筋肉最強! 人類よ、運動せよ!

作者:雷紋寺音弥

●憧れのマッスルボディ
 薄暗い、既に誰も使わなくなって久しいビルの中。
 無機質なコンクリートの壁に覆われた部屋の中に置かれているのは、大小様々なトレーニングマシン。そして、それらを使って筋トレに励んでいる者達の中央には、何やら凄まじくガタイのよいビルシャナが。
「そうだ! もっと、もっとだ! もっと鍛えまくるんだ! この世に生を受けた以上、貧弱なるボディでは、弱肉強食の世界を生き延びられぬ!」
 鍛えろ。ただ、ひたすらに鍛えまくれ。そう言って煽るビルシャナの声に鼓舞されて、筋トレを続ける者達のテンションも上がって行く。
「ふんっ! ふんっ! 目指せ、鋼のスーパーボディ!」
「男に負けてはいられないわ! 女だって、ムキムキになれるってことを見せてやるんだから!」
 老若男女関係なく、ひたすらに汗を流しまくる光景。冬を間近に控えた肌寒さも吹っ飛ぶ暑苦しい空気が、廃ビルの中に所狭しと充満していた。

●ビルシャナトレーナー、現る!?
「招集に応じてくれ、感謝する。ピリカ・コルテット(くれいじーおれんじ・e08106)の懸念していた、筋肉崇拝のビルシャナが出現することが予知された」
 現在、ビルシャナは10名ほどの信者達を集め、廃ビルの中でトレーニングをしている。至急、このビルシャナを撃破し、信者達を解放してやって欲しいと、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は集まったケルベロス達に、自らの垣間見た予知について語り始めた。
「ビルシャナの主張によれば、この世は弱肉強食であり、その中で生き抜くには鍛え抜かれた肉体が必須ということらしいな。まあ、ある意味では正しい主張なのかもしれないが……それでも、筋肉さえ鍛えれば全てが万事解決というのは、少しばかり行き過ぎだ」
 もっとも、今回のビルシャナは筋肉崇拝であることを除けば、トレーナーとしては優秀なのが厄介である。練習メニューから食事の献立まで、個人別に最適なプランを立てるだけの能力を持っており、筋肉を鍛えることに関してのノウハウはプロ級だ。
「戦闘になると、ビルシャナは自らの鍛え上げた肉体を武器に襲い掛かって来るぞ。得意技は、ラリアットに絞め技に、それから投げ技だ。それと、ビルシャナの周りにいる信者達も、サーヴァントのような存在となって戦いに参加して来るからな。筋肉質な見た目に反して、お前達と比べれば戦闘力は雲泥の差だが……それだけに、お前達が本気の一撃を浴びせれば、簡単に死んでしまうから注意してくれ」
 信者達を確実に助けるには、戦闘に突入する前に彼らを説得することが必須だろう。その際に、重要となるのはインパクト。幸い、ビルシャナの提示している筋トレ方法は、理想的だがインパクトという点では大したものがない。科学的根拠など何もなくて構わないので、とにかくなんか凄そうなトレーニング方法でも提示すれば、ビルシャナよりもケルベロス達のことを信じるようになるかもしれない。
「身体を鍛えること事態は、悪ではないのかもしれないが……ビルシャナの信者が増え続ければ、その中から新たなビルシャナが誕生しないとも限らないからな」
 これ以上、ビルシャナによる侵略を広めないためにも、ここで手を打っておく必要がある。そう言って、クロートは改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
アンジェラ・コルレアーニ(泉の奏者・e05715)
ピリカ・コルテット(くれいじーおれんじ・e08106)
土岐・枢(フラガラッハ・e12824)
除・神月(猛拳・e16846)
篠村・鈴音(焔剣・e28705)
