●クロム・レック決戦~拠を張りて
「皆さん、集まって頂けましたね。では、早速ですが説明させて戴きます」
と、セリカ・リュミエールは、集まったケルベロスらに一礼すると早速。
「先ほど、クロム・レック・ファクトリアの探索に向かって居たケルベロスの皆さんが帰還しました。2人のケルベロスの方が暴走し、敵の追撃を食い止めての撤退という……中々に厳しい結果とはなりましたが、得られた情報は非常に価値の高い物となりました」
「先ず、伊豆諸島海底部の海底熱水鉱床。ここで多くの資源がダモクレス勢力によって奪われていた事が判明したのです。この採掘を行ったのが『クロム・レック・ファクトリア』で、その護衛として、ディザスター・キング率いるディザスター軍団の姿がありました」
「ディザスター・キングが直接防衛指揮を執っている事からも、『クロム・レック・ファクトリア』がダモクレス全軍にとって重要な役割を果たしている事に間違いはないでしょう」
「更に、伊豆諸島海底部にはもう一基の拠点ダモクレスの『バックヤード』の姿も確認されています。この詳細は不明ですが、巨大な『環状の門』の様な形状から『魔空回廊を利用し、採掘した資源の輸送を担当している』ものと考えられます」
「バックヤード側の戦力は、巨大な腕型ダモクレスが確認されており、指揮官として『五大巧』という、恐らく五体の強大なダモクレスが存在している様です」
「クロム・レック・ファクトリアが採掘した資源量は膨大で、大凡『ここ数年のダモクレスの侵略に必要な資源』の過半は、ここで採掘されたと考えて間違いないでしょう……つまり、クロム・レック・ファクトリアの撃破に成功すれば、ダモクレスへの打撃は非常に大きな物、となる筈です」
「私達ケルベロスにより拠点の場所を暴かれたダモクレス勢力は、『クロム・レック・ファクトリア』の移動準備をはじめたようです。遅くとも一週間以内に、移動準備の整った『クロム・レック・ファクトリア』は、伊豆諸島海底部から姿を消してしまうでしょう。そして彼らが移動してしまえば、大きな犠牲を払い手に入れた情報が無駄になってしまいます。そうしない為にも『クロム・レック・ファクトリア』が移動する前煮、短期決戦で撃破する必要があるのです」
「クロム・レック・ファクトリアを破壊するには、内部に潜入しディザスター軍団の防衛網を突破、ファクトリア中枢へと侵入し、ディザスター・キングの守る中枢部の破壊が必要です。ダモクレス側も、皆さんの襲撃を撃退すれば、撤退までの時間が稼げるとし、決死の防衛を行って来るものと思われますので、激戦は必至です。危険な作戦には変わりありませんが、皆さんの力を貸して頂きたいのです」
「ちなみに、クロム・レック・ファクトリアの外周部には29箇所の資源搬入口があり、そこより内部に潜入する事が可能です」
「しかし、全ての搬入口が中枢へと続いている訳ではありません。特定の突入口からのみの突入は避けなければなりません」
「ディザスター・キングは敢て、中枢に繋がる搬入口と、それ以外の搬入口の警備を等しくし、ケルベロスの戦力を分散させようという作戦を採っています。警備の様子などから予測するのは難しいでしょう」
「又、中枢に繋がる搬入口以外にも、ディザスター軍団のダモクレスによって固く守られている為、敵を撃破し実際に探索してみるまでは、その搬入口が中枢に続いているかどうかを確認する事も出来ません」
「複数チームが一つの搬入口から進行した場合は、進行時の安全性が向上しますが、その搬入口が中枢へと続いていなかった場合、ディザスター・キングとの戦いに参加出来る戦力が低下する弊害があります」
「又、クロム・レック・ファクトリア内部には、ディザスター軍団のダモクレスの防衛部隊が展開しており、彼らは隠し部屋を利用しての待ち伏せなど、奇襲攻撃を行う事により、少ない戦力でケルベロスを消耗させる作戦を仕掛けた上、最奥となる場所に有力な戦力を集め、ケルベロスの撃破を狙います」
