●新たな情報
新たな作戦の為、ヘリポートへと集まるケルベロス達。
この場では、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が説明に当たっていた。
「クロム・レック・ファクトリアの探索に向かっていたケルベロスが、帰還したよ」
2名が暴走し、敵の追撃を食い止めての撤退という厳しい結果だったが、得られた情報はかなり有益なものだった。
まず、伊豆諸島海底部の海底熱水鉱床で、多くの資源がダモクレス勢力によって奪われていた事が判明した。
この採掘を行ったのが『クロム・レック・ファクトリア』で、その護衛としてディザスター軍団の姿があったようだ。どうやら、ディザスター・キング自ら、防衛指揮を執っているらしい。
「『クロム・レック・ファクトリア』がダモクレス全軍にとって、重要な役割を果たしている事は間違いないよ」
更に、伊豆諸島海底部には、もう一基の拠点ダモクレス『バックヤード』の姿も確認されている。
バックヤードの詳細は不明だが、巨大な『環状の門』のような形状から『魔空回廊を利用して、採掘した資源の輸送を担当している』と考えられている。
バックヤード側の戦力は、巨大な腕型のダモクレスが確認されている。
「指揮官として『五大巧』……、5体の強大なダモクレスが存在しているようだね」
クロム・レック・ファクトリアが採掘した資源量は膨大だ。
概算では『ここ数年のダモクレスの侵略に必要な資源』の過半は、ここで採掘されたと考えて間違いない規模である。
つまり、クロム・レック・ファクトリアの撃破に成功すれば、ダモクレスへの打撃は非常に大きなものとなるだろう。
●クロム・レック決戦
「ただ、拠点の場所を暴かれたことで、ダモクレス勢力は『クロム・レック・ファクトリア』の移動準備を開始したようだね」
遅くても一週間以内に移動準備を整え、伊豆諸島海底から姿を消してしまうと思われる。
そうなると、大きな犠牲を払ってまで手に入れた情報が無駄になってしまう。
「だからこそ、『クロム・レック・ファクトリア』が移動する前に、短期決戦で撃破したいところだね」
クロム・レック・ファクトリアを破壊する為には、内部に潜入してディザスター軍団の防衛網を突破、ファクトリア中枢に侵入して、ディザスター・キングの守る中枢部の破壊を行わなければならない。
ダモクレス側も『ケルベロスの襲撃を撃退すれば、撤退までの時間が稼げる』として、決死の防衛を行ってくるはず。激戦は必至だ。
「危険な作戦だけど、どうか皆の力を貸してほしい」
さて、ここから作戦説明だが、クロム・レック・ファクトリアの外周部には29箇所の資源搬入口があり、そこから内部に潜入する事が可能だ。
しかし、全ての搬入口が中枢に続いているわけでは無い為、特定の突入口からのみの突入は避けなければならないだろう。
ディザスター・キングは敢えて中枢に繋がる搬入口とそれ以外の搬入口の警備を等しくし、ケルベロス戦力を分散させようという作戦をとっているようだ。この為、警備の様子などによって、搬入口を予測するのは難しい。
また、中枢に繋がる搬入口以外も、ディザスター軍団のダモクレスによって堅く守られている。
「敵を撃破して実際に探索してみるまでは、その搬入口が中枢に続いているかどうかの確認も出来ないようだね」
複数チームが一つの搬入口から進行した場合、侵攻時の安全性が向上する。
ただ、その搬入口が中枢に続いていなかった場合、ディザスター・キングとの戦いに参加できる戦力が低下してしまう危険もあるので、留意しておきたい。
続いて、敵能力、状況についてだ。
「クロム・レック・ファクトリア内部は、ディザスター軍団のダモクレスの防衛部隊が展開しているよ」
彼らは隠し部屋を利用した待ち伏せなど奇襲攻撃を行う事で、少ない戦力でケルベロスを消耗させる作戦を仕掛けてくる。
その上で、最奥となる場所に有力な戦力を集め、ケルベロスの撃破を狙ってくるだろう。
「対抗する為には敵の奇襲を察知して素早く撃破し、道中の損耗を避けつつ有力ダモクレスとの決戦に勝利する事が重要だよ」
この決戦に勝利して通路が中枢に繋がっていた場合、中枢に到達した全てのチームが協力し、ディザスター・キングとの決戦に臨むこととなる。