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)
ナターシャ・ツェデルバウム(自称地底皇国軍人・e65923)

■リプレイ

●究極の筋トレ
 薄暗い廃ビルの一室に、充満している汗の臭い。ビルシャナ発生の報を受けて駆け付けたケルベロス達の前に広がっていたのは、鳥頭の怪人をコーチと崇め、ひたすら筋トレに励む者達だった。
「まーぶっちゃケ、あたしも身体鍛えんのとかは好きなんだよナー。筋肉ついた奴とかフツーに好きだシ」
 だが、それでも限界を無視して鍛えれば、オーバーワークになって身体を壊す。それでは元も子もないと、除・神月(猛拳・e16846)は複雑な表情で苦笑して。
「わあ、すっごくムキムキっ! ビルシャナズブートキャンプですねっ!」
 あまりの暑苦しさに早くも辟易する者が出始める中、ピリカ・コルテット(くれいじーおれんじ・e08106)は満面の笑顔で信者達に近づいて行った。
「筋肉はとっても魅力的だし力にもなりますが、そのまま鍛えると皆さんもマッチョな鳥さんになっちゃいますよっ!?」
 それこそ、あそこで指導している鳥頭のように、今に人間を捨ててしまうことになるかもしれないが、それでもいいのか。とりあえず、そんなことを言って信者達の気を逸らそうとしたものの、なにしろ頭の中身まで筋肉になり掛けているような連中である。
「マッチョな鳥だって? そいつは素晴らしいじゃねぇか!」
「鳥って空を飛ぶために、凄い胸筋を持っているのよ。つまり……マッチョな鳥になるくらい鍛えれば、私達も腕の力だけで空が飛べるようになるのよ!」
 これぞ人類の究極系。ドラゴニアンやオラトリオでなくとも、鍛えれば空は飛べるんだ。なんとも無茶苦茶な反論に、開いた口が塞がらない。
「待ちなさい! 私達が、より良いトレーニングを提案します!」
 それでも、ここで退き下がっては始まらないと、幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)が信者達にストップをかけた。
「あなた達のトレーニングは効率的ですが、刺激と意外性に欠けています。ですが、私達のトレーニングを行えば、一見筋肉が少ないように見えても!」
 それだけ言って、持参した鉄板を拳の一撃で砕き割る。これには、信者達からも思わず感嘆の声が。
「す、凄いな、これは……」
「いったい、どんなトレーニングをすれば、人間の拳で鉄板を砕けるんだ!?」
 その答えは、他でもないケルベロスだから……というのは、ここでは敢えて伏せておく。思惑通り、信者達の関心を引けたところで、鳳琴は改めて彼らに告げた。
「私が提案するトレーニングは、逆立ち腕立て伏せです。腕を鍛えるのみならず、脳に血が巡り集中力を高めるのです!」
「さ、逆立ち腕立て伏せだと……。これはまた、随分と高度な……」
 いきなり凄まじい苦行を提案され、これには信者達の間にも動揺が走った。プロの格闘家やボディビルダーならまだしも、そんなトレーニングなど一般人にできるはずない。案の定、試そうとした信者達の何名かは、頭をコンクリートに打ち付けて転倒する始末。
「い、痛ぇっ! あ、頭がぁぁぁっ!」
「くっ……なんという厳しい修行……。だが、ここで止めるわけには……」
 もっとも、中にはそこそこ鍛えている者もいたようで、辛うじて耐えてはいたが、それはそれ。
「僕はまだまだ、ケルベロスとして未熟者。ですが、日々鍛錬を怠ることなく精進すれば、この大剣だって難なく使いこなせるんです」
 鉄塊剣を構え、それを振り下ろしたり薙ぎ払ったりすることで、土岐・枢(フラガラッハ・e12824)が豪快な素振りを実演して見せる。その上で、局所的にしか鍛えていない信者の一人に狙いを定め、トレーニングのアンバランスさを指摘した。