「対抗するには、敵の奇襲を察知し素早く撃破し、道中の消耗を避けつつ、有力ダモクレスとの決戦に勝利する事が重要です」
「この決戦に勝利し、通路が中枢へと繋がっていた場合には、ディザスター・キングとの決戦が続く事になるでしょう。その場合は、中枢に到達した全てのチームが協力して戦う事になります」
「尚、今回の作戦では『バックヤード』の攻撃も可能です。ただバックヤードに戦力を投入した場合、クロム・レック・ファクトリアの撃破が難しくなるので、考慮する必要があります」
「バックヤードは『二体の巨大腕型ダモクレス』に護衛されており、バックヤード内部に取りつく為には巨大腕型ダモクレスと戦う2チームと、バックヤード内部の探索を行う1チームの、合計3チーム以上がバックヤードへの攻撃を行わないと、内部情報を得る事も出来ません」
「また、バックヤードには『探索活動中に暴走した2人のケルベロスが捕縛されている』可能性が高く、探索に成功すれば、捉えられていたケルベロスの救出も可能かもしれません」
そして最後にセリカは。
「今回の作戦に成功すれば、ダモクレスの侵略にも大きな打撃を与えられる筈です。皆さん……宜しくお願いします」
と、深く頭を下げるのであった。
参加者 | |
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松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374) |
アルディマ・アルシャーヴィン(リェーズヴィエ・e01880) |
皇・絶華(影月・e04491) |
風魔・遊鬼(風鎖・e08021) |
湊弐・響(真鍮の戦闘支援妖精・e37129) |
中村・憐(生きてるだけで丸儲け・e42329) |
ナイン・クローバー(アーティフィシャルローズ・e51019) |
デュオゼルガ・フェーリル(月をも砕く蒼狼拳士・e61862) |
●温い水の下
伊豆諸島海底部に存在する、海底熱水鉱床。
そこに存在し、ディザスター・キングの直接指揮の下、『クロム・レック・ファクトリア』によって行われている資源奪取作戦。
そんな資源奪取をする『クロム・レック・ファクトリア』を討ち倒す事……それが、今回ケルベロス達に課せられた依頼。
「うーん……敵の秘密基地破壊作戦だなんて、ワクワクするっすね♪」
でも、その緊迫した状況とは真逆に、笑顔で拳を握りしめる中村・憐(生きてるだけで丸儲け・e42329)。
彼の物事に動じぬ雰囲気に、皇・絶華(影月・e04491)が。
「……お前、緊張もしていないのか?」
と問うと、憐は。
「勿論緊張してるッスよ? あの強力なディザスターキングを倒さないと行けないんッスからね!」
「……そうか」
恐らく、いつもよりは緊張しているであろう憐に、絶華は肩を竦める。
……そんな憐を見ながら、湊弐・響(真鍮の戦闘支援妖精・e37129)ナイン・クローバー(アーティフィシャルローズ・e51019)、デュオゼルガ・フェーリル(月をも砕く蒼狼拳士・e61862)の三人も。
「……敵の重要拠点の攻略……非才の身に余る任務かも知れません……いえ、これは武者震いですわ。『No Attack No Chance』。必ずやお役に立って見せますもの」
「ええ。今の私は人類のために戦うケルベロス。何があってもこの基地への攻略を必ずや成功させます」
「ああ。他班と共闘し、ディザスター・キングの撃破、と……なんとしてもここで撃破したいところだぜ! どこかのチームと合流出来たりすればいいんだがな……」
と、その言葉に対し松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)は。
「確かに、な。合流出来れば、多少なりとも戦闘は有利に進められるだろう。でも、進入口は29箇所……何処にも防衛戦が敷かれていて、外からは正解が分からないようになっている、と。敵は中々頭が回る様だな」
と言うと、それにアルディマ・アルシャーヴィン(リェーズヴィエ・e01880)が。
