モザイクの魔絵画は歌う

作者:秋津透

「……え?」
 神奈川県海老名市、私鉄駅近くの空中回廊。
 馴染みの場所というわけでもないが、未知の場所でもない。ごく普通に回廊を通り抜けようとしていた神楽火・皇士朗(破天快刀・e00777)は、目の前に奇妙なものを視認してしまい、思わず足をとめた。
 それは、絵。抽象絵画だろうか、モザイク状というかブロック状というか、いくつかの色の塊が描かれた、何だかわからないが妙に人の気をそそる絵が、回廊の手すりに無雑作に立てかけられていた。そして、絵の表題が書かれていたとおぼしきプレートは、黒く乱雑に塗りつぶされている。
「……何かの展示か?」
 周囲を見回した皇士朗は、はっと表情を引き締める。多くの人が縦横に往来している空中回廊から、彼のいる、絵の置いてある周辺だけ、切り取られたように人気がなくなっている。そして、彼の耳元で、ぞわっと総毛だつような、蠱惑的で妖艶な女の声が囁く。
「ねえ、死なない身体になりたくない?」
「この声は、ドリームイーター、ジェーン・ドゥか!」
 片時も手放すことなく所持している武器を手にして、皇士朗は身構える。すると、手すりに立てかけられていた絵が、ふわりと宙に浮いた。

「緊急事態です! 神楽火・皇士朗さんがドリームイーターに襲われる、という予知が得られました! 急いで連絡を取ろうとしたのですが、連絡をつけることが出来ません!」
 ヘリオライダーの高御倉・康が緊張した口調で告げる。
「皇士朗さんは、神奈川県海老名市の駅前空中回廊の一角にいるので、今すぐ全力急行します! 一刻の猶予もありません!」
 そう言って、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「現場はここです。皇士朗さんを襲ってきたドリームイーターは『ジェーン・ドゥ』……正しくは『ジェーン・ドゥの肖像』という名で、モザイクに覆われた抽象絵画のような姿をしています。死を恐れる人を誘惑して、不死の眷属にするタチの悪いデウスエクスですが、皇士朗さんがそんな誘惑に乗るわけがないので、殺すつもりで襲ってきたと見るべきでしょう。ポジションは、おそらくキャスター。使うグラビティは主として歌声で、氷に閉ざす歌、武器を封じる歌、催眠に陥らせる歌を使い、自分の回復だけはモザイクヒールで行うようです。特にタチの悪いのは催眠の歌で、一対一で闘ったら、絶対に勝てないとまでは言いませんが、皇士朗さんの勝ち目は薄いでしょう」
 そして康は、一同を見回して続ける。
「幸いというか何というか、敵は単体で、増援も呼びません。皇士朗さんを殺せば目的を果たして撤収しようとするようですが、そんな真似をさせるわけにはいきません。どうか皇士朗さんを助けて、ドリームイーターを斃し、皆さんも無事に帰ってきてください」
 よろしくお願いします、と、康は深々と頭を下げた。


参加者
神楽火・皇士朗(破天快刀・e00777)
眞山・弘幸(業火拳乱・e03070)
パトリシア・シランス(紅蓮地獄・e10443)
朔夜月・澪歌(ヒトリシズカ・e18093)
四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)
之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)
早乙女・千早(喪失ノスタルジア・e44289)
エリアス・シャルブロート(黄玉の双牙・e65240)

■リプレイ

●序盤の誤算
「ねえ、死なない身体になりたくない?」
「この声は、ドリームイーター、ジェーン・ドゥか!」
