわけもなく、大蛸は威嚇するように足を振り上げようとしたが、そのとたん結界に引っ掛かり、凄まじい閃光火花が発生する。
「……わぁ……すごい……ひばなが、きれいだね……」
 降下してきたリィナ・アイリス(もふきゅばす・e28939)が、ばちばちと派手に火花を散らしながらもがく大蛸を見やって、うっとりした声を出す。
「……やけるにおいが……おいしそう。……これだけ、大きな、タコさんなら……あとで、たくさん、たこ焼き、出来ちゃいそう……」
(「そ、そうかぁ?」)
 声には出さず、砂太郎は唸る。蛸が苦手なわけではないが、仮にもデウスエクスを斃して食べてしまおう、という気は正直起きない。
 そしてリィナは、ダメージの残る守人を含む前衛全体に向け、オウガメタルから輝く粒子を放出、癒すと同時に感覚を鋭敏にして命中率を上げる。
 それから、少し間を置いて、雪乃の恋人セラフィ・コール(姦淫の徒・e29378)が降下してくる。
「待たせた、雪乃! 無事だね?」
「はいっ!」
 瞳を輝かせて、雪乃が応じる。セラフィはうなずいて、バイオレンスギターを演奏。立ち止まらず戦い続ける者達の歌を奏で、前衛の防御力を高める。
 続いて高空から、調理用具一式を背に、惨殺ナイフ『易牙の包丁』を手にしたライスリ・ワイバーン(外温動物料理人・e61408)が急降下してくる。
「獲物発見! 行くぜ!」
 やる気というか、狩って料理して喰う気まで満々の雄たけびをあげ、竜派ドラゴニアンのライスリは、いきなりオリジナルグラビティ『ユンカース爆撃(ユンカースバクゲキ)』を炸裂させる。
「狩りの時間だ! 急上昇、急降下爆撃機に如く! ゼロ距離の全力ファイヤー!」
 急上昇のあと、敵に狙って急降下爆撃機に如く、突撃急降下そしてゼロ距離の全力ドラゴンブレス。全身を炎に包まれた大蛸が滅茶苦茶に足を振り回すのを、ブレスの反動を巧みに利用してかいくぐり、着地する。
「触手は焼き、その以外は刺身……イカ墨は焼きそばの調味料で……ヤバイ、腹減った」
 いや、気持ちはわからなくもないが、さすがに一撃入れただけでその目算は、捕らぬ狸ならぬ、捕らぬ大蛸の飯算用じゃないか?
 そして、例によってというか何というか、大きな獲物を目の前にして興奮したライスリが指示をするのをすっかり忘れてしまったため、彼のサーヴァント、ボクスドラゴンの『タービン』は、自主的にマスターと同じ中衛キャスターにポジションを取り、大蛸にボクスブレスを吐き付ける。
 それに続いて最後の八人目、エルバート・アーヴィング(二親喰らい・e46758)が、雪乃の横に着地して告げる。
「デートの待ち合わせには……何とか、間に合ったかな?」
「はい、ありがとうございます!」
 雪乃が、瞳を輝かせて応じる。エルバートはうなずき返すと、喰霊刀を肩に担ぐ様に構え、大蛸を睨み付ける。
「今日の僕は、皆の楯。楯は、割れ砕けるまで……遣い手の身を、護る為の物だ」
 言い放つと、エルバートは大きく跳び、美しい虹をまとう急降下蹴りを大蛸に浴びせる。
 そして雪乃は、救援に来た一同に感謝の意を籠めて一礼すると、アリアデバイス『茨の聖釘』をぎゅっと握る。
(「この聖具……『茨の聖釘』を受け取ると心が軋むものの、涙を振り払って受け入れます。迷いが晴れて、宿敵と真に向き合う翼を得る事ができました。ありがとう……」)
 私は私の選んだ道を歩く、この御恩に報いなければならない、と、声にはせずに呟くと、雪乃は想いを胸に秘めて大蛸を見据え、失われた愛しい想いを歌い上げる。
 そのグラビティは、前衛の命中率を上げ、わずかに残っていた守人のダメージの回復可能な分をすべて治癒した。

●殲滅! 解体! 調理! ……で、ホントに食べるの?