「そこのあなた、上半身に比べて下半身が貧弱すぎじゃないですか? まずはスクワットで足腰を鍛え直してください!」
 それだけ言って、ベンチプレスに使う器具を、鉄塊剣で破壊する。だが、筋肉を鍛えることこそ至高とする者達にとって、これはあまりに暴挙が過ぎた。
「てめぇっ! 大切なトレーニング器具を破壊するとか、ふざけてんのか!?」
「弁償だ、弁償! トレーニング器具を大事にできないやつに、教わることなんて何もねぇ!!」
 どうやら、こちらの力を誇示するために、少々加減を間違えてしまったようだ。
 このままでは、正に一触即発。しかし、ここでビルシャナと戦闘に入ってしまえば、信者達もまた面倒な敵として相手にせねばならなくなるわけで。
「なるほど……。ならば、お望み通り本当に鋼の筋肉が手に入る鍛え方を伝授してやろう」
「言っておくが、お遊びはなしだぞ。本気で鍛えたい者だけ、ついて来い」
 宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)とナターシャ・ツェデルバウム(自称地底皇国軍人・e65923)が、何やら物々しい空気を纏って信者達に告げる。それを聞いた信者達も、やる気満々になってはいたが……その選択が地獄の入口に足を踏み入れることと同義だとは、この時点ではビルシャナはおろか、信者の誰一人も気付いてはいなかった。

●地獄のブートキャンプ
 お遊びなしで、鋼の肉体を手に入れるため徹底的に筋肉を鍛える。では、どうすれば良いのかと問う信者達に、最初に語り掛けたのは篠村・鈴音(焔剣・e28705)だった。
「筋肉を鍛えただけでは50点……。あなた達に必要なのはこの『筋弛緩脱力鍛錬』です」
 筋力をつけるのが剛の鍛錬ならば、意識して力を抜くのは柔の鍛錬。剛と柔、二つが揃ってこそ真の筋肉。変幻自在に筋肉を操ることができてこそ、初めて本物と言えるのだと。
「無意識に入ってしまう力を意識して抜き、筋肉パワーを自在に操れるようになれば、筋肉は次のステージへ向かうでしょう……。さあご一緒に」
 そう言って、うつ伏せに寝転がったまま脱力して見せたが、信者達の反応はどうにも微妙だ。
「う~む……。確かに、これはこれで、効果的な鍛錬なのかもしれないが……」
「なんかこう、修行って感じがしないのよねぇ」
 信者達は、所詮素人。脱力と手抜きの違いも分からない者にとっては、どうにも刺激に欠けていたようだ。
「まあまあ、そう言わずに♪ トレーニングなんて、ただ効率よくやっても面白くありません、です!」
 どうせなら、楽しく面白く鍛えるに越したことはない。微妙に賛同の意思を見せつつも、アンジェラ・コルレアーニ(泉の奏者・e05715)が従来の筋トレを全否定!
「こう、一見無駄に見える特訓で、無駄を乗り越えて……いえ、無駄を楽しむ精神が出来てこそ、人は強くなれます、です!」
 そういうわけで、とりあえず天井から逆さ吊りになって、高速で飛んでくるボールを避けるというトレーニングはどうか。腹筋に背筋、ついでに動体視力まで鍛えられる、一石三鳥の優れものだと、勢いに任せて提案し。
「ならば、俺からも即効性のあるトレーニングを伝授してやろう。準備は簡単、そこにある鉄棒の下に、焚火の入った缶を置くだけだ」
 鉄骨を組んで作った簡易式の鉄棒の下に、双牙が野焼きに使う缶を置いて火種を投げ入れた。
「炎の上での懸垂。生存本能を刺激し、より効率的なトレーニングを行える。また、こうやって膝を鉄棒に掛けて逆さ吊りでの腹筋・背筋もお勧めだ」
 ついでに、自分で実演して見せることも忘れない。どう見ても危険極まりない鍛錬方法だったが、しかしこれは凄まじいインパクト!