「ああ……ディザスターキング。直接関わるのは初めてだが、以前やつが率いるダモクレスとの戦いでは苦汁を舐める事になったからな……ここで借りを返すとしよう」
強い決意を口にするアルディマ、そしてデュオゼルガも。
「そうだな、俺もまだどこか、このハンマーの使い方にゃ慣れねぇけど……このために特訓したんだ! 必ず使いこなしてみせるぜ……!」
そして風魔・遊鬼(風鎖・e08021)は。
「良し……では行くぞ。自分達の担当は、ここだ」
ターゲットとなった、29番目の搬入口を指し示す。
そしてケルベロス達は、そこに向けて降下するのである。
●影と水に
29番目の搬入口へと降りしケルベロス達……目前には、戦闘用ライドロイドと、クリソベリル・パンツァーの一隊。
無論、ケルベロス達の迎撃を指示されし彼らは、現れた敵対者を排除する為の実力行使へと稼働を始める。
「余りお前達だけに時間を掛ける訳には行かないのでな……全力で行くぞ」
と、流れる様にスターゲイザーの一蹴を畳みかける絶華。
更に連携しての憐が稲妻突きを撃ち抜き、一番前方に立つライドロイドを先ずは討伐。
ただ、それに怯むような素振りを見せないダモクレス。
「皆さん、宜しくお願いします」
と最後衛の響は一度眼を閉じ。
「……さあ行きなさい、踊りなさい。私の奏でるワルツと共に!」
と降りしケルベロスに、【妖精砲手の飛翔】にて、壊アップ効果を付与。
対し、敵陣の動きは先ず、クリソベリルが後方から射撃。
更にライドロイドが前へ進み出て、殴りつける。
でも、その攻撃はデュオゼルガのオルトロスのラゴゥがカバー。
「癒します」
とすぐにナインがサークリットチェインによる回復と盾アップを付与。
更に丈志も重ねてのサークリットチェインで前衛列の防御力を強化し、壁となる。
そして敵陣の攻撃が一巡した後の隙を突いて、遊鬼が螺旋氷縛波。
更にアルディマが猟犬縛鎖で縛り上げ、デュオゼルガのスターゲイザー。
その猛攻に、更にライドロイド一隊が討ち取られる。
……1刻間に2体が崩壊する様な状況。
しかしダモクレスの機械の身体は、怯むような事は無い。
次の刻となるも、ダモクレスは黙々と、ケルベロスを仕留める事だけに動き、武器を振るう。
……そんなダモクレスの攻撃に丈志は。
「ほら、少し落ち着こうぜ、な」
と宥めるような言葉を投げかけつつ、縛霊撃を撃つ。
そして憐が。
「お役目ごくろうさんっすね。ですが、一気に押し通るっす!」
ケルベロスビームを目から射出、己が目にダメージを食らいながら後ろのクリソベリルにダメージを与えていく。
そして絶華はグラインドファイアで火をつけ、ナインのマルチプルミサイルと続く。
一方でダモクレス達の攻撃は、ラゴゥが素早く動き回り、決して後方へとその攻撃を通さない。
そして、前衛陣が一巡した後に、遊鬼が。
「触れれば爆けるが鬼の腕」
【風魔式斬撃術『爆魔』】にて、棒苦無をその身体で爆破させる。
そして、アルディマの轟竜砲に、デュオゼルガの轟竜砲、更に響が戦術超鋼拳を立て続けに放ち、更に一隊を討伐。
……その後も、攻撃を一身体に集中させる事により、確実に一体ずつを仕留めていく。
そして、経過する事数分。
目前に立ち塞がりしダモクレスを全て討ち取り、搬入口29の守りは失われる。
「さあ、突撃するぞ」
と絶華の言葉に頷き、ケルベロス達は一斉に突撃。
……狭い通路、所々に遮蔽物があり、見通しは悪い。
「見通しが悪いな……不意撃ちに要注意か」
「そうだな。ただ余り時間を掛ける事も出来ない、大胆かつ慎重に行くまでだ」
「ええ、了解しました」
とデュオゼルガに丈志とナインが頷き、その狭い進路を進軍開始。
途中の分かれ道は、テープをその壁に貼り付けた上で進路を進む。
行き止まりに至れば、その道を引き返し、別れ道に×を記す様にテープを貼り加える。
ただ、テープでは剥がれてしまう可能性もある……という事で遊鬼は、その下にペンキを使い、書き加える。
そして、道に迷わぬ様に進路を取り、奥へと進む……と。