 ぶしゃ、と大蛸が墨を吐く。
 墨は、麻痺性のしぶきとなってケルベロスの前衛を襲ったが、守人が瑠璃を、ミミック『段ボール箱』がセラフィを庇う。庇われた方は無傷で済むが、庇った方は倍のダメージを受ける。とはいえ、庇いに出るのはディフェンダーでダメージ半減効果があるので、総体のダメージは小さくなる。
(「ダメージよりも……むしろ麻痺が心配だけど……」)
 治癒はその役目の人に任そう、と、自分に言い聞かせるように呟くと、瑠璃は『霊杖「金木犀」』を振るい、肉食獣が噛み取ったような傷を大蛸の両眼の間に刻む。
 そして守人が、ダメージも状態異常もものともせず、オリジナルグラビティ『影踏鬼(カゲフミ)』を駆使する。
「一歩、二歩、三歩……気を抜いたら刈り取るぜ!!」
 蛸の足を盾に、蛸の視線を外し、緩急をつけ揺らぐような絶妙な歩調で間合いを取って、守人は『雷刃ー瞬ー』で大蛸の頭部を大きく裂く。
 どろっとした薄青い粘液のようなものが溢れるが、そのまま粘液は傷口に粘りつき、それ以上傷が広がるのを防ぐ。
 一方、『段ボール箱』は足の一本にがぶりと噛みつき、砂太郎は砲撃形態に変形したドラゴニックハンマーを撃ち放つ。
 そしてリィナは、前衛に癒しと攻撃力上昇をもたらす、士気上げの爆発を送る。セラフィは縛霊手から紙兵を繰り出し、前衛を癒して状態異常耐性をつける。
 治癒が続いた後は、ライスリが高空から重力蹴りの一撃を叩きつけ、大蛸の足を一つ潰す。『タービン』も続いて、大蛸に体当りを仕掛ける。
 そしてエルバートが喰霊刀を振るって斬りかかったが、これは大蛸の足に迎え撃たれ、危うく弾き飛ばされそうになって避ける。
 最後に雪乃が、前衛に多少ダメージが残っているのを、希望の為に走り続ける者達の歌で癒す。
 すると大蛸は、守人に向かって猛然と複数の足を叩きつけてくる。守人が跳び、躱しきれるか、どうか、と見えた瞬間、エルバートが飛び込んで肩代わりする。
「おい、無茶するな、大丈夫か?」
「僕だってディフェンダーですからね、これしき……」
 強がりながらも、受けたダメージは半減しても痛烈で、エルバートは女性に間違われる美貌を思わず顰める。彼自身、同じディフェンダーである守人を庇う気はなかったのだが、ディフェンダーの庇いは本人の意志に依らない自動発生のため、こういう事態は時々起きる。
「自己治癒を選ばなかったこと、後悔させてやるよ」
 言い放って、瑠璃がオリジナルグラビティ『太古の月・黄昏(エンシェントムーン・トワイライト)』を発動させる。
「死へ導く月の力をここに」
 血のように真っ赤な禁断の月の力を解放し、大きな弾にして全力でぶつける。すさまじい禁忌の破壊力に直撃され、蛸足の半数近くが千切れて吹っ飛ばされる。
(「うわ……すげ……」)
 禁忌の破壊力に少々引き気味になりながらも、ここが攻め時と判断した守人は強引に踏み込み、蛸が塞ごうとする傷口を容赦なく抉る。
 続く『段ボール箱』は、愚者の黄金をざらざら撒くが、さすがに大蛸は目もくれない。そこへ砂太郎が、目玉に向けて重力蹴りを叩き込んで潰す。
 そしてリィナも、オリジナルグラビティ『Lovable ice(ラブルレイス)』で攻撃に出る。
「……見惚れて、いたら……ケガ、するの……!」
 グラビティ塗料でリィナが描いた動物は、大蛸に匹敵する巨大なイカ。氷の魔法を吹き込まれた巨大イカは、しゅるしゅると足を延ばして大蛸に襲い掛かる。
「……イカさんVSタコさんって……面白いと、思うのー」
「……確かに面白いけどさぁ」
 仮にもデウスエクス相手に闘ってる時に、面白がってていーんだろーか、と、セラフィは意外に真面目な口調で唸ると、ウィッチオペレーションでエルバートを治癒する。
 そしてライスリが、まったくブレることなく、オリジナルグラビティ『ユンカース爆撃』を再度ぶちかます。
「狩りの時間だ! 急上昇、急降下爆撃機に如く! ゼロ距離の全力ファイヤー!」
 突撃するライスリの煽りを喰ったような形で、リィナが描いた巨大イカが消えたが、これはタイムリミットが来たせいで、ライスリが攻撃したせいではない。
「……もはや瀕死、ですね」
 宿敵を見据えて雪乃が呟く。一撃すれば倒せるだろうが、彼女は実のところ攻撃グラビティを用意しておらず、当然、とどめを刺すつもりもない。