「そ、そうか! 生存本能への刺激……俺達に足りないものは、それだったんだ!」
「この世は弱肉強食の世紀末……。だったら、鍛錬の時から命を懸けていなくちゃ、何の意味もないってことね!」
 男も女も関係なく、一斉に瞳を輝かせて、危険な鍛錬に身を投じて行く。これがテレビ番組だったら、『危険ですので絶対に真似をしないでください』というテロップが入るレベルの鍛錬法だったが、ビルシャナの影響を打破させるためには仕方がない。
 もっとも、そんな危ないトレーニングだからして、やはりというかケルベロスであるからこそ大丈夫とも言えるわけだ。案の定、早くも数名の信者達が、あまりの厳しさにギブアップ寸前に!
「うぅ……あ、足が……足が焼けるぅ!!」
「はぅぁっ! ボ、ボールが……俺の股間にぃぃぃっ!! ってか、なんでボールに棘が生えてんだよぉぉぉっ!!」
 足を焦がしそうになって慌てる者や、棘付き球が股間に直撃して悶絶する者が続出する始末。どう見ても、阿鼻叫喚の地獄絵図。だが、それでもケルベロス達は、信者達にサボることを許さない。
「ふざけているのか! 大声出せ! タマ落としたか! 返事はイエスマムだ、ウジ虫共!!」
「口から汚物を垂れる前と後にサーをつけろ!」
 朦朧とする意識の中、ナターシャや双牙による軍隊式の罵声が飛んで来る。そんな中、ピリカは純粋に信者達を応援していたが、ドサクサに紛れて他のメンバーが出したアイデアに乗っかり、その全てを融合させていた。
「頑張ってくださ~い。諦めちゃだめですよ~♪」
「ひっ……! あ、あたしの髪の毛に火が! 火がぁぁぁっ!!」
 宙づりと火炙りを融合させた結果、誰かの頭に火が燃え移っていたようだが、それはそれ。髪の毛は燃えてしまうかもしれないが、戦いが終わった後にヒールをすれば、命に別状はないだろう……たぶん。
「じょ、冗談じゃねぇっ! 俺は普通の筋トレでじゅうぶ……ぐべっ!?」
「何処行くんダ? 鍛えるのが身体だけじゃーまだ甘ぇんだヨ! 心の底から筋肉質になってねート、勝てるもんにも勝てねーんだゼ!」
 思わず逃げ出そうとした信者の背中に、神月が豪快に腰を下ろす。そのまま強引に腕立て伏せをさせた上で、果ては馬代わりに周囲を走り回らせ。
「ふハ♪ 思った通リ、いい身体はしてんだナー? おらオラ! 叩かれたら『ありがとうございます』って言えよナァ!」
「ひ、ひぃぃぃんっ! あ、ありがとうございますぅぅぅっ!! にんじんくださいぃぃぃっ!!」
 もはや筋トレというよりは、完全に馬の調教になっていが、細かいことは気にしたら負けだ。
「おいおい、何やってんだ、お前達! いくらなんでも、それはやり過ぎだろう!?」
 あまりに凄まじい光景を前に、とうとうビルシャナの方からストップが掛かった。
 なんというか、今回ばかりは相手の方が常識人に見えてしまう。もっとも、インパクトという点では完全に敗北した鳥頭に、もはや信者達を引き付ける術はない。
「そうそう、忘れていた。筋肉を育てるためには食事も大事だ。たとえば鳥のささみとか……そう、鳥だ!」
 もはや、説得は十分だと察してか、最後にナターシャが意味深な笑みを浮かべてビルシャナを指差した。
「つまり、あの鳥は最後に自分の身を挺して、貴君らの筋肉の支えとなってくれるそうだ」
 準備は全てこちらでやるので、しばらく離れていてくれないか。そう、ナターシャから告げられて、信者達は死んだような目をしたまま、高らかに手を挙げて宣言した。
「イエス、マム! どうか、ご武運を!!」
「なっ……! お前達、ちょっと待て!!」
 慌てて叫ぶビルシャナだったが、時既に遅し。改めて屠殺指令が解禁されたことで、ケルベロス達は一斉に、筋肉崇拝のビルシャナに対して攻撃を開始した。

●ザ・マッスルバトル!
