クロム・レック決戦~海深く貪る基地を砕け

作者:六堂ぱるな

●水底の略奪者
 集まったケルベロスへ、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は焦った表情でぴょこぴょこ跳ねながら説明を始めた。
「みんなの苦労が実を結んで、伊豆諸島海底部の海底熱水鉱床から、多くの資源がダモクレス勢力に奪われていた事がわかったのですよ!」
 採掘を行っているのが『クロム・レック・ファクトリア』。その護衛についているのが、ディザスター・キングの率いるディザスター軍団だった。ディザスター・キング自身が指揮を執っている以上、『クロム・レック・ファクトリア』はダモクレス全体にとって重要な役割を担っているに違いない。
 実際にクロム・レック・ファクトリアが採掘した資源は膨大な量で、この数年のダモクレスによる侵略に必要な資源の大方は、ここで採掘されたと思われる。
「それにこの伊豆諸島海底には、もう一基の拠点ダモクレスの『バックヤード』もいたのです。しかもすごく大きな腕型のダモクレスが護衛についているのですよ」
 バックヤードは巨大な『環状の門』のような形状をしているので、魔空回廊を利用して採掘した資源を送っていると考えられる。そしてバックヤードの指揮官として、『五大巧』という5体の強大なダモクレスが存在しているらしい。
「つまりですね。クロム・レック・ファクトリアを撃破できれば、ダモクレス勢力にとっても大きな打撃を与えられるということなのです!」
 拠点の場所をケルベロスに知られたクロム・レック・ファクトリアは移動準備を始めている。一週間もあれば姿を消してしまうだろう。その前に撃破しなければならない。

 クロム・レック・ファクトリアを破壊するには、まず内部に潜入してディザスター軍団の防衛網を突破し、ファクトリア中枢に侵入してディザスター・キングの守る中枢部を破壊しなければならない。
「もちろんダモクレスも、みんなを撃退すれば撤退する時間が稼げるって、思っているのです。だからすごく激しい戦いになるって思うんですけど……力を貸してください!」
 クロム・レック・ファクトリアの外周には29箇所の資源搬入口があるので、そこから内部に潜入できる。しかし全ての搬入口が中枢まで続いているわけではない。
「ディザスター・キングはわざと、全部の搬入口の警備を同じぐらいにしてるみたいです。だから警備の様子からは、中枢まで繋がる搬入口がどれか判断がつかないのですよ」
 複数のチームがひとつの搬入口から侵攻すれば、ケルベロスの安全性は向上する。
 だがその搬入口が中枢まで繋がっていなかったら、ディザスター・キングとの戦いに参加できる戦力が低下してしまう。
 クロム・レック・ファクトリアの内部には、ディザスター軍団のダモクレスの防衛部隊が展開している。ケルベロスに待ち伏せなどで奇襲をしかけて消耗させた上で、最奥に強力な戦力を集めて撃破を狙ってくるだろう。
 この奇襲を素早く撃破して消耗を避け、奥の戦力との戦いに勝たねばならない。この戦いの後で搬入口を探索し、中枢まで繋がっていた場合、中枢まで到達した全てのチームでディザスター・キングと決戦することになる。
 そこまで説明して、ねむはちょっと落ち着かない顔になった。
「あとですね、今回は『バックヤード』にも攻撃できます。でもそちらに戦力を割くと、クロム・レック・ファクトリアの撃破に支障が出るかもしれないのですよ」
 バックヤードは二本の巨大な腕型のダモクレスに護衛されている。内部を探索するには、護衛の腕型ダモクレスと戦う2チームと、バックヤードの内部を探索する1チームの最低3チームが必要となるのだ。
「それで、バックヤードには、今回の探索活動中に暴走したお二人が捕まっている可能性が高いのです。探索に成功したら、お二人の救出ができるかもしれなくて」
 聞き流すことのできない情報だ。探索に必要なチーム数、ディザスター・キングとの決戦、それに暴走した仲間の救出……考えなくてはならないことが随分と多い。
「でも、みんなの判断を信じているのです」
 気を取り直したように笑顔になって、ねむは小さな拳をぎゅっと固めて声をあげた。
「きっとダモクレスの侵略に打撃を与えられますよ。ねむも頑張りますね!」


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
アリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)
シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
ティユ・キューブ(虹星・e21021)
草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)