 片時も手放すことなく所持している愛刀『千子景光』を手に、神楽火・皇士朗(破天快刀・e00777)は身構える。すると、手すりに立てかけられていた絵が、ふわりと宙に浮いた。
「……この絵が、ドリームイーターの本体なのか?」
 皇士朗が唸ると、高空から真紅のライドキャリバーにまたがったパトリシア・シランス(紅蓮地獄・e10443)が、猛然と降下してくる。
「お行きっ!」
 パトリシアは空中で飛び降り、そのままサーヴァントを突っ込ませる。炎をまとったライドキャリバーに突撃され、怪しい絵画を収めた額縁に火が付く。
「そのまま燃えちゃえば簡単でいいんだけど……さすがにそうはいかないわね」
 何に擬態していようと、仮にもデウスエクスだものね、と苦笑交じりに呟くと、パトリシアは刃のような回し蹴りをドリームイーターに叩き込む。
 続いて、四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)が降下。前衛に命中率上昇の支援を行おうとしたが、まだパトリシアとライドキャリバーしか来ていないことに気づき、ひとまずグラビティの発動を抑える。
「よぉダンナ。喧嘩の手伝いに来たよ」
「ああ、恩に着る」
 皇士朗が応じると、そこへ更に、眞山・弘幸(業火拳乱・e03070)がずしんと地響きを立てて降下する。
「皇士朗には、以前旅団で世話になった。その宿敵が現れたなら、手伝わねぇ訳には行かねぇってな。きっちりとケリをつけようじゃねぇか」
 言い放つと、弘幸は猛然とドリームイーターへと殺到する。
「しかし、絵画に狙われるとは……変わった敵さんだな」
 言いながら、弘幸はドリームイーターに重力蹴りを叩き込む。ばき、と音を立てて絵が割れるが、すぐに元に戻って宙に浮遊する。
 そこへ、急降下してきた之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)が、いきなりオリジナルグラビティ『太陽光に紛れての一撃(タイヨウコウニマギレテノイチゲキ)』を発動させる。
「オンアニチマリシエイソワカ」
 摩利支天の加護を願う呪を唱えながら、しおんは日輪を背負った痛烈な一撃を、ドリームイーターに見舞う。額縁が割れ絵が裂けるが、わずかにモザイクが散ると、再び元の状態に戻る。
 そして、宙に浮いた絵画が震え、そこから不気味な旋律を帯びた歌が流れ出る。歌そのものは周囲に響くが、グラビティの波動は後衛……皇士朗と弘幸の二人を襲う。ディフェンダーポジションのライドキャリバーが飛び出して弘幸を庇うが、皇士朗はまともに攻撃を受ける。
「催眠……呪歌か!」
 痛手を負い、不快な非現実感を覚えながらも、皇士朗はドリームイーターを見据えて叫ぶ。
「かつて、貴様は神楽火一族の者の前に現れて、瀕死の傷を負わせた上で、同じように問いかけたらしいな。同族の者は哀れにも、貴様が邪神の一味と覚れず、甘言に乗って化物にされてしまったようだが、おれはその手には乗らん。死ぬのが怖くないとは言わんが、貴様ら邪神の軍門に下り、地球の敵となるくらいならば、死んだほうがましだ」
 そう言いながら、皇士朗は自分に対して気力を送る。いや、送ったはずが、ダメージは治癒されず、非現実感も解消されない。しかも、ドリームイーターの額縁にまとわりついていた火が消えている。
「あははは! 治癒ありがとう! やっぱりあなたは、わたしの仲間になる宿命なのね!」
「……え?」
 女の声が得意げに笑い、皇士朗は思わず愕然となる。
「お、おれは……何を……」
「催眠の効果で治癒先が狂ったな。だが、気にするな。間違って味方を斬っちまうよりは、敵を癒す方がよほどマシだ」
 落ち着いた口調で、弘幸が告げる。