 超人プロレスラーや戦闘民族の宇宙人にしかできないような鍛錬方法を提案することで、信者達を解放に導いたケルベロス達。だが、全ての手駒を失っても、筋トレマニアのビルシャナは、最後まで自らの考えを曲げることをしなかった。
「フハハハッ! さあ、捕まえたぞ! もう逃がしはせん!!」
「やっ!?  は、はなし、て……」
 鳥の翼そのままの腕で器用にアンジェラを捕まえ、ビルシャナは高々と持ち上げる。そのまま、プロレスのブレーンバスターよろしく、彼女の頭を廃ビルのコンクリート目掛けて振り下ろし。
「いや、あ、あぁ……」
「必殺! マッスル・フィニィィィッシュ!!」
 眼前に迫る床にアンジェラが言葉を失ったところで、彼女の身体を杭の如く床へ叩き付ける。コンクリートが砕け散り、床に頭から突き刺さったアンジェラは、殆ど某推理小説に登場した、沼地に首を突っ込んでいる死体のような状態に。
「なかなかやるな! だが、まだ甘いぞ!」
 すかさず、ナターシャが自らの血を浴びせつつ、アンジェラの身体を引っこ抜く。確かに、敵のパワーは凄まじいものがあるが、しかし所詮はパワー主体の力押し。
「柔よく剛を制す……その極意、見せてあげます!」
「華奢な体ですが、私もマッチョさんと渡り合える力を持っているんですよ~っ!」
 鍛え過ぎた肉体は、力に比例して俊敏性と小回りで劣る。ならば、その弱点を突いてやろうと、鈴音とピリカが左右から挟み込むようにして蹴りを繰り出す。おまけに、ボクスドラゴンのプリムまでもが、ビルシャナの顔面に体当たりを仕掛け。
「まだだ! 楽に逝けると思うなよ……」
 思わず怯んだところへ、間髪入れずに双牙が組み付き、投げ飛ばした。だが、それだけでは終わらない。
「受けよ、金狼の裁きを!! ――焔獄斬首刀!!」
「アバァァァッ!?」
 そのまま空中で急所に脛蹴りをお見舞いし、そこに体重をかけて床へと叩き付ける。悲鳴を上げて、今度はビルシャナの方が首から床へと突っ込んだ。
「つかまえました、逃しません、です!」
 これは先程のお返しだ。首を床から引っこ抜いたビルシャナに、すかさずアンジェラが組み付いて締め上げて行き。
「ぐぇぇ……ぐ、ぐるじ……い……」
 悶え苦しむビルシャナの前に、鳳琴と神月、そして枢の3人が並び立った。
「使うしかないか、この力を――!」
 まずは一撃。枢が地獄化した拳で殴り飛ばせば、そこに重ねて鳳琴と神月もまた拳を繰り出す。
「この一撃で、貴方の全てを貫く――! 勝負だっ!」
「知らねーんなら教えてやるヨ、あたしってばサイキョーなんだゼ!」
 全身全霊を込めた、熱く激しい必殺の拳。極限まで収束された二つの力を正面から叩き込まれ、ビルシャナは廃ビルの天井をブチ抜きながら飛んで行く。
「お、おのぉぉぉれぇぇぇっ!!」
 自慢の筋肉を砕かれながら、遠くの空の星と化し消えて行く鳥頭。
「な、なかなかに手ごわい相手、でした……」
 未だ痛む首をさすりながら、アンジェラが安堵の溜息を吐いた。その横では、何故か神月が解放された信者の腕を取り、なにやら逆ナンに勤しんでもいたが。
「皆さんお疲れさまでした。ところで……ここに残ってるトレーニング器具、持って帰っても構いませんかねぇ……?」
 枢は枢で、現場に残ったトレーニング器具に興味津々といった様子だ。そんな中、短時間とはいえ過酷な修行に身を晒した者達を集め、双牙は高らかに宣言した。
「この特訓を耐え抜いた諸君は、どんな困難にも耐える鋼の肉体となった! ……敬礼!」
「サー、イエッサー! これからも弛まず、自己の鍛錬を続けることを誓います、教官!!」

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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