また、今回の作戦では『バックヤード』への攻撃も可能だ。
しかし、バックヤードに戦力を投入した場合、クロム・レック・ファクトリアの撃破が難しくなってしまうので、考慮は必要だ。
「バックヤードは、『2本の巨大腕型ダモクレス』に護衛されているよ」
バックヤード内部に取りつく為には、巨大腕型ダモクレスと戦う2チームと、バックヤード内部の探索を行う1チームで、最低3チームがバックヤードへの攻撃を行わなければ、内部の情報を得る事も不可能となる。
また、バックヤードには『探索活動中に暴走した2名のケルベロスが捕縛されている』可能性が高い。探索に成功すれば、捕らえられていたケルベロスの救出も可能かもしれない。
一通り作戦を説明したリーゼリットは、今回の作戦はダモクレスに大きな打撃を与えるチャンスだと話す。
うまくいけば、ディザスター・キングともここで決着を付ける事が出来るかもしれない。
「危険な探索任務を成功させたチームの為にも、大きな成果へと繋げてほしい」
そう告げ、彼女は説明を締めくくったのだった。
参加者 | |
---|---|
ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214) |
葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093) |
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528) |
志穂崎・藍(蒼穹の巫女・e11953) |
リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540) |
ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957) |
ウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007) |
エドワード・リュデル(黒ヒゲ・e42136) |
●2班による隠密作戦
伊豆諸島海底に駐留しているクロム・レック・ファクトリア。
その内部へと多数のケルベロスがチームを編成して中枢を目指す中、こちらは別チームと2班で共同戦線を張ることとなる。
突入を決めたのは、17番の搬入口。
前方を先行班に任せ、こちらは後方を請け負う形で進む。
班の中で先を行く志穂崎・藍(蒼穹の巫女・e11953)は、ここがダモクレスの重要拠点とあって、ここを潰すことに意義があると小声で語る。
「電撃作戦で、移動する前に叩きのめすニャ」
これで、ディザスター・キングと交戦できるなら本望だと藍は語るが、果たして。
ただ、今回のチームはマイペースなメンバーも多い。
「急ぎで動くの、は面倒だしゆっくり。……ダメ?」
ミミックのリリを周囲で罠の探知に当たらせる、ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)は歩くだけでも面倒くさそうな様子。
「班多ぃ、しどこかが当たり引けばぃぃ、から探索多めでも」
「とはいえ、ここで叩いておかないと色々と面倒よね」
ぶつくさと呟くラトゥーニほどではないが、ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)も面倒臭がりではある。
だが、彼女は気を抜くことで、面倒事が増えるのがもっと嫌なのだと告げる。
こう見えて、数十年前の地球の巻き戻しに立ち会っているソフィア。
調停者時代、多くの仲間が機械に倒された苦い思い出もあるだけに、ダモクレスの基地を叩ける感慨深さも抱いていたようだ。
「なんともプレッシャーのかかる作戦ですねぇ」
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)は1つ息をつきつつ語る。
敵大型拠点への大規模作戦。
逃走されれば、敵の戦力大幅増強は必至。
ケルベロスからの発見は察知されており、この襲撃での壊滅が必須。
状況を分析するアゼルだが、それでも気楽な態度で作戦に当たっていた。
「でないと、成功もおぼつかなくなるものですし」
平然とした顔でアゼルは道中地図を作成し、ヘッドセット内のメモリに記録する。