■リプレイ

●貪食の機構
 暗い海の中に浮かび上がる威容に、誰もが一瞬見入る。ダモクレスの巨大基地、クロム・レック・ファクトリアと、少し離れて佇むようなバックヤード。
 ここへ来るのは二度目、言い尽くせぬ想いを抱えたアリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)が唇を噛んでいる。傍らへ泳ぎ寄った幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)が、ハンドサインで語りかけた。
『行きましょう。私たちもついています』
(「秘密基地ってなんだかわくわくする響きですよね」)
 基地を興味深げに眺めながら考えていたカルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)が、やや先行する形で泳ぎ始める。後には彼と斥候を担当するシル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)が、元気いっぱいに続いた。
 めざすは6番搬入口。光も届かないこの水深の海水は冷たいはずだが、海底熱水鉱床が近い為に実に熱い。断熱性の高いつなぎを身につけていても実感して、草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)がついた息は泡となって上がっていった。
(「皆さんの頑張りでたどり着いたダモクレスの一大工場……。此処で仕留めないわけには行きませんね!」)
 桜の花が咲く髪を海水に乱されながら、イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)は決意を新たにした。近づくとクロム・レック・ファクトリアの並外れた大きさを実感する。
 ペルルの収まった箱を抱え、ティユ・キューブ(虹星・e21021)はぽっかりと開いた搬入口へ向かって海水を掻いた。
 辺りには他の搬入口へ向かうケルベロスたちの姿も見える。基地の中枢まで到達しディザスター・キングを倒す、その一班となるだろうか。然したる苦労もせず泳ぎ切ったリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)は、仲間に続いて搬入口へ飛び込んだ。

 入ってみると6番搬入口は90度曲がって、水面があり、まるで潜水艦のドックのように空気のある通路が奥へ続いていた。搬入口の名に相応しく広いスペースが確保されている。先行したカルナとシルが仲間に手を貸し、通路へ引き上げた。
「これが……ファクトリアの内部……」
 わずかに目を瞠ったアリスが辺りを見回すと、幼げな顔に決意を漲らせた。
「みんなで頑張って突き止めた基地です……あのお二人の為にも……必ず破壊しなきゃ……!」
「ダモクレスの基地、ここで逃がしたらまた被害が拡がっちゃうもん。だから絶対絶対逃がさないよ!」
 無表情ながら戦意に溢れたリリエッタの言葉に、カルナがおっとりと笑って頷いた。
「では、敵の思惑ごと破壊しにいきましょうか」

●敵地の彷徨
 既にここは敵地、一行は隊列を組み慎重に進むことにした。
 通路のややこしさが尋常ではないが、進入時に搬入口からアリアドネの糸を使っているから、迷う心配だけはない。ティユが細かくマッピングをしていることも心強い点だった。今までのところ隠された部屋や怪しげなスペースは見つからない。
「シルさん、カルナさん、お疲れさまです。少し休みますか?」
 蹴り倒したダモクレスが動かなくなったのを確認して振り返った鳳琴に、イリスに傷を治療して貰いながらシルが笑顔で応えた。
「大変だけど、琴ちゃんがいるからわたしは平気っ。それに、頼れるみんながいるからねっ!」
 と言うのも、探索においてはシルとカルナが斥候を買って出ていたわけで。隠された扉や通路がないかを綿密に調べつつ、敵の出現に備えて互いに死角をカバーし合う隠密行動は少なからず神経を蝕む。見つけ次第カメラやセンサーを破壊し、移動中はハンドサインを徹底しているのだが、頻繁にダモクレスも現れていた。そもそもの数が多いのだろう。
「結構感知されないように備えてきたのにね」
 ため息をつくひかりは温感・光学センサー等の感知防止につなぎを着て来たのだが、胸元がはだけ気味で目の毒なほどの豊かな胸がちらちらしている。
 元世界チャンピオンであり高名なプロレス団体を経営する彼女は、人がいれば騒ぎになること間違いなしだ。問題があるとすれば、ここにはプロレスを知らないダモクレスしか存在せず――最大の問題は戦闘スタイル的にも燃える敵が少ないあたりか。
 と、殿を受け持つペルルが警告の声をあげた。戦闘態勢を整える間に、ばらばらとダモクレスが姿を現す。今度はカーボナード・コマンダーが配下を引き連れてきたようだ。
『侵入者発見。殲滅セヨ』
「むぅ……邪魔だよ。リリ達は先を急いでるんだよ」
 ぷくりと頬を膨らませて言うでもなく、表情だけは淡々とリリエッタは構えた。尚も地図とにらめっこをしていたティユが顔をあげ、仲間に請け合う。
「でも大丈夫。今までのところ搬入口からは一本道で間違いないよ。何かあるとしてもこの先だからね」
「ありがとうございます、ティユさん。それでは確実に一体ずつ倒していきましょうか」
 淑やかに微笑んだイリスの翼が光を帯び、刀にも輝きが集まり始める。敵するものの時間に干渉するグラビティの発現だ。
「皆若いなぁ……」
 疲れた様子も見せずに年若い仲間たちがダモクレスを相手どる姿に、誰よりも前に出つつも、ひかりは思わず呟いたのだった。