「……!」
……分かれ道から、不意に襲いかかるダモクレス防衛隊。
先ほどのクリソベリル・パンツァーに加え、モルガナイト・アサルトと、一際強いオーラを放つカーボナード・コマンダー。
その3種が一小隊となり、ケルベロスへの奇襲の一撃。
流石に不意打ちには完全なる対処は難しく、ラゴゥの他、絶華とアルディマにも一閃は命中。
流石には無視出来ない強烈な一閃を喰らってしまう。
すぐに響が『妖精砲手の飛翔』の回復を飛ばすも、それだけでは不足……ナインと丈志がサークリットチェインを重ね、戦線を維持。
回復を受けつつ、絶華は敢てダモクレスとの間合いを詰め。
「しっかりと警戒はしていたが……それでも一手……一手足りなかったな。私達の力量と執念を見切る一手がな!」
勢いと共に絶空斬の一閃を放ち、更に憐の御霊殲滅砲。
更に遊鬼がサイコフォースを撃ち、続くアルディマが。
「受け継ぎし魂の炎を今此処に! 竜の火よ、不死なる神をも灼き払え!」
と『ムラデンの火』で追撃のドラゴンブレス、そしてデュオゼルガは。
「捕まえた……! この『月下の人狼』から逃げられると思うなッ!」
『崩月・狼牙衝波吼』が放たれ、カーボナード・コマンダーに強烈な一閃。
……その一閃に、ダモクレスは反発し、更なる攻勢を取っていく。
怯む事無き戦闘人形達は、ケルベロスへの攻撃を継続。
ダモクレスの猛攻をどうにか受け流しながら、少しずつ、少しずつ、その体力を削る。
そして、丈志が。
「さあ、狩りの時間だ」
と『Bullet of Owl Ver.2』の銃撃で、一番削れていたダモクレスを打ち抜く。
仕留めし一体が、跡形もなく完全に崩壊。
そして……残りし一体に遊鬼が。
「……」
無言で視線の合図、そして彼は絶空斬を、ダモクレスの腕へ叩きつける。
そして、絶華は遊鬼の動きに頷き。
「我が身……唯一つの凶獣なり……四凶門……開門……! ……ぐ……ガァアアアアア!!!』
咆吼と共に唸り、『四門「窮奇」』の斬撃を喰らわせる。
そして、憐のゲイボルグ投擲法が、その身を一刀両断。
護りしダモクレスを仕留め、その全てを討ち倒すのであった。
●望みし涙に
……そして、ディザスター軍団の強力な一隊を敵を倒し、更に道を進み、暫し経過した、その時。
突如、響き渡る衝撃音……そして、不意に始まる、クロム・レック・ファクトリアの崩壊。
「っ……急げ、撤退だ!」
崩壊の中、通路へと付けていた印を元に、外へと急ぎ脱出する……そして、ギリギリの所で全員、脱出。
「ふぅ……ギリギリでしたわね」
と、冷や汗を拭う響に、憐も。
「そうッスねぇ……どうにか皆無事に帰って来れた様で良かったッス。取りあえず……クロム・レック・ファクトリアは破壊出来た、という事の様ッスね」
僅かに引きつりながらも、笑みを見せる。
……周りを見れば、同様に、突如の崩壊の中、脱出出来た仲間達の姿。
そして、そんな仲間達から、無事にディザスター・キングを撃破した事を知らされると……ふぅ、と再度大きく息を吐く。
「作戦成功、ですわね……ミュゲットさんは、最後まで背を向けずに勇敢に戦いました。私だって……」
瞑目し、唇を噛みしめる響。
その言葉へ、デュオゼルガは。
「……取りあえず、これでディザスター・キングは撃破で一安心か。今後、どうダモクレスが動くかは分からないがな」
「ええ……次は相手の出方次第、といった所でしょう」
こくりと頷くナイン。
……そして丈志が。
「取りあえず、一旦戻ろう。何かあるかもしれないしね」
と仲間達を促す。
そして……ケルベロス達は、周りの仲間達と共に、激戦の跡の海底熱水鉱床から、離脱していくのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年11月7日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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