「入口一杯ぁるって事はそれぞれ役割ぁる、場所って事になりそぅ。結局中で全部繋がってた、りなら楽」
この拠点の構造を気に掛けていたラトゥーニも、アゼルがアイズフォンに読み出せるようにもしていた事を知って安心していた様子だ。
「ほら、気抜かないの」
自らを棚に上げ、ソフィアは仲間達へと注意を促していた。
そんなメンバー達の姿を見ながらも、藍は先行班と連絡をとりつつ猫耳を澄ませて敵の出現に警戒する。
特に、罠や奇襲。相手はこちらの突入に気付いているからこそ、何らかの策を講じているはずだ。
最後尾はエドワード・リュデル(黒ヒゲ・e42136)が請け負い、サーヴァント勢と共に後ろからの奇襲に備える。
「よくも、まあ、こんなところ、に」
隠密気流を纏うウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007)は、こんな海底にこれだけの規模の拠点を置いていたものだと感心する。
「まあ彼ら、には、これくらいの立地も苦ではないん、でしょう、けれど」
ウィルマは気の知れたエドこと、エドワードの手前を歩く。
後方班のほとんどは隠密気流を使い、音を立てぬよう進む。
その1人、葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)は先行班にもできるだけ静かに進むよう依頼していたようだ。
リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)もまた隠密仕様の上、先行班と連携を密にしていた。
「奇襲・暗殺はわたしの得意技……望んで得た技術じゃないけどね……」
敵の出現には、細心の注意を払う元暗殺者のリーナ。周囲に不自然な点はないかと注意を払い、彼女は仲間と共に奥へと進んでいた。
●隠密行動からの奇襲
先行班は通路の角を曲がり、様子を窺いつつゆっくり進む。
そこで、突如切れ目の入った真上の天井がスライドし、一斉にダモクレス5体が降りてくる。薄紫色の機体を持つモルガナイト・アサルトだ。
それだけではない。
「後ろ、来るわよ」
ソフィアが後方班メンバー達へと呼びかけると後方の壁もスライドし、緑の機体、クリソベリル・パンツァー4体も同時に現れる。
ケルベロス2班を挟み撃ちにしようとしてきたダモクレスの一隊であったが、隠密行動をとりつつ慎重に進んでいたメンバー達に死角などない。
「そちらは頼んだよ……」
モルガナイトの対処を先行班に託し、声がけしたリーナら後方班も素早く後方のクリソベリルへと応戦する。
敵より早く反応した唯奈は逆に奇襲をかけてやろうと両手にリボルバー銃を構え、素早く銃弾を敵へと浴びせかけていく。
相手も、砲撃仕様の遠距離型。こちらへと銃弾を飛ばしてくる敵の前にエドワードが敵の銃弾を通すまいと立ち塞がる。
その上で、エドワードはチェーンソー剣を手にし、手前の敵目掛けて切りかかっていく。
「早めに、静かに」
ラトゥーニは敵目掛けてミミックのリリをほん投げ、自らはうろうろしつつも暗黒魔法で具現化した黒鎖を放出して攻撃していた。
これ以上、増援が来られては溜まったものではない。
ソフィアはミミックのヒガシバに盾を任せ、自らは後方に徹して紙兵を撒き、護りを固めていく。
先行班も、順調に襲い来るダモクレスを攻め立てている様子。
翼猫ヘルキャットに護りを託したウィルマはケルベロスチェインを鳴らし、仲間の足元に魔法陣を描いて万全の状態で戦う。
そうしている間にも、前線は順調に相手を攻め落とす。
藍が卸した御業から発した炎が敵1体を包み込み、鉄くずへと化していた。
この数の量産機であれば、2チームあれば余裕だった。
挟撃されたとて多少の傷を負いはせども、問題なく双方ともに数を減らす。
唯奈が跳弾で相手の胸部を射抜き、1体が通路で爆ぜ飛ぶ。
「……目標捕捉、これより突撃する!」
直後、アゼルが無骨な戦闘用杭打ち機をクリソベリルに打ち込み、完全に沈黙させていた。
残る1体は光線を発射して最後まで応戦していたが、軽やかに宙を舞うリーナが漆黒の短剣『魔宝刃ファフニール』を操り、仲間の付けた傷を斬り広げる。
体の重要な回路まで切り裂かれ、最後のクリソベリル・パンツァーが機能を停止してうな垂れてしまう。