●行き着いた先
 幾つものトラップと奇襲をくぐり抜け、悉くを撃破した一行はやがて、それ以上先のない部屋へと辿りついた。そしてそこで待ち受けていたようにも見える敵は。
『貴様ラニハ此処ヨリ先ハナイ』
「ディザスター・ビショップですか。なかなかの強敵ですね」
 鳳琴が素早く構えを取る。敵はディザスター・ビショップだけでなく、ポーンも2体従えていた。機体は白ベースに紫と、以前資料で見たものとは違うカラーリングだ。
「こっちは当たり? とりあえず、倒してみればわかるよね」
 リリエッタの問いにビショップが応えることはなく、肩に搭載した砲台が起動する音がした。まとうオウガメタルに意思を伝えつつ、イリスが宣言する。
「銀天のイリス―――参ります!」
 途端に前衛たちを輝く光の粒が包み、超感覚を研ぎ澄ませた。ひかりも『Chain Death Match!!』を床に展開して守護陣を展開する。
 狙いは前衛たち、ビショップのレーザーが攻撃力を封じようと乱射された。構わず同じく前衛を務めるポーンの一体へ、鳳琴とシルが呼吸を合わせて壁を駆け、同時に星が落ちるような蹴撃を食らわせる。お返しとばかりにポーンが鳳琴を狙ったが、それはひかりが割って入って庇いきった。
 少し後方に位置するポーンは胴をぱかりと展開し、前衛たちを爆発で吹き飛ばそうとミサイルを撃ち放つ。前衛を守ったペルルがブレスを吐いて寄せ付けない間に、ティユはオーラでひかりのダメージを癒した。
「穿て、幻魔の剣よ」
 カルナが死角から神速で踏み込む。穏やかな口調からは想像もしえないテンポでビショップに躱す術がない。高密度の魔力が集中し、斬撃は修復を拒む傷となる。
 仲間をバステから守るため、祈るアリスの髪に白い薔薇が咲いた。その名も『ロイヤル・プリンセス』、幻のように辺りには女王の庭園が広がる。
「お願い……白い薔薇さん達、女王様に染められる前に、みんなを癒して……」
 仲間を守り癒す薔薇の園の中で、リリエッタが巨大な水鉄砲で自身の足元を狙う。
「地より這い上る闇の鎖よ、リリの敵を締め上げろ!」
 魔力を込めた弾丸は地中を疾り、ポーンを囲んで闇の鎖となり絞めあげた。ぎしりと音を立てて絡みつく鎖を何とか振りほどき、上腕部を展開したポーンがミサイルを乱れ撃ちする。しかしもう、体力の3割以上を喪っていた。
 多少の疲弊など戦いの趨勢に影響しない。敵の足を潰し仲間の攻撃力を底上げする戦法は短期決戦の最適解だった。ものの数分で庇い手のポーンはぎくしゃくと、定まらぬ動きになっている。
 『Chain Death Match!!』を今度は攻撃の為に操り、ひかりは不敵な笑みを浮かべた。
「正統派プロレスラーも凶器攻撃の一つや二つは“嗜み”なんだよ!」
 マッチでも愛用する鎖が流れるように疾る。絞めあげ縛められたポーンが反撃の為にドリルへ変えた腕で突きかかった、が。
 爆発的な瞬発力で豊かな胸を揺らして踏み込んだ腕が、ダモクレスを捉える。アテナ・パニッシャーの名を冠するラリアットは、ポーンの首をへし折り頭を吹き飛ばした。
「天から降りた女神の断罪の斧に、断ち切れないもの、打ち砕けないものなんて、存在しないよっ!!」
 これで一体粉砕。傷が残るひかりのために、アリスが【Eat Me!】リングから光の盾を具現化して彼女にまとわせる。