 そして、降下してきた早乙女・千早(喪失ノスタルジア・e44289)が、意気消沈する皇士朗に告げる。
「催眠を受けているんだね。すぐに解除するよ」
 そう言って、千早は左目から溢れる混沌の水を飛ばし、皇士朗を癒して催眠を解除する。一方、千早のサーヴァント、ビハインドの『凰子さん』は、ドリームイーターにグラビティを籠めた物をぶつけてダメージを与える。
 続いて降下してきた朔夜月・澪歌(ヒトリシズカ・e18093)は、オリジナルグラビティ『ネームレスヘブン』を駆使して皇士朗を大幅に癒し、状態異常耐性を付与する。
「Giustizia mosse il mio alto fattore」
 唱える澪歌の目から流れた涙が地獄の火と化し、皇士朗へと飛ぶ。
 一方、澪歌のサーヴァント、ウイングキャット『ヒナタ』は、弘幸を庇って催眠歌を浴びたライドキャリバーへ清浄な風を送り、傷を癒して状態異常耐性を付与する。
 そして最後に降りてきたエリアス・シャルブロート(黄玉の双牙・e65240)が、皇士朗に向かって叫ぶ。
「皇士郎さん、無事でよかったっす! 微力ながら助太刀するっすよ!!」
 言い放つと、エリアスは皇士朗に向け、愛用の喰霊刀『皇龍丸』から魂のエネルギーを送る。これで皇士朗のダメージのうち回復可能な分は完全に癒され、更に命中率が上昇する。
 そして幽梨が、前衛が全員揃ったのを見定めて、命中率を向上させるオウガ粒子を放つ。これでライドキャリバーのダメージも、回復可能な分はすべて癒された。

●揃えば盤石
「死なない体をくれるなんて、ずいぶん太っ腹なデウスエクスだな! ま、その姿じゃどこが腹なんだかわからないけど!」
 眼鏡を外して鉢巻を締め、気合を入れたエリアスが、いつもの下っ端口調とは明らかに違う、鋭い声で言い放つ。
「死なない身体になりたいなら、いつでも言って。わたしには、人を不死にする力があるの」
 蠱惑的で妖艶な女の声が耳元で囁くが、エリアスは鼻で嗤う。
「死ぬとか死なないとかどうでもいいんだよ! デウスエクスなんかには絶対殺されないって決めてるんだからな!」
「ふふ……殺されないと決めていれば死なずに済めるというなら、世に死ぬ人なんていないでしょうね」
 妙に余裕ありげなドリームイーターの返答に、エリアスは表情を険しくして斬霊刀『帝鳳丸』と喰霊刀『皇龍丸』を振るうが、レベル差のためなかなか当たらない。
 そこへ、パトリシアが降魔の一撃を叩き込む。
「私には、死なない体はくれないの?」
 正直、欲しくもないけど、と続けながら、パトリシアは挑発気味に訊ねる。するとドリームイーターは、素っ気なく答える。
「あげないわ。女には興味はないの」
「へえ」
 かちんと来ないと言ったら嘘になるけど、デウスエクス相手に愛想や斟酌、まして男女平等の対応を要求したところではじまらないわね、と、パトリシアは肩をすくめる。
 すると幽梨が、淡々と告げる。
「男だろうが女だろうが、人はいつか死ぬ。死なない奴は、神か化物か、ともかく人じゃない……私のような人斬りが人でなくなったら、そりゃあ間違いなく化物だろうさ」
 言い放つと、幽梨は日本刀『黒鈴蘭』を振るって、オリジナルグラビティ『斬滅奥義・風花泡沫陣(ザンメツオウギフウカホウマツジン)』を放つ。
「我が身、是空と也……色ぞ風花の如く舞い踊り……泡沫が如く空と為せ……事もあろうに人斬りが……不死身の体を望んだりしちゃいけないね。ああ、いけない……」
「ぎひいっ!」
 ここまで打撃にも斬撃にも炎にも反応を見せなかったドリームイーターが、幽梨の霊剣術で凍りつかされた途端に悲鳴をあげる。
(「氷に弱いのか? 残念ながら、用意はないが」)