見れば、先行班も多少の手傷は負っていたものの、モルガナイトを全て殲滅していたようだ。
心眼での回復が出来ぬことを悔いるリーナは声を押し殺しながら気合を込めて叫び、道中での消耗を抑えようとしていた。
●待ち受けるディザスター軍団の精鋭
2班がやがて、たどり着いた広い空間。
何やら稼動する巨大な機械の前で待ち受けていたのは、ディザスター軍団の精鋭2体。
1体は、巨剣を持つ白銀の個体、ディザスター・ナイト・FA。
それにバズーカらしきものを携え、全身にミサイルポッドを展開した鈍色の個体、ディザスター・ビショップだった。
周囲を見回すメンバー達。どうやらここは終着点らしいが、ディザスター・キングの姿は確認できない。
「チッ、ハズレかよ、面倒くせえ」
そんな声が先行班から聞こえてくるが、ダモクレスが侵入者を逃がすはずもない。
「こちらは我々が受け持つ。もう一体をお願いします!」
「了解にゃ!」
ディザスター・ナイト・FAへと向かう先行班、数汰に返事した藍含む後方班はディザスター・ビショップを相手取ることとなる。
ラトゥーニはここでも、ミミックのリリをビショップ目掛けて放り投げる。
そんな扱いでもリリはふらふらと動くラトゥーニの意に応え、メンバーの盾となってくれるからなんとも健気だ。
「侵入者、排除……」
電子音を響かせ、ビショップは全身からミサイルを発してきた。
広域攻撃とはいえ、当たればかなりのダメージとなる。藍はサーヴァント勢に守られてそのミサイルをやり過ごし、確実な一撃をと仕掛けていく。
「呪われし槍よ、敵を射殺せ」
蒼穹に輝く藍の瞳は視線の槍となりビショップの身体を貫き、さらに、ミサイルを浴びたエドワードが続いた。
「絶えることのない銃声、砲弾の着弾音、爆破による崩落、敵味方の悲鳴……これぞ戦場の華、我らがよく知る戦場音楽ですなァ」
本職の軍人であるエドワードはいつものように笑いを浮かべ、全身に所持していた射撃武器、火砲、攻撃型ドローン等を行使してビショップ目掛けて射撃による弾幕を張っていく。
その間に、ソフィアはふんぞり返りながらも敵を注視していて。
「動きのパターンはつかめたわ。その隙を狙いなさい!」
後方の彼女が指示を飛ばすことで、メンバー達の攻撃の精度は高まることとなる。
重武装にも見える敵だが、敵は自在に戦場を動き回り、バズーカ砲からロケット弾を撃ち込んでくる。
その威力は侮れず、着弾と同時に前衛のケルベロスを炎に包む。
翼猫ヘルキャットも爆炎を浴びながらも敵目掛けて飛びかかり、伸ばした爪で素早く引っかいていった。
主のウィルマは先ほど同様、仲間の為にと盾を張り巡らせていく。それが終われば、彼女も攻撃に加わる予定だ。
前線のメンバーは激しく、敵へと攻撃を仕掛ける。
もう音など気にする必要もない為、唯奈は素早くホルスターから銃を抜き、引き金を引く。
まるで西部劇のガンアクションを思わせる銃捌きで、唯奈は次々に銃弾をビショップの装甲へと埋め込んでいく。
「貴方達はここでバラバラにしてあげる……」
黒衣で姿を潜ませていたリーナはビショップの隙を突いて跳躍し、足を覆う『魔脚甲アルビオン』に重力を宿して相手を強く蹴りつける。
だが、安定した期待のバランスでそれらの攻撃にも持ち堪えるビショップ。そいつはさらに、全身から発したミサイルを後方班メンバーへと浴びせかけてくるのだった。
ディザスター軍団の精鋭の力は、量産型に比べれば遥かに強力だ。
ディザスター・ナイトFAはディザスター・ビショップより格上らしく、先行班の中には倒れる者が出始めていたようだ。
そのビショップとて、決して弱い相手ではない。
さながら、雨あられのよう放たれるミサイルやロケット弾は、メンバーに致命傷を与えてくる。
「がんばれがんばれ」
動き回るラトゥーニは黒色の魔力弾を相手に放ちつつ、前線で盾となっていたリリを応援したのだが、ビショップがまたも滅茶苦茶に弾丸を発射する。
それの爆発を受け、力尽きたリリ。
ラトゥーニはそれでも待てば復活するからと考え、手早くビショップを片付けようと虚無球体を放つ。
多少身体を削られようともビショップも維持を見せつけ、発射するロケット弾をミミック、ヒガシバに命中させて消し飛ばしてしまう。