 次なる標的はジャマーのポーン。鳳琴とシルが連携して挑みかかる。
「貫け! 私のグラビティッ!」
 音速を超える拳撃はノーダメージだったポーンに手痛い打撃を食らわせた。もちろんシルフィード・シューズを駆って宙を舞ったシルの蹴り下ろしも追撃で入る。
 ティユの撒く紙兵はひらひらと舞う星の輝きのようで、仲間を蝕む麻痺やプレッシャーを次々に打ち破り傷を癒していった。相棒のペルルがブレスを吐いてポーンのダメージを更に拡大する。
 ジャマーのポーンを仲間が相手どっている間、ビショップの相手を一手に引き受けていたカルナが手にしたドラゴニックハンマーを砲弾形態へ変えた。
「攻撃は最大の防御と言いますし。出し惜しみは無しでいきますよ」
 無造作にすら見える砲撃がビショップの腹部装甲を叩き割る。イリスの握るナイフが歪に変形し、傷口を開くように切りつけた。亀裂が広がり神経系が引き裂かれ、ダメージは深く刻みつけられる。
「ほらほら、こっちだよ。リリが遊んであげる」
 弄うようなリリエッタの口調に誘われて追ったポーンが、電光石火の蹴撃を駆動部に受けて震撼した。
 そうしてわずかに二分。
『計測トノ相違アリ。撃破困難』
 どこか濁った音声でポーンが兵装を全開放したが、放ったミサイルはケルベロスを――鳳琴を捉えられなかった。
「心持たぬダモクレスに私達は止められません!」
 まして今、最愛の人と共に戦っているのだから。
「いくよ、琴ちゃん!」
「……あわせます!」
 しなやかな脚を輝く龍のグラビティが彩る。踏み込みは背に魔力の翼を展開するシルの詠唱に合わせて一拍おいて。
「いざ、今が紅蓮の魂を燃やす時。輝け! 私のグラビティ。我が敵を――砕け!」
「六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 シルの魔力は巨大な砲撃となってビショップを撃ち抜き、身動きならないボディを鳳琴の蹴りが叩きのめした。堪えきれず体勢を崩したところへ追い討ちの砲撃が貫通する。
 ポーンは大爆発を起こして動かなくなった。
「光よ、彼の敵を縛り断ち斬る刃と為せ! 銀天剣・零の斬!!」
 イリスの翼と刀が光を放つ。輝きは何条もの鮮やかな軌跡を残してビショップを切り刻み、四肢の電気信号を麻痺させる。動きの鈍った敵めがけ滑るように距離を詰めたひかりが、炎を帯びた黒革のリングシューズでフライングニーを食らわせた。
「さてその先、確かめさせて貰うよ」
 ティユの高速演算が弱点を算出し、光の尾をひいて疾った星がビショップの腰部駆動点を撃ち抜く。ふらつくダモクレスにペルルが封印箱ごと体当たりした。
『脚部信号途絶。修復不能、60%』
「ディザスター軍団さん……貴方達の企みは……阻止します!」
 理力のオーラを集めながらアリスが告げる。リボンや羽根で可愛らしく装われたブーツが星の形のオーラをしたたか胸部装甲へ蹴りこんだ。ばきりと音をたてて白い装甲に走った亀裂へ食い込むのは、リリエッタの視認も許さない斬撃。
 動きが鈍れば狙撃手の狙いが定まるのも必然。カルナの魔力を圧縮した不可視の剣は、ビショップの装甲を紙のように深々と斬り裂いて動力核にまで突き立った。
「こそ泥みたいな真似をする輩は、ここで全員お縄についてもらいますね」
『不覚……!』
 そのまま一閃。
 真っ二つに斬り捨てられたダモクレスは異音をたてて火花を散らし、次の瞬間華々しい光を放って爆発した。

●砕け去れ
 全てのダモクレスが爆発四散すると、アリスとティユがすぐさま仲間の治療を始めた。目の前に立ち塞がる壁を調査したイリスが首を振る。
「このルートは中枢まで繋がっていないようです」
「うーん、残念……だけど、ディザスター・キングはみんなが倒してくれるよね」
「ええ、きっと」
 いささか落胆した面持ちのシルを、鳳琴が苦笑しつつも慰めた。
 地響きが感じられるのは成功の証なのだろうか。手当てを済ませて、今度は一気に搬入口目指して移動を始める。振動は徐々に大きくなり、6番搬入口に辿りつくころには大きな爆発音すら聞こえてきた。
 再び伊豆の海へ泳ぎ出せば、砕けつつある搬入口のあちこちからケルベロスが脱出してくるのが見える。 重い疲労を感じながらもアリスが考えたのは、先の作戦で暴走し行方のわからない二人のことで。彼方のバックヤードからもケルベロスの影が現れるのを、胸騒ぐ想いで眺める。
(「あのお二人は……助けられたのでしょうか……?」)
 不安げなアリスをの肩を、想いは痛いほどわかるひかりがそっと抱いた。救出がうまくいっていることを今は祈ることしかできない。
 やがて端から砕けながら震え続けていたクロム・レック・ファクトリアは、突然目を灼く光を放った。亀裂が走り、海底へとゆっくり崩れ落ち始める。光は噴き出る泡とともに弱まっていって、やがて残骸すら消えていった。
 地球の資源を奪っていた基地が消え去るのを見届けて、リリエッタは少しばかり身体の力が抜ける心地がした。
 元より秘密基地と言うからには爆発四散するものだろう。一瞥を投げて、カルナは仲間と共に水面へ向かって身を翻す。海流にペルルが流されないようしっかり抱いて、ティユも疲れを振り切ろうとするように泳いだ。

 クロム・レック・ファクトリア、崩壊。
 ケルベロスたちの連携作戦により、巨大なダモクレスは海の藻屑と消えたのだった。

作者:六堂ぱるな 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月7日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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