 言葉にせず呟くと、弘幸はわざと気を惹くような口調で嘯く。
「死なねぇ身体が欲しいかって? そりゃぁあれば便利だろうな。男にだったら呉れるのかい?」
「ええ、もちろんよ。あなたのような強そうな男が、むざむざ死んでしまうなんてもったいないわ」
 甘やかに応じながら、ドリームイーターは弘幸に近づく。しかし、それより早く弘幸の方が殺到し、オリジナルグラビティ『零距離業火(ゼロレンジインパクト)』を遠慮会釈なく叩き込む。
「だけどよ、終わりがねぇってのはつまらねぇもんだぜ。ケルベロスになった時点で普通の人間より頑丈になった。それで十分さ……てなわけで、避けられるもんなら避けてみな」
「ぎゃあっ!」
 地獄の業火を纏った左脚から、零距離で繰り出す渾身の蹴りをまともに喰らい、ドリームイーターは見事に吹っ飛ぶ。
(「ふん、悲鳴が出たのは弱点だからって話じゃなく、そろそろ参ってきたってことか」)
 声には出さず弘幸が呟くと、ドリームイーターはその推測を裏書きするかのように、自身を激しく揺らして自己回復をかけ、氷と炎を消す。
「おや、見苦しく自己回復を図らないともちませんか。他人に不死を勧めておいて、自分が今にも死にそうとは、どうにもお笑い種ですね」
 容赦なく言い放ち、しおんが刃のような回し蹴りを打ち込む。
 そして皇士朗が、憤怒を籠めて叫ぶ。
「我ら神楽火の一族は地球の守護者。その誓いと誇りを踏みにじった貴様を今度こそ滅ぼしてやる。覚悟しろ、デウスエクス・ジュエルジグラット!」
 咆哮とともに、皇士朗はオリジナルグラビティ『超重滅衝槍(グラビトンインパクトランサー)』を放つ。
「見るがいい。これが貴様達の恐れる神殺しの火だ! 我が魂は刃にして、悪を征する黄金の雷とならん!」
 不覚にも催眠に欺かれ治癒してしまった分、今すぐ利子を付けて返してもらうぞ、と、これは言葉にはせずに続けると、皇士朗は『千子景光』をグラビティ・チェインをまとった光の槍と化して投擲する。
「ぎゃあああっ!」
 ドリームイーターの悲鳴があがり、皇士朗は敵を見据えて唸る。
「やったか?」
「いや……さすがに、まだみたいだよ」
 応じた千早は、女性と間違われたこともある嫋やかな細腕で、重いドラゴニックハンマーを高々と掲げ、オリジナルグラビティ『暴血猟牙(ワイルドブラッドハンティング)』を叩き込む。
「もっと強く、もっと鋭く、もっと……速く!」
 重く鋭い痛烈な一撃が決まり、ドリームイーターは比喩でも誇張でもなく、木っ端微塵に粉砕される。即座にモザイクが散り、飛び散った絵画の破片をまとめて元へ戻すが、その復元の動きは、瞬時に近かったこれまでと比べ、遥かに遅い。
「……もう一押し、やろか?」
 呟くと、澪歌はドリームイーターにびしっと指を突きつけて言い放つ。
「死なない体とか言っても、結局自分の手下が欲しいだけなんやろ? そんなの絶対にお断りや!! 皇士朗さんを殺そうとするデウスエクスなんかには負けへんからな!」
 そう言って澪歌はチェーンソー剣を振るったが、ドリームイーターはふわりと身を躱して避ける。
 続いてエリアスが、オリジナルグラビティ『天蝕瞬星斬(エクリプスストレイトドライブ)』を駆使して突撃する。
「皇龍の哭鳴、死兆闇黒の牙、寂滅の一刀。行くぞ! 我流魔剣エクリプス・ストレイト・ドライブ!」
 飛び込んでくるエリアスを、ドリームイーターは軽くいなして躱そうとするが、瞬間、喰霊刀『皇龍丸』から呪いが噴き出す。渦状に放たれた呪いを躱しきれず、ドリームイーターのモザイク状の絵面が、墨をぶちまけたかのように黒く変わる。
「お……おのれ」
 悲鳴こそ上げなかったものの、ドリームイーターの口調に禍々しさが強く現われ、次の瞬間、攻撃に出る。