ソフィアは家電代わりのヒガシバが倒れたことに僅かに顔をしかめつつも、仲間へと回復グラビティを使い続ける。
広域攻撃の多い相手ということもあり、ソフィアは紙兵を撒き続けていたようだ。
翼猫ヘルキャットが尻尾のリングを飛ばす後ろから、ウィルマも仲間の支援強化を済ませ、蒼い炎を纏った巨大な剣を呼び出す。
「さようなら」
詠唱の言葉に合わせ、ウィルマはビショップの身体を切り、薙ぎ、投げつける。それはまさに蹂躙といった行為だ。
「排除、排除……」
しかしながら、ビショップはなおもミサイルを全身のポッドより発してくる。
爆発による痛みを感じ、唯奈がくわえていた棒つきの飴を噛み砕き、棒を吐き捨てる。
エドワードもなんとか持ち堪えてはいたが、下手すれば押し切られる危険もある。攻撃の手を止め、光の盾を展開して仲間達の回復に当たっているのがその証拠だ。
アゼルもまたヒールドローンを飛ばして癒しへと当たる中、前線メンバーはビショップへと攻撃を畳み掛けていく。
「目覚めよ力……」
リーナは内なる魔力とグラビティを引き出して黒く輝く魔力の刃を手にして、瀬に広げた漆黒の魔力の翼を4枚で加速する。
「黒死に呑まれ滅びろ……!」
猛然と振るう刃で、リーナはビショップの身体を切り裂いた。
足を使って相手を翻弄していた藍も追撃し、蒼穹の色に輝かせた視線の槍で相手を射抜く。
「変幻自在の『魔法の弾丸』……避けるのはちーっと骨だぜ?」
さらに、唯奈が発射した弾丸は不思議な軌道を描き、相手の脳天を射抜く。
「ピッ、ガガッ……」
ついにディザスター・ビショップは機能を完全に停止し、その場に崩れ落ちていった。
そして、すぐさま後方班メンバーは先行班の援護へと回っていく。
傷つく先行班メンバーの為、アゼルはドローンを展開し、ウィルマは地面に鎖を這わせて魔法陣を描き、傷の手当てへと当たる。
さらに、前に出た藍が御業の力でディザスター・ナイトFAを鷲掴みにしたところに、盾となるエドワードが指輪から具現化した光の戦輪を素早く投擲し、敵の武装を傷つけていった。
この援護で、先行班も幾分か態勢を立て直し、一斉にディザスター・ナイトFAへと攻撃を叩き込む。
ティーシャが燃え上がらせた炎が数汰の時流変転によって大きく燃え広がり、白銀の機体は轟炎に飲み込まれていったのだった。
●崩壊するクロム・レック・ファクトリア
メンバー達は簡単にこの広間を見回したが、やはりこの道は外れだったようだ。
作成した地図を、アゼルは破棄するアゼル。
ラトゥーニは探し物をしたかったのだが、リリが姿を消していたこともあって断念する。
再び挟撃があるかもしれないと考え、彼女は後ろを気に掛けながら仲間の後を追っていく。
先行班は2人が戦闘不能となって気絶していたが、こちらはサーヴァントのみの被害で済んでいた。
ソフィアが別班のメンバーを気がけつつも、一行は急いで引き返す。
敵に出くわすことなく搬入口の入り口まで戻った2チームは、今来た搬入口にパトランプを設置する。
「どうする?」
先行班、ヴィルフレッドが問うように、あちらは2人倒れている状態なのが厳しいところ。
唯奈、リーナらが先行班とどうするべきかと話していた途中、照明が暗転し始め、周囲に警告音がこだまする。
おそらくは、中枢へとたどり着いたチームがディザスター・キングを撃破し、中枢の破壊に成功したのだろう。
激しい爆発音が巻き起こり、崩壊を始めたクロム・レック。
通路を進んでいたメンバー達は引き返し、崩れる通路を駆け抜けて外へと飛び出す。
他班のメンバー達を含め、海中へと逃れた面々。
すると、光がファクトリア全体を覆い、直後に全てが崩れ落ちていく。やがて、光は泡と共に海中へと消えてしまった。
(「お、お疲れ様でした」)
敵拠点が破壊されたことを実感したウィルマが身振りで仲間にそう示すと、アゼルも撃破した敵の冥福を祈って黙祷していたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年11月7日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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