 そして雪乃は、オリジナルグラビティ『コネクト・アセンデッドマスターマリア』を使ってエルバートを癒す。
「あぁ、マリア様……あなたの慈愛の御心をお与えください」
「……つまりこれは、僕にとどめを刺せと?」
 わずかに当惑気味に訊ねるエルバートに、雪乃はにっこり笑ってうなずく。
「はい、よろしければお願いします」
「……やりましょう」
 表情を引き締め、エルバートはもはや半ば残骸と化している大蛸を見据える。レベル差のため、命中率はどの技も高くはないが、外したところで別の誰かが止めを刺すだけだ。
(「……だけど、ここは、決めたいな」)
 言葉には出さずに呟くと、エルバートは喰霊刀を構えて突撃する。使うグラビティは、シャドウエルフの種族グラビティ『シャドウリッパー』である。
「僕は、僕の護りたい者を護る。力を寄こせ、『魂喰らい』……!」
 微かな呟きとともに、エルバートは大蛸の残った片目を両断する。ぶしゃあ、と、大蛸の体液が傷口から噴き出し、ばたばたと動いていた本体に繋がる触手が力を失って動かなくなる。
「やった……ね」
 呟いて、エルバートは殺界を形成する。大蛸が潰れて人避け効果が消え、裏道に人や車が入ってきたが、ケルベロスたちに近寄る者はいない。
「さ~料理の時間だあああああ!」
 戦闘時に勝るとも劣らない気合の入った雄たけびをあげ、ライスリが大蛸の残骸に駆け寄る。
 エルバートとセラフィも作業に加わり、大蛸を手分けして解体する。その間にリィナと雪乃、そして守人は、周囲の破損、汚損を調べ、ヒールを使って直していく。
「……あれ、どんな味だった?」
 砂太郎が小声で『段ボール箱』に訊ねると、ミミックは取り出したホワイトボードにマジックでさらさらと書きつけた。
「味は普通に蛸だ。動いている間は、細胞にデウスエクスのパワーが満ちていたから、何かグラビティを使わないと人間には消化できないだろうが、今は、そのパワーも抜けている。人間が食べても害はないと思うよ」
「……いや、やめておく」
 意外に達筆で書かれた文字を見やって、砂太郎は肩をすくめる。
「ライスリ……は、完全に嵌っちまってるなぁ」
 帰って店を手伝ってもらいたいんだが、あの様子じゃ無理か、と、ぼやきながら砂太郎は腰をあげる。すると瑠璃が、すっと横へ寄ってきた。
「お帰りですか、砂太郎さん。僕も蛸は食べる気ないし、仲良しの人達の時間を邪魔したら悪いんで、一緒に引き上げますよ」
「……そうだな。お邪魔しちゃ悪い感じもするし、後は若いのに任せてウチラは退散しようか」
 まあ、瑠璃君は充分若いが、と苦笑し、砂太郎は瑠璃と歩き出す。確かに瑠璃は十六歳だが、砂太郎だって二十一歳、本来なら「若いのに任せて」とかいう年齢ではない。
 そこへ、ニ十歳の守人も加わる。
「おや、蛸は食わんのか」
「嫌いじゃ無いけど、敵食べるのは流石にね」
 苦笑交じりに告げ、三人はその場を立ち去る。
 一方、残った者たちは、蛸の解体をほぼ終えて、食材状態に仕立て上げた。
「調理はどうしましょうか。魚河岸なら、持ち込んだ鮮魚を調理してくれる店もあるけど……」
「大丈夫、任せろ。用具は揃えてきた。コンロも鍋も調味料も、食器も箸も万全だぜ」
 尋ねるエルバートにライスリが力強く請け合い、リィナもたこ焼きの生地や鉄板をいそいそと持ち出す。
 すると、料理が始まったのを笑顔で眺めている雪乃に、セラフィがそっと囁いた。
「ねえ……本当に食べるのかい、あの蛸?」
「ええ、お嫌いですか?」
 尋ねる雪乃に、セラフィは少々歯切れ悪く応じる。
「嫌いじゃないけど……これ、姿は蛸でも死神だろ? 古来、冥府の食物を食べたら冥府に囚われる。神話の常識ってやつだ」
「ああ、確かに。ですが、死神の要素は死によって消え、これはタダの蛸。何も怖くはありません」
 穏やかな口調で応じ、雪乃は小さく笑う。
「それに、超常の存在を食べれば超常の力を得る。それも神話の常識ですから……あ、でも、無理に召し上がれとは申しませんよ」
 とてもサキュバスとは思えない清楚さを備えた雪乃だが、この時浮かべた笑みは、男性サキュバスのセラフィが目を奪われるほど妖艶だった。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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