 放たれるのは催眠の歌、狙いは最初と同様にケルベロスの後衛……現状、皇士朗、弘幸、澪歌、そして澪歌のサーヴァント、ウイングキャット『ヒナタ』である。
 しかし現状では、最初とはディフェンダーの数が違う。最初からいるパトリシアのサーヴァント、紅のライドキャリバーに加え、千早、エリアス、千早のサーヴァントであるビハインドの『凰子さん』の四名だ。
 そして、皇士朗をエリアス、弘幸を千早、澪歌を『凰子さん』が庇い、『ヒナタ』を紅のライドキャリバーが庇う。むろん、庇った側はダメージを受けるが、ディフェンダーのポジション効果で半減され、更にディフェンダーは全員、既に状態異常耐性を付与されているので、催眠で惑わされることはない。
「同じ手に二度、同じようにやられるほど、ケルベロスは甘くないわよ」
 言い放って、パトリシアがオリジナルグラビティ『紅蓮地獄(グレンジゴク)』を放つ。武器として装備はしていないが、このグラビティのために携える愛用のリボルバー銃から焔の魔力をこめた弾丸を発射する。
「燃え上がれ、悲しみを焼き尽くせ」
「ぎゃあああああっ!」
 パトリシアが呟き、ドリームイーターの全身が炎に包まれる。すかさず幽梨が空の霊力でドリームイーターを両断、炎の勢いをいや増す。
「やったか?」
「いや、ドリームイーターは死ねば溶け消える。ああやって燃えてるってことは、まだ生きてるってことだ」
 冷静に告げると、弘幸はドリームイーターに仕掛けた爆弾を遠隔爆破する。どぉんと轟音があがり絵の半ばが欠けるが、まだ溶け散るには至らない。
「……しぶといですね」
 呟いたしおんが、皇士朗へと告げる。
「神楽火さん、あなたの宿敵でしょう? やってしまってください」
「わかった、ありがとう!」
 応じると、皇士朗は二本の日本刀を両手に構える。
「我ら一族と貴様の因縁、ここで断ち斬る!」
 言い放つと、皇士朗は気合一閃、二本の刀を振り下ろす。一見、何もない空間を斬ったように見えるが、斬られた空間はグラビティの効果で波及し、ドリームイーターを空間ごと切断する。
「ぎゃあああああああああああああっ!」
 断末魔の絶叫があがり、炎に覆われたドリームイーターが砕け散る。燃え上がるモザイクが舞い散るが、すぐに空間に溶け、周囲には何も残らない。
「おっと!」
 その時、ドリームイーターの消滅により人払い効果が消え、ケルベロスたちの周囲に人波が殺到しそうになったが、幽梨とエリアスが殺界形成を行い、人の流れを遠ざける。
 一方、焼け焦げや爆砕の痕跡を、澪歌としおんがヒールで修繕する。
 そして皇士朗は刀を収めると、一同に向かって告げた。
「皆、来てくれてありがとう。よければこの後一服どうだ? 美味いケーキの店が近くにあるらしい。元はと言えばそれが目的でな」
「イヤッホウ!」
 エリアスが頓狂な声をあげ、一同、歓声をあげる。
 その中で、そそくさと去ろうとした幽梨の袖を、澪歌としおんがぐいと掴む。
「つれないなぁ、幽梨はん、ケーキとか甘いもんは好かへんの?」
「そんなことは……ないけど」
 戦闘中のニヒルな人斬りの顔とは一転し、幽梨はもにょもにょとした口調で困ったように応じる。
「ならば、ご一緒しましょう。それとも、何かお急ぎですか?」
「そんなことは……ないけど」
 もにょもにょ言いながら、困り顔の幽梨は澪歌としおんに掴まれて、皇士朗を先頭とする一同の後に続いた。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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